(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支柱は、さらに、前記ベーパーチャンバーを平面視した際に、前記第2支柱に対して略線対称となるように、かつ、前記第2支柱とは接触しないように配置された偶数個の第3支柱を備え、
前記第3支柱の1個あたりの面積は、前記筐体の平面視面積の0.5%以上、2.0%以下である、請求項1又は2に記載のベーパーチャンバー。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のベーパーチャンバーについて説明する。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
以下に示す各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。
【0012】
本発明のベーパーチャンバーは、加熱を伴う接合により外縁が接合された対向する第1シート及び第2シートから構成される筐体と、上記筐体内に封入された作動液と、上記第1シート及び/又は上記第2シートの内壁面に設けられたウィックと、上記第1シート及び/又は上記第2シートの内壁面に設けられた支柱と、を備えるベーパーチャンバーであって、上記支柱は、上記筐体内に空洞を形成するための第1支柱と、上記第1シート及び上記第2シートを接合する際の加熱による上記筐体の反りを抑制するための第2支柱とを備え、上記第1支柱の1個あたりの面積は、上記筐体の平面視面積の0.05%以下であり、上記第2支柱の1個あたりの面積は、上記筐体の平面視面積の0.5%以上、7.0%以下であり、上記ベーパーチャンバーを平面視した際の外形形状が、略長方形、又は、複数の略長方形の組み合わせで構成された形状であり、上記第2支柱は、上記略長方形のうち長手方向の長さが最も長い最長略長方形の内側に、上記最長略長方形の長手方向に沿って、上記最長略長方形の中心点を通る位置に設けられており、上記最長略長方形の長手方向における上記第2支柱の長さ寸法は、上記最長略長方形の長さ寸法の30%以上、70%以下であり、上記最長略長方形の幅方向における上記第2支柱の幅寸法は、上記最長略長方形の幅寸法の5%以上、10%以下である、ことを特徴とする。
【0013】
図1は、ベーパーチャンバーの構造の一例を模式的に示す断面図である。
図1に示すベーパーチャンバー1は、対向する第1シート11及び第2シート12から構成される筐体10と、筐体10内に封入された作動液20と、第1シート11の第2シート12に対向する主面11a(第1シート11の内壁面11a)に設けられたウィック30と、第2シート12の第1シート11に対向する主面12a(第2シート12の内壁面12a)に設けられた複数の支柱40(第1支柱41及び第2支柱42)とを備えている。
筐体10は、内部に空洞13を有しており、空洞13を確保するために、第1シート11及び第2シート12が第1支柱41によって支持されている。
第1シート11及び第2シート12は、加熱を伴う接合によって、外縁において互いに接合され、封止されている。
図1に示すベーパーチャンバー1では、ウィック30は、第1シート11の内壁面11aに配置されたメッシュ32を備えている。
【0014】
支柱40は、第2シート12と一体であってもよく、例えば、第2シート12の内壁面12aをエッチング加工すること等により形成されていてもよい。
また、支柱40は、第2シート12に対して凹部及び/又は凸を形成するような加工を施すことにより形成されていてもよい。
【0015】
第1シート11及び第2シート12の外縁を接合する部分が封止部50である。
【0016】
作動液20は、ウィック30の中に液相として存在している。また、作動液20は、空洞13内においては主に気相(作動液が水の場合は水蒸気)として存在している。
【0017】
ベーパーチャンバーには熱源を配置して使用することができる。
図1には第1シート11の第2シート12に対向しない主面(外壁面)に熱源120を配置した場合を示している。なお、熱源120を配置する面は、第2シート12の第1シート11に対向しない主面であってもよい。
熱源120が発する熱により、熱源120の直上においてウィック30に存在する作動液20が気化し、熱源120の熱を奪うとともに気化した作動液はメッシュ32から空洞13に移動する。
気化した作動液20は筐体10内を移動して、筐体10の外縁付近で凝縮して液相となる。
液相となった作動液20はウィック30の有する毛細管力によりウィック30に吸収され、ウィック30内を再度熱源120の方に移動して、熱源120の熱を奪うように働く。
作動液が筐体内をこのように循環して移動することにより、ベーパーチャンバーによる熱源の冷却が行われる。
【0018】
図2は、ベーパーチャンバーの一例を模式的に示す上面図である。
図2には、ベーパーチャンバー1を構成する第2シート12側からの上面図を示しており、第2シート12を透過させて第1支柱41、第2支柱42及びウィック30の位置を示している。
なお、
図1は、
図2に示すA−A断面でベーパーチャンバーを切断して示した断面図であるともいえる。
【0019】
図2に示すベーパーチャンバー1では筐体の上面視形状は略長方形であり、封止部50の形状は略長方形の外周の辺に沿った形状となっている。
第1シート11及び第2シート12は、加熱を伴う接合により外縁が接合され、封止部50が形成されている。
【0020】
図2に示すベーパーチャンバー1の略中央には、第2支柱42が設けられている。
ベーパーチャンバー1における第2支柱42の位置についての詳細は後述する。
【0021】
第2支柱は、内部が多孔質であってもよく、中空であってもよい。
図3A、
図3B及び
図3Cは、ベーパーチャンバーを構成する第2支柱の一例を模式的に示す断面図である。
図3Aに示す第2支柱42aは、第2シート12と一体となっている。
図3Bに示す第2支柱42bは、内部が多孔質となっている。
図3Cに示す第2支柱42cは、内部が中空となっている。
【0022】
第2シートと一体となった第2支柱は、例えば、第2シートの一部を切削加工やエッチング等によって除去する際に、第2支柱となる部分を除去しない方法で得ることができる。
【0023】
内部が多孔質となっている第2支柱を得る方法としては、第2シートの表面で金属粒子や金属繊維を焼結させる方法や、金属粒子や金属粒子の多孔質焼結体を第2シートの表面に溶接する方法等が挙げられる。
【0024】
内部が中空となっている第2支柱を得る方法としては、平坦な第2シートの表面にリブ加工を施すことによって第2シートの表面に凸部を形成する方法や、
図3Aに示す第2支柱42aにレーザー加工等を施して非貫通孔を形成する方法等が挙げられる。
なお、第2支柱以外の支柱についても、第2支柱と同様に、内部が多孔質であってもよく、中空であってもよい。
【0025】
ベーパーチャンバーにおいて、第1シート及び第2シートを構成する材料は、ベーパーチャンバーとして用いるのに適した特性、例えば熱伝導性、強度、柔軟性などを有するものであれば、特に限定されない。第1シート及び第2シートを構成する材料は、好ましくは金属材料であり、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、チタン、鉄など、またはそれらを主成分とする合金などが挙げられる。第1シート及び第2シートを構成する材料は、銅であることが特に好ましい。
【0026】
ベーパーチャンバーにおいて、作動液は、筐体内の環境下において気−液の相変化を生じ得るものであれば特に限定されず、例えば、水、アルコール類、代替フロン等を用いることができる。作動液は、水性化合物であることが好ましく、水であることがより好ましい。
【0027】
ベーパーチャンバーにおいて、ウィックは、毛細管力により作動液を移動させることができる毛細管構造を有する限り、特に限定されない。ウィックの毛細管構造は、従来のベーパーチャンバーに用いられている公知の構造であってもよい。毛細管構造としては、細孔、溝、突起などの凹凸を有する微細構造、例えば、多孔構造、繊維構造、溝構造、網目構造などが挙げられる。
【0028】
ベーパーチャンバーにおいて、ウィックは、筐体の内部に、蒸発部から凝縮部まで連続して設けられることが好ましい。ウィックの少なくとも一部は、筐体と一体であってもよい。
【0029】
ベーパーチャンバーにおいて、ウィックは、第1シートの内壁面とは反対側の表面に、メッシュ、不織布又は多孔体を備えていてもよい。例えば、ウィックは、第1シートの内壁面に所定の間隔で配置された複数の突出部と、上記突出部上に配置されたメッシュ、不織布又は多孔体とから構成されていてもよいし、第1シートの内壁面に直接配置されたメッシュ、不織布又は多孔体から構成されていてもよい。
【0030】
ベーパーチャンバーは、上記実施形態に限定されるものではなく、ベーパーチャンバーの構成、製造条件等に関し、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0031】
例えば、ベーパーチャンバーは、第2シートの内壁面にウィックを備えていてもよい。この場合、支柱は、第2シートに直接接触せず、上記ウィックを介して第2シートを支持してもよい。
【0032】
本発明のベーパーチャンバーは、平面視した際の外形形状が、略長方形、又は、複数の略長方形の組み合わせで構成された形状である。
外形形状が複数の略長方形の組み合わせで構成された形状である場合、外形形状を構成する略長方形の数は、5個以下であることが好ましく、3個以下であることがより好ましい。
ベーパーチャンバーの平面視外形形状を構成する略長方形の数を特定する方法については後述する。
【0033】
本発明のベーパーチャンバーにおいて、第1シート及び/又は第2シートの内壁面に設けられた支柱は、筐体内に空洞を形成するための第1支柱と、第1シート及び第2シートを接合する際の加熱による筐体の反りを抑制するための第2支柱を備える。
【0034】
第1支柱は、筐体内に空洞を形成するための支柱であって、第1支柱の1個あたりの面積は、筐体の平面視面積の0.05%以下である。
第1支柱全体の面積は、筐体の平面視面積の1%以上、20%以下であることが好ましい。
【0035】
第2支柱は、ベーパーチャンバーを平面視した際の外形形状(以下、平面視外形形状ともいう)を構成する最長略長方形の内側に、該最長略長方形の長手方向に沿って、該最長略長方形の中心点を通る位置に設けられている。略長方形の中心点とは、該略長方形の対角線同士が交わる点である。
なお、最長略長方形とは、ベーパーチャンバーの平面視外形形状を構成する長方形のうち長手方向の長さが最も長いものをいう。
【0036】
最長略長方形の長手方向における第2支柱の長さ寸法は、最長略長方形の長さ寸法の30%以上、70%以下である。
最長略長方形の幅方向における第2支柱の幅寸法は、最長略長方形の幅寸法の5%以上、10%以下である。
また、第2支柱の1個あたりの面積は、筐体の平面視面積の0.5%以上、7.0%以下である。
【0037】
上記寸法の第2支柱が上記位置に設けられていることにより、加熱を伴う接合によって第1シート及び第2シートを接合した際に生じる反りを抑制することができる。
【0038】
続いて、
図4を用いて、最長略長方形について説明する。
図4は、ベーパーチャンバーの平面視外形形状と、第2支柱の位置関係を説明するための上面図である。
【0039】
図4に示すように、ベーパーチャンバー1の平面視外形形状は、1つの略長方形T
1で構成されていると考えられるため、略長方形T
1が最長略長方形となる。
ここで、ベーパーチャンバー1の平面視外形形状は、ベーパーチャンバー1全体の外形形状を指しており、封止部50によって囲まれる領域のみを指すものではない。
第2支柱42aは、略長方形T
1の内側に、略長方形T
1の長手方向に沿って、略長方形T
1の中心点C
T1を通過するように設けられている。第2支柱42aは略長方形T
1の長手方向に沿って配置されているため、略長方形T
1の幅方向の略中央に配置されている。
【0040】
なお、ベーパーチャンバー1の平面視外形形状は、ベーパーチャンバー1を構成する筐体10の平面視外形形状に相当する。従って、ベーパーチャンバー1の平面視外形形状が単一の略長方形(最長略長方形)で構成されている場合、略長方形の面積は筐体10の平面視面積に相当する。
【0041】
第2支柱42aの長手方向における長さ寸法L
2aは、略長方形T
1の長手方向の長さ寸法L
T1の30%以上、70%以下となっている。
また、第2支柱42aの幅方向の幅寸法W
2aは、略長方形T
1の幅方向の幅寸法W
T1の5%以上、10%以下となっている。
【0042】
第2支柱42aが、略長方形の長手方向に沿って、所定の寸法で設けられていることによって、第1シートと第2シートとを加熱によって接合する際に発生する反りを抑制することができる。
【0043】
本発明のベーパーチャンバーの平面視外形形状は、略長方形に限られず、複数個の略長方形の組み合わせで構成されていてもよい。
ベーパーチャンバーの平面視外形形状が、複数個の略長方形の組み合わせで構成されている場合において、最長略長方形を選択する方法について、
図5A、
図5B、
図5C、
図5D及び
図5Eを参照しながら説明する。
図5A、
図5B、
図5C、
図5D及び
図5Eは、ベーパーチャンバーの別の一例を模式的に示す上面図である。
図5A、
図5B、
図5C及び
図5Dに示すように、ベーパーチャンバー2の平面視外形形状は、略長方形T
2、略長方形T
3及び略長方形T
4の組み合わせで構成されている。ベーパーチャンバー2の平面視外形形状の全体を1つの略長方形としない理由については、後述する。
【0044】
ここで、ベーパーチャンバーの平面視外形形状を構成する略長方形の形状及び個数は、略長方形の個数が最小となり、かつ、すべての略長方形の長手方向の長さの合計が最も長くなるような組み合わせとする。
略長方形の長手方向の長さの合計の基準となる長手方向は、各略長方形ごとに異なっていてもよい。また、複数の略長方形によってベーパーチャンバーの平面視外形形状を隙間なく埋める形状とする必要はなく、複数の略長方形が互いに重なっていてもよい。
【0045】
図5Aに示すベーパーチャンバー2では、略長方形T
2と略長方形T
3とが、領域X
1において互いに重複しており、略長方形T
2と略長方形T
4とが、領域X
2において互いに重複している。
図5B、
図5C及び
図5Dに示すように、略長方形T
2、略長方形T
3及び略長方形T
4の長手方向の長さは、それぞれ、L
T2、L
T3、L
T4であり、L
T2が最も長い。従って、略長方形T
2が最長略長方形となる。そのため、ベーパーチャンバー2では、略長方形T
2の長手方向に沿って、略長方形T
2の中心点C
T2を通る位置に第2支柱42bが設けられている。
第2支柱42bの長手方向の寸法L
2bは、略長方形T
2の長手方向の寸法L
T2の30%以上、70%以下であり、第2支柱42bの幅方向の寸法W
2bは、略長方形T
2の幅方向の寸法W
T2の5%以上、10%以下である。
【0046】
本明細書において、略長方形の長手方向とは、対向する2辺間の距離が長い方向を指す。正方形の場合、対抗する2辺間の距離が等しいが、いずれの方向も長手方向とする。
従って、略長方形には正方形を含むものとする。
【0047】
本明細書において、ベーパーチャンバーの平面視外形形状は、略長方形又は複数の略長方形の組み合わせで構成されている。
ここで、ベーパーチャンバーの平面視外形形状を構成する略長方形の数は3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。
ベーパーチャンバーの平面視外形形状を構成する略長方形の数が4以上になると、ベーパーチャンバーの形状自体が複雑化し、製造コストが高くなる。
【0048】
本明細書において、ベーパーチャンバーの平面視外形形状が切り欠き(欠損部)を有する場合には、切り欠きが存在しないと仮定した際の略長方形の面積と、切り欠きの面積により、該切り欠きを考慮するかどうかを決定する。
具体的には、切り欠きが存在しないと仮定した場合の略長方形の面積に対する切り欠きの面積の割合が10%以下である場合、切り欠きが存在しないとして該略長方形を認定する。従って、ベーパーチャンバーの平面視外形形状全体が1つの最長略長方形となる。
一方、切り欠きが存在しないと仮定した場合の略長方形の面積に対する切り欠きの面積の割合が10%を超える場合、該略長方形を複数個の略長方形に分割する。
なお、分割した略長方形の面積が、ベーパーチャンバーの平面視外形形状の面積の10%以下となる場合、該略長方形を、ベーパーチャンバーの平面視外形形状を構成する長方形から除外する。
【0049】
図5Eに示すように、ベーパーチャンバー2では、切り欠きが存在しないと仮定した場合の略長方形T
5の面積に対する切り欠きT
6の面積の割合が10%を超えている(
図5Eでは約11%)。従って、ベーパーチャンバー2の平面視外形形状は、1つの略長方形T
5ではなく、3つの略長方形T
2、T
3、T
4の組み合わせで構成されていると認定する。
もし、
図5Eに示したベーパーチャンバー2において、切り欠きが存在しないと仮定した場合の略長方形T
5の面積に対する切り欠きT
6の面積の割合が10%以下である場合、略長方形T
5を最長略長方形とする。
【0050】
本発明のベーパーチャンバーにおいて、支柱は、ベーパーチャンバーを平面視した際に、第2支柱に対して略線対称となるように、かつ、第2支柱とは接触しないように配置された偶数個の第3支柱を備えていてもよい。
なお、第3支柱の1個あたりの面積は、筐体の平面視面積の0.5%以上、2.0%以下である。
第3支柱が備えられていると、幅方向に対する反りを抑制することができる。
第3支柱が第2支柱と接触していると、筐体内における作動液の流れが妨げられて、冷却効率が低下することがある。
【0051】
最長略長方形の幅方向における第3支柱の1個あたりの長さ寸法は、最長略長方形の幅寸法の10%以上、20%以下であることが好ましい。
最長略長方形の長手方向における第3支柱の1個あたりの幅寸法は、最長略長方形の長さ寸法の2.5%以上、10%以下であることが好ましい。
【0052】
第3支柱は、筐体の外縁と接触していないことが好ましい。
第3支柱が筐体の外縁と接触していると、筐体内における作動液の流れが妨げられて、冷却効率が低下することがある。
【0053】
第3支柱は、最長略長方形の幅方向に沿って設けられていてもよく、最長略長方形の長手方向に沿って設けられていてもよいが、幅方向に沿って設けられていることが好ましい。
第3支柱がどの方向に沿って設けられているかについては、第3支柱の長手方向の長さと幅方向の長さを比較して、長さの長い方向に沿っていると考える。
【0054】
第3支柱を備えたベーパーチャンバーの一例について、
図6を参照しながら説明する。
図6は、ベーパーチャンバーのさらに別の一例を模式的に示す上面図である。
図6に示すベーパーチャンバー3は、平面視形状が略長方形である。
ベーパーチャンバー3を構成する最長略長方形は、略長方形T
7である。
第2支柱42は、略長方形T
7の長手方向に沿って、略長方形T
7の中心点C
T7を通るように設けられている。従って、第2支柱42は、略長方形T
7の幅方向の略中央に設けられている。
第3支柱43は、第2支柱42に対して略線対称となるように、かつ、第2支柱42と接触しないように、偶数個(
図6では2個)配置されている。
【0055】
第3支柱43の1個あたりの面積は、筐体の平面視面積の0.5%以上、2.0%以下であることが好ましい。
また、第3支柱は、略長方形の幅方向に沿って配置されていることが好ましい。
【0056】
略長方形T
7の幅方向における第3支柱43の1個あたりの長さ寸法L
3aは、略長方形T
7の幅寸法W
T7の10%以上、20%以下(
図6では、約10.7%)であることが好ましい。また、略長方形T
7の長手方向における第3支柱の1個あたりの幅寸法W
3aは、略長方形T
7の長さ寸法L
T7の2.5%以上、10%以下(
図6では、約3.0%)であることが好ましい。
第3支柱43の幅寸法W
3aと長さ寸法L
3aとを比較すると、長さ寸法L
3aが幅寸法W
3aよりも長い。従って、第3支柱43は、最長略長方形である略長方形T
7の幅方向に沿って配置されているといえる。
【0057】
ベーパーチャンバーの平面視外形形状が複数の略長方形の組み合わせで構成されている場合、最長略長方形以外の略長方形の内側に、該略長方形の長手方向に沿って、該略長方形の中心点を通る位置に、第4支柱がさらに設けられていてもよい。
略長方形の長手方向における第4の支柱の長さ寸法は、該略長方形の長さ寸法の30%以上、70%以下であることが好ましい。また、略長方形の幅方向における第4支柱の幅寸法は、該略長方形の幅寸法の5%以上、10%以下であることが好ましい。
【0058】
第4支柱が設けられたベーパーチャンバーの一例について、
図7を参照しながら説明する。
図7は、ベーパーチャンバーのさらに別の一例を模式的に示す上面図である。
図7に示すベーパーチャンバー4は、
図5Aに示すベーパーチャンバー2に第4支柱を追加したものに相当する。
図7に示すように、ベーパーチャンバー4は、第2支柱42b及び第4支柱44を備える。
ベーパーチャンバー4では、
図5A、
図5B、
図5C、
図5D及び
図5Eに示したベーパーチャンバー2と同様に、平面視外形形状が、略長方形T
2、略長方形T
3及び略長方形T
4の組み合わせで構成されている。従って、最長略長方形が略長方形T
2である点も、ベーパーチャンバー2と同様である。これに加えて、ベーパーチャンバー4では、最長略長方形ではない略長方形T
3の中心点を通り、略長方形T
3の長手方向に沿って、略長方形T
3の中心点C
T3を通る位置に、第4支柱44が設けられている。
【0059】
第4支柱は第2支柱と接触していてもよいが、接触していないことが好ましい。
【0060】
[ベーパーチャンバーの製造方法]
ベーパーチャンバーを製造する方法は、上記の構成を得られる方法であれば特に限定されない。例えば、ウィックを配置した第1シートと、第1支柱及び第2支柱を含む支柱を配置した第2シートとを重ね合わせ、作動液を注入し、第1シートと第2シートを接合することによりベーパーチャンバーを得ることができる。
第1シート及び第2シートの接合方法は、加熱を伴う接合であればよく、例えば、レーザー溶接、抵抗溶接、拡散接合、はんだ接合、ろう接、TIG溶接(タングステン−不活性ガス溶接)、超音波接合などが挙げられる。これらのなかでは、レーザー溶接、ろう接又は拡散接合が好ましい。
【実施例】
【0061】
以下、本発明のベーパーチャンバーをより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0062】
(比較例1)
(ベーパーチャンバーの作製)
平面視寸法が幅60mm×長さ100mm、厚さ0.2mmの銅箔を第1シートとして準備した。
また、平面視寸法が幅60mm×長さ100mm、厚さ0.08mmの銅箔を第2シートとして準備した。
第1シートを過硫酸ソーダでエッチングして第1支柱となる凸部を形成した後、第1シートと第2シートとでメッシュを挟持するように貼り合わせ、外縁部をレーザー溶接することにより、第1シートと第2シートとを貼り合わせた筐体を得た。溶接後、パイプにより作動液を注入した。
【0063】
(反りの確認)
レーザー距離計により表面凹凸を確認して数値化し、最凸部と最凹部との高低差を算出して、ベーパーチャンバーの反りとした。
【0064】
(熱特性の確認)
比較例1に係るベーパーチャンバーを外気温25℃の状態でセラミックヒータと接触させ、ベーパーチャンバーの熱源直上の温度と、熱源から最も遠い位置の温度との差ΔTを求めた。
【0065】
(比較例2〜3、実施例1〜2)
第2シートのエッチングパターンを変更して、第1支柱に加えて第2支柱を形成したほかは、比較例1と同様の手順で第1シートと第2シートを溶接して、
図4に示すベーパーチャンバー1と同様の位置に第2支柱を有する、比較例2〜3及び実施例1〜2に係るベーパーチャンバーを作製した。
ベーパーチャンバーの平面視外形形状を構成する略長方形の長手方向における、第2支柱の長さ寸法の割合、略長方形の幅方向における第2支柱の幅寸法の割合、並びに、筐体の平面視面積に対する第2支柱の1個あたりの面積割合を表1に示す。
なお、第2支柱の高さは、第1支柱と同じく150μmであった。
第2支柱の長さ寸法及び幅寸法の割合[%]はそれぞれ、ベーパーチャンバーの平面視外形形状が、幅60mm×長さ100mmの長方形であるとして算出した。
【0066】
(実施例3)
第2シートのエッチングパターンを変更して、第1支柱に加えて第2支柱及び第3支柱を形成したほかは、比較例1と同様の手順で第1シートと第2シートを溶接して、
図6に示すベーパーチャンバー3と同様の位置に第2支柱及び第3支柱を有する、実施例3に係るベーパーチャンバーを作製した。
ベーパーチャンバーの平面視外形形状を構成する略長方形の長手方向における、第2支柱の長さ寸法の割合及び第3支柱の幅寸法の割合、略長方形の幅方向における第2支柱の幅寸法及び第3支柱の長さ寸法の割合、並びに、筐体の平面視面積に対する第2支柱及び第3支柱の1個あたりの面積割合を表1に示す。
なお、第2支柱及び第3支柱の高さは、第1支柱と同じく150μmであった。
第2支柱及び第3支柱の長さ寸法及び幅寸法の割合[%]はそれぞれ、ベーパーチャンバーの平面視外形形状が、幅60mm×長さ100mmの長方形であるとして算出した。
【0067】
(反り及び熱特性の対比)
ベーパーチャンバーの反りについては、比較例1の反りを1.00とした際の割合であり、0に近いほど、反りが抑制されていることを意味する。従って、割合が0.9未満のものを「○」、0.9以上のものを「×」と評価した。
また、熱特性についても、比較例1におけるΔTを1.00とした際の割合であり、1.00に近いほど、熱源から最も遠い位置の温度が低く、熱特性が良好であることを示す。従って、割合が0.9以上のものを「○」、0.9未満のものを「×」と評価した。
反り及び熱特性の対比結果を表1に示した。
【0068】
【表1】
【0069】
表1の結果より、本発明のベーパーチャンバーは、加熱を伴う接合によって発生する反りを低減させることができることがわかった。また、略長方形の長手方向における第2支柱の長さ寸法が略長方形の長さ寸法の30%未満の場合には、反りを抑制する効果がほとんどみられず、70%を超える場合には、熱特性が悪化することを確認した。