(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6923113
(24)【登録日】2021年8月2日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】婦人用体温バランス測定装置
(51)【国際特許分類】
G01K 13/20 20210101AFI20210805BHJP
A61B 5/01 20060101ALI20210805BHJP
【FI】
G01K13/20 341G
G01K13/20 361D
A61B5/01 100
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-7777(P2019-7777)
(22)【出願日】2019年1月21日
(65)【公開番号】特開2020-118485(P2020-118485A)
(43)【公開日】2020年8月6日
【審査請求日】2019年12月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】595000391
【氏名又は名称】中村 吉伸
(74)【代理人】
【識別番号】100084102
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 彰
(72)【発明者】
【氏名】中村 吉伸
【審査官】
平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−148458(JP,A)
【文献】
実開平04−029846(JP,U)
【文献】
特開昭61−290336(JP,A)
【文献】
特表2020−513952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 7/00,13/20
A61B 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に所定の演算処理部を備え所定の計測結果の表示をなす表示部を設けた本体部と、本体部から突出して先端にセンサ部を設けたプローブ部からなる体温測定装置において、プローブ部を、可撓性を有する柔軟性材質で形成すると共に先端間隔を50〜60mmとした2本突設し、表示部が計測時の各センサ部に対応した計測結果を表示して、婦人の乳房体温計測用としたことを特徴とする婦人用体温バランス測定装置。
【請求項2】
本体部に左右切換えスイッチを設けると共に、左右切換えスイッチのオンオフに対応して左右体温を対比表示する表示部を設けてなる請求項1記載の婦人用体温バランス測定装置。
【請求項3】
本体部に他部材への連結部を設けてなる請求項1又は2記載の婦人用体温バランス測定装置。
【請求項4】
筐体内に所定の演算処理部を備え所定の計測結果の表示をなす表示部を設けた本体部と、本体部から突出して先端にセンサ部を設けたプローブ部からなる体温測定装置において、プローブ部を、可撓性を有する柔軟性材質で8〜10cmの細棒状に形成すると共に、先端間隔を30〜35mmとした2本突設し、先端センサ部の他にプローブ部中間外周面にもセンサ部を設け、表示部が計測時の各センサ部に対応した計測結果を表示して、婦人用膣内体温の計測用としたことを特徴とする婦人用体温バランス測定装置。
【請求項5】
プローブ部が左右配置となる本体部表面と、プローブ部が前後配置となる本体部側面に各々当該配置での計測時の計測結果を表示する表示部を設けると共に、左右計測と前後計測の切換えスイッチを設けてなる請求項4記載の婦人用体温バランス測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数点を同時計測する乳房用及び婦人用等の体温バランス測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
体温の測定には、耳内温度、口内温度を測ることもあるが、もっとも一般的には、腋の下の体温を測っている。この体温測定には一般に棒状の電子体温計が使用されており、その基本構成は、本体部から突出するプローブ部の先端にセンサ部を設け、本体部にセンサ検知温度を直接或いは温度上昇の時間経過に基づく算定温度を体温として表示する表示部を備えてなるものである。
【0003】
また特に前記プローブ部を軟質筒体で形成して、センサ部を身体の所望箇所に押し付けるようにして計測することを可能としている(特許文献1,2)。
【0004】
また婦人体温計として膣内温度を計測するタンポン型式の体温計も知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−249055号公報。
【特許文献2】実用新案登録3155132号公報。
【特許文献3】特開昭60−188129号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
体温の計測個所として、脇の下の体温の測定は身体前面から斜め上方に向けてプローブ部を脇の下に差し入れて計測しているが、その体温の根拠は腋窩動脈から分岐した上腕動脈の影響を大きく受ける。また身体の左右では計測した体温は必ずしも一致しない。
【0007】
また例えば乳癌は、乳房の四分円のうち上外側の発症確率が高く、左右同時発症の可能性が低いので、左右の乳房の当該部分の体温を計測することで早期発見に貢献する可能性があるが、身体の左右では比較判断の基礎となる体温が相違する。
【0008】
そこで本発明は左右の体温バランスに基づく所望箇所の体温計測を迅速に行うことができる新規な乳房用及び婦人用等の体温バランス測定装置を提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1記載に係る
婦人用体温バランス測定装置は、筐体内に所定の演算処理部を備え所定の計測結果の表示をなす表示部を設けた本体部と、本体部から突出して先端にセンサ部を設けたプローブ部からなる体温測定装置において、プローブ部を
、可撓性を有する柔軟性材質で形成すると共に先端間隔を50〜60mmとした2本突設し、表示部が計測時の各センサ部に対応した計測結果を表示して、婦人の乳房体温計測用としたことを特徴とする適宜間隔あけて複数突設すると共に、可撓性を有する柔軟性材質で形成し、表示部が計測時の各センサ部に対応した計測結果を表示してなることを特徴とするものである。
【0010】
而して2個のプローブ部の先端に設けたセンサ部を、異なる身体位置に当接して計測し、当該箇所の体温を測定でき、当該体温値や体温値に基づく体温バランスを知ることができる。また例えば身体の左右において、一方のセンサ部を基準箇所として、他方センサ部を計測対象とした場合、単一体温計では基準箇所2カ所と対象箇所2カ所の計4回の体温計測を行う必要があるところ、2回の計測で計測対象の左右バランスを速やかに知ることができる。
【0011】
従って身体の左右において一方のセンサ部を腋窩に当て、他方のセンサ部を乳房上外側に当てて腕で覆い、各センサ部の温度検知で左右の腋窩体温と乳房体温を測定し、身体左右の体温バランス(腋窩体温の対比)を基準として左右の乳房体温計測値を修正することで左右乳房の体温バランスを知ることができる。
【0012】
また本発明の請求項
2記載に係る
婦人用体温バランス測定装置は、本体部に左右切換えスイッチを設けると共に、左右切換えスイッチのオンオフに対応して左右体温を対比表示する表示部を設けてなるもので、体温測定時に左右の身体計測時に合わせて切換えスイッチを操作することで、身体の左右の計測結果が同時に表示される。
【0013】
また本発明の請求項
3記載に係る
婦人用体温バランス測定装置は、特に本体部に他部材への連結部を設けてなるもので、他部材(フレキシブル連結部材や身体装着部材)の両端に体温バランス測定装置を連結すると、身体の左右同時に計測することができる。
【0014】
また本発明の請求項
4記載に係る
婦人用体温バランス測定装置は、
筐体内に所定の演算処理部を備え所定の計測結果の表示をなす表示部を設けた本体部と、本体部から突出して先端にセンサ部を設けたプローブ部からなる体温測定装置において、プローブ部を、
可撓性を有する柔軟性材質で8〜10cmの細棒状に形成すると共に、先端間隔を30〜35mmとした
2本突設し、先端センサ部の他にプローブ部中間外周面にもセンサ部を設
け、表示部が計測時の各センサ部に対応した計測結果を表示して、婦人用膣内体温の計測用としたことを特徴とするものである。
【0015】
上記の婦人用とした体温バランス計測装置(婦人用体温計)は、例えばプローブ部を左右配置若しくは前後配置の状態で膣内に挿入し、膣内の奥方と中間部分における左右体温若しくは前後体温を測定することで、左右の体温バランスや所定の臓器温度を計測できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の構成は上記のとおりで、身体の2カ所の同時計測を可能としたもので、身体の体温バランス計測が速やかに行うことができる装置を提供したものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図5】同第二実施形態の説明図で(イ)は正面図(ロ)は側面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に本発明の実施形態について説明する
図1乃至4は本発明の第一実施形態を示したもので、主として左右の乳房体温のバランスを測定する装置である。
【0019】
第一実施形態の体温バランス測定装置は、本体部1とプローブ部2a,2bとセンサ部3a,3bを備えてなる。
【0020】
本体部1は、従前の体温計と同様に筐体内に所定の演算処理部(図示せず)と、計測値表示部11a,11bと、計測結果(判定結果)表示部12と、左右の切換えスイッチ部13a,13bと、切換え報知部14a,14bと、他部材連結部15を備えてなる。
【0021】
プローブ部2a,2bは、互いの先端間隔が50〜60mmとなるように本体部1から角状に突設したもので、可撓性を備えた柔軟性材質で形成し、先端にそれぞれセンサ部(サーミスタ内蔵)3a,3bを設け、内部にセンサ部3a,3bからの感知した温度データを演算処理部に送るリード線(図示せず)を配置しているものである。
【0022】
計測値表示部11a,11bは、計測した左右の各体温値を表示するもので、計測結果表示部12は、左右の体温バランスの結果(判定結果)を表示するものである。
【0023】
切換えスイッチ部13a,13bは、計測対象が身体の左右何れかであるかを選択するスイッチで、当該スイッチがオン状態の側の切換え報知部(LED)14a,14bが点灯する。
【0024】
また演算処理部は、温度データの時間的変化からセンサ部3a,3bの当接箇所の体温を算出して、算出結果(体温)を計測値表示部11a,11bに各々出力して表示すると共に、左右の体温バランスを算出して計測結果として計測結果表示部12に出力して表示する。
【0025】
而して上記の体温バランス測定装置は、
図3(イ)に示すように左右の腋窩a1,b1及び左右乳房の上外側箇所a2,b2の体温を測定するもので、身体の左側を測定する場合には、左腋用の切換えスイッチ部13aを操作してオン状態とし、切換え報知部14aが点灯したのを確認し、
図3(ロ)に示すようにセンサ部3aを腋窩a1に当て、他方のセンサ部3bを乳房上外側a2に当てて腕で覆い、各センサ部3a,3bで左の腋窩体温と乳房体温を測定する。
【0026】
測定値は左側の計測値を表示する計測値表示部11aに表示する。計測表示部11a,11bの「外側用」がセンサ部3aの計測値(=腋窩体温)を「内側用」がセンサ部3bの計測値(=乳房体温)の計測値を表示する。「外側用」及び「内側用」の表示は、本実施形態が乳房体温バランス以外にも使用する場合もあるからである。
【0027】
身体の左側の測定を終えると、切換えスイッチ部13bを操作してオン状態とし、切換え報知部14bの点灯を確認して、身体の左側b1,b2の測定を行い、計測値を計測値表示部11bに表示する。
【0028】
更に演算処理部で、予め定めている所定の演算方法で、左右の腋窩体温を基準として左右の乳房体温のバランスを算出判定し、当該結果を計測結果表示部12に表示する。例えば一方に乳癌が存在すると乳房体温に左右のバランスの乱れが生ずるので、診断の判断材料として提供することができる。
【0029】
また本体部1には他部材連結部15を付設しておくことで、別に形成した身体装着器具Aに2個連結すると共に、本体部1から計測データを出力させ、別置の処理装置で判定結果を表示するようにすると、左右同時測定が可能となる。
【0030】
また
図5,6は本発明の第二実施形態を示すもので、特に婦人用膣内体温のバランス計測用の装置としたものである。
【0031】
第二実施形態の体温バランス測定装置は、基本構成は第一実施形態と同一であるが、特にプローブ部とセンサ部と表示部の形状・配置が異なるものである。
【0032】
第二実施形態の本体部4は、第一実施形態と同様に筐体内に所定の演算処理部と、表示部及び切換えスイッチ部を備える。
【0033】
プローブ部5a,5bは、本体部4からの突出長が8〜10cmの細棒状に形成し、先端間隔を30〜35mmとし、センサ部(6a1,6a2,6b1,6b2)は、各プローブ部5a,5bの先端と中間に設けたものである。
【0034】
表示部は、前面表示部41aと側面表示部41bを備え、切換えスイッチ部は前面スイッチ部42aと側面スイッチ部42bを設けてなる。
【0035】
前記の前面表示部41aは、プローブ部5a,5bが左右配置となる面に前面スイッチ部42aと共に設け、側面表示部41bはプローブ部5a,5bが前後配置となる面に側面スイッチ部42aと共に設けたものである。
【0036】
而して上記第二実施形態の婦人用の体温バランス測定装置は、
図6に示すようにプローブ部5a,5bを膣B内に挿入して使用するもので、プローブ部5a,5bを左右配置にして使用する場合には、先端センサ部6a1,6b1及び中間センサ部6a2,6b2の計測値を前面表示部41aに表示するものである。
【0037】
前記の先端センサ部6a1,6b1部の計測値から子宮頚部の左右の体温バランス(卵巣の状態比較)を行うことができ、中間センサ部6a2,6b2の計測値から産道部分の左右温度バランスを知ることで出産時の強弱を想像できる。
【0038】
またプローブ部5a,5bを前後に配置して使用すると、先端センサ部6a1,6b1部の計測値から子宮頚部温度とS字状結腸温度の比較ができ、中間センサ部6a2,6b2の計測値から膀胱温度と直腸温度の対比を知ることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 本体部
11a,11b 計測値表示部
12 計測結果(判定結果)表示部
13a,13b 切換えスイッチ部
14a14b 切換え報知部
15 他部材連結部
2a,2b プローブ部
3a,3b センサ部
4 本体部
41a 前面表示部
41b 側面表示部
42a 前面スイッチ部
42b 側面スイッチ部
5a,5b プローブ部
6a1,6b1 先端センサ部
6a2,6b2 中間センサ部