(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6923223
(24)【登録日】2021年8月2日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】リフト機能を有する往復式水力発電機構
(51)【国際特許分類】
F03B 17/06 20060101AFI20210805BHJP
【FI】
F03B17/06
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-169074(P2019-169074)
(22)【出願日】2019年9月18日
(65)【公開番号】特開2020-186721(P2020-186721A)
(43)【公開日】2020年11月19日
【審査請求日】2019年9月18日
(31)【優先権主張番号】108116221
(32)【優先日】2019年5月10日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】519338049
【氏名又は名称】崑山科技大學
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】林水木
(72)【発明者】
【氏名】劉鑑徳
(72)【発明者】
【氏名】廖慶聰
(72)【発明者】
【氏名】黄維樂
(72)【発明者】
【氏名】王文榮
【審査官】
所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−169289(JP,A)
【文献】
特開2015−074971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1のスライドレールが設けられた、流体の流動する流路に架設するための固定フレームと、
前記スライドレール上に設置され、前記スライドレールに沿って横方向に直線往復移動でき、複数の回転軸が枢設されており、前記回転軸には流体に伸び入ることが可能な翼がそれぞれ設けられており、隣り合う前記翼間はそれぞれ伝動ロッドに連結し枢設されている、往復移動フレームと、
前記回転軸に動力を伝達し、対応する前記翼の流体方向に対する角度を往復して調整し、前記回転軸は前記翼の頂端の一側に枢設され、前記伝動ロッドは前記翼の頂端の他側に枢設され、各前記翼の方向転換を同期できるステアリングモータであって、前記ステアリングモータによって1つの前記翼の角度を回転させると、他の前記翼も同期して方向転換し、前記翼が流体の流力を受けて推力を発生し、前記往復移動フレームを連動させ横方向に直線往復移動させる、ステアリングモータと、
前記往復移動フレームに接続して設置されるとともに、往復運動を回転運動に変換し、これにより連動されて発電する発電装置と、
を含み、
前記往復移動フレームにはさらに移動ユニットが固定設置されており、前記移動ユニットに自在継手が設けられ、前記自在継手にコネクティングロッドが枢設され、前記コネクティングロッドの前記自在継手に対する他端にクランクシャフトが枢設され、前記コネクティングロッドは前記クランクシャフトよりも長く、前記クランクシャフトは前記伝動ロッドに対応する一端でシャフトに垂直枢設され、前記シャフトは前記発電装置に接続して設置され、これにより、前記移動ユニットが直線往復移動するとき、前記コネクティングロッド及び前記クランクシャフトが連動して前記シャフト周りを回転するとともに、前記シャフトが連動して回転し、このようにシャフトの回転によって前記発電装置を駆動して発電を行い、
前記流路に架設するための2つのサポートユニットがさらに含まれ、各サポートユニットには軸管が設けられ、前記固定フレームの両端にはそれぞれスタンドフレームが直立設置され、前記スタンドフレームにはそれぞれ円柱軸が設置され、前記円柱軸はそれぞれ前記軸管内に対応して枢設されるとともに、前記自在継手及び前記シャフトと同一中心線上に位置し、前記固定フレームにはリフト支持フレームと、ロープが巻き上げ・巻き下ろし可能に設置された巻き上げ機構とが設けられ、前記ロープは滑車により支持され、前記ロープは前記巻き上げ機構の末端に対応して前記リフト支持フレームに固定設置され、これにより前記巻き上げ機構がロープによって前記固定フレームを巻き取ることができ、前記固定フレームが、円柱軸の枢動により力を受けて引き上げられ又は引き下げられる、リフト機能を有する往復式水力発電機構。
【請求項2】
前記固定フレームは、前端、後端及び頂端にそれぞれ前記スライドレールが設けられ、前記往復移動フレームは前記固定フレームの前端、頂端及び後端に対応して前フレーム、トップフレーム及び後フレームを有し、前記前フレーム、トップフレーム及び後フレームにはそれぞれスライドブロックが設けられ、これによりそれぞれが前記固定フレームの前端、後端及び頂端に位置するスライドレールに摺動設置される、請求項1に記載のリフト機能を有する往復式水力発電機構。
【請求項3】
前記往復移動フレームの頂端と底端にはそれぞれ、上支持フレーム及び下支持フレームが横向き設置され、前記上支持フレーム及び前記下支持フレームには、前記回転軸と対応する箇所にそれぞれ軸受が固定設置され、前記回転軸を対応する前記軸受に枢設するようになっている、請求項1に記載のリフト機能を有する往復式水力発電機構。
【請求項4】
前記シャフトの一端が変速装置Aに接続して設置され、前記変速装置Aの他端に弾み車が設けられ、前記弾み車の他端に変速装置Bが設けられ、前記発電装置には伝動軸が設けられ、前記変速装置Bは前記伝動軸に連接し、前記変速装置Aは、往復移動フレームの比較的低い往復速度N1を高回転速度のN2に変換するのに用いられ、さらに変速装置Bを利用して前記弾み車の回転速度N2を前記発電装置に対応する回転速度N3に変換し、前記弾み車は、全体の回転速度をより安定させるために用いられるとともに、前記発電装置の発電効率を高めることもできる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリフト機能を有する往復式水力発電機構。
【請求項5】
前記流路にさらにストッパブロックが設けられ、それは前記固定フレームの下流側に設置されて、前記翼が流動中の流体に伸び入る際に発生する水抵抗に抗するために用いられ、ストッパブロックにより前記固定フレームが固定できるようにしている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリフト機能を有する往復式水力発電機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフト機能を有する往復式水力発電機構を提供し、特に、翼が流体の流力を受け推力を発生することによって、往復移動フレームがこれに連動して直線運動し、ステアリングモータによって翼の角度を調整し、翼に対して逆方向の押戻し力を流体に発生させ、これにより往復循環する直線運動を発生させるとともに、自在継手によって動力を伝達しコネクティングロッド及びクランクシャフトを回転させ、この反復によって発電装置を駆動して発電するものを指す。
【背景技術】
【0002】
水力発電(Hydroelectric power)は、水頭の位置エネルギーを利用し、流動時に運動エネルギーを発生させ、これによって発電装置のタービンを回転させ、さらに発電機を連動させて発電するものである。
【0003】
大多数の水力発電は、いずれも大型水力発電に属し、大型水力発電に必要な発電条件には、水頭及び流量などの要素が含まれ、各条件に対応するため、用いられる水力発電機のタイプには、衝動水車、反動水車及び反力水車が含まれ、このうち、衝動水車にはPelton、Turgo及びCross Flowなどのタイプが含まれ、反動水車にはDeriaz、Vertical Francis及びHorizontal Francisのタイプが含まれ、反力水車にはPropeller軸流式水車、Kaplan軸流式水車、Bulbバルブ式水車及びS−type管流式水車が含まれる。
【0004】
台湾電力股▲ふん▼有限公司の小水力電力購入実施弁法においては、容量20,000キロワット未満に適用されると定義されており、国際連合及び世界銀行はさらに、小型(Small)水力発電を容量1,000キロワット以上10,000キロワット未満、ミニ型(Mini)水力発電を容量100キロワット以上1,000キロワット未満、マイクロ型(Micro)水力発電を容量100キロワット未満と定義しており、明らかにマイクロ水力の用水路は水頭が非常に小さく、従来式大型水力発電の、高水頭が必要であるとの条件には合わない。
【0005】
一方、従来式のマイクロ水力用水路発電機は、例えばわが国の「L.C.S.川流式水力発電システム」のようにいずれも回転式水車を採用しているが、これは低水頭及び低流量の緩勾配(3/1,000以上)用水路又は運河への装着に適しており、適用流速は1.5〜5メートル毎秒、適用流量は25〜30立方メートル毎秒であり、その設置費用は約10万/キロワットである。このために従来式のマイクロ水力用水路発電機は、その翼の方向が用水路の水流平面と平行であり、従って各翼と用水路との幅はほぼ等しく、このため用水路内に流木、土砂又はゴミなどの夾雑物があると、翼に挟まって翼の回転に影響したり、さらには翼の損壊に繋がる。この他、その翼が水面まで進んだとき、衝撃によって抵抗が生まれ、具体的に回転作用を発生する際には、翼が水中まで進んだときにしか作用が発揮されず、このため実際に電力を生むためのコストが高く、効果もよくない。さらに、従来式のマイクロ水力用水路発電機は非常に体積が大きく、運搬、架設及び保守がしづらく、このため増水期には直接に水面から除去できず、大型のクレーン車で吊り上げる必要があり、多くの時間、人手及び金銭的コストがかかる。またその架設コストも非常に高く、発電効果は低いため、実用性は依然として大きく制限される。
【0006】
これに鑑み、発明者らはマイクロ水力発電についてさらに鋭意研究するとともに開発及び改良を行い、好適な発明により上記の問題の解決を試み、かつ、試験と修正を繰り返した結果、本発明を世に問うものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、本発明の目的は上述の問題を解決することであり、この目的を達成するため、発明者らは、リフト機能を有する往復式水力発電機構を提供し、それは、
【0008】
固定フレームと、往復移動フレームと、少なくとも1の翼と、ステアリングモータと、発電装置とを含み、
【0009】
このうち、固定フレームは、流体の流動する流路に架設するためのものであり、少なくとも1のスライドレールが設けられており、
【0010】
往復移動フレームは、スライドレールに摺動設置され、スライドレールに沿って横方向に直線往復移動でき、複数の回転軸が枢設されており、回転軸には流体に伸び入ることが可能な翼がそれぞれ設けられており、翼はそれぞれ伝動ロッドに連結し枢設されており、隣接する翼とこれに対応して連接される伝動ロッド及び回転軸との間には、平行四辺形機構が形成されて各翼の方向転換を同期でき、当該ステアリングモータによって1つの翼の角度を回転させると、他の翼も同期して方向転換し、これにより翼が流体の流力を受けて推力を発生し、当該往復移動フレームを連動させて横方向に直線往復移動させる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1つの実施例において、当該往復移動フレームの頂端と底端にはそれぞれ、上支持フレーム及び下支持フレームが横向き設置され、当該上支持フレーム及び当該下支持フレームには、回転軸と対応する箇所にそれぞれ軸受が固定設置され、回転軸を対応する軸受に対応枢設するようになっている。
【0012】
往復移動フレームが固定フレームのスライドレールにおいて移動する構造については、1つの実施例において、固定フレームの前端、後端及び頂端にそれぞれスライドレールが設けられ、当該往復移動フレームは前フレーム、トップフレーム及び後フレームからなり、それぞれに1又は複数のスライドブロックが設けられ、これによりそれぞれがスライドレールに摺動設置される。
【0013】
発電装置は、当該往復移動フレームに接続して設置されるとともに、往復運動を回転運動に変換し、これにより当該発電装置が連動して発電する。往復移動フレームが直線運動を回転運動に変換することについては、往復移動フレームに移動ユニットが固定設置されており、当該移動ユニットに自在継手が設けられ、当該自在継手にコネクティングロッドが枢設され、当該コネクティングロッドの当該自在継手に対する他端にクランクシャフトが枢設され、当該コネクティングロッドは当該クランクシャフトよりも長く、当該クランクシャフトは当該伝動ロッドに対応する一端でシャフトに垂直枢設され、当該シャフトは当該発電装置に接続して設置され、これにより、当該移動ユニットが直線往復移動するとき、当該コネクティングロッド及び当該クランクシャフトが連動して当該シャフト周りを回転するとともに、当該シャフトが連動して回転し、このようにシャフトの回転によって当該発電装置を駆動して発電を行う。
【0014】
単一又は複数の翼間は、大きな隙間を有して小型夾雑物が通過しやすくすることができ、かつ、翼が方向転換機構により方向転換され、このことも夾雑物が翼に引っかかって推力が減少する現象を起こりにくくしている。
【0015】
大型夾雑物がある場合又は増水時に本案を引き上げ可能とするため、本発明には、当該流路に架設するための2つのサポートユニットがさらに含まれ、各サポートユニットには軸管が設けられ、当該固定フレームの両端にはそれぞれスタンドフレームが直立設置され、スタンドフレームにはそれぞれ円柱軸が設置され、円柱軸はそれぞれ軸管内に対応して枢設されるとともに、当該自在継手及び当該シャフトと同一中心線上に位置し、固定フレームを引き上げる際、自在継手によってコネクティングロッドとクランクシャフトも、干渉を受けずに引き上げることができ、本発明の異なる平面における往復運動及びリフト運動がすべて完了できる。リフト運動については、固定フレームにリフト支持フレームが設けられるとともに、巻き上げ機構を設置し、ロープが巻き上げ・巻き下ろし可能に設置され、当該ロープは滑車により支持され、当該ロープは当該巻き上げ機構の末端に対応して当該リフト支持フレームに固定設置され、これにより当該巻き上げ機構がロープによって当該固定フレーム、往復移動フレーム及び翼を巻き取ることができ、当該固定フレーム、往復移動フレーム及び翼が、円柱軸の枢動により力を受けて引き上げられ又は引き下げられ、これにより、水中に大型夾雑物がない場合、翼を引き下げ水中に潜らせて、上記のような往復式運動により発電を行うことができ、大型夾雑物がある場合は、巻き上げ機構により固定フレーム、往復移動フレーム及び翼をリフトすることにより、翼を持ち上げて水面から離して夾雑物を流すことができ、増水時にも前述のようにするだけで、翼を持ち上げて水面から離すことができ、水流に影響を与えたり本発明が損壊したりすることがない。
【0016】
以上に記載のリフト機能を有する往復式水力発電機構では、当該流路にさらにストッパブロックが設けられ、それは当該固定フレームの下流側に設置されて、翼が流動中の流体に伸び入る際に発生する水抵抗に抗するために用いられ、ストッパブロックにより当該固定フレームが固定できるようにし、これによって本発明の固定フレームを支持でき、翼が水流の衝撃を受けて水流方向の変位が発生するのを防止するとともに、翼が確実に水面と垂直になるようにし、さらに翼の方向転換角度の調節を利用して、大きな往復横移動力を受け往復移動フレームを動かし、発電効率を確保する。
【0017】
以上に記載のリフト機能を有する往復式水力発電機構では、当該シャフトの一端が変速装置Aに接続して設置され、当該変速装置Aの他端に弾み車が設けられ、当該弾み車の他端に変速装置Bが設けられ、当該発電装置には伝動軸が設けられ、当該変速装置Bは当該伝動軸に連接する。一般的に、往復移動フレームの移動頻度N1はあまり高くはできず、弾み車の回転速度N2が早いほど、その蓄積する運動エネルギーは大きくなり、システムがより安定し、発電装置の定格回転速度N3も高くなるため、N2>N3>>N1であり、N2>>N1であるため、変速装置Aを設計して往復移動フレームの比較的低い往復速度N1を高回転速度のN2に変換するのに用い、さらに変速装置Bを利用して当該弾み車の回転速度N2を当該発電装置に対応する回転速度N3に変換する。動力源は往復式運動端であるため、まずエネルギーを弾み車に伝達してから、発電装置に伝達すると、弾み車の高速回転にはエネルギー吸収、エネルギー放出の安定作用があるため、発電装置の回転速度を安定させることができ、電力を安定的に出力する効果を達成する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】本発明の往復移動フレームを固定フレームに位置決めした立体概略図である。
【
図3】本発明を前面から見た使用状態の概略図である。
【
図4】本発明を前面から見た他の使用状態の概略図である。
【
図5】
図3の翼が第1推力位置にあり、右方向に移動しているときの使用状態の概略図である。
【
図6】
図4の翼が第1推力位置にあり、右方向に移動しているときの使用状態の概略図である。
【
図8】本発明の巻き上げ機構が往復移動フレーム及び翼をリフトするときの側面から見た使用状態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明者らの技術手段について、より深く本発明を理解し認めていただくよう、数種類の好適な実施例と図面を組み合わせて以下に詳細な説明を行う。
【0020】
まず
図1〜7を参照されたい。本発明はリフト機能を有する往復式水力発電機構であり、
【0021】
少なくとも1のスライドレール11が設けられた、流体の流動する流路Fに架設するための固定フレーム1と、
【0022】
スライドレール11上に設置され、スライドレール11に沿って横方向に直線往復移動でき、複数の回転軸21が枢設されており、回転軸21には流体に伸び入ることが可能な翼3がそれぞれ設けられており、翼3はそれぞれ伝動ロッド4に連結し枢設されている、往復移動フレーム2と、回転軸21に動力を伝達し、対応する翼3の流体方向の角度を往復して調整し、回転軸21は翼3の頂端の一側に枢設され、伝動ロッド4は翼3の頂端の他側に枢設され、隣接する翼3とこれに対応して連接される伝動ロッド4及び回転軸21との間に、
図5、6に示すように、平行四辺形機構を形成させることができ、これにより各翼3の方向転換を同期させることができるステアリングモータ5であって、当該ステアリングモータ5によって1つの翼3の角度を回転させると、他の翼も同期して方向転換し、これにより翼3が流体の流力を受けて推力Fxを発生し、当該往復移動フレーム2を連動させ横方向に直線往復移動させる、ステアリングモータ5と、を含む。
【0023】
伝動ロッド4に翼3が枢設される構造については、1つの実施例において、翼3の頂端にそれぞれ位置決め軸31が設けられ、位置決め軸31は当該伝動ロッド4に対応しこれを貫くように組み付けられ、翼3全体の角度が同期回転するスムーズさと安定性のために、好適には、当該往復移動フレーム2の頂端と底端にそれぞれ上支持フレーム22及び下支持フレーム23が横向き設置され、当該上支持フレーム22及び当該下支持フレーム23には、回転軸21と対応する箇所にそれぞれ軸受221、231が固定設置され、回転軸21を対応する軸受221、231に対応枢設するようになっている。
【0024】
往復移動フレーム2が固定フレーム1のスライドレール11に摺動設置されることについては、具体的な実施例において、例えば
図2、7のように、当該固定フレーム1の前端、後端及び頂端にそれぞれスライドレール11が設けられ、
【0025】
当該往復移動フレーム2は、当該固定フレーム1の前端、頂端及び後端にそれぞれ対応して前フレーム24、トップフレーム25及び後フレーム26を有し、前フレーム24、トップフレーム25及び後フレーム26にはそれぞれ1又は複数のスライドブロック27が設けられ、これによりそれぞれが当該固定フレーム1の前端、頂端及び後端に位置するスライドレール11に摺動設置される。この配置によって、摩擦を減らすようにして移動でき、翼3が効果的に動力を伝達できるようになり、かつ、頂端に位置するスライドレール11及び対応するスライドブロック27は、往復移動フレーム2及び翼3全体の重量Wを支持するために用いることができ、前端及び後端のスライドレール11及びスライドブロック27は、水流から翼3に対する推力Fy及び発生したトルクを受けることができ、これによりすべての力が単一のスライドレール11に集中することを避けてスライドレール11及びスライドブロック27の使用年限を延長する。1つの実施例において、当該流路Fにさらにストッパブロック111が設置されてもよく、それは当該固定フレーム1の下流側に置かれ、翼3が流動中の流体に伸び入る際に発生する水抵抗に抗するために用いられ、ストッパブロック111により当該固定フレーム1が固定できるようにするとともに、これにより固定フレーム1の位置を限定し、翼3が流体に伸び入るときに水面と垂直になるようにして、これにより水流が効果的に翼3に作用することを確保する。ストッパブロック111の設置位置については、1つの実施例において、流路Fの両側の壁面に設置して固定フレーム1を止める機能を達成できる。
【0026】
また発電装置6は、往復移動フレーム2のリニア往復運動を円周回転運動に変換することにより発電装置6を発電させる。具体的に例を挙げると、当該往復移動フレーム2にはさらに移動ユニット28が固定設置されており、当該移動ユニット28に自在継手29が設けられ、かつ当該自在継手29にコネクティングロッド291が枢設され、当該コネクティングロッド291の当該自在継手29に対応する一端にクランクシャフト292が枢設され、当該コネクティングロッド291は当該クランクシャフト292よりも長く、当該クランクシャフト292は当該伝動ロッド4に対応する一端でシャフト293に垂直枢設され、当該シャフト293は当該発電装置6に接続して設置される。これにより、当該移動ユニット28が往復移動フレーム2に連動して直線往復移動するとき、自在継手29及びコネクティングロッド291の剛性により、自在継手29及びコネクティングロッド291の枢設点と、コネクティングロッド291及びクランクシャフト292の枢設点並びに長さの差異が組み合わさって、コネクティングロッド291及びクランクシャフト292が当該シャフト293周りを一方向に回転運動するとともに、これにより当該シャフト293が連動して回転し、シャフト293の回転によって当該発電装置6を駆動して発電させる。また1つの実施例において、当該発電装置6は3キロワットから100キロワットのマイクロ型発電機であってよい。
【0027】
このため、流路F内の水流が流速の運動エネルギー及び微傾斜度を有するとともに流動方向が単一であり、翼3が翼状に設置されることにより、ある回転角度において、水流の流力Fy及び横向き推力Fxを受けるようになり、ステアリングモータ5で翼3の角度を適宜に調整して大きな横向き移動推力Fx及び小さな抵抗Fyを発生させることができる。
【0028】
その具体的形状及び角度の設定は周知の技術に属し、本発明では翼3の具体的形状は限定しないためここでは贅述しない。推力は前述のとおり、また
図3、5に示すように、往復移動フレーム2が固定フレーム1の左に位置するときは、ステアリングモータ5が回転軸21を介して、対応する翼3を
図3、5に示す位置となるよう調整し、隣接する翼3及び伝動ロッド4は平行四辺形機構を形成し、このため翼3がステアリングモータ5の回転を受けて角度を変えると、伝動ロッド4は対応してその他の翼3を押し動かすことができ、すべての翼3の角度を同期させ、翼3が
図5に示す位置に方向転換したときは、流体の流力で発生する右移動の推力Fxを受けることになり、さらに往復移動フレーム2が連動して右へ移動する。
【0029】
また
図4及び
図6に示すように、往復移動フレーム2が固定フレーム1の最右端まで移動したときは、ステアリングモータ5を前述のように制御して、翼3を
図6に示す位置まで回転させることにより、翼3が流体の流力Fyで発生する左移動の推力Fxに対応するようにし、さらに往復移動フレーム2が連動して固定フレーム1の左端へ移動するようにでき、固定フレーム1の最左端まで移動したときは、ステアリングモータ5を制御して、再度翼3を
図3、5に示す位置まで回転させることにより、往復移動フレーム2を固定フレーム1の右へ移動させることができ、これを反復すれば、リニア往復運動の効果を達成することができる。
【0030】
ステアリングモータ5に対する制御方式は数多く存在するが、1つの実施例においては、往復移動フレーム2に位置センサ(図示せず)を装着してもよく、ステアリングモータ5はステッピングモータとしてもよく、これにより往復移動フレーム2の位置に基づいてステアリングモータ5に翼3を第1推力位置又は第2推力位置にあるよう調節させている。ただしこれは例示的な説明にすぎず、これには限定されない。
【0031】
また
図1、3、4に示すように、一般的には往復移動フレーム2の移動頻度N1はあまり高くできないため、これを移動させて効果的な発電ができるよう、シャフト293の一端が変速装置A7に接続して設置され、当該変速装置A7の他端に弾み車8が設けられ、当該弾み車の他端に変速装置B7’が設けられ、当該発電装置6には伝動軸61が設けられ、当該変速装置B7’は当該伝動軸61に連接する。往復移動フレーム2の移動頻度N1はあまり高くはできず、弾み車8の回転速度N2が早いほど、その蓄積する運動エネルギーは大きくなり、システムがより安定し、発電装置6の定格回転速度N3も高くなるため、N2>N3>>N1であり、N2>>N1であるため、変速装置A7を設計して往復移動フレーム2の比較的低い往復速度N1を高回転速度のN2に変換するのに用い、さらに変速装置B7’を利用して当該弾み車8の回転速度N2を当該発電装置6に対応する回転速度N3に変換する。動力源は往復式運動端であるため、まずエネルギーを弾み車8に伝達してから、発電装置6に伝達すると、弾み車8の高速回転にはエネルギー吸収、エネルギー放出の安定作用があるため、発電装置6の回転速度を安定させることができ、電力を安定的に出力する効果を達成する。
【0032】
1つの実施例において、本発明は付属書類1に示すように、当該発電装置6、弾み車8、変速装置A7及び変速装置B7’を橋梁に架設して本発明の支持に役立ててもよい。ただしこれは例示的な説明にすぎず、これには限定されない。
【0033】
このため、本発明を発電に適用できる範囲は非常に広く、水頭の高さ及び/又は流量が比較的小さい状況下での発電に適用可能であり、このため河川及び関連工場の汚水が排出される用水路に応用して発電の効果を達成でき、かつ本発明は全体の体積が小さく、設置及び保守が容易であるため、本発明全体の適用性を高めることができる。
【0034】
前述のように、本発明の翼3間は、相互が平行かつ間隔をあけて配列されているため、水流中に小型夾雑物があっても、翼3間の隙間を通過でき、翼3の角度を回転する際も、夾雑物が翼3に引っかかって推力が減少する現象を起こりにくくできる。水流中に大型夾雑物がある場合は、これを排除できる。このため1つの実施例においては、
図3、4及び
図7に示すように、本発明は、橋梁Bに架設するための2つのサポートユニット12を有し、各サポートユニット12には軸管121が設けられ、当該固定フレーム1の両端の頂端にはそれぞれスタンドフレーム13が直立設置され、スタンドフレーム13にはそれぞれ円柱軸14が水平設置され、円柱軸14はそれぞれ軸管121内に対応して枢設されるとともに、当該自在継手29及び当該シャフト293と同一中心線上に位置するが、特に説明が必要な点は、自在継手29、円柱軸14は
図3に示すように同一中心線上に設置でき、かつ自在継手29の設計と組み合わせて、コネクティングロッド291及びクランクシャフト293も干渉を受けずに引き上げることができ、本発明の異なる平面における往復運動及びリフト運動がすべて完了できるという点である。リフト運動については、固定フレーム1にリフト支持フレーム15が設けられるとともに、巻き上げ機構9を設置してロープ91の巻き上げ・巻き下ろしを行い、このため当該巻き上げ機構9はロープ91の巻き上げ・巻き下ろしのためのモータであってもよい。当該ロープ91は滑車92により支持され、滑車92は円柱軸14よりも高い位置に架設されるとともに、付属書類1〜3に示す橋梁に設置され、かつ当該ロープ91の当該巻き上げ機構9に対応する末端は当該リフト支持フレーム15に固定接続されている。このため、水道内に大型夾雑物があるとき、又は増水期には、
図8及び付属書類1〜3に示すように、巻き上げ機構9を手動又はリモートで制御してロープ91の巻き取りを行うことができ、ロープ91は滑車92を支点として、これにより往復移動フレーム2のリフト支持フレーム15を引き動かし、往復移動フレーム2並びにこれと組み付けられた翼3及び固定フレーム1が、往復移動フレーム2に連動し円柱軸14を枢動の支点として回転するように持ち上げられ、翼3を水面から出し、さらに大型夾雑物が水の流れとともに通過できるとともに、洪水の排水阻害を防止でき、また本発明が増水によって損壊することも回避でき、正常動作可能になったら、巻き上げ機構9によってロープ91を徐々に下ろし、固定フレーム1を引き下げて上述の往復運動を行って発電ができる。
【0035】
以上をまとめると、本発明が開示する技術手段は確かに既知等の問題を効果的に解決できるとともに、所定の目的及び効果を達成しており、かつ出願前に刊行物などにも見受けられず、いまだ公開使用されておらずかつ大きな進歩性があるため、特許法でいう発明に属することを確信し、ここに法に基づき出願するものである。どうか詳細に審査いただき発明特許を賜るよう、お願い申し上げる。
【0036】
以上の記載は、本発明の数種類の好適な実施例にすぎず、これにより本発明実施の範囲を限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲及び明細書の内容に基づいて行われる等価の変更及び修飾は、いずれも本発明特許がカバーする範囲内に属するものとすべきである。
【符号の説明】
【0037】
1 固定フレーム
11 スライドレール
111 ストッパブロック
12 サポートユニット
121 軸管
13 スタンドフレーム
14 円柱軸
15 リフト支持フレーム
2 往復移動フレーム
21 回転軸
22 上支持フレーム
221 軸受
23 下支持フレーム
231 軸受
24 前フレーム
25 トップフレーム
26 後フレーム
27 スライドブロック
28 移動ユニット
29 自在継手
291 コネクティングロッド
292 クランクシャフト
293 シャフト
3 翼
31 位置決め軸
4 伝動ロッド
5 ステアリングモータ
6 発電装置
61 伝動軸
7 変速装置A
7’ 変速装置B
8 弾み車
9 巻き上げ機構
91 ロープ
92 滑車
F 流路
B 橋梁