特許第6923263号(P6923263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6923263
(24)【登録日】2021年8月2日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】カードリーダ
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/08 20060101AFI20210805BHJP
   G06K 13/06 20060101ALI20210805BHJP
   G06K 13/063 20060101ALI20210805BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20210805BHJP
【FI】
   G06K7/08 040
   G06K7/08 090
   G06K13/06
   G06K13/063 C
   H05K5/03 A
   H05K5/03 C
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-83212(P2020-83212)
(22)【出願日】2020年5月11日
【審査請求日】2020年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】田邊 哲也
(72)【発明者】
【氏名】原島 克己
【審査官】 篠塚 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−216896(JP,A)
【文献】 特開2013−157046(JP,A)
【文献】 特開2011−170748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/00−7/14
G06K 13/00−13/30
G06K 19/00−19/18
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードを搬送して前記カードのカード情報を読み取る第1のカード案内溝を有するカードリーダ本体と、
可動カバーと、
を備え、
前記可動カバーは、
カード搬送方向に延在する軸を回動の中心軸として回動可能なように、前記第1のカード案内溝のカード搬送方向における端部が存在する前記カードリーダ本体の側面に取り付けられる回動部と、
前記回動部に固定的に取り付けられ、カードの搬送をサポートする第2のカード案内溝を有する案内部と、
前記回動部に取り付けられ、第1のカード案内溝を覆う形状を有し、前記回動の中心軸を基準に回動するカバー部と、
を備え、
前記第1のカード案内溝と前記第2のカード案内溝とが連続しない状態になる第1の位置と、前記第1のカード案内溝と前記第2のカード案内溝とが連続する状態になる第2の位置と、のいずれかの位置に移動可能であり、
前記可動カバーが第1の位置にある時、前記カバー部は前記第1のカード案内溝を覆う状態になり、前記可動カバーが第2の位置にある時、前記カバー部は前記第1のカード案内溝を覆わない状態になる、
カードリーダ。
【請求項2】
前記回動部は、
前記第1のカード案内溝のカード搬送方向における一端が存在する前記カードリーダ本体の第1の側面に取り付けられる第1の回動部と、前記第1のカード案内溝のカード搬送方向における他端が存在する前記カードリーダ本体の第2の側面に取り付けられる第2の回動部と、を備える、
請求項1に記載のカードリーダ。
【請求項3】
前記案内部は、
前記第1の回動部に取り付けられる第1の案内部と、前記第2の回動部に取り付けられる第2の案内部と、を有する
請求項2に記載のカードリーダ。
【請求項4】
前記回動部は、前記カバー部を前記回動部の前記回動の中心軸に対して垂直で遠くなる方向にスライド可能に取り付けるスライド溝をさらに有し、
前記カバー部は、前記カバー部の端部に形成され、前記スライド溝に挿入可能な凸部をさらに有し、
前記スライド溝に前記凸部が挿入された状態で、前記カバー部が前記スライド溝に沿ってスライド可能である、
請求項1から3のいずれか1項に記載のカードリーダ。
【請求項5】
前記カバー部は、
前記回動部に取り付けられる第1の辺と、
前記第1の辺に略直交する方向であって、前記第1の位置において前記第1のカード案内溝を覆う第2の辺と、を有する
請求項1から4のいずれか1項に記載のカードリーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気カードに記録されたカード情報を読み取り、携帯端末、決済端末、POS(Point Of Sales)端末等の他の装置との間で情報の入出力を行うために、磁気ヘッドを備えたカードリーダが用いられる。カードリーダの読み取り方法が手動式の場合、使用者は、カードを搬送する案内溝へカードの情報が記録された部分を挿入し、案内溝に沿ってカードをスライドさせて搬送する操作を行う。この際、カードの蛇行や傾きによる読み取りエラーを防ぐために、カードの搬送状態は一定の方向と角度を保つ必要がある。
【0003】
しかし、このようなカードリーダに対しては小型化が望まれるため、カードリーダ本体に十分なカードの搬送距離を備えることが困難である。そのため、カードリーダ本体に案内溝を延長するための部材を設けてカードの搬送距離を確保し、カードの読み取り精度を向上する方法が用いられる。さらに、カードリーダ本体には、防塵及び防滴を目的としたカバーが設けられる場合がある。
【0004】
特許文献1には、カードの情報が記録された端部を通す第1のカード案内溝を有すると共に、該第1のカード案内溝を通るカードの情報を読み取る読取り部(磁気ヘッド)を有するカードリーダ本体と、カードの端部を案内する第2のカード案内溝を有するカード案内部材を具備し、カードリーダ本体にカード案内部材を、その第2のカード案内溝が第1のカード案内溝に連続するように装着したカードリーダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−216896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のカードリーダでは、カード案内部材がカードリーダ本体に重ねて収納された不使用時の状態から、カードの搬送をサポートする使用時の状態に展開される。この展開の際には、カードリーダ周辺にカード案内部材が移動するための十分なスペースを確保する必要がある。その結果、カードリーダの設置スペースが大きくなるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、設置スペースの低減を図ることができるカードリーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態にかかるカードリーダは、カードを搬送してカードのカード情報を読み取る第1のカード案内溝を有するカードリーダ本体と、可動カバーと、を備え、可動カバーは、カード搬送方向に延在する軸を回動の中心軸として回動可能なように、第1のカード案内溝のカード搬送方向における端部が存在するカードリーダ本体の側面に取り付けられる回動部と、回動部に固定的に取り付けられ、カードの搬送をサポートする第2のカード案内溝を有する案内部と、回動部に取り付けられ、第1のカード案内溝を覆う形状を有し、回動の中心軸を基準に回動するカバー部と、を備え、第1のカード案内溝と第2のカード案内溝とが連続しない状態になる第1の位置と、第1のカード案内溝と第2のカード案内溝とが連続する状態になる第2の位置と、のいずれかの位置に移動可能であり、可動カバーが第1の位置にある時、カバー部は第1のカード案内溝を覆う状態になり、可動カバーが第2の位置にある時、カバー部は第1のカード案内溝を覆わない状態になる。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、設置スペースの低減を図ることができるカードリーダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1にかかるカードリーダ付き端末の不使用時及び使用時における斜視図である。
図2】実施の形態1にかかる可動カバーの分解斜視図である。
図3】実施の形態1にかかる可動カバーの展開時の態様を例示した図である。
図4図3の側面図である。
図5】実施の形態1にかかるカードリーダにおけるカード読み取り時の状態を示す図である。
図6】実施の形態2にかかるカードリーダ付き端末の使用時における上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。なお、図面において、XYZの3方向は互いに直交する方向である。以下の説明では、カード搬送方向(第1のカード案内溝の長手方向)をX方向とし、X方向に直交する方向であって第1のカード案内溝の幅方向をY方向とし、X方向及びY方向に対して直交する方向であって第1のカード案内溝の深さ方向をZ方向とする。
【0012】
図1及び図2を参照して、実施の形態1にかかるカードリーダの構成について説明する。図1は、実施の形態1にかかるカードリーダ付き端末の不使用時及び使用時における斜視図である。カードリーダ付き端末は、携帯型の端末であってもよいし、据置型の端末であってもよい。図1(a)には、カードリーダ不使用時の状態を示す。図1(b)にはカードリーダ使用時の状態を示す。
【0013】
まず、カードリーダ付き端末の構成について説明する。図1に示すカードリーダ付き端末1は、端末本体100と、カードリーダ200と、により構成される。端末本体100は、CPU(Central Processing Unit)等の電子部品を搭載した基板等を内蔵する筐体である。また、端末本体100の外面には、操作画面102と、操作ボタン(不図示)等を具備する操作部101と、を有する。
【0014】
カードリーダ200は、例えば、磁気カードの磁気ストライプから、手動式でデータを読み取る。カードリーダ200は、端末本体100と連続するように構成されている。カードリーダは、カードリーダ本体210と、可動カバー220と、を有する。図1(b)に示すように、カードリーダ本体210は、X方向に延在する第1のカード案内溝211と磁気ヘッド(不図示)を有する筐体である。第1のカード案内溝211は、カードを挿入してスライドさせるためのスリットであり、カードの搬送の際にこれをサポートする。カードが第1のカード案内溝211の中を走行すると、磁気ヘッドによって、カードのカード情報を格納した磁気ストライプから、カード情報の読み取りを行うことができる。
【0015】
可動カバー220は、回動部221a、221bと、案内部222と、カバー部223と、を有する。そこで、図2を参照して、可動カバー220の構成について説明する。図2は、実施の形態1にかかる可動カバーの分解斜視図である。図2に示す可動カバー220は、第1の回動部221aと、第2の回動部221bと、案内部222と、カバー部223と、を有する。
【0016】
第1の回動部221a及び第2の回動部221bは、それぞれが、基部221cと、回動軸221dと、スライド溝221eと、から構成される。第1の回動部221aは、前記構成に加えて、案内部222が固定的に取り付けられている。基部221cは、回動部221a、221bを構成する部品を支持するもので、本実施例では略五角形状を有する。回動軸221dは、基部221cの一方の側面からX方向に突出するように設けられた軸である。回動軸221dは、カードリーダ本体210の筐体側面に形成された軸孔に軸支されるものである。スライド溝221eは、図2のように配置された状態において、基部221cの回動軸221dが設けられた側面と反対側の側面に、Z方向に延びる略長方形状に形成された溝であり、X方向に開口している。第1の回動部221a及び第2の回動部221bは、それぞれの回動軸221dの先端が対向するようにカードリーダ本体210を挟んで対称的に配置される。
【0017】
また、第1の回動部221aには、案内部222が固定的に取り付けられている。案内部222は、第2のカード案内溝222cと、取付部222dと、を有する。第2のカード案内溝222cは、カードを挿入してスライドさせるためのスリットであり、カードの搬送の際にこれをサポートする。図2のように配置された状態において、第2のカード案内溝222cは、Z方向を基準としてY方向に、例えば80度の角度をなす方向に開口している。取付部222dは、案内部222と第1の回動部221aとを接続して固定するものである。図2のように配置された状態において、取付部222dは、スライド溝221eが形成された面の下端部分に支持される。これにより、案内部222は、図中において基部221cの下面側に固定される。そして、案内部222は、第1の回動部221aがカードリーダ本体210に軸支されて回動する時に、第1の回動部221aの回動を妨げないように配置される必要がある。
【0018】
カバー部223は、第1の辺223aと、第2の辺223bと、を有する。カバー部223は、例えばコの字形状である。第1の辺223aは、Z方向に延びる略長方形状を有する面である。第2の辺223bは、第1の辺223aに略直交する方向に、第1の辺223aの端部(図中において上端)からX方向に延びる略長方形状を有する面である。また、図中において、カバー部223の端部である第1の辺223aの内面の下端には、スライド溝221eに挿入可能なX方向に突出する凸部223cが形成されている。凸部223cは、スライド溝221e内をZ方向に移動できるように、スライド溝221eよりも小さい形状である。
【0019】
図1に示すカードリーダ本体210の筐体側面には軸孔(不図示)が形成されている。筐体側面とは、第1のカード案内溝211のX方向における端部が存在するカードリーダ本体210の両側面を意味する。当該両側面のうち、第1のカード案内溝211の一端が存在し、図面において右側にある側面を第1の側面とし、第1のカード案内溝211の他端が存在し、図面において左側にある側面を第2の側面とする。図1に示すように、当該軸孔へ回動軸221dを挿入することにより、カードリーダ本体210に可動カバー220を取り付けることができる。なお、カードリーダ本体210の両側面の軸孔の中心は、X方向において一致している。
【0020】
可動カバー220のカードリーダ本体210への取り付けは、以下のようにして行う。まず、第1の回動部221a及び第2の回動部221bを、カードリーダ本体210の両側面の軸孔へ、それぞれの回動軸221dを挿入して取り付ける。その後、カバー部223の2つの第1の辺223aを、それぞれ外側方向に押し広げて、それぞれの凸部223cを、第1の回動部221a及び第2の回動部221bのスライド溝221eに挿入した後、元に戻す。このようにして、可動カバー220をカードリーダ本体210への取り付けることができる。なお、カバー部223は、例えば合成樹脂のような可撓性を有する材料により構成される。凸部223cがスライド溝221eに挿入された状態で、凸部223cがスライド溝221eに沿ってZ方向に移動することにより、カバー部223は第1の回動部221a及び第2の回動部221bに対してスライドする。
【0021】
本実施例では、第1の回動部221aが有する回動軸221dを第1の側面に取り付け、第2の回動部221bが有する回動軸221dを第2の側面に取り付ける。可動カバー220は、カードリーダ本体210に取り付けられた状態で、回動軸221dを回動の中心軸として回動可能である。つまり、カード搬送方向(X方向)に延在する軸を回動の中心軸として回動可能である。
【0022】
そのため、可動カバー220は、図1(a)に示すカードリーダ不使用時の状態になる第1の位置と、図1(b)に示すカードリーダ使用時の状態になる第2の位置と、のいずれかの位置に回動することにより移動可能である。
【0023】
ここで、カードリーダ不使用時の状態とは、図1(a)に示すように、カードリーダ200は、第1のカード案内溝211と第2のカード案内溝222cとが連続しない状態になるとともに、カバー部223が第1のカード案内溝211を覆う状態を意味する。すなわち、可動カバー220が第1の位置にある時、第2のカード案内溝222cは、Z方向を基準としてY方向に80度の角度をなす方向に開口する。
【0024】
一方、カードリーダ使用時の状態とは、図1(b)に示すように、カードリーダ200は、第1のカード案内溝211と第2のカード案内溝222cとが連続する状態になるとともに、カバー部223が展開して第1のカード案内溝211を覆わない状態を意味する。すなわち、可動カバー220が第2の位置にある時、第2のカード案内溝222cは、第1のカード案内溝211と同じ方向のZ方向に開口するとともに、第1のカード案内溝211が露出する。
【0025】
次に、図3及び図4を参照して、可動カバー220の展開時のスライドを伴う回動について説明する。図3は、実施の形態1にかかる可動カバーの展開時の態様について例示した図である。図4は、図3の側面図である。図3(a)及び(c)並びに図4(a)及び(c)は、それぞれ図1(a)及び(b)に示したカードリーダ200の状態と同様の図である。
【0026】
可動カバー220は、図3(a)及び図4(a)に示すカードリーダ不使用時の状態である第1の位置から引き上げられると、凸部223cがスライド溝221eに沿って移動する。これにより、カバー部223がカードリーダ本体210から離れるZ方向に引き上げられる。図3(b)及び図4(b)は、カバー部223を引き上げた時のカードリーダ200の状態を示す。そして、可動カバー220は、図3(b)及び図4(b)の状態から、回動軸221dを回動の中心軸として回動し、図3(c)及び図4(c)に示すカードリーダ使用時の状態になる第2の位置に移動する。
【0027】
可動カバー220を引き上げると、カバー部223とカードリーダ本体210とが干渉することなく、可動カバー220がスムーズに回動することができる。また、可動カバー220は回動するため、カバー部223は、回動部の回動の中心軸に対して垂直で遠くなる方向にスライド可能である。このようなカバー部223のスライドを伴う回動により、カードリーダ不使用時において、可動カバー220をコンパクトに収納できる。
【0028】
本実施形態では、図4(a)に示すカードリーダ不使用時の状態において、第2のカード案内溝222cは、Z方向を基準としてY方向に80度の角度をなす方向に開口するように配置されている。そして、カードリーダは、図4(b)に示す状態を経て、図中において、可動カバー220を、回動部の回動軸を中心軸として右方向に80度回動すると、図4(c)に示すように、第2のカード案内溝222cがZ方向に開口し、第1のカード案内溝211と第2のカード案内溝222cとが連続するように配置される。
【0029】
ここで、可動カバー220の回動を所定の角度で停止するために、カードリーダ本体210の筐体側面に、図4に示すような回動規制部212を設けることが考えられる。回動規制部212は、当該筐体側面の両側に設けられる。回動規制部212は、可動カバー220が第2の位置に配置されるように、所定の角度を回動した場合に、基部の当接面221sが回動規制部の当接面212sに当接することにより、可動カバー220の回動を止める突起である。したがって、図4(a)に示すカードリーダ不使用時において、基部の当接面221s及び回動規制部の当接面212sは80度の角度をなすように、基部221c及び回動規制部212が配置される。
【0030】
なお、このような可動カバー220の位置決めの方法は、可動カバー220の回動を所定の角度で止めることができる構成であればこれに限らない。さらに、可動カバー220が回動する所定の角度は、任意の角度を用いることができ、例えば80度前後の角度であってもよく、90度であってもよい。カードリーダ不使用時には、カバー部223が第1のカード案内溝211を覆い、カードリーダ使用時には、カードの搬送を妨げないように、各部品が配置されればよい。また、各部品は回動角度に応じた形状のものを用いればよい。
【0031】
続いて、図5を参照して、カードリーダ使用時におけるカードの読み取り操作について説明する。図5は、実施の形態1にかかるカードリーダにおけるカード読み取り時の状態を示す図である。本実施形態では、図5に示すように、磁気ストライプC1を有するカードCの読み取り操作を例として説明する。また、図5に示すカードリーダ200は、可動カバー220が第2の位置にあるカードリーダ使用時の状態である。
【0032】
図5(a)は、カード読み取り操作の前半部分を示す。図5(a)に示すように、カード読み取りの開始時には、カードCが図中の左側から第1の案内溝に挿入された後、カードCは第1のカード案内溝211によりガイドされた状態で、第2の案内溝に向かって(図中の右方向)にZ方向に搬送される。カードCの搬送が進むと、磁気ストライプC1がカードリーダ本体210に搭載された磁気ヘッドを通過するため、カードリーダ200はカード情報を読み取ることができる。
【0033】
図5(b)は、カード読み取り操作の後半部分を示す。図5(b)に示すように、カードCは第2のカード案内溝222cに進入し、第1のカード案内溝211及び第2のカード案内溝222cによりガイドされる。その後、カードCはカードリーダ200から排出され、カードCの搬送が終了する。カードCの搬送中、カードCは、第1の案内溝と第2の案内溝の少なくとも一方によりガイドされた状態を維持することができる。そのため、カード読み取り時におけるカードCの蛇行や傾きを防ぎ、カードCの読み取りエラーを抑制することができる。
【0034】
以上、実施の形態1にかかるカードリーダ200によれば、カードリーダ不使用時には、可動カバー220が第1のカード案内溝211を覆うとともに、案内部222を収納できるため、カード情報を読み取る部分(磁気ヘッド)の防塵及び防滴が可能である。さらに、カードリーダ使用時には、第1のカード案内溝211と第2のカード案内溝222cとが連続することにより、カード搬送路長を延長することができ、カードCの読み取りエラーを抑制することができる。この時、可動カバー220は展開された状態にあるため、カードの搬送を妨げることはない。
【0035】
さらにまた、実施の形態1にかかるカードリーダ200によれば、可動カバー220がカードリーダ本体210に対して回動軸221dを回動の中心軸として回動可能に取り付けられているため、可動カバー220の展開及び収納に伴う移動範囲を縮小することができる。また、カバー部223がスライドすることができるため、よりコンパクトに収納できる。よって、カードリーダ200を設置するスペースの低減を図ることができる。
【0036】
実施の形態2
実施の形態2について、実施の形態1との相違点を中心に説明するが、本実施形態にかかるカードリーダは、実施の形態1にかかるカードリーダ200と備えられた案内部222の数を除き同様である。図6を参照して、実施の形態2にかかるカードリーダについて説明する。
【0037】
図6は、実施の形態2にかかるカードリーダ200を備えたカードリーダ付き端末1の使用時における上面図である。図6に示すカードリーダ付き端末1は、端末本体100と、カードリーダ200と、を有する。端末本体100の構成は実施の形態1と同様である。実施の形態2にかかるカードリーダ200は、実施の形態1にかかるカードリーダ200の構成に、さらに案内部を追加し、可動カバー220に対して2つの案内部を備える点で異なるものである。したがって、可動カバー220は、第1の回動部221aと、第2の回動部221bと、第1の案内部222aと、第2の案内部222bと、カバー部223とを有する。第1の案内部222aは、第1の回動部221aに固定的に取り付けられている。第2の案内部222bは第2の回動部221bに固定的に取り付けられている。第1の案内部222a及び第2の案内部222bは、対称的に配置され、それぞれが第1の回動部221aと第2の回動部221bとに取り付けられている。
【0038】
カードリーダ本体210に備えられた可動カバー220は、実施の形態1にかかる可動カバー220と同様に、展開時、スライドを伴う回動を行うことができる。すなわち、可動カバー220がカードリーダ不使用時の第1の位置にある場合には、カードリーダ200は、第1のカード案内溝211と第2のカード案内溝222cとが連続しない状態になるとともに、カバー部223が第1のカード案内溝211を覆う状態になる。可動カバー220がカードリーダ使用時の第2の位置にある場合には、カードリーダ200は、第1のカード案内溝211と第2のカード案内溝222cとが連続する状態となるとともに、カバー部223が展開されて第1のカード案内溝211を覆わない状態になる。そして、可動カバー220は、回動軸221dを回動の中心軸として、第1の位置と第2の位置とのいずれかの位置に回動することにより移動可能である。さらに、カバー部223は、回動部の回動の中心軸に対して垂直で遠くなる方向にスライド可能である。
【0039】
以上、実施の形態2にかかるカードリーダ200によれば、実施の形態1で説明した効果と同様の効果を奏するとともに、カードリーダ本体210に2つの案内部222a、222bを備えることにより、カードCの搬送をさらに安定して行うことができる。よって、カードCの読み取りエラーの抑制効果が高い。
【0040】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。上述した実施の形態では、カードリーダ200はカードリーダ付き端末1に搭載されるものとして説明したが、例えば、端末と接続するなどして、カードリーダ200を単体で用いてもよい。また、上述した実施の形態では、磁気カードを読み取る磁気カードリーダを例に説明したが、磁気カードリーダに限らず、ICカード等を読み取るカードリーダにも適用できる。
【0041】
また、上述した実施の形態では、カバー部223がコの字形状であるものを例に説明したが、カバー部223の形状はコの字形状に限らず、L字形状等であってもよい。カバー部223は、カード情報を読み取る部分の防塵及び防滴が可能であって、カードリーダ使用時にカードCの読み取りを妨げるものでなければ形状は限定されない。さらに、回動部を第1の回動部221aのみとする等、各構成部品を適宜増減してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 カードリーダ付き端末
100 端末本体
101 操作部
102 操作画面
200 カードリーダ
210 カードリーダ本体
211 第1のカード案内溝
212 回動規制部
212s 回動規制部の当接面
220 可動カバー
221a 第1の回動部
221b 第2の回動部
221c 基部
221d 回動軸
221e スライド溝
221s 基部の当接面
222 案内部
222a 第1の案内部
222b 第2の案内部
222c 第2のカード案内溝
222d 取付部
223 カバー部
223a 第1の辺
223b 第2の辺
223c 凸部
C カード
C1 磁気ストライプ
【要約】
【課題】設置スペースの低減を図ることができるカードリーダを提供すること。
【解決手段】カードリーダ200は、カードリーダ本体210と、可動カバー220と、を備える。可動カバー220は、カード搬送方向に延在する軸を回動の中心軸として回動可能なように、カードリーダ本体210に取り付けられる回動部と、第2のカード案内溝222cを有する案内部と、カバー部223と、を備える。可動カバー220は、第1のカード案内溝211と第2のカード案内溝222cとが連続しない状態になる第1の位置と、第1のカード案内溝211と第2のカード案内溝222cとが連続する状態になる第2の位置と、のいずれかの位置に移動可能であり、可動カバー220が第1の位置にある時、カバー部223は第1のカード案内溝211を覆う状態になり、可動カバー220が第2の位置にある時、カバー部223は第1のカード案内溝211を覆わない状態になる。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6