特許第6923448号(P6923448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6923448
(24)【登録日】2021年8月2日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】脊椎減圧装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/50 20060101AFI20210805BHJP
   A61F 2/68 20060101ALI20210805BHJP
【FI】
   A61F2/50
   A61F2/68
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-555690(P2017-555690)
(86)(22)【出願日】2016年4月8日
(65)【公表番号】特表2018-516640(P2018-516640A)
(43)【公表日】2018年6月28日
(86)【国際出願番号】FR2016050810
(87)【国際公開番号】WO2016170244
(87)【国際公開日】20161027
【審査請求日】2019年2月7日
(31)【優先権主張番号】1553515
(32)【優先日】2015年4月20日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517366541
【氏名又は名称】ジャペ・メディカル・デヴァイシーズ
【氏名又は名称原語表記】JAPET MEDICAL DEVICES
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ブラティック,ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】ノエル,アントワーヌ
【審査官】 小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0077982(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0345612(US,A1)
【文献】 米国特許第02886031(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/50
A61F 2/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの胴体を取り囲むように構成された脊椎減圧装置(10)であって、
前記胴体の第一の部分を取り囲むように構成された上方支持手段(12)と、
前記胴体の第二の部分を取り囲むように構成された下方支持手段(14)と、
前記上方支持手段(12)および前記下方支持手段(14)に取り付けられ、および前記下方支持手段および前記上方支持手段に分離力を及ぼして、前記下方支持手段を前記上方支持手段から離すように構成された伸長手段(16)と、を備え、
前記装置は、それが、前記ユーザの脊柱に対して所定の伸延力を維持するように前記伸長手段(16)を制御する電子制御システム(18)をさらに含み、
前記伸長手段(16)は、ユーザが前記装置を装着しているときに前記胴体の両側に伸びるように構成される一対のアクチュエータを二組備え、前記一対のアクチュエータが互いに対して傾斜しており、
前記一対のアクチュエータが、V字構成であり、前記V字構成の先端が下向きであることを特徴とする脊椎減圧装置(10)。
【請求項2】
前記電子制御システム(18)は、前記伸延力の大きさを変更する調整手段(60)を含むことを特徴とする請求項1に記載の脊椎減圧装置(10)。
【請求項3】
前記ユーザの動きに関連する少なくとも一つの特性を測定するように構成された測定手段(20)をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の脊椎減圧装置(10)。
【請求項4】
前記電子制御システム(18)は、前記測定手段(20)によって測定された測定値に応じて、前記伸長手段(16)によって及ぼされる前記分離力を変更するように構成されることを特徴とする請求項3に記載の脊椎減圧装置(10)。
【請求項5】
前記測定手段(20)によって測定された測定値を記録する記録手段(22)をさらに含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の脊椎減圧装置(10)。
【請求項6】
前記伸長手段(16)の前記アクチュエータが、リニアアクチュエータ(44、44’、46、46’)であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の脊椎減圧装置(10)。
【請求項7】
少なくとも一つの前記リニアアクチュエータ(44、44’、46、46’)は、前記上方支持手段(12)および/または前記下方支持手段(14)に対してヒンジで取り付けられることを特徴とする請求項6に記載の脊椎減圧装置(10)。
【請求項8】
前記電子制御システム(18)は、前記上方支持手段および/または前記下方支持手段に対する前記少なくとも一つのリニアアクチュエータ(44、44’、46、46’)の動作を制限するように構成されることを特徴とする請求項7に記載の脊椎減圧装置(10)。
【請求項9】
前記各アクチュエータが、前記脊柱の軸に対して傾斜している方向に伸びることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の脊椎減圧装置(10)。
【請求項10】
前記アクチュエータが、異なる値及び方向の分離力を及ぼすように構成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の脊椎減圧装置(10)。
【請求項11】
データプロセッサシステムとともに、請求項1〜10のいずれか一項に記載の脊椎減圧装置(10)を備える脊椎減圧システムであって、前記脊椎減圧装置(10)は、前記ユーザの動きに関連する少なくとも一つの特性を測定するように構成された測定手段(20)を含み、前記電子制御システム(18)が、前記測定手段(20)によって測定された測定値を前記プロセッサシステムに送信するように構成された無線送信手段(62)をさらに備える、脊椎減圧システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、脊椎減圧装置を提供する。それは、特に、例えば、椎間板ヘルニアによって引き起こされる背痛を患っている人達の痛みを和らげるのに用いられる。そのような痛みは、他にも原因があるが、椎骨が、椎骨を互いに分離している椎間板を過剰に圧迫するために生じる。
【0002】
痛みの緩和は、椎骨を引き離すように、伸延力を脊柱に及ぼすことによって得ることができる。「引き離し(decoaptation)」という用語は、互いに近づきすぎている二つの面の間の関節間の空間を増加させることを意味するのに用いられている。
【背景技術】
【0003】
伸延力をユーザの脊柱に及ぼすことができるようになっている脊椎減圧装置が知られている。
【0004】
実例として、一つのこのような装置は、欧州特許第0319224号明細書で提案されており、その明細書は、該ユーザの胴体の一部を取り囲むように構成された脊椎減圧装置について記載しており、該装置は、上方支持体と、下方支持体と、分離力を該下方支持体および該上方支持体に及ぼすように、該下方支持体および該上方支持体に取り付けられた二つの伸縮バーとを備えている。
【0005】
各伸縮バーは、該ユーザが該装置を装着している間に、医療関係者等の第三者が、該下方支持体および該上方支持体を互いに離し、それによって該ユーザの脊柱に伸延力を及ぼすことを可能にするのに適しているアクチュエータレバーを含む。
【0006】
それにもかかわらず、そのような装置は、かなり大きく、また特に、それは、服の下に装着することができない。加えて、それは、ユーザの可動性を著しく低下させるため、数分以上装着することができない。さらに、それは、第三者の助けを借りて装着して作動させる必要がある。また、例えばユーザによって行われる動きに応じて、該伸縮バーによって及ぼされる該分離力を適合させることができず、その結果、該伸延力は、例えば、該ユーザが動いている間に変化し、そのことが、該装置によってもたらされる緩和を制限する傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第0319224号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明の目的と概要
本発明は、特に、従来知られている脊椎減圧装置の上述した欠点を、脊柱に加えられる伸延力がユーザの位置や動きとは無関係に一定である状態で、該ユーザが一人で装着することができ、および目立たないようにおよび効果的に、一日中装着できる脊椎減圧装置を提案することによって解決するという目的を有する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、ユーザの胴体を取り囲むように構成された脊椎減圧装置によって達成され、該装置は、該胴体の第一の部分を取り囲むように構成された上方支持手段と、該胴体の第二の部分を取り囲むように構成された下方支持手段と、該上方支持手段および該下方支持手段に取り付けられ、および該下方支持手段および該上方支持手段に分離力を及ぼして、該下方支持手段を該上方支持手段から離そうとするように構成された伸長手段とを備え、さらに、該装置は、該ユーザの脊柱に対して所定の伸延力を維持するように該伸長手段を制御する電子制御システムを含む。
【0010】
実質的に垂直位置にいる該ユーザについて考察すると、該胴体の該第二の部分は、該胴体の該第一の部分の下に位置している。
【0011】
該電子制御システムの存在のため、該ユーザは、人の手を借りないで該装置を利用することができる。加えて、所定の伸延力を維持することにより、該装置の効果が向上し、特に、該ユーザの動きおよび/または位置に応じて、該ユーザがそれから恩恵を受ける痛みの緩和は変わらない。
【0012】
好ましくは、該伸長手段は、それらの伸長手段を、外部からの助けを要することなく作動させることができるバッテリ等の電源を含む。
【0013】
本発明を、以下に、単独で、または、先行の変形実施形態のうちの一つ以上と組合せて考察してもよい、一連の変形実施形態において記載する。
【0014】
好ましくは、該電子制御システムは、該伸延力の大きさを変更する調整手段を含む。
【0015】
この対策により、該装置、より具体的には、該ユーザの脊柱に対する該伸延力の大きさは、異なる形態を呈する可能性のある、または、例えば、異なる大きさの痛みを患う可能性のあるユーザの痛みの緩和に適応される。さらに、該調整手段の存在によって、該ユーザの状態において、該装置を変化させるように適合できるようになる。
【0016】
有利には、該脊椎減圧装置はさらに、該ユーザの動きに関連する少なくとも一つの特性を測定するように構成された測定手段を含む。
【0017】
有利には、該電子制御システムは、該伸長手段によって及ぼされる該分離力を、該測定手段によって行われた測定に応じて変更するように構成されている。
【0018】
したがって、該分離力の値および/または方向も、該伸延力の大きさが、例えば、該ユーザの動きとは無関係に一定になるように、該測定手段によって測定される該ユーザの特性に応じて変更することができる。
【0019】
有利には、該電子制御システムは、該測定手段によって行われる測定に応じて、該伸延力の大きさを変更するように構成されている。
【0020】
したがって、該調整手段は、該ユーザの可動性または位置に応じて、該伸延力の大きさを変更するように構成されていると理解することができる。
【0021】
好ましくは、該脊椎減圧装置はさらに、該測定手段によって測定された測定値を記録する記録手段を含む。
【0022】
したがって、該記録手段は、例えば、該ユーザの背痛を生じさせる、または、背痛の一因となる可能性のある挙動を識別するために、該ユーザが該装置を装着している間の該ユーザの動きおよび位置の一部またはすべてを記憶するように機能する。
【0023】
有利には、該伸長手段は、少なくとも一つのリニアアクチュエータを備えている。
【0024】
この対策により、該装置の利用時において、小型で経済的なこと、軽量性およびその結果としての快適性は損なわれない。さらに、値および方向の両方に関する、該伸長手段によって及ぼされる該分離力の精度、およびその結果としての、該ユーザが感じる痛みを緩和する際の該装置の効果も同様に向上される。
【0025】
有利には、少なくとも一つのリニアアクチュエータは、該上方支持手段および/または該下方支持手段に対してヒンジで取り付けられている。
【0026】
この対策により、該ユーザの動きの自由度は、本発明の装置を装着している間に損なわれることはない。したがって、該ユーザが、体の上方部を下方部に対して動かすこと、例として、上方部を曲げることは容易であり、そのような挙動は、従来技術の公知の装置の場合、不可能ではないにしても大幅に制限される。
【0027】
好ましくは、該電子制御システムは、該上方支持手段および/または該下方支持手段に対する前記少なくとも一つのリニアアクチュエータの動作を制限するように構成されている。
【0028】
この対策により、該ユーザが、該ユーザを傷付けたり、感じる痛みを増大するリスクを冒すそのような動きを行うことを抑えられる。
【0029】
有利には、該伸長手段は、該ユーザが該装置を装着した場合に、該胴体の両側に位置するように構成された少なくとも第一および第二のリニアアクチュエータを備えている。
【0030】
該ユーザの該胴体の両側における二つのリニアアクチュエータの存在は、該伸長手段によって及ぼされる該分離力を該下方支持手段および該上方支持手段にうまく配分させるように作用し、それによって、該ユーザの可動性を損なうことなく、該装置の効果が増大する。
【0031】
有利には、該伸長手段は、該ユーザが該装置を装着しているときに、該胴体の両側に伸びるように構成された二組のリニアアクチュエータを備えている。
【0032】
この対策により、該伸長手段によって及ぼされる該分離力は、依然として該ユーザの胴体に良好に配分される。さらに、それは、本発明の装置を装着している該ユーザに、より良好な可動性をもたらし、および該装置の効果をさらに増大させる。
【0033】
好ましくは、所定の組における該リニアアクチュエータは、本発明の脊椎減圧装置を装着している場合に、該ユーザの動きの自由度をさらに増すように、互いに対して傾斜しており、また、該電子制御システムの存在により、該ユーザに対して痛みとなるリスクがある特定の動作を該ユーザが行うことを防止することが可能になる。
【0034】
好ましくは、所定の組における該リニアアクチュエータは、V字構成である。
【0035】
有利には、所定の組における該リニアアクチュエータによって形成される該V字形状の先端は、下方に向いている。
【0036】
有利には、各リニアアクチュエータは、該脊柱の軸に対して傾斜している方向に伸びる。
【0037】
好ましくは、該伸長手段の該リニアアクチュエータは、異なる値および方向の分離力を及ぼすように構成されている。
【0038】
この対策は、本発明の装置の効果を高めるように、該伸延力を該脊柱にうまく配分できるようになっている。
【0039】
有利には、該上方支持手段および該下方支持手段は、該ユーザの脊柱の腰髄の上方部位および下方部位をそれぞれ取り囲むように構成されている。
【0040】
好ましくは、該上方支持手段および該下方支持手段は、それらが取り囲む胴体部位の周りで調整されるように構成されている。
【0041】
有利には、該上方支持手段および該下方支持手段は、該装置が、異なるユーザの形態に適合するように構成された調整ベルトを含む。
【0042】
有利には、該上方支持手段および該下方支持手段は、該装置がそれによって該ユーザの胴体に固定される安定性を向上させるように、およびその結果として、該ユーザの脊柱に加える該伸延力の位置決めおよび大きさに関する精度を向上させるように、実質的に円錐形になっている。
【0043】
また、本発明は、本発明の脊椎減圧装置とデータプロセッサシステムとを備える脊椎減圧システムを提供し、該脊椎減圧装置の該電子制御システムは、該測定手段によって測定された測定値を該プロセッサシステムへ送信するように構成された無線送信手段をさらに備えている。
【0044】
この対策により、該システムは、該伸延力の大きさ等の、該装置の利用の状態に関連する指示を調整するために、該ユーザと医療関係者等の第三者との間でデータをやり取りできるように構成されている。
【0045】
好ましくは、該無線送信手段は、該伸長手段に関連するデータを該データプロセッサシステムへ送信するように構成され、該データは、該分離力の値および/または方向の変動を含んでいてもよい。
【0046】
有利には、該無線送信手段は、該記録手段によって記録されたデータを該プロセッサシステムへ送信するように構成されている。
【0047】
この対策により、該プロセッサシステムは、本発明の装置の長期間の利用に関するデータを処理することができる。
【0048】
有利には、該プロセッサシステムは、該電子制御システムの該無線送信手段によって送信された該データを記憶するように構成された記憶装置を含む。
【0049】
したがって、該装置とのデータの連続するやり取りの間に、第三者は、例えば、適用されているパラメータの変化の有効性を評価するために、受信したデータを比較することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1図1は、後方から見た、本発明の脊椎減圧装置の実施例を示す略図である。
図2図2は、前方から見た、本発明の脊椎減圧装置の実施例を示す略図である。
図3図3は、本発明の装置の部分分解略図である。
図4図4は、本発明の脊椎減圧システムを示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的な実施例として示されている好適な実施形態に関する以下の説明を読み、および以下の添付図面を参照すれば、より明確かつより完全に明らかになる。
【0052】
発明の詳細な説明
図1図3に示す実施形態において、本発明の脊椎減圧装置10は、上方支持手段12と、下方支持手段14と、以下の説明において、より詳細に説明されている、該上方支持手段12および該下方支持手段14の両方に取り付けられている伸長手段16とを備え、該伸長手段16は、分離力を該下方支持手段14および該上方支持手段12に及ぼして、該下方支持手段14を該上方支持手段12から離すように構成されている。
【0053】
該脊椎減圧装置10は、非限定的実施例として、該上方支持手段12に取り付けられている電子制御システム18も含んでいる。
【0054】
また、該装置10は、以下に、より詳細に記載されている測定手段20および記録手段22も含んでいる。
【0055】
該上方支持手段12および該下方支持手段14は、非限定的実施例として、該上方支持手段12および該下方支持手段14を、該ユーザの形態にフィットするように適合させて構成した弾性テープ32、34によってまとめて接続されている様々な布地部24、26、28、30を含んでいる。
【0056】
さらに、該上方支持手段12および該下方支持手段14は、巻締め手段36、38、具体的には、該装置をユーザに装着させることを容易にする留め具ストラップを呈している。
【0057】
特に、図1および図2は、ユーザが装着した該装置10を示し、該ユーザの輪郭が一点鎖線で表されている。
【0058】
こうして、該上方支持手段12は、ユーザの胴体の第一の部位を取り囲むように構成されたベルトの形態を呈し、非限定的実施例として、該上方支持手段12は、該ユーザの胴の中央部分を取り囲むように構成されている。
【0059】
また、該下方支持手段14も、該ユーザの胴体の第二の部位を、および非限定的実施例として、該ユーザの腹部のベルトの部分を取り囲むように構成されたベルトの形態になっている。
【0060】
したがって、該上方支持手段12および該下方支持手段14が、該ユーザの脊柱の部分を、および非限定的実施例として、該脊柱の腰髄を取り囲むように構成されていることが理解される。
【0061】
非限定的実施例として、該下方支持手段14および該上方支持手段12は、非アレルギー特性を呈する材料で形成され、例として、それらは、該脊椎減圧装置10を、該ユーザの形態により良好に適応させることができるように、および該支持手段12、14と該ユーザの胴体との間の協働を改善するために、熱成形フォームで被覆してもよい。
【0062】
非限定的実施例として、該上方支持手段12および該下方支持手段14は、該下方支持手段14および該上方支持手段12と、該ユーザの胴体との協働をさらに改善するように構成されている円錐形状である。
【0063】
いくつかの図面に示されているように、該伸長手段16は、伸張アクチュエータから成る第一および第二の組40、42を備え、該第一および第二の組40、42は、該装置10を該ユーザが装着した場合に、該胴体の両側に位置するように構成されている。
【0064】
非限定的実施例として、該組40及び該組42のそれぞれは、第一および第二のリニアアクチュエータ44、44’、46、46’を備えている。非限定的実施例として、さまざまな該リニアアクチュエータ44、44’、46、46’は電気アクチュエータであり、すなわち、本発明の範囲を越えることなく、他の任意の種類のリニアアクチュエータ、例えば、油圧アクチュエータ等を考案することが必然的に可能であろう。
【0065】
これらのアクチュエータの各々は、長手方向および第一および第二の相互に対向する端部を呈し、すなわち、特に図1および図2に示されているように、各リニアアクチュエータの該端部の一方は、該上方支持手段12に取り付けられており、その他方は、該下方支持手段14に取り付けられている。
【0066】
非限定的実施例として、該リニアアクチュエータ44、44’、46、46’は、それらの端部の各々に取り付けられ、およびさまざまな該リニアアクチュエータが、該上方支持手段12および該下方支持手段14に対してヒンジで取り付けられるように構成されたボールジョイントを含んでいる。
【0067】
さまざまな図面に示されているように、該リニアアクチュエータは、該上方支持手段12および該下方支持手段14に形成された、より具体的には、それらの布地部分24、26、28および30に形成されたポケットによって取り付けられており、さまざまな該リニアアクチュエータの該端部は、前記ポケットに収容され、すなわち、本発明の範囲を越えることなく、リニアアクチュエータを該支持手段12、14に取り付ける何らかの他の手段を考案することは必然的に可能であろう。
【0068】
該伸長手段16は、非限定的実施例として、該上方支持手段12および該下方支持手段14の後方部に取り付けられたバッテリ50も含んでいる。
【0069】
「後方」部という用語は、該装置10を装着しているときに、該ユーザの背中の部分を覆うように構成されている、該脊椎減圧装置10の部分を意味するのに用いられている。
【0070】
該バッテリ50は、該リニアアクチュエータを作動させるように構成され、すなわち、本発明の範囲を越えることなく、外部からの助けを要することなく、該リニアアクチュエータを作動させることができるようになっている他の何らかの電源を考案することが可能である。
【0071】
該リニアアクチュエータは、分離力を該上方支持手段12および該下方支持手段14に及ぼして、そのような分離力の作用を働かせた状態で、該下方支持手段14を該上方支持手段12から離すことにより、該上方支持手段12および該下方支持手段14が、該ユーザの胴体の部分に固定される結果として、伸延力を該ユーザの脊柱に加えるように構成されている。
【0072】
該装置10の該電子制御システム18は、該ユーザの脊柱に対して、所定の伸延力を維持するように、該伸長手段16を制御するように構成されている。
【0073】
非限定的実施例として、該電子制御システム18は、該リニアアクチュエータ44、44’、46、46’によって及ぼされる該分離力の値および/または方向を制御するように働く電子基板を備えている。
【0074】
換言すると、該装置10の該電子制御システム18は、該リニアアクチュエータ44、44’、46、46’が、該下方支持手段および該上方支持手段に及ぼす該分離力を調整するために該伸長手段16を制御するように構成され、「調整」という用語は、該分離力の値を変えること、および/または前記分離力が印加される方向を変えることを意味するのに用いられている。
【0075】
該測定手段20は、該ユーザの動き、例えば、該ユーザの位置、体全体の動き、または、該体の異なる部位の間の相対的な動きに関連する少なくとも一つの特性を測定するように構成されており、非限定的実施例として、該測定手段20は、加速度計、ジャイロ、または、該ユーザの異なる部位の相対位置を検出するように機能する他の何らかのセンサを含んでいる。
【0076】
また、該電子制御システム18も、該測定手段20によって測定された測定値に応じて、該伸長手段16の該リニアアクチュエータによって及ぼされる該分離力の値および/または方向を変更するように構成されている。
【0077】
例えば、該ユーザが、歩行運動を行っている場合、該ユーザの脊柱に印加されるべき該伸延力の大きさは変化し、すなわち、該電子制御システム18は、該伸延力の大きさの変動を考慮するために、さまざまな該リニアアクチュエータ44、44’、46、46’によって及ぼされる該分離力の値および/または方向を調整できる。
【0078】
該記録手段22は、該測定手段20によって測定された測定値を記録するように構成されている。例として、このような測定値の記録は、医療関係者が、該ユーザの脊柱に印加すべき該伸延力の大きさを修正変更するのに、該装置の装着に関する指示を変更修正するのに、または実際には、感じる痛みを増大するというリスクおよび/または回復を遅らせるというリスクを冒す動きおよび/または位置に関するアドバイスを該ユーザに与えることを可能にするのに特に有用である。
【0079】
さまざまな図面に示されているように、リニアアクチュエータから成る該第一および第二の組40、42は、それぞれV字状になっており、各該リニアアクチュエータの長手方向は、該脊柱の軸に対して傾斜している。
【0080】
特に、この構成は、該装置10を装着している該ユーザの動きの自由度を妨げることなく、該リニアアクチュエータによって及ぼされる力をうまく配分するように機能する。
【0081】
したがって、該脊椎減圧装置10は、該ユーザの可動性を損なうことなく、該ユーザの脊柱に対して、所定の伸延力を維持できることが理解される。したがって、本発明の該脊椎減圧装置10は、該ユーザの背中の部位を支持するように機能する外骨格を構成している。
【0082】
また、該装置10の該電子制御システム18も、該ユーザが、損傷または痛みの増加につながる可能性のある動きを行うことができないように、該上方支持手段12および該下方支持手段14に対する、該リニアアクチュエータ44、44’、46、46’の動作を制限するように構成されている。
【0083】
本発明の該装置10は、該ユーザの普段着の下に、ほとんど目立たないように装着できるようにコンパクトになっている。
【0084】
さらに、それは、かなりの動きの自由度を該ユーザに与え、また特に、上述したバッテリ50により、数時間にわたって、それを装着できるようにするバッテリ寿命を呈している。
【0085】
該装置10のバッテリ寿命をさらに延ばすために、および本発明の範囲を越えることなく、セミアクティブアクチュエータ、例えば、ばねと協働するリニアアクチュエータを備えている伸長手段16を考案することが可能であり、この場合、そのようなセミアクティブアクチュエータは、該ユーザの特定の動きによって放出されたエネルギの一部またはすべてを蓄積すること、および該ユーザによって行われる他の動作中に、該蓄積されたエネルギを再利用することを可能にする。
【0086】
該電子制御システム18は、該伸長手段16の該分離力によって、該ユーザの脊柱に加えられる該伸延力の大きさを変更する調整手段60も含んでいる。したがって、該調整手段60は、医療関係者が、該装置10の調整を、該ユーザの形態および痛覚に合わせることを可能にするように構成されている。
【0087】
さらに、該電子制御システム18は、特に、該測定手段20によって測定された測定値を送信することを可能にする無線送信手段62を含んでいる。
【0088】
したがって、本発明の範囲を越えることなく、該装置10が使用されている間に、該伸長手段16によって及ぼされる該分離力の値の変動を伝えるように構成されている無線送信手段62を考案することが可能である。
【0089】
また、本発明は、例えば、パーソナルコンピュータまたはスマートフォン等のコンピュータ装置にインストールされたデータプロセッサシステム80とともに、本発明の脊椎減圧装置10を含む脊椎減圧システム100にも関し、該データプロセッサシステム80は、該電子制御システム18の該無線送信手段62によって送信された該データを受信するように構成されている。
【0090】
したがって、該脊椎減圧システムは、該ユーザが該装置10を取り外すことなく、またさらには、該装置を第三者に近づけることなく、該第三者、例えば、医療関係者が、該ユーザのデータにアクセスすることを可能にしている。
【0091】
非限定的実施例として、該無線送信手段62は、該データプロセッサシステム80に、該伸長手段16に関連する該データ、例えば、該分離力の値および/または方向の変動を送信するように構成されている。
【0092】
また、該無線送信手段62は、該記録手段22によって記録されているデータを該データプロセッサシステム80に送信するように構成され、該脊椎減圧装置10内の該電子制御システム18の該無線送信手段62によって送信される該データを記憶するように構成されている、該データプロセッサシステム80内の記憶装置を考案することも可能である。
【0093】
上記の説明は、例として示されており、そのため、本発明を限定するものではない。
【0094】
具体的には、本発明は、特に腰痛に適応されているが、他の何らかの種類の背痛、例えば、頸部痛または胸部痛を和らげることに適応させることもできる。
【0095】
さらに、本発明の該伸長手段の該リニアアクチュエータの数、構造および構成は、本発明を決して限定するものではない。
図1
図2
図3
図4