(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建物の開口部に設けられた建具であり、前記開口部の周縁に設けられた枠体と、前記開口部の一部である通行開口部であり、通行対象を通行させるための通行開口部を開閉する通行開閉体と、前記開口部の他の一部である収納開口部であり、当該収納開口部よりも当該建具の背面側に設けられた収納部に収納対象を収納可能にするための収納開口部を開閉する収納開閉体と、を備えた建具であって、
前記枠体は、前記開口部の上側に設けられた上横枠又は前記開口部の下側に設けられた下横枠を備え、
前記収納部は、
前記収納対象を収納するための前記収納部本体と、
前記収納部本体の側部のうち、前記開口部に直交し且つ前記通行開口部と前記収納開口部との境界に沿った側部に設けられた取出口であって、前記収納部本体に収納された前記収納対象を取り出すための取出口を開閉する取出開閉体と、を備え、
前記枠体によって囲繞された空間のうち前記通行開口部側の部分において、前記取出開閉体によって前記取出口を全開した状態において、前記取出開閉体を収容するための取出収容空間部を設け、
前記取出開閉体の少なくとも一部が前記上横枠又は前記下横枠の部分のうち前記通行開口部側の部分内に収まるように、前記取出収容空間部を形成した、
建具。
前記枠体によって囲繞された空間のうち前記通行開口部側の部分において、前記通行開閉体によって前記通行開口部を全閉した状態において、前記通行開閉体を収容するための通行収容空間部を設け、
前記取出収容空間部を、前記通行開閉体が前記通行収容空間部に収容されている際の当該通行開閉体の位置又は当該通行開閉体における当該建具の背面側に設けられた付属部品の位置のいずれかよりも当該建具の背面側に位置するように設けた、
請求項1に記載の建具。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る建具の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0012】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、建物の開口部に設けられた建具であり、開口部の周縁に設けられた枠体と、通行開口部を開閉する通行開閉体と、収納開口部を開閉する収納開閉体と、を備えた建具に関するものである。
【0013】
ここで、「建物」とは、その具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、戸建て住宅、アパートやマンションの如き集合住宅、オフィスビル、商業施設、及び公共施設等を含む概念である。また、「建物の開口部」とは、建物の躯体の一部分(例えば、壁等)において出入口や窓を設置するために形成された開口部であり、実施の形態では、通行開口部及び収納開口部を有する。このうち、「通行開口部」は、開口部の一部であり、通行対象(例えば、人、動物等)を通行させるための開口部である。また、「収納開口部」は、開口部の他の一部であり、当該収納開口部よりも建具の背面側に設けられた後述の収納部に収納対象(例えば、宅配物、宅配物以外の荷物等)を収納可能にするための開口部である。また、「建具」とは、開口部に設置される構造体であって、開口部の出入りを抑制又は制限するための構造体を意味する。また、建具の取り付け位置や用途は任意であるが、例えば玄関に設置される「玄関用建具」、勝手口や通用口に設置される「勝手口用建具」、あるいは建物内部に設置される「室内用建具」等を含む。また、建具の開閉構造は任意であり、例えば、通行開閉体及び収納開閉体の各々が片開式の開閉体である建具、通行開閉体及び収納開閉体の各々が片引き式の開閉体である建具、通行開閉体又は収納開閉体のいずれか一方が片開式であり、通行開閉体又は収納開閉体のいずれか他方が片引き式の開閉体である建具等を含む概念である。また「通行開閉体の状態」とは、例えば、通行開閉体によって通行開口部を全閉した「通行全閉状態」と、通行開閉体によって通行開口部を全開した「通行全開状態」と、通行開口部の一部を開いて通行開口部の他の一部を閉じている「通行半開状態」とを含む概念である。また「収納開閉体の状態」とは、例えば、収納開閉体によって収納開口部を全閉した「収納全閉状態」と、収納開閉体によって収納開口部を全開した「収納全開状態」と、収納開口部の一部を開いて収納開口部の他の一部を閉じている「収容半開状態」とを含む概念である。なお、通行開閉体及び収納開閉体によって開口部を全閉した状態を「全閉状態」と称し、通行開閉体及び収納開閉体によって開口部を全開した状態を「全開状態」と称する。以下、実施の形態では、建具が、集合住宅の如き建物の玄関に設けられた建具であって、通行開閉体及び収納開閉体の各々が片開式の開閉体である建具について説明する。
【0014】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0015】
(構成)
最初に、実施の形態に係る建具の構成について説明する。以下の説明では、
図1のX方向を建具の左右方向(−X方向を建具の左方向、+X方向を建具の右方向)、
図2のY方向を建具の前後方向(+Y方向を建具の前方向(建具の正面側の方向又は建物の屋外側の方向)、−Y方向を建具の後方向(建具の背面側の方向又は建物の屋内側の方向))、
図1のZ方向を建具の上下方向(+Z方向を建具の上方向、−Z方向を建具の下方向)と称する。
図1に示すように、この建具1は、概略的に、枠体10、通行開閉体20、収納開閉体30、通行ヒンジ部40、収納ヒンジ部50、及び収納部60を備えている。ただし、建具1に関する特記しない構成については、従来と同様であるものとして説明を省略する。なお、建具1を構成する各種部材同士の取付方法(又は接続方法)については任意であるが、例えば、取付側の部材又は取付相手側の部材に形成された取付孔(例えば、リベット孔、ネジ孔、ビス孔等)を介して、取付側の部材を取付相手側の部材に対して固定具(例えば、リベット、取付ネジ、ビス等)、溶接、接着剤、両面テープ等によって取り付ける(又は接続する)方法が採用されている。
【0016】
また、通行開口部2a、収納開口部2b、及び後述の
図3の取出口4の具体的な大きさについては任意であるが、実施の形態では、以下の通りとなる。すなわち、幅については、収納開口部2bの幅(左右方向の長さ)を取出口4の幅(前後方向の長さ)よりも長く設定しており、通行開口部2aの幅(左右方向の長さ)を収納開口部2bの幅よりも長く設定している(すなわち、取出口4の幅<収納開口部2bの幅<通行開口部2aの幅)。また、高さについては、収納開口部2bの高さ(上下方向の長さ)を取出口4の高さ(上下方向の長さ)よりも長く設定しており、通行開口部2aの高さ(上下方向の長さ)を収納開口部2bの高さと同一に設定している(すなわち、取出口4の高さ<収納開口部2bの高さ=通行開口部2aの高さ)。また、収納開口部2b及び通行開口部2aの各々の高さを開口部2の高さ(上下方向の長さ)と略同一に設定している(すなわち、収納開口部2b及び通行開口部2aは、開口部2の上下方向の略全長にわたって形成されている)。なお、通行開口部2a、収納開口部2b、及び取出口4の各々に対応する開閉体(すなわち、後述の通行開閉体20、後述の収納開閉体30、及び後述の取出開閉体130)の具体的な大きさについても、上述した通行開口部2a、収納開口部2b、及び
図3の取出口4の大きさと略同様に設定している。
【0017】
(構成−枠体)
まず、枠体10の構成について説明する。この枠体10は、開口部2(具体的には、通行開口部2a(
図1では開口部2の右側に位置する)と、左右方向の長さが通行開口部2aの左右方向の長さよりも短い収納開口部2b(
図1では開口部2の左側に位置する)とを有する開口部2)の周縁に設けられるものであり、
図1に示すように、左右一対の縦枠11、12、上下一対の横枠13、14、及び方立15を備えている。これら縦枠11、12、及び横枠13、14は、例えば鋼製(一例として、スチール製又はステンレス製)の長尺状体にて形成されており、それぞれ開口部2の周縁における建物の躯体3に公知の方法で直接的に固定され、相互に組み合わせられることで全体として正面矩形環状の枠を構成する。また、方立15は、通行開口部2aと収納開口部2bとを仕切るものであり、例えば鋼製の長尺状体にて形成されており、左右一対の縦枠11、12の相互間に設けられており、上下一対の横枠13、14に対して公知の方法で直接的に固定されている。以下では、必要に応じて、左右一対の縦枠11、12のうち、通行開閉体20側(
図1では、右側)に位置する縦枠11を「通行縦枠11」と称し、収納開閉体30側(
図1では、左側)に位置する縦枠12を「収納縦枠12」と称する。また、上下一対の横枠13、14のうち、左右一対の縦枠11、12の各々の上端部と接続された横枠13を「上横枠13」と称し、左右一対の縦枠11、12の各々の下端部と接続された横枠14(下横枠)を「くつずり横枠14」と称する。
【0018】
また、この方立15には、通行デッドボルト受け、収納デッドボルト受け、通行ラッチ受け、収納ラッチ受け、及びドアガード受けが設けられている(いずれも図示省略)。このうち、通行デッドボルト受けは、通行全閉状態において、通行開閉体20に設けられた後述の通行デッドボルトを受けるための通行デッドボルト受容手段であり、後述の通行デッドボルトと対応する位置に配置されている。また、収納デッドボルト受けは、収納全閉状態において、通行開閉体20に設けられた後述の収納デッドボルトを受けるための収納デッドボルト受容手段であり、後述の収納デッドボルトと対応する位置に配置されている。また、通行ラッチ受けは、通行開閉体20に設けられた後述の通行ラッチを受けるための通行ラッチ受容手段であり、後述の通行ラッチと対応する位置に配置されている。また、収納ラッチ受けは、収納開閉体30に設けられた後述の収納ラッチを受けるための収納ラッチ受容手段であり、後述の収納ラッチと対応する位置に配置されている。ドアガード受けは、通行開閉体20に設けられた後述のドアガード26を受けるためのドアガード受容手段であり、後述のドアガード26と対応する位置に配置されている。なお、この枠体10の構成の詳細については、後述する。
【0019】
(構成−通行開閉体)
次に、通行開閉体20の構成について説明する。通行開閉体20は、通行開口部2aを開閉するためのものである。この通行開閉体20は、例えば防火仕様の開閉体等にて形成されており、具体的には、
図1、
図2、
図4に示すように、通行開閉体枠21、屋外側通行表面材22、及び屋内側通行表面材23を備えている。
【0020】
このうち、通行開閉体枠21は、通行開閉体20の剛性を主として担うものであり、例えば、鋼製の長尺な力骨21aを複数用いて構成されている。また、屋外側通行表面材22及び屋内側通行表面材23は、通行開閉体枠21を覆うためのものであり、例えば公知の化粧板(一例として、鋼製の化粧板等)等を用いて構成され、通行開閉体枠21を覆うように設けられている。なお、この通行開閉体20の構成の詳細については、後述する。
【0021】
(構成−収納開閉体)
図1に戻り、次に、収納開閉体30の構成について説明する。収納開閉体30は、収納開口部2bを開閉するためのものである。この収納開閉体30は、例えば、防火仕様の開閉体等にて形成されており、具体的には、
図1、
図4に示すように、収納開閉体枠31、屋外側収納表面材32、及び屋内側収納表面材33を備えている。
【0022】
このうち、収納開閉体枠31は、収納開閉体30の剛性を主として担うものであり、例えば、鋼製の長尺な力骨31aを複数用いて構成されている。また、屋外側収納表面材32及び屋内側収納表面材33は、収納開閉体枠31を覆うためのものであり、例えば公知の化粧板(一例として、鋼製の化粧板等)等を用いて構成され、収納開閉体枠31を覆うように設けられている。なお、この収納開閉体30の構成の詳細については、後述する。
【0023】
(構成−通行ヒンジ部)
図1に戻り、次に、通行ヒンジ部40の構成について説明する。通行ヒンジ部40は、通行開閉体20を通行縦枠11に対して回動自在(具体的には、通行開口部2aから建物の屋外側に至る範囲で回動自在)に軸支するためのものである。この通行ヒンジ部40は、公知の旗蝶番等を用いて構成されており、
図1に示すように、通行開閉体20の戸尻側の端部(
図1では、右端部)において、相互に間隔を隔てて上下方向に沿って複数並設されており、通行開閉体20及び通行縦枠11に対して固定具等によって取り付けられている。
【0024】
(構成−収納ヒンジ部)
次に、収納ヒンジ部50の構成について説明する。収納ヒンジ部50は、収納開閉体30を収納縦枠12に対して回動自在(具体的には、収納開口部2bから建物の屋外側に至る範囲で回動自在)に軸支するためのものである。この収納ヒンジ部50は、公知の旗蝶番等を用いて構成されており、
図1に示すように、収納開閉体30の戸尻側の端部(
図1では、左端部)において、相互に間隔を隔てて上下方向に沿って複数並設されており、収納開閉体30及び収納縦枠12に対して固定具等によって取り付けられている。
【0025】
(構成−収納部)
次に、収納部60の構成について説明する。この収納部60は、収納対象を収納するための収納手段であり、
図1から
図4に示すように、収納部本体70、取出開閉体130、及び取出ヒンジ部140を備えている。
【0026】
(構成−収納部−収納部本体)
収納部本体70は、収納部60の基本構造体であり、且つ収納対象を収納するためのものであり、
図1から
図4に示すように、収納枠体80、側面パネル90、上蓋部91、棚パネル100、及び塞ぎパネル120を備えている。
【0027】
(構成−収納部−収納部本体−収納枠体)
収納枠体80は、収納部60の剛性を主として担うものであり、
図3、
図4に示すように、左右一対の縦枠材81、82及び前後一対の横枠材83、84を備えている。これら縦枠材81、82及び横枠材83、84は、例えば鋼製の長尺状体にて形成されており、
図3、
図4に示すように、これら縦枠材81、82は、枠体10よりも建物の屋内側(建具1の背面側)に設けられ、これら横枠材83、84は、方立15と後述する第1収納縦枠材81との相互間に設けられている。以下では、必要に応じて、左右一対の縦枠材81、82のうち、方立15の真後ろに位置する縦枠材81を「第1収納縦枠材81」と称し、収納縦枠12の真後ろに位置する縦枠材82を「第2収納縦枠材82」と称する。また、前後一対の横枠材83、84のうち、上横枠13における方立15に対応する部分から建物の屋内側(建具1の背面側)に向けて張り出すように設けられた横枠材83を「上収納横枠材83」と称し、くつずり横枠14における方立15に対応する部分から建物の屋内側(建具1の背面側)に向けて張り出すように設けられた横枠材84を「下収納横枠材84」と称する。
【0028】
また、この第1収納縦枠材81には、取出デッドボルト受け及び取出ラッチ受けが設けられている(いずれも図示省略)。このうち、取出デッドボルト受けは、後述の取出全閉状態において、取出開閉体130に設けられた後述の取出デッドボルトを受けるための取出デッドボルト受容手段であり、後述の取出デッドボルトと対応する位置に配置されている。また、取出ラッチ受けは、取出開閉体130に設けられた後述の取出ラッチを受けるための取出ラッチ受容手段であり、後述の取出ラッチと対応する位置に配置されている。なお、この収納枠体80の構成の詳細については、後述する。
【0029】
(構成−収納部−収納部本体−側面パネル)
図3に戻り、側面パネル90は、収納部60の各種側面を覆うための板材である。この側面パネル90は、例えば公知の収納部用の側面パネル(一例として、骨材が内包された鋼製の中空状のパネル)を用いて構成されており、
図3、
図4に示すように、収納部60の背面及び左面の各々を覆うように複数配置されており、収納枠体80に対して固定具等によって固定されている。
【0030】
(構成−収納部−収納部本体−上蓋部)
図3に戻り、上蓋部91は、収納部60の上面を覆うための板材である。この上蓋部91は、例えば公知の収納部用の上面パネル(一例として、鋼製のパネル)を用いて構成されており、
図3に示すように、収納部60の上面を覆うように配置されており、枠体10又は収納枠体80に対して固定具等によって固定されている。
【0031】
(構成−収納部−収納部本体−棚パネル)
図1に戻り、棚パネル100は、収納対象を載置するための板材であり、且つ収納部60の収納対象を収容する空間60a(以下、「収納空間60a」と称する)を仕切るための板材である。この棚パネル100は、例えば公知の収納部用の棚パネル(一例として、鋼製のパネル)を用いて構成されており、
図1、
図3に示すように、収納空間60aが複数の空間に仕切られるように複数枚設けられている。なお、複数の棚パネル100のうち、
図1に示すように最下段に位置する棚パネル100を「第1棚パネル101」と称し、
図1に示すように第1棚パネル101よりも上方に位置する棚パネル100を「第2棚パネル102」と称し、
図1に示すように第2棚パネル102よりも上方に位置する棚パネル100を「第3棚パネル103」と称し、
図1に示すように第3棚パネル103よりも上方に位置する棚パネル100を「第4棚パネル104」と称する。
【0032】
また、第1棚パネル101及び第4棚パネル104の設置方法については任意であるが、実施の形態では、
図1、
図7に示すように、第1棚パネル101及び第4棚パネル104の各々を収納空間60a内において略水平に配置し、収納縦枠12と方立15との相互間、及び第1収納縦枠材81と第2収納縦枠材82との相互間に設けられた
図7の棒状の係止体105(例えば公知の係止部材)に対して係止している。また、第2棚パネル102及び第3棚パネル103の設置方法については任意であるが、実施の形態では、
図1、
図4、
図7に示すように、第2棚パネル102及び第3棚パネル103の各々を収納空間60a内において略水平に配置し、且つ収納縦枠12と方立15との相互間に設けられた
図4の棒状の係止体105に対して着脱自在に係止していると共に、背面側の側面パネル90に対して
図4のヒンジ部106(例えば公知のヒンジ部材)を介して接続している。これにより、係止体105を取り外すことによって第2棚パネル102又は第3棚パネル103を左右方向に沿った回転軸を中心に回転自在(折り畳み自在)にできるので、例えば状況に応じて収納空間60aのうち第2棚パネル102又は第3棚パネル103によって仕切られる空間の大きさを調整できる。
【0033】
(構成−収納部−収納部本体−塞ぎパネル)
図1に戻り、塞ぎパネル120は、収納空間60aの一部を塞ぐことで当該一部から収納対象を収容できないようにするための板材である。この塞ぎパネル120は、例えば鋼製の矩形状の板材を用いて構成されており、
図1に示すように、収容部の前面のうち上横枠13から上側の側面パネル90に至る部分全体を略覆うように配置されており、
図7の内幕板121を介して収納縦枠12及び方立15に対して固定具等によって固定されている。
【0034】
(構成−収納部−取出開閉体)
取出開閉体130は、取出口4を開閉するためのものである。この取出開閉体130は、例えば1枚の開閉体(一例として、防火仕様の開閉体等)にて形成されており、具体的には、
図3、
図4に示すように、取出開閉体枠131、外側取出表面材132、及び内側取出表面材133を備えている。ここで、「取出口4」とは、収納部本体70の側部のうち、開口部2に直交し且つ通行開口部2aと収納開口部2bとの境界に沿った側部(
図4では、収納部本体70の右側部)に設けられた開口であって、収納部本体70に収納された収納対象を取り出すための開口を意味する。また、「取出開閉体130の状態」とは、例えば、取出開閉体130によって取出口4を全閉した「取出全閉状態」と、取出開閉体130によって取出口4を全開した「取出全開状態」と、取出口4の一部を開いて取出口4の他の一部を閉じている「取出半開状態」とを含む概念である。
【0035】
(構成−収納部−取出開閉体−取出開閉体枠)
取出開閉体枠131は、取出開閉体130の剛性を主として担うものであり、
図4、
図5に示すように、前後一対の縦力骨131a及び上下一対の横力骨131bを備えている。これら縦力骨131a及び横力骨131bは、例えば鋼製の長尺な力骨を用いて構成されており、これら縦力骨131a及び横力骨131bを組み合わせることによって、正面形状が略矩形環状となる枠を構成する。
【0036】
(構成−収納部−取出開閉体−外側取出表面材、内側取出表面材)
外側取出表面材132及び内側取出表面材133は、取出開閉体枠131を覆うためのものである。これら外側取出表面材132及び内側取出表面材133は、例えば公知の化粧板(一例として、鋼製の化粧板等)等を用いて構成され、取出開閉体枠131を覆うように設けられており、具体的には、
図4、
図5に示すように、取出開閉体枠131を収納空間60aの外側及び収納空間60aの内側から挟むように配置され、取出開閉体枠131に対して接着剤等によって固定されている。
【0037】
(構成−収納部−取出開閉体−その他の構成)
また、
図3に戻り、取出開閉体130の戸先側には、取出取手部134、取出施錠装置135、及び取出ラッチ(図示省略)が設けられている。このうち、取出取手部134は、ユーザが取出開閉体130の開閉操作を行うための取手であり、例えば公知の開き戸用の取手(例えば、非突出状の取手)を用いて構成されており、
図3に示すように、収納空間60aの外側及び収納空間60aの内側にそれぞれ配置されている。また、取出施錠装置135は、取出開閉体130を施錠するためのものであり、例えば公知の施錠装置(一例として、収納空間60aの外側からのみ施錠可能な施錠装置等)を用いて構成されている。また、取出ラッチは、取出施錠装置135による施錠の有無に関わらず、取出全閉状態の位置に取出開閉体130を維持するためのものであり、例えば公知の開き戸用のラッチ等を用いて構成されている。
【0038】
また、
図3に示すように、取出開閉体130の収納空間60aの内側の上方には、取出ドアクローザ136が設けられている。この取出ドアクローザ136は、取出開閉体130が開かれた場合に、取出開閉体130を安全な速度で自動的に閉じるためのものであると共に、取出開閉体130の回動状態が取出全開状態以上の状態になることを規制するドアクローザであり、例えば公知のドアクローザ等を用いて構成されており、取出開閉体130及び上収納横枠材83に対して接続されている。
【0039】
(構成−収納部−取出ヒンジ部)
取出ヒンジ部140は、取出開閉体130を方立15に対して回動自在(具体的には、取出口4から収納空間60aの外側に至る範囲で回動自在)に軸支するためのものである。この取出ヒンジ部140は、公知のピボットヒンジ等を用いて構成されており、
図4、
図5に示すように、取出開閉体130の戸尻側(
図4の前側)の上端側及び下端側にそれぞれ設けられており、取出ヒンジ部140の上方部分が上収納横枠材83に対して固定具等によって取り付けられ、且つ取出ヒンジ部140の下方部分が方立15に対して固定具等によって取り付けられている。
【0040】
(構成−枠体の構成の詳細)
次に、枠体10の構成の詳細について説明する。ただし、この枠体10は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。
【0041】
(構成−枠体の構成の詳細−通行縦枠)
まず、実施の形態では、
図3、
図4、
図8、
図9に示すように、枠体10の通行縦枠11は、通行枠材本体11a及び通行固定材11bを備えている。
【0042】
このうち、通行枠材本体11aは、通行縦枠11の基本構造体である。この通行枠材本体11aは、X−Y平面に沿った断面形状が左右方向の外側(
図9では、右側)に向けて開放された略コ字状となるように形成された中空状体であり、開口部2の上下方向の略全長にわたって形成されている。また、
図9に示すように、通行枠材本体11aには、通行凹部11cが設けられている。通行枠材本体11aは、通行開閉体20を収容しながら通行縦枠11と通行開閉体20との干渉を回避するための凹部(いわゆる相じゃくり構造である凹部)であり、通行枠材本体11aにおける通行開閉体20に対応する部分を左右方向の外側(
図9では、右側)に向けて窪ませることにより形成されている。また、
図4に示すように、通行凹部11cのうち建物の屋内側の部分(
図4では、後側部分)に気密凹部11dが設けられている。気密凹部11dは、
図4の気密材11eの一部を収容するためのものであり(なお、後述する他の気密凹部についても同様とする)、上記建物の屋内側の部分を建物の屋内側に向けて窪ませることにより形成されている。
【0043】
また、通行固定材11bは、通行枠材本体11aを建物の躯体3に対して固定すると共に、通行枠材本体11aを補強するためのものである。この通行固定材11bは、板状体にて形成されており、当該通行固定材11bの前後方向の長さが通行枠材本体11aのコ字状の開放端部における前後方向の長さと略同一(又はそれ以上の長さ)であり、当該通行固定材11bの上下方向の長さが通行枠材本体11aの上下方向の長さよりも短くなるように形成されている。また、
図3に示すように、この通行固定材11bは、通行枠材本体11aのコ字状の開放端部側(通行枠材本体11aの左右方向の外側の端部側)において、所定間隔を隔てて上下方向に沿って複数並設配置されており、通行枠材本体11a及び建物の躯体3に対して溶接等によって固定されている。
【0044】
(構成−枠体の構成の詳細−収納縦枠)
図2に戻り、また、実施の形態では、
図2、
図4、
図8、
図9に示すように、枠体10の収納縦枠12は、収納枠材本体12a及び収納固定材12bを備えている。なお、収納固定材12bは、通行固定材11bと略同一に構成されているので、以下では、その説明を省略する。
【0045】
このうち、収納枠材本体12aは、収納縦枠12の基本構造体であり、
図9に示すように、通行枠材本体11aと略同様に構成されている。また、
図9に示すように、収納枠材本体12aにおける収納開閉体30に対応する部分には左右方向の外側に向けて窪んだ収納凹部12c(いわゆる相じゃくり構造である凹部)が設けられているので、収納開閉体30を収容しながら収納枠材本体12aと収納開閉体30との干渉を回避することが可能な空間が形成されている。
【0046】
(構成−枠体の構成の詳細−方立)
図5に戻り、また、実施の形態では、
図5に示すように、枠体10の方立15は、X−Y平面に沿った断面形状が矩形環状となるように形成された中空状体であり、開口部2の上下方向の略全長にわたって形成されている。また、
図5、
図8から
図10に示すように、方立15には、第1方立凹部15a、第2方立凹部15b、及び第3方立凹部15cが設けられている。このうち、第1方立凹部15aは、通行開閉体20を収容しながら方立15と通行開閉体20との干渉を回避するための凹部(いわゆる相じゃくり構造である凹部)であり、方立15における通行開閉体20に対応する部分を左右方向の外側(
図5では、左側)に向けて窪ませることにより形成されている。また、
図5に示すように、第1方立凹部15aのうち建物の屋内側の部分(
図5では、後側部分)に気密凹部15dが設けられており、この気密凹部15dは、上記建物の屋内側の部分を建物の屋内側に向けて窪ませることにより形成されている。また、第2方立凹部15bは、収納開閉体30を収容しながら方立15と収納開閉体30との干渉を回避するための凹部(いわゆる相じゃくり構造である凹部)であり、方立15における収納開閉体30に対応する部分を左右方向の外側(
図5では、右側)に向けて窪ませることにより形成されている。また、第3方立凹部15cは、取出開閉体130を収容しながら方立15と取出開閉体130との干渉を回避するための凹部(いわゆる相じゃくり構造である凹部)であり、方立15における取出開閉体130に対応する部分を前後方向の外側(
図5では、前側)に向けて窪ませることにより形成されている。また、
図5に示すように、第3方立凹部15cのうち収納空間60a側の部分(
図5の左側部分)に気密凹部15fが設けられており、この気密凹部15fは、上記収納空間60a側の部分を収納空間60aの内側に向けて窪ませることにより形成されている。
【0047】
(構成−枠体の構成の詳細−上横枠)
図4に戻り、また、実施の形態では、
図4、
図6から
図10に示すように、枠体10の上横枠13は、上枠材本体13a及び上固定材13bを備えている。
【0048】
このうち、上枠材本体13aは、上横枠13の基本構造体である。この上枠材本体13aは、Y−Z平面に沿った断面形状が上下方向の外側(
図10では、上側)に向けて開放された略コ字状となるように形成された中空状体であり、開口部2の左右方向の略全長にわたって形成されている。また、
図10に示すように、上枠材本体13aには、第1上枠材凹部13cが設けられている。第1上枠材凹部13cは、通行開閉体20及び収納開閉体30を収容しながら上横枠13と通行開閉体20又は収納開閉体30との干渉を回避するための凹部(いわゆる相じゃくり構造である凹部)であり、上枠材本体13aにおける通行開閉体20及び収納開閉体30に対応する部分を上下方向の外側(
図10では、上側)に向けて窪ませることにより形成されている。また、
図10に示すように、第1上枠材凹部13cのうち通行開閉体20側であって建物の屋内側の部分に気密凹部13dが設けられており、この気密凹部13dは、上記建物の屋内側の部分を建物の屋内側に向けて窪ませることにより形成されている。
【0049】
また、上固定材13bは、上枠材本体13aを建物の躯体3に対して固定すると共に、上枠材本体13aを補強するためのものである。この上固定材13bは、板状体にて形成されており、当該上固定材13bの前後方向の長さが上枠材本体13aのコ字状の開放端部における前後方向の長さと略同一(又はそれ以上の長さ)であり、当該上固定材13bの左右方向の長さが上枠材本体13aの左右方向の長さよりも短くなるように形成されている。また、
図6、
図7に示すように、この上固定材13bは、上枠材本体13aのコ字状の開放端部側(上枠材本体13aの上下方向の外側の端部側)において、所定間隔を隔てて左右方向に沿って複数並設配置されており、上枠材本体13a及び建物の躯体3に対して溶接等によって固定されている。
【0050】
(構成−枠体の構成の詳細−くつずり横枠)
図6に戻り、また、実施の形態では、
図6から
図8、
図10に示すように、枠体10のくつずり横枠14は、上横枠13と略同様に構成されており(ただし、
図10に示すように、くつずり横枠14の前後方向の長さが上横枠13の前後方向の長さよりも短く設定されている)、くつずり枠材本体14a及びくつずり固定材14bを備えている。また、
図10に示すように、くつずり枠材本体14aには、くつずり枠材凹部14cが設けられている。くつずり枠材凹部14cは、通行開閉体20及び収納開閉体30を収容しながらくつずり横枠14と通行開閉体20又は収納開閉体30との干渉を回避するための凹部(いわゆる相じゃくり構造である凹部)であり、上記第1上枠材凹部13cと略同様に形成されている。また、
図10に示すように、くつずり枠材凹部14cのうち通行開閉体20側であって建物の屋内側の部分に気密凹部14dが設けられており、この気密凹部14dは、上記建物の屋内側の部分において建物の屋内側に向けて窪ませることにより形成されている。
【0051】
(構成−収納枠体の構成の詳細)
図4に戻り、次に、収納部60の収納枠体80の構成について説明する。ただし、この収納枠体80は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。
【0052】
(構成−収納枠体の構成の詳細−第1収納縦枠材)
まず、実施の形態では、
図4、
図6、
図9、
図10に示すように、収納枠体80の第1収納縦枠材81は、X−Y平面に沿った断面形状が矩形環状となるように形成された中空状体であり、開口部2の上下方向の略全長にわたって形成されている。また、
図9に示すように、第1収納縦枠材81には、収納凹部81aが設けられている。収納凹部81aは、取出開閉体130を収容しながら第1収納縦枠材81と取出開閉体130との干渉を回避するための凹部(いわゆる相じゃくり構造である凹部)であり、第1収納縦枠材81における取出開閉体130に対応する部分を前後方向の外側(
図9では、後側)に向けて窪ませることにより形成されている。また、
図9に示すように、収納凹部81aのうち取出開閉体130の収納空間60a側の部分に気密凹部81bが設けられており、この気密凹部81bは、上記収納空間60a側の部分において収納空間60aの内側に向けて窪ませることにより形成されている。
【0053】
(構成−収納枠体の構成の詳細−第2収納縦枠材)
図4に戻り、また、実施の形態では、
図4、
図9に示すように、収納枠体80の第2収納縦枠材82は、X−Y平面に沿った断面形状が矩形環状となるように形成された中空状体であり、開口部2の上下方向の略全長にわたって形成されている。
【0054】
(構成−収納枠体の構成の詳細−上収納横枠材)
図4に戻り、また、実施の形態では、
図4、
図6、
図9、
図10に示すように、収納枠体80の上収納横枠材83は、上収納枠材本体83a及び上収納固定材83bを備えている。
【0055】
このうち、上収納枠材本体83aは、上収納横枠材83の基本構造体である。この上収納枠材本体83aは、X−Z平面に沿った断面形状が上下方向の外側(
図10では、上側)に向けて開放された略コ字状となるように形成された中空状体であり、取出口4の前後方向の略全長にわたって形成されている。また、
図10に示すように、上収納枠材本体83aには、上収納凹部83cが設けられている。ここで、上収納凹部83cは、取出開閉体130を収容しながら上収納横枠材83と取出開閉体130との干渉を回避するための凹部(いわゆる相じゃくり構造である凹部)であり、上収納枠材本体83aにおける取出開閉体130に対応する部分を収納空間60aの内側(
図10では、奥側)に向けて窪ませることにより形成されている。また、上収納凹部83cのうち収納空間60aの内側部分に気密凹部(図示省略)が設けられており、この気密凹部は、上記収納空間60aの内側部分において収納空間60aの内側に向けて窪ませることにより形成されている。
【0056】
また、この上収納固定材83bは、
図9に示すように、上収納枠材本体83aのコ字状の開放端部側(上収納枠材本体83aの上下方向の外側の端部側)において、所定間隔を隔てて前後方向に沿って複数並設配置されており、上収納枠材本体83a及び建物の躯体3に対して溶接等によって固定されている。
【0057】
(構成−収納枠体の構成の詳細−下収納横枠材)
図6に戻り、また、実施の形態では、
図6、
図10に示すように、収納枠体80の下収納横枠材84は、上収納横枠材83と略同様に構成されており(ただし、
図10に示すように、下収納横枠材84の上下方向の長さが上収納横枠材83の上下方向の長さよりも長く設定されている)、下収納枠材本体84a及び下収納固定材(図示省略)を備えている。また、
図10に示すように、下収納枠材本体84aには、下収納凹部84bが設けられている。このうち、下収納凹部84bは、取出開閉体130を収容しながら下収納横枠材84と取出開閉体130との干渉を回避するための凹部(いわゆる相じゃくり構造である凹部)であり、下収納枠材本体84aにおける取出開閉体130に対応する部分を収納空間60aの内側(
図10では、奥側)に向けて窪ませることにより形成されている。また、下収納凹部84bのうち収納空間60aの内側部分に気密凹部(図示省略)が設けられており、この気密凹部は、上記収納空間60aの内側部分において収納空間60aの内側に向けて窪ませることにより形成されている。
【0058】
(構成−建具の外観構造)
図1に戻り、次に、建具1の外観構造について説明する。建物の屋外側(建具1の正面側)からの建具1の外観を向上させるための外観構造の特徴については、実施の形態では、以下に示す通りとなる。
【0059】
(構成−建具の外観構造−第1の特徴)
まず、外観構造の第1の特徴については、
図1、
図2に示すように、通行開閉体20及び収納開閉体30の各々は、1枚の開閉体で構成されている。
【0060】
ここで、通行開閉体20の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、以下の通りとなる。
【0061】
すなわち、通行開閉体枠21は、左右一対の縦力骨21bであって当該縦力骨21bの上下方向の長さが通行開閉体20の上下方向の長さと略同一である縦力骨21bと、上下一対の横力骨21cであって当該横力骨21cの左右方向の長さが通行開閉体20の左右方向の長さと略同一である横力骨21cとを備えている。そして、これら縦力骨21b及び横力骨21cを組み合わせることによって、正面形状が略矩形環状となる枠を構成する。また、屋外側通行表面材22及び屋内側通行表面材23の各々は、1枚の化粧板で形成されており、
図4に示すように、通行開閉体枠21を建物の屋外側及び建物の屋内側から挟むように配置され、通行開閉体枠21に対して接着剤等によって固定されている。
【0062】
また、この場合において、通行開閉体20のその他の構成については任意であるが、実施の形態では、
図1、
図2に示すように、通行開閉体20の戸先側に通行取手部24、通行施錠装置25、及び通行ラッチ(図示省略)が設けられている。なお、通行取手部24は取出取手部134と略同一に構成されていると共に(ただし、
図4に示すように、公知の突出状の取手によって形成されている)、通行ラッチは取出ラッチと略同一に構成されているので、以下では、これらの説明を省略する。このうち、通行施錠装置25は、通行開閉体20を施錠するための施錠装置であり、例えば公知の施錠装置(一例として、建物の屋外側及び屋内側から施錠可能な施錠装置等)を用いて構成されている。また、
図2に示すように、通行開閉体20における建物の屋内側には、ドアガード26及び通行ドアクローザ27が設けられている。このうち、ドアガード26は、通行開閉体20の開度を一定以下に制限するためのものであり、例えば公知の開き戸用のドアガード等を用いて構成されている。また、通行ドアクローザ27は、取出ドアクローザ136と略同一に構成され、通行開閉体20及び上横枠13に対して接続されている。
【0063】
また、収納開閉体30の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、以下の通りとなる。
【0064】
すなわち、収納開閉体枠31は、左右一対の縦力骨31bであって当該縦力骨31bの上下方向の長さが収納開閉体30の上下方向の長さと略同一である縦力骨31bと、上下一対の横力骨31cであって当該横力骨31cの左右方向の長さが収納開閉体30の左右方向の長さと略同一である横力骨31cとを備えている。そして、これら縦力骨31b及び横力骨31cを組み合わせることによって、正面形状が略矩形環状となる枠を構成する。また、屋外側収納表面材32及び屋内側収納表面材33の各々は、1枚の化粧板で形成されており、
図4に示すように、収納開閉体枠31を建物の屋外側及び建物の屋内側から挟むように配置され、収納開閉体枠31に対して接着剤等によって固定されている。
【0065】
また、この場合において、収納開閉体30のその他の構成については任意であるが、実施の形態では、
図1に示すように、収納開閉体30の戸先側には、収納取手部34、収納施錠装置35、及び収納ラッチ(図示省略)が設けられている。なお、収納取手部34は取出取手部134と略同一に構成されていると共に、収納ラッチは取出ラッチと略同一に構成されているので、以下では、これらの説明を省略する。このうち、収納施錠装置35は、収納開閉体30を施錠するためのものであり、例えば公知の施錠装置(一例として、建物の屋外側からのみ施錠可能な施錠装置等)を用いて構成されている。また、
図1に示すように、収納開閉体30における建物の屋内側には、収納ドアクローザ36が設けられており、この収納ドアクローザ36は、取出ドアクローザ136と略同一に構成され、収納開閉体30及び後述する第4棚パネル104に対して接続されている。
【0066】
このような第1の特徴により、通行開閉体20又は収納開閉体30の少なくともいずれか1つが複数枚の開閉体である場合に比べて、全閉状態において建物の屋外側(建具1の正面側)から見て収納開閉体30の各開閉体同士の境界線、あるいは収納開閉体30の各開閉体と収納部60との境界線が外部に露出することを回避でき、建具1の意匠性を向上させることが可能となる。
【0067】
(構成−建具の外観構造−第2の特徴)
まず、外観構造の第2の特徴については、全閉状態において、通行開閉体20又は収納開閉体30によって方立15の側面のうち建具1の正面側の側面15g(以下、「正面側側面15g」と称する)の少なくとも一部が覆われるように、通行開閉体20、収納開閉体30、及び方立15が構成されている。具体的には、
図5に示すように、通行開閉体20及び収納開閉体30によって正面側側面15gが半分以上(例えば、3分の2程度)覆われるように、通行開閉体20、収納開閉体30、及び方立15が構成されている。なお、「正面側側面15g」とは、実施の形態では、方立15における建物の屋外側の側面の部分のうち、第1方立凹部15a及び第2方立凹部15bに対応する部分以外の部分として説明する。
【0068】
ここで、方立15の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、
図5に示すように、全閉状態において方立15が通行開閉体20及び収納開閉体30よりも若干建物の屋内側(建具1の背面側)に位置するように設けられている。
【0069】
また、通行開閉体20の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、
図5に示すように、通行開閉体20の屋外側通行表面材22に通行召し合わせ部28が形成されている。通行召し合わせ部28は、全閉状態及び通行全閉状態において、正面側側面15gの一部を覆うものであり、
図5に示すように、屋外側通行表面材22の戸先側の部分において収納開閉体30側(左側)に向けて突出し、且つ正面側側面15gの一部と対向するように設けられている。
【0070】
また、収納開閉体30の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、
図5に示すように、収納開閉体30の屋外側収納表面材32に収納召し合わせ部37が形成されている。収納召し合わせ部37は、全閉状態及び収納全閉状態において、正面側側面15gの他の一部を覆うものであり、
図5に示すように、屋外側収納表面材32の戸先側の部分において通行開閉体20(右側)に向けて突出し、且つ正面側側面15gの他の一部と対向するように設けられている。
【0071】
この場合において、正面側側面15gの部分のうち、全閉状態において通行開閉体20によって覆われる部分の幅W1(
図5では、左右方向の長さ)と、全閉状態において収納開閉体30によって覆われる部分の幅W2との長さについては任意であるが、例えば、これら幅W1及び幅W2を相互に略同一に設定してもよい。これにより、正面側側面15gの部分のうち、通行開閉体20によって覆われる部分の幅W1と収納開閉体30によって覆われる部分の幅W2が同一でない場合に比べて、通行開閉体20又は収納開閉体30のいずれか一方のみを開放した場合に、通行開閉体20又は収納開閉体30のいずれか他方のみを開放した場合よりも方立15が建物の屋外側(建具1の正面側)から露出することを回避でき、建具1の意匠性を一層維持しやすくなる。ただし、これに限らず、例えば、これら幅W1及び幅W2を相互に異なるように設定してもよい。
【0072】
このような第2の特徴により、全閉状態において方立15全体が建物の屋外側(建具1の正面側)から露出する場合に比べて、全閉状態において方立15が建物の屋外側から目立ちにくくすることができ、建具1の意匠性を向上させることが可能になる。また、特に、実施の形態では、全閉状態において、通行開閉体20及び収納開閉体30によって正面側側面15gの少なくとも一部が覆われるので、通行開閉体20又は収納開閉体30のいずれか一方のみによって正面側側面15gの少なくとも一部が覆われる場合に比べて、通行開閉体20又は収納開閉体30のいずれか一方の戸先側の部分が大きく突出することを抑制でき、建具1の使用時の安全性を確保しやすくなる。
【0073】
(構成−収納枠体の接続構造)
次に、収納枠体80の接続構造について説明する。収納枠体80を構成する各種枠材を接続するための接続構造の特徴については、実施の形態では、以下に示す通りとなる。
【0074】
(構成−収納枠体の接続構造−第1の特徴)
まず、接続構造の第1の特徴については、上収納横枠材83及び下収納横枠材84の各々と枠体10とは直接的に接続されていると共に、上収納横枠材83及び下収納横枠材84の各々と第1収納縦枠材81とは直接的に接続されている。ここで、「直接的に接続されている」とは、例えば、枠材同士が接続されていること、枠材を構成する部材の1つである連結部材同士が接続されていること、及び枠材と上記連結部材とが接続されていることを含む概念である(なお、枠材を構成する部材以外の他の部材(例えば、側面パネル90等)を介して枠材同士とが接続されることは該当しない)。具体的には、
図9、
図10に示すように、上収納横枠材83及び下収納横枠材84の各々と方立15とは、溶接又は固定具等によって直接的に接続されていると共に、上収納横枠材83及び下収納横枠材84の各々と第1収納縦枠材81とは、溶接又は固定具等によって直接的に接続されている。
【0075】
このような第1の特徴により、収納部60が枠材を備えていない場合に比べて、収納部60の構造的安定性を向上させることできる。また、枠体10、上収納横枠材83、下収納横枠材84、及び第1収納縦枠材81を強固に接続でき、例えば、枠体10、上収納横枠材83、下収納横枠材84、及び第1収納縦枠材81によって囲繞された領域において開閉体(例えば、取出開閉体130)等の部材を枠体10、上収納横枠材83、下収納横枠材84、又は第1収納縦枠材81に対して取り付けた場合に、当該部材を強固に支持することが可能となる。したがって、建具1の設置性を向上させることができる。
【0076】
(構成−収納枠体の接続構造−第2の特徴)
次に、接続構造の第2の特徴については、下収納横枠材84の上端部が、くつずり横枠14の上端部よりも上方に位置するように、下収納横枠材84は構成されている。具体的には、
図10に示すように、下収納横枠材84の上下方向の長さがくつずり横枠14の上下方向の長さよりも長く設定されている。また、下収納横枠材84の下端部の高さとくつずり横枠14の下端部の高さとが略同一となる位置に、下収納横枠材84は配置されている。
【0077】
このような第2の特徴により、枠体10、上収納横枠材83、下収納横枠材84、及び第1収納縦枠材81によって囲繞された領域に開閉体(例えば、取出開閉体130)が設けられた場合に、上記開閉体の開放時にくつずり横枠14の近傍に存在する障害物(例えば、靴等)と上記開閉体とが衝突することを抑制でき、建具1の使用性を維持できる。
【0078】
(構成−収納枠体の接続構造−第3の特徴)
図4に戻り、次いで、接続構造の第3の特徴については、第2収納縦枠材82が枠体10及び収納部60の枠材のうち当該第2収納縦枠材82以外の枠材と直接的に接続しないように、第2収納縦枠材82は配置されている。具体的には、
図4、
図9に示すように、第2収納縦枠材82は、収納縦枠12の真後ろの位置であって、収納縦枠12から所定距離(例えば、方立15と第1収納縦枠材81との相互間の距離と略同一の距離)離れた位置に配置されている。そして、この第2収納縦枠材82は、背面側の側面パネル90を介して第1収納縦枠材81と接続されていると共に、左側の側面パネル90を介して収納縦枠12と接続されている。
【0079】
このような第3の特徴により、第2収納縦枠材82を他の枠材(例えば、枠体10の枠材、収納枠体80の第2収納縦枠材82以外の枠材等)と直接的に接続させる必要がないことから、枠体10及び収納部60の設置の手間及び設置コストを低減でき、建具1の設置性を一層向上させることが可能となる。
【0080】
(構成−通行開閉体及び取出開閉体の収容構造)
次に、通行開閉体20及び取出開閉体130の収容構造について説明する。通行開閉体20及び取出開閉体130を収容するための収容構造の特徴については、実施の形態では、以下に示す通りとなる。
【0081】
(構成−通行開閉体及び取出開閉体の収容構造−第1の特徴)
図4に戻り、まず、収容構造の第1の特徴については、
図4、
図6に示すように、建具1は、収容空間部150を備えている。この収容空間部150は、通行全閉状態であり、且つ取出全開状態において、通行開閉体20と取出開閉体130とを相互に干渉することなく収容するための空間部である。また、
図4、
図6に示すように、収容空間部150は、枠体10によって囲繞された空間のうち通行開口部2a側の部分に設けられており、通行収容空間部151及び取出収容空間部152を備えている。ここで、「枠体10によって囲繞された空間のうち通行開口部2a側の部分」とは、例えば、通行縦枠11、方立15、上横枠13、及びくつずり横枠14によって周縁が囲まれた空間(以下、「第1空間」と称する)や、第1空間に隣接する空間であって、通行縦枠11、方立15、上横枠13、又はくつずり横枠14によって周縁が囲まれた空間(以下、「第2空間」と称する)等を含む概念であり、実施の形態では、第1空間と、通行縦枠11、上横枠13、及び方立15によって周縁が囲まれた第2空間とを含むものとして説明する。
【0082】
通行収容空間部151は、通行開閉体20を収容するための空間部である。この通行収容空間部151は、
図4、
図6に示すように、上記通行開口部2a側の部分の建物の屋外側(具体的には、上記第1空間)に設けられており、より具体的には、上述した通行凹部11c、第1方立凹部15a、第1上枠材凹部13c、及びくつずり枠材凹部14cによって囲繞された領域に設けられている。また、この通行収容空間部151の具体的な構成については任意であるが、通行開閉体20の少なくとも一部が上横枠13の通行開口部2a側の部分内に収まるように形成されている。具体的には、通行収容空間部151の形状については、通行開閉体20の形状(直方体状)と略同一に設定している。また、通行収容空間部151の大きさ(左右方向の長さ、前後方向の長さ、及び上下方向の長さ)については、
図4、
図6に示すように、通行開閉体20の大きさよりも若干大きく(又は略同一に)設定している。この場合において、通行開閉体20の設置方法については任意であるが、実施の形態では、
図6に示すように、通行開閉体20が通行収容空間部151から建物の屋外側に突出しないように設置している(ただし、これに限らず、例えば、通行開閉体20の一部が通行収容空間部151から建物の屋外側に突出するように設置してもよい)。
【0083】
取出収容空間部152は、取出開閉体130を収容するための空間部である。この取出収容空間部152は、
図4、
図6に示すように、上記通行開口部2a側の部分の建物の屋内側(具体的には、上記第2空間)に設けられており、より具体的には、上枠材本体13aに設けられた
図6の第2上枠材凹部13e、第3方立凹部15c、及び通行縦枠11によって囲繞された領域に設けられている。ここで、第2上枠材凹部13eは、取出開閉体130を収容しながら取出開閉体130との干渉を回避するための凹部(いわゆる相じゃくり構造である凹部)であり、
図6に示すように、上枠材本体13aにおける取出開閉体130に対応する部分を上下方向の外側(
図6では、上側)に向けて窪ませることにより形成されている。また、この取出収容空間部152の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、取出開閉体130の少なくとも一部が上横枠13の通行開口部2a側の部分内に収まるように形成されている。具体的には、取出収容空間部152の形状については、取出開閉体130の形状(直方体状)と略同一に設定している。また、取出収容空間部152の大きさ(左右方向の長さ、前後方向の長さ、上下方向の長さ)については、取出開閉体130の大きさよりも若干大きく(又は略同一に)設定している。この場合において、取出開閉体130の設置方法については任意であるが、実施の形態では、
図6に示すように、取出開閉体130の一部が取出収容空間部152から建物の屋内側に突出するに設置している(ただし、これに限らず、例えば、取出開閉体130が取出収容空間部152から建物の屋内側に突出しないように設置してもよい)。
【0084】
このような第1の特徴により、取出開閉体130を収容する空間を枠体10外に設けた場合に比べて、取出口4の有効開口幅を確保しながら、上横枠13と取出口4との相互間の距離を短くすることができ、収納部60のコンパクト化(特に、収納部60の奥行方向の長さのコンパクト化)を図ることが可能となる。したがって、建具1の設置性を向上させることができる。
【0085】
(構成−通行開閉体及び取出開閉体の収容構造−第2の特徴)
図4に戻り、次いで、収容構造の第2の特徴については、取出収容空間部152は、通行開閉体20が通行収容空間部151に収容されている際の当該通行開閉体20の位置又は当該通行開閉体20における建物の屋内側(建具1の背面側)に設けられた付属部品(例えば、ドアガード26や通行取手部24等)の位置よりも建物の屋内側に位置するように設けられている。具体的には、
図4に示すように、通行収容空間部151と取出収容空間部152との相互間の距離が上記付属部品(実施の形態では、ドアガード26)の前後方向の長さよりも長い距離となる位置に配置されている。
【0086】
このような第2の特徴により、取出開閉体130が取出収容空間部152に収容され、且つ通行開閉体20が通行収容空間部151に収容されている場合に、通行開閉体20又は通行開閉体20の付属部品のいずれかと取出開閉体130とが相互に干渉することを回避でき、通行開閉体20及び取出開閉体130の使用性を一層維持できる。
【0087】
(建具の作用について)
図1に戻り、次に、このように構成された建具1の作用について説明する。この建具1の作用は、通行開閉体20の状態及び収納開閉体30の状態に対応する作用(以下、「第1作用」と称する)と、通行開閉体20の状態及び取出開閉体130の状態に対応する作用(以下、「第2作用」と称する)とに大別される。以下、第1作用と第2作用とのそれぞれについて説明する。
【0088】
(建具の作用について−第1作用)
まず、第1作用について説明する。
【0089】
すなわち、
図1に示すように、通行全閉状態であり、且つ収納全閉状態(すなわち、全閉状態)では、通行開閉体20及び収納開閉体30の各々が1枚の開閉体であるので、通行開閉体20又は収納開閉体30が複数枚の開閉体である場合に比べて、建物の屋外側(建具1の正面側)から見て収納開閉体30の各開閉体同士の境界線、あるいは収納開閉体30の各開閉体と収納部60との境界線が外部に露出することを回避できる。また、通行開閉体20(具体的には、通行召し合わせ部28)と収納開閉体30(具体的には、収納召し合わせ部37)とによって方立15の正面側側面15gの一部が覆われるので、方立15が建物の屋外側から目立ちにくくなる。
【0090】
また、通行全閉状態であり、且つ収納全開状態では、通行召し合わせ部28のみによって方立15の正面側側面15gの一部が覆われ、又は通行全開状態であり、且つ収納全閉状態では、収納召し合わせ部37のみによって方立15の正面側側面15gの一部が覆われるので、方立15が建物の屋外側から目立ちにくくなる。
【0091】
(建具の作用について−第2作用)
次いで、第2作用について説明する。
【0092】
すなわち、
図4に示すように、通行全閉状態であり、且つ取出全開状態では、通行開閉体20及び取出開閉体130が収容空間部150(具体的には、通行収容空間部151及び取出収容空間部152)に収容される。この場合において、上述したように、取出収容空間部152が、通行開閉体20が通行収容空間部151に収容されている際の当該通行開閉体20における建物の屋内側に設けられた付属部品の位置よりも建物の屋内側に位置するように設けられているので、通行開閉体20と取出開閉体130とが相互に干渉しないことから、通行開閉体20と取出開閉体130との接触によって通行開閉体20又は取出開閉体130の少なくともいずれか一方が損傷することを回避できる。
【0093】
また、通行全開状態であり、且つ取出全閉状態では、通行開閉体20及び取出開閉体130のいずれも収容空間部150に収容されないので、通行開閉体20と取出開閉体130とが相互に干渉しない位置に配置される。
【0094】
また、通行全閉状態であり、且つ取出全閉状態では、通行開閉体20のみが収容空間部150(具体的には、通行収容空間部151)に収容され、又は、通行全開状態であり、且つ取出全開状態では、取出開閉体130のみが収容空間部150(具体的には、取出収容空間部152)に収容されるので、通行開閉体20と取出開閉体130とが相互に干渉しない位置に配置される。
【0095】
(建具の設置方法について)
続いて、建具1の設置方法について説明する。
【0096】
最初に、工場等で組み立てられた枠体10(具体的には、通行縦枠11、収納縦枠12、上横枠13、くつずり横枠14、及び方立15)を建物の壁に対して固定する。
【0097】
次に、収納部60を枠体10に取り付ける。具体的には、まず、工場等で組み立てられた第1収納縦枠材81、上収納横枠材83、及び下収納横枠材84を、方立15に対して固定具等によって接続する。次いで、側面パネル90を収納縦枠12及び第1収納縦枠材81に対して取り付けた後に、第2収納縦枠材82を側面パネル90に対して取り付ける。そして、上蓋部91を枠体10又は収納枠体80に対して取り付けた後に、棚パネル100及び塞ぎパネル120を収納縦枠12、方立15、及び第1収納縦枠材81に対して取り付ける。
【0098】
続いて、工場等で組み立てられた通行開閉体20、収納開閉体30、及び取出開閉体130を対応するヒンジ部を介して枠体10又は収納枠体80に対して取り付ける。これにて、建具1の設置が終了する。
【0099】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態によれば、枠体10によって囲繞された空間のうち通行開口部2a側の部分において、取出全開状態において取出開閉体130を収容するための取出収容空間部152を設け、取出開閉体130の少なくとも一部が上横枠13の部分のうち通行開口部2a側の部分内に収まるように、取出収容空間部152を形成したので、取出開閉体130を収容する空間を枠体10外に設けた場合に比べて、取出口4の有効開口幅を確保しながら、上横枠13と取出口4との相互間の距離を短くすることができ、収納部60のコンパクト化(特に、収納部60の奥行方向の長さのコンパクト化)を図ることが可能となる。したがって、建具1の設置性を向上させることができる。
【0100】
また、取出収容空間部152を、通行開閉体20が通行収容空間部151に収容されている際の当該通行開閉体20の位置又は当該通行開閉体20における建具1の背面側に設けられた付属部品の位置のいずれかよりも建具1の背面側に位置するように設けたので、取出開閉体130が取出収容空間部152に収容され、且つ通行開閉体20が通行収容空間部151に収容されている場合に、通行開閉体20又は通行開閉体20の付属部品のいずれかと取出開閉体130とが相互に干渉することを回避でき、通行開閉体20及び取出開閉体130の使用性を一層維持できる。
【0101】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0102】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0103】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0104】
(開口部について)
上記実施の形態では、通行開口部2aが開口部2の右側に位置し、収納開口部2bが開口部2の左側に位置すると説明したが、これに限らず、例えば、通行開口部2aが開口部2の左側に位置し、収納開口部2bが開口部2の右側に位置してもよい。
【0105】
また、上記実施の形態では、通行開口部2a、収納開口部2b、及び取出口4の幅については、収納開口部2bの幅を取出口4の幅よりも長く設定しており、通行開口部2aの幅を収納開口部2bの幅よりも長く設定している、すなわち、これら幅を相互に異なるように設定していると説明したが、これに限らない。例えば、これら幅を相互に略同一に設定してもよい。また、通行開口部2a、収納開口部2b、及び取出口4の高さについては、通行開口部2aの高さを収納開口部2bの高さと同一に設定していると説明したが、これに限らない。例えば、通行開口部2a、収納開口部2b、及び取出口4の高さを相互に略同一に設定してもよい。あるいは、通行開口部2aの高さを収納開口部2bの高さと異なる高さに設定してもよい。
【0106】
(枠体について)
上記実施の形態では、くつずり横枠14の前後方向の長さが上横枠13の前後方向の長さよりも短く設定されていると説明したが、これに限らず、例えば、くつずり横枠14の前後方向の長さが上横枠13の前後方向の長さと略同一に設定されている。この場合には、収容空間部150は、上横枠13及びくつずり横枠14の各々の通行開口部2a側の部分内に収まるように形成されてもよい。
【0107】
(各種ヒンジ部について)
上記実施の形態では、通行ヒンジ部40及び収納ヒンジ部50が、旗蝶番を用いて構成されていると説明したが、これに限られず、例えば、ピボットヒンジ等を用いて構成されてもよい。また、上記実施の形態では、取出ヒンジ部140がピボットヒンジを用いて構成されていると説明したが、これに限らず、例えば、蝶番を用いて構成されてもよい。この場合には、通行ヒンジ部40が収納空間60aの外側に突出することから、例えば、取出ヒンジ部140がピボットヒンジであるほうが、通行ヒンジ部40によって通行対象の通行が妨げられることを回避できる。
【0108】
(収納部について)
上記実施の形態では、取出開閉体130が、1枚の開閉体であると説明したが、これに限らず、例えば、複数枚の開閉体であってもよい。
【0109】
また、上記実施の形態では、棚パネル100の設置数が4つであると説明したが、これに限らず、例えば、4つ未満でもよく、又は5つ以上でもよい。
【0110】
また、上記実施の形態では、収納部60に塞ぎパネル120が設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、塞ぎパネル120を省略してよい。
【0111】
(正面側側面について)
上記実施の形態では、正面側側面15gが、方立15における建物の屋外側の側面の部分のうち、第1方立凹部15a及び第2方立凹部15bに対応する部分以外の部分であると説明したが、これに限らず、例えば、方立15における建物の屋外側の側面の部分全体であってもよい。
【0112】
(建具の外観構造について)
上記実施の形態では、通行開閉体20及び収納開閉体30が、一枚の開閉体で構成されていると説明したが、これに限らない。例えば、通行開閉体20又は収納開閉体30の少なくともいずれか一方は、複数枚の開閉体で構成されてもよい。
【0113】
また、上記実施の形態では、通行開閉体20及び収納開閉体30によって正面側側面15gの少なくとも一部が覆われるように、通行開閉体20、収納開閉体30、及び方立15が構成されていると説明したが、これに限らない。例えば、通行開閉体20又は収納開閉体30のいずれか一方のみによって正面側側面15gの少なくとも一部が覆われるように、通行開閉体20、収納開閉体30、及び方立15が構成されてもよい。この場合には、通行開閉体20又は収納開閉体30のいずれか他方の召し合わせ部を省略してもよい。
【0114】
また、上記実施の形態では、通行開閉体20及び収納開閉体30によって正面側側面15gが半分以上覆われていると説明したが、これに限らず、例えば、正面側側面15gが半分未満覆われてもよく、あるいは、正面側側面15g全体が覆われてもよい。
【0115】
また、上記実施の形態では、通行開閉体20及び収納開閉体30によって正面側側面15gが半分以上覆われていると説明したが、これに限らず、例えば、正面側側面15gが半分未満覆われてもよい。
【0116】
(収納枠体の接続構造について)
上記実施の形態では、上収納横枠材83及び下収納横枠材84の各々と枠体10とは直接的に接続されていると共に、上収納横枠材83及び下収納横枠材84の各々と第1収納縦枠材81とは直接的に接続されていると説明したが、これに限らない。例えば、上収納横枠材83及び下収納横枠材84の各々と枠体10とは間接的に接続されてもよい。あるいは、上収納横枠材83及び下収納横枠材84の各々と第1収納縦枠材81とは間接的に接続されてもよい。
【0117】
また、上記実施の形態では、上収納横枠材83及び下収納横枠材84の各々と方立15とが直接的に接続されていると説明したが、これに限らない、例えば、上収納横枠材83と上横枠13とは直接的に接続されてもよい。あるいは、下収納横枠材84とくつずり横枠14とは直接的に接続されてもよい。
【0118】
また、上記実施の形態では、下収納横枠材84の上端部が、くつずり横枠14の上端部よりも上方に位置するように、下収納横枠材84が構成されていると説明したが、これに限らない。例えば、下収納横枠材84の上端部が、くつずり横枠14の上端部よりも下方に位置するように、下収納横枠材84は構成されてもよい。あるいは、下収納横枠材84の上端部が、くつずり横枠14の上端部と略同一の高さに位置するように、下収納横枠材84は構成されてもよい。
【0119】
また、上記実施の形態では、第2収納縦枠材82が枠体10及び収納部60の枠材のうち当該第2収納縦枠材82以外の枠材と直接的に接続されていないと説明したが、これに限らない。例えば、第2収納縦枠材82が枠体10又は収納部60の枠材のうち当該第2収納縦枠材82以外の枠材(一例として、収納部60を構成する横枠材であって、第2収納縦枠材82と第1収納縦枠材81との相互間に設けられた横枠材)と直接的に接続されてもよい。
【0120】
(通行開閉体及び取出開閉体の収容構造について)
上記実施の形態では、取出開閉体130の少なくとも一部が上横枠13の通行開口部2a側の部分内に収まるように、取出収容空間部152が形成されていると説明したが、これに限らない。例えば、取出開閉体130の少なくとも一部がくつずり横枠14の通行開口部2a側の部分内に収まるように形成されてもよい。あるいは、取出開閉体130の少なくとも一部が上横枠13及びくつずり横枠14の各々の通行開口部2a側の部分内に収まるように形成されてもよい。
【0121】
(付記)
付記1の建具は、建物の開口部に設けられた建具であり、前記開口部の周縁に設けられた枠体と、前記開口部の一部である通行開口部であり、通行対象を通行させるための通行開口部を開閉する通行開閉体と、前記開口部の他の一部である収納開口部であり、当該収納開口部よりも当該建具の背面側に設けられた収納部に収納対象を収納可能にするための収納開口部を開閉する収納開閉体と、を備えた建具であって、前記枠体は、前記開口部の上側に設けられた上横枠又は前記開口部の下側に設けられた下横枠を備え、前記収納部は、前記収納対象を収納するための前記収納部本体と、前記収納部本体の側部のうち、前記開口部に直交し且つ前記通行開口部と前記収納開口部との境界に沿った側部に設けられた取出口であって、前記収納部本体に収納された前記収納対象を取り出すための取出口を開閉する取出開閉体と、を備え、前記枠体によって囲繞された空間のうち前記通行開口部側の部分において、前記取出開閉体によって前記取出口を全開した状態において、前記取出開閉体を収容するための取出収容空間部を設け、前記取出開閉体の少なくとも一部が前記上横枠又は前記下横枠の部分のうち前記通行開口部側の部分内に収まるように、前記取出収容空間部を形成した。
【0122】
付記2の建具は、付記1に記載の建具において、前記枠体によって囲繞された空間のうち前記通行開口部側の部分において、前記通行開閉体によって前記通行開口部を全閉した状態において、前記通行開閉体を収容するための通行収容空間部を設け、前記取出収容空間部を、前記通行開閉体が前記通行収容空間部に収容されている際の当該通行開閉体の位置又は当該通行開閉体における当該建具の背面側に設けられた付属部品の位置のいずれかよりも当該建具の背面側に位置するように設けた。
【0123】
(付記の効果)
付記1に記載の建具によれば、枠体によって囲繞された空間のうち通行開口部側の部分において、取出開閉体によって取出口を全開した状態において、取出開閉体を収容するための取出収容空間部を設け、取出開閉体の少なくとも一部が上横枠又は下横枠の部分のうち通行開口部側の部分内に収まるように、取出収容空間部を形成したので、取出開閉体を収容する空間を枠体外に設けた場合に比べて、取出口の有効開口幅を確保しながら、上横枠又は下横枠と取出口との相互間の距離を短くすることができ、収納部のコンパクト化(特に、収納部の奥行方向の長さのコンパクト化)を図ることが可能となる。したがって、建具の設置性を向上させることができる。
【0124】
付記2に記載の建具によれば、取出収容空間部を、通行開閉体が通行収容空間部に収容されている際の当該通行開閉体の位置又は当該通行開閉体における建具の背面側に設けられた付属部品の位置のいずれかよりも建具の背面側に位置するように設けたので、取出開閉体が取出収容空間部に収容され、且つ通行開閉体が通行収容空間部に収容されている場合に、通行開閉体又は通行開閉体の付属部品のいずれかと取出開閉体とが相互に干渉することを回避でき、通行開閉体及び取出開閉体の使用性を一層維持できる。