特許第6923489号(P6923489)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6923489
(24)【登録日】2021年8月2日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】水平多関節型ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/06 20060101AFI20210805BHJP
【FI】
   B25J9/06 D
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-126600(P2018-126600)
(22)【出願日】2018年7月3日
(65)【公開番号】特開2020-6447(P2020-6447A)
(43)【公開日】2020年1月16日
【審査請求日】2019年12月9日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(72)【発明者】
【氏名】山城 光
【審査官】 木原 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−138581(JP,A)
【文献】 特開2005−014159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースに第1軸線周りに旋回可能に支持された第1アームと、
前記第1アームに第2軸線周りに旋回可能に支持された第2アームと、
前記ベースおよび前記第2アームに接続されるケーブルユニットと、を備え、
前記ケーブルユニットが、
一端が前記第2アームに接続され、他端に前記ベースの上面に締結部材によって固定される第1板状部材が取付けられている可撓性のアーム部コンジットと、
前記アーム部コンジット内を挿通しており、一端が前記第2アーム内に導入される複数本のケーブルと、
前記ベースの背面の少なくとも一部を構成する第2板状部材であって、前記ベースに締結部材によって固定されることによって、前記ベースの背面に設けられた背面開口を閉鎖する第2板状部材と、を有し、
前記第1板状部材が、前記ベースの上面に設けられた上面開口を閉鎖するものであり、
前記上面開口が前記背面開口と繋がっており、前記第1アームの前記第1軸線周りの旋回によって前記背面開口に対する前記上面開口の相対位置は変化しない、水平多関節型ロボット。
【請求項2】
前記ケーブルユニットが、前記第2板状部材から前記ベースの外側に延びる可撓性のベースコンジットをさらに有し、
前記ベースコンジットが、前記アーム部コンジットの前記他端から出ている前記ケーブルの少なくとも一部が導入されるものである、請求項1に記載の水平多関節型ロボット。
【請求項3】
前記第1板状部材には、前記ケーブルおよび/又は前記ケーブルの途中に設けられたコネクタを支持するための基端側ケーブル支持部が設けられ、
前記基端側ケーブル支持部が、前記第1板状部材を前記ベースに固定した際に前記ベース内に配置される、請求項1又は2に記載の水平多関節型ロボット。
【請求項4】
前記第2アームの上面開口を閉鎖するための蓋部材が前記アーム部コンジットの前記一端に取付けられており、
前記第2アームの前記上面開口は、作業者が手を前記第2アーム内に挿入するためのものである、請求項1〜3の何れかに記載の水平多関節型ロボット。
【請求項5】
前記蓋部材には、前記ケーブルおよび/又は前記ケーブルの途中に設けられたコネクタを支持するための先端側ケーブル支持部が設けられ、
前記蓋部材の前記先端側ケーブル支持部が、前記蓋部材を前記第2アームに固定した際に前記第2アーム内に配置される、請求項4に記載の水平多関節型ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水平多関節型ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
水平多関節型ロボットとして、ベースと、ベースに第1軸線周りに旋回可能に支持された第1アームと、前記第1アームに第2軸線周りに旋回可能に支持された第2アームとを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、複数のアーム部材を直列に接続することにより形成されたアームを有する垂直多関節型ロボットであって、複数のアーム部材をそれぞれ駆動するモータに電力、信号等を送るための複数本のケーブルをアーム内に配置するために、各アーム部材の背面を蓋部材によって開閉するものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−4638号公報
【特許文献2】特許第3340456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記水平多関節型ロボットは、一端が第2アームに接続されると共に他端がベースに接続された可撓性のコンジットを有し、第2アームに電力、信号等を送るための複数本のケーブルが、第1アームではなくコンジットを介して、ベースと第2アームとを接続している。
【0006】
また、コンジットの他端から出ている複数本のケーブルは、水平多関節型ロボットを制御するための制御装置、電源装置等に接続される。そのような複数本のケーブルのうち一部をベース内のモータ等に接続する必要があるが、コンジットの他端側には多数本のケーブルが存在しているので、ベース内での接続が行われるケーブルを探す作業、当該ケーブルの配置および他のケーブルの配置を整える作業等は容易ではない。ここで、ベース内のスペースは小さいことが多いので、上記接続作業に手間がかかる。
【0007】
ベース内のスペースが小さいことに加え、ケーブルの長さに余裕が無い場合は、ケーブルの束をベースに近付けた状態又はベース内に配置した状態で、ベース内での上記接続作業が行われるので、接続作業に更に手間がかかる。このような状況を改善するために、ケーブルの長さに余裕を持たせることがあるが、ケーブルの本数は少なくないので、ベース内に余分なケーブルを収容するためのスペースを確保しなければならない。
【0008】
本発明は、前述の事情に鑑みてなされている。本発明の目的の一つは、ロボット内の機器に電力、信号等を供給するケーブルの敷設作業を容易に行うことができる水平多関節型ロボットの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明の一態様の水平多関節型ロボットは、ベースと、前記ベースに第1軸線周りに旋回可能に支持された第1アームと、前記第1アームに第2軸線周りに旋回可能に支持された第2アームと、前記ベースおよび前記第2アームに接続されるケーブルユニットと、を備え、前記ケーブルユニットが、一端が前記第2アームに接続され、他端に前記ベースの上面に締結部材によって固定される第1板状部材が取付けられている可撓性のアーム部コンジットと、前記アーム部コンジット内を挿通しており、一端が前記第2アーム内に導入される複数本のケーブルと、前記ベースの背面の少なくとも一部を構成する第2板状部材であって、前記ベースに締結部材によって固定されることによって、前記ベースの背面に設けられた背面開口を閉鎖する第2板状部材と、を有し、前記第1板状部材が、前記ベースの上面に設けられた上面開口を閉鎖するものであり、前記上面開口が前記背面開口と繋がっており、前記第1アームの前記第1軸線周りの旋回によって前記背面開口に対する前記上面開口の相対位置は変化しない
【0010】
上記態様では、ベースの背面開口と上面開口とが繋がっている。このため、ベース内に配置されたモータにケーブルを接続する接続作業を行う際に、作業者が手を入れやすく、ベース内の視認性も良い。また、ベース内のモータとケーブルとの接続作業の後に、背面開口と上面開口とから成る開口を介して、アーム部コンジットの他端から出ている複数本のケーブルをベース内に配置できる。
【0011】
この後に、第1板状部材をベースの上面に固定し、第2板状部材をベースに固定することによって、ベース内の接続作業、ベース内へのケーブルの配置作業、およびアーム部コンジットのベースへの取付作業が完了する。このため、ケーブルの敷設作業が容易になる。
また、第1板状部材と第2板状部材とが一体に形成されているのではなく、第1板状部材および第2板状部材がそれぞれ締結部材によってベースに固定されるので、第1板状部材および第2板状部材とベースとを密着させることができる。これはベース内への埃、水等の侵入を防止する上で有利である。
【0012】
上記態様において、好ましくは、前記ケーブルユニットが、前記第2板状部材から前記ベースの外側に延びる可撓性のベースコンジットをさらに有し、前記ベースコンジットが、前記アーム部コンジットの前記他端から出ている前記ケーブルの少なくとも一部が導入されるものである。
アーム部コンジットの他端から出ている複数本のケーブルがベースコンジットに導入されることにより、アーム部コンジットの他端から出ている複数本のケーブルが纏まる。ケーブルの本数は少なくないので、当該態様は敷設作業を容易にするために有利である。
【0013】
上記態様において、好ましくは、前記第1板状部材には、前記ケーブルおよび/又は前記ケーブルの途中に設けられたコネクタを支持するための基端側ケーブル支持部が設けられ、前記基端側ケーブル支持部が、前記第1板状部材を前記ベースに固定した際に前記ベース内に配置される。
【0014】
当該態様では、基端側ケーブル支持部によって、アーム部コンジットの他端から出ている複数本のケーブルの少なくとも一部を支持することができる。このため、アーム部コンジットの他端から出ている複数本のケーブルを効率的に整えることができる。アーム部コンジットの他端から出ているケーブルの本数は少なくないので、上記態様はケーブルの敷設作業を容易にするために有利である。
【0015】
また、第1アームおよび第2アームは第1軸線および第2軸線周りに旋回し、これら旋回が高速で行われる場合があり、往復動作に近い動作が行われる場合もある。このため、アーム部コンジットが水平方向に揺り動かされ、また、アーム部コンジットに曲げおよび捩じりの変形が繰り返し加わる。この時、アーム部コンジットの他端から出ているケーブルも水平方向等に揺り動かされることになる。上記態様では、アーム部コンジットの他端から出ているケーブル又はコネクタが基端側ケーブル支持部に支持され、これは、ケーブル又はコネクタがベースの内壁に衝突することによる不具合を防止するために有利である。
【0016】
上記態様において、好ましくは、前記第2アームの上面開口を閉鎖するための蓋部材が前記アーム部コンジットの前記一端に取付けられており、前記第2アームの前記上面開口は、作業者が手を前記第2アーム内に挿入するためのものである。
当該態様では、第2アームの上面開口を閉鎖するために蓋部材を第2アームに固定することによって、アーム部コンジットの一端が第2アームに取付けられるので、当該態様はケーブルの敷設作業を容易にするために有利である。
【0017】
上記態様において、好ましくは、前記蓋部材には、前記ケーブルおよび/又は前記ケーブルの途中に設けられたコネクタを支持するための先端側ケーブル支持部が設けられ、前記蓋部材の前記先端側ケーブル支持部が、前記蓋部材を前記第2アームに固定した際に前記第2アーム内に配置される。
【0018】
当該態様では、蓋部材の先端側ケーブル支持部によって、アーム部コンジットの一端から出ている複数本のケーブルの少なくとも一部を支持することができる。このため、アーム部コンジットの一端から出ている複数本のケーブルを効率的に整えることができる。アーム部コンジットの一端から出ているケーブルの本数は少なくないので、上記態様はケーブルの敷設作業を容易にするために有利である。
【0019】
また、第1アームおよび第2アームは第1軸線および第2軸線周りに旋回し、これら旋回が高速で行われる場合があり、往復動作に近い動作が行われる場合もある。このため、アーム部コンジットが水平方向に揺り動かされ、また、アーム部コンジットに曲げおよび捩じりの変形が繰り返し加わる。この時、アーム部コンジットの一端から出ているケーブルも水平方向等に揺り動かされることになる。上記態様では、アーム部コンジットの一端から出ているケーブル又はコネクタが先端側ケーブル支持部に支持され、これは、ケーブル又はコネクタがベースの内壁に衝突することによる不具合を防止するために有利である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ロボット内の機器に電力、信号等を供給するケーブルの敷設作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態の水平端関節型ロボットのケーブルユニットを取外した状態の斜視図である。
図2】本実施形態の水平端関節型ロボットの正面図である。
図3】本実施形態の水平端関節型ロボットの制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態に係る水平多関節型のロボット1が、図面を用いながら以下説明されている。
本実施形態の水平多関節型のロボット1は、図1に示されるように、ベース100と、ベース100に上下方向に延びる第1軸線AX1周りに旋回可能に支持された第1アーム10と、第1アーム10に上下方向に延びる第2軸線AX2周りに旋回可能に支持された第2アーム20と、第2アーム20に支持された第3アーム30とを備えている。ロボット1は制御装置40によって制御されるものである。
【0023】
図1および図2に示されるように、第1アーム10の基端側がベース100に第1軸線AX1周りに旋回可能に支持され、第2アーム20の基端側が第1アーム10の先端側に第2軸線AX2周りに旋回可能に支持されている。また、第3アーム30は上下方向に延びるシャフト状部材であり、第2アーム20の先端側に上下方向に移動可能、且つ、上下方向に延びる軸線AX周りに回転可能に支持されている。ベース100は中空部を有しており、下方に開口していてもよい。
【0024】
図2に示されるように、ベース100内には、第1アーム10を旋回させるためのサーボモータ等である第1軸モータ11が取付けられ、第1軸モータ11が駆動されると第1アーム10が第1軸線AX1周りに旋回する。第2アーム20内には、第2アーム20を旋回させるためのサーボモータ等である第2軸モータ22が取付けられている。また、第2アーム20内には、第3アーム30を上下方向に移動させるためのサーボモータ等である第3軸モータ23が取付けられ、また、第3アーム30を軸線AX周りに回転させるための第4軸モータ24が取付けられている。
【0025】
第3アーム30は、図示しないボールねじナットおよびボールスプラインナットを用いて第2アーム20の先端側に支持されている。このような構造は例えば特開2014−4638等に開示があるように公知であるため、詳述はしないが、ボールねじナットが第2アーム20の先端側に軸線AX周りに回転可能に支持され、ボールスプラインナットも第2アーム20の先端側に軸線AX周りに回転可能に支持され、ボールスプラインナットとボールねじナットとが上下方向に並んでいる。また、第3軸モータ23の回転力が図示しないベルトを介してボールねじナットに伝達され、これによりボールねじナットが回転する。一方、第4軸モータ24の回転力が図示しないベルトを介してボールスプラインナットに伝達され、これによりボールスプラインナットが回転する。
【0026】
第3アーム30はボールねじスプラインシャフトであり、第3アーム30の外周面には、ボールねじナットの金属球が係合するらせん状のボールねじ溝(図示せず)と、ボールスプラインナットの金属球が係合するスプライン溝(図示せず)とが設けられている。
このため、第3軸モータ23によってボールねじナットが回転すると第3アーム30が上下方向に移動し、第4軸モータ24によってボールスプラインナットが回転すると第3アーム30が軸線AX周りに回転する。
【0027】
制御装置40は、図3に示されるように、プロセッサ等を有する制御部41と、表示装置42と、不揮発性ストレージ、ROM、RAM等を有する記憶部43と、キーボード、タッチパネル、操作盤等である入力装置44と、信号の送受信を行うための送受信部45と、各モータ11,22,23,24にそれぞれ接続されたサーボ制御器46とを備えている。
【0028】
記憶部43にはシステムプログラム43aが格納されており、システムプログラム43aは制御装置40の基本機能を担っている。また、記憶部43には動作プログラム43bが格納されている。制御部41は、動作プログラム43bに基づき、各サーボモータ11,22,23,24を制御するための制御指令をサーボ制御器46に送ると共に、第3アーム30の下端に設けられたハンド等のツール31の駆動装置31a(図3)に制御指令を送り、これによりロボット1が作業を行う。
【0029】
ロボット1と制御装置40とは信号線、動力線等が内部に配置された複数本のケーブルCAを用いて接続されている。本実施形態では、制御装置40内に各モータ11,22,23,24に電力を供給する電源装置が設けられているが、電源装置(図示せず)が制御装置40と別に設けられていてもよい。
このような接続を行うために、本実施形態では、ロボット1はケーブルユニット50を備えている。ケーブルユニット50は、一端が第2アーム20の基端側の上面に接続される可撓性のアーム部コンジット51を有する。
【0030】
アーム部コンジット51は管状部材であり、ポリウレタン等のゴム状弾性を有する材料から成る。アーム部コンジット51の内表面又は内部に金属線材を用いて形成されたシールド層が形成されていてもよい。アーム部コンジット51の他端には第1板状部材61が取付けられ、第1板状部材61はアーム部コンジット51の他端の中心軸線と交差する方向に延びる板形状部を有する。第1板状部材61はボルト等の締結部材を用いてベース100の上面に固定される。
【0031】
複数本のケーブルCAがアーム部コンジット51をその一端から他端まで挿通しており、アーム部コンジット51の一端から出ているケーブルCAは第2アーム20内に導入される。第2アーム20内に導入されたケーブルCAの一部は第2アーム20内の各モータ22,23,24等に接続され、第2アーム20内に導入されたケーブルCAの他の一部は第2アーム20から引き出されてツール31等に接続される。
【0032】
アーム部コンジット51の他端から出ているケーブルCAはベース100内に導入される。つまり、ケーブルCAにおいてアーム部コンジット51の他端から出てすぐの部分はベース100内に配置される。
【0033】
また、本実施形態のケーブルユニット50は、ベース100の背面の少なくとも一部を構成する第2板状部材62を有する。第2板状部材62は、ベース100の背面に設けられた背面開口101を閉鎖するものであり、ボルト等の締結部材を用いてベース100の背面に固定される。背面開口101はベース100の背面の大部分に設けられていることが好ましい。背面視において背面開口101はベース100の背面の50%以上の範囲、好ましくは80%以上の範囲を占めている。本実施形態では、第2板状部材62に、ロボット1のエンコーダ等の機器のための補助バッテリー64が取付けられている。
【0034】
第2板状部材62には、ベース100の後方に向かって延びる可撓性のベースコンジット62aが取付けられている。ベースコンジット62aは管状部材であり、ウレタン、PVC等の可撓性を有する材料から形成されている。ベースコンジット62aの一端は第2板状部材62に固定されている。ケーブルCAにおいてアーム部コンジット51の他端から出ている部分がベースコンジット62a内を挿通し、制御装置40、電源装置等に接続される。また、ベースコンジット62aの一端から出ているケーブルCAの一部がベース100内の第1軸モータ11に接続される。
【0035】
第1板状部材61はベース100の上面に設けられた上面開口102を閉鎖するものであり、上面開口102は背面開口101と繋がっている。つまり、ベース100は、その背面から上面にかけて繋がっている開口(背面開口101および上面開口102)を有する。
【0036】
本実施形態のケーブルユニット50は、ケーブルユニット50の一端に取付けられた蓋部材70を有する。蓋部材70は板状部材から成り、蓋部材70は第2アーム20の上面開口21を閉鎖するためのものである。上面開口21は、第2アーム20内の各モータ22,23,24等にケーブルCAを接続する際に、作業者が例えば両手を第2アーム20内に挿入するために用いられる。蓋部材70はボルト等の締結部材を用いて第2アーム20に固定される。
【0037】
アーム部コンジット51の他端の第1板状部材61には、ケーブルCAおよび/又はケーブルCAの途中に設けられたコネクタ63b,63cを支持するための基端側ケーブル支持部63が設けられている。本実施形態の基端側ケーブル支持部63は、第1板状部材61からその板厚方向に延びる複数の板状の突出部63aを有する。第1板状部材61がベース100の上面に固定されると、突出部63aはベース100内に配置される。
【0038】
突出部63aの厚さ方向一方の面には複数のコンジット側コネクタ63bが取付けられる。また、各コンジット側コネクタ63bには、アーム部コンジット51の他端から出ている複数本のケーブルCAが接続されている。各コンジット側コネクタ63bには突出部63aの厚さ方向他方の面側からコネクタ63cが接続され、各コネクタ63cには複数本のケーブルCAが接続されている。各コネクタ63cからの複数本のケーブルCAがベースコンジット62a内を挿通して制御装置40、電源装置等に接続される。
【0039】
つまり、アーム部コンジット51の他端から出ている複数本のケーブルCAは、コンジット側コネクタ63bおよびコネクタ63cを介して制御装置40、電源装置等に接続される。
なお、突出部63aにコンジット側コネクタ63bおよびコネクタ63cではなくケーブルCAが支持されてもよい。また、突出部63aが板状ではなく他の形状を有していてもよく、第1板状部材61においてベース100の内壁面を構成する面が基端側ケーブル支持部63として機能してもよい。
【0040】
アーム部コンジット51の一端に取付けられた蓋部材70には、ケーブルCAおよび/又はケーブルCAの途中に設けられたコネクタ71b,71cを支持するための先端側ケーブル支持部が設けられている。本実施形態の先端側ケーブル支持部は、蓋部材70からその板厚方向に延びる板状の突出部71aを有する。蓋部材70が第2アーム20に固定されると、突出部71aは第2アーム20内に配置される。
【0041】
突出部71aの厚さ方向一方の面には複数のコンジット側コネクタ71bが取付けられる。また、各コンジット側コネクタ63bには、アーム部コンジット51の一端から出ている複数本のケーブルCAが接続されている。各コンジット側コネクタ71bには突出部71aの厚さ方向他方の面側からコネクタ71cが接続され、各コネクタ71cには複数本のケーブルCAが接続されている。各コネクタ71cからの複数本のケーブルCAがモータ22,23,24等に接続される。
【0042】
つまり、アーム部コンジット51の一端から出ている複数本のケーブルCAは、コンジット側コネクタ71bおよびコネクタ71cを介してモータ22,23,24等に接続される。
なお、突出部71aにコンジット側コネクタ71bおよびコネクタ71cではなくケーブルCAが支持されてもよい。また、突出部71aが板状ではなく他の形状を有していてもよく、蓋部材70において第2アーム20の内壁面を構成する面が先端側ケーブル支持部として機能してもよい。
【0043】
また、前述のように、アーム部コンジット51の他端から出ている複数本のケーブルCAが、コンジット側コネクタ63bおよびコネクタ63cを介して制御装置40、電源装置等に接続される場合、アーム部コンジット51、アーム部コンジット51内の複数本のケーブルCA、およびコンジット側コネクタ63bの3つを有する一体の部品が用いられてもよい。当該一体の部品がさらに第1板状部材61および基端側ケーブル支持部63を備えていてもよい。
【0044】
このように、本実施形態では、ベース100の背面開口101と上面開口102とが繋がっている。このため、ベース100内に配置された第1軸モータ11にケーブルCAを接続する接続作業を行う際に、作業者が手を入れやすく、ベース100内の視認性も良い。また、ベース100内の第1軸モータ11とケーブルCAとの接続作業の後に、背面開口101と上面開口102とから成る開口を介して、アーム部コンジット51の他端から出ている複数本のケーブルCAをベース100内に配置できる。
【0045】
この後に、第1板状部材61をベース100の上面に固定し、第2板状部材62をベース100に固定することによって、ベース100内の接続作業、ベース100内へのケーブルCAの配置作業、およびアーム部コンジット51のベース100への取付作業が完了する。このため、ケーブルCAの敷設作業が容易になる。
【0046】
また、第1板状部材61と第2板状部材62とが一体に形成されているのではなく、第1板状部材61および第2板状部材62がそれぞれ締結部材によってベース100に固定されるので、第1板状部材61および第2板状部材62とベース100とを密着させることができる。これはベース100内への埃、水等の侵入を防止する上で有利である。なお、ベース100内への埃、水等の侵入の問題を解決できる場合は、第1板状部材61と第2板状部材62とが一体に形成されていてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、ケーブルユニット50が、第2板状部材62からベース100の外側に延びる可撓性のベースコンジット62aをさらに有し、ベースコンジット62aは、アーム部コンジット51の他端から出ているケーブルCAの少なくとも一部が導入されるものである。
【0048】
アーム部コンジット51の他端から出ている複数本のケーブルCAがベースコンジット62aに導入されることにより、アーム部コンジット62aの他端から出ている複数本のケーブルCAが纏まる。ケーブルCAの本数は少なくないので、当該構成は敷設作業を容易にするために有利である。
【0049】
また、本実施形態では、第1板状部材61には、ケーブルCAおよび/又はコネクタ63b,63cを支持するための基端側ケーブル支持部63が設けられ、基端側ケーブル支持部63は、第1板状部材61をベース100に固定した際にベース100内に配置される。
【0050】
当該構成では、基端側ケーブル支持部63によって、アーム部コンジット51の他端から出ている複数本のケーブルCAの少なくとも一部を支持することができる。このため、アーム部コンジット51の他端から出ている複数本のケーブルCAを効率的に整えることができる。アーム部コンジット51の他端から出ているケーブルCAの本数は少なくないので、当該構成はケーブルCAの敷設作業を容易にするために有利である。
【0051】
また、第1アーム10および第2アーム20は第1軸線AX1および第2軸線AX2周りに旋回し、これら旋回が高速で行われる場合があり、往復動作に近い動作が行われる場合もある。このため、アーム部コンジット51が水平方向に揺り動かされ、また、アーム部コンジット51に曲げおよび捩じりの変形が繰り返し加わる。この時、アーム部コンジット51の他端から出ているケーブルCAも水平方向等に揺り動かされることになる。本実施形態では、アーム部コンジット51の他端から出ているケーブルCA又はコネクタ63b,63cが基端側ケーブル支持部63に支持され、これは、ケーブルCA又はコネクタ63b,63cがベース100の内壁に衝突することによる不具合を防止するために有利である。
【0052】
本実施形態では、第2アーム20の上面開口21を閉鎖するための蓋部材70がアーム部コンジット51の一端に取付けられており、第2アーム20の上面開口21は、作業者が手を第2アーム20内に挿入するためのものである。
当該構成では、第2アーム20の上面開口21を閉鎖するために蓋部材70を第2アーム20に固定することによって、アーム部コンジット51の一端が第2アーム20に取付けられるので、当該構成はケーブルCAの敷設作業を容易にするために有利である。
【0053】
また、本実施形態の蓋部材70には、ケーブルCAおよび/又はコネクタ71b,71cを支持するための先端側ケーブル支持部が設けられ、蓋部材70の先端側ケーブル支持部が、蓋部材70を第2アーム20に固定した際に第2アーム20内に配置される。
【0054】
当該構成では、蓋部材70の先端側ケーブル支持部によって、アーム部コンジット51の一端から出ている複数本のケーブルCAの少なくとも一部を支持することができる。このため、アーム部コンジット51の一端から出ている複数本のケーブルCAを効率的に整えることができる。アーム部コンジット51の一端から出ているケーブルCAの本数は少なくないので、当該構成はケーブルCAの敷設作業を容易にするために有利である。
【0055】
また、アーム部コンジット51は水平方向に揺り動かされ、また、アーム部コンジット51に曲げおよび捩じりの変形が繰り返し加わる。この時、アーム部コンジット51の一端から出ているケーブルCAも水平方向等に揺り動かされることになる。上記態様では、アーム部コンジット51の一端から出ているケーブルCA又はコネクタ71b,71cが先端側ケーブル支持部に支持され、これは、ケーブルCA又はコネクタ71b,71cがベース100の内壁に衝突することによる不具合を防止するために有利である。
【0056】
なお、結束バンド等によってケーブルCAおよび/又はケーブルCAの途中に設けられたコネクタ63b,63c,71b,71cが基端側ケーブル支持部63に支持されてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 ロボット
10 第1アーム
11 第1軸モータ
20 第2アーム
21 上面開口
22 第2軸モータ
23 第3軸モータ
24 第4軸モータ
30 第3アーム
31 ツール
31a 駆動装置
40 制御装置
50 ケーブルユニット
51 アーム部コンジット
61 第1板状部材
62 第2板状部材
62a ベースコンジット
63 基端側ケーブル支持部
63a 突出部
63b コンジット側コネクタ
63c コネクタ
70 蓋部材
71a 突出部
71b コンジット側コネクタ
71c コネクタ
図1
図2
図3