特許第6923504号(P6923504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6923504
(24)【登録日】2021年8月2日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】基板ソケットおよび基板固定方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/633 20060101AFI20210805BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20210805BHJP
   H01R 12/73 20110101ALI20210805BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20210805BHJP
   G06F 1/18 20060101ALI20210805BHJP
【FI】
   H01R13/633
   H05K7/14 P
   H01R12/73
   G06F1/16 312M
   G06F1/18 F
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-223134(P2018-223134)
(22)【出願日】2018年11月29日
(65)【公開番号】特開2020-87806(P2020-87806A)
(43)【公開日】2020年6月4日
【審査請求日】2020年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 嘉朗
【審査官】 藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−308561(JP,A)
【文献】 特開2017−107711(JP,A)
【文献】 特開2016−095932(JP,A)
【文献】 特開2018−022578(JP,A)
【文献】 米国特許第10034420(US,B2)
【文献】 米国特許第5046237(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00 − 12/91
13/56 − 13/72
24/00 − 24/86
43/027− 43/28
H05K 7/14
G06F 1/16 − 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケット部に挿入された基板の電子部品を固定する突起部を有し、前記ソケット部に固定された部分を回転軸として前記基板の電子部品から離れる方向に回転して前記突起部による前記基板の電子部品の固定を解除し、前記基板の電子部品に近づいて前記基板の電子部品を固定する方向に回転し前記突起部により前記基板の電子部品を固定する固定部と、
ハンドル部と、
前記固定部と前記ハンドル部との間に位置し、前記基板の電子部品から離れる方向に動くスライド部と、を備え、
前記スライド部は、前記ハンドル部によって、前記スライド部が前記固定部に近づく方向に力を加えられたときに、前記基板の電子部品から離れる方向に動き、前記固定部に前記基板の電子部品から離れる方向へ押し出す力を加え、前記基板の電子部品の固定を解除する
ことを特徴とする基板ソケット。
【請求項2】
前記スライド部を保持し、前記スライド部に前記ハンドル部から力を加えられたときに前記スライド部を前記基板の電子部品から離れる方向にスライドさせるガイド部
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の基板ソケット。
【請求項3】
前記ハンドル部が前記固定部から離れる方向に動かされたとき、前記ガイド部は、前記固定部を前記基板の電子部品に近づく方向に動かし、
前記固定部は、前記突起部によって前記基板の電子部品を前記基板ソケットに固定する
ことを特徴とする請求項2に記載の基板ソケット。
【請求項4】
前記スライド部は、前記固定部と接する第1の平面を有し、
前記固定部は、前記スライド部と接する第2の平面を有し、
前記基板の電子部品が固定されているとき前記スライド部の前記第1の平面と前記固定部の前記第2の平面が互いに接している
ことを特徴とする請求項1から3いずれかに記載の基板ソケット。
【請求項5】
前記スライド部は、前記ハンドル部と接する第1のテーパー部を有し、
前記ハンドル部は、前記スライド部と接する第2のテーパー部を有し、
前記基板の電子部品が固定されているとき前記スライド部の前記第1のテーパー部と前記ハンドル部の前記第2のテーパー部が互いに接している
ことを特徴とする請求項1から4いずれかに記載の基板ソケット。
【請求項6】
前記ハンドル部に前記固定部へ近づく方向力が加えられたときに、
前記ハンドル部は、前記第1のテーパー部を前記第2のテーパー部上で滑らせることで前記固定部に前記基板の電子部品から離れる方向への力を加える
ことを特徴とする請求項5に記載の基板ソケット。
【請求項7】
前記固定部は、前記基板の電子部品の側面に形成された切り欠き部に前記突起部を勘合させることで前記基板の電子部品を固定する
ことを特徴とする請求項1から6いずれかに記載の基板ソケット。
【請求項8】
請求項1から7いずれかに記載の基板ソケットと、
前記基板ソケットに固定された前記基板の電子部品との間で信号の送受信を行う電子回路と
を備えることを特徴とする電子基板。
【請求項9】
固定部が、ソケット部に挿入された基板の電子部品を固定する突起部を有し、前記ソケット部に固定された部分を回転軸として前記基板の電子部品から離れる方向に回転して前記突起部による前記基板の電子部品の固定を解除し、前記基板の電子部品に近づく方向に回転して前記基板の電子部品を前記ソケット部に固定し、
前記固定部とハンドル部との間に位置し接するスライド部が、前記ハンドル部によって前記固定部に近づく方向に力を加えられたときに、前記基板の電子部品から離れる方向に動き、前記固定部に前記基板の電子部品から離れる方向へ押し出す力を加え、
前記基板の電子部品の前記ソケット部への固定を解除する
ことを特徴とする基板固定方法。
【請求項10】
前記ハンドル部を前記固定部から離れる方向に動かし、
前記ハンドル部が前記固定部から離れる方向に動かされたとき、前記固定部を前記基板の電子部品に近づく方向に動かすガイド部によって、前記固定部を前記基板の電子部品に近づく方向へ回転させ
前記固定部の前記突起部によって前記基板の電子部品を前記ソケット部に固定する
ことを特徴とする請求項9に記載の基板固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の固定機構に関する技術であり、特に、取り外し時の作業性を向上する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
汎用コンピュータ等では、高性能化にともない高密度化が進んでいる。高密度化が進み、基板上のソケットに挿入されたメモリ等の他の基板を取り外す際の作業空間が狭くなっている。例えば、汎用コンピュータ等にメモリとして使用されるDIMM(Dual Inline Memory Module)の取り外し作業においては、DIMMソケット部のラッチ部を左右同時に指で押し広げて嵌合を外し、DIMMを取り外す方法が広く用いられる。しかし、実装基板の高密度化に伴い、DIMMソケット部が小型化され、ラッチ部も小型化されている。ソケット部周辺の作業空間が小さくなったことやラッチ部の指を掛かる部分の小面積化によって、DIMMの取り外し作業の作業性が低下している。そのため、基板の取り外しの作業性を向上できる機構があることが望ましく、関連する技術の開発が行われている。そのような、基板の取り外しの作業性を向上する技術としては、例えば、特許文献1のような技術が開示されている。
【0003】
特許文献1は、DIMM等の回路基板を装着するソケットに関するものである。特許文献1のソケットは、DIMMを突起部において固定するアームを有している。特許文献1のアームは可撓性のある材質で形成され、突起部とソケット側の固定部との間に支柱を有する。特許文献1では、DIMMの両側を固定する2本のアームの上部を押した際に支柱を中心にアームが外側に開くことで容易にDIMMの固定を解除できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−156254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は次のような点で十分ではない。特許文献1では、片手でDIMMの両端にあるアームの上部を押すことを想定している。しかし、特許文献1の構成では、作業性を向上するためには、DIMMの両側のアームの上部を指で押し易い大きさにする必要がある。また、特許文献1の構成では、DIMMの両側のアームの上部に指を入れる必要がある。そのため、特許文献1の技術では、DIMMソケット部の周囲に十分な空間が無いような構造では、DIMMの取り外し作業の作業性を十分には向上できない恐れがある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、基板の装着部付近の空間が狭いような構造においても、基板を外す際の作業性を向上することができる基板ソケットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の基板ソケットは、固定部と、スライド部と、ハンドル部を備えている。固定部は、挿入された基板を固定する突起部を有し、基板の挿入部側を軸として基板の平面方向に動く。スライド部は、固定部と反対側から力を加えられたときに、基板の平面方向の基板から離れる方向に動き、固定部に基板から離れる方向への力を加える。ハンドル部は、スライド部に固定部と反対側から力を加える。また、固定部は、基板から離れる方向に動いたときに、基板の固定を解除する。
【0008】
本発明の基板固定方法は、基板ソケットに挿入された基板を基板ソケットに固定する突起部を有し、基板ソケット側を軸として基板の平面方向に動く固定部の突起部によって、基板を基板ソケットに固定する。本発明の基板固定方法は、固定部と反対側から力を加えられたときに、基板の平面方向の基板から離れる方向に動き、固定部に基板から離れる方向への力を加えるスライド部にハンドル部を介して固定部と反対側から力を加える。本発明の基板固定方法は、固定部を基板から離れる方向に動かし、基板の基板ソケットへの固定を解除する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、基板の装着部付近の空間が狭いような構造においても、基板を外す際の作業性を向上することができる
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態の構成の概要を示す図である。
図2】本発明の第2の実施形態の構成の概要を示す図である。
図3】本発明の第2の実施形態の構成の一部を詳細に示した図である。
図4】本発明の第2の実施形態において基板の固定を解除する際の動作を模式的に示した図である。
図5】本発明の第2の実施形態のスライドピン保持部の構造の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態の基板ソケットの構成の概要を示した図である。本実施形態の基板ソケットは、固定部1と、スライド部2と、ハンドル部3を備えている。固定部1は、挿入された基板を固定する突起部を有し、前記基板の挿入部側を軸として基板の平面方向に動く。スライド部2は、固定部1と反対側から力を加えられたときに、基板の平面方向の基板から離れる方向に動き、固定部1に基板から離れる方向への力を加える。ハンドル部3は、スライド部2に固定部1と反対側から力を加える。また、固定部1は、基板から離れる方向に動いたときに、基板の固定を解除する。
【0012】
本実施形態の基板ソケットでは、ハンドル部3を介してスライド部2に力を加えることで、固定部1を基板から離れる方向に動かし、基板の固定を解除することができる。よって、本実施形態の基板ソケットでは、基板の固定を解除するために、固定部1を直接、操作する必要はない。そのため、本実施形態の基板ソケットを用いることで、基板の装着部付近の空間が狭いような構造においても、基板を外す際の作業性を向上することができる。
【0013】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図2は、本実施形態の電子装置の構成の概要を示した図である。また、図3は、本実施形態の電子装置のスライドピン保持部13の内部における構造を示した図である。本実施形態の電子装置は、DIMM(Dual Inline Memory Module)等の基板を装着する基板ソケットを有する電子基板によって構成され、装着された基板を容易に取り外せる機能を有することを特徴とする。
【0014】
本実施形態の電子装置は、基板11と、ハンドル部12と、スライドピン保持部13と、スライドピン14と、ラッチ部15と、ソケット部16を備えている。また、ソケット部16には、メモリ100が装着されている。
【0015】
基板11は、汎用コンピュータの主基板等に用いられる電子基板である。基板11上には、ハンドル部12、スライドピン保持部13と、スライドピン14と、ラッチ部15およびソケット部16が基板ソケットとして実装されている。基板11には、ソケット部16に装着されたメモリ、電子基板上の電子部品およびCPU(Central Processing Unit)等の半導体装置間で信号の送受信を行う回路や電源回路が形成されている。
【0016】
ハンドル部12は、メモリ100の着脱を行うときに作業者が操作する部位として形成されている。ハンドル部12は、ソケット部16の両側のスライドピン14を押す2本の柱部と、2本の柱部を接続するブリッジ部とを備えている。2本の柱部は、スライドピン14側にテーパー構造、すなわち、基板11に水平な面に対して角度のある平面を有する。2本の柱部においてテーパー構造を形成する平面は、外側、すなわち、ソケット部16と反対側を向くように形成されている。ハンドル部12の2本の柱部は、作業者がブリッジ部を押すことで下降する。また、ハンドル部12の2本の柱部は、作業者がブリッジ部を持ち上げることで上昇する。下降とは、基板11方向へ動くことをいい、上昇とは、基板11から離れる方向に動くことをいう。また、本実施形態のハンドル部12の機能は、第1の実施形態のハンドル部3に相当する。
【0017】
スライドピン保持部13は、スライドピン14およびハンドル部12を保持する機能を有する。スライドピン保持部13は、ソケット部16から一定の高さでソケット部16に固定されている。スライドピン保持部13は、スライドピン14を基板11に対して水平方向に移動させるガイドとして構造を有する。スライドピン保持部13は、ハンドル部12が押し下げられときに、ハンドル部12を基板11に対して垂直方向にガイドとしての構造も有する。
【0018】
また、スライドピン保持部13は、ハンドル部12が持ち上げられ、ハンドル部12の柱部が上昇した際に、スライドピン14をソケット部16側に押し戻す弾性部を備えていてもよい。弾性部は、例えば、らせん状のバネを用いて構成される。弾性部は、ゴムなどらせん状のバネ以外の弾性体によって構成されていてもよい。
【0019】
スライドピン14は、ハンドル部12によって上から押されたときに、水平方向のソケット部16から離れる方向にスライドする。スライドピン14は、水平方向にスライドする際にラッチ部15の上部をソケット部16から離れる方向に押し下げる。スライドピン14は、上面側、すなわち、基板11と反対側に、テーパー構造、すなわち、基板11に水平な面に対して角度のある平面を有する。スライドピン14においてテーパー構造を形成する平面は、内側、すなわち、ソケット部16の側を向くように形成され、ハンドル部12のテーパー構造の平面と互いに向き合うように形成されている。
【0020】
スライドピン保持部13が弾性部を備える構成のとき、スライドピン14は、ハンドル部12が持ち上げられた際に、基板11と水平方向のソケット部16の方向にスライドする。スライドピン14は、基板11と水平方向のソケット部16の方向にスライドする際に、ラッチ部15の上部をソケット部16の方向に押し戻す。また、本実施形態のスライドピン14の機能は、第1の実施形態のスライド部2に相当する。
【0021】
ラッチ部15は、ソケット部16に装着されるメモリ100を固定する。ラッチ部15は、メモリ100の切り欠き部分を突起部として形成されているラッチで固定する。また、ラッチ部15は、上部をスライドピン14に外側に押された際に外側に開くことでメモリ100の固定を解除する。ラッチ部15は、ソケット部16側にメモリ100の水平面と水平な方向に回転する回転軸を有するように固定されている。また、本実施形態のラッチ部15の機能は、第1の実施形態の固定部に相当する。
【0022】
ソケット部16は、メモリ100を挿入するソケットである。ソケット部16は、メモリ100と基板11上の回路とを接続する端子を備えている。
【0023】
メモリ100は、例えば、DIMMが用いられる。メモリ100は、ソケットに挿入され、切り欠き部分で固定する方式のものであればDIMM以外のメモリ基板等であってもよい。
【0024】
本実施形態の電子装置の動作について説明する。始めに、電子装置のソケット部16にメモリ100が装着されている状態から、メモリ100の取り外しを行う場合の動作について説明する。
【0025】
メモリ100の取り外し作業が開始されると、作業者によってハンドル部12が押し下げられる。ハンドル部12が押し下げられると、ハンドル部12の下側のテーパー構造の平面は、スライドピン14の上側のテーパー構造の平面を押しながら降下する。ハンドル部12がスライドピン14の上側の斜めの面を押しながら降下すると、スライドピン14は、スライドピン保持部13に沿って外側に押し出される。
【0026】
スライドピン14が外側に押し出されると、スライドピン14の下側の平面は、ラッチ部15の上側の平面に外向きに押し下げる力を加える。上側の平面に外向きの力が加えられると、ラッチ部15は、ソケット部16側の回転軸を中心に外側、すなわち、メモリ100から離れる方向に開く。ラッチ部15が外側に開くと、ラッチがメモリ100から離れ、メモリ100の固定が解除される。メモリ100の固定が解除されると、作業者によってメモリ100がソケット部16から取り外される。
【0027】
図4は、本実施形態の電子装置において、メモリ100の取り外す際の基板ソケットの各部位の動作を模式的に示した図である。図4の左側の図は、メモリ100がラッチ部15によってソケット部16に固定された状態を示している。また、図4の右側の図は、メモリ100のソケット部16への固定が解除される際の動作を示している。図4の右側の図のように、ハンドル部12が押し上げられると、スライドピン14がスライドピン保持部13の内部のガイドに沿って外側に動く。スライドピン14が外側に動くと、ラッチ部15が回転軸に沿って外側に動き、突起部がメモリ100の切り欠き部から外れる。ラッチ部15の突起部がメモリ100の切り欠き部から外れると、メモリ100のソケット部16への固定が解除される。
【0028】
図5は、内部に弾性部21を有するスライドピン保持部13の構造の例を模式的に示した図である。図5に示したスライドピン保持部13は、図2および図3の右側のスライドピンに相当し、左側のスライドピンは、左右対称の構造を有する。図5の構成では、スライドピン保持部13の内部に、ハンドル部12が基板11の平面に対して垂直方向に動く空間と、スライドピン14が水平方向に動く空間が形成されている。また、スライドピン保持部13には、スライドピン14に取り付けられたスライド軸22が動く溝がガイド23として形成されている。図5の例では、スライドピン14がハンドル部12に押されるとガイド23に沿ってスライド軸22が図の右側に動くことで、スライドピン14が右側に移動する。このように、ハンドル部12を操作してスライドピン14を動かすことで、スライドピン14と接しているラッチ部を動かしメモリ100の固定の解除を行うことができる。
【0029】
次に、図5のような構成のスライドピン保持部13を用いた際に、メモリ100がソケット部16に装着される場合の動作について説明する。作業者によってメモリ100がソケット部16に挿入される。メモリ100がソケット部16に挿入されると、ハンドル部12が引き上げられる。ハンドル部12が引き上げられると、スライドピン14は、弾性部21によって内側に押された状態になる。スライドピン14が内側に動くと、スライドピン14の下側の平面は、ラッチ部15の上側の平面に内向きの力を加える。上側の平面に内向きの力が加えられると、ラッチ部15は、軸を中心に内側、すなわち、メモリ100に近づく方向に動く。ラッチ部15が内側に動くと、ラッチ部15の突起部がメモリ100の切り欠き部に挿入され、メモリ100がソケット部16に固定される。
【0030】
本実施形態の電子装置は、ハンドル部12を押し下げた場合に、スライドピン14を介してラッチ部15に外側に開く力が加えられる。ラッチ部15が外側に開くことで、ソケット部16に装着されているメモリ100のラッチ部15による固定が解除される。そのため、作業者は、メモリ100の固定を解除する際に、ラッチ部15を直接、動かす必要が無いため、ソケット部16の周辺の空間が狭い場合にもメモリ100の取り外し作業が容易となる。また、ハンドル部12を押し下げればよいため、接触等によるメモリ100等の損傷を防ぐことができる。その結果、本実施形態の電子装置は、DIMM等の基板の装着部付近の空間が狭いような構造においても、基板を外す際の作業性を向上することができる。
【0031】
また、図5の例のようにスライドピン保持部13の内部に弾性部21を備える構成とした場合には、メモリ100をソケット部16に挿入した状態でハンドル部12を引き上げることで、メモリ100を固定することができる。そのため、DIMM等の基板の装着部付近の空間が狭いような構造において基板を装着する場合に、基板を固定する際の作業性も向上することができる。
【0032】
第2の実施形態においてラッチ部15は、突起部においてメモリ100の切り欠き部を固定していたが、ラッチ部は、メモリ100の上部を固定する構成であってもよい。また、第2の実施形態ではソケット部16にメモリ100を固定しているが、ソケット部16に固定される基板は、メモリ以外の半導体装置が実装された基板であってもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 固定部
2 スライド部
3 ハンドル部
4 基板ソケット
11 基板
12 ハンドル部
13 スライドピン保持部
14 スライドピン
15 ラッチ部
16 ソケット部
21 弾性部
22 スライド軸
23 ガイド
100 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5