(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
パネルと、前記パネルに指が近づいたときに生じる静電容量の変化を検知する静電容量検知シートと、前記静電容量の変化に基づき前記指を検出してスイッチングを行う静電容量式のタッチスイッチとを備えたフルフラット構造の画像表示装置であって、
前記パネルは、1枚のガラスからなり、
前記静電容量検知シートに対応する画像の表示領域および前記タッチスイッチを含む操作領域として、前記1枚のガラスを共通に用い、
前記表示領域の基板および前記操作領域の基板が前記ガラスの異なる領域に並列に設けられた構造を有することを特徴とする画像表示装置。
前記操作領域の基板の前記電極が設けられた面と反対側の面上に、外部から前記電極へのノイズを防止するグラウンドパターンが設けられた請求項2または5に記載の画像表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0015】
(実施形態1)
<画像表示装置100の構成>
以下、
図1〜
図4に基づき、この発明の実施形態1に係るタッチスイッチ25を備えた画像表示装置100の構成を説明する。
図1は、この発明の画像表示装置100の概略構成を示すブロック図である。
図2は、この発明の画像表示装置100の正面図である。
図3は、
図2に示す表示部101および操作部102の左側面図である。
図4は、
図2に示す操作部102のX部拡大図である。
【0016】
画像表示装置100は、動画、静止画または3D画像等の画像・映像を表示する装置であり、画面上を指先等でタッチすることによって操作するタッチパネルと、操作パネルを指先等でタッチすることによって電源の入切操作やメニュー画面の表示操作などを行うタッチスイッチとを備える。
画像表示装置100としては、例えば、テレビやパーソナルコンピュータ(PC)、パブリックディスプレイ、モニター、電子黒板等のディスプレイがあげられる。
また、画像表示装置100は、据え置き型の画像表示装置に限定されず、スマートフォンやタブレット端末等の携帯型の画像表示装置であってもよい。
【0017】
図1に示されるように、この発明の画像表示装置100は、主として、マイコン10、信号検出部11、スケーラー12、画像メモリー13、画像表示部14、不揮発性メモリー15、揮発性メモリー16、バックライト17、電源ユニット18、DC‐DCコンバータ19、タイマ20、受光部21、通信部22、入力端子部23、表示灯24およびタッチスイッチ25を備える。
【0018】
以下、
図1に示す各構成要素を説明する。
マイコン10は、マイクロプロセッサ(Microprocessor)を主体とする回路であり、各種装置の制御処理やオペレーティングシステム、アプリケーションソフトウェアなどの処理を行う演算装置である。また、周辺回路として、特定の用途のために設計、製造される集積回路であるASIC(Application Specific Integrated Circuit)、その他の演算機
能を有する回路を含んでいてもよい。
【0019】
信号検出部11は、図示しない外部機器から入力端子231〜234を通じて入力された入力信号を検出する部分である。
入力信号の種類としては、例えば、VGA端子やコンポーネント端子等のアナログ入力端子、DVI端子やHDMI(登録商標)端子やDisplayPort端子等のデジタル入力素子、またはUSBコネクタ等の制御系の入力端子に係る入力信号があげられる。
また、有線による入力信号の検出に限らず、Bluetooth(登録商標)や無線LANなどの無線による入力信号を検出するものであってもよい。
【0020】
スケーラー12は、画像データの処理を行う部分である。例えば、画像補整、カラー補正、γ補正、倍速処理、OSD生成およびOSD重畳などの処理を行う。
【0021】
画像メモリー13は、スケーラー12で処理された画像データを格納する部分である。例えば、FRC(Frame Rate Conversion)などに用いられる。
【0022】
画像表示部14は、入力画像や設定画面140などの各種情報の表示を行う部分である。
【0023】
また、画像表示部14は、表示面がタッチパネルで覆われ、表示面に接触したユーザーの指先等の位置を検出してタッチパネル操作を行うことができる。タッチパネルの位置検知方式としては、パネルに指が近づいたときに生じる静電容量の変化を検知する静電容量方式が用いられる。
なお、画像表示部14の表示パネルとしては、タッチスイッチ25と共通のガラス26が用いられる(
図3参照)。
【0024】
不揮発性メモリー15は、制御プログラムやログ情報、ユーザー設定情報、システム情報用の固定テキストなど、画像表示装置100の各種機能を実現するために必要な情報を格納する部分である。不揮発性メモリー15としては、例えば、フラッシュメモリーやEEPROMなどの記憶媒体が用いられる。
【0025】
揮発性メモリー16は、各種データや取引結果を一時的に記憶する部分である。揮発性メモリー16は、プログラムのワークエリア等としても使用する。揮発性メモリー16としては、例えば、SRAMなどの半導体素子やハードディスク等の記憶媒体が用いられる。
【0026】
バックライト17は、画像表示部14の背面から液晶を照明する部分である。バックライト17の光源としては、例えば、LEDや冷陰極蛍光ランプ(CCFL)などが用いられる。また、直下型方式、エッジライト方式その他の方式が用いられる。
【0027】
電源ユニット18は、外部の交流電源を直流に変換して画像表示装置100の各部分に電源を供給する部分である。電源ユニット18としては、例えば、AT電源、ATX電源またはSFX電源などが用いられる。
【0028】
DC‐DCコンバータ19は、電源ユニット18から入力された直流電流を降圧または昇圧して画像表示装置100の各部分に必要な電源を供給する部分である。
【0029】
タイマ20は、画像表示装置100の各種処理の経過時間を計測する部分である。
【0030】
受光部21は、リモコンからの赤外線(IR)信号を受光する部分であり、リモコンからの赤外線信号の受光を通じてユーザーからの指令を受け付ける。
【0031】
通信部22は、ネットワークを介して、外部機器と有線または無線による通信を行い、データを送受信する部分である。ネットワークとしては、LAN、インターネットなどの広域ネットワーク(WAN)、専用の通信回線などが用いられる。
無線通信規格としては、例えば、Bluetooth(登録商標)や無線LANの標準規格であるIEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11n等があげられる。
通信先の外部機器としては、例えば、PC、携帯端末、サーバなど、有線または無線による通信が可能なものがあげられ、レガシインターフェースである、RS−232Cなども含まれる。
【0032】
入力端子部23は、外部機器の端子を接続して信号を入力する部分である。
図1に示す入力端子部23は、外部機器の端子と接続可能な4つの入力端子231〜234を有するが、これは一例であり、任意の数の入力端子を有するものであってもよい。
入力端子部23に接続可能な端子としては、例えば、VGA端子やコンポーネント端子等のアナログ入力端子、DVI端子やHDMI端子やDisplayPort端子等のデジタル入力素子、またはUSBコネクタ等の制御系の入力端子があげられる。
外部機器としては、例えば、PC、携帯端末、レコーダー、ビデオカメラなど、動画または静止画の信号を出力可能なものがあげられる。
【0033】
表示灯24は、LED等により、画像表示装置100の電源状態を表示するランプである。例えば、画像表示装置100の電源が切られている場合は、赤色のLEDを表示させ、電源がついている場合は、緑色のLEDを表示させる。
【0034】
タッチスイッチ25は、静電容量式のタッチスイッチを用い、電源の入切操作やメニュー画面の表示操作などを受け付ける部分である。
タッチスイッチ25は、指先等でタッチしたときに生じた静電容量が予め定められた閾値以上であることを電極30が検知したときに操作を受け付ける。
【0035】
図2に示されるように、画像表示装置100は大きく分けて、表示部101、操作部102および支持部103の3つの部分からなり、操作部102にタッチスイッチ25が設けられている。
【0036】
以下、画像表示装置100の正面から見た側を前方(または前部)、背面側を後方(または後部)とする。
【0037】
図3に示されるように、表示部101および操作部102は、ガラス26を共通のパネルとして共有している。
【0038】
表示部101において、ガラス26の裏面に、静電容量検知シート141、画像表示部14および基板32が順に設けられている。
また、操作部102においては、ガラス26の裏面に導電部材29、電極30および基板31が順に設けられている。
なお、基板31は1つに限られず、複数の基板を実装してもよい。
【0039】
このように、ガラス26を共有しつつも、表示部101の基板32と操作部102の基板31とは別々に設けられているため、タッチスイッチ25の交換等のメンテナンスが容易となる。
【0040】
図4に示されるように、操作部102は、受光部21、表示灯24およびタッチスイッチ25を備える。ユーザーは、タッチスイッチ25のガラス面の所定の箇所を指先等で触れることによって、電源の入切操作またはメニュー画面の表示操作等の操作を行う。
【0041】
この発明の「基板」は、基板31によって実現される。また、この発明の「パネル」は、ガラス26によって実現される。
【0042】
<タッチスイッチ25の構成およびその動作>
次に、
図5〜
図10に基づき、この発明のタッチスイッチ25の構成およびその動作を説明する。
図5は、
図4に示す操作部102のA−A'矢視断面図である。
図6は、この発明の画
像表示装置100のタッチスイッチ25の静電容量の検出手順を示すフローチャートである。
図7は、従来のタッチスイッチ25の電極30の静電容量の検出値の一例を示す説明図である。
図9は、この発明のタッチスイッチ25の電極30の静電容量の検出値の実施例を示すグラフである。
図10は、この発明のタッチスイッチ25の隣の電極30との静電容量の結合が低減される理由を示す説明図である。
【0043】
図5に示されるように、この発明のタッチスイッチ25は、操作用パネル部251、電極部252および基板31からなる。
【0044】
操作用パネル部251は、正面側からAG(Anti-Glare、反射防止)フィルム27、ガラス26およびインク28の順に設けられる。インク28は黒インクなどが用いられ、ガラス26の裏面に塗布される。
ここで、AGフィルム27は0.1mm厚、ガラス26は3.2mm厚、そしてインク28は20μm厚である。
【0045】
また、基板31は電極30Aおよび30Bを備え、これらの電極30Aおよび30B上に導電部材29Aおよび29Bがそれぞれ設けられている。タッチスイッチ25に組み込まれた後の導電部材29Aおよび29Bの前後方向の厚みは約3mmである。
【0046】
図6において、マイコン10の起動処理を実行した後、ステップS1において、電極30が静電容量の変化を検出したとき(ステップS1)、マイコン10は、続くステップS2において、静電容量の検出値が予め定められた閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS2)。
【0047】
静電容量の検出値が予め定められた閾値よりも大きい場合(ステップS2の判定がYesの場合)、マイコン10は、検出結果に応じた処理を行う(ステップS3)。その後、マイコン10は、ステップS1の処理を繰り返す(ステップS1)。
【0048】
一方、静電容量の検出値が予め定められた閾値以下の場合(ステップS2の判定がNoの場合)、マイコン10は、ステップS1の処理を繰り返す(ステップS1)。
【0049】
図7(A)(B)は、従来のタッチスイッチ25において、2つの隣り合った電極30Aおよび30Bによりそれぞれ検出された静電容量の検出値の時間変化を示すグラフの一例である。
ここで、
図7(A)(B)の横軸は時間を、縦軸は電極30により検出された静電容量の検出値の大きさ(任意単位)を示す。
【0050】
図7(A)(B)に示されるように、従来のタッチスイッチ25において、ユーザーの指がタッチスイッチ25に触れたとき、対応する電極30Aが静電容量の変化を検出するだけでなく、隣に位置する電極30Bも、指先との静電容量の結合によって、静電容量の変化が検出されることがある。このような傾向は、特に厚みのある大型ガラスの場合に顕著であり、しばしば誤操作の要因となる。
【0051】
厚みのあるガラス26を用いて静電スイッチを実装した場合、
図8(A)に示されるように、ユーザーが指でタッチスイッチ25のガラス面を押したときに、当該ガラス面に対応する電極30A以外に、隣の電極30Bとの間にも静電容量の結合が発生することがある。
【0052】
また、
図8(B)に示されるように、厚みのあるガラス26の中では、隣り合った電極30Aおよび30B間に静電容量の結合が生じて、センサの感度が悪くなることもある。
それゆえ、厚みのあるガラス26をタッチスイッチ25に用いると、しばしばユーザーが意図しない誤操作が生じることがある。
【0053】
それゆえ、従来、このような隣の電極30Bとの静電容量の結合に起因する誤操作を防止し、電極30Aがユーザーによって選択されたことを正しく判定するには、しばしば静電容量の変化の複雑な解析が必要であり、必要以上に電力を消耗してしまうという問題があった。
【0054】
一方、この発明のタッチスイッチ25を用いて静電容量の変化を計測した結果を
図9に示す。
図9(A)(B)は、この発明のタッチスイッチ25において、2つの隣り合った電極30によってそれぞれ検出された静電容量の検出値の時間変化を示すグラフの一例である。
ここで、
図9(A)(B)の横軸は時間を、縦軸は静電容量の検出値の大きさ(任意単位)を示す。
【0055】
図9において、ユーザーは、期間1において電極30Aまたは電極30Bに対応するタッチスイッチ25のガラス面のいずれか一方だけに指が触れるようにし、期間2において電極30Aおよび電極30Bに対応するタッチスイッチ25のガラス面の両方に指が触れるようにした。
【0056】
図9(A)(B)に示されるように、期間1において、ユーザーの指が電極30Aに対応するタッチスイッチ25のガラス面に触れ、電極30Aが静電容量の変化を検出したとき、隣の電極30Bは、静電容量の変化を検出しなかった。
一方、ユーザーの指が電極30Bに対応するタッチスイッチ25のガラス面に触れ、電極30Bが静電容量の変化を検出したとき、隣の電極30Aは、静電容量の変化を検出しなかった。
【0057】
また、期間2において、ユーザーの指が電極30Aおよび電極30Bに対応するタッチスイッチ25のガラス面に触れたときは、電極30Aおよび電極30Bはいずれも静電容量の変化を検出した。
【0058】
なお、このように改善された理由としては、
図10に示されるように、電極30Aに対応するタッチスイッチ25のガラス面に触れた指と、隣の電極30Bとの間をつなぐ直線的な経路RT1が、2つの電極30Aおよび30Bの間の空気のギャップに遮られるため、指と電極30Bとは、より長い経路RT2を通して結合しなければならず、結果として静電容量の結合強度が低減されるためであるものと考えられる。
【0059】
また、平面状の電極30Aおよび30Bと直接結合する場合とちがって、導電部材29Aおよび29Bは前後方向に厚みをもった立体的な構造を有する。ここで、空気の比誘電率が約1.00058であり、ガラスの比誘電率が約3.5〜9.9であることを考慮すると、導電部材29Bの側面からの静電容量の寄与も完全に無視することができず、その分、指と導電部材29Bの上面とを直接結ぶ静電容量の結合の寄与が低減される可能性も一因として考えられる。
【0060】
(実施形態2)
次に、
図11および
図12に基づき、この発明の実際形態2に係る画像表示装置100のタッチスイッチ25について説明する。
図11は、実施形態2に係るタッチスイッチ25の導電部材29の斜視図である。
図12は、
図11に示す導電部材29のタッチスイッチ25への設置の一例を示す説明図である。
【0061】
図11に示されるように、導電部材29は、内部の弾性部材291と、弾性部材291の周面に設けられた導電性シート292とからなる。
【0062】
図12(A)に示されるように、導電部材29を電極30上に設置した後、操作用パネル部251を基板31に向けて押し込むと、導電部材29は、基板31および操作用パネル部251から圧力を受けて変形する。
このとき、
図12(B)に示されるように、導電部材29は、矢印DAの向きに縮む他に、矢印RAおよびLAの向きにも伸びる。
【0063】
しかしながら、導電部材29は、導電性シート292が巻かれていない面の方向に伸びることはない。
なぜなら、導電性シート292は、伸縮性がないか、または伸縮性が小さいため、このような導電性シート292を弾性部材291の特定の面上に貼り付けることによって、弾性部材291の伸縮性を制御することが可能となるからである。
【0064】
例えば、
図11に示されるように、導電性シート292を弾性部材291に巻き付けた場合、x方向に伸びる導電部材29の変形が妨げられる。なぜなら、x方向の導電性シート292の長さLxが一定に保たれるからである。
【0065】
一方、y方向への導電部材29の変形については、導電性シート292の周の長さ2Ly+2Lzが一定であるという条件で、導電部材29がy方向に伸びるような変形が許される。
【0066】
このようにして、基板31および操作用パネル部251から圧力を受けたとき、予め定められた方向にのみ伸びる導電部材29を実現することができる。
【0067】
(実施形態3)
次に、
図13および
図14に基づき、この発明の実際形態2に係る画像表示装置100のタッチスイッチ25について説明する。
図13は、従来のタッチスイッチ25の構造を示す説明図である。
図14は、実施形態3に係るタッチスイッチ25の構造を示す説明図である。
【0068】
従来のタッチスイッチ25に受光部21や表示灯24を設ける場合、これらの素子をガラス26に直接接着するわけにはいかないため、
図13に示されるように、電極30用の基板31と制御基板37の2部品構成となっていた。
【0069】
図13において、電極30Aおよび30Bを備えた基板31は、接着層33により、ガラス26に接着され、ケーブル配線34を通じて、制御基板37と結合する。
制御基板37は、ガラス26に面した前面に受光部21および表示灯24を備え、後面にコネクタ35および制御デバイス36を備える。
【0070】
しかしながら、このような構成は、ケーブル配線34でノイズを受けやすくなり、また、コストも高くなるという問題があった。
【0071】
そこで、このような問題を解決すべく、
図14に示すように、ガラス26と基板31との間に挟まれた導電部材29によって生じた空隙に受光部21および表示灯24を設ける。
【0072】
このようにすることで、受光部21および表示灯24を配置するスペースが確保できるだけでなく、基板31と制御基板37との間の不安定なケーブル配線34を設ける必要がなくなるため、タッチスイッチ25の感度が非常に高くなる。
【0073】
(実施形態4)
次に、
図15および
図16に基づき、この発明の実際形態3に係る画像表示装置100のタッチスイッチ25のGNDパターン38の配置について説明する。
図15は、タッチスイッチ25内にGNDパターン38を設ける際の問題点を示す説明図である。
図16は、実施形態4に係るタッチスイッチ25の構造を示す説明図である。
【0074】
図15(A)に示されるように、隣の電極との静電結合によるノイズの影響を防止すべく、GNDパターン38が基板31上に設けられることがある。
【0075】
しかしながら、
図15(B)に示されるように、導電部材29の近傍にGNDパターン38が設けられているとき、導電部材29の設置時の作業ミス等により、導電部材29が電極30およびGNDパターン38に接触してショートした場合、タッチスイッチ25の感度が落ちたり、正常動作しなくなったりすることがある。
【0076】
そこで、このような問題を防止すべく、
図16(A)に示されるように、GNDパターン38を基板31の後面側に設ける。電気力線の関係からすると、GNDパターン38の位置が基板31の後面側に来ても物理的な影響は小さい。
【0077】
また、このようにGNDパターン38を配置することにより、
図16(B)に示されるように、導電部材29の配置が作業ミス等により横にずれたとしても、GNDパターン38と接触することによるショートによる不具合を回避することができる。
【0078】
(その他の実施形態)
1.実施形態1〜4において、導電部材29は、直方体形状のみに限られず、例えば、円柱や半円柱形状、またはそれらを組み合わせた形状であってもよい。(実施形態5)
【0079】
このようにすれば、電極30の面積や形状に応じた最適な導電部材29を設けることが可能となる。
【0080】
2.実施形態1〜5において、導電部材29は、ゴムや樹脂等の弾性体を用いるものであってもよく、また、当該弾性体そのものが導電性を有するものであってもよい。(実施形態6)
【0081】
このようにすれば、タッチスイッチ25の構造に応じた最適な導電部材29を設けることが可能となる。
【0082】
以上に述べたように、
(i)この発明の画像表示装置は、パネルに指が近づいたときに生じる静電容量の変化
に基づき、前記指を検出してスイッチングを行う静電容量式のタッチスイッチを備えた画像表示装置であって、前記タッチスイッチは、前記パネルと、静電容量を検知するための電極が実装された基板と、前記電極に対応する導電部材とを備え、前記導電部材は、前記パネルおよび前記電極の間に設けられ、前記パネルおよび前記電極の間に挟まれて固定されることを特徴とする。
【0083】
この発明において、「画像表示装置」は、動画、静止画または3D画像等の画像・映像を表示する装置であり、画面上を指先等でタッチすることによって操作するタッチパネルと、操作パネルを指先等でタッチすることによって電源の入切操作やメニュー画面の表示操作などを行うタッチスイッチとを備える。
画像表示装置としては、例えば、テレビやパーソナルコンピュータ(PC)、パブリックディスプレイ、モニター、電子黒板等のディスプレイがあげられる。
また、据え置き型の画像表示装置に限定されず、スマートフォンやタブレット端末等の携帯型の画像表示装置であってもよい。
【0084】
「パネルに指が近づいたとき」は、指に限られず、ペン先等であってもよい。
【0085】
さらに、この発明の好ましい態様について説明する。
(ii)この発明による画像表示装置において、静電容量検知シートをさらに備え、前記パネルは、前記静電容量検知シートよりも広い面積を有し、前記パネルの前記静電容量検知シートの領域以外の領域に前記タッチスイッチを配置した構成を有するものであってもよい。
【0086】
このようにすれば、パネルの一部をタッチスイッチ用のパネルとして、タッチスイッチを構成することにより、パネルの一部を有効活用でき、また、タッチスイッチ用のパネルにおいては、静電容量検知シートが不要となるため、大幅なコストダウンが可能となる。また、タッチスイッチ付き画像表示装置の組立作業も容易になる。
【0087】
(iii)この発明による画像表示装置において、前記基板は2以上の前記電極を実装し
、前記導電部材は、他の前記導電部材との間に予め定められた間隔を隔てて前記パネルおよび前記電極の間に設けられるものであってもよい。
【0088】
このようにすれば、前記導電部材は、他の前記導電部材との間に予め定められた間隔を隔てて前記パネルおよび前記電極の間に設けられるため、電極間の静電容量の結合強度が低減されて、パネル内の静電容量の結合による意図しない誤操作の発生を簡易な構造で安価に防止するタッチスイッチを備えた画像表示装置を実現できる。
【0089】
(iv)この発明による画像表示装置において、前記導電部材は、前記パネルおよび前記電極の間に設けられたとき、前記パネルおよび前記電極から圧力を受けて予め定められた方向に変形するものであってもよい。
【0090】
このようにすれば、パネルおよび電極から圧力を受けたとき、特定の方向に変形する導電部材を用いることにより、導電部材をパネルと基板との間に組み込む際に、導電部材の変形により、当該導電部材が他の電極や素子等と意図せずに接触することを防止できる。
【0091】
(v)この発明による画像表示装置において、前記基板は2以上の電極を実装し、一の
前記導電部材が前記パネルおよび前記電極から圧力を受けたとき、前記一の導電部材が変形する方向に他の前記導電部材が位置しないように、前記一の導電部材の向きを定めて前記基板上に配置するものであってもよい。
【0092】
このようにすれば、導電部材をパネルと電極との間に組み込む際に、導電部材が変形する方向に他の前記導電部材が位置しないように導電部材の向きを定めて配置することにより、導電部材が変形して他の導電部材と接触することを予め防止できる。
【0093】
(vi)この発明による画像表示装置において、前記導電部材は、直方体、円柱、半円柱形状またはそれらを組み合わせた形状の弾性体の予め定められた面上に、導電性のシートを巻き付けてなり、前記弾性体は、ウレタンフォーム、ゴムまたは樹脂のうち、少なくとも1つを含み、前記パネルおよび前記電極から圧力を受けたとき、前記パネルおよび前記電極間に固定されるものであってもよい。
【0094】
このようにすれば、弾性体に導電性のシートを巻き付けるだけで、特定の方向に変形する導電部材を容易に実現できる。
【0095】
(vii)この発明による画像表示装置において、前記基板の前記電極が設けられた面と
反対側の面上に、外部から前記電極へのノイズを防止するグラウンドパターンを設けるものであってもよい。
【0096】
このようにすれば、電極と反対側の基板にグラウンドパターンを設けることにより、作業ミス等で導電部材が電極からずれて配置されても、ガード用のグラウンドパターンに接触してショートすることがない。
【0097】
(viii)この発明による画像表示装置において、前記導電部材は、前記パネルおよび前記電極の間に設けられたとき、前記パネルおよび前記基板の間に予め定められた大きさの空隙を生じるように設けられ、前記空隙を有する前記基板上に素子が設けられるものであってもよい。
【0098】
このようにすれば、パネルと対応する基板との間の隙間にインジケータLEDやIR受光部を配置することにより、センサ基板と制御基板を分ける必要がなくなるため、不安定なケーブル配線を排除することにより感度が高くなり、また、センサシートが不要になるため、型代、マウス代などのコストの削減もできる。
【0099】
この発明の好ましい態様は、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含む。
前述した実施形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味及び前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。