(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6923710
(24)【登録日】2021年8月2日
(45)【発行日】2021年8月25日
(54)【発明の名称】脚・バスケット組立体、およびそれを用いた杖の振動減衰機構
(51)【国際特許分類】
A63B 29/08 20060101AFI20210812BHJP
F16F 7/00 20060101ALI20210812BHJP
A45B 9/04 20060101ALI20210812BHJP
A63C 11/22 20060101ALI20210812BHJP
【FI】
A63B29/08
F16F7/00 Z
A45B9/04 Z
A63C11/22 B
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-104452(P2020-104452)
(22)【出願日】2020年6月17日
(65)【公開番号】特開2021-79078(P2021-79078A)
(43)【公開日】2021年5月27日
【審査請求日】2020年6月17日
(31)【優先権主張番号】201911157517.0
(32)【優先日】2019年11月22日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520083389
【氏名又は名称】寧海興達旅遊用品有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(74)【代理人】
【識別番号】100175617
【弁理士】
【氏名又は名称】三崎 正輝
(72)【発明者】
【氏名】胡 金学
【審査官】
比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−096578(JP,A)
【文献】
米国特許第04793627(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B27/00−35/12
A63C 1/00−19/12
A45B 1/00−27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支脚(2)と、前記支脚(2)に嵌合し固定されるバスケットと、を含む脚・バスケット組立体であって、
前記支脚(2)の中空の上部には、長手方向に沿って設けられた複数のガイドスロット(22)が円周方向に分布しており、
前記ガイドスロット(22)に対応する位置に、複数の弾性係止脚(51)が円周方向に分布している連結スリーブ(5)をさらに含み、
前記支脚(2)の上端には、前記連結スリーブ(5)が位置制限可能に差し込まれ、
前記支脚(2)と前記連結スリーブ(5)との間の取付ギャップにおいて、前記連結スリーブ(5)の外側に、減振バネ(7)が嵌合するように配置され、前記減振バネ(7)は前記支脚(2)を終始下方向に付勢し、
シャフト(1)の下端が、前記連結スリーブ(5)内に差し込まれ、前記弾性係止脚(51)と係止されて固定された状態において、前記弾性係止脚(51)は、外に押し出されて前記支脚(2)の前記ガイドスロット(22)に係入し、前記連結スリーブ(5)と前記支脚(2)とを上下伸縮可能に連結することを特徴とする、
脚・バスケット組立体。
【請求項2】
前記支脚の上段(211)は、前記連結スリーブ(5)を挿入連結して位置決めをする挿入連結部であり、下段(212)は地面挿入部であり、中段は、前記バスケットと連結する円柱状の雄ネジ山部(21)を有し、
前記バスケットの中央部には、前記雄ネジ山部(21)に対応する雌ネジ山連結柱(31)が成型されており、前記バスケットは、螺合によって調節可能に前記支脚(2)の中段の位置に嵌合することを特徴とする、
請求項1に記載の脚・バスケット組立体。
【請求項3】
前記支脚(2)の前記上段(211)の開口内には、前記連結スリーブ(5)が差し込まれる貫通孔が形成されており、
前記連結スリーブ(5)内には、前記シャフト(1)の下端が挿入される内孔が形成されており、
前記連結スリーブ(5)の長手方向に沿って設けられ、且つ前記シャフト(1)の下端を係止して固定できる前記弾性係止脚(51)は、前記連結スリーブ(5)の筒壁に、円周方向に分布していることを特徴とする、
請求項2に記載の脚・バスケット組立体。
【請求項4】
前記弾性係止脚(51)は2つあり、それぞれ前記連結スリーブ(5)の中央部分の前側と後側に対称に設けられることを特徴とする、
請求項3に記載の脚・バスケット組立体。
【請求項5】
前記弾性係止脚(51)の下端には、ガイド面を有するストッパー(53)が外側に突出して設けられており、
前記弾性係止脚(51)に対応する前記ガイドスロット(22)は、前記支脚(2)の前記上段(211)の、前記雄ネジ山部(21)寄りの側に、縦方向に形成されており、
前記支脚(2)の上端は、拡径の円錐台構造(23)を有し、
前記連結スリーブ(5)が前記支脚(2)の前記上段(211)に差し込まれ、前記弾性係止脚(51)の前記ストッパー(53)が前記ガイドスロット(22)内に入り、前記円錐台構造(23)の下端の段差面(25a)と当接することにより、前記連結スリーブ(5)は位置を制限されることを特徴とする、
請求項4に記載の脚・バスケット組立体。
【請求項6】
前記連結スリーブ(5)の上端の外周には、円形の大径部(52)が成型されており、前記支脚(2)の前記上段(211)の前記貫通孔の内径は、前記連結スリーブ(5)の前記大径部(52)の外径と適合し、
前記貫通孔の内壁には、前記支脚(2)の前記円錐台構造の下端の前記段差面(25a)に対応する位置に、凸環(25)が周方向に成型されており、前記凸環(25)の内径は、前記連結スリーブ(5)の中央部および下部の外径と適合することを特徴とする、
請求項5に記載の脚・バスケット組立体。
【請求項7】
前記減振バネ(7)は、前記連結スリーブ(5)の外側に嵌合し、前記連結スリーブ(5)の前記大径部(52)と前記支脚(2)の前記貫通孔内の前記凸環(25)との間に配置されることを特徴とする、
請求項6に記載の脚・バスケット組立体。
【請求項8】
前記シャフト(1)の下端は、下側に向かうにつれて径が次第に小さくなる構造であり、それに対応するように、前記連結スリーブ(5)の内孔は、下側に向かって径が次第に小さくなる構造であることを特徴とする、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の脚・バスケット組立体。
【請求項9】
前記バスケットは、雪用バスケット(3)と泥用バスケット(4)とを含み、前記支脚(2)の前記中段は、前記泥用バスケット(4)又は前記雪用バスケット(3)の螺合と取付高さ位置の調節がしやすいように、全体として1つの前記雄ネジ山部(21)のみを有し、前記泥用バスケット(4)又は前記雪用バスケット(3)が前記支脚(2)に対して所定位置に連結された状態において、前記泥用バスケット(4)又は前記雪用バスケット(3)の雌ネジ山部(32)は、前記支脚(2)の前記中段の前記雄ネジ山部(21)の上方に位置することを特徴とする、
請求項2〜7のいずれか1項に記載の脚・バスケット組立体。
【請求項10】
前記バスケットは、雪用バスケット(3)と泥用バスケット(4)とを含み、
前記支脚(2)の前記中段は、前記泥用バスケット(4)又は前記雪用バスケット(3)の螺合と取付高さ位置の調節がしやすいように、間隔をあけて設けられた2つの前記雄ネジ山部(21)を有し、
前記泥用バスケット(4)が前記支脚(2)に対して所定位置に連結された状態において、前記泥用バスケット(4)の雌ネジ山部(42)は、前記支脚(2)の2つの前記雄ネジ山部(21)の間に位置し、
前記雪用バスケット(3)が前記支脚(2)に対して所定位置に連結された状態において、前記雪用バスケット(3)の雌ネジ山部(32)は、前記支脚(2)の前記中段の前記2つの前記雄ネジ山部(21)の上方に位置することを特徴とする、
請求項2〜7のいずれか1項に記載の脚・バスケット組立体。
【請求項11】
前記支脚(2)の底部には、金属製石突(6)が設けられ、
前記支脚(2)の底部には、位置決め挿入孔(24)が形成されており、
前記金属製石突(6)の上端には、前記位置決め挿入孔(24)に対応する位置決め柱が設けられ、
前記金属製石突(6)の上端は、前記支脚(2)の底部に嵌め込まれて固定されることを特徴とする、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の脚・バスケット組立体。
【請求項12】
前記支脚(2)の底部には金属製のナイフ形尖頭脚(8)が設けられ、
前記支脚(2)の底部には、位置決め挿入溝(10)が形成されており、
前記位置決め挿入溝(10)の側壁には固定ピン孔(101)が形成され、
前記ナイフ形尖頭脚(8)の中間位置には位置決め口(81)が形成され、
前記ナイフ形尖頭脚の上部は、位置決め挿入溝(10)内に差し込まれ、ピン(9)で固定されることを特徴とする、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の脚・バスケット組立体。
【請求項13】
前記ナイフ形尖頭脚は、上下対称に設計されていることを特徴とする、
請求項12に記載の脚・バスケット組立体。
【請求項14】
シャフト(1)と、
請求項1〜13に記載のいずれか1項に記載の脚・バスケット組立体と、
を含む杖の振動減衰機構であって、
前記シャフト(1)の下端は、前記連結スリーブ(5)内に差し込まれ、前記弾性係止脚(51)と係止されて固定され、
前記連結スリーブ(5)と前記支脚(2)との間に配置されている減振バネ(7)と、前記シャフトとが共働して振動減衰機構を構成することを特徴とする、杖の振動減衰機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杖の技術分野に関し、具体的には、トレッキングポール、スキーポール、歩行杖等の各種杖に適した杖の振動減衰機構と脚・バスケット組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
既存のトレッキングポール、スキーポール等の杖は、主に歩行を補助し、支えとなるものである。人々の健康に対する認識が次第に高まるにつれ、アウトドアスポーツを通じて得られる体験や気分がより重視されるようになってきた。しかし、従来の杖は、振動を回避する機能が備わっていないため、使用時に杖全体と地面とが緩衝なく接触し、振動が手や体の他の部位に伝わりやすく、アウトドアスポーツを楽しんでいる時に、少し残念に感じることがある。
【0003】
現在、市場にも振動減衰機能を備える杖が出てきており、その様な杖は、大きくは2種類に区分される。1種類目は、グリップ部分に弾性機構を設けたものであるが、一般に、嵩が大きく重たいので、あまりコンパクトではなく、使いにくい。2種類目は、金属製又はカーボンファイバー製のパイプ部材の下端に細長い穴をあけて、この細長い穴にピンを通して外側の支脚と連結し、支脚とパイプ部材の下端との間をバネで支持するものである。このような構造を採ると少しコンパクトになるが、以下の不足点がある。1.金属製又はカーボンファイバー製のパイプ部材に細長い穴を打ち抜いて成型する必要があり、加工がしにくい。2.打ち抜き成型工程が増えることにより製造ステップが増え、加工コストの増大を招く。3.金属製又はカーボンファイバー製のパイプ部材に細長い穴をあけることにより、パイプ部材の強度が低下し、耐用年数が短くなる。
【0004】
既存技術として、中国実用新案登録第200720058870号の「折り畳み可能な杖の振動回避構造」があるが、これには、以下のような構造が開示されている。杖は、第1シャフト部と、第2シャフト部と、弾性ロープとを含み、弾性ロープは、第1シャフト部および第2シャフト部の中央の穴を貫通し、第1シャフト部と第2シャフト部とを引っ張りながら保持して連結する。第1シャフト部の中央の穴には段差部が設けられ、第1シャフト部の接合端が嵌合連結する第2シャフト部の受け溝内には、圧縮バネが設けられている。第1シャフト部の接合端が圧縮バネと接合することによって、第2シャフト部と第1シャフト部との間に、軸方向に対して浮動する関係が生まれる。弾性ロープに設けられた係止点が、第1シャフト部内の段差部に係止するため、弾性ロープが収縮すると、第1シャフト部が第2シャフト部の方に引っ張られる。このような折り畳み杖の構造は簡単だが、第1シャフト部と第2シャフト部とが、ロープとバネによって固定されるため、力を入れすぎると、2つのシャフト部が外れやすい。このため、連結強度が不十分であり、安定性が良くないという欠点がある。
【0005】
また、中国実用新案登録第201520063411.5号の「多機能屋外トレッキングポール」の構成は、グリップを含み、グリップは、グリップ後カバーとカーボンシャフトとにそれぞれ連結される。カーボンシャフトは、伸縮シャフトと連結され、伸縮シャフトは、泥除け板と連結され、泥除け板は、杖先滑り止めキャップと連結される。カーボンシャフトには弾性滑り止めグリップが取り付けられ、伸縮シャフトには減振バネが取り付けられる。このような構造の減振バネは、伸縮シャフトの外側に嵌合しているものの、泥除け板と減振バネとの間で支持があるかについては、構造の説明がやや不明確で不十分であり、図から有効な振動減衰作用を発揮しえないと考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする主要な技術的課題は、上述の技術の現状に鑑み、構造が簡潔で組み立てやすく、且つ振動減衰効果を有する脚・バスケット組立体を提供することである。
【0007】
本発明が解決しようとする別の技術的課題は、上述の技術の現状に鑑み、組立が簡単で製造しやすく、且つ振動減衰効果を有する杖の振動減衰機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明が上述の主要な技術的課題を解決するために採用した技術手段は、支脚と、支脚に嵌合し固定されるバスケットと、を含み、以下の特徴を有する、脚・バスケット組立体である。支脚の中空の上部には、長手方向に沿って設けられた複数のガイドスロットが円周方向に分布している。脚・バスケット組立体は、連結スリーブをさらに含み、連結スリーブには、ガイドスロットに対応する位置に、複数の弾性係止脚が円周方向に分布している。支脚の上端には、連結スリーブが位置制限可能に差し込まれる。支脚と連結スリーブとの間には取付ギャップが存在し、取付ギャップであって連結スリーブの外側に減振バネが嵌合する。減振バネは、連結スリーブと支脚との間に配置され、支脚を終始下方向に付勢する。シャフトの下端が連結スリーブ内に差し込まれ、弾性係止脚と係止されて固定された状態において、弾性係止脚は、外に押し出されて支脚のガイドスロットに係入し、連結スリーブと支脚とを上下伸縮可能に連結する。
【0009】
さらには、支脚の上段は、連結スリーブを挿入連結して位置決めをする挿入連結部であり、下段は地面挿入部であり、中段は、バスケットと連結する円柱状の雄ネジ山部を有する。バスケットの中央部には、雄ネジ山部に対応する雌ネジ山連結柱が成型されており、バスケットは、螺合によって調節可能に支脚の中段の位置に嵌合する。
【0010】
さらには、支脚の上段の開口内には、連結スリーブが差し込まれる貫通孔が形成されている。連結スリーブ内には、シャフトの下端が挿入される内孔が形成されている。連結スリーブの長手方向に沿って設けられ、且つシャフトの下端を係止して固定できる弾性係止脚は、連結スリーブの筒壁に円周方向に分布している。
【0011】
好ましくは、弾性係止脚は2つあり、それぞれ連結スリーブの中央部分の前側と後側に対称に設けられる。
【0012】
またさらには、弾性係止脚の下端には、ガイド面を有するストッパーが外側に突出して設けられている。弾性係止脚に対応するガイドスロットは、支脚の上段の、雄ネジ山部寄りの側に、縦方向に形成されている。また、支脚の上端は、拡径の円錐台構造を有する。連結スリーブが支脚の上段に差し込まれ、弾性係止脚のストッパーがガイドスロット内に入り、円錐台構造の下端の段差面と当接することにより、連結スリーブは位置を制限される。
【0013】
好ましくは、連結スリーブの上端の外周には、円形の大径部が成型されており、支脚の上段の貫通孔の内径は、連結スリーブの大径部の外径と適合する。貫通孔の内壁には、支脚の円錐台構造の下端の段差面に対応する位置に、凸環が周方向に成型されており、この凸環の内径は、連結スリーブの中央部および下部の外径と適合する。
【0014】
さらに好ましくは、減振バネは、連結スリーブの外側に嵌合し、連結スリーブの大径部と支脚の貫通孔内の凸環との間に配置される。
【0015】
さらには、シャフトの下端は、下側に向かうにつれて径が次第に小さくなる構造であり、それに対応するように、連結スリーブの内孔は、下側に向かって径が次第に小さくなる構造である。
【0016】
さらには、バスケットは、雪用バスケットと泥用バスケットとを含み、支脚の中段は、泥用バスケット又は雪用バスケットの螺合と取付高さ位置の調節がしやすいように、全体として1つの雄ネジ山部のみを有し、泥用バスケット又は雪用バスケットが支脚に対して所定位置に連結された状態において、泥用バスケット又は雪用バスケットの雌ネジ山部は、支脚の中段の雄ネジ山部の上方に位置する。
【0017】
さらには、バスケットは、雪用バスケットと泥用バスケットとを含み、支脚の中段は、泥用バスケット又は雪用バスケットの螺合と取付高さ位置の調節がしやすいように、間隔をあけて設けられた2つの雄ネジ山部を有する。泥用バスケットが所定位置に連結された状態において、泥用バスケットの雌ネジ山部は、支脚の中段の2つの雄ネジ山部の間に位置し、雪用バスケットが所定位置に連結された状態において、雪用バスケットの雌ネジ山部は、支脚の中段の2つの雄ネジ山部の上方に位置する。
【0018】
さらには、支脚の底部には、金属製石突が設けられる。支脚の底部には、位置決め挿入孔が形成されている。金属製石突の上端には、位置決め挿入孔に対応する位置決め柱が設けられており、金属製石突の上端は、支脚の底部に嵌め込まれて固定される。
【0019】
さらには、支脚の底部には金属製のナイフ形尖頭脚が設けられる。支脚の底部には、位置決め挿入溝が形成されている。位置決め挿入溝の側壁には、固定ピン孔が形成されている。ナイフ形尖頭脚の中間位置には、位置決め口が形成されている。ナイフ形尖頭脚の上部は、位置決め挿入溝内に差し込まれ、ピンで固定される。
【0020】
さらには、ナイフ形尖頭脚は、上下対称に設計されている。
【0021】
本発明が上述のもう1つの技術的課題を解決するために採用した技術的手段は、シャフトと、脚・バスケット組立体と、を含み、以下を特徴とする杖の振動減衰機構である。脚・バスケット組立体には、上述のいずれかの脚・バスケット組立体を使用する。シャフトの下端は、連結スリーブ内に差し込まれ、弾性係止脚と係止されて固定される。連結スリーブと支脚との間で配置されている減振バネと、シャフトとが共働して振動減衰機構を構成する。
【0022】
既存の技術と比べた本発明の特長は以下のようなものである。脚・バスケット組立体は、支脚と、バスケットと、連結スリーブと、を含む。バスケットは、泥用バスケット又は雪用バスケットであり、ネジ山を利用して適切な高さに調節することができる。連結スリーブは、位置制限可能に支脚内に設けられる。シャフトが連結スリーブ内に差し込まれ、弾性係止脚により係止されて固定されることで、連結スリーブと支脚とが上下に運動可能に連結され、また、減振バネが連結スリーブと支脚との間に配置されることによって、振動減衰効果を得ることができる。ナイフ形尖頭脚は、ある場面において地面をとらえる力を大幅に向上させることができ、取り外して上下を入れ替えることができるため、耐久年数を延ばすことができる。本発明は、構造が簡潔であり、シャフトとなるパイプ部材に穴をあける必要がなく、直接挿入連結して固定することができる。このため、金属加工の工程を減らすことができ、加工が簡単でコストの低減ができる。また、パイプ部材の強度を高めることができ、従来の伸縮パイプの組立や連結にも影響を及ぼすことがない。また、使用時の安定性も良好で、振動回避機能を備えているので、振動を有効に低減することができる。全体の機構がコンパクトなので、使用者の使い心地も向上する。さらに、組み立てやすいため、より多くの構造の杖に広く応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施例1にかかる脚・バスケット組立体の斜視図である。
【
図2】
図1の脚・バスケット組立体の断面図である。
【
図3】
図1の脚・バスケット組立体の別の垂直断面を示す断面図である。
【
図4】
図1の脚・バスケット組立体の斜視分解図である。
【
図5】本発明の実施例2にかかる脚・バスケット組立体の斜視図である。
【
図6】
図5の脚・バスケット組立体の断面図である。
【
図7】
図5の脚・バスケット組立体の別の垂直断面を示す断面図である。
【
図8】
図5の脚・バスケット組立体の斜視分解図である。
【
図9】本発明の実施例3にかかる脚・バスケット組立体の斜視図である。
【
図10】
図9の脚・バスケット組立体の断面図である。
【
図11】本発明の実施例4にかかる脚・バスケット組立体の断面図である。
【
図12】本発明の実施例4にかかる脚・バスケット組立体の分解図である。
【
図13】本発明の実施例4にかかる脚・バスケット組立体の断面図である。
【
図14】本発明の実施例5にかかる杖の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面と実施例を結びつけながら、本発明についてさらに詳しく説明する。
<実施例1>
図1〜4は、本発明にかかる振動減衰機構を有する脚・バスケット組立体の第1の実施例であり、この脚・バスケット組立体は、例えばトレッキングポール又はスキーポールのような杖に使用して、杖に固定することができる。この脚・バスケット組立体は、支脚2と、雪用バスケット3又は泥用バスケット4と、連結スリーブ5とを含む。この実施例では、雪用バスケット3を使用している。連結スリーブ5の側壁には、円周方向に複数の弾性係止脚51が形成されている。弾性係止脚51は長手方向に設けられている。雪用バスケット3は、支脚2に嵌合固定される。連結スリーブ5は、位置制限可能に支脚2の上部に差し込まれている。シャフト1の下端が連結スリーブ5内に差し込まれて、連結スリーブ5の弾性係止脚51と係着することにより、弾性係止脚51は外に押し出されて、対応する支脚2のガイドスロット22に係入し、位置制限可能に支脚2に固定され、連結スリーブ5が、弾性係止脚51によって上下伸縮可能に支脚2と連結される。支脚2と連結スリーブ5との間には、取付ギャップがあり、取付ギャップは通常環状である。これにより、取付ギャップにおいて、連結スリーブ5の外側に減振バネ7を嵌合することができ、減振バネ7は、連結スリーブ5と支脚2の間に配置されて、弾性による振動回避作用を発揮する。
【0025】
具体的な構造は、次のとおりである。支脚2は、短い棒状であり、上・中・下の3段に分かれている。上段211は、連結スリーブ5を挿入連結して位置決めをする挿入連結部であり、通常は中空である。下段は、尖角状の地面挿入部212であり、本実施例では、金属製石突6が取りつけられて固定されている。中段は、雪用バスケット3と連結される円柱状の雄ネジ山部21であり、雪用バスケット3の中央部には、雄ネジ山部21に対応する雌ネジ山連結柱31が成型されている。雪用バスケット3は、螺合によって調節可能に支脚2の中段の位置に嵌合する。通常、雪用バスケット3の脚は比較的長いので、雪用バスケット3の雌ネジ山連結柱31は、雪用バスケット3の下側に位置し、雌ネジ山連結柱31の雌ネジ山部32は、バスケット寄りに位置する。支脚2の上段は開口しており、開口内には連結スリーブ5が差し込まれる貫通孔が設けられている。連結スリーブ5内には、シャフト1の下端が挿入される内孔が設けられている。シャフト1の下端は、例えば錐台形状のような、下側に向かうにつれて径が次第に小さくなる構造となっており、これに対応するように、連結スリーブ5の内孔も径が下側に向かって次第に小さくなる構造となっている。これにより、シャフト1の下端が連結スリーブ5の内孔に挿入連結されてしっかりと係合される。弾性係止脚51は、連結スリーブ5の中央部分の前後両側に、それぞれ長手方向に沿って対称に形成されていて、シャフト1の下端を係止して固定することができる。弾性係止脚51と連結スリーブ5は一体構造となっている。弾性係止脚51の上端と連結スリーブ5の周壁はつながっており、弾性係止脚51の下端は、材料の弾性を利用して広がることができる、又はシャフト1を係止することができる。弾性係止脚51の下端には、ガイド面を有するストッパー53が外側に突出して設けられている。もちろん、弾性係止脚51は2個に限られるものではなく、3個、4個などでもよく、円周方向に均等に分布していればよい。支脚2の上段には、中段の雄ネジ山部21寄りの側に、弾性係止脚51に対応する細長いガイドスロット22が縦方向に形成されており、支脚2の上端は、拡径の円錐台構造23である。連結スリーブ5が支脚2の上段の貫通孔内に差し込まれると、弾性係止脚51のストッパー53が細長いガイドスロット22内に入り、円錐台構造23の下端の段差面25aと当接し合って位置を制限される。これにより、連結スリーブ5は、支脚2と適度に伸縮可能に連結される。連結スリーブ5の上端の外周には、位置制限端として、円形の大径部52が成型されており、支脚2の上段の貫通孔の内径は、連結スリーブ5の大径部52の外径に適合する。つまり、支脚2の上段の貫通孔の内径は、基本的に連結スリーブ5の大径部52の外径に相当する必要がある。また、支脚2の貫通孔の内壁には、支脚2の円錐台構造23の下端の段差面25aに対応する位置に、凸環25が周方向に成型されており、この凸環25の内径は、連結スリーブ5の中央部および下部の外径に適合する。こうして、連結スリーブ5を挿入した後は、ぐらつくことがなくなり、安定性と信頼性のある構造にすることができる。支脚2と連結スリーブ5との間には、通常は環状の、取付ギャップ100が形成されている。減振バネ7は、連結スリーブ5の外側に嵌合することができ、連結スリーブ5の大径部52と支脚2の貫通孔内の凸環25との間に配置されるので、支脚2を終始下方向に付勢するとともに、使用中は、振動減衰の効果を発揮する。支脚2の上端は、拡径の円錐台構造23であるので、雪用バスケット3は、螺合により支脚2に取り付けられ、円錐台構造23の下端面に突き当たって位置を制限される。この状態(すなわち雪用バスケットが所定の位置に連結された状態)において、雪用バスケット3の雌ネジ山部32は、最終的に、支脚2の雄ネジ山部21を通過して支脚2の雄ネジ山から外れ、支脚2の中段の雄ネジ山部21の上方に位置する。このようにして、空転効果を実現することができ、雪用バスケット3が反対方向に回って支脚2から外れることが起こりにくい。雪用バスケット3は、下方向の引張力を受けた時にのみ反対方向に回り、ネジ山どうしが噛み合う。そして、ネジ山の作用によって、雪用バスケット3は反対方向に回り、支脚2から外れる。雪用バスケット3の面積は相対的に大きいため、雪用バスケット3のバスケット内には、おおむねスポーク状の補強骨34が嵌合固定されており、さらに、雪用バスケット3のバスケットには、脚・バスケット組立体を雪の中に挿した時に壊れにくいように、雪排出孔33が分布している。また、支脚2の底部には、ナイフ形尖頭脚ではなく、金属製石突6が設けられている。支脚2の底部には、位置決め挿入孔24が形成されている。金属製石突6の上端には、位置決め挿入孔24に対応する位置決め柱が設けられており、位置決め柱の下面は凸リングになっている。金属製石突6の上端は、支脚1の底部に差し込まれて固定される。金属製石突6を設けることによって、脚・バスケット組立体に耐摩擦作用を持たせることができ、構造の強度を高めることができる。
【0026】
<実施例2>
図5〜8に示すのは、本発明にかかる脚・バスケット組立体の第2の実施例であり、本実施例と実施例1の相違点は、泥用バスケット4を採用したことである。この脚・バスケット組立体の泥用バスケット4の中央部には、支脚2の雄ネジ山部21に対応する雌ネジ山連結柱41が成型されている。雪用バスケット3の脚は比較的長いので、雌ネジ山連結柱31は雪用バスケット3の下側に位置していたが、泥用バスケット4は、脚が比較的短いので、雌ネジ山連結柱41は泥用バスケット4の上側に位置し、その内部に雌ネジ山部42が形成されている。泥用バスケット4が、螺合により支脚2に取り付けられ、円錐台構造23の下端面に突き当たって位置を制限された状態(すなわち泥用バスケットが所定の位置に連結された状態)において、泥用バスケット4の雌ネジ山部42は、最終的に、支脚2の雄ネジ山部21を通過して支脚2の雄ネジ山から外れ、支脚2の中段の雄ネジ山部21の上方に位置する。このようにして、空転効果を実現することができ、泥用バスケット4が反対方向に回って支脚2から外れることが起こりにくい。泥用バスケット4は、下方向の引張力を受けた時にのみ反対方向に回り、ネジ山どうしが噛み合う。そして、ネジ山の作用によって、泥用バスケット4は反対方向に回り、支脚2から外れる。その他の構造は、実施例1の構造と類似又は一致する。
【0027】
<実施例3>
図9〜10に示すのは、本発明にかかる脚・バスケット組立体の第3の実施例であり、本実施例と実施例1との相違点は、支脚2の底部に金属製のナイフ形尖頭脚8を設けたことである。ナイフ形尖頭脚8は、好ましくは、上下対称に設計された薄く平たい形状である。支脚2の底部には、位置決め挿入溝10が形成されている。位置決め挿入溝10の側壁には固定ピン孔101が、ナイフ形尖頭脚8の中間位置には位置決め口81がそれぞれ形成されている。ナイフ形尖頭脚8の上部は位置決め挿入溝10内に差し込まれ、ピン9によって固定される。ナイフ形尖頭脚8の頭部の摩耗がひどい時は、取り外して上下を反対にすることで、頭部を入れ替えて取り付けることができ、耐久年数を延ばすことができる。その他の構造は、実施例1の構造と類似又は一致する。
【0028】
<実施例4>
図11〜13に示すのは、本発明にかかる脚・バスケット組立体の第4の実施例であり、本実施例と実施例1の相違点は、支脚2の中段の雄ネジ山部21が、間隔をあけて設けられた上部21aと下部21bの2つである点である。上部21aと下部21bとの間は、泥用バスケット4又は雪用バスケット3の螺合と取付高さ位置の調節がしやすいように、間隔部21cになっている。通常、雪用バスケット3の脚は比較的長いので、雪用バスケット3の雌ネジ山連結柱31は雪用バスケット3の下側に位置し、雌ネジ山連結柱31の雌ネジ山部32はバスケット寄りに位置する。一方、泥用バスケット4の脚は比較的短いので、泥用バスケット4の雌ネジ山連結柱41は、泥用バスケット4の上側に位置しているが、雌ネジ山部42は、依然としてバスケットの下方のバスケット寄りの位置に形成されている。このように、泥用バスケット4が所定の位置に連結された状態において、泥用バスケット4の雌ネジ山部42は、支脚2の中段の雄ネジ山部21の間隔部21cに位置し、空転することができる(
図13参照)。一方、雪用バスケット3が所定の位置に連結された状態において、雪用バスケット3の雌ネジ山部32は、支脚2の中段の雄ネジ山部21の上方に位置し、空転することができる(
図11参照)。その他の構造は、実施例1の構造と類似又は一致する。
【0029】
<実施例5>
図14〜16に示すのは、本発明の脚・バスケット組立体を使用した杖の実施例であり、杖は、トレッキングポール又はスキーポールでよい。この杖は、シャフト1と本願の脚・バスケット組立体とを含む。シャフト1には、従来のアルミニウム合金製のシャフト又はカーボンファイバー製のシャフトを使用してもよい。さらに、従来技術のように、内側シャフトが外側シャフト内に貫設され、ロックアセンブリによってロックされる伸縮式のシャフトを採用してもよい。重要なのは、本発明の杖が特殊な振動減衰機構を有しており、振動減衰機構が脚・バスケット組立体内に設けられていることである。本発明の杖は、シャフト1と脚・バスケット組立体とを含む。この脚・バスケット組立体と、実施例1の脚・バスケット組立体とは類似の構造原理であるが、実施例1との相違点は、泥用バスケット4又は雪用バスケット3の螺合と高さ調節がしやすいように、支脚2の雄ネジ山部21を、間隔をあけて2つ設けた点である。通常、雪用バスケット3の脚は比較的長いので、雪用バスケット3の雌ネジ山連結柱31は、雪用バスケット3の下側に位置し、雌ネジ山連結柱31の雌ネジ山部32は、バスケット寄りに位置する。雪用バスケット3が所定の位置に連結された状態において、雪用バスケット3の雌ネジ山部32は、支脚2の中段の雄ネジ山部21の上方に位置し、空転することができる(
図15参照)。シャフト1の下端が連結スリーブ5内に差し込まれ、弾性係止脚51と係止されて固定されると、連結スリーブ5と支脚2の間で支持している減振バネ7と、シャフト1とが共働して振動減衰機構を構成する。
【0030】
具体的な組立の過程は、以下である。金属製石突6又はナイフ形尖頭脚8を支脚2の底部に嵌め込み、位置決めをして固定する。雪用バスケット3又は泥用バスケット4を、支脚2の中段に螺嵌する。連結スリーブ5に減振バネ7を嵌合して、連結スリーブ5を支脚2の上端の貫通孔に挿入し、弾性係止脚51とガイドスロット22とを正確に合わせて位置決めを行う。シャフト1の下端を連結スリーブ5の内孔に合わせ、挿入する。これにより、弾性係止脚51が広がってシャフト1の下端を係止して固定するとともに、弾性係止脚51が外に押し出されて、支脚2のガイドスロット22に係入し、位置制限可能に支脚2に固定される。これにより、連結スリーブ5は、弾性係止脚51によって、上下伸縮可能に支脚2と連結される。
【0031】
減振バネ7が設けられているので、使用時に振動が有効に抑えられ、使い心地が向上する。また、シャフト1のパイプ部材に穴をあける必要がないので、加工の工程を減らして加工を簡易にし、製造コストを下げることができる上、パイプ部材の強度を高めることができる。さらには、振動回避機構全体がコンパクトになって、杖の軽量化もでき、より快適に使用することができる。このほか、組み立てやすいので、より多くの構造の杖に広く応用することができる。
【0032】
本実施例は、杖の振動減衰機構の最良の実施形態を開示するものであって、本発明の保護範囲を限定するものと理解してはならない。同等又は類似の技術的手段によって代替、実行されるものはすべて、本発明の保護範囲に含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】中国実用新案登録第200720058870号
【特許文献2】中国実用新案登録第201520063411.5号