特許第6923880号(P6923880)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 王子ホールディングス株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社タケナカダンボールの特許一覧

<>
  • 特許6923880-間仕切りユニットおよび組立式間仕切り 図000002
  • 特許6923880-間仕切りユニットおよび組立式間仕切り 図000003
  • 特許6923880-間仕切りユニットおよび組立式間仕切り 図000004
  • 特許6923880-間仕切りユニットおよび組立式間仕切り 図000005
  • 特許6923880-間仕切りユニットおよび組立式間仕切り 図000006
  • 特許6923880-間仕切りユニットおよび組立式間仕切り 図000007
  • 特許6923880-間仕切りユニットおよび組立式間仕切り 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6923880
(24)【登録日】2021年8月3日
(45)【発行日】2021年8月25日
(54)【発明の名称】間仕切りユニットおよび組立式間仕切り
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20210812BHJP
   E04B 2/72 20060101ALI20210812BHJP
【FI】
   E04B2/74 561J
   E04B2/74 561L
   E04B2/72 B
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-180378(P2017-180378)
(22)【出願日】2017年9月20日
(65)【公開番号】特開2019-56221(P2019-56221A)
(43)【公開日】2019年4月11日
【審査請求日】2020年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517241824
【氏名又は名称】株式会社タケナカダンボール
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】門田 光史
(72)【発明者】
【氏名】高田 将平
(72)【発明者】
【氏名】竹中 利文
【審査官】 伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−82796(JP,A)
【文献】 特開2013−185313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/72 − 2/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
山折りおよび谷折りが交互に繰り返されることにより複数の矩形面体が形成された第一板材と、
前記第一板材の上端部および下端部にそれぞれ取り付けられた一対の第二板材と、を備える間仕切りユニットであって、
前記複数の矩形面体の上端中央および下端中央には、それぞれ第一スリットが形成されており、
前記第二板材は、複数の前記第一スリットに差し込まれていることを特徴とする、間仕切りユニット。
【請求項2】
前記第二板材には、前記第一スリットの位置に対応して第二スリットが形成されており、
前記第一スリットの底面と、前記第二スリットの底面とが当接するように、前記第一板材と前記第二板材とが組み合わされていることを特徴とする、請求項1に記載の間仕切りユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の間仕切りユニットを複数組み合わせることにより形成された組立式間仕切りであって、
前記間仕切りユニット同士は、互いの端面同士を突き合わせた状態で、各間仕切りユニットの端部に形成された第一スリットに跨って差し込まれたつなぎ板材を介して連結されていることを特徴とする、組立式間仕切り。
【請求項4】
前記つなぎ板材は、前記第一スリットの位置に対応して第三スリットが形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の組立式間仕切り。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の間仕切りユニットを複数組み合わせることにより形成された組立式間仕切りであって、
隣り合う前記第一板材の端部に形成された前記矩形面体の板面同士を重ね合せた状態で、一方の前記間仕切りユニットの前記第二板材を他方の前記間仕切りユニットの前記端部の矩形面体に形成された前記第一スリットに挿入するとともに、他方の前記間仕切りユニットの前記第二板材の端部を折り曲げた状態で、前記間仕切りユニット同士を連結することを特徴とする、組立式間仕切り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間を区分するために使用する間仕切りユニットおよび組立式間仕切りに関する。
【背景技術】
【0002】
災害時の避難所では、災害による心労に加え、プライバシーを確保することができないことによる心労が懸念されている。そのため、避難所では、プライバシー保護を目的として、間仕切り(パーテーション)の設置が求められている。
【0003】
このような間仕切りは、低コストで、かつ、取り扱いやすいものが求められる。そのため、避難所等において使用することができる簡易的な間仕切りとして、段ボールを使用したものが多数開示されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、段ボール製の間仕切り板の継目上部を上部連結段ボールで固定するとともに、継目下部を下部連結段ボールで固定した間仕切り構造が開示されている。この間仕切り構造では、四角筒状のコーナー連結段ボールにより間仕切り板同士を十字状、T字状またはL字状に連結している。また、各間仕切り板と、上部連結段ボールおよび下部連結段ボールには、接着剤等を要することなく接続するための係合部が形成されている。
【0005】
また、特許文献2には、長さ方向に沿って一定の幅で交互に谷折りおよび山折りを設けた段ボールからなるユニット体を連設するとともに、隣り合うユニット体同士を接着テープにより連結した間仕切り構造が開示されている。
なお、低コストで取り扱いやすい間仕切りは、避難所に限らず、色々な分野で求められており、例えば、展示場等における仮設の間仕切りとしても使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−129593号公報
【特許文献2】特開2006−274740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の間仕切り構造は、自立しない平板状の間仕切り板を使用しているため、間仕切り板同士の連結部に上部連結段ボール、下部連結段ボールまたはコーナー連結段ボールを取り付ける際には、間仕切り板の端面同士を突き合わせた状態で保持しておく必要がある。そのため、複数の人が共同で組立作業を行う必要がある。
【0008】
また、特許文献2の間仕切り構造は、一枚の板材を折り曲げることにより形成されているため、変形しやすく、安定性が懸念されていた。また、接着テープを使用しているため、使用後の解体作業や資源ごみとして廃棄する際の分別作業に手間がかかる。
【0009】
本発明は、前記した問題を解決し、簡易に組立て・撤去することができ、かつ、所望の強度を有した間仕切り構造を形成することができる間仕切りユニットおよび組立式間仕切りを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための本発明の間仕切りユニットは、山折りおよび谷折りが交互に繰り返されることにより複数の矩形面体が形成された第一板材と、前記第一板材の上端部および下端部にそれぞれ取り付けられた一対の第二板材とを備えている。前記複数の矩形面体の上端中央および下端中央には、それぞれ第一スリットが形成されており、前記第二板材が複数の前記第一スリットに差し込まれることで前記第一板材と前記第二板材とが組み合わされている。
【0011】
この構成では、山折りおよび谷折りが繰り返されることにより蛇腹状に形成された第一板材が、一対の第二板材により補強されているため、変形し難い。また、第一板材は、自立可能なため、取り扱いやすい。さらに、第一板材および第二板材は、段ボール等の同じ材料により形成することができるため、使用後に廃棄する際に分別する手間を省略することができる。
【0012】
なお、前記第二板材には、前記第一スリットの位置に対応して第二スリットが形成されており、前記第一スリットの底面と、前記第二スリットの底面とが当接するように、前記第一板材と前記第二板材とが組み合わされてもよい。こうすることで、第二板材の幅寸法(第一板材と組み合わせた際の上下方向の長さ)を大きくすることが可能となり、ひいては、間仕切りユニットの強度をより高めることができる。
【0013】
また、本発明の第一の組立式間仕切りは、複数の間仕切りユニットを組み合わせたものであり、前記間仕切りユニット同士は、互いの端面同士を突き合わせた状態で、各間仕切りユニットの端部に形成された第一スリットに跨って差し込まれたつなぎ板材を介して連結することにより所定の形状(長さ)に形成されている。
この構成では、つなぎ板材を介して複数の間仕切りユニットを連結しているため、任意の長さの間仕切りを形成することが可能となる。なお、前記つなぎ板材には、前記第一スリットの位置に対応して第三スリットが形成されているのが望ましい。
【0014】
また、本発明の第二の組立式間仕切りは、複数の間仕切りユニットを組み合わせたものであり、前記間仕切りユニット同士の接合部において、隣り合う前記第一板材の端部に形成された前記矩形面体の板面同士を重ね合せた状態で、一方の前記間仕切りユニットの前記第二板材を他方の前記間仕切りユニットの前記端部の矩形面体に形成された前記第一スリットに挿入するとともに、他方の前記間仕切りユニットの前記第二板材の端部を折り曲げた状態で、前記間仕切りユニット同士を連結している。
この構成では、間仕切りユニット同士をL字状に組み合わせることができる。そのため、複数の間仕切りユニットを利用して、任意の形状に間仕切りを形成することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の間仕切りユニットおよび組立式間仕切りによれば、簡易に組み立て・撤去することができ、かつ、所望の強度を有した間仕切り構造を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態の組立式間仕切りを示す斜視図である。
図2】本実施形態の間仕切りユニットを示す斜視図である。
図3】(a)〜(c)は、本実施形態の間仕切りユニットを構成する各ブランクシートを示す図である。
図4】間仕切りユニットの組み立て状況を示す斜視図である。
図5】(a)間仕切りユニット同士を直線状に連結する際の組み立て状況を示す斜視図、(b)は直線状に連結された間仕切りユニットの接合部を示す平面図である。
図6】(a)〜(c)は間仕切りユニット同士をL字状に連結する際の各段階を示す平面図である。
図7】(a)〜(c)は他の形態により間仕切りユニット同士をL字状に連結する際の各段階を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態の組立式間仕切り1は、図1に示すように、複数(本実施形態では10個)の間仕切りユニット2を組み合わせることにより所定の空間を囲うように形成された、いわゆるパーテーションである。本実施形態の組立式間仕切り1は、平面視枠状に組立てられており、枠状の組立式間仕切り1の1辺には、空間への出入り口としての開口部11が形成されている。なお、組立式間仕切り1の形状は限定されるものではない。
【0018】
間仕切りユニット2は、図2に示すように、第一板材3と、第一板材3の上端部および下端部にそれぞれ取り付けられた一対の第二板材4,4とを組み合わせることにより形成されている。
【0019】
第一板材3は、山折りおよび谷折りが交互に繰り返されることにより複数の矩形面体31が形成された蛇腹状の板材である。図3(a)に示すように、本実施形態の第一板材3は、長さ(長辺)1600mm、高さ(短辺)1030mmのブランクシートS1からなる。本実施形態のブランクシートS1は、波型の中芯と中芯の表面と裏面に固定されたライナーとを有する、いわゆる段ボールからなる。中芯の凹凸は、ブランクシートS1の長さ方向に沿って交互に形成されている。すなわち、第一板材3の内部には、中芯によって、高さ方向(上下方向)に沿った筒状の空間が多数形成されている。なお、第一板材3を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、厚紙等であってもよい。
【0020】
第一板材3を構成するブランクシートS1は、長さ方向に対して200mm間隔で長さ方向と直交する罫線(折線)32を有している。罫線32は、ブランクシートS1を罫線32において折り曲げやすくなるように形成されており、本実施形態では、破線状の切り込みにより形成されている。なお、罫線32は、ブランクシートS1の表面を押し込むことにより形成された溝や、切り込みであってもよい。また、第一板材3(ブランクシートS1)の各寸法(長さ、高さ、厚さ)や罫線32の間隔(矩形面体31の幅)等は限定されるものではなく、適宜決定すればよい。
【0021】
第一板材3は、図4に示すように罫線32において、隣り合う矩形面体31同士の内角が90°になるように折り曲げることにより蛇腹状に形成されている。なお、矩形面体31同士の内角の大きさは限定されるものではない。
【0022】
図3(a)に示すように、各矩形面体31の上端部および下端部には、第二板材4を差し込むための第一スリット33がそれぞれ形成されている。第一スリット33は、矩形面体31の幅方向(第一板材3の長さ方向)中央(上端中央および下端中央)に形成されている。第一スリット33は、正面視長方形状を呈している。本実施形態では、第一スリット33の深さを100mmとする。また、本実施形態では、第一板材3の両端の矩形面体31に形成された第一スリット33の幅を17mm、その他の矩形面体31に形成された第一スリット33の幅を12mmにする。なお、第一スリット33の形状寸法(深さおよび幅)は限定されるものではなく、適宜決定すればよい。
【0023】
第一板材3の端部(両端の矩形面体31,31)には、それぞれC字状の切り込み34が形成されている。切り込み34を押し曲げると、第一板材3の端部に小判型の開口が形成される。当該開口は、第一板材3(間仕切りユニット2)を取り扱う際の取っ手として使用することができる。なお、切り込み34の形状は限定されるものではなく、例えば、コ字状であってもよい。また、切り込み34の配置および数も限定されるものではなく、適宜決定すればよい。さらに、切り込み34は、必要に応じて形成すればよく、省略してもよい。
【0024】
第二板材4は、図2に示すように、第一板材3の各矩形面体31に形成された第一スリット33に差し込まれた状態で、隣り合う矩形面体31同士の間に横架されている。図3(b)に示すように、本実施形態の第二板材4は、長さ(図3(b)において上下方向の大きさ)1136mm、高さ(幅:図3(b)において左右方向の大きさ)200mmのブランクシートS2からなる。本実施形態のブランクシートS2は、波型の中芯と中芯の表面と裏面に固定されたライナーとを有する、いわゆる段ボールからなる。ブランクシートS2は、中芯の凹凸が、ブランクシートS2の長さ方向に沿って交互に形成されている。すなわち、第二板材4の内部には、中芯によって、長さ方向に沿った筒状の空間が多数形成されている。本実施形態の第二板材4の厚さは、第一板材3の厚さ以下の大きさとする。なお、第二板材4を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、厚紙等であってもよい。また、第二板材4(ブランクシートS2)の各寸法(長さ、高さ、厚さ)は限定されるものではなく、適宜決定すればよい。
【0025】
第二板材4には、第一板材3と係合するための複数のスリット(第二スリット41)が長さ方向に対して所定の間隔(本実施形態では130mm)で複数(矩形面体31と同数)形成されている。第二スリット41は、第一板材3と第二板材4とを組み合わせる際に、第一板材3の第一スリット33とかみ合わせることができる位置に形成されている。本実施形態の第二スリット41は、幅が12mm、深さは第二板材4の幅の半分(100mm)の正面視長方形状の溝である。すなわち、第二板材4は、第二スリット41の底面から第二スリット41と反対側の辺までの距離が第一スリット33の深さと同じ大きさ(100mm)である。なお、第二スリット41の形状寸法(幅および深さ)は限定されるものではなく、適宜決定すればよい。
ブランクシートS2の第二スリット41と反対側の一対の角部は、弧状に隅切されている。なお、ブランクシートS2の角部の形状は限定されるものではない。
【0026】
第一板材3と第二板材4とを組み合わせる際には、図2に示すように、第一スリット33の底面と第二スリット41の底面とが当接するようにする。第二板材4は、第二スリット41の底面から端面(第二スリット41と反対側の辺)までの距離が、第一スリット33の深さと同じであるため、第一板材3と第二板材4とを組み合わせると、第一板材3の端面と第二板材4の端面とが(間仕切りユニット2の上面および下面が)面一になる。そのため、間仕切りユニット2は自立可能である。
【0027】
次に、本実施形態の組立式間仕切り1の組み立て手順について説明する。
本実施形態の組立式間仕切り1は、図1に示すように、10個の間仕切りユニット2を組み合わせることにより平面視で一部が解放された矩形枠状に形成されている。組立式間仕切り1の短辺は、2つの間仕切りユニット2を直線状に連結することにより形成されている。また、組立式間仕切り1の長辺のうちの一方は、3つの間仕切りユニット2を直線状に連結することにより形成されており、他方は、2つの間仕切りユニット2を直線状に連結することにより形成されている。すなわち、他方の長辺には、間仕切りユニット2一つ分の開口部11が形成されている。開口部11では、短辺から間隔をあけて1つの間仕切りユニット2が短辺と平行に配設されている。
【0028】
組立式間仕切り1を組み立てる前に、まず、平板の状態の第一板材3(図3(a)参照)と第二板材4(図3(b)参照)とを組み合わせることにより間仕切りユニット2を形成する。第一板材3は、罫線32において山折りまたは谷折りをすることで、蛇腹状にする。次に、図4に示すように、第一板材3の第一スリット33に上下から第二板材4を差し込むことで、間仕切りユニット2が形成される。
【0029】
2つの間仕切りユニット2を直線状に連結する際には、図5(a)に示すように、間仕切りユニット2の端部同士を突き合わせた状態で、各間仕切りユニット2の端部に形成された第一スリット33に跨ってつなぎ板材5を差し込む。本実施形態では、図5(b)に示すように、両第二板材4,4の外面側につなぎ板材5を添設する。
【0030】
つなぎ板材5は、図3(c)に示すように、第二板材4と同じ厚さでかつ同じ幅のブランクシートS3からなる。本実施形態のブランクシートS3の長さは284mmである。また、ブランクシートS3には、間仕切りユニット2同士の連結部に形成された第一スリット33の位置に対応して、2つの第三スリット51が形成されている。本実施形態の第三スリット51は、幅が12mm、深さは第二板材4の幅の半分(100mm)の正面視長方形状の溝である。第三スリット51同士の間には、130mmの間隔を有している。つなぎ板材5(ブランクシートS3)の第三スリット51と反対側の辺の中央部は、弧状(V字状)に切欠かれている(切欠き52)。切欠き52は、第二板材4の弧状の隅切に応じて形成されている。なお、切欠き52は、必要に応じて形成すればよく、省略してもよい。
【0031】
組立式間仕切り1の角部では、図6(a)〜(c)に示すように、間仕切りユニット2同士をL字状に組み合わせている。
2つの間仕切りユニット2をL字状に連結する際には、まず、図6(b)に示すように、一方の間仕切りユニット2の第二板材4の端部を、第一スリット33から抜き出すとともに、内側に折り曲げる。次に、図6(b)および(c)に示すように、両間仕切りユニット2の端部の矩形面体31同士を重ね合わせる。本実施形態では、一方の間仕切りユニット2の端部の矩形面体31の外側面(図6において下面)31aと、他方の間仕切りユニット2の端部の矩形面体31の内側面(図6において上面)31bとを対向させた状態で重ね合わせる。そして、他方の間仕切りユニット2の第二板材4を重ねられた2枚の矩形面体31,31の第一スリット33,33に差し込むことで、間仕切りユニット2同士をL字状に組み合わせる。なお、間仕切りユニット2同士をL字状に組み合わせる際にも、必要に応じてつなぎ板材5を利用してもよい。このとき、つなぎ板材5は、他方の間仕切りユニット2の第二板材4の端部に添設した状態で、重ねられた2枚の矩形面体31,31の第一スリット33,33に差し込む。
【0032】
なお、組立式間仕切り1の角部の形成方法は限定されるものではない。例えば、図7(a)〜(c)に示す手順により、L字状に組み合わせてもよい。かかる角部の形成方法では、まず、図7(b)に示すように、一方の間仕切りユニット2の第二板材4の端部を、第一スリット33から抜き出すとともに、端部の矩形面体31と平行になるように内側(図面では上側)に折り曲げる。次に、図7(c)に示すように、両間仕切りユニット2の端部の矩形面体31の外側面31a同士を突き合わせた状態で、矩形面体31同士を重ね合わせる。そして、他方の間仕切りユニット2の第二板材4を重ねられた2枚の矩形面体31,31の第一スリット33,33に差し込むことで、間仕切りユニット2同士をL字状に組み合わせる。
【0033】
上記のように、複数の間仕切りユニット2を直線状またはL字状に連結することで、図1に示す平面視矩形状の組立式間仕切り1を形成する。
【0034】
以上、本実施形態の組立式間仕切り1によれば、つなぎ板材5を介して複数の間仕切りユニット2を連結することで所望の長さの間仕切り(パーテーション)を形成することができる。また、間仕切りユニット2同士は、L字状に連結することができるため、間仕切りユニット2により囲まれた空間を簡易に形成することができる。
【0035】
間仕切りユニット2は、蛇腹状を呈しているため、自立が可能である。そのため、間仕切りユニット2同士を連結する際に自立させておくことができるため、比較的少人数で作業を行うことができる。また、間仕切りユニット2は、単独で使用してもよい。
また、第一板材3は、蛇腹状を呈しているとともに、中芯により、横線を中心とした折り曲げに対して強い耐力を有している。そのため、何らかの原因により、間仕切りユニット2に上下方向の圧縮力が作用した場合や、人がぶつかるなどして間仕切りユニット2に対して横向きの力が作用した場合であっても、折れ曲がり難い。
【0036】
また、間仕切りユニット2は、蛇腹状の第一板材3が第二板材4により補強されているため、直線性が保持されている。
第二板材4は、中芯により縦線を中心とした折り曲げに対して強い耐力を有している。そのため、間仕切りユニット2に対して横向きの力が作用した場合であっても折れ曲がり難い。
【0037】
間仕切りユニット2には、切り込み34を押し込むことで取っ手用の開口を形成することができる。当該取っ手を利用することで、持ち運び等が容易となる。
第一板材3、第二板材4およびつなぎ板材5が段ボール製であるため、間仕切りユニット2(組立式間仕切り1)が軽量で、かつ所定の強度を有している。また、第一板材3が第二板材4,4により補強されているため、変形し難い。そのため、移動が容易で、かつ、安定性に優れた間仕切りを形成することができる。
【0038】
間仕切りユニット2は、段ボールのみを組み合わせることにより形成されているため、使用後は分別作業を要することなく、資源ごみとして廃棄することができる。また、間仕切りユニット2(組立式間仕切り1)は、接着剤や粘着テープ等を使用せずにスリット同士をかみ合わせるのみで形成されているため、解体作業も容易である。
第一板材3、第二板材4およびつなぎ板材5は、スリットが形成されたのみの簡易な構成なため、製造コストが安く、また、取り扱いやすい。
【0039】
第一板材3の端部に形成された第一スリット33は、他の第一スリット33に比べて大きな幅を有しているため、第二板材4とともにつなぎ板材5を差し込むことが可能に構成されている。
第二板材4に第二スリット41を形成することで、第二スリット41がない場合に比べて第二板材4の幅(高さ)を大きくすることができ、ひいては、間仕切りユニット2の強度を高めることができる。
【0040】
第一板材3、第二板材4およびつなぎ板材5は、平板の状態で保存することが可能なため、保管時や輸送時に場所をとらない。そのため、輸送時に比較的多量に搬送することができ、また、倉庫等の保管場所において限られたスペースしか確保できない場合であっても、比較的多く保管することができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
組立式間仕切り1(間仕切りユニット2)の用途は限定されるものではなく、例えば、避難所等の間仕切りや展示場等の仮設の間仕切り等に使用してもよい。
組立式間仕切り1を形成するために使用する間仕切りユニット2の数は限定されるものではなく、組立式間仕切りによって囲う空間の大きさや平面形状等に応じて適宜決定すればよい。
【0042】
間仕切りユニット2の高さは限定されるものではなく、適宜決定すればよい。
間仕切りユニット2を上下に連結することで、組立式間仕切り1の高さを高くしてもよい。このとき、下側の間仕切りユニット2の上側の第一スリット33と上側の間仕切りユニット2の下側の第一スリット33とに跨って、幅(高さ)の大きい第二板材4を配設すればよい。
【0043】
本実施形態のブランクシートS1〜S3は段ボール製であるが、各種公知の板紙を使用してもよい。
本実施形態では、間仕切りユニット2が直線状の場合について説明したが、間仕切りユニット2は、弧状であってもよい。
本実施形態では、第一板材3が8つの矩形面体31を有している場合について説明したが、第一板材3が有する矩形面体31の数は限定されるものではない。
本実施形態では、同形状の間仕切りユニット2を組み合わせることにより組立式間仕切り1を形成したが、異なる大きさの間仕切りユニット2を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 組立式間仕切り
2 間仕切りユニット
3 第一板材
31 矩形面体
32 罫線
33 第一スリット
34 切り込み
4 第二板材
41 第二スリット
5 つなぎ板材
51 第三スリット
S1 ブランクシート
S2 ブランクシート
S3 ブランクシート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7