特許第6923910号(P6923910)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6923910
(24)【登録日】2021年8月3日
(45)【発行日】2021年8月25日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20210812BHJP
【FI】
   A63F7/02 312Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-100232(P2017-100232)
(22)【出願日】2017年5月19日
(65)【公開番号】特開2018-192132(P2018-192132A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】591199431
【氏名又は名称】株式会社愛和ライト
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岩田 潤
(72)【発明者】
【氏名】伊佐治 智康
(72)【発明者】
【氏名】安井 裕貴
【審査官】 河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−167832(JP,A)
【文献】 特開2016−059574(JP,A)
【文献】 特開2001−120748(JP,A)
【文献】 特開2012−147895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機であって、
遊技者による操作に基づいて、遊技機内に形成された遊技領域に遊技球を放出する放出手段と、
前記遊技領域に配置され、前記遊技球を複数の流路のうちのいずれかに振り分ける振分装置と、を備え、
前記遊技領域は、第1領域と第2領域を有し、
前記振分装置は、前記第1領域側に入口を有し、前記第2領域側に出口を有し、
前記放出手段により前記遊技領域に放出された遊技球が、最初に前記第1領域へと放出されて、前記入口から前記振分装置に進入可能に構成され、前記振分装置に進入した前記遊技球は、前記複数の流路のうちの少なくとも1つに振り分けられた場合に、前記出口から前記第2領域へと排出されるように構成され、
前記遊技球が前記第1領域から前記第2領域へと到達可能な経路は、前記振分装置を経由する経路以外には存在せず、
前記第1領域と前記第2領域は、前記第1領域から前記振分装置へ進入しない前記遊技球と前記振分装置から前記第2領域へ排出される前記遊技球とが、前記遊技領域内における同一の範囲へ到達しないように区画されており
前記振分装置は、前記遊技球を、前記遊技領域における左側の範囲に送るための流路と、前記遊技領域における右側の範囲に送るための流路と、を備え、
前記遊技領域における前記左側の範囲及び前記右側の範囲には、左右対称に左側役物及び右側役物が設けられ、
前記左側役物及び前記右側役物には、それぞれに上下に伸びる排出流路が設けられ、
前記排出流路に沿う位置には、前記排出流路における前記遊技球の流下を妨げる位置及び妨げない位置へ移動する複数の羽根部材が設けられ、
前記左側役物と前記右側役物との間にある領域には、複数の中央役物が設けられ、
前記振分装置によって前記左側の範囲及び前記右側の範囲のいずれかへと振り分けられる前記遊技球は、更に前記複数の中央役物のうちのいずれか1つか前記排出流路のどちらかに振り分けられるように構成され、
前記排出流路に振り分けられる前記遊技球は、前記羽根部材が前記遊技球の流下を妨げる位置へと移動した場合に当該羽根部材に接触すると、前記排出流路から抜けて前記複数の中央役物のうちのいずれか1つへと進む一方、前記羽根部材が前記遊技球の流下を妨げない位置へと移動した場合には当該羽根部材に接触することなく前記排出流路を流下するように構成されている、
遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機であって、
前記第1領域及び前記第2領域のそれぞれにアウト口が設けられている、遊技機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の遊技機であって、
前記振分装置の有する複数の流路のうちの少なくとも1つは、該振分装置の前記入口に進入した前記遊技球を、前記出口から前記第2領域へと排出することなく、該振分装置の内部において入賞装置に入賞させることが可能に構成された流路である、遊技機。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の遊技機であって、
前記振分装置の有する複数の流路のうちの少なくとも1つは、該振分装置の前記入口に進入した前記遊技球を、前記出口から前記第2領域へと排出することなく、該振分装置の内部において前記遊技領域から排出させることが可能に構成された流路である、遊技機。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の遊技機であって、
前記振分装置は、前記遊技領域の左右中央であり、かつ、該遊技領域における上部側の範囲に配置される、遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、遊技領域に打ち込まれて流下する遊技球を受け入れ、その流下方向を第1方向と第2方向とで振り分け、この振り分けに伴い遊技球の流出先を異ならせる機能を有する振分装置を備える遊技機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−70703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載の遊技機は、振分装置が流路の中段に配置されているため、遊技者の注目を受けにくいという問題があった。よって振分装置により振り分けがなされても、それ自体が遊技の興趣として十分に遊技者に提供されていなかった。
【0005】
本発明は、新たな興趣を奏する遊技機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様は、遊技機であって、遊技者による操作に基づいて、遊技機内に形成された遊技領域に遊技球を放出する放出手段と、上記遊技領域に配置され、上記遊技球を複数の流路のうちのいずれかに振り分ける振分装置と、を備え、当該遊技機は、上記放出手段により上記遊技領域に放出された遊技球が、最初に上記振分装置に進入するように構成されている、遊技機である。
【0007】
このような遊技機であれば、遊技領域に放出された遊技球は、まず振分装置に入ることとなる。そのため、遊技者は振分装置による振り分けの結果に注目することとなり、遊技者に対して振分装置による興趣を十分に与えることができる。
【0008】
なお、上述した振分装置とは、当該振分装置に進入した遊技球を、所定の割合で、或いは、所定の条件を満たしたか否かに基づいて、複数の流路のいずれかに振り分けるように構成されていてもよい。
【0009】
このような遊技機であれば、遊技者に対して振り分けの結果に期待感を持たせることができ、振り分けの実行による興趣を向上させることができる。
また上述した振分装置の有する複数の流路の1つは、該振分装置に進入した上記遊技球を上記振分装置の内部において入賞装置に入賞させることが可能に構成された流路であってもよい。
【0010】
このように構成された遊技機は、振分装置に進入した遊技球が所定の流路に振り分けられたときに、その遊技球を入賞させることができる。ここでいう入賞とは、賞球が得られるものでもよいし、何らかの抽選が実行されるものでもよい。また、例えば大当たり遊技時に大入賞装置として機能してもよい。
【0011】
また上述した振分装置の有する複数の流路の1つは、該振分装置に進入した上記遊技球を上記振分装置の内部において上記遊技領域から排出させることが可能に構成された流路であってもよい。
【0012】
このように構成された遊技機は、振分装置に進入した遊技球が所定の流路に振り分けられたときにそのまま遊技領域から排出される。よって、遊技領域に戻る遊技球の数を制限でき、戻った遊技球への遊技者の注目を集中させることができる。
【0013】
また上述した遊技機において、振分装置は、上記遊技領域の左右中央であり、かつ、該遊技領域における上部側の範囲に配置されていてもよい。
このように構成されていれば、振分装置が遊技者の目につきやすく、遊技者に与える振り分けによる興趣を向上させることができる。
【0014】
また上述した遊技機において、振分装置は、上記遊技球を、上記遊技領域における左側の範囲に送るための流路と、上記遊技領域における右側の範囲に送るための流路と、を備えていてもよい。
【0015】
このような遊技機であれば、振分装置によって遊技球を遊技領域の左右に振り分けることで、遊技領域の広い範囲において遊技を実行させることができる。
また上述した遊技機は、上記振分装置を通過した上記遊技球を、上記遊技領域における左側の範囲と、上記遊技領域における右側の範囲と、に送る流路を備えていてもよい。
【0016】
このような遊技機であれば、振分装置から排出された遊技球を遊技領域の左右に振り分けることで、遊技領域の広い範囲において遊技を実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】パチンコ機の構成を示す正面図である。
図2】振分装置の構造を示す斜視図である。
図3】振分装置の構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、発明を実施するための形態を説明する。
[1.実施形態]
[1−1.全体構成]
図1は、本発明に係る遊技機の一例としてパチンコ機101の実施の一形態を示した外観図である。
【0019】
弾球遊技機の一種であるパチンコ機101の前面部には、上から順に盤面窓枠102、皿扉103、下部ユニット104が配されている。皿扉103には演出ボタン103aが配されており、下部ユニット104にはハンドル104aや灰皿104bが取り付けられている。
【0020】
また、盤面窓枠102には窓107が設けられ、その周辺に電飾108が配されている。また、盤面窓枠102には、窓107を閉塞するためのガラス板107aが窓107の背後に装着される。盤面窓枠102の背後の窓107に臨んだ位置には、中枠に保持された遊技盤109が配されている。遊技盤109とガラス板107aの間に遊技領域110が形成される。この遊技領域110は、遊技球が流下する領域であって、パチンコ機101内に形成される。
【0021】
遊技盤109には、ガイドレール111、振分装置10、入賞装置112、及び複数の役物(風車131、クルーン136、回転障害物138など)が設けられている。
遊技者がハンドル104aを回すと、発射装置104cにより、ハンドル104aの回転量に対応した速度で遊技球が発射される。ハンドル104a及び発射装置104cが、本発明の放出手段に相当する。
【0022】
発射された遊技球はガイドレール111に沿って上昇し、遊技領域110における上方の領域に移動する。遊技球は、遊技領域110の上方側に設けられた複数のブロック121に接触し、振分装置10の開口11に流入する。但し、発射速度が小さく、最も左側に位置するブロック121aに接触した遊技球、及び、ガイドレール111を離れてすぐに落下した遊技球に限り、アウト口122に落下し、遊技領域110(遊技盤109)から排出される。
【0023】
振分装置10の開口11から振分装置10の内部に入った遊技球は、左排出口35L,右排出口35Rのいずれか一方から振分装置10の外部に排出される。左排出口35Lから排出された遊技球は、左レール36Lに乗って左に進み、遊技領域110における左側の範囲に送られる。また、右排出口35Rから排出された遊技球は、右レール36Rに乗って右に進み、遊技領域110における右側の範囲に送られる。すなわち、左排出口35Lは、遊技球を上述した左側の範囲に送るための流路であり、右排出口35Rは、遊技球を上述した右側の範囲に送るための流路である。また、左レール36Lが、遊技球を上述した左側の範囲に送る流路であり、右レール36Rが、遊技球を上述した右側の範囲に送る流路である。
【0024】
振分装置10から排出された遊技球は、左右対称に設けられている役物を経由して流下する。以下では、左側の役物等を中心に説明するが、右側も同様の構成である。
左排出口35Lから振分装置10の外部に排出された遊技球は、左レール36Lにより遊技領域110の左側の範囲に進み、風車131に向かう。風車131は、回転軸131aを中心に回転する。また風車131には9個の溝131bが設けられており、遊技球はそのいずれかに収まり、風車131の回転に伴って移動する。
【0025】
9個の溝131bのうちの8個の溝131bに入った遊技球は、風車131よりも外側(左側)において上下に伸びる排出流路132に排出される。排出流路132に排出された遊技球は、一部を除き、遊技領域110を流下して遊技領域110の下端に設けられるアウト口133に入り、遊技領域110(遊技盤109)から排出される。
【0026】
一方、9個の溝131bのうちの上述した8個を除く1つの溝131bは、遊技球を、風車131の直下に配置されるシーソー134に落下させる。シーソー134は常時左右に揺動しており、遊技球を、遊技領域110の中央側のレール135、及び、排出流路132のいずれかに、一定の割合で振り分ける。レール135に振り分けられた遊技球は、遊技領域110の中央に移動し、クルーン136に落ちる。
【0027】
クルーン136には図示しない複数の貫通穴が形成されており、その中の所定の穴に遊技球が落下したときに限り、その下方に設けられている、前後方向に延びるレール137の奥側に落ちる。
【0028】
排出流路132に沿う位置には、第1羽根部材141が設けられている。第1羽根部材141は、通常は排出流路132における遊技球の流下を妨げない位置にあるが、短い期間のみ、遊技球の流下を妨げる位置に移動する。このときに遊技球が第1羽根部材141に接触すると、排出流路132から抜けて遊技領域110の中央側に進み、レール142を通ってクルーン136に入る。
【0029】
また、排出流路132に沿う位置であって、第1羽根部材141よりも下流側の位置に第2羽根部材143が設けられている。この第2羽根部材143も通常は遊技球の流下を妨げないように位置しているが、短い期間のみ、遊技球の流下を妨げる位置に移動する。このときに遊技球が第2羽根部材143に接触すると、排出流路132から抜けて遊技領域110の中央側に進み、レール144を通って、レール137の奥側に落ちる。
【0030】
レール137は前方が低くなるように傾斜しているため、レール137の奥側に落ちた遊技球は、レール137上を後方から前方に向かって移動する。レール137の両サイドには回転障害物138が設けられている。これらは回転しており、接触した遊技球をレール137から落下させる。回転障害物138に接触しなかった遊技球のみが、入賞装置112に入る。一方、落下した遊技球は、アウト口133に入る。
【0031】
入賞装置112に入賞した場合、即ち入賞装置112に遊技球が入った場合には、大当たり遊技が開始される。大当たり遊技が開始されると、振分装置10の内部に設けられる大入賞装置が開放される。なお本実施形態では入賞装置112に入賞した場合には大当たりが確定するように構成されているが、入賞装置112に入賞した場合には抽選が行われ、当たりであれば大当たり遊技が開始されるように構成されていてもよい。
【0032】
[1−2.振分装置の構成]
まず本発明における振分装置の概念を説明する。
振分装置は、遊技領域に配置され、遊技球を複数の流路のうちのいずれかに振り分ける装置である。流路とは必ずしも壁面等で囲まれたものでなくてもよく、振分装置に振り分けられた結果、遊技球の移動先が異なるものとなればよい。
【0033】
振分装置は、当該振分装置に進入した遊技球を、所定の割合で、或いは、所定の条件を満たしたか否かに基づいて、複数の流路のいずれかに振り分ける。
所定の割合による振り分けとは、遊技球が複数の流路それぞれに進む確率が予め定められている振り分けを意味する。具体的な構成は特に限定されないが、例えば、遊技者にとって有利な流路と不利な流路が存在する場合に、有利な流路へ遊技球が進む割合が1/5、1/10というように予め定まっている構成や、一定の時間ごとに遊技球が進む流路が変化する構成などが挙げられる。
【0034】
また、所定の条件による振り分けとは、例えば、一定の条件を満たした場合にのみ、一方の流路に遊技球が流れ、その他の場合には他の流路に遊技球が流れるように振り分けることが挙げられる。一定の条件とは、例えば、遊技球が所定の位置を通過したことが例示される。
【0035】
パチンコ機は、放出手段(ハンドル104a及び発射装置104c)によって遊技領域に放出された遊技球が、最初に振分装置に進入するように構成されている。ここでいう、「最初に振分装置に進入」とは、(i)遊技球が原則、振分装置に入ること、(ii)振分装置よりも上流に、遊技球が回収されたり、遊技盤から排出されたりする機構が存在しないこと、の2つの条件を満たす場合とすることができる。
【0036】
まず(i)について説明する。少なくとも、パチンコ機が通常の動作モードにあり、遊技者が通常の操作により遊技球を発射した場合に、大部分の遊技球が振分装置に入るように構成されていればよい。
【0037】
通常の操作とは、例えば、入賞装置への遊技球の入賞を狙うことを目的とするパチンコ機において、遊技球が入賞装置に入賞するために必要な操作を遊技者が行うこととすることができる。通常の動作モードとは、例えば、遊技者にとって有利な状態ではない遊技実行状態となるモードである。
【0038】
一方で、通常の動作モードとは異なる動作モードにおいて必要な操作を遊技者が行っているときには、遊技球が振分装置に進入しない構成であってもよい。例えば、大当たり遊技中はいわゆる右打ちを行うが、その場合には通常の入賞装置への入賞が困難であるように構成されたパチンコ機において、右打ち操作をした場合には、遊技球が振分装置に進入しなくとも、上記(i)の条件を満たさないことにはならない。
【0039】
以上のように、普通に遊技を行うときに、大部分の遊技球が振分装置に入るならば、上記(i)の条件が満たされることとなる。具体的な条件については、「普通に遊技を行うときに、大部分の遊技球が振分装置に入る」という条件を満たす範囲で変更可能である。
【0040】
次に、(ii)を満たす具体例としては、振分装置より上流に遊技球が回収される入賞装置が存在しないことが例示される。一方で、例えばスルーチャッカのように、遊技球の通過による特典があるとしても、通過後そのまま遊技球が遊技領域を流下する装置であれば、(ii)の条件を満たすか否かの判断において無視することとしてもよい。
【0041】
なお、(i)(ii)の条件は、必ずしも両方を満たす必要はなく、いずれか一方のみを満たすものであってもよい。例えば、入賞装置などが振分装置よりも上流に設けられていてもよいし、遊技球の大部分が振分装置に入る構成でなくともよい。
【0042】
パチンコ機には、少なくとも上述したような振分装置が設けられていれば、それ以外にも1つ以上の振分装置が設けられていてもよい。
次に、本実施形態で示す振分装置10について説明する。
【0043】
振分装置10は、遊技球が進入する開口11が形成されている。上述したように、遊技球がアウト口122へ流れるためにはガイドレール111の上端は越えるもののブロック121aは超えない速度で発射する必要がある。また、遊技球の発射速度が大きい場合は、開口11よりも右側にある壁面124に接触して開口11に案内される。よって、遊技者が入賞装置112を狙って遊技球を振分装置10へ進入させようとする限り(即ち、大当たりを狙う通常の遊技を行う限り)、遊技者が発射した遊技球の大部分は開口11から振分装置10の内部に進入する。
【0044】
図2を用いて振分装置10の具体的な構成を説明する。振分装置10は、遊技領域110の左右中央に配置されている。また、振分装置10は、遊技領域110における上部側の範囲に配置されている。ここでいう上部側とは、遊技領域110の上下方向の中心よりも上側という意味である。振分装置10が、少なくとも前方から見て大部分が上部側に位置していればよい。
【0045】
開口11から進入した遊技球は、奥側(後方側)が下がった傾斜面12を転がり奥に進む。傾斜面12には複数の突起13が形成されており、遊技球はこれに衝突しながら進む。奥部には複数の貫通穴14が形成されており、遊技球はそのいずれかの貫通穴14から落下する。
【0046】
貫通穴14の下方には、左右に延びる回転軸22を中心として回転可能に構成された左右に広がる回転板21が設けられている。貫通穴14から落下した遊技球は、この回転板21に当接する。通常の動作モードのとき、言い換えると大当たり遊技の実行時以外は、回転板21は前方が下になるように傾斜した状態となっている。そのため貫通穴14から落下して回転板21に当接した遊技球は前方に移動し、流路24に入る。流路24は、前端部分が遊技球1つのみ進入可能な狭路25として形成されているため、遊技球は1つずつ狭路25に進入する。
【0047】
狭路25の下流には、回転体31が設けられている。回転体31は、上方から流下した遊技球を左右に交互に振り分ける装置である。その機構や動作自体は公知の構成を採用することができるため、詳細な説明を割愛する。
【0048】
この回転体31により左右に振り分けられた遊技球は、左右方向に並ぶ左側板32、中央板33、右側板34のうち、左側板32及び中央板33により形成される左排出口35Lと、中央板33及び右側板34により形成される右排出口35Rと、のいずれかから排出される。
【0049】
なお、大当たり遊技時には、図3に示されるように、回転板21がステップモータ23により回転し、後方が下になるように傾斜した状態となる。回転板21の奥側には図示しない大入賞装置が設けられている。つまり図3に示されるように回転板21が移動することにより、大入賞装置が開放される。大入賞装置に入賞すると、遊技者は多くの賞球を得ることができる。
【0050】
このように、振分装置10は、2段階の振り分けが可能に構成されている。回転板21による振分は、遊技領域110の前面側ではない、後方の領域で実行される。
[1−3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
【0051】
(1a)パチンコ機101では、遊技者が通常の遊技操作を行えば、遊技球は振分装置10に入り、左排出口35L又は右排出口35Rから排出されることとなる。そのため、遊技者は振分装置10による振り分けの結果に注目することとなり、振分装置10による興趣を十分に得ることができる。
【0052】
(1b)パチンコ機101では、大当たり遊技時において、振分装置10を大入賞装置の入賞口の開閉機構として機能させることができる。よって、大入賞装置を別途設ける構成と比較して、遊技領域をシンプルな構成にしたり、別の役物等を設けたりすることができるようになる。
【0053】
(1c)振分装置10は、遊技領域110の左右中央であり、かつ、遊技領域110の上部側の範囲に配置されているため、振分装置10が遊技者の目につきやすく、遊技者に与える振り分けによる興趣を向上させることができる。
【0054】
(1d)振分装置10は、遊技球を、遊技領域110の左側の範囲と右側の範囲とに送るように構成されているため、遊技領域110を広く使って遊技球による落下を行わせることができる。また振分装置10は上述した位置に配置されているため、より高い位置から広く遊技領域110を使用することができる。
【0055】
[2.他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0056】
(2a)上記実施形態では、振分装置10を本発明の振分装置の一例として説明したが、これに限定されるものではなく、さまざまな構成の振分装置を用いることができる。例えば、振分装置は、回転板21による振り分け機構を持たず、回転体31による振り分けのみを実行する振分装置であってもよいし、回転板21による振り分けのみを実行する振分装置であってもよい。また、振分装置は、複数の貫通穴の形成されたクルーン136のように、落下する貫通穴によって行き先が変化する構成であってもよい。少なくとも、全体として、複数の流路のいずれかに遊技球を送るように構成されていればよい。
【0057】
また振分装置10の配置される位置は、実施形態に示した位置に限られない。例えば振分装置10は遊技領域110の左右いずれかに寄って配置されていてもよいし、遊技領域110の下方に配置されていてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、回転板21の回転位置によって、大入賞装置への入賞が実現される構成を例示したが、大入賞装置に代えて、遊技球を排出するアウト口が設けられていてもよい。このように構成されていれば、振分装置に進入した遊技球の一部が遊技領域に戻らずに排出される。そのため、遊技領域に戻る遊技球の数を制限でき、戻った遊技球への遊技者の注目を集中させることができる。また、大入賞装置に代えて、通常の入賞装置が設けられていてもよい。
【0059】
(2b)上記実施形態では、放出手段として、ハンドル104aと、その操作に応じて下方から遊技球を遊技領域に発射する発射装置104cと、を含む構成を例示したが、これら以外の装置を放出手段として用いてもよい。例えば、遊技領域の上方から遊技球を落下させることにより遊技領域に遊技球を放出する装置を用いてもよい。
【0060】
(2c)振分装置10は、左レール36L、右レール36Rに遊技球を乗せることにより遊技領域110の左右に遊技球を移動させる構成を例示したが、遊技球が最終的に遊技領域110における左側の範囲と右側の範囲とに移動するならば、その具体的な構成は特に限定されない。例えば、左レール36L及び右レール36Rは、振分装置10を排出されてから、さらに別の役物を通過した遊技球が乗せられるように構成されていてもよい。
【0061】
なお遊技領域110における左側の範囲及び右側の範囲とは、遊技領域110の左右中央を基準として左右に分けたときの左側の領域及び右側の領域と言い換えることができる。遊技領域110の左右中央は、窓107が左右対称であればその左右中央としてもよい。また、遊技球が発射されて遊技領域における最上部に位置した後、即ち遊技球の落下が始まった後において、遊技球が移動しうる範囲の左端と右端の中央を、上述した左右中央としてもよい。もちろん、遊技領域の左右中央を明確に定める必要はない。遊技領域の右側と左側の範囲として通常判断されうる範囲に振り分けが実行されればよい。
【0062】
(2d)振分装置10及びその他の役物等の構成や配置など、上記実施形態の構成に限定されず、さまざまな態様に変更して実施することができる。上記実施形態では遊技領域110に遊技球と当接する遊技釘を配置しない構成を例示しているが、遊技釘が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10…振分装置、11…開口、12…傾斜面、13…突起、14…貫通穴、21…回転板、22…回転軸、23…ステップモータ、24…流路、25…狭路、31…回転体、32…左側板、33…中央板、34…右側板、35L…左排出口、35R…右排出口、36L…左レール、36R…右レール、101…パチンコ機、102…盤面窓枠、103…皿扉、103a…演出ボタン、104…下部ユニット、104a…ハンドル、104b…灰皿、107…窓、107a…ガラス板、108…電飾、109…遊技盤、110…遊技領域、111…ガイドレール、112…入賞装置、121…ブロック、121a…ブロック、122…アウト口、124…壁面、131…風車、131a…回転軸、131b…溝、132…排出流路、133…アウト口、134…シーソー、135…レール、136…クルーン、137…レール、138…回転障害物、141…第1羽根部材、142…レール、143…第2羽根部材、144…レール。
図1
図2
図3