(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。すなわち、実施の形態の例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に記載がない限り、本発明の範囲を限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。また、使用する図面は、本実施の形態を説明するための一例であり、実際の大きさを表すものではない。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。また、本明細書において、「層上」等の「上」は、必ずしも上面に接触して形成される場合に限定されず、離間して上方に形成される場合や、層と層の間に介在層が存在する場合も包含する意味で使用する。
【0009】
(光触媒担持フィルタ)
図1は、本実施の形態が適用される光触媒担持フィルタ100の第1の実施例を説明する図であって、
図1(a)は概略斜視図であり、
図1(b)は
図1(a)に示す光触媒担持フィルタ100のX−X概略断面図である。
図1(a)に示すように、光触媒担持フィルタ100は、厚さ方向に表面21と裏面22を貫通する複数の貫通孔30を設けてなる固形状基材10と、貫通孔30の内部を含む固形状基材10の表面22に形成された光触媒層20と、を有している。
本実施の形態では、固形状基材10と光触媒層20を含む光触媒担持フィルタ100の厚さdは、通常、20mm〜30mmの範囲である。貫通孔30の平面形状は、円形または楕円形である。隣接する2個の貫通孔30の距離(ピッチ)Laは、通常、0.5mm〜10mmの範囲である。隣接する2個の貫通孔30の間隔Lbは、通常、0.5mm〜5mmの範囲である。
【0010】
図1(b)に示すように、本実施の形態では、光触媒担持フィルタ100の光触媒層20は、固形状基材10の表面21側および貫通孔30の内部を含む固形状基材の表面に形成されている。尚、光触媒層20は、固形状基材10の裏面22側に形成されていてもよい。
図1(b)に示すように、光触媒担持フィルタ100の貫通孔30は、固形状基材10の表面21側に設けた孔径aの第1開口部31と、固形状基材10の裏面22側に設けた孔径bの第2開口部32とを有し、孔径aに対して孔径bが小さくなるように(孔径a>孔径b)形成されている。これにより、本実施の形態では、貫通孔30の固形状基材10の厚さ方向の断面形状は、孔径が連続的に減少するテーパ形状になるように形成されている。
第1開口部31の孔径aの大きさは、通常、0.05mm〜5mmの範囲である。第2開口部32の孔径bの大きさは、通常、0.01mm〜3mmの範囲である。
【0011】
図2は、本実施の形態が適用される光触媒担持フィルタ100の層構造の例を説明する概略断面図である。
図2に示すように、光触媒担持フィルタ100は、固形状基材10と、固形状基材10の表面に形成された光触媒層20とを有している。固形状基材10は、光触媒層20と接する外層11と、外層11のさらに内側を構成する内層12とを有している。本実施の形態では、固形状基材10の外層11は、炭化ケイ素を含む材料から構成される。固形状基材10の内層12は、グラファイト状炭素材料から構成される。
光触媒層20の厚さd
2は、通常、0.1μm〜1μmの範囲である。固形状基材10の外層10の厚さd
1は、通常、1μm〜10μmの範囲である。
【0012】
図3(a)〜
図3(d)は、本実施の形態が適用される光触媒担持フィルタ100の貫通孔30の断面形状例を説明する概略断面図である。尚、光触媒層20(
図1(b)参照)は省略している。
図3(a)に示す貫通孔30の断面形状例では、固形状基材10の表面21側から裏面22側に向かって、貫通孔30の孔径が連続的に減少するテーパ状になるように形成されている。すなわち、貫通孔30の孔径は、第1開口部31の孔径aから第2開口部32の孔径b(孔径a>孔径b)になるまで連続的に減少し、裏面22側の孔径bが孔径aより小さくなるように、円錐状の貫通孔30が形成されている。
【0013】
図3(b)に示す貫通孔30の断面形状例では、固形状基材10の表面21側から裏面22側に向かって、貫通孔30の内側に2個の段差33が設けられ、孔径が断続的に減少するように形成されている。すなわち、貫通孔30の孔径は段差33の部分までテーパ状に連続的に減少し、さらに、段差33を超えた箇所から再び孔径が連続的に減少するように形成されている。
【0014】
図3(c)に示す貫通孔30の断面形状例では、固形状基材10の表面21側から裏面22側に向かって、貫通孔30の内側に2個の段差33が設けられている。貫通孔30の形状は、最初の段差33の部分まで一定の孔径(=孔径a)に保たれる。さらに、最初の段差33を超えた箇所から二つ目の段差33の部分まで、孔径aより小さい孔径c(孔径a>孔径c>孔径b)に保たれる。そして、二つ目の段差33の部分を超えた箇所から裏面22側まで、孔径bに保たれるように形成されている。
【0015】
図3(d)に示す貫通孔30の断面形状例では、固形状基材10の表面21側から裏面22側に向かってゆるやかな円錐状に形成された貫通孔30の内面に沿って、螺旋状の溝34が設けられている。貫通孔30の孔径は、第1開口部31の孔径aと比べて第2開口部32の孔径bが小さく(孔径a>孔径b)なるように形成されている。
【0016】
本実施の形態では、第1開口部31の孔径aと第2開口部32の孔径bとの比(孔径b/孔径a)は、通常、0.1〜0.9の範囲であり、好ましくは、0.2〜0.8の範囲である。貫通孔30の形状を、第1開口部31の孔径aに比較して第2開口部32の孔径bを小さくなる(孔径a>孔径b)ように形成することにより、光触媒担持フィルタ100の貫通孔30の内部を含む固形状基材10の表面21に形成された光触媒層20の光触媒作用が活性化される傾向がある。すなわち、光触媒担持フィルタ100の表面21側から紫外線エネルギーを照射する場合、光触媒層20の貫通孔30の内部に形成された部分に紫外線エネルギーが効率良く照射される。その結果、表面21側と裏面22側の孔径が同じ場合と比較して、光触媒作用が活性化されると考えられる。
【0017】
貫通孔30の形状は、上述した円錐状(
図3(a))、断続的なテーパ状(
図3(b))、孔径が異なる円筒状の組み合わせ(
図3(c))、孔径が減少するスパイラル状(ネジ型)(
図3(d))に止まらず、貫通孔30の孔径が減少するように形成されているものであれば限定されない。また、貫通孔30の内側に、表面21側から裏面22側に向かって縦溝が形成されてもよい。
【0018】
図4(a)〜
図4(f)は、本実施の形態が適用される光触媒担持フィルタ100の貫通孔30の平面形状例と配置状態を説明する概略図である。
図4(a)〜
図4(f)には、光触媒担持フィルタ100の平面図として、貫通孔30の表面21側に形成された第1開口部31の配置状態が示されている。
図4(a)に示された貫通孔30は、同一孔径で円形状に形成された複数の第1開口部31が、縦方向と横方向とに等間隔で配置され、全体として格子状に形成されている。
図4(b)に示された貫通孔30は、同一孔径で円形状に形成された複数の第1開口部31が、縦方向と横方向とで、それぞれ1個分だけずらして配置されている。
図4(c)に示された貫通孔30は、同一の三角形状に形成された複数の第1開口部31が、隣接する貫通孔30に対し互いに180度回転させた関係になるように、縦方向と横方向とで、それぞれ配置されている。
図4(d)に示された貫通孔30は、同一の四角形状に形成された複数の第1開口部31が、縦方向と横方向とに等間隔で配置され、全体として格子状に形成されている。
図4(e)に示された貫通孔30は、同一の四角形状に形成された複数の第1開口部31が、縦方向と横方向とで、それぞれ1個分だけずらして配置されている。
図4(f)に示された貫通孔30は、同一の六角形状に形成された複数の第1開口部31が、縦方向と横方向とで、それぞれ1個分だけずらして最密充填となるように配置されている。
【0019】
貫通孔30の平面形状は、
図4に示すような円形、三角形、正方形、六角形のほか、長方形、菱形等の四角形;五角形、七角形以上の多角形;楕円形、星形等が挙げられる。
貫通孔30の平面形状は、表面21側の第1開口部31と裏面22側の第2開口部32とで、形状が異なっていてもよい。また、
図4に示すように、同一形状の複数の貫通孔30の平面形状の大きさが同一のほか、平面形状の大きさが異なってもよい。さらに、異なる平面形状の貫通孔30が混在していてもよい。
【0020】
貫通孔30の分布状態は、
図4に示すように、光触媒担持フィルタ100の表面21に格子状等のように規則的に均一に分布しているほか、放射状、同心円状等でもよい。また、貫通孔30が光触媒担持フィルタ100の表面21にランダムに分布していてもよい。さらに、例えば、光触媒担持フィルタ100の表面21の中央部において貫通孔30の分布密度が高く、かつ周辺部ほど分布密度が低下する等、貫通孔30の分布密度が不均一でもよい。
また、光触媒担持フィルタ100の表面21の表面積に対し、表面21に分布する第1開口部31の面積の総和(表面21における貫通孔30の占める割合)は、特に限定されないが、本実施の形態では、通常、50%〜95%の範囲で調製されている。
【0021】
図5は、本実施の形態が適用される光触媒担持フィルタの第2の実施例を説明する図であって、
図5(a)は円筒状に形成した光触媒担持フィルタ200の概略斜視図であり、
図5(b)は光触媒担持フィルタ200に紫外線ランプ250を取り付けた場合の概略斜視図である。
図5(a)に示す光触媒担持フィルタ200は、中央部分に直径Dの中空部211が形成された円筒部210を有している。円筒部210は固形状基材10(
図1参照)に相当する。円筒部210には、円筒部210の内面側(中空部211側)から円筒部210の外面側に貫通する複数個の貫通孔230が形成されている。尚、
図5(a)では、円筒部210の全体に形成される貫通孔230の一部を示している。また、図示しないが、光触媒層20(
図1参照)は、円筒部210の内面側(中空部211の表面)と貫通孔230の内部の表面に形成されている。
図5(a)に示すように、貫通孔230は、円筒部210の内面側に形成された第1開口部231と円筒部210の外面側に形成された第2開口部232とを有する。そして、第1開口部231の孔径aに対し、第2開口部232の孔径bが小さくなる(孔径a>孔径b)ように形成されている。
【0022】
図5(b)に示す光触媒担持フィルタ200は、中空部211に紫外線ランプ250が挿通されている。
図5(a)と同様な構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図5(b)に示す光触媒担持フィルタ200の場合、浄化対象となる流体(空気、水等)は、中空部211に挿通された紫外線ランプ250と円筒部210との隙間から流入し、貫通孔230を介して円筒部210の外側に流出する。紫外線ランプ250として、波長200nm〜400nmの紫外線エネルギーが得られる発光ダイオード(LED)、熱陰極管、冷陰極管等が挙げられる。
尚、紫外線ランプ250には、外部に設けた発光ダイオード(LED)等により発生した紫外線エネルギーが、光ファイバ等を介して導入される紫外線導光体を使用することもできる。
【0023】
図6(a)は、
図5(b)に示す光触媒担持フィルタ200のY−Y概略断面図である。尚、
図5(b)と同様な構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。また、図示しないが、光触媒層20(
図1参照)は、円筒部210の内面側(中空部211の表面)と貫通孔230の内部の表面に形成されている。
図6(a)に示すように、光触媒担持フィルタ200の中空部211に紫外線ランプ250が収納されている。紫外線ランプ250の両端部はソケット212に装着される。
【0024】
図6(b)は、本実施の形態が適用される光触媒担持フィルタの第3の実施例を説明する概略斜視図である。
図6(b)に示す光触媒担持フィルタ300は、中央部分に直径Dの中空部311が形成された本体部310を有している。尚、図示しないが、中空部311には、
図5(b)と同様に紫外線ランプ250(
図5(b)参照)が挿通される。
本体部310は、光触媒担持フィルタ300の固形状基材10(
図1参照)に相当する。本体部310は、断面形状が四角形となるように形成されている。本体部310には、本体部310の内面側(中空部311側)から本体部310の外面側に貫通する複数の貫通孔330が形成されている。
【0025】
尚、
図6(b)では、本体部310の全体に形成される貫通孔330の一部を示している。また、図示しないが、光触媒層20(
図1参照)は、本体部310の内面側(中空部311の表面)と貫通孔230の内部の表面に形成されている。
図6(b)に示すように、貫通孔330は、本体部310の内面側に形成された第1開口部331と本体部310の外面側に形成された第2開口部332とを有する。そして、第1開口部331の孔径aに対し、第2開口部332の孔径bが小さくなる(孔径a>孔径b)ように形成されている。
尚、本体部310の断面形状は、2辺(M
1,M
2)の長さが等しい(M
1=M
2)正方形、2辺(M
1,M
2)の長さが異なる(M
1=M
2)長方形の形状であればとくに限定されない。
【0026】
次に、本実施の形態が適用される光触媒担持フィルタ100の各層を説明する。
(固形状基材)
本実施の形態において、固形状基材10の内層12はグラファイト状炭素材料から構成される。グラファイト状炭素材料は、炭素材料用樹脂を熱処理加工する等の公知の方法により製造できる。ここで、一般に、有機化合物を加熱すると酸素、水素、窒素等の炭素以外の原子が離脱して炭素化し、さらに加熱を続けると黒鉛化(グラファイト)する。
本実施の形態では、公知の成形方法により成形した炭素材料用樹脂成形体を、熱処理温度900℃〜1450℃で炭素化し、さらに、温度1500℃〜2000℃程度で熱処理を行うことにより黒鉛化(グラファイト)し、グラファイト状炭素材料が得られる。
【0027】
炭素材料用樹脂としては、例えば、フェノール樹脂が挙げられる。なお、フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類との縮合反応により得られる樹脂状物質であって、アルカリ触媒を使用するレゾール型フェノール樹脂、酸触媒を使用するノボラック型フェノール樹脂が挙げられる。
炭素材料用樹脂成形体を得る成形方法としては、例えば、炭素材料用樹脂をゴムの容器型に入れ6面を等圧でプレスする冷間静水圧プレス法、炭素材料用樹脂を押出型に入れて片方から圧力をかけノズルから押し出す押し出し成形法、炭素材料用樹脂を金型に入れてプレスして成形するプレス成形法等が挙げられる。
【0028】
本実施の形態において、固形状基材10の外層11は炭化ケイ素(SiC)を含む材料から構成される。炭化ケイ素(SiC)を含む外層11の調製方法は特に限定されないが、本実施の形態では、例えば、以下のように調製される。
先ず、前述した固形状基材10の内層12を成形するために、フェノール樹脂等を用いて炭素材料用樹脂成形体を成形し、次に、成形した炭素材料用樹脂成形体の表面をシリコン(Si)粉末により被覆する。その後、表面をシリコン(Si)粉末で被覆した炭素材料用樹脂成形体を熱処理して炭素化し、さらに、加熱処理して黒鉛化(グラファイト)することにより、グラファイト状炭素材料からなる内層12の表面に炭化ケイ素(SiC)から構成される外層11が形成される。
【0029】
成形した炭素材料用樹脂成形体の表面をシリコン(Si)粉末により被覆する方法は、特に限定されないが、例えば、シリコン(Si)粉末を、メチルアルコール、エチルアルコール等の分散媒に分散させたシリコン(Si)スラリーを表面に含浸させ、乾燥する方法が挙げられる。シリコン(Si)粉末としては、平均粒径が1μm〜10μm程度の微粉末が好ましい。
【0030】
尚、本実施の形態では、炭化ケイ素(SiC)から構成される外層11の形成において使用するシリコン粉末のシリコン(Si)とフェノール樹脂等の炭素(C)との混合の割合は、シリコン(Si)と炭素(C)との原子比がSi/C=0.05〜4になるように選ぶのが望ましい。
【0031】
(光触媒層20)
本実施の形態において、光触媒層20に使用する光触媒は、例えば、フィルタとして使用する場合、浄化対象としての空気等の流体中に含まれる有害有機物質等を酸化分解による光触媒反応が可能な金属酸化物が挙げられ、特に限定されるものではない。
光触媒の具体例としては、例えば、二酸化チタン(特に、アナタース型二酸化チタン)、ルチル型二酸化チタン、ブルッカイト型二酸化チタンが挙げられる。さらに、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉛、酸化第二鉄等を含んでいても良い。
【0032】
本実施の形態では、光触媒としては、アナタース型二酸化チタンを50質量%以上含んでいるものが好ましい。尚、これらの化合物は、複数種を適宜混合して用いてもよい。
光触媒は、粉末状、塊状、粒状、平板状、繊維状等の様々な形態のものを用いることができる。本実施の形態では、平均粒径1nm〜100nmの粉末状の二酸化チタンを使用している。
【0033】
本実施の形態において、光触媒は、通常、以下の手順により、固形状基材10の外層11に坦持される。即ち、グラファイト状炭素材料を含む内層12と炭化ケイ素(SiC)を含む外層11からなる固形状基材10を、二酸化チタン(TiO
2)等の光触媒を含有するスラリー(TiO
2スラリー)に浸漬し、乾燥後、大気中において100℃〜800℃程度の温度で焼成する。尚、TiO
2スラリーの分散媒として水を使用する。
本実施の形態では、TiO
2スラリーには、例えば、ポリビニルアルコールの水溶液中に二酸化チタン(TiO
2)等を添加、所定の粘度に調整してもよい。ポリビニルアルコールは二酸化チタン(TiO
2)を固形状基材10の外層11の表面に固定する結着剤としても有用である。
TiO
2スラリー中の二酸化チタン(TiO
2)の濃度は特に限定されないが、本実施の形態では、炭化ケイ素(SiC)を含む外層11に坦持した際に、チタン(Ti)と炭素(C)のモル比(Ti/C)が0.1〜2の範囲内になるように調整されている。
【0034】
以上、詳述したように、本実施の形態が適用される光触媒担持フィルタ100は、光触媒層20を有する固形状基材10の厚さ方向に貫通する複数の貫通孔30の形状を、表面21側の第1開口部31の孔径aに比較して裏面22側の第2開口部32の孔径bを小さくなるように形成することにより、光触媒担持フィルタ100の表面21側から照射される紫外線が貫通孔30の内部に形成された光触媒層20に効率良く照射される。その結果、光触媒作用が活性化される。
【0035】
(取り付け型空気清浄器)
次に、本実施の形態が適用される光触媒担持フィルタ100を具える取り付け型空気清浄器について説明する。
図7は、本実施の形態が適用される取り付け型空気清浄器400の一例を示す概要図である。
図7(a)は、取り付け型空気清浄器400の斜視図である。
図7(a)に示すように、取り付け型空気清浄器400は、空気流入口411を設けたケースA410aと空気排気口412(点線で表示)を設けたケースB410bとを組み合わせて一体化した容器本体410と、容器本体410の外部に設けられて容器本体410を、例えば、送風機の一形態としての自動車のエアコンの空気吹き出し口(図示せず)に装着可能とする係止具440とから構成される。取り付け型空気清浄器400は、内部に光触媒担持フィルタと紫外線照射手段を具えている(後述)。
【0036】
図7(b)は、
図7(a)のA方向から見た取り付け型空気清浄器400の正面図である。
図7(b)に示すように、容器本体410を構成するケースB410bには、2個の空気排気口412が設けられている。各空気排気口412は、横方向に細長く形成されたスリット状の穴を縦方向に7段並べて形成されている。
【0037】
図8は、本実施の形態が適用される取り付け型空気清浄器400の分解斜視図である。
図8に示すように、本実施の形態が適用される取り付け型空気清浄器400は、自動車のエアコン等の空気吹き出し口(図示せず)側に空気流入口411が形成されたケースA410aと、空気排気口412が形成されてケースA410aと一体となって容器本体410(
図7(a)参照)を構成するケースB410bとを有している。空気流入口411の形状は特に限定されないが、本実施の形態では、ケースA410aに矩形状の穴が複数形成されている。また、空気排気口412の形状は、前述したように、横方向に細長く形成されたスリット状の穴を縦方向に複数段並べて形成されている(
図7(b)参照)。
【0038】
容器本体410(
図7(a)参照)内部には、ケースA410aの空気流入口411からケースB410bの空気排気口412への風路中に設けられた光触媒担持フィルタ100と、光触媒担持フィルタ100に紫外線エネルギーを供給する紫外線照射手段430が備えられている。さらに、本実施の形態では、光触媒担持フィルタ100の空気流入口411側の面と空気排気口412側の面とにそれぞれ平板状のナイロンメッシュ421が設けられ、フィルタ面の保護や、大きなゴミの付着が防止されている。
【0039】
紫外線照射手段430は、紫外線エネルギーを供給するLEDランプを有する基板431と外部電源(図示せず)と結合するUSB端子432とを具えている。本実施の形態では、紫外線照射手段430は、空気排気口412が形成されたケースB410b側から光触媒担持フィルタ100に波長200nm〜400nmの紫外線を照射している。本実施の形態では、LEDランプに使用する発光ダイオードとして、ナイトライド・セミコンダクター株式会社製NS375L−5RLL(発光波長375nm〜380nm、発光出力8.4mW〜14.0mW)を採用している。係止具440は、空気流入口411が形成されたケースA410aに取り付けられ、容器本体410(
図7(a)参照)を、自動車のエアコンの空気吹き出し口(図示せず)に装着する。
【0040】
図9は、本実施の形態が適用される取り付け型空気清浄器100を、送風機600に適用する場合を説明する図である。
図9に示すように、本実施の形態が適用される取り付け型空気清浄器500は、空気排気口520を設けた容器本体510と、容器本体510を送風機600に装着可能とする係止具540とを有する。尚、空気排気口520に対向する面に設ける空気流入口と、容器本体510に内蔵される光触媒担持フィルタおよび紫外線照射手段(図示せず)は省略する。
【0041】
送風機600は、空気吹き出し口611を設けた送風機本体610を有し、送風機本体610の両側に取り付け部640が設けられている。取り付け部640に取り付け型空気清浄器500の係止具540が固定されることにより、取り付け型空気清浄器500が送風機600に取り付けられる。
本実施の形態では、取り付け型空気清浄器500には、送風機600の送風機本体610の幅に対応して、係止具540がA方向に移動可能のように係止具可動部541が設けられている。尚、図示しないが、取り付け型空気清浄器500の係止具540が、送風機600の取り付け部640に固定されることにより、取り付け型空気清浄器500が送風機600に取り付けられる。