(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補強連結部材は、各ハンドル延出部の前記ハンドル連結部から離間する側の端部と、当該ハンドル延出部の前記第1リンク部材と接続する位置と、の間において、当該ハンドル延出部に接続している、請求項1又は2に記載の乳母車。
側面視において、前記補強連結部材は、前記第1リンク部材と前記前脚との接続位置よりも下方に位置し、前記ハンドル本体の前記ハンドル連結部は、前記第1リンク部材と前記前脚との接続位置よりも上方に位置する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の乳母車。
側面視において、前記補強連結部材は、前記第1リンク部材と前記後脚との接続位置よりも下方に位置し、前記ハンドル本体の前記ハンドル連結部は、前記第1リンク部材と前記後脚との接続位置よりも上方に位置する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の乳母車。
側面視において、前記補強連結部材は、前記第1リンク部材と前記後脚との接続位置よりも後方に位置し、前記第1リンク部材と前記ハンドル延出部との接続位置よりも前方に位置する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の乳母車。
前記補強連結部材の幅方向における両端の間に接続した前記部材は、前記第2リンク部材と前記ハンドル延出部との回動軸線上において、前記ハンドル延出部に接続している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の乳母車。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1〜
図10は、本発明による乳母車の一実施の形態を説明するための図である。このうち
図1〜
図3には、乳母車の全体構成が示されている。
図1〜
図3に示すように、本実施の形態による乳母車10は、乳母車本体20と、乳母車本体20に保持される座席60と、を有している。乳母車本体20が相対動作可能な複数の構成要素を有することで、
図3に示すように、乳母車10は折り畳み可能となっている。また、
図4によく示されているように、乳母車本体20には保持部材50が設けられている。乳母車本体20は、この保持部材50を介し、
図8に示された座席60を着脱可能に保持することができる。とりわけ
図9を参照して後述するように、乳母車本体20は、座席60の前後の向きを変え、すなわち背面状態と対面状態とを変更可能に、座席60を保持することができる。
【0024】
なお、本明細書中において、乳母車10及び乳母車本体20に対する「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、および「上下方向」の用語は、特に指示がない場合、展開状態にある乳母車10を操縦する操縦者(乳母車10の利用者、保護者)を基準とした「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、および「上下方向」を意味する。したがって、「前後方向」とは、
図1における紙面の左下と右上とを結ぶ方向であって、
図2における紙面の左右の方向に相当する。そして、特に指示がない限り、「前」とは、乳母車10を操縦する操縦者が向く側であり、
図1における紙面の左下側並びに
図2における紙面の左側が乳母車10の前側となる。一方、「上下方向」とは前後方向に直交するとともに接地面に直交する方向である。したがって、接地面が水平面である場合、「上下方向」とは垂直方向をさす。また、「幅方向」とは、横方向であって、「前後方向」および「上下方向」のいずれにも直交する方向である。
【0025】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、乳母車10に含まれるいくつかの構成要素は、一部の図面では示されているものの、他の図面では図示を省略されている。
【0026】
上述したように、乳母車10は、乳母車本体20と、乳母車本体20に設けられた保持部材50によって保持される座席60と、を含んでいる。また、乳母車10は、
図1及び
図2に二点鎖線で示すように、座席60に着脱可能に固定されるクッションシート80を有している。乳幼児は、クッションシート80上に乗ることになる。さらに、乳母車10は、収納用のかごや、幌等の図示しない構成要素を更に含んでいてもよい。
【0027】
まず、図示された例を参照して、乳母車本体20について説明する。
図1〜
図4に示すように、乳母車本体20は、全体的に、前後方向に沿った幅方向中心面を中心として概ね対称な構成を有している。乳母車本体20は、車輪33,38及びハンドル40を有しており、操縦者がハンドル40を把持して押し進めることができる手押し車である。
図4に示すように、乳母車本体20は、ハンドル40、下端に車輪33,38を含んだ前脚30及び後脚35に加えて、第1〜第3リンク部材21〜23を主要な構成要素として更に有している。これらの構成要素は、乳母車本体20の折り畳み動作を可能とするため、相対動作可能となっている。
【0028】
図2及び
図4に示すように、第1リンク部材21は、前脚30及び後脚35の上方に位置し、前後方向に延びている。一対の第1リンク部材21が、幅方向に離間して、設けられている。第1リンク部材21は、例えば樹脂成形品として形成されている。
【0029】
図2及び
図4に示すように、第1リンク部材21には、前脚30が接続している。一対の第1リンク部材21に対応して、一対の前脚30が幅方向に離間して設けられている。すなわち、各前脚30は、幅方向において対応する側の第1リンク部材21と接続している。前脚30は、第1リンク部材21の前方部分、とりわけ第1リンク部材21の前端部分に接続している。前脚30は、長手方向を有している。前脚30の長手方向が前方に向けて下方に向かうよう、前脚30は上下方向および前後方向に対して傾斜している。図示された例において、前脚30は、その上端部分において、第1リンク部材21と接続している。前脚30は、第1リンク部材21と揺動可能に接続している。言い換えると、第1リンク部材21及び前脚30は、幅方向に沿った軸線を中心として回動可能となっている。
【0030】
図示された例において、前脚30は、第1リンク部材21とその一端において接続した前脚主材31と、前脚主材31に接続した前輪保持部材32と、前輪保持部材32に図示しない車軸を介して保持された前輪33と、を有している。前脚主材31は、長手方向を有している。前脚主材31は、例えば、金属製や樹脂製のパイプ材を用いて形成され得る。前輪保持部材32は、長手方向を有しており、前脚主材31の延長部として形成されている。前輪保持部材32は、前脚主材31の下端部分に接続している。前輪保持部材32は、その上端部分において、前脚主材31に接続している。
【0031】
図4に示すように、前輪保持部材32は、その下端部分において、前輪33が取り付けられた車軸(図示せず)を保持している。前輪保持部材32は、前脚主材31に取り付けられた取り付け部32aと、車軸を介して前輪33を保持する車軸保持部32cと、これらの間にある中間支持部32bと、を有している。図示された例において、中間支持部32bは、取り付け部32aから幅方向内側へオフセットされている。この結果、中間支持部32bは、前脚主材31よりも幅方向内側にずれた位置に、車軸保持部32cを支持している。車軸保持部32cは、中間支持部32bに対して旋回可能となっていてもよい。この場合、前輪33及び前輪保持部材32を含む前輪保持体はキャスターとして機能する。また、図示された例において、前輪保持体は、双輪形式として、車軸保持部32cの両側に位置する一対の前輪33を有している。中間支持部32bが取り付け部32aに対して幅方向内側にずらされていることから、幅方向外側の前輪33が、幅方向に大きく突出することを回避することができる。
【0032】
前輪保持部材32は、例えば樹脂成形物を用いて形成される。また、前輪保持部材32は、補強用の金属製パイプを含んでいても良い。例えば、中間支持部32bは、金属製パイプを含むようにしてもよい。
【0033】
なお、本明細書において、幅方向内側とは、幅方向における乳母車本体20の中心に接近する側のことである。一方、幅方向外側とは、幅方向における乳母車本体20の中心から離間する側のことである。
【0034】
図4及び
図5に示すように、乳母車本体20は、一対の前脚30を連結する部材を有している。図示された乳母車本体20では、
図5に示すように、乳母車本体20は、一対の前脚30の間を連結する前脚連結部材26と、前脚連結部材26上に設けられた前方部材27と、を有している。前脚連結部材26は、例えば金属製パイプを用いて形成される。前方部材27は、例えば樹脂成型品を用いて形成される。
【0035】
前脚連結部材26は、その両端を前輪保持部材32に接続している。したがって、前脚連結部材26の前脚30への接続を確保するために別途の部材を前脚主材31上に設ける必要がない。また、前脚連結部材26は、
図2に示された側面視において、前輪保持部材32によって隠蔽される。したがって、意匠性の面からも都合が良い。また、前方部材27は、幅方向に延びる回動軸線を中心として、前脚連結部材26に対して回動可能となっている。この前方部材27は、後述するように、第2リンク部材22の一部分を構成している。
【0036】
図2及び
図4に示すように、第1リンク部材21には、後脚35がさらに接続している。一対の第1リンク部材21に対応して、一対の後脚35が幅方向に離間して設けられている。すなわち、各後脚35は、幅方向において対応する側の第1リンク部材21と接続している。後脚35は、第1リンク部材21の前方部分、とりわけ第1リンク部材21の前端部分に接続している。後脚35は、長手方向を有している。後脚35の長手方向が後方に向けて下方に向かうよう、後脚35は上下方向および前後方向に対して傾斜している。図示された例において、後脚35は、その上端部分において、第1リンク部材21と接続している。後脚35は、第1リンク部材21と揺動可能に接続している。言い換えると、第1リンク部材21及び後脚35は、幅方向に沿った軸線を中心として回動可能となっている。
【0037】
とりわけ、
図2に示すように、後脚35は、対応する前脚30と同一位置において、第1リンク部材21と接続している。すなわち、第1リンク部材21と前脚30との接続位置JP1は、第1リンク部材21と後脚35との接続位置JP2と一致している。したがって、第1リンク部材21に対する前脚30の回動軸線と、第1リンク部材21に対する後脚35の回動軸線も一致する。
【0038】
図示された例において、後脚35は、第1リンク部材21とその一端において接続した後脚主材36と、後脚主材36に接続した後輪保持部材37と、後輪保持部材37に図示しない車軸を介して保持された後輪38と、を有している。後脚主材36は、例えば、金属製のパイプを用いて形成されている。図示された例において、後脚主材36は、その中間部分において屈曲または湾曲している。そして、後脚主材36の下方部分は、後脚主材36の上方部分よりも幅方向内側に位置している。これにより、後輪保持部材37及び後輪38の幅方向外側への突出を抑制することができる。後輪保持部材37は、例えば樹脂成形物を用いて形成される。後輪保持部材37には、後輪38の制動機構が設けられていてもよい。
【0039】
図4に示すように、乳母車本体20は、一対の後脚35を連結する後脚連結部材28を有している。後脚連結部材28は、その両端を後輪保持部材37に接続している。したがって、後脚連結部材28の後脚35への接続を確保するために別途の部材を後脚主材36上に設ける必要がない。また、後脚連結部材28は、側面視において、後輪保持部材37によって隠蔽される。したがって、意匠性の面からも都合が良い。後脚連結部材28は、例えば樹脂成形物を用いて形成される。
【0040】
図2及び
図4に示すように、第1リンク部材21には、ハンドル40も接続している。以下、ハンドル40について説明する。
図4に示すように、ハンドル40は、U字状に形成されたハンドル本体41と、ハンドル本体41を補強する補強連結部材45と、を有している。ハンドル本体41は、幅方向に離間して配置されたハンドル延出部42と、ハンドル延出部42を連結するハンドル連結部43と、を有している。一対のハンドル延出部42は、一対の第1リンク部材21に対応して設けられている。一対のハンドル延出部42は、対称な構成を有することができる。ハンドル延出部42は、長手方向を有する棒状の部材となっている。ハンドル延出部42は、後方に向けて上方に向かうよう、上下方向及び前後方向に対して傾斜している。各ハンドル延出部42は、対応する第1リンク部材21と接続している。各ハンドル延出部42は、第1リンク部材21の後方部分、とりわけ後端部分と接続している。ハンドル延出部42は、その中間部分において、第1リンク部材21と接続している。ハンドル延出部42は、幅方向に延びる軸線を中心として、第1リンク部材21に対して回動可能となっている。
【0041】
ハンドル連結部43は、一対のハンドル延出部42の上方側となる端部部分において、一対のハンドル延出部42を連結している。ハンドル連結部43は、乳母車10の操縦者が把持する部分となる。乳母車本体20は、その展開状態を維持するための固定機構(図示せず)を有している。そして、ハンドル連結部43には、この固定機構を遠隔操作するための操作装置44が設けられている。乳母車10の操縦者は、操作装置44を操作することで、展開状態にある乳母車本体20の折り畳み操作を開始することができる。
【0042】
ハンドル本体41は、例えば金属製のパイプを用いて形成される。ハンドル延出部42及びハンドル連結部43は一体的に形成され得る。
【0043】
補強連結部材45は、例えば樹脂成型品や金属製パイプを用いて形成される。補強連結部材45は、幅方向に延びて、一対のハンドル延出部42を連結している。補強連結部材45は、ハンドル連結部43から離間した位置において、ハンドル延出部42に接続している。とりわけ、
図2に示すように、補強連結部材45は、ハンドル連結部43のハンドル連結部43が接続していない側の端部の近傍において、すなわちハンドル連結部43の下端部の近傍において、一対のハンドル延出部42を連結している。さらに表現を換えると、補強連結部材45は、各ハンドル延出部42のハンドル連結部43から離間する側の下端部と、当該ハンドル延出部42の第1リンク部材21と接続する接続位置JP3と、の間において、当該ハンドル延出部42に接続している。
【0044】
また、
図2の側面視において、補強連結部材45は、第1リンク部材21と前脚30との接続位置JP1よりも上下方向において下方に位置し、ハンドル本体41のハンドル連結部43は、当該接続位置JP1よりも上下方向において上方に位置している。同様に、
図2の側面視において、補強連結部材45は、第1リンク部材21と後脚35との接続位置JP2よりも上下方向において下方に位置し、ハンドル本体41のハンドル連結部43は、当該接続位置JP2よりも上下方向において上方に位置している。さらに、
図2の側面視において、補強連結部材45は、第1リンク部材21と後脚35との接続位置JP2よりも前後方向において後方に位置し、第1リンク部材21とハンドル延出部42との接続位置JP3よりも前後方向において前方に位置している。
【0045】
次に、第2リンク部材22について説明する。
図4に示すように、幅方向に離間して一対の第2リンク部材22が設けられている。第2リンク部材22は、前脚30とハンドル40との間、とりわけ、前脚30の中間部分とハンドル40との間に設けられている。第2リンク部材22は、前脚30及びハンドル40のそれぞれに対し、幅方向に延びる軸線を中心として回動可能となっている。第2リンク部材22は、対応する前脚30とハンドル40との間を連結するリンク要素の少なくとも一部分を形成する。
【0046】
図示された例において、第2リンク部材22は、対応する前脚30の中間部分に回動可能に接続している。また、
図6に示すように、第2リンク部材22は、ハンドル40の対応するハンドル延出部42の下方部分、とりわけ下端部分に回動可能に接続している。
図7に示すように、第2リンク部材22は、幅方向に延びる主軸部材25を介して、ハンドル延出部42に接続している。また、
図7から理解されるように、第2リンク部材22は、前脚連結部材26を介して、前脚30に接続している。ここで
図7は、乳母車10の縦断面図であって、乳母車10の右側に位置する構成を、幅方向内側から示している。
【0047】
なお、図示された例において、各第2リンク部材22は、主軸部材25を用いてハンドル延出部42に接続した側方リンク材29と、側方リンク材29の前端部分に固定される前方部材27と、を含んでいる。側方リンク材29は、例えば金属製パイプを用いて形成される。
図5に示すように、幅方向に離間して一対の側方リンク材29が設けられている。既に説明したように、前脚連結部材26は、一対の前脚30に接続し、一対の前脚30を連結している。前方部材27は、前脚連結部材26上に設けられ、前脚連結部材26に対して回動可能となっている。前方部材27は、幅方向に延びて、一対の側方リンク材29の前端部分を連結している。この例において、前方部材27の幅方向端部分と、当該端部分と接続した側方リンク材29とによって、各第2リンク部材22が構成されている。そして、一対の第2リンク部材22は、前方部材27によって接続されている。したがって、一対の第2リンク部材22は、前脚30やハンドル40に対し、互いに同期して回動する。また、この例において、前脚30と第2リンク部材22との回動軸線は、前方部材27と重なる領域、すなわち、前方部材27によって占められた領域内に位置するようになる。
【0048】
次に、第3リンク部材23について説明する。
図4に示すように、幅方向に離間して一対の第3リンク部材23が設けられている。第3リンク部材23は、ハンドル40と後脚35の間、とりわけ、ハンドル40と後脚35の中間部分との間に設けられている。第3リンク部材23は、ハンドル40及び後脚35のそれぞれに対し、幅方向に延びる軸線を中心として回動可能となっている。第3リンク部材23は、ハンドル40と対応する後脚35との間を連結するリンク要素の少なくとも一部分を形成する。
【0049】
図示された例において、第3リンク部材23は、対応する後脚35の中間部分に回動可能に接続している。また、
図6に示すように、第3リンク部材23は、ハンドル40の対応するハンドル延出部42の下方部分、とりわけ下端部分に回動可能に接続している。
図7に示すように、第3リンク部材23は、幅方向に延びる主軸部材25を介して、ハンドル延出部42に接続している。すなわち、図示された例において、第3リンク部材23のハンドル40への接続位置は、第2リンク部材22のハンドル40への接続位置と同一である。また、第3リンク部材23とハンドル40との回動軸線は、第2リンク部材22とハンドル40との回動軸線と一致している。
【0050】
以上のような全体構成を有した乳母車本体20は、各構成要素を互いに回動させることにより、折り畳むことができる。具体的には、ハンドル40をいくらか後上方に引き上げ、その後、ハンドル40を下降させることによって、第3リンク部材23を後脚35に対し
図2において時計回り方向に回動させる。この操作にともなって、第1リンク部材21及び第2リンク部材22はハンドル40のハンドル延出部42に対し
図2において時計回り方向に回動する。
図3に示すように、この操作により、側面視においてハンドル40と前脚30とが接近して略平行に配置されるとともに、ハンドル40の位置が下げられるようになる。以上のようにして、乳母車本体20を折り畳むことができる。乳母車本体20は、
図3に示された折り畳み状態において、前後方向および上下方向に沿った寸法を小型化することができる。一方、乳母車本体20を折り畳み状態から展開するには、上述した折り畳み操作と逆の手順を踏めばよい。
【0051】
次に、乳母車本体20によって保持される座席60について説明する。座席60は、乳幼児が着座する部位である。
図8に示すように、座席60は、幅方向に離間して配置された一対の基部61を有している。基部61は、乳母車本体20に設けられた保持部材50によって支持されるようになる部位である。
【0052】
図1に示すように、一対の基部61の間に、座部65及び背部70が設けられる。座席60は、乳母車10に乗車する乳幼児の臀部に対面するようになる部位である。座部65は、クッションシート80を介して乳幼児の臀部を支持する座面65Aを形成する。背部70は、乳幼児の背中に対面するようになる部位である。背部70は、座部65に対して揺動可能となっている。すなわち、座席60は、リクライニング機能を有している。座席60は、背部70を座部65に対して寝かせることにより、乳幼児が横臥する寝台としても機能する。
【0053】
図1及び
図8に示すように、座部65は、一対の基部61の間に設けられた前方枠材66、中央枠材67及び座板68を有している。前方枠材66は、U字状に形成されたフレーム材である。前方枠材66をなすU字の両端に相当する部分が、対応する基部61に固定されている。前方枠材66は、一対の基部61から前方に延び出している。また、中央枠材67は、幅方向に直線状に延びるフレーム材である。前方枠材66及び中央枠材67は、例えば金属製パイプによって形成される。前方枠材66及び中央枠材67は、座板68を下方から支持する周状の枠を形成する。座板68は、樹脂や金属を用いて形成された板状の部材である。図示された例では、座板68が、座面65Aを画成している。ただし、座板68に代えて、前方枠材66及び中央枠材67に張設された布地を用いることもできる。また、前方枠材66及び中央枠材67を省いて、座板68を一対の基部61によって支持するようにしてもよい。
【0054】
背部70は、一対の基部61の間に設けられた後方枠材71を有している。後方枠材71は、U字状に形成されたフレーム材である。後方枠材71をなすU字の両端に相当する部分が、対応する基部61と接続している。後方枠材71は、幅方向に延びる軸線を中心として基部61に対して回動可能となっている。後方枠材71は、一対の基部61から上方また後方に延び出す。後方枠材71が基部61に対して回動することで、背部70を座部65に対してリクライニングさせることができる。背部70は、後方枠材71によって支持される布状材や板状材を更に有していてもよい。
【0055】
さらに、座席60は、
図8に示すように、各基部61からそれぞれ上方に延出した一対の側方支持部72を有している。側方支持部72は、幅方向に平行な軸線を中心として回動可能に側方枠材73を支持している。また、側方枠材73と後方枠材71との間には一対の連結枠材74が設けられている。一対の連結枠材74は幅方向に離間して配置されている。連結枠材74は、後方枠材71及び側方枠材73に対して回動可能となっている。連結枠材74は、リンク材として機能し、後方枠材71及び側方枠材73の一方の揺動にともなって他方を揺動させる。また、連結枠材74は、後方枠材71の後方部分と側方枠材73の後方部分との間に、背部70が寝た状態で乳幼児の頭部の後方に位置する壁部を形成し、背部70が起き上がった状態で乳幼児の頭部の後方に位置する壁部を形成する。
【0056】
また、
図1及び
図2に示すように、座席60は、各基部61からそれぞれ延び出した一対のガード支持材75と、一対のガード支持材75の間に着脱可能なガード材76と、を有している。各ガード支持材75は、幅方向に延びる軸線を中心として基部61にいくらか回動可能となっている。また、座席60は、各側方支持部72にそれぞれ固定された一対の幌支持材77を有している。図示は省略するが、一対の幌支持材77の間に、幌骨が掛けられ、幌骨に幌布が装着される。
【0057】
なお、
図8では、座板68、ガード材76、幌支持材77等の図示を省略している。
【0058】
次に、乳母車本体20に設けられて座席60を保持するようになる保持部材50について説明する。
図6に示すように、幅方向において一対の第1リンク部材21の間となる位置に、一対の保持部材50が設けられている。一対の保持部材50は、幅方向に離間して配置されている。
図1に示すように、この一対の保持部材50によって、幅方向において一対の第1リンク部材21の間となる位置に、座席60を保持する。
【0059】
保持部材50は、座席60に設けられた被支持部63を支持する支持部53を有している。支持部53は、上方に開口した受け穴、又は、上方に突出した差し込み部として形成され得る。また、被支持部63は、支持部53の受け穴に挿入可能な下方に突出した差し込み部、又は、支持部53の差し込み部を挿入可能な下方に開口した受け穴として構成され得る。図示された例において、保持部材50は、上方に向いた支持面52に形成された受け穴を支持部53として有している。支持面52は、前後方向に広がっている。言い換えると前後方向に広がった支持面52の中央部に、支持部53としての受け穴が形成されている。支持面52は上方に向いており、支持部53をなす受け穴は上方に開口している。
【0060】
一方、座席60は、幅方向に離間して配置された一対の基部61が、被支持部63を有している。すなわち、各基部61にそれぞれ対応して、一対の保持部材50が幅方向に離間して設けられている。基部61は、下方を向く被支持面62を有している。被支持面62は、支持面52に対応して、前後方向に広がっている。被支持面62の前後方向における中央部分から、被支持部63をなす差し込み部が下方に突出している。
【0061】
このような支持部53及び被支持部63の構成によれば、座席60を上下方向における上方から乳母車本体20上に降ろすことによって、保持部材50を介して座席60を前脚30に保持することが可能となる。より具体的には、座席60を降ろすことによって、一対の基部61の各々から下方に突出する被支持部63が、対応する保持部材50の支持部53内に挿入される。そして、基部61の被支持面62が保持部材50の支持面52と接触することで、座席60が乳母車本体20上に保持されるようになる。座席60が乳母車本体20によって保持された状態で、支持部53が被支持部63と係合していることから、座席60の乳母車本体20に対する水平方向への相対移動が規制される。
【0062】
また、一対の保持部材50及び一対の基部61は、幅方向に離間して配置されている。したがって、座席60が乳母車本体20に保持された状態において、前後方向に沿った軸線を中心とする座席60及び乳母車本体20の相対回転によるずれ、及び、上下方向に沿った軸線を中心とする座席60及び乳母車本体20の相対回転によるずれを効果的に規制することができる。加えて、
図6及び
図8に示すように、支持部53に前後に支持面52が広がり、被支持部63の前後に被支持面62が広がっている。したがって、座席60が乳母車本体20に保持された状態において、幅方向に沿った軸線を中心とする座席60及び乳母車本体20の相対回転によるずれも効果的に規制することができる。以上のことから、乳母車本体20に設けられた座席60によって、座席60を安定して保持することができる。
【0063】
なお、図示された例では、乳母車本体20は、折り畳み動作を可能にするためのリンク構造を有している。これらのリンク構造は、幅方向中心面を中心として対称的な一対の構成を、幅方向に離間させて、含んでいる。そして、一対の保持部材50は、一対の構成の間に配置されており、座席60は、一対の構成の間に保持される。具体的には、座席60は、一対の第1リンク部材21の間、一対の前脚30の間、一対の後脚35の間、一対のハンドル延出部42の間に保持される。このような座席60の配置は、乳母車本体20の構成要素との干渉を回避することが可能となる。すなわち、保持部材50は、座席60が乳母車本体20から離間するようにして、座席60を保持することができる。したがって、
図9に示すように、保持部材50を介して乳母車本体20に保持される座席60の向きを変更可能とすることができる。これにより、座席60の向きを変更するだけで、
図9(a)に示された乳幼児が乳母車10の進行方向前方を向く背面状態と、
図9(b)に示された乳幼児が乳母車10の操縦者(保護者)と対面する対面状態と、を切り換えることが可能となる。さらに、このような座席60の配置は、折り畳み動作中における乳母車本体20と座席60との干渉を回避可能とすることもできる。したがって、
図3に示すように、座席60を保持したまま乳母車本体20を折り畳むことが可能となる。図示された乳母車10では、対面状態および背面状態のいずれの状態でも、座席60が乳母車本体20に保持されたまま乳母車10を折り畳むことが可能となっている。
【0064】
さらに、
図8に示すように、座席60は、各被支持部63から幅方向内側に向けて付勢された突起64を有している。また、
図6に示すように、保持部材50は、支持部(受け穴)53を形成する壁部のうちの幅方向内側の壁部に、突起64を受ける突起受け54が形成されている。突起64は、その下側の側面が傾斜していることから、被支持部63を支持部53内の挿入する際に自動的に被支持部63の内部に埋没する。そして、突起64は、突起受け54に対面する位置に到達した際に、図示しない付勢手段からの付勢力によって突起受け54内に嵌まり込む。すなわち、被支持部63を支持部53に挿入することで、座席60が保持部材50に対して固定されるようになる。
【0065】
図6に示すように、保持部材50は、突起受け54に対面する位置に突起解除手段55を有している。突起解除手段55は、保持部材50から幅方向内側に突出している。この突起解除手段55を幅方向外側に押し込むことによって、突起受け54内に嵌まり込んだ突起64を突起受け54から押し出すことができる。すなわち、座席60を乳母車本体20から取り外す際には、突起解除手段55を操作することで、突起64及び突起受け54に構成された固定手段による固定を解除することができる。
【0066】
次に、保持部材50の乳母車本体20への取り付け構造および取り付け位置について説明する。
【0067】
本実施の形態において、
図7に示すように、各保持部材50は、乳母車本体20の互いから離間した複数の接続位置JPX、JPYに接続している。結果として、図示された例では、各保持部材50が、乳母車本体20に対して固定され、乳母車本体20によって安定して保持されている。さらに、保持部材50の支持部53が、乳母車本体20の一つの接続位置JPXの上方に位置している。したがって、保持部材50によって保持された座席60の重さを、乳母車本体20によって安定して効率的に支えることができる。これにより、乳母車本体20に対する保持部材50のがたつきを効果的に低減することができる。また、保持部材50を大型化させたり、多数の保持部材50を設けたりする必要もないので、乳母車10の意匠性を改善することもできる。
【0068】
図示された例において、各保持部材50は、まず、第2リンク部材22とハンドル延出部42との回動軸線上AR1において、ハンドル延出部42に接続している。具体的な構成として、
図6及び
図7に示すように、各保持部材50は、第2リンク部材22とハンドル延出部42とを回動可能に接続する主軸部材25と接続している。すなわち、図示された例において、保持部材50の乳母車本体20に対する第1の接続位置JPXは、主軸部材25となる。主軸部材25は、保持部材50を貫通している。主軸部材25は、更に第2リンク部材22及び第3リンク部材23を貫通している。したがって、保持部材50は、主軸部材25を介して、ハンドル40のハンドル延出部42だけでなく、第2リンク部材22、更には第3リンク部材23にも接続している。
【0069】
また、各保持部材50は、ハンドル40の補強連結部材45と接続している。補強連結部材45は、ハンドル40の一部分としてハンドル延出部42に接続している。すなわち、図示された例において、保持部材50の乳母車本体20に対する第2の接続位置JPYは、補強連結部材45となる。
図7に示すように、保持部材50は、補強連結部材45が通過する貫通孔56を有している。補強連結部材45の断面形状は、円形状からいくらか偏平している。保持部材50の貫通孔56も、いくらか偏平している。したがって、補強連結部材45が保持部材50の貫通孔56を貫通することで、幅方向に沿った軸線での保持部材50の乳母車本体20に対する相対回転が規制されている。
【0070】
このような乳母車10において、保持部材50の乳母車本体20への第1の接続位置JPXは、主軸部材25であって、保持部材50の下方部分と接続している。そして、
図7に示すように、保持部材50の支持部53は、主軸部材25から上下方向に沿って上方へずれた位置に、配置されている。したがって、保持部材50を大型化させたり、多数の保持部材50を設けたりすることなく、保持部材50によって保持された座席60の重さを、乳母車本体20によって効率的に支えることができる。
【0071】
また、保持部材50の乳母車本体20への第2の接続位置JPYは、補強連結部材45であって、保持部材50の後方部分と接続している。したがって、
図7に示すように、保持部材50は、前後方向に沿って前方から補強連結部材45に対面している。そして、保持部材50の支持部53は、補強連結部材45から前後方向に沿って前方へずれた位置に、配置されている。したがって、乳母車本体20は、保持部材50を介して、前進時における座席60からの慣性力を効率的に安定して受けることができる。これにより、保持部材50の乳母車本体20に対するがたつきの発生をさらに効果的に抑制することができる。
【0072】
さらに、乳母車本体20の二つの接続位置JPX、JPYの距離が近接していると、保持部材50が乳母車本体20に対してがたつき易くなる。その一方で、保持部材50の支持部53と座席60の被支持部63との上下方向に沿った挿入長さILが長いと、保持部材50に対する座席60のがたつきを効果的に抑制することができる。その一方で、この挿入長さILが長いと、保持部材50に対して大きな力が加えられ、保持部材50の乳母車本体20に対するがたつきが発生しやすくなる。この点について、
図7に示すように、二つの接続位置JPX、JPYの離間距離Dは、保持部材50の支持部53及び座席60の被支持部63の上下方向への挿入長さILよりも長くなっている。これによっても、保持部材50の乳母車本体20に対するがたつきの発生をさらに効果的に抑制することができる。
【0073】
加えて、保持部材50に加えられた力を乳母車本体20によって効率的に支えるには、保持部材50の支持部53から乳母車本体20へ接続位置JPX、JPYまでの距離D1、D2は短くなっていることが有効である。保持部材50の支持部53からいずれか一つの接続位置JPX、JPYまで距離が、とりわけ保持部材50の支持部53といずれか一つの接続位置との間の最短距離が、支持部53および被支持部63の上下方向への挿入長さILよりも短くなっていることが好ましい。図示された例では、保持部材50の支持部53から任意の接続位置JPX、JPYまで最短距離が、いずれも、支持部53及び被支持部63の上下方向への挿入長さILよりも短くなっている。すなわち、
図7に示すように、支持部53と第1の接続位置JPXとの間の最短距離D1が、支持部53及び被支持部63の上下方向への挿入長さILよりも短く、且つ、支持部53と第2の接続位置JPYとの間の最短距離D1が、支持部53及び被支持部63の上下方向への挿入長さILよりも短くなっている。
【0074】
とりわけ図示された例において、支持部53から支持部53の下方に位置する第1の接続位置JPXまでの上下方向に沿った距離D1が、支持部53及び被支持部63の上下方向への挿入長さILよりも短くなっている。したがって、保持部材50によって保持された座席60の重さを、乳母車本体20が第1の接続位置JPXにおいて効率的に支えることができる。また、支持部53から支持部53の後方に位置する第2の接続位置JPYまでの前後方向に沿った距離D2が、支持部53及び被支持部63の上下方向への挿入長さILよりも短くなっている。したがって、乳母車本体20は、その第2の接続位置JPYにおいて、前進時における座席60からの慣性力を、保持部材50を介して、効率的に安定して受けることができる。
【0075】
以上の取り付け構造の結果、保持部材50の支持部53は、
図2に示すように、第1リンク部材21、ハンドル40のハンドル延出部42及び後脚35によって囲まれる領域に位置している。すなわち、保持部材50の支持部53は、概ね、乳母車本体20の中央に位置している。これにより、座席60を安定して効率的に支持することができる。
【0076】
ところで、上述したように、保持部材50の乳母車本体20への第1の接続位置JPXは主軸部材25となっており、第2の接続位置JPYは補強連結部材45となっている。したがって、保持部材50は、主軸部材25を介して、第2リンク部材22、第3リンク部材23、ハンドル40のハンドル延出部42に接続している。また、保持部材50は、補強連結部材45を介して、ハンドル40のハンドル延出部42に接続している。つまり、保持部材50は、互いに異なる経路を経て、ハンドル40のハンドル延出部42上の互いに異なる位置に接続している。このため、保持部材50は、ハンドル40に対して固定されている。ここで、「ハンドル40に対して固定されている」とはハンドルに直接的に接続していることのみでなく、ハンドルと他の部材を介して間接的に接続し且つハンドル40との相対位置を一定に維持していることも含む。
【0077】
上述したように、
図2に示された展開状態において、ハンドル40は高い位置に配置される。その一方で、
図3に示された折り畳み状態において、ハンドル40は低い位置に配置される。このようなハンドル40に対して保持部材50が固定されることで、展開状態において、座席60は、上下方向における高い位置に配置される。座席60が高位置に配置されることで、座席60上の乳幼児は、地面からの熱や粉塵による影響を効果的に回避することができる。また、座席60の座面65Aが高いので、乳幼児の乗せ降ろしを容易且つ安定して行うことが可能となる。一方、折り畳み状態においては、
図3に示すように、ハンドル40は低位置に配置されるようになる。このハンドル40とともに、座席60も低位置に配置される。したがって、乳母車10の折り畳み寸法を小型化することができる。
【0078】
また、保持部材50の向きもハンドル40に対して一定となる。したがって、折り畳み動作中に、保持部材50に保持された座席60が、大きなモーメントを生じさせることもない。その一方で、座席60の重さがハンドル40を押し下げることになる。すなわち、座席60の重さが、ハンドル40を下降させる折り畳み動作を補助するようになる。したがって、折り畳み動作を円滑に実施することができる。
【0079】
なお、図示された例では、
図2に示された側面視において、座席60によって形成される座面65Aは、第1リンク部材21と前脚30との接続位置JP1よりも上方に位置している。同様に、
図2に示された側面視において、座部65に対する背部70の揺動軸線AS1は、第1リンク部材21と後脚35との接続位置JP2よりも上方に位置している。また
図2に示された側面視において、座部65に対する背部70の揺動軸線AS1は、ハンドル40と第2リンク部材22との接続位置JP4よりも上方に位置している。さらに、
図2に示された側面視において、側方支持部72に対する側方枠材73の揺動軸線AS2は、第1リンク部材21よりも上方に位置している。また、側方支持部72に対する側方枠材73の揺動軸線AS2は、第1リンク部材21と前脚30との接続位置JP1よりも上方に位置し、第1リンク部材21と後脚35との接続位置JP2よりも上方に位置し、さらに第1リンク部材21とハンドル40との接続位置JP3よりも上方に位置している。このように図示された具体例では、乳母車10の展開状態において座席60が高い位置に保持されるので、乳幼児の乗せ降ろし、リクライニング操作、幌の開閉操作等を容易に行うことができる。その一方で、上述したように、座席60がハンドル40に対して固定されているので、乳母車10の折り畳み寸法を十分に小型化することができる。
【0080】
以上のような構成からなる乳母車10は、操縦者(使用者、保護者)がハンドル40のハンドル連結部43を把持してハンドル40を押すことで、走行する。この乳母車10では、
図9に示すように、座席60の向きを変えて、保持部材50は座席60を保持することができる。すなわち、背面状態と対面状態とを切り換えるにあたり、ハンドル40を揺動させる必要がない。したがって、ハンドル40が、乳母車10の他の構成要素と干渉する可能性は低くなる。このため、これまで設置が不可能と考えられていた一対のハンドル延出部42を連結する補強連結部材45をハンドル本体41へ設置することもできる。
【0081】
図示された例では、ハンドル40は、一対のハンドル延出部42及び一対のハンドル延出部42の端部を連結するハンドル連結部43を有したハンドル本体41に加えて、一対のハンドル延出部42をハンドル連結部43から離間した位置において連結する補強連結部材45を更に有している。このハンドル連結部43がハンドル本体41を効果的に補強することで、ハンドル40の剛性が改善されている。この結果、ハンドル40の上方端部となるハンドル連結部43に力が加えられた際、ハンドル40の変形を効果的に抑制することができる。この結果、ハンドル40に加えられた力が、乳母車10の走行に有効に利用される。また、操縦者は、ハンドル40を介して、走行面の状態等を十分に把握することも可能となる。これらのことから、乳母車10の操縦性を格段に改善することができる。
【0082】
加えて、図示された乳母車10では、補強連結部材45の幅方向における両端の間に接続した部材が、補強連結部材45とハンドル延出部42との接続位置からずれた位置において、ハンドル延出部42に接続している。より具体的には、補強連結部材45の幅方向における両端の間に接続した部材は保持部材50を含んでいる。この結果、ハンドル40の剛性を更に向上させることができる。とりわけ、保持部材50は、座席60を保持する機能を有しており、したがって、部品点数を増加させることなく、効率的にハンドル40の剛性を向上させることができる。
【0083】
また、補強連結部材45の幅方向における両端の間に接続したこの部材は、第2リンク部材22とハンドル延出部42との回動軸線AR1上において、ハンドル延出部42に接続している。より具体的には、補強連結部材45の幅方向における両端の間に接続した部材は、主軸部材25を更に含んでいる。このような乳母車10においては、ハンドルの剛性を更に向上させることができる。とりわけ、主軸部材25の剛性を向上させることもでき、これにより、折り畳み動作および展開動作を円滑化させることができる。
【0084】
上述してきた一実施の形態によれば、乳母車10は、折り畳み可能な乳母車本体20と、乳母車本体20に取り外し可能に保持される座席60と、を有している。乳母車本体20は、第1リンク部材21と、第1リンク部材21と回動可能に接続した前脚30と、第1リンク部材21と回動可能に接続した後脚35と、第1リンク部材21と回動可能に接続したハンドル40と、前脚30とハンドル40との間に設けられ前脚30及びハンドル40に対して回動可能な第2リンク部材22と、を有している。この乳母車10において、乳母車本体20は、前後の向きを変えて座席60を保持することができる。すなわち、座席60の向きを変更することによって、乳幼児が乳母車10の進行方向前方を向く状態と、乳幼児が乳母車の操縦者(乳母車の使用者、保護者)と対面する対面状態と、を切り換えることができる。また、この乳母車10では、座席60が乳母車本体20の構成要素と干渉しないようにすることで、座席60の向きに依存することなく、乳母車本体20に座席60を保持したまま乳母車10を折り畳むことも可能となる。さらに、ハンドル40を揺動させることに代えて、座席60の向きを変更することで、対面状態と背面状態との切り換えを可能としている。したがって、ハンドル40を適宜補強することも可能となる。ハンドル40の剛性を向上させることで、ハンドル40に加えた力が効率的に乳母車10の走行に用いられ、これにより、乳母車10の操縦性を向上させることができる。
【0085】
上述の一具体例において、ハンドル40は、一対のハンドル延出部42及び一対のハンドル延出部42を連結するハンドル連結部43を有したハンドル本体41と、一対のハンドル延出部42をハンドル連結部43から離間した位置において連結する補強連結部材45と、を有している。このような乳母車10では、補強連結部材45によって、ハンドル本体41への捻れの発生やハンドル延出部42への撓みの発生を効果的に規制することができる。すなわち、補強連結部材45によって、ハンドル40の剛性を効果的に上昇させることができる。これにより、ハンドル40に加えた力が効率的に乳母車10の走行に用いられ、乳母車10の操縦性を向上させることができる。
【0086】
また、上述してきた一実施の形態によれば、乳母車10は、折り畳み可能な乳母車本体20と、乳母車本体20に保持される座席60と、を有している。乳母車本体20は、一対の第1リンク部材21と、各第1リンク部材21とそれぞれ接続し対応する第1リンク部材21に対して回動可能な一対の前脚30と、各第1リンク部材21とそれぞれ接続し対応する第1リンク部材21に対して回動可能な一対の後脚35と、前記第1リンク部材と回動可能に接続したハンドル40と、各前脚30とハンドル40との間に設けられ対応する前脚30及びハンドル40に対して回動可能な一対の第2リンク部材22と、を有している。また、ハンドル40は、各第1リンク部材21とそれぞれ接続し対応する第1リンク部材21に対して回動可能な一対のハンドル延出部42及び一対のハンドル延出部42を連結するハンドル連結部43を有するハンドル本体41と、一対のハンドル延出部42をハンドル連結部43から離間した位置において連結する補強連結部材45と、を有している。このような乳母車10によれば、補強連結部材45によって、ハンドル本体41への捻れの発生やハンドル延出部42への撓みの発生を効果的に規制することができる。すなわち、補強連結部材45によって、ハンドル40の剛性を効果的に上昇させることができる。これにより、ハンドル40に加えた力が効率的に乳母車10の走行に用いられ、乳母車10の操縦性を向上させることができる。
【0087】
上述の一具体例において、乳母車本体20は、幅方向において一対の第1リンク部材21の間に座席60を保持する。座席60が乳母車本体20の構成要素と干渉しないようにすることで、乳母車本体20に座席60を取り付けたまま乳母車10を折り畳むことが可能となる。
【0088】
上述の一具体例において、補強連結部材45は、各ハンドル延出部42のハンドル連結部43から離間する側の端部と、当該ハンドル延出部42の第1リンク部材21と接続する位置(接続位置JP3)と、の間において、当該ハンドル延出部42に接続している。すなわち、各ハンドル延出部42は、第1リンク部材21との接続位置JP3よりも一方(上方)の側においてハンドル連結部43と接続し、第1リンク部材21との接続位置JP3よりも他方(下方)の側において補強連結部材45と接続している。したがって、ハンドル40の剛性を効果的に上昇させることができる。そして、ハンドル40に力を加えた際に、ハンドル延出部42の第1リンク部材21との接続位置JP3近傍において、ハンドル延出部42に撓みが生じてしまうことを効果的に防止することができる。
【0089】
上述の一具体例において、展開状態にある乳母車10の側面視において、補強連結部材45は、第1リンク部材21と前脚30との接続位置JP1よりも下方に位置し、ハンドル本体41のハンドル連結部43は、第1リンク部材21と前脚30との接続位置JP1よりも上方に位置している。すなわち、第1リンク部材21と前脚30との接続位置JP1は、上下方向において補強連結部材45とハンドル連結部43との間に位置している。また、上述の一具体例において、展開状態にある乳母車10の側面視において、補強連結部材45は、第1リンク部材21と後脚35との接続位置JP2よりも下方に位置し、ハンドル本体41のハンドル連結部43は、第1リンク部材21と後脚35との接続位置JP2よりも上方に位置している。すなわち、第1リンク部材21と後脚35との接続位置JP2は、上下方向において補強連結部材45とハンドル連結部43との間に位置している。このような構成によれば、乳母車本体20の中央に位置して他の構成要素と接続する第1リンク部材21の捻れや変形を効果的に防止することができる。これによって、乳母車の操縦性をさらに向上させることができる。
【0090】
上述の一具体例において、展開状態にある乳母車10の側面視において、補強連結部材45は、第1リンク部材21と後脚35との接続位置JP2よりも後方に位置し、第1リンク部材21とハンドル延出部42との接続位置JP3よりも前方に位置している。このような構成によれば、乳母車本体20の中央に位置して他の構成要素と接続する第1リンク部材21の捻れや変形を効果的に防止することができる。これによって、乳母車の操縦性をさらに向上させることができる。
【0091】
一実施の形態を複数の具体例により説明してきたが、これらの具体例が一実施の形態を限定することを意図していない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0092】
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0093】
例えば、上述した具体例において、保持部材50が、二つの接続位置JPX、JPYにおいて、乳母車本体20に接続している例を示したが、この例に限られず、三以上の接続位置で乳母車本体20に接続していてもよい。
【0094】
また、上述した具体例において、保持部材50の支持部53は、乳母車本体20のいずれか一つの接続位置から上下方向に沿って上方にずらした位置に設けられている例を示したが、この例に限られない。例えば、保持部材50の支持部53が二つの接続位置JPX、JPYの間に位置するようにしてもよい。
【0095】
さらに、保持部材50の支持部53が、二つの接続位置JPX、JPYを結ぶ仮直線分上に位置するようにしてもよい。このような乳母車10によれば、乳母車本体20は、保持部材50によって保持された座席60の重さを、効率的に受けることができる。これにより、乳母車本体20に対する保持部材50のがたつきを効果的に防止することができる。
【0096】
さらに、保持部材50の支持部53は、前後方向において、二つの接続位置JPX、JPYの間に位置するようにしてもよい。このような乳母車10によれば、乳母車本体20は、保持部材50によって保持された座席60の重さを、効率的に受けることができる。とりわけ、幅方向に沿った軸線を中心とするモーメントに対する優れた剛性を、乳母車本体20への保持部材50の取り付け構造に付与することができる。これにより、乳母車本体20に対する保持部材50のがたつきを効果的に防止することができる。
【0097】
さらに、上述した具体例では、保持部材50の支持部53は、上方に開口した受け穴を有し、座席60の被支持部63は、支持部53の受け穴に挿入可能な下方に突出した差し込み部を有していたが、この例に限られない。保持部材50の支持部53が、上方に突出した差し込み部を有し、座席60の被支持部63が、支持部53の差し込み部を受け入れ可能な下方に開口した受け穴を有するようにしてもよい。
【0098】
さらに、上述した乳母車本体20や座席60は、一例に過ぎず、種々の変更が可能である。例えば、
図10に示すように、各前脚30の下端に一つの前輪33が設けられるようしてもよい。
【0099】
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。