(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
(A)アシルアスパラギン酸塩
本発明に係る固形洗浄剤の主洗浄剤として配合される(A)成分は下記一般式(I)で表されるアシルアスパラギン酸塩である。
【化1】
(1)
(上記式中、R1は炭素数7〜21のアルキル基またはアルケニル基を表し、M
1、M
2は水素またはアルカリ金属を表す。但し、M
1とM
2が同時に水素になることはない。)
【0010】
本発明で用いられる一般式(I)で表されるアシルアスパラギン酸塩としてはラウロイルアスパラギン酸ナトリウム、ミリストイルアスパラギン酸ナトリウムが皮膚に対して低刺激性であり、起泡性が良好であることから好ましい。
本発明における(A)アシルアスパラギン酸塩の配合量は、固形洗浄剤全量中の10〜40質量%が好ましい。特に好ましくは20〜35質量%である。10質量%未満では洗浄力が不十分であり、40質量%を超えると加熱攪拌溶解ができず製造不能となるため良くない。
【0011】
(B)高級アルコール
本発明では(B)成分として高級アルコールを配合する。高級アルコールは固形物の硬度を上昇させることが出来る。
本発明に含まれる(B)高級アルコールとしては、べヘニルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール等が挙げられ、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。中でも特にべヘニルアルコール、ステアリルアルコールは硬度上昇効果が高く好ましい。
本発明における(B)高級アルコールの配合量は、固形洗浄剤全量中の3〜20質量%が好ましく、さらに好ましくは5〜15質量%である。3質量%未満であると硬度の上昇が抑えられ溶け崩れなどの原因となり、20質量%を超えると加熱攪拌溶解ができず製造不能となるため良くない。
【0012】
(C)多価アルコール
本発明では(C)成分として多価アルコールを配合する。(C)多価アルコールは保湿剤として使用感の向上に寄与する。本発明には1種または2種以上の(C)多価アルコールを含む。
本発明に含む(C)多価アルコールとしては例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6−ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリスリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等);グリコシルトレハロース;アルキルグルコシド;アルキルピロリドン等が挙げられる。
中でも特に、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ショ糖等が好ましい。
本発明における(C)多価アルコールの配合量は、固形洗浄剤全量中の3〜25質量%が好ましく、さらに好ましくは8〜20質量%である。3質量%未満であると使用感の向上が感じられず、25質量%を超えると硬度が低下して溶け崩れの原因となることがある。
【0013】
(D)両性界面活性剤及び/または非イオン性界面活性剤
本発明に係る固形洗浄剤には、起泡性の向上のため、また、弱酸性で肌に低刺激の洗浄剤を得るために(D)成分として両性界面活性剤及び/または非イオン性界面活性剤を1種または2種以上含むことが出来る。
【0014】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリニウムベタイン系両性界面活性剤(例えば、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等);ベタイン系界面活性剤(例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アルキルスルホベタイン等)等が挙げられる。
【0015】
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α'−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0016】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE−ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンモノステアレート、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンテトラオレエート等);POE−ソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビットモノラウレート、POE−ソルビットモノオレエート、POE−ソルビットペンタオレエート、POE−ソルビットモノステアレート等);POE−グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE−グリセリンモノステアレート、POE−グリセリンモノイソステアレート、POE−グリセリントリイソステアレート等のPOE−モノオレエート等);POE−脂肪酸エステル類(例えば、POE−ジステアレート、POE−モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE−アルキルエーテル類(例えば、POE−ラウリルエーテル、POE−オレイルエーテル、POE−ステアリルエーテル、POE−ベヘニルエーテル、POE−2−オクチルドデシルエーテル、POE−コレスタノールエーテル等);プルロニック(登録商標)型類(例えば、プルロニック(登録商標)等);POE・POP−アルキルエーテル類(例えば、POE・POP−セチルエーテル、POE・POP−2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POP−モノブチルエーテル、POE・POP−水添ラノリン、POE・POP−グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP−エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE−ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE−ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE−硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE−ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE−ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド、コカミドメチルモノエタノールアミド等);POE−プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE−アルキルアミン;POE−脂肪酸アミド;ラウリン酸ジエチレングリコール;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸、ラウリン酸ジエチレングリコール、ヤシ油脂肪酸N−メチルモノエタノールアミド等が挙げられる。
中でも特にモノステアリン酸グリセリン、ラウリン酸ジエチレングリコール、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸N−メチルモノエタノールアミド等が好ましい。
【0017】
本発明における(D)両性界面活性剤及び/または非イオン界面活性剤の配合量は、固形洗浄剤全量中の3〜20質量%が好ましく、さらに好ましくは5〜15質量%である。3質量%未満であるとその効果が十分発揮されず、20質量%を超えると加熱攪拌溶解ができず製造不能となることがある。
【0018】
(E)凝固点上昇剤
本願には溶け崩れ等を防止する点からも凝固点を向上させるために(E)成分としてトリメチルグリシンを含むことが好ましい。
本発明における(E)凝固点上昇剤の配合量は固形洗浄剤全量中の1〜6質量%が好ましく、さらに好ましくは3〜5質量%である。1質量%未満で凝固点が十分に上がらず、5質量%を超えると凝固点が高くなり過ぎ、系が不均一となることがある。
【0019】
(F)固化剤
本願にはさらに硬度の上昇を実現するために(F)成分として固化剤を含むことが出来る。固化剤としては無水ケイ酸、高級脂肪酸、バチルアルコール、ベントナイト、カオリン、ミツロウ、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。中でも無水ケイ酸、高級脂肪酸が好ましく、高級脂肪酸の中でもベへニン酸が好ましい。
無水ケイ酸としては、比表面積が100m
2/g以上のフュームドシリカである、日本アエロジル(株)のアエロジル ♯200や、富士シリシア化学(株)のサイロピュア25が市販品として挙げられる。
本発明における(F)固化剤の配合量は固形洗浄剤全量中の0.5〜5質量%が好ましく、特に好ましくは1〜3質量%である。0.5質量%未満であるとその効果が十分発揮されず、5質量%を超えると加熱攪拌溶解ができず製造不能となることがある。
なお、本発明に係る固形洗浄剤の硬度はレオメーター(2φ)にて測定した際に80〜600が好ましく、さらに好ましくは100〜400である。
【0020】
〔その他の成分〕
本発明にかかる固形洗浄剤には、本発明の効果を損なわない範囲において、他の成分、例えば、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、油分、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、着色剤、水等を必要に応じて適宜配合することが出来る。
【0021】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、アルキレンオキシド誘導体、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0022】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0023】
半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0024】
合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,0000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、高重合ポリエチレングリコール等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等(例えば、ポリクオタニウムー6、ポリクオタニウムー7、ポリクオタニウムー10、ポリクオタニウムー11、ポリクオタニウムー39、カチオン化グアーガム、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化フェヌグリークガム、カチオン化デンプン等)が挙げられる。
【0025】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、PVA、PVM、PVP、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸A1Mg(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0026】
紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルメトキシシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等);3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー;2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール;2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン;5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン、ジモルホリノピリダジノ;2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート;2,4−ビス−{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−(1,3,5)−トリアジン等が挙げられる。
【0027】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0028】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等が挙げられる。
【0029】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D−グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D−エリトロース、D−エリトルロース、D−トレオース、エリスリトール等);五炭糖(例えば、L−アラビノース、D−キシロース、L−リキソース、D−アラビノース、D−リボース、D−リブロース、D−キシルロース、L−キシルロース等);六炭糖(例えば、D−グルコース、D−タロース、D−ブシコース、D−ガラクトース、D−フルクトース、L−ガラクトース、L−マンノース、D−タガトース等);七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプロース等);八炭糖(例えば、オクツロース等);デオキシ糖(例えば、2−デオキシ−D−リボース、6−デオキシ−L−ガラクトース、6−デオキシ−L−マンノース等);アミノ糖(例えば、D−グルコサミン、D−ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D−グルクロン酸、D−マンヌロン酸、L−グルロン酸、D−ガラクツロン酸、L−イズロン酸等)等が挙げられる。
【0030】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。
【0031】
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等が挙げられる。
【0032】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0033】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。
【0034】
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0035】
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、乳酸−乳酸ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、コハク酸−コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0036】
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0037】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン、クロルフェネシン、フェノキシエタノール等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等);油分(スクワラン、ホホバ油、シリコーン等)等が挙げられる。
【0038】
さらに、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リンゴ酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸及びその誘導体、甘草、カリン、イチヤクソウ等の各種生薬抽出物、酢酸トコフェロール、グリチルレジン酸、グリチルリチン酸及びその誘導体又はその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、アルギニン、リジン等のアミノ酸及びその誘導体、フルクトース、マンノース、エリスリトール、トレハロース、キシリトール等の糖類等も適宜配合することが出来る。
【0039】
〔固形洗浄剤の製造方法〕
一般的に固形石鹸あるいは固形洗浄剤を製造するには枠練り製法と機械練り製法の2通りがあるが、本願に係る固形洗浄剤については枠練り製法で製造することが好ましい。具体的な製造方法としては、上記の成分を65〜80℃にて攪拌し、均一溶解をさせる。この際、エタノールを加えると攪拌溶解時の増粘を防ぐ上で好ましい。加えるエタノールの量は7.5〜15質量%が好ましく、さらに12〜14質量%が好ましい。
均一溶解した液を枠に流し込み冷却すると固化し、切断可能な硬度の固形洗浄剤が得られる。枠練り製法では一度完全に均一溶解をさせてから冷却固化して析出する結晶構造で硬度を出すため、液状の保湿剤や界面活性剤等の含有量を多くすることができる。
一方、機械練り製法では、粉末状の界面活性剤に若干の液状添加物を加えてペースト状にしたものや、乾燥した石鹸素地チップ(水分10%程度)に各種添加物を加えたものを、ニーダーやローラーで混練し練出し機で棒状に押し出し、切断、整形する。この時、水分、液状保湿剤や液状界面活性剤等が多いと、ペーストが柔らかくなって固化しないことや、石鹸素地チップが練出し機の中で滑って押し出すことができなくなり生産不能となるため、微量の液状添加物しか含有できない。
【0040】
以下、本発明の好適な実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例において、評価は以下の方法により行った。
(1)起泡力
2%水溶液400mLを25℃、攪拌数4300rpmでミキサー攪拌し、1分間攪拌後の液量(mL)で評価した。
◎:2000mL以上
〇:1500mL〜2000mL
△:1000mL〜1500mL
×:1000mL未満
(2)外観
試作24時間後の常温における外観を評価した。
〇:均一
×:不均一
(3)硬度
全身用固形洗浄剤の硬度をレオメーターにて測定した。
<8φ>
〇:1000以上
△:500〜999
×:500未満
<2φ>
〇:100以上
△:80〜100
×:80未満
(4)製造性
製造中の釜内の状態を目視で確認した。
〇:問題なし
△:やや増粘あり
×:増粘あり
(5)べたつき
製造段階での冷却固化後の切断時のべたつきについて目視で確認した。
〇:べたつきなし
△:べたつきややあり
×:べたつきあり
(6)凝固点
80℃で均一溶解状態の固形洗浄剤を室温で徐冷し、固化する時の温度を測定した。一般的に固形洗浄剤の場合の凝固点は41℃以上が適正であるとされている。
(7)使用性
使用性評価専門パネラー7名にて、洗髪時の泡立ち、すすぎ時の指通り、タオルドライ後の滑らかさに着目して総合的に評価した。
〇:パネラー5名以上が「使用性が良い」と回答した。
△:パネラー3名〜4名が「使用性が良い」と回答した。
×:パネラー2名以下が「使用性が良い」と回答した。
【0041】
まず発明者らは、主洗浄剤と最適な固化剤の検討を行った。
結果を表1と表2に示す。
【0044】
表1より、同じアシルアミノ酸を主洗浄剤とした場合でも、試験例1−1のアシルアスパラギン酸であると単独でも固化するものの、試験例1−5のようにアシルグルタミン酸では固化せず、アシルアスパラギン酸が適当であることが分かる。
また、更なる硬度上昇のために高級アルコールを加えるとアシルアスパラギン酸の試験例では顕著な硬度の上昇が確認され(試験例1‐2、1‐3)、アシルグルタミン酸の試験例では高級アルコールを加えても固化しなかった(試験例2‐5、2‐6)。
このように70質量%以上が水の組成物にあって、硬度が測定可能な固形物を形成するのはアシルアスパラギン酸塩が組成物中で結晶構造を形成し、その結晶間に水ないし水性媒体を保持するためと考えられる。そして高級アルコールはアシルアスパラギン酸塩が形成する結晶構造を強化すると思われる。
【0045】
表2より、他の固化剤としてはアシルアスパラギン酸には塩化ナトリウムも硬度の上昇に寄与することが分かった(試験例2‐1)。一方、アシルグルタミン酸はどの固化剤を用いても固化しなかった(試験例2‐4〜2‐6)。
表1と表2より主洗浄剤をアシルアスパラギン酸、固化剤として高級アルコールの中でもステアリルアルコールとべヘニルアルコールを選択することが好ましい。
【0046】
発明者らは固形洗浄剤において凝固点が低いと溶け崩れしやすいなどの問題がおこるため、凝固点を上げる方法を検討した。結果を表3に示す。
【0048】
表3より、トリメチルグリシンを加えることによって徐々に凝固点が上昇することが分かる。特に、トリメチルグリシンを2.0質量%以上加えると凝固点が40℃以上となり(試験例3‐4、3‐5、3−6)、固形洗浄剤の物性として好ましいものが得られる。
【0049】
次に発明者らは使用感をより良くするために多価アルコール等を加えることを検討した。また、硬度の安定化のために加える成分の検討も行った。結果を表4に示す。
【0051】
表4より試験例4−1のように両性界面活性剤や多価アルコール等を加えると、使用性が良好な固形洗浄剤を得られた一方で、硬度が軟化してしまった。そこで使用性が良好であり、硬度も維持できる成分を検討したところ、硬度を上昇させ、且つ、製造性、外観、使用性にも優れるものとして無水ケイ酸(試験例4‐4〜4‐6)、ベへニン酸(試験例4‐11〜4‐12)が挙げられた。ミツロウ(試験例4‐7〜4‐8)やマイクロスタリンワックス(試験例4‐9〜4‐10)は硬度上昇と製造性、外観は良いものの、使用性が思わしくなかった。
【0052】
次に発明者らは毛髪に使用した際のきしみ感がなく、肌にも刺激の少ない弱酸性領域で、且つ、外観も良い固形洗浄料を得られるラウロイルアスパラギン酸塩の中和率の検討を行った。結果を表5に示す。
【0054】
表5より、中和率が75%のときでも外観が良好であった(試験例5‐2)。
また、中和率が50%の時(試験例5‐3)であってもpHは5.9と弱酸性ではあったが外観が不均一であり、中和率は75%以上が好ましい。
【0055】
さらに、発明者らは製造工程において配合成分の均一溶解をする際に増粘傾向が見られ、攪拌溶解が困難となったため、エタノールを配合して増粘の改善が見られるかを検討した。結果を表6に示す。
【0057】
表6から分かるように、エタノールを7.5質量%以上含むと、硬度が格段に上がり、べたつきが改善される(試験例6−
3)。そして、エタノールの含有量が12−14質量%であると、硬度、べたつき、製造性のどれにも優れる固形洗浄剤が得られる(試験例6−5〜6−6)。
【0058】
〔処方例1〕
成分 配合量(質量%)
ラウロイルアスパラギン 23.33
水酸化ナトリウム 3.2
コカミドプロピルベタイン 5
コカミドメチルMEA 3
モノステアリル酸グリセリル 2.5
べヘニルアルコール 2
トリメチルグリシン 4
グリセリン 2
砂糖 8
ソルビトール 2
エタノール 13
カチオン性ポリマー 適量
安定化剤 適量
イオン交換水 残部
[処方例2]
成分 配合量(質量%)
ラウロイルアスパラギン 23.33
水酸化ナトリウム 3.2
コカミドプロピルベタイン 5
コカミドメチルMEA 3
モノステアリル酸グリセリル 2.5
ステアリルアルコール 3
べヘニルアルコール 5
ベへニン酸 1
無水ケイ酸 1
トリメチルグリシン 4
グリセリン 2
砂糖 8
ソルビトール 2
エタノール 13
カチオン性ポリマー 適量
安定化剤 適量
イオン交換水 残部
処方例1,2共に良好な硬度、使用性の固形洗浄剤が得られた。
【解決手段】アシルアスパラギン酸塩を主成分として、多価アルコールを保湿剤として加え、さらに高級アルコールを加えて固形物の硬さを向上させ、「枠練り製法」で製造することで使用性が良く、適度な硬度の固形状洗浄料が得られる。