(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の案内棒は、前記透孔への挿入側の先端部分におけるキャップ部の外径寸法が複数種類設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の熱交換チューブ挿入装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態における熱交換チューブ挿入装置の概略構成図である。本実施形態における熱交換チューブ挿入装置100は、積層フィン10を保持する積層フィン保持部20と、積層フィン10の透孔12に挿入される複数の案内棒30と、複数の案内棒30を移動させる案内棒移動部40と、動作制御部50とを具備している。
【0016】
本実施形態における積層フィン10と熱交換チューブTの斜視図を
図2に示す。本実施形態における積層フィン10は複数枚の板状のフィン11が板厚方向に積層されたものである。フィン11には複数の透孔12が複数段にわたって千鳥状(透孔12の位置が隣り合う列または行で互い違いになっている状態)に形成されている。なお、
図2では、矢印X方向を列方向、矢印Y方向を行方向としている。また、ヘアピン状の熱交換チューブTは銅管等の熱伝導性の高い材質の金属管であり、長さ方向の中央部分の曲げ部BにおいてU字状に曲げられている。
【0017】
積層フィン保持部20は、
図1に示されているように、積層フィン10の積層状態を維持しながら積層フィン10を保持するものである。このような積層フィン保持部20としては、スタック装置(図示せず)からスタックピン(図示せず)と共に積層フィン10を取り出した積層フィン10を積層方向における両端部から当接する当接板22と、対向する当接板22、22どうしを積層フィン10の積層方向(
図1内の矢印Aの方向)に接離動させる当接板駆動部24からなるクランパ構造等を用いることができる。
図1および
図2においては積層フィン10を当接板22により積層方向にクランプした後、スタックピンが引き抜かれた状態を示しているが、積層フィン10からスタックピンを引き抜かない状態にしておくこともできる。当接板駆動部24の動作は、動作制御部50により制御されている。
【0018】
また、本実施形態における積層フィン保持部20の当接板22はL字形に形成されていて、第1内端縁22Aが積層フィン10の透孔12形成面の一部に当接し、第2内端縁22Bが積層フィン10の側面と所要間隔をあけた状態になっている。このような当接板22によれば、積層フィン10の積層状態を維持しながらも、それぞれのフィン11の平面位置を積層フィン10の積層方向直交方向に移動させることができる点において好都合である。なお、積層フィン保持部20の構成は、本実施形態で示した構成に限定されるものではない。
【0019】
複数の案内棒30は、積層フィン保持部20により保持された積層フィン10の積層方向における一方側の端面に開口する透孔12から積層フィン10の積層方向に挿入されるものである。本実施形態における複数の案内棒30は、最大外径寸法がそれぞれ異なる第1案内棒30Aと第2案内棒30Bとを有している。第1案内棒30Aの最大外径寸法は、熱交換チューブTの外径寸法よりも大径寸法であると共に透孔12の径寸法よりも小径寸法の外径寸法に形成されている。これに対して第2案内棒30Bの最大外径寸法は、熱交換チューブTの外径寸法と略等しい径寸法に形成されている。なお、本実施形態における第2案内棒30Bの最大外径寸法は、熱交換チューブTの98乃至102%の寸法範囲であって、かつ、第1案内棒30Aの最大外径寸法よりも小径寸法としている。
【0020】
第1案内棒30Aと第2案内棒30Bは、
図3と
図4に示すように、ロッド部30Ar(30Br)とキャップ部30Ac(30Bc)とを有し、ロッド部30Ar(30Br)の先端にキャップ部30Ac(30Bc)が着脱可能な構成を採用することもできる。この場合、キャップ部30Acの最大外径寸法を熱交換チューブTの外径寸法よりも大径寸法であると共に透孔12の径寸法よりも小径寸法の外径寸法に形成し、キャップ部30Bcの最大外径寸法を熱交換チューブTの外径寸法と略等しい外径寸法に形成すればよい。これにより、第1案内棒30Aのロッド部30Arと第2案内棒30Bのロッド部30Brは、外径寸法を熱交換チューブTの外径寸法以下にした同一径寸法に共通化することもできる。さらには、第1案内棒30Aの透孔12への挿入時の摩擦抵抗も低減させることができる点において好都合である。以上のように案内棒30は最大外径寸法が相違する複数種類設けられていることが重要である。
【0021】
案内棒移動部40は、積層フィン10の積層方向において積層フィン10の外部位置から複数の案内棒30を積層フィン10に挿入および引き抜きする(
図1中の矢印B方向に挿入および引き抜きする)ための構成である。このような案内棒移動部40としては流体シリンダ等に代表される直動装置が好適に用いられる。本実施形態における案内棒移動部40は、動作制御部50により、第1案内棒30Aと第2案内棒30Bを異なるタイミングで積層フィン10の透孔12に挿抜させるように動作が制御されている。
【0022】
本実施形態における動作制御部50は、
図3に示すように、積層フィン保持部20に保持された積層フィン10の積層方向における一方側の端面に開口している複数の透孔12の一部に第1案内棒30Aを挿入するよう案内棒移動部40を動作させる。続けて動作制御部50は、
図4に示すように、他の残りの透孔12に第2案内棒30Bを挿入させるよう案内棒移動部40を動作させる。このとき、第1案内棒30Aは、隣り合う複数個の透孔12に対して1つの透孔12に挿入させればよく、本実施形態においては4つの透孔12あたりに1本の第1案内棒30Aを挿入させるように案内棒移動部40を動作させている。
【0023】
このように外径寸法が透孔12の径寸法よりもわずかに小さい第1案内棒30Aを先行させて透孔12の一部に挿入させることにより、すべての第2案内棒30Bを確実に透孔12から積層フィン10の積層方向に挿入させることができる。これにより、第1案内棒30Aにより透孔12を変形させることなく透孔12の位置に基づいて積層フィン10を積層フィン10の積層方向に確実に整列させることができる。また、これとは逆に、第1案内棒30Aに先行させて第1案内棒30Aの外径寸法よりもわずかに小径の外径寸法に形成された第2案内棒30Bを透孔12に挿入させるようにしてもよい。これにより透孔12への複数の案内棒30の挿入処理をさらに円滑に行うことができる点で好都合である。
【0024】
本実施形態においては、積層フィン10からスタックピンを引き抜いた状態にして案内棒30を透孔12に挿入しているが、
図3の破線で示すようにスタックピンSPが挿通されている状態の積層フィン10の透孔12に複数の案内棒30を挿入することもできる。スタックピンSPが挿入されている透孔12に対しては、第1案内棒30Aを積層フィン10の透孔12に挿入させることが好ましい。具体的には、第1案内棒30Aの先端部をスタックピンSPの先端部に突き合わせ、第1案内棒30AとスタックピンSPの突き合せ状態を維持しながら透孔12に対するスタックピンSPの引き抜きと第1案内棒30Aの挿入を同時に行うことができる。このように積層フィン10の透孔12にスタックピンSPが挿通されていることにより、ある程度の整列度が維持された状態で積層フィン10に第1案内棒30Aまたは第2案内棒30Bを挿入することができる点においても好都合である。
【0025】
なお、積層フィン10の透孔12にスタックピンSPが挿入されている場合において、
図3に示す状態を経ることなく、
図4に示す状態にすることもできる。具体的には、スタックピンSPが挿入されている透孔12についてはスタックピンSPの先端に第1案内棒30Aの先端を当接させる。そして、他の透孔12には第2案内棒30Bの先端を差し込む。この後、透孔12からのスタックピンSPの引き抜き処理および第1案内棒30Aの挿入処理と、透孔12への第2案内棒30Bの挿入処理をそれぞれ同時に行うこともできる。
【0026】
動作制御部50は、積層フィン保持部20と案内棒移動部40の動作をそれぞれ制御するものであり、熱交換チューブ挿入装置100に電気的に接続された図示しないパーソナルコンピュータのCPUと記憶部に予め記憶されている制御プログラムにより構成することができる。熱交換チューブ挿入装置100における動作制御部50は、図示しない熱交換コア製造装置の動作制御部と構成を共通させることもできる。
【0027】
このようにして積層フィン10におけるそれぞれのフィン11の位置を透孔12の位置に基づいて整列させた後、動作制御部50は熱交換チューブTを透孔12に挿入させる動作を実行する。具体的には次のようにして熱交換チューブTを透孔12に挿通させている。
【0028】
動作制御部50は図示しない熱交換チューブ挿入部に積層フィン10の他方側の端面に開口する透孔12から突出している第1案内棒30Aおよび第2案内棒30Bのそれぞれのキャップ部30Ac,30Bcに熱交換チューブTの先端を当接させる(
図5参照)。動作制御部50は、熱交換チューブTの先端をキャップ部30Ac,30Bcに当接させた状態を維持させながら、案内棒移動部40に第1案内棒30Aおよび第2案内棒30Bを積層フィン10の透孔12から
図5内の矢印方向に引き抜かせる。これにより第1案内棒30Aおよび第2案内棒30Bの透孔12からの引き抜きと透孔12への熱交換チューブTの挿入作業を同時に行うことができる。このようにして積層フィン10に熱交換チューブTを挿入してなる熱交換器を得ることができる。
【0029】
(第2実施形態)
本実施形態においては、第1実施形態における複数の案内棒30の構成に加え、最大外径寸法が第1案内棒30Aの外径寸法と第2案内棒30Bの外径寸法の中間寸法に形成された第3案内棒30Cを有している点が特徴である。第3案内棒30Cの構成は先の実施形態と同様に、ロッド部30Crとロッド部30Crに着脱可能なキャップ部30Ccとにより構成されている。この他の構成については第1実施形態と共通しているため、同じ符号を用いて図示する等によりここでの詳細な説明は省略している。
【0030】
図6に示すように、本実施形態における動作制御部50は案内棒移動部40に、積層フィン保持部20に保持された積層フィン10の積層方向における一方側の端面に開口している複数の透孔12の一部に第3案内棒30Cを挿入させる。続けて
図7に示すように、動作制御部50は案内棒移動部40に、他の透孔12の一部(スタックピンが挿通されている透孔12であることが好ましい)に第1案内棒30Aを挿入させる。そして
図8に示すように、動作制御部50は案内棒移動部40に、残りの透孔12に第2案内棒30Bを挿入させる。
【0031】
このとき、動作制御部50は最初に透孔12に挿入される第3案内棒30Cを、隣り合う複数個の透孔12に対して1つの透孔12に挿入させればよく、本実施形態においては4つの透孔12あたりに1本の第3案内棒30Cを挿入させている。また、本実施形態における動作制御部50は、第1案内棒30Aを第3案内棒30Cが挿入された透孔12により区切られた3つの透孔12の中央位置の透孔12に挿入させている。そして動作制御部50は第2案内棒30Bを残りの透孔12に挿入させている。
【0032】
このように動作制御部50は、最大外径寸法が一番大きい第1案内棒30Aの挿入に先行させて第1案内棒30Aと第2案内棒30Bの中間の最大外径太さの第3案内棒30Cを透孔12の一部に挿入させている。これにより、第3案内棒30Cの透孔12への挿通をスムーズに行うことができる。また、透孔12の径寸法に対する第3案内棒30Cの最大外径寸法が適度な大きさ(第1案内棒30Aと第2案内棒30Bの中間の最大外径寸法)に形成されているので、積層フィン10の事前整列がなされ、第1案内棒30Aを透孔12へ挿入させる際の摩擦力を小さくすることもできる。これにより、案内棒移動部40および熱交換チューブ挿入部の出力を低下させることができると共に透孔12の変形を最小限に抑えることが可能になる点において好都合である。
【0033】
このように積層フィン10を積層方向に整列させた後、第1実施形態と同様にして熱交換チューブ挿入部および案内棒移動部40により熱交換チューブTの先端部を案内棒30に当接させた状態を維持しながら案内棒30を透孔12から引き抜くだけで熱交換チューブTを透孔12に挿入させることができる。
【0034】
(第3実施形態)
本実施形態においては、案内棒移動部40に接離動する積層フィン搬送部60にスタックピンSPが挿通された状態の積層フィン10を搬送させ、スタックピンSPが挿入された状態の積層フィン10に複数の案内棒30を挿入させる形態について説明する。複数の案内棒30は、少なくとも2種類の径寸法に形成されているのは先の実施形態と同様である。本実施形態においては説明を簡略にするため複数の案内棒30ということにする。
図9および
図10に示すように、本実施形態における案内棒移動部40はベース部41と、案内棒直動機構42と、案内棒支持体44と、積層フィン受け部46と、積層フィン押さえ部48を有している。案内棒移動部40は動作制御部50により動作が制御されている。本実施形態の他の構成については第1実施形態と共通しているため、第1実施形態と同じ符号を用いて図示する等によりここでの詳細な説明は省略している。
【0035】
ベース部41は平面視形状が長方形をなす板体に形成されている。ベース部41の端部には案内棒直動機構としての流体シリンダ42が配設されている。流体シリンダ42の出力軸には移動側案内棒支持体44Aが取り付けられていて流体シリンダ42の出力軸の伸縮動作に同期して移動する。ベース部41の長手方向中間位置には固定側案内棒支持体44Bが立設されている。このように本実施形態における案内棒支持体44は移動側案内棒支持体44Aと固定側案内棒支持体44Bにより構成されている。複数の案内棒30は、第1端部が移動側案内棒支持体44Aに連結され、複数の案内棒30の軸線方向が水平になるように固定側案内棒支持体44Bに支持(挿通)された片持ち状態で往復動可能に設けられている。
【0036】
積層フィン受け部46は複数の案内棒30の軸線方向(往復動方向)に延設されている。積層フィン受け部46は長条体に形成され、複数の案内棒30の軸線方向に平行な配列で所要間隔をあけて複数箇所に配設されている。積層フィン受け部46に載置された積層フィン10は透孔12の位置が複数の案内棒30の高さ位置に位置合わせされている。
【0037】
ベース部41の案内棒直動機構42と対向する平面位置には積層フィン押さえ部48が配設されている。本実施形態における積層フィン押さえ部48は、フィン用流体シリンダ48Aとフィン用流体シリンダ48Aの軸の先端に取り付けられ、図中の上下方向に伸縮可能なストッパ体48Bを有している。フィン用流体シリンダ48Aは流体シリンダ42の出力軸の伸縮方向と同一方向に伸縮する。
【0038】
積層フィン搬送部60は、ベース部62の長手方向両端部に積層フィン10に挿通されているスタックピンSPを把持するスタックピン把持部64を有している。ベース部62は平面視形状が長方形をなす板体に形成されている。スタックピン把持部64は、スタックピンSPの把持状態と非把持状態が切り替え可能であると共に、ベース部62に対して上下方向に接離動可能に設けられている。積層フィン搬送部60は図示しない駆動機構により、少なくとも
図10内の矢印X方向および
図11内の矢印Z方向に移動可能に設けられていて、案内棒移動部40に対し接離動する。積層フィン搬送部60は動作制御部50により動作が制御されている。
【0039】
続いて本実施形態における積層フィン10に対する複数の案内棒30の挿入方法について説明する。積層フィン搬送部60は、図示しないスタック装置からスタックピンSPが挿通された状態の積層フィン10を受け取る。具体的には、
図10に示すように、積層フィン10の積層方向両端部から突出しているスタックピンSPをスタックピン把持部64が把持し、スタック装置から積層フィン10をスタックピンSPと共に受け取りする。
【0040】
積層フィン搬送部60は、動作制御部50の指示により、
図10の矢印X方向に移動した後、
図11の矢印Z方向に移動(同時に移動してもよい)し、積層フィン10を積層フィン受け部46に載置する。積層フィン10が積層フィン受け部46に載置されると、ストッパ体48Bが
図11中の矢印方向に伸長(上昇)し、積層フィン10の積層方向の一方の端部の側方位置に待機させる。次に積層フィン搬送部60は動作制御部50の指示により、
図12の矢印X方向に移動しスタックピンSPの先端部を複数の案内棒30の先端部に突き合わせた状態、および、透孔12の位置に複数の案内棒30を位置合わせした(先端部を差し込んだ)状態にする。スタックピンSPの先端部と複数の案内棒30の先端部を当接させた後、
図13に示すように、動作制御部50の指示により複数の案内棒30側のスタックピン把持部64がスタックピンSPの把持を解除すると共にスタックピンSPから離反するように矢印方向に上昇する。
【0041】
次に積層フィン押さえ部48は、動作制御部50の指示によりフィン用流体シリンダ48Aを
図14中の矢印方向(案内棒移動部40側)に収縮(短縮)させる。これにより、
図14に示すようにストッパ体48Bにより積層フィン10を案内棒30側に押し寄せるように移動させる。続けて流体シリンダ42と積層フィン搬送部60は動作制御部50の指示により、
図15に示す矢印X方向に複数の案内棒30とスタックピンSPを同期させた状態で移動させる。このようにして積層フィン10の透孔12に対する複数の案内棒30の挿入とスタックピンSの引き抜き動作が同時に行われる。
【0042】
スタックピンSPが積層フィン10から完全に引き抜かれた後、
図16に示すようにスタックピンSPから退避していたスタックピン把持部64が矢印方向に移動(下降)してスタックピンSPに接近すると共にスタックピンSPを把持する。この後、動作制御部50の指示により積層フィン搬送部60は案内棒移動部40から離反する(
図17)。
【0043】
本実施形態によれば、スタックピンSPが透孔12に挿通された状態の積層フィン10に対して複数の案内棒30を透孔12に挿通しているので、複数の案内棒30を挿入する前であっても積層フィン10は整列された状態になっている。これにより、複数の案内棒30の積層フィン10の透孔12への挿入処理を円滑に行うことができ、複数の案内棒30を同時に積層フィン10の透孔12に挿入させることができる点において好都合である。
【0044】
図18は、本実施形態における案内棒移動部40と熱交換チューブ挿入部70の平面図および図中のA矢視図である。
図19は、
図18の正面図である。熱交換チューブ挿入部70は、複数の案内棒30を挿入させた積層フィン10の透孔12に熱交換チューブTを挿入するためのものである。本実施形態における熱交換チューブ挿入部70は、ベース部72と熱交換チューブ保持部74と熱交換チューブTを積層フィン10の透孔12に挿入するための挿入駆動部76を有している。熱交換チューブ挿入部70は案内棒移動部40に対して接離動可能に設けられている。また、熱交換チューブ挿入部70は動作制御部50により動作が制御されている。
【0045】
ベース部72は平面視形状が長方形をなす板体に形成されている。熱交換チューブ保持部74は案内棒移動部40側に立設された固定側保持部74Aと案内棒30の軸線方向に接離動可能な移動側保持部74Bとを有している。固定側保持部74Aには、熱交換チューブTを挿通させるための第1貫通孔74Aaと積層フィン受け部46を挿通させるための第2貫通孔74Abが穿設されている。これらにより案内棒移動部40に熱交換チューブ挿入部70を接離動させても、熱交換チューブTや積層フィン受け部46が固定側保持部74Aに干渉することがない。移動側保持部74Bはベース部72の上面に立設されたガイド体78に沿って移動可能に設けられている。
【0046】
熱交換チューブ挿入部70は動作制御部50の指示により、
図20に示すように、案内棒移動部40に同じ高さ位置から接近し、熱交換チューブTの先端部を複数の案内棒30の先端部に突き合わせた状態にする。そして流体シリンダ42および挿入駆動部76は動作制御部50の指示により、複数の案内棒30と熱交換チューブTが当接した状態を維持しながら
図21の矢印X方向に同期した状態で移動する。このようにして積層フィン10に対して透孔12からの複数の案内棒30の引き抜き処理と熱交換チューブTの挿入処理が同時に行われる。
【0047】
また、
図22に示すように、積層フィン10からの複数の案内棒30の引き抜き処理と熱交換チューブTの挿入処理の完了後、熱交換チューブ挿入部70は動作制御部50の指示により、
図23に示すように案内棒移動部40から離反する方向に移動する。このようにして積層フィン10の透孔12に熱交換チューブTを挿入した状態にすることができる。熱交換チューブTが挿入された積層フィン10は図示しないマニピュレータ等により案内棒移動部40から取り出される。
【0048】
以上本発明につき好適な実施形態を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。例えば、第1実施形態においては4つの透孔12あたりに1本の第1案内棒30Aを挿入し、その後、他の残りの透孔12に第2案内棒30Bを挿入する形態について説明したが、この形態に限定されるものではない。第1案内棒30Aの外径寸法に応じて第1案内棒30Aを挿入すべき透孔12の数は適宜変更することができる。
【0049】
また、第1実施形態および第2実施形態においては、複数の案内棒30は、2種類(第1案内棒30Aと第2案内棒30B)または3種類(第1案内棒30Aと第2案内棒30Bと第3案内棒30C)の外径寸法で構成されているが、複数の案内棒30は4種類以上の外径寸法で構成することも可能である。
【0050】
さらには、第1実施形態および第2実施形態においては、第1案内棒30A、第2案内棒30B、第3案内棒30Cはいずれもロッド部(30Ar,30Br,30Cr)にキャップ部(30Ac,30Bc,30Cc)を着脱可能にした形態としているが、この形態に限定されるものではない。以上の実施形態で説明した形状の第1案内棒30A、第2案内棒30B、第3案内棒30Cをいわゆるワンピース型で形成してもよい。さらには最大外径寸法がそれぞれ異なる単純な寸胴型の棒体により第1案内棒30A、第2案内棒30B、第3案内棒30Cを形成することもできる。
【0051】
また、積層フィン10への熱交換チューブTの挿入は、複数回に分けて行うこともできる。これにより透孔12と熱交換チューブTとの摩擦が少なくなるため、透孔12への熱交換チューブTの挿入が容易になると共に透孔12の破損を防止することもできる点で好都合である。
【0052】
また、第3実施形態においては、案内棒移動部40に対して同じ高さ位置から熱交換チューブ挿入部70を接離動させているがこの形態に限定されるものではない。熱交換チューブ挿入部70は、積層フィン搬送部60と同様に案内棒移動部40に対して平面方向および高さ方向(いわゆる3次元方向)に接離動可能であってもよい。
【0053】
さらに、本発明は、以上の実施形態および明細書中における各変形例を適宜組み合わせた形態を採用することも可能である。