(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を図示の実施形態により詳細に説明する。なお、以下の説明では、図面に表された構成を説明するうえで、「上」、「下」、「左」、「右」等の方向を示す用語、及びそれらを含む別の用語を使用するが、それらの用語を使用する目的は図面を通じて実施形態の理解を容易にするためである。したがって、それらの用語は本発明の実施形態が実際に使用されるときの方向を示すものとは限らないし、それらの用語によって特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲が限定的に解釈されるべきでない。
【0010】
本発明の一実施形態の洗濯機1は、
図1に示すように、洗濯機本体2を備える縦型洗濯機である。この洗濯機本体2の内部には、
図2に示すように、外槽20と、この外槽20の内部に回転可能に設けられた内槽30とが設けられている。外槽20および内槽30は、上部が開口した有底筒状をそれぞれ有しており、上面視における中心が一致するように配置されている。
【0011】
なお、
図1の上下方向を洗濯機1の上下方向とする。また、
図1のX方向を洗濯機1の左右方向とし、
図1のY方向を洗濯機1の前後方向とする。
【0012】
洗濯機本体2は、外箱10と上面板11とで構成されている。
【0013】
外箱10は、金属または合成樹脂からなり、側面視において直方体形状を有している。外箱10の上面および底面は開口しており、上面の開口には、合成樹脂製の上面板11が設けられ、底面の開口には、合成樹脂製のベース12が設けられている。
【0014】
上面板11は、洗濯機1内に洗濯物を投入可能な洗濯物投入口14と、運転モードの選択等を行うための操作パネル5とを有している。洗濯物投入口14は、上面視において、上面板の略中央に配置されている。また、操作パネル5は、上面板11の前隅部に配置されている。
【0015】
上面板11の上面の洗濯物投入口14の後側縁部には、下側に向かって凹む凹部111(
図5に示す)が設けられている。この凹部111は、洗濯機1の前後方向に沿った断面視において略扇形状を有している。また、この凹部111内で、洗濯物投入口14を開閉する蓋体の一例の上蓋15が、回転可能に支持されている。
【0016】
また、上面板11の内部には、電磁的に開閉する給水弁93が配置されている。給水弁93の上流側には、上面板11を貫通して上方に突き出す接続管61が設けられている。この接続管61には、水道水などの上水を供給する給水ホース(図示せず)が接続される。また、給水弁93の下流側は、内槽30の内部に臨む位置に配置された容器状の給水口(図示せず)に接続されている。
【0017】
ベース12は、外箱10を支えるための脚部13を有している。この脚部13は、ベース12の四隅にそれぞれ配置されている。また、このベース12の側面には、接続管53が設けられている。
【0018】
外槽20は、その底部に開口する外排水口51を有し、外箱10に対してサスペンション部材(図示せず)によって吊り下げられている。このサスペンション部材は、外槽20の下方と外箱10の上方とを連結する形で計4箇所に配備され、外槽20を揺動可能に支持している。
【0019】
内槽30は、底部301と、この底部301の周縁から上方に向かって伸びる周側部302と、底部301に対向する上部に略円形状の開口部303とを有し、洗剤を溶かした水またはすすぎ用の水などの洗濯水が溜められるようになっている。また、この内槽30には、駆動ユニット40の脱水軸44が接続されている。
【0020】
底部301の中央には、正逆方向に回転可能に配置された撹拌翼3が設けられている。この撹拌翼3には、駆動ユニット40の攪拌翼軸45が接続されている。また、底部301の撹拌翼軸45の周りには、内排水口57が設けられている。この内排水口57には、内槽排水弁85(
図3に示す)が設けられている。周側部302には、上部に間隔を空けて配置された複数の脱水孔31が設けられている。
【0021】
また、内槽30の開口部303には、環状のバランサ32が設けられている。このバランサ32は、内槽30の脱水軸44(回転軸)の周方向に延びる環状の管によって構成されている。この環状の管の内部には、洗濯機1の設計等に応じた量の液体(例えば、水)が収容されている。
【0022】
撹拌翼3は、操作パネル5を介してユーザにより指示された運転コース等に応じて回転する。例えば、洗濯またはすすぎ運転を行う場合、撹拌翼3は、50〜150rpmの回転速度で、正回転方向および逆回転方向に交互に繰り返し回転する。また、脱水運転を行う場合、撹拌翼3は、内槽30と一緒に0〜1000rpmの回転速度で逆回転方向に回転する。
【0023】
駆動ユニット40は、モータ41と、モータ41の回転出力を伝達するベルト機構42と、クラッチ・ブレーキ機構43と、クラッチ・ブレーキ機構43の中央部に同軸に配された脱水軸44および攪拌翼軸45とを含んでいる。モータ41は、撹拌翼3および内槽30を回転させる。また、脱水軸44および攪拌翼軸45は、脱水軸44が外側に配置され、攪拌翼軸45が内側に配置された二重軸構造となっている。脱水軸44は、下方から上方に向かって外槽20底面を貫き、内槽30を支持している。攪拌翼軸45は、下方から上方に向かって外槽20を貫通し、さらに内槽30の底部301を貫き、撹拌翼3を支持している。
【0024】
また、洗濯機1は、内排水口57、シールホルダ54、外排水口51、配水管52、および、接続管53で構成された排水路50を有している。外排水口51には、外槽排水弁86が設けられている。
【0025】
シールホルダ54は、外槽20と内槽30との間に配置され、外槽20の外排水口51に接続されていると共に、内排水口57を介して内槽30の内部と連通している。このシールホルダ54の内側には、オイルシール(図示せず)が圧入され、これにより内槽30がシールされ、外槽20と内槽30との間に独立した排水空間56が形成されている。
【0026】
配水管52は、外槽20の下側に配置され、外排水口51と接続管53とに接続されている。配水管52の外排水口51と接続管53との間には、排水弁58が設けられている。接続管53には、排水ホース(図示せず)が接続され、外排水口51(外槽排水弁86)、配水管52、接続管53、および、排水ホースを介して、外槽20および内槽30内の水を外箱10の外に排水するようになっている。
【0027】
なお、上記洗濯機1で洗濯またはすすぎ運転を行う場合、排水弁58が閉じられ、内槽30内にのみ水が貯められる。また、脱水運転を行う場合、排水弁58が開かれ、内槽30内の水は外部に排水される。各運転時に、脱水軸44、攪拌翼軸45、および、内槽30がモータ41の駆動により回転するが、シールホルダ54の内側に圧入されたオイルシールにより、内槽30は、シールホルダ54に対して相対的に回転可能な状態で、かつ、水密構造を取り続けることができる。
【0028】
また、洗濯機1は、上面板11の内部に設けられた制御装置70を備えている。この制御装置70は、演算等を行うCPU、洗濯機1の制御に必要なプログラムあるいはデータ等を記憶しておくROMおよびRAM等を有し、
図3に示すように、操作パネル5および水位センサ91からの信号等に基づいて、駆動ユニット40、ヒートポンプユニット92、給水弁93、内槽排水弁85、および、外槽排水弁86等を制御する。
【0029】
続いて、
図4〜
図6を参照して、洗濯機1の上蓋15について、詳しく説明する。
【0030】
上蓋15は、
図4および
図5に示すように、略円形の板状で、回動軸部151と、制動部16とを有している。
【0031】
回動軸部151は、上面板11の左右方向に沿って延びており、
図5に示すように、上面板11の凹部111内で、上面板11に回動可能に支持されている。すなわち、回動軸部151は、上蓋15の辺縁部に設けられ、洗濯機本体2の上部に回動可能に支持されており、その中心が上蓋15の回動軸Cになっている。
【0032】
制動部16は、
図5に示すように、上蓋15の回動軸部151の直交方向(前後方向)における回動軸部151に近い方の近端部152に一体に設けられ、洗濯物投入口14が開放される開放位置P1と洗濯物投入口14が閉鎖される閉鎖位置P2との間における上蓋15の回動を制動する。
【0033】
詳しくは、
図6に示すように、制動部16は、重り部材161と、この重り部材161を収容する収容部162とで構成されている。重り部材161は、近端部152が閉鎖位置P2よりも回動方向Aの上側に位置し、かつ、回動軸部151の直交方向(前後方向)における回動軸部151から遠い方の遠端部153が閉鎖位置P2よりも回動方向Aの下側に位置した状態で、上蓋15の回動軸部151に対する直交方向(前後方向)の両側の部分を釣り合わせるように構成されている。
【0034】
すなわち、重り部材161は、上蓋15の回動軸部151に対する前後方向の両側部分が釣合位置P3で釣り合うように、構成かつ配置されている。なお、上蓋15は、開放位置P1と閉鎖位置P2との間を回動する。このため、実際には、上蓋15が釣合位置P3に位置することはない。
【0035】
このように、洗濯機1では、上蓋15の回動軸部151の直交方向における回動軸部151に近い方の近端部152に、洗濯物投入口14が開放される開放位置P1と洗濯物投入口14が閉鎖される閉鎖位置P2との間の上蓋15の回動を制動可能な制動部16が設けられている。これにより、簡単な構造で円滑に上蓋15を開閉操作できる洗濯機1を実現できる。
【0036】
また、制動部16を、重り部材161と収容部162とで構成している。これにより、より簡単な構造で円滑に上蓋15を開閉操作できる洗濯機1を実現できる。
【0037】
さらに、近端部152が閉鎖位置P2よりも回動方向Aの上側に位置した状態で上蓋15の回動軸部151に対する直交方向の両側の部分を釣り合わせるように、重り部材161を構成している。これにより、上蓋15の釣合位置が閉鎖位置P2である場合と比べて、上蓋15を開放位置P1から閉鎖位置P2への回動をより円滑にすることができる。
【0038】
なお、洗濯機1は、制動ダンパ17をさらに備えていてもよい。この制動ダンパ17は、
図7に示すように、例えば、上蓋15の回動軸部151周りに設けられ、上蓋15の回動を制動する。制動ダンパ17を設けることで、上蓋15の開閉操作がより円滑になる。
【0039】
また、重り部材161は、金属等の密度の高い材料で構成するのが好ましい。
【0040】
また、収容部162は、重り部材161を収容できるものであればよく、上記実施形態のように上蓋15に一体に設けてもよいし、別体で設けてもよい。
【0041】
また、重り部材161を収容部162から着脱可能に構成してもよいし、一旦収容した重り部材161を収容部162から取り外すことができないように構成してもよい。
【0042】
また、開放位置P1は、洗濯物投入口14が、内槽30に洗濯物を投入できる程度に開放される位置であればよい。
【0043】
また、制動部16は、重り部材161と収容部162とで構成される場合に限らない。制動部16は、開放位置P1と閉鎖位置P2との間の上蓋15の回動を制動可能な構成であれば、任意に採用できる。
【0044】
本発明は、上記実施形態の洗濯機1に限らず、任意の構成を有する縦型の洗濯機に適用できる。
【0045】
以上、図面を参照して本発明における種々の実施形態を詳細に説明したが、最後に、本発明の種々の実施形態について説明する。
【0046】
本発明の第1実施形態の洗濯機は、
上部に洗濯物投入口14を有する洗濯機本体2と、
上記洗濯物投入口14を開閉する板状の蓋体15と、
を備え、
上記蓋体15が、
上記蓋体15の辺縁部に設けられ、上記洗濯機本体2の上部に回動可能に支持された回動軸部151と、
上記回動軸部151の直交方向における上記回動軸部151に近い方の近端部152に設けられ、上記洗濯物投入口14が開放される開放位置P1と上記洗濯物投入口14が閉鎖される閉鎖位置P2との間の上記蓋体15の回動を制動可能な制動部16と、を有する。
【0047】
上記第1実施形態の洗濯機によれば、蓋体15の回動軸部151の直交方向における回動軸部151に近い方の近端部152に、洗濯物投入口14が開放される開放位置P1と洗濯物投入口14が閉鎖される閉鎖位置P2との間の蓋体15の回動を制動可能な制動部16が設けられている。これにより、簡単な構造で円滑に蓋体15を開閉操作できる洗濯機1を実現できる。
【0048】
また、本発明の第2実施形態の洗濯機は、
上記制動部16が、重り部材161と、この重り部材161を収容する収容部162とを有している。
【0049】
上記第2実施形態の洗濯機によれば、より簡単な構造で円滑に蓋体15を開閉操作できる洗濯機1を実現できる。
【0050】
また、本発明の第3実施形態の洗濯機は、
上記重り部材161が、
上記近端部152が上記閉鎖位置P2よりも上記蓋体15の回動方向Aの上側に位置した状態で上記蓋体15の上記回動軸部151に対する上記直交方向の両側の部分を釣り合わせるように構成されている。
【0051】
上記第3実施形態の洗濯機によれば、蓋体15の釣合位置が閉鎖位置P2である場合と比べて、上蓋15を開放位置P1から閉鎖位置P2への回動をより円滑にすることができる。
【0052】
また、本発明の第4実施形態の洗濯機は、
上記蓋体15の回動を制動する制動ダンパ17をさらに備える。
【0053】
上記第4実施形態の洗濯機によれば、上蓋15の開閉操作をより円滑にできる。
【0054】
なお、前記様々な実施形態または変形例のうちの任意の実施形態または変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせまたは実施例同士の組み合わせまたは実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態または実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。