特許第6924024号(P6924024)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6924024
(24)【登録日】2021年8月3日
(45)【発行日】2021年8月25日
(54)【発明の名称】多重壁ブレードのための冷却回路
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/18 20060101AFI20210812BHJP
   F02C 7/18 20060101ALI20210812BHJP
【FI】
   F01D5/18
   F02C7/18 A
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-245002(P2016-245002)
(22)【出願日】2016年12月19日
(65)【公開番号】特開2017-115885(P2017-115885A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2019年12月11日
(31)【優先権主張番号】14/977,124
(32)【優先日】2015年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ウェイン・ウェバー
(72)【発明者】
【氏名】メメット・シュレイマン・シレイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ・チャールズ・ペリー,セカンド
【審査官】 小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−303103(JP,A)
【文献】 特開平10−306701(JP,A)
【文献】 米国特許第8292582(US,B1)
【文献】 特開平10−082302(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2149676(EP,A1)
【文献】 特表2003−533621(JP,A)
【文献】 特開平10−231703(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0286790(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0153678(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/18
F02C 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンブレード冷却システムであって、当該タービンブレード冷却システムが、
タービンブレード(6)の第1のチャンネル(28)と、
タービンブレード(6)の第2のチャンネル(38)と、
第1のチャンネル(28)と第2のチャンネル(38)との間に配置されたタービンブレード(6)の中央プレナム(44)と、
1のチャンネル(28)を通て流れる第1のガス流を前記中央プレナム(44)内へと方向転換させるための第1のターン(60、160)と、
2のチャンネル(38)を通て流れる第2のガス流を前記中央プレナム(44)内へと方向転換させるための第2のターン(70、170)と
を備えており
前記中央プレナム(44)における1のガス流と2のガス流の衝突を低減するように1のターン(60、160)が第2のターン(70、170)からずれており、該ずれが、角度的なずれ又はタービンブレード(6)の長さに沿った半径方向における位置的なずれを含む、タービンブレード冷却システム。
【請求項2】
前記タービンブレード(6)多重壁タービンブレード(6)を含む、請求項1記載のタービンブレード冷却システム。
【請求項3】
第1のチャンネル(28)がタービンブレードの負圧側に沿って延在し、第2のチャンネル(38)がタービンブレードの正圧側に沿って延在している、請求項2に記載のタービンブレード冷却システム。
【請求項4】
1のターン(60)端壁(62)を含んでおり2のターン(70)端壁(72)を含んでおり、前記ずれが、第1のターン(60)の端壁(62)と第2のターン(70)の端壁(72)との間の半径方向の位置的なずれである、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のタービンブレード冷却システム。
【請求項5】
1のターン(60)、前記位置的なずれに等しい長さを有する側壁(64)をさらに備える、請求項4に記載のタービンブレード冷却システム。
【請求項6】
1のターン(60)と2のターン(70)との間に配設されたリブ(80)をさらに備える、請求項5に記載のタービンブレード冷却システム。
【請求項7】
前記ずれが角度的なずれであって、当該タービンブレード冷却システムが、第1のターン(160)と2のターン(170)との間にある角度で配設されたリブ(180)をさらに備えており、前記リブ(180)が第1のガス流を第1の方向前記中央プレナム(44)へ向けるとともに、前記リブ(180)が第2のガス流を第2の異なる方向前記中央プレナム(44)へ向ける、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のタービンブレード冷却システム。
【請求項8】
1のターン(160)端壁(162)を含んでおり、第2のターン(170)端壁(172)を含んでおり1のターン(160)の端壁(162)が第2のターン(170)の端壁(172)とほぼ同一平面上にある、請求項7記載のタービンブレード冷却システム。
【請求項9】
タービンバケット(2)であって、
シャンク(4)と、
前記シャンク(4)に結合たブレード(6)と、
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の冷却システムと
を備える、タービンバケット(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、タービンシステムに関し、より詳細には、多重壁タービンブレード冷却回路の圧力損失を低減させることに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンシステムは、発電などの分野で幅広く利用されているタービン機械の一例である。従来のガスタービンシステムは、圧縮機セクション、燃焼器セクション、およびタービンセクションを備える。ガスタービンシステムの動作中、タービンブレードなどシステム内の様々な構成部品は、高温の流れにさらされ、これが構成部品を故障させ得る。一般に、より高温の流れによってガスタービンシステムの性能、効率、およびパワー出力は向上するので、高温の流れにさらされる構成部品を冷却してガスタービンシステムが高温で動作することを可能にすることが有利である。
【0003】
典型的には、ガスタービンシステムのタービンブレードは、内部冷却チャンネルの複雑な迷路を含む。この冷却チャンネルは、ガスタービンシステムの圧縮機から空気を受け取り、この空気を内部冷却チャンネルに通過させてタービンブレードを冷却する。冷却チャンネルを通過した空気のフィード圧は、空気が圧縮機からブリードされるので、一般に重要である。この点で、回復可能でない圧力損失を低減する冷却チャンネルを提供することが有用であり、圧力損失が増加するにつれて、より高いフィード圧が、十分なガス経路圧マージン(逆流マージン)を維持するために必要とされる。フィード圧がより高くなると、(例えば、ロータ内の)二次流れ回路の漏れもより大きくなり、フィード温度もより高くなる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の第1の態様は、タービンブレードの第1のチャンネルを通じて流れる第1のガス流をタービンブレードの中央プレナムの中へ向きを変えるための第1のターンと、タービンブレードの第2のチャンネルを通じて流れる第2のガス流を中央プレナムの中へ向きを変えるための第2のターンとを備え、中央プレナムにおける第1のガス流と第2のガス流の衝突を低減するように第1のターンは第2のターンからずれているタービンブレード冷却システムを提供する。
【0005】
本開示の第2の態様は、シャンクと、シャンクに結合されたブレードと、冷却システムとを備え、冷却システムは、ブレードの第1のチャンネルを通じて流れる第1のガス流をブレードの中央プレナムの中へ向きを変えるための第1のターンと、ブレードの第2のチャンネルを通じて流れる第2のガス流をブレードの中央プレナムの中へ向きを変えるための第2のターンとを備え、ブレードの中央プレナムにおける第1のガス流と第2のガス流の衝突を低減するように第1のターンは第2のターンからずれており、衝突の低減によりブレードの中央プレナムにおける圧力損失を減少させるタービンバケットを提供する。
【0006】
本開示の第3の態様は、シャンクと、シャンクに結合された多重壁ブレードと、冷却システムとを備え、冷却システムは、第1のチャンネルを通じて流れる第1のガス流をブレードの中央プレナムの中へ向きを変えるための第1のターンと、第2のチャンネルを通じて流れる第2のガス流をブレードの中央プレナムの中へ向きを変えるための第2のターンとを備え、第1のガス流および第2のガス流は、中央プレナムにおいて組み合わせられ、ブレードの中央プレナムにおける第1のガス流と第2のガス流の衝突を低減するように第1のターンは第2のターンから角度的にずれており、衝突の低減により中央プレナムにおける圧力損失を減少させるタービンバケットを提供する。
【0007】
本開示の例示的態様は、本明細書中に記載されている課題および/または検討されていない他の課題を解決する。
【0008】
本開示のこれらおよび他の特徴は、本開示の様々な実施形態を示す添付図面を併せて見ると本開示の様々な態様についての以下の詳細な説明からより容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】各実施形態によるブレードを備えたタービンバケットの斜視図である。
図2】各実施形態による図1の線2−2に沿って得られた図1のブレードの部分断面図である。
図3】各実施形態による対向フィードを有する圧力損失低減構造を示す図である。
図4】各実施形態による対向フィードを有する圧力損失低減構造を示す図1のブレードの部分断面図である。
図5】各実施形態による角度付きフィードを有する圧力損失低減構造を示す図である。
図6】各実施形態による角度付きフィードを有する圧力損失低減構造を示す図1のブレードの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の図面は原寸に比例していないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様を単に示すものであり、したがって、本開示の範囲の限定とみなされるべきでない。図面において、図面間で同じ番号は同じ要素を表す。
【0011】
上述したように、本開示は、一般に、タービンシステムに関し、より詳細には、多重壁タービンブレード冷却回路の圧力損失を低減させることに関する。
【0012】
図1を見ると、タービンバケット2の斜視図が示されている。タービンバケット2は、シャンク4と、このシャンク4に結合されるとともにそれから半径方向外側に延びるブレード6(例えば、多重壁ブレード)とを備える。ブレード6は、正圧側8と対向した負圧側10とを備える。ブレード6は、正圧側8と負圧側10との間に前縁12をさらに備えるとともに、この前縁12の反対側で正圧側8と負圧側10との間に後縁14をさらに備える。
【0013】
シャンク4およびブレード6は、従来の手法により、1種類または複数種類の金属(例えば、鋼鉄、鋼鉄の合金など)からそれぞれ作ることができるとともに、形成(例えば、鋳造、鍛造、またはその他の機械加工)することができる。シャンク4およびブレード6は、一体形成(例えば、鋳造、鍛造、3次元印刷など)することができ、または(例えば、溶接、ろう付け、接着、または他の結合機構によって)続いて接合される別個の構成部品として形成することができる。
【0014】
図2は、各実施形態による、複数の冷却回路を備えた冷却装置16を示す図1の線2−2に沿って得られたブレード6の部分断面図である。この例では、冷却装置16は、ブレード6の負圧側10の内部2通路蛇行負圧側(SS)冷却回路18とともにブレード6の正圧側8の内部2通路蛇行正圧側(PS)冷却回路20を備える。2通路蛇行冷却回路の観点で説明されているが、冷却の目的でブレード6の他の領域、シャンク4の他の領域、および/またはバケット2の他の部分へ再分配するために複数の流れチャンネルからの「使用済み」冷却空気が集められる他のタイプの蛇行(例えば、3通路、4通路など)冷却回路および/または非蛇行冷却回路とともに、(以下説明される)本開示の圧力損失低減構造が使用されてもよいことは当業者に明らかなはずである。さらに、圧力損失低減構造は、再分配するために複数のガス流を単一のガス流にまとめることが必要であるブレード6の他のセクション、シャンク4の他のセクション、および/またはバケット2の他の部分に使用されてもよい。
【0015】
SS冷却回路18は、ブレード6の負圧側10に沿ってブレード6の先端領域48(図1)に向けて半径方向外側に冷却ガス流24(例えば、空気)を向けるためのフィードチャンネル22を備える。図2において、冷却ガス流24は、紙面から外へ流れるものとして示される。ターン(図示せず)を通過した後、「使用済み」冷却ガス26の流れは、戻りチャンネル28を通じてブレード6のシャンク4の方へ逆に向けられる。図2において、冷却ガス流26は、紙面に流れ込むものとして示される。
【0016】
PS冷却回路20は、ブレード6の正圧側8に沿ってブレード6の先端領域48(図1)に向けて半径方向外側に冷却ガス流34(例えば、空気)を向けるためのフィードチャンネル32を備える。ターン(図示せず)を通過した後、「使用済み」冷却ガス36の流れは、戻りチャンネル38を通じてブレード6のシャンク4の方へ逆に向けられる。図2において、冷却ガス流34は、紙面から外へ流れるものとして示され、一方、冷却ガス流36は、紙面に流れ込むものとして示される。
【0017】
各実施形態によれば、図2とともに図3および図5を参照すると、圧力損失低減構造40(図3)、50(図5)は、SS冷却回路18の戻りチャンネル28を通じて流れる冷却ガス流26とPS冷却回路20の戻りチャンネル38を通じて流れる冷却ガス流36とを組み合わせて中央プレナム44内に単一の組み合わせた冷却ガス流42を形成するために設けられている。有利には、これは、流れが中央プレナム44に入るときに冷却ガス流26、36の衝突を防ぐことによって圧力損失を低減することで実現される。圧力損失低減構造40、50は、冷却ガス流26、36が中央部プレナム44内で互いに衝突しないように位置的(図3)または角度的(図5)に冷却ガス流26、36をずらすように構成されている。
【0018】
ブレード6では、冷却ガス流42は、中央プレナム44を半径方向外側へ(図2中紙面から外へ)通過する。中央部プレナム44から、冷却ガス流42は、衝突冷却を行うために、例えば、ブレード6の前縁12に位置する前縁空洞46(図1)へ再分配することができる。代替としてまたは加えて、冷却ガス流42は、ブレード6の先端領域48(図1)へ再分配されてもよい。冷却ガス流42は、対流冷却を行うためにブレード6、シャンク4、および/またはバケット2の他の部分内の他の位置へ供給することもできる。またさらに、冷却ガス流42は、ブレード6の外面の膜冷却を行うために使用することができる。ブレード6における圧力損失低減構造40、50の位置に応じて、冷却ガス流42は、例えば、ブレード6の後縁14における冷却チャンネル/回路へ再分配することもできる。任意の個数の圧力損失低減構造40、50が、ブレード6内で用いられ得る。
【0019】
対向フィードを含む圧力損失低減構造40の第1の実施形態が図3に示されている。図3に示されるように、SS冷却回路18の戻りチャンネル28を通じて流れる冷却ガス流26は、戻りチャンネル28を通じて第1の方向(矢印A)に圧力損失低減構造40の第1のターン60へ流れる。第1のターン60において、冷却ガス流26は、第1のターン60の端壁62および側壁64によって向きを変えられる(矢印B)。続いて、向きを変えられた冷却ガス流26は、冷却ガス流42の一部を形成する中央部プレナム44に向けて流れそこに流れ込む(矢印C)。戻りチャンネル28および中央部プレナム44は、リブ66によって隔てられている。図3に示されるように、冷却ガス流26は、リブ66の端部セクション68のまわりを流れる。
【0020】
図3には、圧力損失低減構造40の第2のターン70も示される。PS冷却回路20の戻りチャンネル38を通じて流れる冷却ガス流36は、戻りチャンネル38を通じて第1の方向(矢印D)に圧力損失低減構造40の第2のターン70へ流れる。第2のターン70において、冷却ガス流36は、第2のターン70の端壁72によって向きを変えられる(矢印E)。続いて、向きを変えられた冷却ガス流36は、冷却ガス流42の別の一部を形成する中央部プレナム44に向けて流れそこに流れ込む(矢印F)。戻りチャンネル38および中央部プレナム44は、リブ76によって隔てられている。冷却ガス流36は、リブ76の端部セクション78のまわりを流れる。
【0021】
図3に示されるように、第1および第2のターン60、70の端壁62、72は、距離d1だけ互いから(例えば、ブレード6の長さに沿って半径方向に)位置的にずれている。各実施形態によれば、1は、第1のターン60の高さ以上とすることができる。さらに、リブ66、76の端部セクション68、78とともに中央プレナム44の中への入口I1、I2は、距離d2だけ互いから位置的に(例えば、垂直に)ずれている。圧力損失低減構造40の特定の実施に応じて、d1およびd2は、ほぼ等しいものであり得る。加えて、リブ66の端部セクション68は、第2のターン70の端壁72と同一平面上とすることができる。流れが中央部プレナム44に入るときに向きを変えられた冷却ガス流26、36を案内し整合させるのを助けるために、リブ80は、第1のターン60と第2のターン70との間に配置することができる。有利には、向きを変えられた冷却ガス流26、36は、衝突が低減されるとともに関連した圧力損失が低減された状態で中央部プレナム44に流れ込む。
【0022】
図4は、圧力損失低減構造40を示す図1のブレードの部分断面図である。図示されるように、冷却ガス流26は、戻りチャンネル28を通じて第1の方向に(図4中の紙面の中に)圧力損失低減構造40の第1のターン60(図3)へ流れる。第1のターン60において、冷却ガス流26は、第1のターン60の端壁62および側壁64(図3)によって向きを変えられる。続いて、向きを変えられた冷却ガス流26は、第2の方向に(図4中の紙面から外へ)冷却ガス流42の一部を形成する中央部プレナム44に流れ込む。戻りチャンネル28および中央部プレナム44は、リブ66によって隔てられている。
【0023】
冷却ガス流36は、戻りチャンネル38を通じて第1の方向に(図4中の紙面の中に)圧力損失低減構造40の第2のターン70(図3)へ流れる。第2のターン70において、冷却ガス流36は、第2のターン70の端壁72によって向きを変えられる。続いて、向きを変えられた冷却ガス流36は、第2の方向に(図4中の紙面から外へ)冷却ガス流42の別の一部を形成する中央部プレナム44に流れ込む。戻りチャンネル38および中央部プレナム44は、リブ76によって隔てられている。第1および第2のターン60、70の端壁62、72は、互いから位置的に(例えば、垂直に)ずれている。
【0024】
角度付きフィードを含む圧力損失低減構造50の一実施形態が図5とともに図6に示されている。図示されるように、冷却ガス流26は、戻りチャンネル28を通じて第1の方向(矢印G)に圧力損失低減構造50の第1のターン160へ流れる。第1のターン160において、冷却ガス流26は、第1のターン160の端壁162およびリブ180によって向きを変えられる(矢印H)。向きを変えられた冷却ガス流26は、冷却ガス流42の一部を形成する中央部プレナム44に向けて流れそこに渦巻き状に流れ込む(矢印I)。戻りチャンネル28および中央部プレナム44は、リブ166によって隔てられている。冷却ガス流26は、リブ166の端部セクション168のまわりを流れる。
【0025】
図5とともに図6には圧力損失低減構造50の第2のターン170も示される。冷却ガス流36は、戻りチャンネル38を通じて第1の方向(矢印J)に圧力損失低減構造50の第2のターン170へ流れる。第2のターン170において、冷却ガス流36は、第2のターン70の端壁172およびリブ180によって向きを変えられる(矢印K)。続いて、向きを変えられた冷却ガス流36は、冷却ガス流42の別の一部を形成する中央部プレナム44に向けて流れそこに渦巻き状に流れ込む(矢印L)。渦巻きは、冷却ガス流26、36が組み合わさって冷却ガス流42を形成するときに、圧力損失を低減するようにも働く。戻りチャンネル38および中央部プレナム44は、リブ176によって隔てられている。冷却ガス流36は、リブ176の端部セクション178のまわりを流れる。
【0026】
図3に示された圧力損失低減構造40とは異なり、図5に示された第1および第2のターン160、170の端壁162、172は、圧力損失低減構造50において互いから位置的に(例えば、垂直に)ずれていない。むしろ、第1および第2のターン160、170の端壁162、172は、ほぼ同一平面上にある。本実施形態では、リブ180ならびに中央プレナム44の中への入口I11およびI12は、冷却ガス流26、36を互いから離れるように(例えば、異なる方向に)角度付けて渦を巻かせるように構成され、流れの衝突を低減するとともに関連した圧力損失を低減する。各実施形態では、図5に示されるように、リブ180は、対向する冷却ガス流26、36をずらすのに十分な角度αで配設することができる。冷却ガス流26、36は、中央プレナム44の中へ通りそこを通過し、組み合わさって冷却ガス流42を形成する。
【0027】
流れが中央プレナム44に入るときに冷却ガス流26、36の衝突を防ぐことによって、圧力損失は、圧力損失低減構造40、50を用いるときに低減される。したがって、より低いフィード圧が、十分なガス経路圧マージン(逆流マージン)を維持するために必要とされる。さらに、フィード圧が低くなると、(例えば、ロータ内の)二次流れ回路の漏れがより小さくなり、フィード温度もより低くなる。
【0028】
様々な実施形態において、互いに「結合」されると記載された構成部品は、1つまたは複数の界面に沿って接合され得る。いくつかの実施形態では、これらの界面は別個の構成部品間の接合を含み得、他の場合には、これらの界面は、しっかりとおよび/または一体に形成された相互接続を含み得る。すなわち、場合によっては、互いに「結合」されている構成部品は、同時に、単一の連続部材を定めるように形成され得る。しかしながら、他の実施形態では、これらの結合された構成部品は、別個の部材として形成され、続いて、知られているプロセス(例えば、締結、超音波溶接、ボンディング)によって連結され得る。
【0029】
要素または層が、別の要素に「接する」、「係合される」、「接続される」、または「結合される」と呼ばれるとき、この要素または層は、他の要素に直接接する、係合される、接続される、または結合されることが可能であり、あるいは介在する要素が存在してもよい。対照的に、要素が、別の要素に「直接接する」、「直接係合される」、「直接接続される」、または「直接結合される」と呼ばれるとき、介在する要素または層は存在し得ない。要素間の関係を説明するために使用される他の用語(例えば、「間に」と「直接間に」、「隣接した」と「直接隣接した」など)も同じように解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、用語「および/または」は、関連する列挙された項目の1つまたは複数のうちのいずれかおよび全ての組み合わせを含む。
【0030】
本明細書中に使用される専門用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、本開示を限定するものではない。本明細書中に使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上他の意味を明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される。本明細書中に使用されるとき、用語「備える、含む(comprises)」および/または「備えている、含んでいる(comprising)」は、記載した特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成部品が存在することを特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成部品、および/またはそれらの集合の存在もしくは追加を除外しないことがさらに理解されよう。
【0031】
本明細書は、例を用いて本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、任意の装置またはシステムを作製および使用し、任意の組み込まれた方法を実行するなど本発明を当業者が実施することも可能にする。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定められ、当業者が思い付く他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構成要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文言からわずかに異なる均等な構成要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図される。
【0032】
最後に、代表的な実施態様を以下に示す。
[実施態様1]
タービンブレード(6)の第1のチャンネル(28)を通じて流れる第1のガス流を前記タービンブレード(6)の中央プレナム(44)の中へ向きを変えるための第1のターン(60、160)と、
前記タービンブレード(6)の第2のチャンネル(38)を通じて流れる第2のガス流を前記中央プレナム(44)の中へ向きを変えるための第2のターン(70、170)と
を備え、
前記中央プレナム(44)における前記第1のガス流と前記第2のガス流の衝突を低減するように前記第1のターン(60、160)は前記第2のターン(70、170)からずれているタービンブレード冷却システム。
[実施態様2]
前記タービンブレード(6)は、多重壁タービンブレード(6)を含む、実施態様1に記載のタービンブレード冷却システム。
[実施態様3]
前記衝突の低減により前記中央プレナム(44)における圧力損失を減少させる、実施態様1に記載のタービンブレード冷却システム。
[実施態様4]
前記第1のターン(60、160)は端壁(62、162)を備えるとともに前記第2のターン(70、170)は端壁(72、172)を備え、前記第1のターン(60、160)の端壁(62、162)は、前記第2のターン(70、170)の端壁(72、172)からずれている、実施態様1に記載のタービンブレード冷却システム。
[実施態様5]
前記ずれは、位置のずれを含む、実施態様4に記載のタービンブレード冷却システム。
[実施態様6]
前記第1のターン(60、160)は、前記位置のずれに等しい長さを有する側壁(64)をさらに備える、実施態様5に記載のタービンブレード冷却システム。
[実施態様7]
前記第1のターン(60、160)と前記第2のターン(70、170)との間に配設されたリブ(180)をさらに備える、実施態様5に記載のタービンブレード冷却システム。
[実施態様8]
前記第1のチャンネル(28)は、前記ブレード(6)の負圧側に沿って延びるとともに、前記第2のチャンネル(38)は、前記ブレード(6)の正圧側に沿って延びる、実施態様1に記載のタービンブレード冷却システム。
[実施態様9]
前記ずれは、角度的なずれを含む、実施態様1に記載のタービンブレード冷却システム。
[実施態様10]
前記第1のターン(60、160)と前記第2のターン(70、170)との間に配設されたリブ(180)をさらに備え、前記リブ(180)は前記第1のガス流を第1の方向に前記中央プレナム(44)の中へ向けるとともに、前記リブ(180)は前記第2のガス流を第2の異なる方向に前記中央プレナム(44)の中へ向ける、実施態様9に記載のタービンブレード冷却システム。
[実施態様11]
前記リブ(180)は、前記第1のターン(60、160)および前記第2のターン(70、170)に対してある角度で配置される、実施態様10に記載のタービンブレード冷却システム。
[実施態様12]
前記第1のターン(60、160)は端壁(62、162)を備えるとともに前記第2のターン(70、170)は端壁(72、172)を備え、前記第1のターン(60、160)の端壁(62、162)は前記第2のターン(70、170)の端壁(72、172)とほぼ同一平面上にある、実施態様10に記載のタービンブレード冷却システム。
[実施態様13]
シャンク(4)と、
前記シャンク(4)に結合されたブレード(6)と、
冷却システムとを備え、
前記冷却システムは、
前記ブレード(6)の第1のチャンネル(28)を通じて流れる第1のガス流を前記ブレード(6)の中央プレナム(44)の中へ向きを変えるための第1のターン(60、160)と、
前記ブレード(6)の第2のチャンネル(38)を通じて流れる第2のガス流を前記ブレード(6)の中央プレナム(44)の中へ向きを変えるための第2のターン(70、170)とを備え、
前記ブレード(6)の中央プレナム(44)における前記第1のガス流と前記第2のガス流の衝突を低減するように前記第1のターン(60、160)は前記第2のターン(70、170)からずれており、前記衝突の低減により前記ブレード(6)の中央プレナム(44)における圧力損失を減少させるタービンバケット(2)。
[実施態様14]
前記タービンブレード(6)は、多重壁タービンブレード(6)を含む、実施態様13に記載のタービンバケット(2)。
[実施態様15]
前記第1のターン(60、160)は端壁(62、162)および側壁(64)を備えるとともに、前記第2のターン(70、170)は端壁(72、172)を備え、前記第1のターン(60、160)の端壁(62、162)は、前記第2のターン(70、170)の端壁(72、172)から前記第1のターン(60、160)の側壁(64)の長さに等しい距離だけ位置的にずれている、実施態様13に記載のタービンバケット(2)。
[実施態様16]
前記第1のチャンネル(28)は、前記ブレード(6)の負圧側に沿って延びるとともに、前記第2のチャンネル(38)は、前記ブレード(6)の正圧側に沿って延びる、実施態様13に記載のタービンバケット(2)。
[実施態様17]
シャンク(4)と、
前記シャンク(4)に結合された多重壁ブレード(6)と、
冷却システムとを備え、
前記冷却システムは、
第1のチャンネル(28)を通じて流れる第1のガス流を前記ブレード(6)の中央プレナム(44)の中へ向きを変えるための第1のターン(60、160)と、
第2のチャンネル(38)を通じて流れる第2のガス流を前記ブレード(6)の中央プレナム(44)の中へ向きを変えるための第2のターン(70、170)と
を備え、前記第1のガス流および前記第2のガス流は、前記中央プレナム(44)において組み合わせられ、
前記ブレード(6)の中央プレナム(44)における前記第1のガス流と前記第2のガス流の衝突を低減するように前記第1のターン(60、160)は前記第2のターン(70、170)から角度的にずれており、前記衝突の低減により前記中央プレナム(44)における圧力損失を減少させるタービンバケット(2)。
[実施態様18]
前記タービンブレード(6)は、前記第1のターン(60、160)と前記第2のターン(70、170)との間に配設されたリブ(180)をさらに備え、前記リブ(180)は前記第1のガス流を第1の方向に前記中央プレナム(44)の中へ向けるとともに、前記リブ(180)は前記第2のガス流を第2の異なる方向に前記中央プレナム(44)の中へ向ける、実施態様13に記載のタービンバケット(2)。
[実施態様19]
前記第1のターン(60、160)は端壁(62、162)を備えるとともに前記第2のターン(70、170)は端壁(72、172)を備え、前記第1のターン(60、160)の端壁(62、162)は前記第2のターン(70、170)の端壁(72、172)とほぼ同一平面上にある、実施態様18に記載のタービンバケット(2)。
[実施態様20]
前記中央プレナム(44)内の組み合わされた前記ガス流は、前記冷却システムによって冷却のために前記ブレード(6)またはシャンク(4)の他の領域へ供給される、実施態様19に記載のタービンバケット(2)。
【符号の説明】
【0033】
2 タービンバケット
4 シャンク
6 ブレード
正圧
10 負圧
12 前縁
14 後縁
16 冷却装置
18 SS冷却回路
20 PS冷却回路
22 フィードチャンネル
24 冷却ガス
26 冷却ガス
28 戻りチャンネル
32 フィードチャンネル
34 冷却ガス
36 冷却ガス
38 戻りチャンネル
40 圧力損失低減構造
42 冷却ガス
44 中央部プレナム
46 前縁空洞
48 先端領域
50 圧力損失低減構造
60 第1のターン
62 端壁
64 側壁
66 リブ
68 端部セクション
70 第2のターン
72 端壁
76 リブ
78 端部セクション
80 リブ
160 第1のターン
162 端壁
166 リブ
168 端部セクション
170 第2のターン
172 端壁
176 リブ
178 端部セクション
180 リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6