(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中間層用組成物における前記エネルギー線硬化樹脂の含有量が、前記非紫外線硬化樹脂100質量部に対して1〜200質量部であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
前記中間層用組成物中のエネルギー線硬化樹脂が、前記表層用組成物中のエネルギー線硬化樹脂と同じものであるか、又は、同じ組成を一部に有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
前記中間層用組成物における前記エネルギー線硬化樹脂が、分子中にウレタン骨格を有し、前記表層用組成物における前記(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化樹脂が、ウレタン(メタ)アクリレートであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、必要に応じて図面を用いて説明する。
<積層体>
本発明の積層体は、基層と、該基層上に形成された中間層と、該中間層上に形成された表層とを少なくとも備え、さらに、必要に応じて、その他の層を備える。
図1は、本発明の積層体の一実施形態の断面を模式的に示したものであるが、
図1における本発明の積層体1は、基層2と、該基層2上に形成された中間層3と、該中間層3上に形成された表層4とを備える。
【0017】
(基層)
本発明の積層体を構成する基層については、
図1に示すように、積層体1の最も下部に位置する層2のことであり、ウレタン樹脂を含む基層用組成物の重合体である。
【0018】
前記基層用組成物は、ウレタン樹脂を含むものであれば特に限定はされない。前記基層用組成物中にウレタン樹脂を含有することで、基層の良好な柔軟性を実現できる。
【0019】
ここで、前記ウレタン樹脂については、分子中にウレタン結合を有する限り、特に制限はなく、例えば、分子内にウレタン結合−OCONH−をもつ高分子化合物(ポリウレタン)からなる樹脂であり、ウレタンゴム、ウレタンフォーム等が挙げられる。その中でも、良好な柔軟性を実現できる観点から、ウレタンフォームを用いることが好ましい。
【0020】
また、前記ウレタン樹脂については、水酸基を有することが好ましい。水酸基を有することで、後述する中間層用組成物における非紫外線硬化樹脂中のイソシアネート基とがウレタン結合を形成する結果、基層と中間層との接着力をより向上させることができるためである。なお、前記ウレタン樹脂中の水酸基の態様については、特に限定はされない。例えば、分子中に遊離した状態で存在している水酸基等が考えられる。また、前記ウレタン樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有することがより好ましい。(メタ)アクリロイル基を有することで、後述する表層とともにエネルギー線での硬化が行われる際、中間層と表層との接着力だけでなく、基層と中間層の接着力についてもより向上させることができるためである。なお、前記ウレタン樹脂中の(メタ)アクリロイル基の態様については、特に限定はされない。例えば分子中に遊離した状態で存在している(メタ)アクリロイル基等が考えられる。
【0021】
前記基層用組成物に含まれ得るその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリオール、イソシアネート、ウレタン結合触媒、整泡剤、溶媒、イオン導電剤、充填剤、しゃく解剤、可塑剤、軟化剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分離剤、離型剤、増量剤、着色剤、架橋剤、加硫剤、重合禁止剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
前記ポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブタジエンポリオール、アルキレンオキサイド変性ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ポリエーテルポリオールが、樹脂の柔軟性、永久圧縮ひずみが少ない点で、好ましい。
【0023】
前記イソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、プレポリマー化トリレンジイソシアネート(プレポリマー化TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート(クルードMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);これらのイソシアヌレート変性物、カルボジイミド変性物、グリコール変性物等;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、プレポリマー化トリレンジイソシアネート(プレポリマー化TDI)が、ウレタン反応活性が高く、基層ひいては積層体の弾性を向上させやすい等の点で、好ましい。
【0024】
前記ウレタン結合触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫アセテート、ジオクチル錫ビス(エチルマレート)、ジブチル錫ビス(オレイルマレート)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫チオカルボキシレート、ジブチル錫ジマレート、ジオクチル錫チオカルボキシレート、オクテン酸錫、モノブチル錫オキシド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ジブチル錫ジラウレートが、触媒活性が高い点で、好ましい。
【0025】
前記整泡剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、シリコーン系整泡剤、イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、シリコーン系整泡剤が、発泡体の泡均一性が良好となる点で、好ましい。
【0026】
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;酢酸ブチル;ジメチルスルホン;ジメチルスルホキシド;テトラヒドロフラン;ジオキサン;トルエン;キシレン;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酢酸ブチルが、揮発速度が速い点で、好ましい。
【0027】
(中間層)
本発明の積層体を構成する中間層については、
図1に示すように、前記基層2上に形成された層3のことであり、分子中に(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化樹脂(以下、単に「エネルギー線硬化樹脂」ということがある。)、及び、反応性官能基としてイソシアネート基のみを有する非紫外線硬化樹脂(以下、単に「非紫外線硬化樹脂」ということがある。)を含む、中間層用組成物の重合体である。
なお、明細書中に記載の、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及び/又はメタアクリロイル基を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味している。
【0028】
前記中間層用組成物中の非紫外線硬化樹脂は、基層の水酸基との反応や分子間凝集力によって前記基層用組成物中のウレタン樹脂と強固な結合を形成し、一方、前記中間層用組成物中のエネルギー線硬化樹脂は、分子中に(メタ)アクリロイル基を有するため、後述する表層用組成物に含まれる樹脂中の(メタ)アクリロイル基とアクリル結合を形成する。また、基層に(メタ)アクリロイル基が含まれる場合には、基層ともアクリル結合を形成する。その結果、本発明の積層体は、基層と表層との間の優れた接着性を実現できる。
そしてさらに、上述した基層と中間層との反応及び表層と中間層との反応は、紫外線や電子線等のエネルギー線による重合反応と、紫外線以外のエネルギーによる重合反応とがあり、それぞれ別個に行われるため、中間層用組成物中の各成分が、基層用組成物及び表層用組成物中の結合すべき成分と反応することができ、三層まとめて重合反応させる場合に比べて、基層と表層との間の接着力により優れる。さらに、前記中間層の内部では、前記非紫外線硬化樹脂のイソシアネート化合物によって凹凸が形成されるため、中間層のエネルギー線硬化樹脂と非紫外線硬化樹脂のイソシアネート化合物とがアンカー効果により密着性が増す結果、従来技術に比べて基層と中間層とのさらなる接着性の向上が望める。
【0029】
・エネルギー線硬化樹脂
前記エネルギー線硬化樹脂は、分子中に(メタ)アクリロイル基を有するものである。上述したように、表層用組成物に含まれる樹脂中の(メタ)アクリロイル基とアクリル結合を形成する結果、表層との間で優れた接着性を実現できる。
なお、前記エネルギー線硬化樹脂は、分子中に(メタ)アクリロイル基を有すること以外は特に限定はされず、目的に応じて、他の官能基を含むことができる。例えば、分子中に2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物、分子中にウレタン骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート、分子中にエポキシ樹脂骨格を有する(メタ)アクリレート、分子中にポリエステル骨格を有する(メタ)アクリレート、分子中にアミノ基を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのエネルギー線硬化樹脂の中でも、分子中に2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いると、中間層において3次元的に結合が形成されるため中間層ひいては積層体の弾性がより向上し、更に表層及び基層への中間層の接着力がより向上する点で有利である。また、前記エネルギー線硬化樹脂は、分子中にウレタン骨格を有することが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレート等のウレタン骨格を有するものを用いることで、得られる中間層の弾性がより向上する点で有利である。
【0030】
なお、前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、分子中に(メタ)アクリロイル基(CH
2=CHCO−又はCH
2=C(CH
3)CO−)を1つ以上有し、ウレタン結合(−NHCOO−)を1つ以上有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリブタジエン系ウレタンアクリレート、カーボネート系ウレタンアクリレート、エステル系ウレタンアクリレート、エーテル系ウレタンアクリレート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ポリエーテルポリオールと、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を重合して得られるエーテル系ウレタンアクリレートが、柔軟性、永久圧縮ひずみが小さい点で好ましく、特に、分子量が10,000〜50,000のエーテル系ウレタンアクリレートは、粘度が低く、中間層の弾性を向上させ易い点で好ましい。
【0031】
さらに、前記中間層用組成物中のエネルギー線硬化樹脂は、後述する表層用組成物中のエネルギー線硬化樹脂と同じものであるか、又は、同じ組成を一部に有することが好ましい。前記中間層と前記表層との接着力をさらに向上させることができるためである。
なお、同じ組成を一部有するとは、それぞれのエネルギー線硬化樹脂が同じ構造を有するような場合であり、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートの主骨格が共にエーテルとなるような場合である。
【0032】
なお、前記エネルギー線硬化樹脂については、紫外線硬化樹脂や、電子線硬化樹脂、熱線硬化樹脂が挙げられるが、その中でも、紫外線硬化樹脂であることが好ましい。後述する非紫外線硬化樹脂との反応と、より確実に区別できるためである。
【0033】
また、前記非紫外線硬化樹脂は、分子中に反応性官能基としてイソシアネート基のみを有するイソシアネート化合物からなる樹脂である。上述したように、当該イソシアネート基が基層用組成物に含まれるウレタン樹脂中に含まれる水酸基とウレタン結合を形成する結果、基層との間で優れた接着性を実現できる。なお、前記イソシアネートは、前記非紫外線硬化樹脂中に存在していればよいが、ウレタン結合をより効率的に行える観点から、該非紫外線硬化樹脂の少なくとも両末端に存在することが好ましい。
なお、非紫外線硬化樹脂は、反応性官能基としてイソシアネート基のみを有するイソシアネート化合物であること以外は特に限定はされない。例えば、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、プレポリマー化トリレンジイソシアネート(プレポリマー化TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート(クルードMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);これらのイソシアヌレート変性物、カルボジイミド変性物、グリコール変性物等;などが挙げられる。また、上記のようなイソシアネートと、前記基層用組成物の説明(具体的には、[0023])の中で挙げたような各種ポリオールとの反応物であり、イソシアネートのモル比が前記ポリオールのモル比よりも大きく、末端官能基がイソシアネートである化合物でもよい。また、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
また、前記非紫外線硬化樹脂は、上述した中でも、湿気硬化性樹脂であることが好ましい。前記中間層用組成物中の前記エネルギー線硬化樹脂とは、確実に異なる独立した重合反応とすることができ、前記基層用組成物に含まれるウレタン樹脂との結合力が高まるため、基層との間で優れた接着性を実現できるためである。加えて、前記湿気による重合反応は、熱やエネルギー線を用いた場合に比べて、前記基層及び中間層の劣化を抑えることができる。ここで、湿気硬化樹脂については、また、上記のようなイソシアネートと、前記基層用組成物の説明(具体的には、[0023])の中で挙げたような各種ポリオールとの反応物であり、イソシアネートのモル比が前記ポリオールのモル比よりも大きく、末端官能基がイソシアネートである化合物等が挙げられる。
【0035】
さらに、前記非紫外線硬化樹脂は、上述した湿気硬化性樹脂の中でも、分子中に芳香族を有するものであることが好ましい。前記基層との間でより優れた接着性を実現できるためである。
【0036】
また、中間層用組成物における前記エネルギー線硬化樹脂及び前記非紫外線硬化樹脂の含有量については、特に限定はされず、目的に応じて適宜変更することができる。ただし、基層と表層との接着性をバランスよく高めることができる点からは、中間層用組成物におけるエネルギー線硬化樹脂の含有量を、非紫外線硬化樹脂100質量部に対して1〜200質量部とすることが好ましく、5〜100質量部とすることがより好ましい。
【0037】
なお、前記中間層用組成物は、必要に応じて、上述したエネルギー線硬化樹脂及び非紫外線硬化樹脂以外のその他の成分を含むこともできる。その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、光重合開始剤、光重合開始助剤、微粒子、イオン導電剤、充填剤、しゃく解剤、発泡剤、可塑剤、軟化剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分離剤、離型剤、増量剤、着色剤、架橋剤、加硫剤、重合禁止剤、などが挙げられる。これらのその他成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0038】
(表層)
本発明の積層体を構成する表層については、
図1に示すように、前記中間層3上に形成された層4のことであり、分子中に(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化樹脂(以下、単に「エネルギー線硬化樹脂」ということがある。)を含む表層用組成物の重合体である。
【0039】
前記表層用組成物は、分子中に(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化樹脂を含むものであれば特に限定はされない。上述したように、前記表層用組成物中のエネルギー線硬化樹脂は、前記中間層用組成物中のエネルギー線硬化樹脂と同様に、分子中に(メタ)アクリロイル基を有するため、重合時に表層と中間層との間でアクリル結合を形成する。その結果、本発明の積層体は、基層と表層との間の優れた接着性を実現できる。
【0040】
なお、前記エネルギー線硬化樹脂は、分子中に(メタ)アクリロイル基を有すること以外は特に限定はされず、目的に応じて、他の官能基を含むことができる。例えば、分子中に2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物、分子中にウレタン骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート、分子中にエポキシ樹脂骨格を有する(メタ)アクリレート、分子中にポリエステル骨格を有する(メタ)アクリレート、分子中にアミノ基を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのエネルギー線硬化樹脂の中でも、分子中に2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いると、表層において3次元的に結合が形成されるため表層ひいては積層体の弾性がより向上し、更に中間層との接着力がより向上する点で有利である。また、前記エネルギー線硬化樹脂は、分子中にウレタン骨格を有することが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレート等のウレタン骨格を有するものを用いることで、得られる中間層の弾性がより向上する点で有利である。
【0041】
なお、上述したように、前記表層用組成物中のエネルギー線硬化樹脂は、前記中間層用組成物中のエネルギー線硬化樹脂と同じものであるか、又は、同じ組成を一部に有することが好ましい。前記中間層と前記表層との接着力をさらに向上させることができるためである。
【0042】
また、前記表層用組成物中のエネルギー線硬化樹脂の含有量は、特に限定はされないが、前記中間層との優れた接着性を確実に確保できる点から、前記(メタ)アクリレート官能基の数が多いほうが好ましい。
【0043】
前記表層用組成物に必要に応じて含まれ得るその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリオール、光重合開始剤、光重合開始助剤、ウレタン結合触媒、微粒子、表面改質剤、溶媒、(メタ)アクリレート、整泡剤、イオン導電剤、充填剤、しゃく解剤、発泡剤、可塑剤、軟化剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分離剤、離型剤、増量剤、着色剤、架橋剤、加硫剤、重合禁止剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0044】
(その他の層)
本発明の積層体は、基層と、該基層上に形成された中間層と、該中間層上に形成された表層と、必要に応じて、その他の層を備えることができる。
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基層と金属との接着層、などが挙げられる。前記金属としては、例えば、導電性ローラの金属シャフトなどが挙げられる。
【0045】
<積層体の製造方法>
本発明の積層体を製造する方法については、特に限定はされず、本発明の積層体の構成に応じて公知の方法を適宜組み合わせることによって、製造することができる。
例えば、基層形成工程と、該基層形成工程の後に行う中間層形成工程と、該中間層形成工程の後に行う表層形成工程とを含む製造方法が挙げられ、必要に応じて、その他の工程を含むことができる。
【0046】
前記基層形成工程は、ウレタン樹脂を含む基層用組成物を重合させて形成することである。
前記基層の組成については、上述した通りである。
また、具体的な基層の形成方法としては、基層用組成物を重合し、硬化させて形成できれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、紫外線、赤外線、可視光、電子線等のエネルギー線の照射や、加熱処理などを適宜組み合わせることができる。
【0047】
さらに、前記基層は、シャフト等の他の部材の表面に基層用組成物を塗布した後に硬化させて形成してもよいし、鋳型内に基層用組成物を充填して鋳型内で硬化させて形成してもよい。
なお、前記基層用組成物を塗布する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、注型法、押し出し法、スプレー法、ロールコーター法、ディッピング法、ダイコート法、などが挙げられる。形状を形成するために研磨工程があっても良い。また、メカニカルフロス法や化学発泡等による発泡構成でも構わない。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0048】
また、前記基層の形成のための加熱の方法についても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、オーブン加熱、などが挙げられる。前記加熱の条件としては、特に制限はなく、組成物に含まれる成分、組成物の組成、組成物の塗布量等に応じて、加熱温度、加熱時間等を適宜選択することができる。
【0049】
前記中間層形成工程は、上記基層形成工程において形成された基層上に、分子中に(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化樹脂、及び、反応性官能基としてイソシアネート基のみを有する非紫外線硬化樹脂を含む、中間層用組成物を塗布した後に、前記塗布した中間層用組成物中の前記非紫外線硬化樹脂を重合硬化させて中間層を形成する工程である。
【0050】
前記中間層の構成については、前述した通りである。
前記中間層の形成方法としては、塗布した中間層用組成物中の前記非紫外線硬化樹脂を硬化させることができる方法であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、湿気による硬化、電子線照射による硬化等が挙げられる。これらの方法は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ただし、中間層用組成物に紫外線や電子線等のエネルギー線を照射すると、中間層用組成物におけるエネルギー線硬化樹脂が硬化するため、上記エネルギー線以外の方法を用いる必要がある。
【0051】
前記表層形成工程は、前記中間層形成工程において形成された中間層上に、分子中に(メタ)アクリロイル基を有するエネルギー線硬化樹脂を含む表層用組成物を塗布した後、該塗布した表層用組成物及び前記中間層中に含まれるエネルギー線硬化樹脂を、エネルギー線照射によって重合硬化させることにより、前記中間層における(メタ)アクリロイル基と前記表層用組成物における(メタ)アクリロイル基とを反応させ、前記中間層と結合した前記表層を形成する工程である。
なお、前記表層の構成については、前述した通りである。
【0052】
また、上述した、基層形成工程、中間層形成工程及び表層形成工程以外の、その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基層、中間層、表層それぞれのクリーニング工程、などが挙げられる。
【0053】
<導電性ローラ>
本発明の導電性ローラは、上述した本発明の積層体を備えることを特徴とする。
本発明の積層体を備えることによって、柔軟性及び接着耐久性に優れた導電性ローラを実現できる。
【0054】
前記導電性ローラとは、導電性を有するローラ部材のことであり、具体的には、感光体等の像担持体を一様に帯電させる帯電ローラ、現像剤を担持搬送して像担持体に供給する現像ローラ、現像ローラに現像剤を帯電させつつ供給する現像剤供給ローラ、記録紙等の記録体に転写された現像剤像を定着させる定着ローラ、像担持体等に付着した現像剤等を除去するクリーニングローラ等が挙げられる。
これらの中でも、現像ローラが特に、層間の大きな接着力及び大きな弾性が必要とされるため、本発明の現像部材は、現像ローラであることが特に好ましい。
【0055】
図2は、本発明の導電性ローラの一例としての現像ローラの断面を模式的に示したものである。
図2に示す現像ローラ5は、長さ方向両端部を軸支されて取り付けられるシャフト6と、該シャフト6の半径方向外側に配設された基層2とを備えている。また、
図2に示す現像ローラ5は、基層2の半径方向外側に隣接して中間層3を備えている。更に、
図2に示す現像ローラ5は、中間層3の半径方法外側に隣接して表層4を備えている。
【0056】
なお、前記シャフトについては、良好な導電性を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、金属製又は樹脂製の、中空円筒体、中実円柱体等からなるシャフトとすることができる。
【実施例】
【0057】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0058】
(実施例1〜10、比較例1〜8)
以下に示す方法で、基層、中間層及び表層からなる積層体を作製した。
(1)基層の形成
(メタ)アクリレートとしてのライトエステルHO−A(2−ヒドロキシエチルアクリレート、協栄社化学株式会社製)6質量部と、ポリオールとしてのサンニックスFA−951(三洋化成工業株式会社製)22質量部と、ポリオールとしてのクラレポリオールF−510(株式会社クラレ製)55質量部と、ポリオールとしてのクラレポリオールF−1010(株式会社クラレ製)22質量部と、ウレタン結合触媒としてのネオスタンU−100(日東化成株式会社製)0.11質量部と、整泡剤としてのSF−2937F(東レ・ダウコーニング株式会社製)0.04質量部と、を配合して、ポリオール混合物を得た。
イソシアネートとしての上記で調製したプレポリマー化TDI(イソシアネート基%=7%)100質量部と、カーボンブラックとしてのデンカブラック(電気化学工業株式会社製)0.2質量部とを配合して、イソシアネート混合物を得た。
メカニカルフロス注入タンク中に、ポリオール混合物をセットし、その後イソシアネート混合物を注入した。ここで、イソシアネート混合物は、イソシアネートINDEX(NCOモル数/OHモル数)が1.1となるように注入して、基層用組成物を調製した。
その後、調整した基層用組成物を、Φ16のモールドに流し込み、オーブンを用いて120℃で30分間加熱し、硬化した基層をモールドから取り出し、基層を形成した。
【0059】
(2)中間層の形成
実施例1〜20、並びに、比較例1〜4及び6〜8については、表1に示すエネルギー線硬化樹脂及び非紫外線硬化樹脂(表1では、「湿気硬化樹脂」と記載している。)を、表1に示す所定量と、エネルギー線硬化樹脂100重量部に対してIRGACURE907(BASFジャパン株式会社製)1質量部を配合した組成物を、中間層用組成物として調製した。
その後、調製した中間層用組成物を、前記基層上に厚さ0.5〜10μmとなるように塗布し、常温にて2h以上放置して、塗膜を硬化させることによって中間層を形成した。
なお、比較例5については、中間層を形成しなかった。
【0060】
(3)表層の形成
表1に示すエネルギー線硬化樹脂を、表1に示す所定量と、IRGACURE907(BASFジャパン株式会社製)1質量部とを配合した組成物を、表層用組成物として調製した。
調製した表層用組成物を、前記中間層上に厚さ0.5〜10μmとなるように塗布した。その後、UVランプ(FusionUV社製)のHバルブでUVを照射し、塗膜を硬化させて、表層を形成した。
【0061】
(評価)
作製した実施例及び比較例の積層体の各サンプルについて、以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(1)接着性試験
実施例及び比較例の各サンプルについて、
図3に示すように、先端治具(先端角度:70°、曲率半径:0.5mm)を1Nの力でサンプルに押し当てた状態で、サンプルを往復運動させた。そして、各サンプル表面に積層体の剥離が生じるまでの、片道回数を計測した。なお、当該試験は、積層体の表層側に先端治具を押し当てた場合と、その裏面の基層側に先端治具を押し当てた場合との2回行った。基層と中間層の接着性、及び、表層と中間層の接着性、のそれぞれを評価するためである。
接着性の評価については、以下の基準に従って行った。
○ :片道回数が100回を超えても剥離は生じない。
○△:片道回数が30回までは剥離が生じないが、100回を超えると剥離が生じる。
△ :片道回数が10回までは剥離が生じないが、30回を超えると剥離が生じる。
× :片道回数が10回までに剥離が生じる。
【0062】
【表1】
【0063】
*1:ジフェニルメタンジイソシアネート骨格を有する湿気硬化樹脂(亜細亜工業株式会社製 「PD−200」)
*2:イソホロンジイソシアネート骨格を有する湿気硬化樹脂(亜細亜工業株式会社製 「OCM−50」)
*3:ジフェニルメタンジイソシアネート骨格を有する湿気硬化樹脂(住化コベストロウレタン株式会社製 「デスモジュールRE」)
*4:ウレタンアクリレート樹脂(亜細亜工業株式会社製 「PX31−96」)
*5:ウレタンアクリレート樹脂(亜細亜工業株式会社製 「PX31−76」)
*6:ウレタンアクリレート樹脂(亜細亜工業株式会社製 「PX31−76」)
*7:BASFジャパン株式会社製 「IRGACURE907」
*8:「(1)基層の形成」の中に記載した基層用組成物
【0064】
表1の結果から、各実施例の積層体は、比較例の積層体に比べて、いずれも、優れた接着性を示すことがわかった。