(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
防振部材並びに振動発生側及び振動受側のいずれか一方側に取り付けられる取付部材を囲繞する囲繞部を有し、前記振動発生側及び前記振動受側のいずれか他方側に取り付けられる防振装置用ブラケットであって、
前記防振装置用ブラケットは、
前記囲繞部の囲繞方向に延在すると共に当該囲繞方向の両方向それぞれに端部を有し、前記囲繞部の外面側に固定された補強部と、
前記補強部の前記端部を前記囲繞部の囲繞方向に跨るように前記囲繞部の外面に形成されたリブと、
を有しており、
前記囲繞部及び前記リブは、合成樹脂からなる、防振装置用ブラケット。
前記前記防振装置用ブラケットは、前記補強部と、前記補強部と共に一体に成形された前記囲繞部及び前記リブとを有するものである、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の防振装置用ブラケット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記補強材には、プリグレグのように、比重が合成樹脂材料よりも重いものがある。こうした補強材を使用する場合、合成樹脂のみからなるブラケットに比べて、ブラケット全体の重量が増加してしまう。そこで、前記ブラケットの軽量化を意識して、必要な部分だけに前記補強材を使用することが考えられる。ところが、前記補強材を必要な部分だけに使用して荷重を受けると、当該補強材の端部が前記囲繞部から剥がれてしまうことが懸念される。
【0005】
本発明の目的は、重量の増加及び補強部の剥れが抑制された、防振装置用ブラケット及び防振装置用ブラケットの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る防振装置用ブラケットは、防振部材並びに振動発生側及び振動受側のいずれか一方側に取り付けられる取付部材を囲繞する囲繞部を有し、前記振動発生側及び前記振動受側のいずれか他方側に取り付けられる防振装置用ブラケットであって、前記防振装置用ブラケットは、前記囲繞部の囲繞方向に延在すると共に当該囲繞方向の両方向それぞれに端部を有し、前記囲繞部の外面側に固定された補強部と、前記補強部の前記端部を前記囲繞部の囲繞方向に跨るように前記囲繞部の外面に形成されたリブと、を有しており、前記囲繞部及び前記リブは、合成樹脂からなる。
本発明に係る防振装置用ブラケットによれば、重量の増加及び補強部の剥れが抑制される。
【0007】
本発明に係る防振装置用ブラケットでは、前記囲繞部は、前記振動発生側及び前記振動受側の前記他方側に固定される第1囲繞部と、前記第1囲繞部と共に前記防振部材及び前記取付部材を囲繞する第2囲繞部と、を有し、前記補強部は、前記第2囲繞部の外面に固定されており、前記リブは、前記第1囲繞部及び前記第2囲繞部に形成されているものとすることができる。
この場合、補強部の剥れをより抑制しつつ、応力が発生し易い箇所を重点的に補強することができる。
【0008】
本発明に係る防振装置用ブラケットでは、前記第1囲繞部は、前記第2囲繞部よりも外側に張り出した張出部を有しており、前記リブは、前記第1囲繞部の前記張出部の外面と前記第2囲繞部の外面に形成されているものとすることができる。
この場合、防振装置用ブラケットの強度及び剛性をより高めることができる。
【0009】
本発明に係る防振装置用ブラケットは、前記補強部と、前記補強部と共に一体に成形された前記囲繞部及び前記リブとを有するものであることが好ましい。
この場合、補強部の剥れがより確実に抑制される。
【0010】
本発明に係る防振装置用ブラケットの製造方法は、上記防振装置用ブラケットを得るための、防振装置用ブラケットの製造方法であって、前記補強部となる補強材をセットした金型キャビティ内に、前記囲繞部及び前記リブとなる合成樹脂を射出する工程を含む。
この場合、重量の増加及び補強部の剥れが抑制されたブラケットを容易に得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、重量の増加及び補強部の剥れが抑制された、防振装置用ブラケット及び防振装置用ブラケットの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の様々な実施形態に係る防振装置用ブラケット及び防振装置用ブラケットの製造方法について説明をする。
【0014】
図1〜
図3中、符号1は、本発明の第1実施形態に係る防振装置用ブラケットである。
【0015】
図1等に示すように、防振装置用ブラケット1(以下、単に「ブラケット1」ともいう。)は、防振部材(図示省略)及び取付部材(図示省略)を囲繞する囲繞部10を有している。前記取付部材は、振動発生側及び振動受側のいずれか一方側に取り付けられる。これに対し、ブラケット1は、前記振動発生側及び前記振動受側のいずれか他方側に取り付けられる。
【0016】
より具体的には、本実施形態に係るブラケット1は、防振装置の一部として車両に取り付けられるブラケットである。本実施形態では、例えば、前記振動発生側をエンジン側とし、前記振動受側を車体側とすることができる。また本実施形態によれば、前記振動発生側を車体側とし、前記振動受側をエンジン側とすることもできる。
【0017】
前記防振部材としては、例えば、ゴム等の弾性部材が挙げられる。本実施形態に係るブラケット1によれば、前記防振部材は、前記取付部材及びブラケット1に取り付けることができる。具体例としては、前記防振部材は、接着剤による接着、加硫による接着等の方法によって前記取付部材に対して固定(接合)させることができる。また前記防振部材は、同様の方法によってブラケット1に対して固定(接合)させることができる。即ち、本実施形態に係るブラケット1を用いれば、前記振動発生側と、前記振動受側との間を、前記防振部材を介して弾性支持することができる。
【0018】
更に具体的には、
図1等に示すように、本実施形態に係るブラケット1では、囲繞部10が当該囲繞部10の内側に貫通穴Aを形成している。囲繞部10の貫通穴Aには、前記防振部材及び前記取付部材を収容することができる。前記防振部材は、前記取付部材に固定することができる。また前記防振部材は、貫通穴Aを形作る囲繞部10の内周面10fに固定させることができる。
【0019】
なお、本実施形態に係るブラケット1では、貫通穴Aの延在方向(
図1及び3の紙面表裏方向、又は、
図2の左右方向)をブラケット1の長さ方向と定義する。また本実施形態では、ブラケット1の長さ方向に対して直交する方向のうち、ブラケット1の上下方向(図面の上下方向)をブラケット1の高さ方向と定義する。更に本実施形態では、ブラケット1の長さ方向に対して直交する方向のうち、ブラケット1の高さ方向と直交する方向(
図1及び3の左右方向、又は、
図2の紙面表裏方向)をブラケット1の幅方向と定義する。
【0020】
本実施形態に係るブラケット1では、
図1等に示すように、囲繞部10は、第1囲繞部11と、第2囲繞部12と、を有している。第1囲繞部11は、前記振動発生側及び前記振動受側の前記他方側に固定することができる。本実施形態では、第1囲繞部11は、
図1及び
図2等に示すように、平坦な板状部である。第2囲繞部12は、第1囲繞部11と共に前記防振部材及び前記取付部材を囲繞することができる。本実施形態では、第2囲繞部12は、
図1等に示すように、アーチ状部である。これにより、本実施形態では、貫通穴Aは、第1囲繞部11と第2囲繞部12とによって形作られている。更に本実施形態では、
図2に示すように、より具体的には、
図2の符号10及び符号11並びに符号12の引き出し線の矢印先端側に位置する面のように、囲繞部10の正面及び背面は平坦な面で構成されている。但し、本発明に従えば、囲繞部10の正面及び背面は、リブ、突起、凹凸等を有した面で構成することも可能である。
【0021】
更に本実施形態に係るブラケット1では、第1囲繞部11は、第2囲繞部12よりも外側に張り出した張出部11pを有している。本実施形態では、
図1等に示すように、張出部11pは、ブラケット1の幅方向に、第2囲繞部12よりも外側に張り出している。
【0022】
符号20は、囲繞部10の囲繞方向に延在すると共に当該囲繞方向の両方向それぞれに端部21を有し、囲繞部10の外周面に固定された補強部である。本実施形態では、補強部20は、繊維状要素に合成樹脂を含ませて強度を向上させた複合材料、所謂、繊維強化プラスチック(FRP)である。前記繊維強化プラスチックとしては、例えば、プリプレグが挙げられる。前記繊維状要素としては、例えば、ガラス繊維織物、炭素繊維織物、金属繊維織物、有機繊維、囲繞部10及びリブ30を構成する後述の合成樹脂よりも曲げ強度が高い繊維織物その他が挙げられる。好適には、前記繊維状要素として、ガラス繊維織物を用いる。前記合成樹脂としては、例えば、熱可塑性合成樹脂、熱硬化性合成樹脂が挙げられる。好適には、前記合成樹脂として、熱可塑性合成樹脂を用いる。こうした熱可塑性合成樹脂としては、例えば、6−6ナイロン、6ナイロン、ポリプロピレン等が挙げられる。また前記繊維強化プラスチックとしては、例えば、方向性を有した繊維状要素に合成樹脂を含ませたUD(Uni Direction)材が挙げられる。前記繊維状要素としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、有機繊維、囲繞部10及びリブ30を構成する後述の合成樹脂よりも曲げ強度が高い繊維、これらの織物その他が挙げられる。本実施形態に係るブラケット1では、例えば、前記繊維状要素は、囲繞方向に指向する向きに配列されている。
【0023】
補強部20としては、例えば、上述の繊維織物の両面に、上述の合成樹脂をシート又はフィルム状に積層してなる、繊維織物を含む補強材を用いて製造されたものが挙げられる。具体的には、補強部20は、前記補強材を所定の寸法に切断したものを、例えば、熱プレス成形その他によって、ブラケット1に適合する形態に形成されたものである。
【0024】
本実施形態に係るブラケット1では、補強部20は、囲繞部10の外周面のうちの、第2囲繞部12の外面12fに固定されている。本実施形態では、第2囲繞部12は、第1囲繞部11に繋がり、ブラケット1の幅方向に間隔を置いて配置された2つの柱部12aと、2つの柱部12aの上端部を繋ぐ梁部12bとで構成されている。本実施形態では、第2囲繞部12の外面12fは、2つの柱部12aの外面12f1と梁部12bの外面12f2とで構成されている。本実施形態では、補強部20は、一方の柱部12aの外面12f1から梁部12bの外面12f2を通って他方の柱部12aの外面12f1にわたって囲繞方向に延在している。補強部20の2つの端縁20eはそれぞれ、第1囲繞部11の張出部11pの外面(上面)11fの位置まで、ブラケット1の高さ方向に延在させることができる。本実施形態では、
図1等に示すように、補強部20の2つの端縁20eはそれぞれ、第1囲繞部11の張出部11pの外面11fよりも長さΔLだけ上方の位置にある。長さΔLは、囲繞部10及び補強部20の材質、補強部20が囲繞部10の外周面(本実施形態では、第1囲繞部11の張出部11pの外面11f及び第2囲繞部12の柱部12aの外面12f1)に対して占める接合面積等に応じて適宜設定することができる。
【0025】
符号30は、補強部20の端部21を囲繞部10の囲繞方向に跨るように当該囲繞部10の外面に形成されたリブである。
図1等に示すように、本実施形態に係るブラケット1では、囲繞部10の外面は、第1囲繞部11の外面11fと第2囲繞部12の外面12fとで構成されている。また、本実施形態では、2つのリブ30が、それぞれ、ブラケット1の幅方向両側に配置されている。但し、本発明に従えば、リブ30は、ブラケット1の幅方向の少なくともいずれか一方側に配置することができる。また本実施形態では、
図1等に示すように、リブ30は、ブラケット1の幅方向及び高さ方向に延在するプレート状のリブである。本実施形態では、リブ30は、
図1等に示すように、ブラケット1の長さ方向視で三角形状に形作られている。また本実施形態では、
図2に示すように、リブ30は、ブラケット1の長さ方向に間隔を置いて2箇所の位置に配置されている。またリブ30は、それぞれ、
図2に示すように、ブラケット1の長さ方向におけるリブ30の長さ(厚さ)L30が、ブラケット1の長さ方向における補強部20の長さL20よりも短い。
【0026】
なお、リブ30は、ブラケット1の幅方向の片側において、ブラケット1の長さ方向の少なくとも1箇所に配置することができる。即ち、本発明に従えば、リブ30は、ブラケット1の幅方向の少なくともいずれか一方側において、少なくとも1つ設けることができる。例えば、リブ30は、ブラケット1の長さ方向に、より延在させることにより、ブラケット1の幅方向両側のそれぞれで、又は、ブラケット1の幅方向の少なくとも片側で、1つのリブ30として補強部20の端部21の外面21fの幅方向の少なくとも一部又は全部を覆って、当該端部21を押さえることもできる。但し、本実施形態のように、リブ30は、ブラケット1の長さ方向に対して局所的に配置されれば、ブラケット1の軽量化を図ることができる。
【0027】
更にリブ30は、囲繞部10と共に合成樹脂からなる。本発明では、囲繞部10の外面に形成されたリブ30には、当該リブ30を囲繞部10と別体に構成し、当該囲繞部10に対して接着等の手段によって固定することが含まれる。これに対し、
図3に示すように、本実施形態に係るブラケット1は、囲繞部10及びリブ30は、補強部20と共に、射出成形を行うことによって、一体に成形されている。即ち、本実施形態では、リブ30は、囲繞部10と一体に構成されることにより、当該囲繞部10に形成されている。具体的には、本実施形態では、リブ30は、第1囲繞部11及び第2囲繞部12に形成されている。更に具体的には、本実施形態では、リブ30は、第1囲繞部11の張出部11pの外面(上面)11fと第2囲繞部12の外面12fに形成されている。本実施形態では、リブ30が形成される第2囲繞部12の外面12fは、補強部20を除く、柱部12aの外面12f1である。
【0028】
囲繞部10と共にリブ30となる前記合成樹脂としては、例えば、熱可塑性合成樹脂、熱硬化性合成樹脂が挙げられる。好適には、前記合成樹脂として、熱可塑性合成樹脂を用いる。こうした熱可塑性合成樹脂としては、例えば、6−6ナイロン、6ナイロン、ポリプロピレン等が挙げられる。リブ30は、囲繞部10と同一又は異なる合成樹脂からなるものとすることができる。
【0029】
また本実施形態に係るブラケット1では、リブ30は、射出成形を行うことによって補強部20の端部21の外面21fに接合されている。これにより、リブ30は、補強部20の端部21の外面21fに固定される。即ち、補強部20の端部21は、囲繞部10に固定されると共に、リブ30に固定される。これによって、補強部20の端部21は、囲繞部10とリブ30との間で強固に押さえられる。
【0030】
なお、本実施形態に係るブラケット1において、リブ30によって覆われた補強部20の端部21の外面21fの、ブラケット1の高さ方向の長さL21(以下、単に「補強部20の端部21の長さL21」ともいう。)は、補強部20の端縁20eからの所定の長さである。補強部20の端部21の長さL21は、囲繞部10及び補強部20の材質、補強部20が囲繞部10の外周面(本実施形態では、第1囲繞部11の張出部11pの外面11f及び第2囲繞部12の柱部12aの外面12f1)に対して占める接合面積、リブ30の個数等に応じて適宜設定することができる。
【0031】
上述のとおり、本実施形態に係るブラケット1は、補強部20と、リブ30と、を有している。補強部20は、囲繞部10の囲繞方向に延在すると共に当該囲繞方向の両方向それぞれに端部21を有している。またリブ30は、補強部20の端部21を囲繞部10の囲繞方向に跨るように当該囲繞部10の外面に形成されている。更に囲繞部10及びリブ30は、合成樹脂からなる。
【0032】
本実施形態に係るブラケット1は、上述のとおり、主として合成樹脂で構成されている。これにより、ブラケット1の重量は、従来と同様、金属製ブラケットの場合に比べて軽減される。また本実施形態に係るブラケット1では、補強部20は、囲繞部10の外面に対して、補強のために必要な所望する位置(領域)のみに局所的に固定されている。これにより、補強部20として合成樹脂よりも比重が重い補強材を使用しても、合成樹脂のみからなるブラケットと比べた重量の増加を抑えることができる。更に本実施形態に係るブラケット1は、囲繞部10に形成されたリブ30が補強部20の端部21の外面21fを跨って覆うことにより、当該端部21を囲繞部10とリブ30との間で押さえている。これにより、囲繞部10の内側(貫通穴A)からの荷重を、囲繞部10の外面に対して局所的に固定された補強部20で受けても、当該補強部20の端部21が剥がれることを抑制することができる。従って、本実施形態に係るブラケット1によれば、重量の増加及び補強部20の剥れが抑制される。
【0033】
本実施形態に係るブラケット1によれば、補強部20は、囲繞部10の外面側に固定することができる。ここで、囲繞部10の外面側とは、囲繞部10の幅の幅方向中心から囲繞部10の外面までの領域、言い換えれば、囲繞部10の外面から当該囲繞部10の幅の1/2の位置までの領域をいう。なお、本実施形態では、囲繞部10の幅とは、第1囲繞部11及び第2囲繞部12の厚さをいう。具体的には、第1囲繞部11の厚さとは、第1囲繞部11におけるブラケット1の高さ方向の厚さをいう。また第2囲繞部12の厚さとは、柱部12aにおけるブラケット1の幅方向の厚さ又は梁部12bにおけるブラケット1の高さ方向の厚さをいう。本実施形態に係るブラケット1では、補強部20は、囲繞部10の外面に固定されている。ブラケット1のように囲繞部10を有するブラケットの場合、後述するように、囲繞部10は、主として、当該囲繞部10の内周面10fから大きな荷重を受ける傾向にある。一方、補強部20が囲繞部10の内部に介在する場合、囲繞部10の一部は、当該補強部20よりも外側の位置に配置され、当該囲繞部10の一部に対して、補強部20は、補強の機能をほとんど果たさない。これに対し、本実施形態のように、囲繞部10の外面側に補強部20を固定すれば、囲繞部10の一部が補強部20よりも外側にほとんど配置されることなく、当該囲繞部10のほとんど全体が補強部20の内側に配置される。これにより、本実施形態によれば、囲繞部10の内側からの荷重に対する、当該囲繞部10の強度及び剛性をより高めることができる。特に、本実施形態のように、囲繞部10の外面に補強部20を固定すれば、囲繞部10の一部が補強部20よりも外側に配置されることなく、当該囲繞部10の全体が補強部20の内側に配置される。これにより、本実施形態によれば、囲繞部10の内側からの荷重に対する、当該囲繞部10の強度及び剛性を最も高めることができる。
【0034】
また上述のとおり、本実施形態に係るブラケット1では、囲繞部10は、第1囲繞部11と、第2囲繞部12と、を有している。補強部20は、第2囲繞部12の外面12fに固定されている。またリブ30は、第1囲繞部11及び第2囲繞部12に固定されている。この場合、重量の増加及び補強部20の剥れを抑制しつつ、応力が発生し易い箇所を重点的に補強することができる。
【0035】
具体的には、本実施形態に係るブラケット1のような構成の場合、
図1に示すように、第2囲繞部12の柱部12aの内面(囲繞部10の内周面10fのうち、ブラケット1の幅方向の内周面10f)には、外向きの大きな荷重F1が加わり易い。このため、第2囲繞部12の柱部12aには高い応力が発生する傾向がある。また本実施形態に係るブラケット1のような構成の場合、
図1に示すように、第2囲繞部12の梁部12bの内面(囲繞部10の内周面10fのうち、ブラケット1の高さ方向上側の内周面10f)にも、外向きの大きな荷重F2が加わり易い。このため、第2囲繞部12の梁部12bにも高い応力が発生する傾向がある。
【0036】
これに対し、本実施形態に係るブラケット1では、補強部20は、上述の応力分布に対応するように、第2囲繞部12の外面12fに固定されている。また本実施形態では、リブ30は、囲繞部10に対してより強固に固定されるように、第1囲繞部11及び第2囲繞部12に固定されている。これにより、本実施形態では、補強部20よりも内側に配置された第2囲繞部12の柱部12aの外面12f1及び梁部12bの外面12f2を、当該補強部20によって強固に補強することができる。従って、本実施形態によれば、補強部20の剥れをより抑制しつつ、応力が発生し易い箇所を重点的に補強することができる。
【0037】
更に本実施形態に係るブラケット1では、上述のとおり、第1囲繞部11は、第2囲繞部12よりも外側に張り出した張出部11pを有している。リブ30は、第1囲繞部11の張出部11pの外面11fと第2囲繞部12の外面12fに固定されている。この場合、第2囲繞部12が受ける荷重(本実施形態では、特にブラケット1の幅方向に受ける荷重)は、リブ30を介して第1囲繞部11の張出部11pによってより効果的に受けることができる。これにより、本実施形態によれば、ブラケット1の強度及び剛性をより高めることができる。
【0038】
また本実施形態に係るブラケット1では、上述のとおり、当該ブラケット1は、補強部20と、当該補強部20と共に一体に成形された囲繞部10及びリブ30とを有するものである。この場合、リブ30が囲繞部10と一体に構成されるため、リブ30そのものの強度が向上する。またこの場合、補強部20の端部21の外面21fは、囲繞部10及びリブ30に固定されることにより、囲繞部10とリブ30との間で強固に押さえられる。これにより、本実施形態によれば、補強部20の剥れがより確実に抑制される。
【0039】
ところで、本実施形態に係るブラケット1は、例えば、以下のとおりの方法によって製造することができる。本実施形態に係るブラケットの製造方法は、補強部20となる補強材をセットした金型キャビティ内に、囲繞部10及びリブ30となる合成樹脂を射出する工程を含む。
【0040】
まず、第1工程として、ブラケット1の補強部20となる前述した補強材をインサート品として、当該補強材を射出成形用の金型キャビティ(図示省略)内にセットする。これにより、前記補強材は、前記金型キャビティ内の所定の位置(領域)に配置される。次いで、第2工程として、加熱された前記合成樹脂を、補強部20となる補強材をセットした前記金型キャビティ内に射出する。前記金型キャビティ内の前記合成樹脂が冷却されると、当該金型キャビティ内では、リブ30を有した囲繞部10が形成されると共にリブ30を有した当該囲繞部10及び補強部20が一体に形成される。このように、本実施形態に係るブラケット1は、前記補強材を用いたインサート成形を行うことによって形成することができる。従って、本実施形態に係るブラケットの製造方法によれば、重量の増加及び補強部の剥れが抑制されたブラケット1を容易に得ることができる。
【0041】
なお、補強部20が囲繞部10の外面の位置(領域)にない場合、上述のインサート成形に際し、例えば、前記合成樹脂が第2囲繞部12の外面12fを形作る金型面を押圧するように、当該合成樹脂が前記金型キャビティ内に射出される場合がある。この場合、前記金型キャビティに対する前記補強材の配置位置によっては、前記補強材が前記金型キャビティ内にセットされた所定の位置(領域)からずれてしまうことが考えられる。
【0042】
これに対し、本実施形態に係るブラケット1では、補強部20は、囲繞部10の外面に位置している。このため、ブラケット1を、囲繞部10の内周側から合成樹脂を射出するインサート成形により製造すれば、前記金型キャビティ内の所定の位置に配置された前記補強材は、当該金型キャビティ内に射出された前記合成樹脂によって前記金型面に押し付けられる。これにより、射出成形時における前記補強材のずれを抑制することができる。即ち、防振装置用ブラケットとして、本実施形態に係るブラケット1をインサート成形により製造すれば、囲繞部10の外面に対する補強部20のずれが少ないブラケット1を得ることができる。また言い換えれば、本実施形態に係るブラケット1によれば、簡易な方法によって、容易に囲繞部10の外面に対する補強部20のずれが少ないものとすることができる。
【0043】
次に、
図4及び
図5は、本発明の第2実施形態に係る防振装置用ブラケット2(以下、単に「ブラケット2」ともいう。)を示す。以下の説明において、第1実施形態に係るブラケット1と実質的に同一の部分は、同一の符号をもって、その説明を省略する。
【0044】
本実施形態に係るブラケット2は、第2囲繞部12の外面12fに、窪みCが設けられている。本実施形態では、補強部20の端部21は、窪みCの外面に固定されている。また補強部20の端部21の外面21fは、第1実施形態に係るブラケット1と同様、囲繞部10の外面に形成されたリブ30によって覆われている。
【0045】
本実施形態に係るブラケット2では、窪みCは、第2囲繞部12の外面12fの一部に設けられている。
図4等に示すように、本実施形態では、第2囲繞部12の柱部12aの外面12f1は、囲繞部10の内周面10fとの間の幅が最も大きい外面(以下、本実施形態では、「第2囲繞部12の柱部12aの最大幅外面12f1」ともいう。)である。本実施形態では、窪みCの外面は、最大幅外面12f1から傾斜する外面12f3(以下、本実施形態では、「第2囲繞部12の柱部12aの傾斜外面12f3」ともいう。)と、囲繞部10の内周面10fとの間の幅が最も小さい外面12f4(以下、本実施形態では、「第2囲繞部12の柱部12aの最小幅外面12f4」ともいう。)と、で構成されている。第2囲繞部12の柱部12aの傾斜外面12f3は、第2囲繞部12の柱部12aの最大幅外面12f1と繋がり、第1囲繞部11に向かうに従ってブラケット1の幅方向内側に傾斜する。第2囲繞部12の柱部12aの最小幅外面12f4は、第2囲繞部12の柱部12aの傾斜外面12f3と第1囲繞部11の張出部11pの外面11fとを繋ぐ外面である。
【0046】
本実施形態に係るブラケット2では、リブ30は、第1実施形態に係るブラケット1と同様、囲繞部10に固定されている。具体的には、リブ30は、囲繞部10に設けられた窪みCの外面に固定されている。本実施形態では、リブ30は、第2囲繞部12に設けられた窪みCの外面に固定されている。詳細には、リブ30は、第1囲繞部11の張出部11pの外面11fと、第2囲繞部12の最小幅外面12f4とに固定されている。本実施形態では、リブ30は、第1実施形態に係るブラケット1と同様、補強部20と共に、囲繞部10と一体に射出成形されている。この場合、補強部20は、囲繞部10の内側に巻き込まれた状態で囲繞部10とリブ30との間で押さえられる。このため、本実施形態によれば、補強部20の剥れをより抑制することができる。
【0047】
なお、本実施形態では、
図4等に示すように、リブ30の外面30fは、第1囲繞部11に向かうに従って、補強部20の外面20fよりも、ブラケット1の幅方向外側に傾斜している。但し、本実施形態では、その変形例として、リブ30の外面30fは、例えば、第2囲繞部12の外面12fのうちの、柱部12aの外面12f1に固定された補強部20の外面20fと、ブラケット1の幅方向において、同一の位置で、又は、当該補強部20の外面12fよりもブラケット2の幅方向内側の位置で、ブラケット2の高さ方向に沿って延在させることができる。こうした変形例のリブ30を採用すれば、ブラケット2の周囲に突出部がなく、ブラケット2のコンパクト化を図ることができる。
【0048】
図6及び
図7は、本発明の第3実施形態に係る防振装置用ブラケット3(以下、単に「ブラケット3」ともいう。)を示す。以下の説明において、上述の各実施形態に係るブラケットと実質的に同一の部分は、同一の符号をもって、その説明を省略する。
【0049】
本実施形態に係るブラケット3では、リブ30の外面30fは、第2囲繞部12の外面12fのうちの、柱部12aの外面12f1に固定された補強部20の外面20fと、ブラケット3の幅方向において、同一の位置で、ブラケット3の高さ方向に沿って一直線に延在させている。更に、リブ30の少なくとも一部が補強部20の外面20fを跨って覆う位置にあれば、本実施形態の変形例として、第2囲繞部12の柱部12aの最大幅外面12f1に固定された補強部20の外面20fと、ブラケット3の幅方向において、当該補強部20の外面20fよりもブラケット3の幅方向内側の位置で、ブラケット3の高さ方向に沿って一直線に延在させることも可能である。或いは、本実施形態の更なる変形例として、リブ30の外面30fは、第1囲繞部11に向かうに従って、第2囲繞部12の柱部12aの最大幅外面12f1に固定された補強部20の外面20fよりも、ブラケット3の幅方向内側に向かって傾斜させることも可能である。上述のブラケット2及び3等の各ブラケットも、第1実施形態に係るブラケット1と同様の製造方法により容易に得ることができる。
【0050】
上述のとおり、本発明によれば、重量の増加及び補強部20の剥れが抑制された、防振装置用ブラケット1〜3等を提供することができる。
【0051】
上述したところは、本発明のいくつかの実施形態を例示したにすぎず、特許請求の範囲に従えば、様々な変更が可能となる。例えば、上述した各実施形態に係るブラケットでは、補強部20の外面20fは、囲繞部10の外面よりも外側に突出しているが、例えば、補強部20を囲繞部10内に埋設させることによって、囲繞部10の外面と一致させることもできる。また囲繞部10の形態(形状)は、上述の各実施形態の形態(形状)に限定されるものではない。例えば、囲繞部10は、その囲繞方向で局所的に分断させたものとすることができる。更に、上述した各実施形態に係るブラケット1及び2の各構成は、互いに適宜に置き換えて、又は、組み合わせて使用することができる。