特許第6924236号(P6924236)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6924236
(24)【登録日】2021年8月3日
(45)【発行日】2021年8月25日
(54)【発明の名称】超音波診断装置及びその制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20210812BHJP
【FI】
   A61B8/14
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-174861(P2019-174861)
(22)【出願日】2019年9月26日
(65)【公開番号】特開2021-49211(P2021-49211A)
(43)【公開日】2021年4月1日
【審査請求日】2019年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】神山 直久
(72)【発明者】
【氏名】嵯峨 早友佳
【審査官】 冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−000339(JP,A)
【文献】 特開2008−079835(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0366535(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元空間における被検体に対して超音波を送受信する超音波プローブと、
前記3次元空間における前記超音波プローブの位置を検出する位置センサと、
前記超音波プローブで受信した前記超音波のエコー信号及び前記位置センサからの信号が入力されるプロセッサと、
メモリと、
ディスプレイと、を備え、
該プロセッサは、
前記超音波プローブによる第1の走査面における前記超音波の送受信によって得られた前記エコー信号に基づいて第1の超音波画像を作成し、
該第1の超音波画像における前記エコー信号の信号強度が閾値以下の第1の領域を抽出し、
前記超音波プローブによる第2の走査面における前記超音波の送受信によって得られた前記エコー信号に基づいて第2の超音波画像を作成し、
前記位置センサからの信号に基づいて、前記第1の走査面及び前記第2の走査面が、所要の距離を有するか否かを判定し、
前記第1の走査面及び前記第2の走査面が所要の距離を有する場合に、前記第2の超音波画像における前記エコー信号の信号強度が閾値以下である第2の領域を抽出し、
前記第1の領域及び前記第2の領域が、前記第1の走査面及び前記第2の走査面に跨る同一の3次元領域を構成するか否かを判定し、
同一の3次元領域を構成するか否かの判定結果に基づいて、前記第1の走査面及び前記第2の走査面と交差する方向における前記3次元領域の大きさを表す情報を得る処理を行ない、
該情報を報知する制御として、リアルタイムの前記第2の超音波画像を前記ディスプレイに表示して、前記第1の走査面及び前記第2の走査面と交差する方向における前記3次元領域の大きさに応じたカラー画像を、前記第2の超音波画像における前記第2の領域に表示する制御を行なう、
よう構成され、
前記プロセッサは、
前記第1の超音波画像及び前記第2の超音波画像において共通の画素を有する前記第1の領域及び前記第2の領域が、前記同一の3次元領域を構成すると判定し、
該同一の3次元領域を構成すると判定した前記第1の領域及び前記第2の領域の各々の大きさの和を前記情報として得て、前記同一の3次元領域ごとに前記メモリに記憶し、
前記第2の領域の抽出が行なわれた前記第2の走査面を前記第1の走査面とし、新たに前記第2の走査面における前記超音波の送受信が行なわれるたびに、該第1の走査面及び新たに得られた第2の走査面が前記所要の距離を有するか否かの判定、前記第2の領域の抽出、前記同一の3次元領域を構成するか否かの判定、前記情報の作成及び該情報を報知する制御を行ない、
新たに得られた前記第2の走査面において抽出された第2の領域の大きさと、該第2の領域を含む前記3次元領域について前記メモリに記憶された和とを加算した加算結果を得ることを、前記情報を得る処理として行なう、超音波診断装置。
【請求項2】
3次元空間における被検体に対して超音波を送受信する超音波プローブと、
前記3次元空間における前記超音波プローブの位置を検出する位置センサと、
前記超音波プローブで受信した前記超音波のエコー信号及び前記位置センサからの信号が入力されるプロセッサと、
メモリと、
ディスプレイと、を備え、
該プロセッサは、
前記超音波プローブによる第1の走査面における前記超音波の送受信によって得られた前記エコー信号に基づいて第1の超音波画像を作成し、
該第1の超音波画像における前記エコー信号の信号強度が閾値以下の第1の領域を抽出し、
前記超音波プローブによる第2の走査面における前記超音波の送受信によって得られた前記エコー信号に基づいて第2の超音波画像を作成し、
前記位置センサからの信号に基づいて、前記第1の走査面及び前記第2の走査面が、所要の距離を有するか否かを判定し、
前記第1の走査面及び前記第2の走査面が所要の距離を有する場合に、前記第2の超音波画像における前記エコー信号の信号強度が閾値以下である第2の領域を抽出し、
前記第1の領域及び前記第2の領域が、前記第1の走査面及び前記第2の走査面に跨る同一の3次元領域を構成するか否かを判定し、
該同一の3次元領域を構成するか否かの判定結果に基づいて、前記第1の走査面及び前記第2の走査面と交差する方向における前記3次元領域の大きさを表す情報を得る処理を行ない、
該情報を報知する制御として、リアルタイムの前記第2の超音波画像を前記ディスプレイに表示して、前記第1の走査面及び前記第2の走査面と交差する方向における前記3次元領域の大きさに応じたカラー画像を、前記第2の超音波画像における前記第2の領域に表示する制御を行なう、
よう構成され、
前記プロセッサは、
前記第1の超音波画像及び前記第2の超音波画像において共通の画素を有する前記第1の領域及び前記第2の領域が、前記同一の3次元領域を構成すると判定し、
前記同一の3次元領域を構成するか否かの判定結果に基づいて、該同一の3次元領域が跨る前記第1の走査面及び前記第2の走査面の総数を、前記情報として取得し
前記第2の領域の抽出が行なわれた前記第2の走査面を前記第1の走査面とし、新たに前記第2の走査面における前記超音波の送受信が行なわれるたびに、該第1の走査面及び新たに得られた第2の走査面が前記所要の距離を有するか否かの判定、前記第2の領域の抽出、前記同一の3次元領域を構成するか否かの判定、前記情報の作成及び該情報を報知する制御を行なう、超音波診断装置。
【請求項3】
前記メモリには、前記第1の超音波画像における前記第1の領域の位置がさらに記憶され
前記プロセッサは、前記メモリから前記第1の領域の位置を読み出して、共通の画素を有する前記第1の領域及び前記第2の領域を特定する、請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記同一の3次元領域を構成する前記第1の領域及び前記第2の領域に対して、同じ識別情報を付与する、請求項1〜のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記第1の走査面における少なくとも1点と、前記第2の走査面における少なくとも1点との間の距離が前記所要の距離を有するか否かを判定する、請求項1〜のいずれか一項に記載の超音波装置。
【請求項6】
3次元空間における被検体に対して超音波を送受信する超音波プローブと、
前記3次元空間における前記超音波プローブの位置を検出する位置センサと、
前記超音波プローブで受信した前記超音波のエコー信号及び前記位置センサからの信号が入力されるプロセッサと、
メモリと、
ディスプレイと、を備えた超音波診断装置の制御プログラムであって、
前記プロセッサが、
前記超音波プローブによる第1の走査面における前記超音波の送受信によって得られた前記エコー信号に基づいて第1の超音波画像を作成し、
該第1の超音波画像における前記エコー信号の信号強度が閾値以下の第1の領域を抽出し、
前記超音波プローブによる第2の走査面における前記超音波の送受信によって得られた前記エコー信号に基づいて第2の超音波画像を作成し、
前記位置センサからの信号に基づいて、前記第1の走査面及び前記第2の走査面が、所要の距離を有するか否かを判定し、
前記第1の走査面及び前記第2の走査面が所要の距離を有する場合に、前記第2の超音波画像における前記エコー信号の信号強度が閾値以下である第2の領域を抽出し、
前記第1の領域及び前記第2の領域が、前記第1の走査面及び前記第2の走査面に跨る同一の3次元領域を構成するか否かを判定し、
同一の3次元領域を構成するか否かの判定結果に基づいて、前記第1の走査面及び前記第2の走査面と交差する方向における前記3次元領域の大きさを表す情報を得る処理を行ない、
該情報を報知する制御として、リアルタイムの前記第2の超音波画像を前記ディスプレイに表示して、前記第1の走査面及び前記第2の走査面と交差する方向における前記3次元領域の大きさに応じたカラー画像を、前記第2の超音波画像における前記第2の領域に表示する制御を行ない、
さらに前記プロセッサが、
前記第1の超音波画像及び前記第2の超音波画像において共通の画素を有する前記第1の領域及び前記第2の領域が、前記同一の3次元領域を構成すると判定し、
該同一の3次元領域を構成すると判定した前記第1の領域及び前記第2の領域の各々の大きさの和を前記情報として得て、前記同一の3次元領域ごとに前記メモリに記憶し、
前記第2の領域の抽出が行なわれた前記第2の走査面を前記第1の走査面とし、新たに前記第2の走査面における前記超音波の送受信が行なわれるたびに、該第1の走査面及び新たに得られた第2の走査面が前記所要の距離を有するか否かの判定、前記第2の領域の抽出、前記同一の3次元領域を構成するか否かの判定、前記情報の作成及び該情報を報知する制御を行ない、
新たに得られた前記第2の走査面において抽出された第2の領域の大きさと、該第2の領域を含む前記3次元領域について前記メモリに記憶された和とを加算した加算結果を得ることを、前記情報を得る処理として行なう
超音波診断装置の制御プログラム。
【請求項7】
3次元空間における被検体に対して超音波を送受信する超音波プローブと、
前記3次元空間における前記超音波プローブの位置を検出する位置センサと、
前記超音波プローブで受信した前記超音波のエコー信号及び前記位置センサからの信号が入力されるプロセッサと、
メモリと、
ディスプレイと、を備えた超音波診断装置の制御プログラムであって、
前記プロセッサが、
前記超音波プローブによる第1の走査面における前記超音波の送受信によって得られた前記エコー信号に基づいて第1の超音波画像を作成し、
該第1の超音波画像における前記エコー信号の信号強度が閾値以下の第1の領域を抽出し、
前記超音波プローブによる第2の走査面における前記超音波の送受信によって得られた前記エコー信号に基づいて第2の超音波画像を作成し、
前記位置センサからの信号に基づいて、前記第1の走査面及び前記第2の走査面が、所要の距離を有するか否かを判定し、
前記第1の走査面及び前記第2の走査面が所要の距離を有する場合に、前記第2の超音波画像における前記エコー信号の信号強度が閾値以下である第2の領域を抽出し、
前記第1の領域及び前記第2の領域が、前記第1の走査面及び前記第2の走査面に跨る同一の3次元領域を構成するか否かを判定し、
該同一の3次元領域を構成するか否かの判定結果に基づいて、前記第1の走査面及び前記第2の走査面と交差する方向における前記3次元領域の大きさを表す情報を得る処理を行ない、
該情報を報知する制御として、リアルタイムの前記第2の超音波画像を前記ディスプレイに表示して、前記第1の走査面及び前記第2の走査面と交差する方向における前記3次元領域の大きさに応じたカラー画像を、前記第2の超音波画像における前記第2の領域に表示する制御を行ない、
さらに前記プロセッサが、
前記第1の超音波画像及び前記第2の超音波画像において共通の画素を有する前記第1の領域及び前記第2の領域が、前記同一の3次元領域を構成すると判定し、
前記同一の3次元領域を構成するか否かの判定結果に基づいて、該同一の3次元領域が跨る前記第1の走査面及び前記第2の走査面の総数を、前記情報として取得し
前記第2の領域の抽出が行なわれた前記第2の走査面を前記第1の走査面とし、新たに前記第2の走査面における前記超音波の送受信が行なわれるたびに、該第1の走査面及び新たに得られた第2の走査面が前記所要の距離を有するか否かの判定、前記第2の領域の抽出、前記同一の3次元領域を構成するか否かの判定、前記情報の作成及び該情報を報知する制御を行なう、
超音波診断装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の超音波画像を作成する超音波診断装置及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、リアルタイムで被検体の断面を観察できるという特性を生かして様々な用途に用いられる。例えば近年では、超音波診断装置は、マンモグラフィー以外の乳癌検査の手段としても広く使われるようになっている。それに伴い、精査をより正確かつスピーディーに行いたいというニーズが挙げられている。例えば、乳癌検査には、超音波を用いて検査個所における生体組織の歪み量や弾性率を計測し、弾性画像を表示するエラストグラフィが用いられることがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018−191779号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乳癌検査には、上述のエラストグラフィの他、Bモード画像を用いた診断も行なわれる。乳房のBモード画像には、周囲よりも輝度が低い低エコー域と呼ばれる周囲の乳腺組織とは性状が異なる領域がある。低エコー域が現れる病変として乳腺症や非浸潤性乳管癌、乳管内成分の多い浸潤癌などが挙げられる。超音波検査の際、低エコー域の3次元形態から良悪性の判別や病変の分類を行う。乳癌や悪性の腫瘤等の疑いがある場合には、病変の拡がり度合を把握するために低エコー域の連続性について調査する。このとき、超音波の走査面と直交する3次元方向への連続性の評価は、2次元的な断面像を観察するのみで行えないことから、手間がかかることが課題となっている。乳癌の種類や進行度によって治療法が異なってくるため、低エコー域の3次元方向への連続性の有無と程度をより簡易かつ正確に把握する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた一の観点の発明は、3次元空間における被検体に対して超音波を送受信する超音波プローブと、前記3次元空間における前記超音波プローブの位置を検出する位置センサと、前記超音波プローブで受信した前記超音波のエコー信号及び前記位置センサからの信号が入力されるプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、前記超音波プローブによる第1の走査面における前記超音波の送受信によって得られた前記エコー信号に基づいて第1の超音波画像を作成し、前記第1の超音波画像における前記エコー信号の信号強度が閾値以下の第1の領域を抽出し、前記超音波プローブによる第2の走査面における前記超音波の送受信によって得られた前記エコー信号に基づいて第2の超音波画像を作成し、前記位置センサからの信号に基づいて、前記第1の走査面及び前記第2の走査面が、所要の距離を有するか否かを判定し、前記第1の走査面及び前記第2の走査面が所要の距離を有する場合に、前記第2の超音波画像における前記エコー信号の信号強度が閾値以下である第2の領域を抽出し、前記第1の領域及び前記第2の領域が、前記第1の走査面及び前記第2の走査面に跨る同一の3次元領域を構成するか否かを判定し、前記判定結果に基づいて、前記第1の走査面及び前記第2の走査面と交差する方向における前記3次元領域の大きさを表す情報を得る処理を行ない、前記情報を報知する制御を行なう、よう構成される超音波診断装置である。
【発明の効果】
【0006】
上記観点の発明によれば、プロセッサが、前記第1の走査面及び前記第2の走査面と交差する方向における前記3次元領域の大きさを表す情報を報知する制御を行なうよう構成されているので、走査面と交差する方向への低エコー域の連続性をより簡易かつ正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の超音波診断装置の実施の形態の一例の構成を示すブロック図である。
図2】実施形態の超音波診断装置において、カラー画像を表示するための処理を示すフローチャートである。
図3】低エコー域を有するBモード画像が表示されたディスプレイの一例を示す図である。
図4】低エコー域を有するBモード画像が表示されたディスプレイの他例を示す図である。
図5】3次元領域の説明図である。
図6】3次元領域の説明図である。
図7】カラー画像が表示されたディスプレイの一例を示す図である。
図8】更新されたカラー画像が表示されたディスプレイの一例を示す図である。
図9】実施形態の変形例の超音波診断装置において、カラー画像を表示するための処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1に示す超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送受信ビームフォーマ3、送信機4、受信機5、受信ビームフォーマ6、プロセッサ7、ディスプレイ8、メモリ9及びユーザインタフェース10を有している。
【0009】
超音波プローブ2は、3次元空間における被検体に対して超音波を送受信する。より詳細に説明すると、送信ビームフォーマ3および送信機4は、超音波プローブ2内に配列された複数の振動素子2aをドライブしてパルス超音波信号を被検体(図示せず)に放射するよう構成されている。パルス超音波信号は、被検体内において反射して振動素子2aに戻るエコーを生成する。エコーは、振動素子2aによって電気信号に変換され、電気信号は、受信機5によって受信される。受信されたエコーを表す電気信号、すなわちエコー信号は、受信ビームフォーマ6に入力され、この受信ビームフォーマ6において受信ビームフォーミングが行われる。受信ビームフォーマ6は、受信ビームフォーミング後のエコー信号を、プロセッサ7へ出力するようになっていてもよい。
【0010】
受信ビームフォーマ6は、ハードウェアビームフォーマであってもソフトウェアビームフォーマであってもよい。受信ビームフォーマ6がソフトウェアビームフォーマである場合、受信ビームフォーマ6は、グラフィックス処理ユニット(GPU)、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、または論理演算を実行することができる他の種類のプロセッサのうちの任意の1つまたは複数を含む1つまたは複数のプロセッサを備えることができる。受信ビームフォーマ6を構成するプロセッサは、プロセッサ7とは別のプロセッサで構成されていてもよいし、プロセッサ7で構成されていてもよい。
【0011】
超音波プローブ2は、送信ビームフォーミングおよび/または受信ビームフォーミングの全部または一部を行うための電気回路を含むことができる。例えば、送信ビームフォーマ3、送信機4、受信機5、および受信ビームフォーマ6の全部または一部は、超音波プローブ2内に設けられていてもよい。
【0012】
超音波プローブ2には、例えばホール素子で構成される磁気センサ11が設けられている。この磁気センサ11により、例えば三次元空間に設置された磁気発生部12から発生する磁気が検出され、3次元空間における超音波プローブ2の位置が検出されるようになっている。磁気発生部12は、例えば磁気発生コイルで構成される。磁気センサ11における検出信号は、プロセッサ7へ入力されるようになっている。磁気センサ11における検出信号は、図示しないケーブルを介してプロセッサ7へ入力されてもよいし、無線でプロセッサ7へ入力されてもよい。プロセッサ7は、磁気センサ11の検出信号に基づいて、超音波プローブ2の位置を検出し、3次元空間における超音波の走査面の位置を算出する。磁気センサ11は、本発明における位置センサの実施の形態の一例である。ただし、本発明において、超音波プローブ2の位置を検出するための位置センサは磁気センサに限られるものではない。
【0013】
プロセッサ7は、送信ビームフォーマ3、送信機4、受信機5、および受信ビームフォーマ6を制御する。プロセッサ7は、超音波プローブ2と電子通信している。プロセッサ7は、超音波プローブ2を制御してエコー信号を取得することができる。プロセッサ7は、振動素子2aのどれがアクティブであるか、および超音波プローブ2から送信される超音波ビームの形状を制御する。プロセッサ7はまた、ディスプレイ8とも電子通信しており、プロセッサ7は、エコー信号を処理してディスプレイ8上に表示するための超音波画像にすることができる。「電子通信」という用語は、有線通信と無線通信の両方を含むように定義することができる。プロセッサ7は、一実施形態によれば中央処理装置(CPU)を含むことができる。他の実施形態によれば、プロセッサ7は、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、または他のタイプのプロセッサなど、処理機能を実行することができる他の電子構成要素を含むことができる。他の実施形態によれば、プロセッサ7は、処理機能を実行することができる複数の電子構成要素を含むことができる。例えばプロセッサ7は、中央処理装置、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、およびグラフィックスプロセッシングユニットを含む電子構成要素のリストから選択された2つ以上の電子構成要素を含むことができる。
【0014】
プロセッサ7は、RFデータを復調する複合復調器(図示せず)を含むこともできる。別の実施形態では、処理チェーンの早いうちに復調を実行することができる。
【0015】
プロセッサ7は、複数の選択可能な超音波モダリティに従った1つまたは複数の処理動作をデータに行うように構成されている。エコー信号が受信されるとき、データは走査セッション中にリアルタイムで処理することができる。この開示のために、「リアルタイム」という用語は、いかなる意図的な遅延もなく行われる手順を含むように定義される。
【0016】
また、データは、超音波の走査中に一時的にバッファ(図示せず)に格納し、ライブ操作またはオフライン操作でリアルタイムではなく処理することができる。この開示において、「データ」という用語は、本開示においては、超音波装置を用いて取得される1つまたは複数のデータセットを指すように使用することができる。
【0017】
受信ビームフォーマ6による処理によって得られたローデータ(raw data)は、プロセッサ7によって他のまたは異なるモード関連モジュール(例えば、Bモード、カラードップラ、Mモード、カラーMモード、スペクトルドップラ、エラストグラフィ、TVI、歪み、歪み速度、など)で処理して超音波画像のデータを作ることができる。例えば、1つまたは複数のモジュールが、Bモード、カラードップラ、Mモード、カラーMモード、スペクトルドップラ、エラストグラフィ、TVI、歪み、歪み速度、およびそれらの組合せ、などの超音波画像を生成することができる。画像ビームおよび/または画像フレームは保存され、データがメモリに取得された時を示すタイミング情報を記録することができる。前記モジュールは、例えば、画像フレームを座標ビーム空間から表示空間座標に変換するために走査変換演算を実行する走査変換モジュールを含むことができる。被検体に処置が実施されている間にメモリから画像フレームを読み取り、その画像フレームをリアルタイムで表示する映像プロセッサモジュールが設けられてもよい。映像プロセッサモジュールは画像フレームを画像メモリに保存することができ、超音波画像は画像メモリから読み取られディスプレイ8に表示される。
【0018】
プロセッサ7が複数のプロセッサを含む場合、プロセッサ7が担当する上述の処理タスクを、複数のプロセッサが担当してもよい。例えば、第1のプロセッサを使用して、RF信号を復調および間引きすることができ、第2のプロセッサを使用して、データをさらに処理した後、画像を表示することができる。
【0019】
また、例えば受信ビームフォーマ6がソフトウェアビームフォーマである場合、その処理機能は、単一のプロセッサで実行されてもよいし、複数のプロセッサで実行されてもよい。
【0020】
ディスプレイ8は、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイなどである。
【0021】
メモリ9は、任意の既知のデータ記憶媒体であり、非一過性の記憶媒体及び一過性の記憶媒体を含む。非一過性の記憶媒体は、例えば、HDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)、ROM(Read Only Memory)などの不揮発性の記憶媒体である。非一過性の記憶媒体は、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などの可搬性の記憶媒体を含んでいてもよい。プロセッサ7によって実行されるプログラムは、非一過性の記憶媒体に記憶されている。
【0022】
一過性の記憶媒体は、RAM(Random Access Memory)などの揮発性の記憶媒体である。
【0023】
ユーザインタフェース10は、操作者の入力を受け付けることができる。例えば、ユーザインタフェース10は、ユーザーからの指示や情報の入力を受け付ける。ユーザインタフェース10は、キーボード(keyboard)、ハードキー(hard key)、トラックボール(trackball)、ロータリーコントロール(rotary control)及びソフトキー等を含んで構成されている。ユーザインタフェース10は、ソフトキー等を表示するタッチスクリーンを含んでいてもよい。
【0024】
次に、本例の作用について説明する。本例では、低エコー域の3次元的な連続性をより簡易かつ正確に把握するために、後述の図7に示すカラー画像CIが表示される。例えば、カラー画像CIを表示するモードに移行する入力をユーザインタフェース10が受け付けると、図2に示すフローチャートの処理が開始される。ユーザーが、被検体に対して超音波プローブ2による超音波の送受信を行なってディスプレイ8にBモード画像を表示させた後、上述のモードに移行する入力を行なってもよい。
【0025】
図2において、先ずステップS1では、プロセッサ7は、Bモード画像BIにおけるエコー信号の信号強度が閾値以下の低エコー域を抽出する。プロセッサ7は、ローデータ又は画像データのいずれかに基づいて低エコー域の抽出を行なう。プロセッサ7は、例えば図3に示すように、Bモード画像BIにおいて輝度が周囲よりも低い低エコー域である領域R1a、R1bを抽出する。ステップS1におけるBモード画像BIは、本発明における第1の超音波画像の一例である。また、ステップS1におけるBモード画像BIを作成するために超音波の送受信が行なわれる走査面は、本発明における第1の走査面の一例である。また、領域R1a、R1bは、本発明における第1の領域の実施の形態の一例である。
【0026】
本例では、ステップS1において領域R1a、R1bが抽出されたBモード画像BIの走査面を初期走査面と云うものとする。また、低エコー域が抽出され、後述のステップS2において移動判定がされる前の走査面を、移動前の走査面と云うものとする。この移動前の走査面を、第1の走査面と云い、第1の走査面において抽出される低エコー域を第1の領域と云うものとする。また、第1の走査面についての超音波画像を、第1の超音波画像と云うものとする。
【0027】
また、ステップS1では、プロセッサ7は、領域R1a、R1bの大きさを算出する。本例では、Bモード画像BIにおける領域R1a、R1bのピクセル数を算出する。そして、プロセッサ7は、Bモード画像BIにおける領域R1a、R1bの位置及び大きさ(ピクセル数)をメモリ9に記憶する。プロセッサ7は、領域R1a、R1bの各々について識別情報を付与するラベリングを行なってメモリ9への記憶を行なう。
【0028】
さらに、ステップS1では、プロセッサ7は、領域R1a、R1bが抽出されたBモード画像BIが得られた走査面の位置をメモリ9に記憶する。プロセッサ7は、領域R1a、R1bが抽出されたBモード画像BIが得られた走査面の3次元空間における位置を、磁気センサ11の検出信号に基づいて算出し、メモリ9に記憶する。
【0029】
次に、ステップS2では、プロセッサ7は、走査面の移動の有無を判定する。プロセッサ7は、低エコー域が抽出されたBモード画像BIの走査面からリアルタイムの走査面が移動したか否かを判定する。リアルタイムの走査面は、最新フレームのBモード画像BIが得られた走査面である。例えばプロセッサ7は、最新フレームのBモード画像BIが得られた走査面と、領域R1a、R1bが抽出されたBモード画像BIの走査面(第1の走査面)との距離が所要の距離を有するか否かを判定することにより、上述の走査面の移動の有無を判定する。最新フレームのBモード画像BIが得られた走査面の位置は、磁気センサ11の検出信号に基づいて得られる位置である。また、領域R1a、R1bが抽出されたBモード画像BIの走査面の位置は、メモリ9に記憶された走査面の位置である。
【0030】
プロセッサ7は、例えば最新フレームのBモード画像BIが得られた走査面における少なくとも1点と、領域R1a、R1bが抽出されたBモード画像BIの走査面における少なくとも1点との距離を、二つの走査面の間の距離として算出して、上述の所要の距離を有するか否の判定を行なってもよい。距離算出の対象となる点は、二つの走査面において対応する点、すなわち同じ画素を構成する点である。プロセッサ7は、二つの走査面において対応する1点ではなく、対応する複数の点の各々について距離を算出し、これらを用いて二つの走査面の距離を算出してもよい。
【0031】
ステップS2において用いられる所要の距離は、メモリ9に記憶されている。
【0032】
ステップS2において、走査面が移動したと判定された場合(ステップS2において「YES」)、ステップS3の処理へ移行する。一方、ステップS2において、走査面が移動していないと判定された場合(ステップS2において「NO」)、ステップS2の処理を繰り返す。
【0033】
次に、ステップS3では、プロセッサ7は、ステップS1と同様にして、Bモード画像BIにおけるエコー信号の信号強度が閾値以下の低エコー域を抽出する。プロセッサ7は、例えば図4に示すように、Bモード画像BIにおいて輝度が周囲よりも低い低エコー域である領域R2aを抽出する。ステップS3において領域R2aが抽出されたBモード画像BIの走査面は、ステップS2において、移動があったと判定されたリアルタイムの走査面であり、ここでは本発明における第2の走査面の一例である。また、領域R2aは、ここでは本発明における第2の領域の実施の形態の一例である。本例では、ステップS2において、第1の走査面に対する移動の有無の判断対象となる走査面を第2の走査面と云い、移動があったと判定された第2の走査面において抽出される低エコー域を第2の領域と云うものとする。
【0034】
また、ステップS3におけるBモード画像BIは、ステップS2において、移動があったと判定されたリアルタイムの走査面、すなわち第2の走査面についてのBモード画像であり、ここでは本発明における第2の超音波画像の一例である。
【0035】
また、ステップS3では、プロセッサ7は、領域R2aの大きさを算出する。本例では、Bモード画像BIにおける領域R2aのピクセル数を算出する。そして、プロセッサ7は、Bモード画像BIにおける領域R2aの位置及び大きさ(ピクセル数)をメモリ9に記憶する。
【0036】
さらに、ステップS3では、プロセッサ7は、領域R2aが抽出されたBモード画像BIが得られた位置をメモリ9に記憶する。例えば、プロセッサ7は、領域R2aが抽出されたBモード画像BIが得られた走査面の3次元空間における位置をメモリ9に記憶する。領域R2aが抽出されたBモード画像BIが得られた走査面の3次元空間における位置は、磁気センサ11の検出信号に基づいて得られた位置である。
【0037】
次に、ステップS4では、プロセッサ7は、第1の走査面及び第2の走査面に跨る同一の3次元領域を構成する第1の領域及び第2の領域を特定する。プロセッサ7は、ここでは領域R1a、R1b及び領域R2aが、第1の走査面及び第2の走査面に跨る同一の3次元領域を構成するか否かを判定して上述の特定を行なう。
【0038】
3次元領域は、低エコー域の3次元領域である。具体的に、図5及び図6に基づいて3次元領域について説明する。図5及び図6において、X方向は、アジマス(azimuth)方向(振動素子2aの配列方向)に相当し、Z方向は、エレベーション(elevation)方向である。また、Y方向は、X方向及びZ方向と直交する方向であり被検体における深度方向である。説明の便宜上、図3及び図4にもX、Y、Z方向が示されている。
【0039】
図5には、被検体におけるXZ平面上の3次元領域3DRa、3DRb、3DRc、3DRdが示されている。なお、図6には、後述する走査面P1〜P4における3次元領域3DRa、3DRb、3DRc、3DRdの断面(Bモード画像BIにおいて抽出される領域R1a、R1b、R2a、R3a、R3c、R4a、R4dに対応する部分)が示されている。
【0040】
符号P1、P2は、XY平面方向に広がる走査面を示している。ここでは、走査面P1はステップS1における初期走査面であり、第1の走査面である。また、ここでは、走査面P2は移動後の走査面であり、第2の走査面である。
【0041】
なお、符号P3、P4も走査面を示している。走査面P3、P4については後述する。
【0042】
領域R1a、R1bは、走査面P1についてのBモード画像BIにおける低エコー域である。領域R2aは、走査面P2についてのBモード画像BIにおける抽出された低エコー域である。領域R1a及び領域R2aは、3次元領域3DRaを構成している。また、領域R1bは、3次元領域3DRbを構成している。
【0043】
3次元領域3DRaは、走査面P1〜P4に跨っており、3次元領域3DRbよりもZ方向に長くなっている。このように走査面と交差する方向において比較的長い低エコー域である3次元領域3DRaは、病変の可能性がある領域である。一方、3次元領域3DRb、3DRc、3DRdは、正常組織の領域である。
【0044】
プロセッサ7は、第1の走査面についてのBモード画像と第2の走査面についてのBモード画像において、共通の画素を有する第1の領域及び第2の領域を、同一の3次元領域を構成すると判定する。プロセッサ7は、メモリ9から第1の領域の位置及び第2の領域の位置を読み出して、共通の画素を有する前記第1の領域及び前記第2の領域を特定する。ここでは、プロセッサ7は、領域R1a、R1bの位置と、領域R2aの位置をメモリ9から読み出し、領域R1aと領域R2aを共通の画素を有する領域として特定する。そして、これら領域R1a及び領域R2aが、走査面P1、P2に跨る同一の3次元領域3DRaを構成すると判定する。
【0045】
プロセッサ7は、領域R2aの識別情報として、領域R1aと同一の識別情報をメモリ9に記憶する。領域R1a、R2aの識別情報は、3次元領域3DRaの識別情報と云うこともできる。
【0046】
また、プロセッサ7は、領域R1a、R2aのピクセル数を加算して、領域R1a、R2aの大きさの和Spiとしてメモリ9に記憶する。和Spiは領域R1a、R2aの識別情報と関連付けて記憶される。和Spiは、本発明における3次元領域の大きさを表す情報の実施の形態の一例である。
【0047】
次に、ステップS5では、図7に示すように、プロセッサ7は、和Spiに応じたカラー画像CIをディスプレイ8に表示させる。プロセッサ7は、和Spiが得られた領域にカラー画像CIを表示させる。ここでは、プロセッサ7は、Bモード画像BIにおける領域R2aにカラー画像CIを表示させる。
【0048】
カラー画像CIは、例えば和Spiに応じて彩度が異なる色で構成される。ただし、カラー画像CIは、和Spiに応じた表示形態を有していればよく、例えば和Spiに応じて明度が異なる色で構成されていてもよい。カラー画像CIは、本発明における3次元領域の大きさに応じた画像及び3次元領域の大きさを表す情報の実施の形態の一例である。
【0049】
例えば、プロセッサ7は、メモリ9に記憶されたカラーマップを用いてカラー画像CIを作成して表示させる。カラーマップは、和Spiに応じた彩度や明度を定義する。カラーマップは、和Spiが所要の値より大きくなるまではカラー画像CIの色が表示されていないように見えるよう設定されていてもよい。
【0050】
次に、ステップS6においては、プロセッサ7は、処理を終了するか否かを判定する。例えば、プロセッサ7は、ユーザーによる処理を終了する入力をユーザインタフェース10が受け付けた場合、処理を終了すると判定する(ステップS6において「YES」)。
【0051】
一方、プロセッサ7が処理を終了しないと判定した場合(ステップS6において「NO」)、ステップS2の処理へ戻る。このステップS2では、プロセッサ7は、新たなフレームを対象にして移動判定を行なう。具体的には、直近の過去のステップS3において第2の領域の抽出が行なわれた第2の走査面を第1の走査面とし、この第1の走査面と、新たなフレームのBモード画像BIが得られた第2の走査面との距離が所要の距離を有するか否かをプロセッサ7が判定する。ここでは、走査面P2を第1の走査面とし、この走査面P2と、新たなフレームのBモード画像BIが得られた第2の走査面との距離が所要の距離を有するか否かをプロセッサ7が判定する。
【0052】
走査面P2から所要の距離を有すると判定された走査面を、図5及び図6に示された走査面P3とする。すなわち、走査面P3が第2の走査面である。ステップS3では、プロセッサ7は、この走査面P3のBモード画像BIにおいて、低エコー域を抽出する。ここでは、低エコー域として、領域R3a、R3cが抽出される。プロセッサ7は、領域R3a、R3cのピクセル数及びBモード画像BIにおける位置をメモリ9に記憶する。また、プロセッサ7は、領域R3a、R3cが抽出されたBモード画像BIが得られた位置をメモリ9に記憶する。
【0053】
ステップS4では、プロセッサ7は、領域R2a及び領域R3a、R3cが、走査面P2、P3に跨る同一の3次元領域を構成するか否かを判定する。ここでは、領域R2aが第1の領域であり、領域R3a、R3cが第2の領域である。そして、領域R2a及び領域R3aが共通の画素を有している。プロセッサ7は、領域R2a及び領域R3aが、同一の3次元領域3DRaを構成すると判定する。ちなみに、領域R3cは、3次元領域3DRcを構成している。
【0054】
プロセッサ7は、領域R3aの識別情報として、領域R1a、R2aと同一の識別情報をメモリ9に記憶する。また、プロセッサ7は、領域R3cの識別情報をメモリ9に記憶する。
【0055】
さらに、プロセッサ7は、メモリ9に記憶されている領域R1a、R2aのピクセル数の和Spiと領域R3aのピクセル数とを加算して新たな和Spiを得て識別情報と関連付けてメモリ9に記憶する。
【0056】
ステップS5では、新たに得られた和Spiに応じた色にカラー画像CIを更新する。更新されたカラー画像CIは、図8に示すように、Bモード画像BIにおける領域R3aに表示される。
【0057】
ステップS6において、処理を終了しないと再び判定されて再びステップS2の処理へ戻ると、再び上述と同様にしてステップS2以降の処理が行なわれる。ここでは、第1の走査面は走査面P3となり、第2の走査面は走査面P4となる。走査面P4のBモード画像BIにおける低エコー域は、領域R4a、R4dである。領域R4aが3次元領域3DRaを構成し、領域R4dが3次元領域3DRdを構成する。プロセッサ7は、領域R3a及び領域R4aが、走査面P3、P4に跨る同一の3次元領域3DRaを構成すると判定し、領域R4aの識別情報として、領域R1a、R2a、R3aと同一の識別情報をメモリ9に記憶する。
【0058】
また、プロセッサ7は、メモリ9に記憶されている領域R1a、R2a、R3aのピクセル数の和Spiと領域R4aのピクセル数とを加算して新たな和Spiを得てメモリ9に記憶し、カラー画像CIを更新する。更新されたカラー画像CIは、特に図示しないが、Bモード画像BIにおける領域R4aに表示される。
【0059】
本例によれば、3次元領域3DRaを構成する低エコー域のピクセル数の総和に応じた色を有するカラー画像CIが表示される。従って、カラー画像CIは、走査面P1〜P4と交差する方向における3次元領域3DRaの大きさに応じた彩度等を有する色で表示されるので、走査面と交差する方向への低エコー域の連続性をより簡易かつ正確に把握することができる。
【0060】
なお、本例では4つの走査面P1〜P4のみが示されているが、これらは一例に過ぎない。走査面P1〜P4の各々の間隔よりも狭く、なおかつより多くの走査面において低エコー域の抽出が行なわれて、カラー画像CIが表示されてもよい。
【0061】
次に、実施形態の変形例について説明する。この変形例では、カラー画像CIを表示するモードに移行する入力をユーザインタフェース10が受け付けると、図9に示すフローチャートの処理が開始される。
【0062】
図9において、先ずステップS11では、ステップS1と同様に、プロセッサ7は、走査面P1についてのBモード画像BIにおけるエコー信号の信号強度が閾値以下の低エコー域である領域R1a、R1bを抽出する。
【0063】
ステップS11においても、プロセッサ7は、ステップS1と同様にBモード画像BIにおける領域R1a、R1bの位置及び識別情報をメモリ9に記憶する。また、プロセッサ7は、ステップS1と同様に、領域R1a、R1bが抽出されたBモード画像BIが得られた位置をメモリ9に記憶する。ただし、この変形例では、領域R1a、R1bの大きさの算出は行なわれない。
【0064】
次に、ステップS12では、プロセッサ7は、ステップS2と同様にして走査面の移動の有無を判定する。次に、ステップS13では、プロセッサ7は、ステップS3と同様に、走査面P2についてのBモード画像BIにおいて、低エコー域である領域R2aを抽出する。また、プロセッサ7は、ステップS3と同様にBモード画像BIにおける領域R2aの位置をメモリ9に記憶する。また、プロセッサ7は、ステップS1と同様に、領域R2aが抽出されたBモード画像BIが得られた位置をメモリ9に記憶する。
【0065】
次に、ステップS14では、ステップS4と同様に、プロセッサ7は、領域R1a及び領域R2aが、走査面P1、P2に跨る同一の3次元領域3DRaを構成すると判定する。領域R2aについての識別情報の記憶についてもステップS4と同様に行なわれる。
【0066】
プロセッサ7は、上述の判定に基づいて3次元領域3DRaが跨る走査面の総数Splを算出してメモリ9に記憶する。ここでは、総数Splは「2」である。総数Splも、領域R1a、R2aの識別情報と関連付けて記憶される。総数Splは、本発明における3次元領域の大きさを表す情報の実施の形態の一例である。
【0067】
次に、ステップS15では、ステップS5と同様にディスプレイ8にカラー画像CIを表示させる。ただし、この変形例では、カラー画像CIは、同一の3次元領域が跨る走査面の総数Splに応じた色を有する画像である。ここでは、3次元領域3DRaが跨る走査面の総数Splに応じた色を有するカラー画像CIが、Bモード画像BIにおける領域R2aに表示される。
【0068】
カラー画像CIは、同一の3次元領域が跨る総数Splに応じた彩度や明度等を有する。この変形例では、カラーマップは総数Splに応じた彩度や明度を定義する。
【0069】
ステップS16では、ステップS6と同様の終了判定処理が行なわれる。処理を終了しないと判定された場合、ステップS12の処理へ戻り、再びステップS2と同様にして移動判定が行なわれた後、ステップ13において走査面P3における低エコー域である領域R3a、R3cの抽出が行なわれる。
【0070】
ステップS13において、領域R3a、R3cのBモード画像BIにおける位置及びBモード画像BIが得られた位置がメモリ9に記憶されると、ステップS14の処理へ移行する。このステップS14では、ステップS4と同様に、プロセッサ7は、領域R2a及び領域R3aが、走査面P2、P3に跨る同一の3次元領域3DRaを構成すると判定する。そして、ステップS4と同様にして、領域R3a、R3cの識別情報の記憶が行なわれる。
【0071】
さらに、プロセッサ7は、メモリ9に記憶されている3次元領域3DRaが跨る走査面の総数Splである「2」に「1」を加算して新たな総数Splとして「3」を得てメモリ9に記憶する。
【0072】
ステップS15では、プロセッサ7は、新たに得られた走査面の総数Splに応じた色にカラー画像CIを更新する。更新されたカラー画像CIは、領域R3aに表示される。
【0073】
ステップS16において、処理を終了しないと再び判定されて再びステップS12の処理へ戻ると、再び上述と同様にしてステップS12以降の処理が行なわれる。ここでは、ステップS14において、プロセッサ7は、メモリ9に記憶されている走査面の総数Splである「3」に「1」を加算して新たな総数Splとして「4」を得てメモリ9に記憶する。そして、この新たな総数Splに応じた色にカラー画像CIが更新される。更新されたカラー画像CIは、領域R4aに表示される。
【0074】
この変形例によれば、3次元領域3DRaが跨る走査面の総数Splに応じた色を有するカラー画像CIが表示されるので、走査面と交差する方向への低エコー域の連続性をより簡易かつ正確に把握することができる。
【0075】
以上、本発明を前記実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、上記各実施形態において説明したフローチャートは一例であり、本発明の趣旨を損なわない限りにおいて変形可能である。
【0076】
また、上記実施形態は、
3次元空間における被検体に対して超音波を送受信する超音波プローブと、
前記3次元空間における前記超音波プローブの位置を検出する位置センサと、
前記超音波プローブで受信した前記超音波のエコー信号及び前記位置センサからの信号が入力されるプロセッサと、を備えた超音波診断装置の制御方法であって、
該プロセッサが、
前記超音波プローブによる第1の走査面における前記超音波の送受信によって得られた前記エコー信号に基づいて第1の超音波画像を作成し、
該第1の超音波画像における前記エコー信号の信号強度が閾値以下の第1の領域を抽出し、
前記超音波プローブによる第2の走査面における前記超音波の送受信によって得られた前記エコー信号に基づいて第2の超音波画像を作成し、
前記位置センサからの信号に基づいて、前記第1の走査面及び前記第2の走査面が、所要の距離を有するか否かを判定し、
前記第1の走査面及び前記第2の走査面が所要の距離を有する場合に、前記第2の超音波画像における前記エコー信号の信号強度が閾値以下である第2の領域を抽出し、
前記第1の領域及び前記第2の領域が、前記第1の走査面及び前記第2の走査面に跨る同一の3次元領域を構成するか否かを判定し、
該判定結果に基づいて、前記第1の走査面及び前記第2の走査面と交差する方向における前記3次元領域の大きさを表す情報を得る処理を行ない、
該情報を報知する制御を行なう、
超音波診断装置の制御方法としてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、超音波プローブが一方向のみに移動する場合を例にして説明したが、超音波プローブが所要の方向とは反対方向に移動した場合、磁気センサで検出される位置情報に基づいて、以前に低輝度領域の検出が行なわれた走査面であるか否かを判定してもよい。以前に低輝度領域の検出が行なわれた走査面である場合、ピクセル数や走査面の数の加算を行なわない。
【符号の説明】
【0078】
1 超音波診断装置
2 超音波プローブ
7 プロセッサ
8 ディスプレイ
9 メモリ
11 磁気センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9