(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6924282
(24)【登録日】2021年8月3日
(45)【発行日】2021年8月25日
(54)【発明の名称】渦流再循環式燃焼バーナヘッド
(51)【国際特許分類】
F23C 9/08 20060101AFI20210812BHJP
F23C 99/00 20060101ALI20210812BHJP
F23D 14/58 20060101ALI20210812BHJP
【FI】
F23C9/08 400
F23C99/00 326
F23D14/58 A
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-566645(P2019-566645)
(86)(22)【出願日】2018年6月13日
(65)【公表番号】特表2020-523547(P2020-523547A)
(43)【公表日】2020年8月6日
(86)【国際出願番号】US2018037328
(87)【国際公開番号】WO2018231979
(87)【国際公開日】20181220
【審査請求日】2020年1月22日
(31)【優先権主張番号】15/622,270
(32)【優先日】2017年6月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519423404
【氏名又は名称】ウェブスター コンバッション テクノロジー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】WEBSTER COMBUSTION TECHNOLOGY LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ビアード、ジャスティン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】コーベット、エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ソンダーバン、ヨアヒム ピー.
(72)【発明者】
【氏名】バンダープール、ジョセフ ビー.
【審査官】
西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−089212(JP,A)
【文献】
実開昭52−040032(JP,U)
【文献】
特開2004−191032(JP,A)
【文献】
特開昭58−117911(JP,A)
【文献】
米国特許第05415539(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0175945(US,A1)
【文献】
米国特許第04566268(US,A)
【文献】
米国特許第04443182(US,A)
【文献】
特開平06−213416(JP,A)
【文献】
特開2005−283029(JP,A)
【文献】
特開2008−138901(JP,A)
【文献】
米国特許第05195884(US,A)
【文献】
特開平09−133315(JP,A)
【文献】
米国特許第3741166(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23C 9/08
F23C 99/00
F23D 14/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナ用の渦流再循環式燃焼ヘッドであって、
貫通孔、上流端、及び下流端を有するハウジングであって、上流端及び下流端は貫通孔の両側に配置され、燃焼用空気を受けるように構成されているハウジングと、
ハウジング内へ一次燃料流を導入するように構成されたハウジングの上流端に隣接して配置された一次燃料入口と、
ハウジング内へ二次燃料流を導入するように構成された一次燃料入口の下流に配置された二次燃料入口であって、前記二次燃料入口は前記ハウジングに固定された複数の燃料噴射器と流体連通し、前記複数の燃料噴射器は前記ハウジングの外表面の外側で二次燃料流を生成するように構成されている、二次燃料入口と、
ハウジングの下流端に固定されたディフューザプレートを備える火炎保持ヘッドであって、ディフューザプレートは複数の開口部、複数のフィン、及びリングを備える火炎保持ヘッドと、
火炎保持ヘッドの外表面に固定された拡張部材と
を備えている、渦流再循環式燃焼ヘッド。
【請求項2】
複数のフィンは、周方向に等間隔に配置されている、請求項1に記載の渦流再循環式燃焼ヘッド。
【請求項3】
拡張部材は、火炎保持ヘッドの下流端に配置されている、請求項1に記載の渦流再循環式燃焼ヘッド。
【請求項4】
複数の開口部のうち1つの内側に固定された少なくとも1つのオリフィスをさらに備え、少なくとも1つのオリフィスは、一次燃料流の一部をリングから遠ざけて方向転換させるように構成されている、請求項1に記載の渦流再循環式燃焼ヘッド。
【請求項5】
複数のフィンの各々は第1端及び第2端を備え、第1端は自由であり第2端はリングに隣接している、請求項1に記載の渦流再循環式燃焼ヘッド。
【請求項6】
第2端は、リングに当接する、請求項5に記載の渦流再循環式燃焼ヘッド。
【請求項7】
複数のフィンの各々は、燃焼ヘッドの垂直軸に対して5〜50度の角度に配置され、前記垂直軸は、前記ハウジングの前記貫通孔と平行でかつ前記貫通孔を通過するように配置されている、請求項1に記載の渦流再循環式燃焼ヘッド。
【請求項8】
複数のフィンの各々は、燃焼ヘッドの垂直軸に対して20〜40度の角度に配置され、前記垂直軸は、前記ハウジングの前記貫通孔と平行でかつ前記貫通孔を通過するように配置されている、請求項1に記載の渦流再循環式燃焼ヘッド。
【請求項9】
複数のフィンの各々は、燃焼ヘッドの垂直軸に対して30度の角度に配置され、前記垂直軸は、前記ハウジングの前記貫通孔と平行でかつ前記貫通孔を通過するように配置されている、請求項1に記載の渦流再循環式燃焼ヘッド。
【請求項10】
複数の開口部の内側に固定された複数のオリフィスをさらに備え、各々のオリフィスは、中空の本体と、開孔部を有する頭部とを備え、中空の本体と開孔部とは、燃料がそれらを通って通過可能に接続され、開孔部は、中空の本体に対して90度に配置されている、請求項1に記載の渦流再循環式燃焼ヘッド。
【請求項11】
バーナ用の渦流再循環式燃焼ヘッドであって、
貫通孔、上流端、及び下流端を有するハウジングであって、上流端及び下流端は貫通孔の両側に配置され、燃焼用空気を受けるように構成されているハウジングと、
ハウジング内へ一次燃料流を導入するように構成されたハウジングの上流端に隣接して配置された一次燃料入口と、
ハウジング内へ二次燃料流を導入するように構成された一次燃料入口の下流に配置された二次燃料入口であって、前記二次燃料入口は前記ハウジングに固定された複数の燃料噴射器と流体連通し、前記複数の燃料噴射器は前記ハウジングの外表面の外側で二次燃料流を生成するように構成されている、二次燃料入口と、
ハウジングの下流端に固定されたディフューザプレートを備える火炎保持ヘッドであって、ディフューザプレートは複数の開口部、複数のフィン、及びリングを備える火炎保持ヘッドと、
火炎保持ヘッドの外表面に固定された拡張部材とを備え、
複数の開口部は、リングの径方向に外側に配置され、かつ複数のフィンは、リングの径方向に内側に配置されている、渦流再循環式燃焼ヘッド。
【請求項12】
拡張部材は、火炎保持ヘッドの下流端に配置されている、請求項11に記載の渦流再循環式燃焼ヘッド。
【請求項13】
複数の開口部のうち1つの内側に固定された少なくとも1つのオリフィスをさらに備え、少なくとも1つのオリフィスは、一次燃料流の一部をリングから遠ざけて方向転換させるように構成されている、請求項11に記載の渦流再循環式燃焼ヘッド。
【請求項14】
複数のフィンの各々は、燃焼ヘッドの垂直軸に対して5〜50度の角度に配置され、前記垂直軸は、前記ハウジングの前記貫通孔と平行でかつ前記貫通孔を通過するように配置されている、請求項11に記載の渦流再循環式燃焼ヘッド。
【請求項15】
複数の開口部の内側に固定された複数のオリフィスをさらに備え、各々のオリフィスは、中空の本体と、開孔部を有する頭部とを備え、中空の本体と開孔部とは、燃料がそれらを通って通過可能に接続され、開孔部は、中空の本体に対して90度に配置されている、請求項11に記載の渦流再循環式燃焼ヘッド。
【請求項16】
バーナ用の渦流再循環式燃焼ヘッドであって、
貫通孔、上流端、及び下流端を有するハウジングであって、上流端及び下流端は貫通孔の両側に配置され、燃焼用空気を受けるように構成されているハウジングと、
ハウジング内へ一次燃料流を導入するように構成されたハウジングの上流端に隣接して配置された一次燃料入口と、
ハウジング内へ二次燃料流を導入するように構成された一次燃料入口の下流に配置された二次燃料入口であって、前記二次燃料入口は前記ハウジングに固定された複数の燃料噴射器と流体連通し、前記複数の燃料噴射器は前記ハウジングの外表面の外側で二次燃料流を生成するように構成されている、二次燃料入口と、
ハウジングの下流端に固定されたディフューザプレートを備える火炎保持ヘッドであって、ディフューザプレートは複数の開口部、複数のフィン、及びリングを備える火炎保持ヘッドと、
火炎保持ヘッドの外表面に固定された拡張部材であって、前記二次燃料流が前記拡張部材から離れるように向きを変えることで、前記拡張部材の径方向の外側に再循環を生成する拡張部材とを備え、
火炎は、作動中は前記再循環の少なくとも一部によって安定化される、渦流再循環式燃焼ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、燃焼バーナヘッドに関し、より具体的には、低濃度の一酸化炭素及び窒素酸化物排出物しか生成しない渦流再循環式燃焼バーナヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼中の化石燃料に関連する共通の問題は、一酸化炭素及び窒素酸化物(NO
x)の生成及び排出である。ガス及びオイルを燃料とするボイラでは、燃料及び空気がバーナ内で混合され、燃焼室内で混合物に点火するために着火装置が提供される。熱は、燃焼室内で生成されて、熱交換器により運ばれる。燃焼排ガスは、熱交換器のスタックから放出され、窒素酸化物の排出を削減するために燃焼工程へと再循環させることが可能である。そのような工程は燃焼排ガス再循環(FGR)として知られている。燃焼排ガス再循環(FGR)は、火炎の温度を低下させ、それにより、サーマルNO
x排出物の量を削減する。また、燃焼排ガス再循環(FGR)は、一酸化炭素(CO)レベルを最小限に抑えるのにも役立つ。
【0003】
その他の工程、例えば、酸化剤と燃料との燃料希薄予混合、空気ステージング、及び燃料ステージングも、窒素酸化物の排出を削減するために使用される。燃料ステージングには、二次燃料流のための着火源として少量の一次燃料流を燃焼することを伴う。燃料ステージングは主室の温度を下げ、それによりサーマル窒素酸化物の排出量を削減する。
【0004】
現行の規制では、1桁のNO
xレベル、例えば、9ppm未満及び5ppm未満が要求される。残念ながら、NO
xレベルが減少するにつれて、火炎安定性も減少する。火炎安定性に取り組む場合、火炎の位置及び付着が重要である。例えば、有効なボイラエリアを最大化するために火炎をバーナに可能な限り近く位置付けることが望ましい。加えて、最大性能を達成するために調整する間、火炎が可能な限り動かないことが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
燃焼バーナにおける有害なCO及びNO
xの排出物量の削減が試みられてきたが、火炎安定性を維持しながらも生成及び排出される一酸化炭素及び窒素酸化物の量をさらに削減するための改善が必要とされている。
【0006】
本開示は、低濃度の一酸化炭素及び窒素酸化物しか排出されずかつ火炎安定性が維持されるように燃焼バーナを作動させるための発明的な燃焼ヘッドに関する。燃焼ヘッドは、渦流式かつ一様な回転を提供するための複数のフィンを備えたディフューザプレートを備えている。燃焼ヘッドはさらに、渦流を安定させる助けとなるようにディフューザの外表面に固定されたリングも備えている。本システムは、さらに、燃焼排ガス再循環を備えることも可能である。
【0007】
バーナ用の燃焼ヘッドの実施形態の利点は、火炎がバーナのノーズ部とボイラの壁部との間で安定するということである。燃焼ヘッドの実施形態において、火炎は、バーナの正面に固定される。燃焼ヘッドの実施形態の別の利点は、火炎の基部が燃焼室にあることである。
【0008】
本明細書中に記載された渦流再循環式燃焼バーナは、任意の適切な材料、例えばセラミックス、ポリマー、鉄類及び非鉄金属、並びにこれらの合金及び複合材料で作製することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一般に、1つの態様において、バーナ用の渦流再循環式燃焼ヘッドであって、貫通孔、上流端、及び下流端を有するハウジングであって、上流端及び下流端は貫通孔の両側に配置され、燃焼用空気を受けるように構成されているハウジングと、ハウジング内へ一次燃料流を導入するように構成されたハウジングの上流端に隣接して配置された一次燃料入口と、ハウジング内へ二次燃料流を導入するように構成された一次燃料入口の下流に配置された二次燃料入口と、ハウジングの下流端に固定されたディフューザプレートを備える火炎保持ヘッドであって、ディフューザプレートは複数の開口部、複数のフィン、及びリングを備える火炎保持ヘッドと、火炎保持ヘッドの外表面に固定された拡張部材とを備えている渦流再循環式燃焼ヘッドが提供される。
【0010】
実施形態によれば、複数のフィンは、周方向に等間隔に配置されている。
実施形態によれば、拡張部材は、火炎保持ヘッドの下流端に配置されている。
実施形態によれば、複数の開口部のうち1つの内側に固定された少なくとも1つの接線方向のオリフィスを備え、少なくとも1つの接線方向のオリフィスは、一次燃料流の一部をリングから遠ざけて方向転換させるように構成されている。
【0011】
実施形態によれば、複数のフィンの各々は第1端及び第2端を備え、第1端は自由であり第2端はリングに隣接している。
実施形態によれば、第2端は、リングに当接する。
【0012】
実施形態によれば、複数のフィンの各々は、燃焼ヘッドの垂直軸に対して5〜50度の角度に配置されている。
実施形態によれば、複数のフィンの各々は、燃焼ヘッドの垂直軸に対して20〜40度の角度に配置されている。
【0013】
実施形態によれば、複数のフィンの各々は、燃焼ヘッドの垂直軸に対しておよそ30度の角度に配置されている。
実施形態によれば、複数の接線方向のオリフィスが複数の開口部の内側に備えられかつ固定され、各々の接線方向のオリフィスは、中空の本体と、開孔部を有する頭部とを備え、中空の本体と開孔部とは、燃料がそれらを通って通過可能に接続され、開孔部は、中空の本体に対しておよそ90度に配置されている。
【0014】
概して、別の態様では、バーナ用の渦流再循環式燃焼ヘッドであって、貫通孔、上流端、及び下流端を有するハウジングであって、上流端及び下流端は貫通孔の両側に配置され、燃焼用空気を受け取るように構成されているハウジングと、ハウジング内へ一次燃料流を導入するように構成されたハウジングの上流端に隣接して配置された一次燃料入口と、ハウジング内へ二次燃料流を導入するように構成された一次燃料入口の下流に配置された二次燃料入口と、ハウジングの下流端に固定されたディフューザプレートを備える火炎保持ヘッドであって、ディフューザプレートは複数の開口部、複数のフィン、及びリングを備える火炎保持ヘッドと、火炎保持ヘッドの外表面に固定された拡張部材とを備えている渦流再循環式燃焼ヘッドが提供される。複数の開口部は、リングの径方向に外側に配置され、かつ複数のフィンは、リングの径方向に内側に配置されている。
【0015】
実施形態によれば、拡張部材は、火炎保持ヘッドの下流端に配置されている。
実施形態によれば、少なくとも1つの接線方向のオリフィスが複数の開口部のうち1つの内側に備えられかつ固定され、少なくとも1つの接線方向のオリフィスは、一次燃料流の一部をリングから遠ざけて方向転換させるように構成されている。
【0016】
実施形態によれば、複数のフィンの各々は、燃焼ヘッドの垂直軸に対して5〜50度の角度に配置されている。
実施形態によれば、複数の接線方向のオリフィスが複数の開口部の内側に備えられかつ固定され、各々の接線方向のオリフィスは、中空の本体と、開孔部を有する頭部とを備え、中空の本体と開孔部とは、燃料がそれらを通って通過可能に接続され、開孔部は、中空の本体に対しておよそ90度に配置されている。
【0017】
概して、さらなる態様では、バーナ用の渦流再循環式燃焼ヘッドであって、貫通孔、上流端、及び下流端を有するハウジングであって、上流端及び下流端は貫通孔の両側に配置され、燃焼用空気を受け取るように構成されているハウジングと、ハウジング内へ一次燃料流を導入するように構成されたハウジングの上流端に隣接して配置された一次燃料入口と、ハウジング内へ二次燃料流を導入するように構成された一次燃料入口の下流に配置された二次燃料入口と、ハウジングの下流端に固定されたディフューザプレートを備える火炎保持ヘッドであって、ディフューザプレートは複数の開口部、複数のフィン、及びリングを備える火炎保持ヘッドと、火炎保持ヘッドの外表面に固定された拡張部材とを備えている渦流再循環式燃焼ヘッドが提供される。火炎は、作動中は火炎保持ヘッドの径方向に外側へ向かって安定化される。
【0018】
当然のことであるが、以下にさらに極めて詳細に議論される前述の概念及び追加概念の全ての組み合わせは(そのような概念が相互に矛盾しないものとして)、本明細書中に開示された発明の主題の一部であると考えられる。特に、本開示の最後にある特許請求の範囲に記載された主題の全ての組み合わせは、本明細書中に開示された発明の主題の一部であると考えられる。
【0019】
本発明の上記及びその他の態様は、後述される実施形態から明白となろう。
前述の内容は、添付図面に示す本開示の例示の実施形態についての以降のより詳細な説明から明白となり、添付図面において、同様の参照符号は様々な図面の全体を通じて同一の部品を指している。図面は必ずしも原寸に比例するものではなく、むしろ本開示の実施形態を説明するにあたって強調がなされている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の例示の実施形態によるバーナ用の渦流再循環式燃焼ヘッドの斜視図。
【
図2】本開示の例示の実施形態による
図1の渦流再循環式燃焼ヘッドの右側端正面図。
【
図3】本開示の例示の実施形態による
図1の渦流再循環式燃焼ヘッドの左側端正面図。
【
図4】本開示の例示の実施形態による概ね
図2の線A−Aに沿った
図1の渦流再循環式燃焼ヘッドの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の例示の実施形態について説明を続ける。
ここで図面を参照するが、図中、同様の参照数字は、全体を通じて同様の部分を指しており、低濃度の一酸化炭素及び窒素酸化物排出物しか生成しないと同時に改善された火炎安定性を提供するバーナ用の渦流再循環式燃焼ヘッド100を示している。図面は、上向きに配置された一次及び二次燃料入口を備える渦流再循環式燃焼ヘッドを示しているが、作動中、渦流再循環式燃焼ヘッドは一次及び二次燃料入口を下向きに又は任意の向きにして配置されることを理解すべきである。
【0022】
実施形態によるバーナ用の渦流再循環式燃焼ヘッド100の斜視図が
図1に示されている。
図2は、
図1の渦流再循環式燃焼ヘッドの右側端の正面図である。
図3は、
図1の渦流再循環式燃焼ヘッドの左側端の正面図である。
図4は、概ね
図2の線A−Aに沿った、
図1の渦流再循環式燃焼ヘッドの断面図である。下記は
図1〜4に基づいて考えるべきである。渦流再循環式燃焼ヘッド100は、概して、入口フランジ102であって入口フランジの穴を介してボルトで燃焼空気ファン又はブロワと接続されるように構成された入口フランジ、ハウジング104、燃焼室と接続されるように構成された取付けフランジ106、火炎保持ヘッド108、並びに一次及び二次燃料入口110、112を備えている。取付けフランジ106の位置は様々なバーナ/燃焼室の構成に従って変更できることを理解すべきである。例えば、実施形態において、取付けフランジは、図中に示された位置よりもさらに下流に配置することができる。任意の適切な配置が使用される。
【0023】
ハウジング104の上流端に配置された入口フランジ102は、燃焼空気ファン又はブロワに接続され、酸化剤は、燃焼空気ファンを通してハウジング104に供給される。
一次燃料流は、一次入口110においてバーナへ、かつハウジング104の貫通孔を通る燃料チューブ114を通り、マニホールド115を通り、そして一次燃焼ゾーン内へと送達され、一次燃焼ゾーンにおいて酸化剤と混合して一次火炎を生じる。
【0024】
二次燃料流は、二次入口112においてバーナへ、かつハウジング104の貫通孔を通り、マニホールド116を通り、複数の周方向に配置された燃料噴射器118の中へと送達される。燃料噴射器は、空気を含むプレナムの内部でハウジング104の外表面128の周りに配置されている。二次燃料流は、空気と混合して、二次空気及びガスの流れを提供する。
【0025】
火炎保持ヘッド108は、入口フランジ102が配置されるハウジングの上流端の反対側にあるハウジング104の下流端に固定されている。火炎保持ヘッド108は、複数のフィン120と、複数の開口部122と、ボルト用の複数の取付けボルト開口部123と、リング124とを備えたディフューザプレート109を備えている。ディフューザプレート109は、燃焼ヘッドの垂直軸に沿って配置されている。実施形態において、複数の開口部122は、取付けボルト開口部123、リング124、及び複数のフィン120に対して径方向に外側に配置されている。複数のフィン120は、リング124並びに開口部122及び123に対して径方向に内側に配置されている。換言すれば、開口部122及び123、複数のフィン120、並びにリング124は同心円状に配置されている。
【0026】
実施形態によれば、複数のフィン120の各々は、燃焼ヘッドの垂直軸に対して5〜50度の角度に配置されている。実施形態によれば、複数のフィン120の各々は、垂直軸に対して20〜60度の角度に配置されている。実施形態によれば、複数のフィン120の各々は、垂直軸に対しておよそ30度の角度に配置されている。実施形態によれば、複数のフィン120の各々は、ほぼ長方形状に形成されている。しかしながら、これに代えて、任意の適切な構成及び形状のうち少なくともいずれか一方を使用してもよい。実施形態によれば、複数のフィン120は、周方向に等間隔に配置されている。8個のフィンが図中の実施形態に示されているが、これに代えて、追加のフィン又はより少数のフィンを使用してよいことを理解すべきである。例えば、例示の実施形態では、周方向に等間隔に配置された4つのフィンがある。実施形態によれば、複数のフィン120の各々のフィンは、第1端及び第2端を備え、第1端は自由であり、第2端はリング124に隣接している。各々のフィンは、安定性を高めるためにリング124に固定されてもよく、かつリング124に当接していてもよい。「自由である」という用語は、別の物理的構造物に接続されないことを意図している。実施形態によれば、複数のフィン120は、レーザー切断、プラズマ切断、又は任意の他の適切な方法により開口部を形成することによって、鋼鉄のディフューザプレート109の中に形成される。開口部を形成した後、ブレードが、例えば、溶接又は任意の他の適切な方法により、開口部の上部に固定される。
【0027】
実施形態によれば、着火源130は、リング124及び複数のフィン120より径方向に外側に提供されている。実施形態によれば、一次及び二次燃料入口110、112は、着火源130から周方向におよそ180度に配置されている。例示の実施形態では、スキャナチューブ132のための穴部が、着火源130からおよそ90度に配置されている。別の例示の実施形態では、スキャナチューブ132が、着火源130から周方向に90度未満に配置されている。別の例示の実施形態では、スキャナチューブ132が、着火源130から周方向に(時計回り又は反時計回りの方向のいずれかに)90〜180度に配置されている。
【0028】
実施形態によれば、火炎スキャナチューブのための穴部132が、火炎保持ヘッド108の内部に提供されている。実施形態では、火炎スキャナチューブが、リング124及び複数の開口部122よりも径方向に内側にありかつ複数のフィン120に近接した穴部132の内部に配置されている。実施形態では、穴部及びスキャナチューブ132が、複数のフィン120のうち2つの隣接するフィンの間に配置されている。スキャナそれ自体は、熱いFGRガスにより破壊されるため、ハウジング内部に配置しない。その代りに、スキャナは、スキャナの角度を固定すると共にスキャナを適切に配置するため、ハウジングの後部から(図示せず)穴部132においてディフューザプレート109を通して伸びるUVスキャナチューブ(図示せず)の内部に配置されている。チューブはハウジングの後部で任意の適切な位置で固着可能であることを理解すべきである。例えば、実施形態において、UVスキャナは、一次及び二次燃料入口110、112から周方向に(
図2に示されるように反時計回り方向に)180度未満のチューブ内に配置されている。穴部及びスキャナチューブ132を、同様に時計回り方向に、燃料入口110、112から周方向に180度未満に配置可能であることも理解すべきである。例示の実施形態では、穴部及びスキャナチューブ132が、時計回り又は反時計回りのいずれかの方向に、燃料入口110、112から周方向に90度未満に配置されている。
【0029】
図2では、8個の取付けボルト開口部123よりも径方向に外側に配置された20個の開口部122が存在する。しかしながら、追加の数の又はより少数の、開口部及びボルト開口部のうち少なくともいずれか一方を、使用することも可能である。例示の実施形態では、開口部122には、接線方向のオリフィス125が埋め込まれている。接線方向のオリフィス125を備える例示の実施形態では、接線方向のオリフィスのうち4分の1、半分、又は4分の3(又は任意の他の適切な数の接線方向のオリフィス)を使用することが可能である。例示の実施形態では、各々の接線方向のオリフィス125が、パイロットゾーンにガスを供給してバーナに着火するために配置されている。各々の接線方向のオリフィス125は、中空の本体と、開孔部を備えた頭部とを備えている。個々の接線方向のオリフィスの中空の本体の外面を取り巻いているのは、中空の本体を開口部122の内部に固定するために使用される外ねじ部である。例示の実施形態では頭部は六角形であるが、任意の適切な形状を代わりに使用することが可能である。作動中、一次燃料流は、最初に中空の本体を通り抜け、次に頭部の開孔部を通り抜けることにより、各々の接線方向のオリフィスを通過する。例として六角形の頭部を使用すると、頭部の開孔部は、中空の本体の中央から頭部の6つの側面のうち1つを通って伸びるように配置されている。よって、頭部の開孔部は一次燃料流をリング124から径方向に外側に離れるように方向転換させる。例示の実施形態では、頭部の開孔部は、中空の本体に対しておよそ90度に配置されている。
図1では、六角形の頭部の例示の開孔部127が示されている。頭部の開孔部127は、中空の本体よりもはるかに小さく、一次燃料流が制御された方式で方向転換される。例えば、接線方向のオリフィス125は長さが14.684mm(0.578”)であって、直径5.159mm(0.203”)の中空の本体と直径1.5748mm(0.062”)の頭部の開孔部とを備え、頭部の幅は9.525mm(0.375”)である。ガスを真っすぐに送る従来の開口部とは異なり、本明細書中に記載された接線方向のオリフィスは、ガスを一次ゾーンの内側に保ちながらガスを径方向に方向転換し、それにより着火を開始する。接線方向のオリフィス125は、中空の本体を形成するためにボルトから中心部を掘削し、かつ頭部において接続する側孔を掘削することにより、作製可能である。別例の実施形態では、頭部の別の側面に追加の開孔部、又は頭部の同じ側面に追加の開孔部があることも可能である。
【0030】
実施形態によれば、火炎保持ヘッド108は、火炎保持ヘッド108の外表面128に固定された拡張部材126を備えている。拡張部材126は、火炎保持ヘッド108の下流端に配置されている。例示の実施形態では、拡張部材126は6.35mm((1/4)”)の円形ストック材料の円柱状リングである。例示の実施形態では、拡張部材126は9.525mm((3/8)”)の円形ストック材料の円柱状リングである。しかしながら、代わりに任意の適切な別例の形状及び大きさが使用されてもよい。例えば、直方体状のリングが使用されてもよい。例示の実施形態では、高さ9.525mm((3/8)”)及び長さ12.7mm((1/2)”)の直方体状リングが提供される。別の例示の実施形態では、高さ6.35mm((1/4)”)及び長さ9.525mm((3/8)”)の直方体状リングが提供される。
【0031】
作動中、ディフューザプレート109は、ディフューザプレートを通って流れる燃焼用空気について混合回転を生成し、かつ再循環が中央の一次空気によりバーナのノーズ部の下流に生成される(
図4に矢印Aで示されている)。再循環は、火炎保持ヘッド108の外表面128の外側に導入された二次空気及びガスの流れにより、燃焼室のベース壁に隣接した燃焼室内部でも生成される。そのような再循環は、バーナのノーズ部の上流かつバーナより径方向に外側に位置している(
図4に矢印B及びCで示されている)。再循環した二次空気及びガスの流れは、一次火炎によって着火される。火炎保持ヘッド108のディフューザプレート109は、好都合なことに渦流式かつ一様な回転を提供する。火炎保持ヘッド108の外表面128に固定された拡張部材126は、好都合なことに渦流を安定させる。バーナの一次ゾーンに保持されることと対照的に、作動時の火炎は、バーナのノーズ部の径方向に外側に向かって安定する。例示の実施形態では、作動時の火炎が、バーナのノーズ部とボイラの燃焼室の壁との間で安定する。作動時、火炎保持ヘッド108の外側で始まり燃焼室の壁に向かって外側へと延びる
図4に示されるような火炎境界線を有する火炎が生成される。
【0032】
実施形態によれば、本明細書中に記載の渦流再循環式燃焼ヘッドを備えたバーナは、燃焼室に結合された熱交換器を備えている。燃焼排ガス再循環システムは、熱交換器の熱スタックと併用されること、燃焼排ガスをバーナの風箱に戻るように再循環させるように構成されることが可能である。再循環した燃焼排ガスは、燃料/空気混合物を希釈し、かつサーマルNO
xの機構を抑制することにより、NOx排出量を削減する。再循環した燃焼排ガスは、さらに、一次火炎ゾーンにおける酸素濃度を低下させることにより、NO
xの形成を低減する。ハウジング104の中への燃焼用空気の流れを制御するため、ダンパーをバーナの風箱に近接して配置することができる。
【0033】
FGRを備えた渦流再循環式燃焼バーナヘッドを、米国ペンシルベニア州ランカスターにあるバーナム・コマーシャル(Burnham Commercial)から入手可能な4S‐350モデルの4パス式ウォーターバック・スコッチボイラにおいて試験した。この特定のバーナは、垂直軸に対して30度屈曲せしめられた8つのスロットを有する平らなディフューザプレート109を備えていた。平らなスロット付きディフューザ109は、180.975mm(7.125”)の12Gaディフューザリングを備えていた。スロットは、空気を前進方向に移動しないように方向付けるために、76.2mm(3”)×19.05mm((3/4)”)のフィン120で覆われていた。外側のディフューザリングの高さは、25.4mm(1”)であった。二次ガスチューブには、オリフィスが無い。バーナの正面(一次)は、9個の#51×1オリフィス及び10個のブランクを備えていた。8本のボルトが一次ゾーンに設置された。ワッシャーはディフューザの背後に設置されず、代わりにガスケットが使用された。長さ958.85mm(37.75”)に切断された6.35mm((1/4)”)のロッド126が丸められて、火炎を外側に向かって押し出すために一次ゾーンの先端に溶接された。
【0034】
弱い火で上記の設定を使用すると、一次ゾーンから二次ゾーンへのストリークが観察されて、完全な一次及び二次ゾーンが接触していることを示している。よって、火炎は、この例示の実施形態において付着している。火炎境界線は、拡張部材126から燃焼室の壁に向かって径方向に外側へ(下流方向に角度をなして)広がる。さらに、火炎は、この例示の実施形態の作動中に移動しない。次の表には、上記の設定の試験の結果が含まれている。以下の表中に示されるように、ポイント7では、NO
x排出の量は0.0ppmO
2である。
【0035】
【表1】
旧キワニー・ボイラ・カンパニー(Kewanee Boiler Company)のボイラ(モデルLM888)を使用する別の実施例の試験では、次の例示のパラメータが使用された。ポイント1では、MBTU/hでの総仕事率(Total Rate)は3,329,802であり、次のアクチュエータが次の位置に配置されている。すなわち、二次燃料のバタフライの配置は22.2度、空気のバタフライの配置は12.9度、一次燃料のバタフライの配置は6度、及びFGRのバタフライの配置は9.5度である。さらにポイント1では、次の作動圧が使用される。すなわち、ヘッドにおける一次ガス圧力は12.2水柱インチ(IWC)(3035.848 Pa)、ヘッドにおける二次ガス圧力は0.7IWC(174.188 Pa)、ブロワハウジング圧力は1.7IWC(423.028 Pa)、ボイラ燃焼室圧力は0.06IWC(14.9304 Pa)、及びファン入口圧力は−16.8IWC(-4180.512 Pa)である。ブロワハウジングのO
2(%)は17.3であり、ブロワハウジングの温度は53.3℃(華氏128度)である。この同じ例示の実施形態において、ポイント1では、周囲温度は18.9℃(華氏66度)であり、スタック温度は171℃(華氏339度)である。ポイント1におけるこれらのパラメータを用いると、O
2排出の量は3.7であり、CO排出の量は3%O
2補正で8ppmであり、NO
x排出の量は3%O
2補正で3.5ppmであり、CO
2排出の量は9.6%である。
【0036】
キワニーのLM888ボイラを使用する例示の実施形態では、風箱中のO
2の比率(%)が15〜16%の範囲にある場合、NO
x排出量は3%O
2補正で4.8〜5ppmの範囲にある。同じ例示の実施形態において、風箱中のO
2の比率(%)が上昇すると(17〜20%の範囲)、NO
x排出量は3%O
2補正で2〜3ppmの範囲のレベルに減少する。
【0037】
いくつかの本発明の実施形態について本明細書中で説明してきたが、当業者であれば、機能を実施するため、並びに/又は、結果及び本明細書中に記載された1以上の利点のうち少なくともいずれかを得るための、様々な他の手段及び/又は構造を容易に予見するであろう。また、そのような変形形態及び改変形態のうち少なくともいずれかはそれぞれ、本明細書中に記載された本発明の実施形態の範囲内にあると考えられる。より一般的には、当業者は容易に理解するであろうが、本明細書中に記載された全てのパラメータ、寸法、材料、及び構成は典型例であるように意図されており、また実際のパラメータ、寸法、材料、及び構成のうち少なくともいずれかは、本発明の教示が使用される具体的な1又は複数の適用に応じて変化することになる。当業者であれば、本明細書中に記載された具体的な本発明の実施形態の数多くの等価物を認識するであろうし、又は等価物を日常的な実験作業のみを用いて確認可能であろう。したがって、当然のことであるが、前述の実施形態は単に例として提示されるものであり、また添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内において、本発明の実施形態は、具体的に説明されて特許請求の範囲に記載された通りとは別のかたちで実施されることもできる。本開示に記載の本発明の実施形態は、本明細書中に記載された個々の特徴、システム、物品、材料、及び方法のうち少なくともいずれかに関する。加えて、2以上のそのような特徴、システム、物品、材料、及び方法のうち少なくともいずれかの任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、及び方法のうち少なくともいずれかが相互に矛盾しない場合、本開示の本発明の範囲内に含まれる。