特許第6924364号(P6924364)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6924364
(24)【登録日】2021年8月4日
(45)【発行日】2021年8月25日
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/13 20060101AFI20210812BHJP
【FI】
   B41J29/13
【請求項の数】13
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-73800(P2017-73800)
(22)【出願日】2017年4月3日
(65)【公開番号】特開2018-180026(P2018-180026A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年3月10日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】東郷 克美
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 久幸
(72)【発明者】
【氏名】代田 健一
【審査官】 上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−088854(JP,A)
【文献】 特開2009−115928(JP,A)
【文献】 特開2011−227370(JP,A)
【文献】 特開2004−235831(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0043599(US,A1)
【文献】 米国特許第06588624(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に記録を行う記録手段と、
傾斜姿勢でセットされた媒体を前記記録手段に向けて給送する給送手段と、
前記記録手段及び前記給送手段を備える装置本体と、
回動軸を中心に回動する開閉体であって、前記記録手段の配置領域の上部を開閉する開閉体と、
前記開閉体が閉じる際に当該開閉体に減衰力を付与する複数のダンパーと、を備え、
前記回動軸及び前記複数のダンパーは、前記給送手段の上部領域に配置される取付部材に設けられ、前記開閉体及び前記複数のダンパーが前記取付部材を介して前記装置本体に取り付けられ
前記給送手段は、媒体を給送する給送ローラーを備えて成り、
前記取付部材の少なくとも一部が、前記給送ローラーの上部に位置する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、
前記取付部材は、前記回動軸の軸方向に沿った方向である装置幅方向に延設され、
前記開閉体は、前記装置幅方向に沿った複数の位置で前記取付部材により回転可能に支持され、
前記複数のダンパーは、前記装置幅方向に沿った複数の位置で前記取付部材に取り付けられ、
前記開閉体及び前記複数のダンパーを前記取付部材に取り付けてカバーアセンブリとし、前記カバーアセンブリを前記装置本体に取り付け可能に構成されている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記録装置において、前記取付部材は、上方側が開口する箱状に形成されている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の記録装置において、前記取付部材は、前記装置幅方向に沿って複数のダンパー取付部を備え、
前記ダンパー取付部は、前記ダンパーを前記装置幅方向のうちの一方向である第1方向に沿ってスライドさせることで前記ダンパーを取り付ける様に構成されており、
前記カバーアセンブリは、前記取付部材の上部を覆う保持部材を備え、
前記保持部材は、前記取付部材に取り付けられた状態で前記ダンパーに対し前記第1方向とは反対の第2方向に位置するリブを有し、前記リブにより前記ダンパー取付部からの前記ダンパーの脱落が規制される、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の記録装置において、前記記録手段を構成する記録ヘッドを備えるとともに前記装置幅方向に往復動するキャリッジと、
前記キャリッジの移動領域と前記給送手段の配置領域との間に位置する、前記キャリッジの移動方向に延設されたセンターフレームと、
前記センターフレームの両サイドに設けられる二つのサイドフレームと、を備え、
前記取付部材が、二つの前記サイドフレームに固定されている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の記録装置において、前記記録手段を構成する記録ヘッドを備えるとともに前記装置幅方向に往復動するキャリッジと、
前記キャリッジの移動領域と前記給送手段の配置領域との間に位置する、前記キャリッジの移動方向に延設されたセンターフレームと、を備え、
前記回動軸の少なくとも一部及び前記ダンパーの少なくとも一部が、前記センターフレームの上部に位置している、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項7】
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の記録装置において、前記記録手段を構成する記録ヘッドを備えるとともに前記装置幅方向に往復動するキャリッジと、
前記キャリッジの移動領域と前記給送手段の配置領域との間に位置する、前記キャリッジの移動方向に延設されたセンターフレームと、を備え、
前記取付部材の少なくとも一部が、前記センターフレームの上部に位置している、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項8】
請求項7に記載の記録装置において、前記取付部材が、前記センターフレームに固定されている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項9】
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の記録装置において、前記開閉体は、本体部と、前記本体部と前記開閉体の回動中心とを接続するアーム部と、を備え、
前記取付部材の上部には、前記開閉体とともに装置上面を構成する天面部材が設けられ、
前記アーム部は、前記開閉体の開閉に際し前記天面部材の端部を避ける形状を成す、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項10】
請求項9に記載の記録装置において、前記記録手段を構成する記録ヘッドを備えるとともに前記装置幅方向に往復動するキャリッジと、
前記キャリッジの移動領域と前記給送手段の配置領域との間に位置する、前記キャリッジの移動方向に延設されたセンターフレームと、を備え、
前記アーム部の少なくとも一部が、前記センターフレームの上部に位置する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項11】
請求項10に記載の記録装置において、前記センターフレームに対し前記記録手段の側に、前記キャリッジを移動方向にガイドするガイドフレームを備え、
前記ガイドフレームの上端部は、前記センターフレームの上端部より高い位置にあり、
前記アーム部の少なくとも一部が、高さ方向において前記ガイドフレームの上端部と前記センターフレームの上端部とで形成された段差内に位置する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項12】
媒体に記録を行う記録手段と、
傾斜姿勢でセットされた媒体を前記記録手段に向けて給送する給送手段と、
前記記録手段を構成する記録ヘッドを備えるとともに装置幅方向に往復動するキャリッジと、
前記キャリッジの移動領域と前記給送手段の配置領域との間に位置する、前記キャリッジの移動方向に延設されたセンターフレームと、
前記記録手段の配置領域の上部を開閉する開閉体と、
前記開閉体が閉じる際に当該開閉体に減衰力を付与するダンパーと、を備え、
前記開閉体及び前記ダンパーは、前記給送手段の上部領域に配置される取付部材を介して取り付けられ、
前記開閉体は、本体部と、前記本体部と前記開閉体の回動中心とを接続するアーム部と、を備え、
前記取付部材の上部には、前記開閉体とともに装置上面を構成する天面部材が設けられ、
前記アーム部は、前記開閉体の開閉に際し前記天面部材の端部を避ける形状を成し、
前記アーム部の少なくとも一部が、前記センターフレームの上部に位置し、
前記センターフレームに対し前記記録手段の側に、前記キャリッジを移動方向にガイドするガイドフレームを備え、
前記ガイドフレームの上端部は、前記センターフレームの上端部より高い位置にあり、
前記アーム部の少なくとも一部が、高さ方向において前記ガイドフレームの上端部と前記センターフレームの上端部とで形成された段差内に位置する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項13】
請求項12に記載の記録装置において、前記給送手段は、媒体を給送する給送ローラーを備えて成り、
前記取付部材の少なくとも一部が、前記給送ローラーの上部に位置する、
ことを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体に記録を行う記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリやプリンター等に代表される記録装置には、記録ヘッドを備えるキャリッジの移動領域上部に開閉体が設けられる場合がある。開閉体は、単なるカバーである場合や、特許文献1及び特許文献2に示される様にスキャナーである場合もある。
特許文献1記載の構成では、スキャナー部12の開いた状態をアーム状の部材(摺動部材77)で保持する構成が開示されている。また、特許文献2には、ダンパーによってヒンジを構成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−56504号公報
【特許文献2】特開2006−23575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開閉体が特に上記特許文献1記載の様にスキャナーのような重量物である場合、閉じる際にアーム状の部材の係合を外す必要があり操作が大変であるとともに、閉じる際に自重にまかせて閉じてしまうと衝撃が大きく、耳障りな衝突音や破損が生じる虞がある。その為、引用文献2のような開閉体の閉動作を減衰させるダンパーを設けることが好ましい。
しかしながらダンパーを設けると製品サイズが大きくなるというデメリットがある。また、製品そのもののサイズのみならず、製品の使用時に必要なスペースを抑えたいという要請もあり、具体的には高さの低い設置空間に製品を置いた場合でも設置空間から製品を取り出すことなく開閉体を開きたいという要請もある。
【0005】
そこで本発明はこの様な状況に鑑み成されたものであり、その目的は、開閉体及び当該開閉体が閉じる際に減衰力を付与するダンパーを備える構成において、装置の大型化抑制と使用時スペースの抑制との双方を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為の、本発明の第1の態様に係る記録装置は、媒体に記録を行う記録手段と、傾斜姿勢でセットされた媒体を前記記録手段に向けて給送する給送手段と、前記記録手段の配置領域の上部を開閉する開閉体と、前記開閉体が閉じる際に当該開閉体に減衰力を付与するダンパーと、を備え、前記開閉体及び前記ダンパーは、前記給送手段の上部領域に配置される取付部材を介して取り付けられることを特徴とする。
【0007】
傾斜姿勢でセットされた媒体を記録手段に向けて給送する給送手段の上部は空き領域が多い。そこで本態様では、前記開閉体及び前記ダンパーを、前記給送手段の上部領域に配置される取付部材を介して取り付ける。従ってこれにより装置の大型化を抑制できる。
【0008】
また、前記取付部材は傾斜姿勢でセットされた媒体を前記記録手段に向けて給送する給送手段の上部に位置するから、前記給送手段から送り出された媒体の給送方向に沿った方向を装置奥行き方向としたときに、前記取付部材は、装置奥行き方向において装置背面側端部ではなく、それよりも装置前方側(前記記録手段側)に位置することとなる。
そして前記開閉体が前記取付部材を介して開閉可能に取り付けられるため、前記開閉体の回動中心もまた、前記取付部材に位置することとなり、つまり前記開閉体の回動中心も装置背面側端部ではなくそれよりも装置前方側に位置することとなる。
以上により、前記開閉体の回動中心と回動自由端との距離が縮まり、前記開閉体を開いた際に、当該開閉体の回動自由端の高さを低くすることができる。従って高さの低い設置スペースに装置を設置した場合でも、設置空間から装置を取り出すことなく前記開閉体を開くことができ、或いは完全に開くことができない場合でも開き量を確保でき、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0009】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記記録手段を構成する記録ヘッドを備えるとともに装置幅方向に往復動するキャリッジと、前記キャリッジの移動領域と前記給送手段の配置領域との間に位置する、前記キャリッジの移動方向に延設されたセンターフレームと、前記センターフレームの両サイドに設けられる二つのサイドフレームと、を備え、前記取付部材が、二つの前記サイドフレームに固定されていることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、前記センターフレームの両サイドに設けられる二つのサイドフレームに、前記取付部材が固定されているので、前記センターフレーム及び二つの前記サイドフレームで構成されるフレーム体の剛性を高めることができる。
【0011】
本発明の第3の態様は、第1の態様において、前記記録手段を構成する記録ヘッドを備えるとともに装置幅方向に往復動するキャリッジと、前記キャリッジの移動領域と前記給送手段の配置領域との間に位置する、前記キャリッジの移動方向に延設されたセンターフレームと、を備え、前記開閉体の回動軸の少なくとも一部及び前記ダンパーの少なくとも一部が、前記センターフレームの上部に位置していることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、前記キャリッジの移動方向に延設されたセンターフレームの上部に、前記開閉体の回動軸の少なくとも一部及び前記ダンパーの少なくとも一部が位置しているので、装置奥行き方向において前記センターフレームの占有領域と前記回動軸及び前記ダンパーの占有領域とが完全に重畳せず、装置奥行き方向寸法を抑制できる。
【0013】
本発明の第4の態様は、第1の態様において、前記記録手段を構成する記録ヘッドを備えるとともに装置幅方向に往復動するキャリッジと、前記キャリッジの移動領域と前記給送手段の配置領域との間に位置する、前記キャリッジの移動方向に延設されたセンターフレームと、を備え、前記取付部材の少なくとも一部が、前記センターフレームの上部に位置していることを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、前記キャリッジの移動方向に延設されたセンターフレームの上部に、前記取付部材の少なくとも一部が位置しているので、装置奥行き方向において前記センターフレームの占有領域と前記取付部材の占有領域が完全に重畳せず、装置奥行き方向寸法を抑制できる。
【0015】
本発明の第5の態様は、第4の態様において、前記取付部材が、前記センターフレームに固定されていることを特徴とする。
本態様によれば、前記取付部材が、前記センターフレームに固定された構成において、上述の第4の態様の作用効果が得られる。
【0016】
本発明の第6の態様は、第1の態様において、前記開閉体は、本体部と、前記本体部と前記開閉体の回動中心とを接続するアーム部と、を備え、前記取付部材の上部には、前記開閉体とともに装置上面を構成する天面部材が設けられ、前記アーム部は、前記開閉体の開閉に際し前記天面部材の端部を避ける形状を成すことを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、前記開閉体の本体部と回動中心とを接続するアーム部は、前記開閉体の開閉に際し前記天面部材の端部を避ける形状を成すので、前記本体部と前記天面部材の端部とを近づけることができる。その結果、前記開閉体を閉じた状態において前記本体部と前記天面部材の端部との隙間を小さくでき、前記隙間から装置内部への塵埃等の進入を抑制できるとともに、装置の美観も向上させることができる。
【0018】
本発明の第7の態様は、第6の態様において、前記記録手段を構成する記録ヘッドを備えるとともに装置幅方向に往復動するキャリッジと、前記キャリッジの移動領域と前記給送手段の配置領域との間に位置する、前記キャリッジの移動方向に延設されたセンターフレームと、を備え、前記アーム部の少なくとも一部が、前記センターフレームの上部に位置することを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、前記キャリッジの移動領域と前記給送手段の配置領域との間に位置するセンターフレームの上部に、前記アーム部の少なくとも一部が位置するので、装置奥行き方向で前記センターフレームの占有領域と前記アーム部の占有領域とが完全に重畳せず、装置奥行き方向寸法を抑制できる。
【0020】
本発明の第8の態様は、第7の態様において、前記センターフレームに対し前記記録手段の側に、前記キャリッジを移動方向にガイドするガイドフレームを備え、前記ガイドフレームの上端部は、前記センターフレームの上端部より高い位置にあり、前記アーム部の少なくとも一部が、高さ方向において前記ガイドフレームの上端部と前記センターフレームの上端部とで形成された段差内に位置することを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、前記アーム部の少なくとも一部が、高さ方向において前記ガイドフレームの上端部と前記センターフレームの上端部とで形成された段差を利用して配置されているので、スペースの有効利用によって装置の大型化を抑制できる。
【0022】
本発明の第9の態様は、第1から第8の態様のいずれかにおいて、前記給送手段は、媒体を給送する給送ローラーを備えて成り、前記取付部材の少なくとも一部が、前記給送ローラーの上部に位置することを特徴とする。
本態様によれば、前記取付部材の少なくとも一部が、前記給送ローラーの上部に位置する構成において、上述した第1から第8の態様のいずれかと同様な作用効果が得られる。
【0023】
本発明の第10の態様は、第1から第9の態様のいずれかにおいて、前記取付部材に取り付けられると共に、前記取付部材に取り付けられた状態において前記ダンパーを保持する保持部材を備えることを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、前記取付部材に取り付けられると共に、前記取付部材に取り付けられた状態において前記ダンパーを保持する保持部材を備えるので、前記取付部材に前記ダンパーを取り付け、アセンブリ体とした上で当該アセンブリ体を装置本体に組み付ける際に、前記ダンパーの落下を防止でき、組立作業の作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係るプリンターの外観斜視図。
図2】本発明に係るプリンターにおける媒体の搬送経路を示す側断面図。
図3】カバーが開いた状態のプリンターを示す斜視図。
図4】装置本体及びカバーアセンブリの分解斜視図。
図5】カバーアセンブリの斜視図。
図6】取付部材の斜視図。
図7】ダンパーの斜視図。
図8】カバーアセンブリの組立途中の状態を示す斜視図。
図9】カバーアセンブリにおいてカバーと取付部材とをダンパーを介して連結させた状態を示す斜視図。
図10】装置本体にカバーアセンブリが取り付けられた状態を示す斜視図。
図11】装置本体及びカバーアセンブリの装置背面側を示す斜視図。
図12】装置本体及びカバーアセンブリの装置背面側を示す斜視図。
図13】取付部材とケーブルとの関係を示す断面図。
図14】装置本体に取り付けられた状態におけるカバーアセンブリの回動軸周辺の断面図。
図15】ダンパーと天面部材との関係を示す斜視図。
図16】第2の実施例に係るカバーアセンブリを装置本体に取り付けた状態を示す斜視図。
図17】第2の実施例に係るカバーアセンブリの斜視図。
図18】第2の実施例に係るカバーアセンブリにおいてダンパーと保持部材との関係を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施例において同一の構成については、同一の符号を付し、最初の実施例においてのみ説明し、以後の実施例においてはその構成の説明を省略する。
【0027】
図1は本発明に係るプリンターの外観斜視図であり、図2は本発明に係るプリンターにおける媒体の搬送経路を示す側断面図であり、図3はカバーが開いた状態のプリンターを示す斜視図であり、図4は装置本体及びカバーアセンブリの分解斜視図であり、図5はカバーアセンブリの斜視図である。
【0028】
図6は取付部材の斜視図であり、図7はダンパーの斜視図であり、図8はカバーアセンブリの組立途中の状態を示す斜視図であり、図9はカバーアセンブリにおいてカバーと取付部材とをダンパーを介して連結させた状態を示す斜視図であり、図10は装置本体にカバーアセンブリが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【0029】
図11は装置本体及びカバーアセンブリの装置背面側を示す斜視図であり、図12は装置本体及びカバーアセンブリの装置背面側を示す斜視図であり、図13は取付部材とケーブルとの関係を示す断面図であり、図14は装置本体に取り付けられた状態におけるカバーアセンブリの回動軸周辺の断面図であり、図15はダンパーと天面部材との関係を示す斜視図である。
【0030】
図16は第2の実施例に係るカバーアセンブリを装置本体に取り付けた状態を示す斜視図であり、図17は第2の実施例に係るカバーアセンブリの斜視図であり、図18は第2の実施例に係るカバーアセンブリにおいてダンパーと保持部材との関係を示す斜視図である。
【0031】
また、各図において示すX−Y−Z座標系はX方向が記録媒体の幅方向、すなわち装置幅方向を示し、Y方向が記録装置内の搬送経路における記録媒体の搬送方向、すなわち装置奥行き方向を示し、Z方向が装置高さ方向を示している。
【0032】
■■■第1の実施例■■■■
<<<プリンターの概要>>>
図1において、プリンター10の全体構成について説明する。プリンター10は、記録装置の一例として、インクジェットプリンターとして構成されている。プリンター10は、装置本体11を備えている。装置本体11の装置前面側には操作部14が設けられている。操作部14には表示パネルやスイッチ等の操作手段が設けられている。操作部14の−Z方向には、排出トレイ16が設けられている。排出トレイ16は、装置本体11内に収納された状態(図1及び図2)と、装置前面側に突出して装置本体11の前面側に展開した状態(不図示)とを切り換え可能に構成されている。
【0033】
装置本体11において排出トレイ16の−Z方向側には、媒体を収容する媒体収容カセット18が設けられている。本実施例では、媒体収容カセット18は、装置本体11の前面側から装置本体11に対して着脱可能に構成されている。
【0034】
装置本体11の上部には、天面部材20、「開閉体」としてのカバー22及び背面給送口カバー24が設けられている。天面部材20は、装置本体11の−Y方向側端部の上部に配置され、装置本体11の上面の一部を成している。カバー22は、装置本体11の上部において天面部材20に対して+Y方向側に配置されている。カバー22は、装置本体11に対して回動可能に構成され、装置本体11に対して開いた姿勢(図2及び図3)と、閉じた姿勢(図1)とを切り換え可能に構成されている。
【0035】
背面給送口カバー24は、装置本体11の−Y方向側端部に回動可能に配置され、閉じた姿勢(図1)と開いた姿勢(不図示)とを切り換え可能に構成されている。背面給送口カバー24を開くことにより、給送口25が露出し、「給送手段」としての給送ローラー26(後述)へ媒体を装置本体11の背面側から供給することができる。
【0036】
<<<媒体搬送路の概要>>>
図2において、媒体搬送路28について説明する。図2において符号P−1が付された二点鎖線は、媒体収容カセット18から排出トレイ16までの媒体搬送路28に沿って搬送される媒体の経路を示している。装置本体11には、媒体搬送路28に沿って、ピックアップローラー30、反転ローラー32、搬送ローラー対34、「記録手段」としての記録ヘッド36及び排出ローラー対38の順に配置されている。
【0037】
ピックアップローラー30は、媒体収容カセット18の+Z方向側に設けられ、回動軸40を回動支点として回動可能に構成されている。ピックアップローラー30は、媒体収容カセット18に収容された媒体と接することにより、媒体収容カセット18に収容された媒体の最上位の媒体を媒体搬送路28に沿って搬送方向下流側に搬送する。
【0038】
媒体収容カセット18から送り出された媒体は、反転ローラー32により湾曲反転させられ、搬送方向下流側の搬送ローラー対34に送られる。搬送ローラー対34は、反転ローラー32から送られた媒体を、記録ヘッド36と対向する領域に送る。記録ヘッド36は、キャリッジ42の下部に設けられており、−Z方向にインクを吐出可能に構成されている。キャリッジ42は、装置本体11内においてX軸方向に往復動可能に構成されている。記録ヘッド36は、搬送ローラー対34により送られてきた媒体に対してインクを吐出し、媒体の記録面に記録を実行する。記録が実行された媒体は、記録ヘッド36の搬送方向下流側に設けられた排出ローラー対38にニップされて、装置前面側に突出する排出トレイ16に向けて排紙される。
【0039】
図2において、符号P−2が付された一点鎖線は、給送口25から記録ヘッド36へ向けて搬送される媒体の搬送経路を示している。背面給送口カバー24を装置本体11に対して開くと、給送口25が露呈する。給送口25を介して媒体を装置本体11内に差し入れることができる。給送口25の媒体搬送方向下流側には、媒体支持部27が設けられている。媒体支持部27は、給送口25から差し込まれた媒体を傾斜した姿勢で支持する。尚、本実施例において媒体支持部27は、一例として媒体搬送方向下流側部位が給送ローラー26に対して接離する方向に揺動可能なホッパーとして構成されている。
【0040】
媒体搬送方向において媒体支持部27の下流側には、給送ローラー26が設けられている。給送ローラー26の−Z軸方向側において給送ローラー26と対向する位置には、分離ローラー44が設けられている。
【0041】
媒体支持部27に傾斜した姿勢で支持された媒体は、給送ローラー26と分離ローラー44とにニップされて、搬送ローラー対34に送られる。搬送ローラー対34は、給送口25から送られてきた媒体を記録ヘッド36と対向する領域に送る。その後、記録ヘッド36において送られてきた媒体の記録が実行され、排出ローラー対38により、排出トレイ16に向けて排出される。
【0042】
<<<カバーアセンブリについて>>>
図3ないし図14において、カバー22の構成について説明する。図3において、カバー22は、装置本体11の上部において天面部材20の前面側に配置されている。カバー22を装置本体11に対して開くと、キャリッジ42のX軸方向における移動領域が露呈される。尚、図3において、図示を省略しているが、キャリッジ42には、複数のインクカートリッジが着脱可能に装着される。インクカートリッジは、カートリッジの長手方向がX軸方向に沿う姿勢で、キャリッジ42に装着される。さらに、複数のインクカートリッジは、Y軸方向に並んでキャリッジ42に装着される。
【0043】
図4及び図5において、装置本体11の上部には、カバーアセンブリ46が取り付けられる。カバーアセンブリ46は、カバー22と、取付部材48と、複数のダンパー50と、回動軸52とを備えている。
【0044】
図5において、カバー22は、装置本体11の上部の一部を覆うことができる平面状に形成された本体部22aと、本体部22aにおいて取付部材48の側(図4において−Y軸方向側の端部、図5では−Z軸方向側の端部)の端部22bには、本体部22aから突出する、複数のアーム部22cが形成されている。複数のアーム部22cは、X軸方向において間隔をおいて適宜配置されている。
【0045】
図8及び図9において、アーム部22cは、本体部22aの取付部材48側の端部22bの+Y方向側(カバー22が閉じた姿勢では端部22bの下部となる)から取付部材48側(図8及び図9における−Z方向側)に突出して延び、その先端部22dは向きを変えて−Y方向側に延びている。先端部22dには、回動軸52が挿入されている。尚、図8及び図9においてカバー22は、取付部材48に対して開いた姿勢を取っている。
【0046】
図6において、取付部材48は、X軸方向に延設され、+Z方向側が開口する箱状に形成された基体部48aを備えている。基体部48aの+Y軸方向側端部には、X軸方向に適宜間隔をおいて、複数のダンパー取付部48bが設けられている。さらに、基体部48aの+Y軸方向側端部において、X軸方向両端部には、軸受部48cが設けられている。
【0047】
図7は、本実施例におけるダンパー50を示している。本実施例においてダンパー50は、一例としてダンパー本体50aと、リブ50bと、ローター50cとを備えている。ダンパー本体50aは、一例として円柱状に形成されている。リブ50bは、ダンパー本体50aからダンパー本体50aの半径方向に突出するように構成されている。ローター50cは、X軸方向に延びる棒状部材であって、一旦側がダンパー本体50a内に挿入され、他端側はダンパー本体50aから突出している。
【0048】
本実施例において、ダンパー50は、一例として公知のロータリーダンパーとして構成されている。ダンパー本体50aとローター50cとの間には、一例として液体が充填されており、液体(油等)の粘性抵抗により、ダンパー本体50aに対するローター50cの回転運動に減衰力(制動力)が作用するように構成されている。尚、ダンパー50は、一例として液体を利用するものとしたが、気体を利用するものや、バネ等の付勢手段を利用するものであってもよい。また、ダンパー50は、ロータリーダンパーだけでなく、揺動ダンパー等、回転運動に減衰力(制動力)を与える構成であってもよい。
【0049】
図8及び図9において、カバーアセンブリ46の組立について説明する。カバー22のアーム部22cの先端部22dと取付部材48の軸受部48cとを位置合わせした後、回動軸52を先端部22d及び軸受部48cに挿入し、カバー22と取付部材48とを回動可能に連結する。
【0050】
次いで、ダンパー50の取付について説明する。図8において、ダンパー取付部48bには凹部48dが設けられている。凹部48dの形状は、ダンパー50のリブ50bの形状に対応している(図14)。一例として、ダンパー取付部48bの−X方向側からダンパー50をダンパー取付部48b側にスライドさせる。この際、リブ50bが凹部48dと嵌合するように位置合わせを行いつつ、ダンパー取付部48b内にダンパー50を挿入する。さらに、ダンパー50のローター50cは、アーム部22cの先端部22dに圧入される。これにより、カバーアセンブリ46の組立が完了する。尚、本実施例では、カバー22と取付部材48との間に複数のダンパー50が配置されている。その結果、カバー22と取付部材48との間には、複数のダンパー50の減衰力(制動力)が作用するようになる。
【0051】
<<<カバーアセンブリの装置本体への取り付けについて>>>
図10及び図11において、装置本体11は、センターフレーム54(図11)と、サイドフレーム56A、56Bとを備えている。図2に示すように、センターフレーム54はY軸方向において給送ローラー26とキャリッジ42との間に配置されている。センターフレーム54は、キャリッジ42の移動方向であるX軸方向に延設されている。サイドフレーム56A、56Bは、X軸方向においてセンターフレーム54の両サイドに接続されている。本実施例では、カバーアセンブリ46は、装置本体11の上部においてサイドフレーム56A、56Bを介して装置本体11に取り付けられている。
【0052】
具体的には、図9においてカバーアセンブリ46の取付部材48の基体部48aのX軸方向両端部には、取付部48eが形成されている。取付部48eは、締結部材58(図10)が挿入可能に構成されている。図10及び図11に示すように、取付部材48は、サイドフレーム56A、56Bの上部に取付部48eを当接させた状態で締結部材58によりサイドフレーム56A、56Bに固定される。その結果、サイドフレーム56A及びサイドフレーム56Bは、センターフレーム54だけでなく、取付部材48にも固定されるこれにより、センターフレーム54、サイドフレーム56A及びサイドフレーム56Bにより構成されるフレーム体の剛性を高めることができる。尚、本実施例において締結部材58は一例としてねじとして構成したが、ボルト等であってもよい。
【0053】
<<<装置本体に対する取付部材の位置について>>>
図2及び図14において、装置本体11にカバーアセンブリ46が取り付けられた状態におけるカバー22及び取付部材48と装置本体11との関係について説明する。図14において、センターフレーム54の+Y軸方向側には、ガイドフレーム60が設けられている。ガイドフレーム60は、X軸方向に延設されており、キャリッジ42のX軸方向への移動をガイドする。本実施例において、ガイドフレーム60の上端部60aのZ軸方向における高さは、センターフレーム54の上端部54aの高さよりも高く設定されている。
【0054】
図2において、カバーアセンブリ46の取付部材48は、Y軸方向において給送ローラー26の上部領域(+Z方向側)に配置されている。さらに、図14において取付部材48の少なくとも一部、具体的には、ダンパー取付部48b及び軸受部48cが、Y軸方向においてセンターフレーム54の上方(+Z方向側)に位置している。さらに、ダンパー50の少なくとも一部、回動軸52(図14破線部)の少なくとも一部及びアーム部22cの少なくとも一部は、センターフレーム54の上部(+Z方向側)に位置している。
【0055】
これにより、Y軸方向においてセンターフレーム54の占有領域と、取付部材48、ダンパー50、回動軸52及びアーム部22cの占有領域とをオーバーラップさせることができるので、Y軸方向の寸法を抑制できる。
【0056】
図14において、符号22−1が付された二点鎖線部は、カバー22が装置本体11に対して閉じた状態を示している。符号22b−1はカバー22の閉じた状態における端部22bを示し、符号22c−1はカバー22の閉じた状態におけるアーム部22cを示している。カバー22が装置本体11に対して閉じた状態においてアーム部22c(符号22c−1が付された二点鎖線部を参照)の少なくとも一部は、Z軸方向においてセンターフレーム54の上端部54aとガイドフレーム60の上端部60aとで形成された段差内に位置している。その結果、前記段差を利用してアーム部22cの一部を配置することができるので、スペースを有効活用することができ、Z軸方向の寸法を抑制できる。
【0057】
さらに、カバー22が閉じた状態において、アーム部22cは天面部材20の前端部20aを避ける形状に形成されている。具体的には、アーム部22cは端部22bの下部から−Y方向側に延びて+Z方向側に向きを変えて回動軸52に取り付けられるように形成されている。カバー22が閉じた状態では、アーム部22cは前端部20aを避けて、前端部20aの−Z方向側に位置している。カバー22を閉じた状態(符号22−1が付された二点鎖線部)から開いた状態(図14実線部)へと回動させた際、アーム部22cは天面部材20の前端部20aを避ける形状に形成されているので、アーム部22cと前端部20aとが干渉しない。
【0058】
その結果、カバー22の本体部22aを天面部材20の前端部20aに近づけることができ、本体部22aと前端部20aとの隙間62(図14)を小さくできる。これにより、隙間62から装置本体11内への塵芥の侵入を抑制、あるいは低減できる。さらに隙間62を小さくできるので、装置本体11の上面を形成する天面部材20とカバー22とが一体的に見え、装置の美観を向上させることができる。
【0059】
図2図3及び図14に示すように、カバー22の回動軸52は、Y軸方向において天面部材20の前端部20a寄りに位置している。したがって、カバー22の回動軸を装置本体11の−Y方向側端部に設けた場合よりもカバー22の本体部22aのY軸方向の長さを短くすることができる。具体的には、カバー22の前端部(自由端部)22eと回動軸52までのY軸方向における長さが短くなる。これにより、カバー22を閉じた状態(図1)から開いた状態(図3)へと切り換えた際、カバー22の前端部22eのZ軸方向における高さを低くすることができる。
【0060】
その結果、プリンター10を高さの低い設置スペースに設置した場合でも、設置スペースからプリンター10を引き出さずに、カバー22を開閉することができ、或いは完全にカバー22を開くことができない場合でも、カバー22の開き量が確保されるので、ユーザーが装置本体11内のキャリッジ42の移動領域内に手を差し入れることができ、移動領域内に詰まった媒体を取り除くことを容易にできる。
【0061】
図15において、天面部材20には、リブ20bが複数設けられている。複数のリブ20bは、装置本体11にカバーアセンブリ46及び天面部材20が取りつけられた状態において、ダンパー50のローター50cが設けられた側と反対の側に対応する位置にそれぞれ配置されている。これにより、リブ20bは、ダンパー取付部48b及びアーム部22cの先端部22dからダンパー50が脱落することを防止している。
【0062】
<<<カバーアセンブリ周辺のケーブル配線について>>>
図12図13図15において装置本体11のカバーアセンブリ46周辺のケーブルの配線について説明する。取付部材48の基体部48aの下面及び−Y方向側端部を覆うように板金部材64が設けられている。板金部材64は、金属材料で形成されている。
【0063】
図12において+X方向側のサイドフレーム56Bには、図示しない制御部が設けられている。制御部から延びるケーブル66は、板金部材64の背面(−Y方向側の面)64aに貼り付けられて−X軸方向に延びている。ケーブル66は、X軸方向において給送ローラー26に対応する位置まで延びたあと、装置本体11内に設けられた不図示の媒体検出センサーに接続されている。
【0064】
ケーブル68は、装置本体11内においてサイドフレーム56A側に配置された廃液タンク(不図示)から制御部(不図示)まで延びる配線ケーブルである。ケーブル68はサイドフレーム56Aの上部を通り、図13に示すように、Y軸方向において取付部材48の基体部48aと板金部材64との間を通って+X軸方向に延び、制御部(不図示)に接続されている。尚、本実施例においてケーブル66、68は、一例として信号伝達用のフレキシブルフラットケーブル(FFC)として構成されている。本実施例では、板金部材64に沿ってケーブル66、68を配線したので、ケーブル66、68に生じるノイズを低減できる。
【0065】
■■■第2の実施例■■■■
図16ないし図18において、第2の実施例について説明する。第2の実施例は、保持部材70を備える点で第1の実施例と異なる。尚、カバー22、取付部材48及びダンパー50の構成については、第1の実施例と同様であるので説明を省略する。
【0066】
図16において保持部材70は、取付部材48の基体部48aの上部を覆っている。さらに、保持部材70には、図17及び図18に示すように+Y方向側に延びるリブ70aがX軸方向において適宜間隔をおいて複数設けられている。リブ70aは、保持部材70が取付部材48に取り付けられた状態において、ダンパー50のローター50cが設けられた側と反対の側に対応する位置にそれぞれ設けられている。これにより、リブ70aは、ダンパー取付部48b及びアーム部22cの先端部22dからダンパー50が脱落することを防止している。
【0067】
取付部材48にダンパー50を取り付けた後、取付部材48に保持部材70を取り付けることで、カバー22、取付部材48、ダンパー50及び保持部材70をカバーアセンブリ72とすることができる。このカバーアセンブリ72を装置本体11に組み付ける際、保持部材70がダンパー50の脱落を防止できるので、カバーアセンブリ72の装置本体11への組み付け作業を容易にできる。
【0068】
本実施例においても、ケーブル66は制御部(不図示)と媒体検出センサー(不図示)とを接続する信号ケーブルとして構成されている。本実施例では、制御部から延出したケーブル66は、取付部材48の基体部48aの上部を覆う保持部材70の背面側端部70bに貼り付けられ、−X軸方向に延び、媒体検出センサー(不図示)に接続されている。
【0069】
一方、ケーブル68も第1実施例と同様にサイドフレーム56A側に配置された廃液タンク(不図示)から制御部(不図示)まで延びている。本実施例では、ケーブル68は、サイドフレーム56Aの上部を通り、保持部材70の上面70cにおいて+X軸方向に延び、制御部(不図示)に接続されている。尚、本実施例においても、保持部材70は、金属材料で形成されている。したがって、保持部材70に沿ってケーブル66、68を配線したので、ケーブル66、68に生じるノイズを低減できる。
【0070】
<<<第1の実施例及び第2の実施例の変更例>>>
(1)各実施例において、取付部材48をサイドフレーム56A、56Bに接続する構成としたが、この構成に代えて、取付部材48をセンターフレーム54に取り付ける構成としてもよい。
(2)各実施例において、ケーブル66、68を板金部材64又は保持部材70に沿って配線しているが、この構成に代えて、図13において取付部材48の基体部48a内をX軸方向に連通するように切り欠き部を設け、当該切り欠き部にケーブル66、68を通してX軸方向に延びるように配線してもよい。このように構成することで、基体部48a内の空間を有効活用でき、ケーブル66、68の取り回しの空間を別途設けることができるので、装置の省スペース化を図ることができる。
【0071】
上記説明をまとめると、プリンター10は、媒体に記録を行う記録ヘッド36と、傾斜姿勢でセットされた媒体を記録ヘッド36に向けて給送する給送ローラー26と、記録ヘッド36の配置領域の上部を開閉するカバー22と、カバー22が閉じる際にカバー22に減衰力を付与するダンパー50と、を備え、カバー22及びダンパー50は、給送ローラー26の上部領域に配置される取付部材48を介して取り付けられる。
【0072】
傾斜姿勢でセットされた媒体を記録ヘッド36に向けて給送する給送ローラー26の上部は空き領域が多い。そこで各実施例では、カバー22及びダンパー50を、給送ローラー26の上部領域に配置される取付部材48を介して取り付ける。従ってこれによりプリンター10の大型化を抑制できる。
【0073】
また、取付部材48は傾斜姿勢でセットされた媒体を記録ヘッド36に向けて給送する給送ローラー26の上部に位置するから、給送ローラー26から送り出された媒体の給送方向に沿った方向を装置奥行き方向(Y軸方向)としたときに、取付部材48は、装置奥行き方向(Y軸方向)において装置背面側(−Y軸方向側)端部ではなく、それよりも装置前方側(+Y軸方向側)(記録ヘッド36の側)に位置することとなる。
そしてカバー22が取付部材48を介して開閉可能に取り付けられるため、カバー22の回動中心である回動軸52もまた、取付部材48に位置することとなり、つまりカバー22の回動中心である回動軸52も装置背面側(−Y方向側)端部ではなくそれよりも装置前方側(+Y軸方向側)に位置することとなる。
以上により、カバー22の回動中心である回動軸52とカバー22の回動自由端である前端部22eとの距離が縮まるので、カバー22の回動軸52から前端部22eまでの長さが短くなり、カバー22を開いた際に、カバー22の前端部22eの高さを低くすることができる。従って高さの低い設置スペースにプリンター10を設置した場合でも、設置空間から装置を取り出すことなくカバー22を開くことができ、或いは完全に開くことができない場合でも開き量を確保でき、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0074】
プリンター10は、記録手段を構成する記録ヘッド36を備えるとともに装置幅方向(X軸方向)に往復動するキャリッジ42と、キャリッジ42の移動領域と給送ローラー26の配置領域との間に位置する、キャリッジ42の移動方向に延設されたセンターフレーム54と、センターフレーム54の両サイドに設けられる二つのサイドフレーム56A、56Bと、を備えている。取付部材48が、二つのサイドフレーム56A、56Bに固定されている。この構成によれば、センターフレーム54及び二つのサイドフレーム56A、56Bで構成されるフレーム体の剛性を高めることができる。
【0075】
プリンター10は、記録手段を構成する記録ヘッド36を備えるとともに装置幅方向(X軸方向)に往復動するキャリッジ42と、キャリッジ42の移動領域と給送ローラー26の配置領域との間に位置する、キャリッジ42の移動方向に延設されたセンターフレーム54と、を備え、カバー22の回動軸52の少なくとも一部及びダンパー50の少なくとも一部が、センターフレーム54の上部に位置している。この構成によれば、装置奥行き方向(Y軸方向)においてセンターフレーム54の占有領域と回動軸52及びダンパー50の占有領域とが完全に重畳せず、装置奥行き方向(Y軸方向)寸法を抑制できる。
【0076】
プリンター10は記録手段を構成する記録ヘッド36を備えるとともに装置幅方向(X軸方向)に往復動するキャリッジ42と、キャリッジ42の移動領域と給送ローラー26の配置領域との間に位置する、キャリッジの移動方向に延設されたセンターフレーム54と、を備えている。取付部材48の少なくとも一部が、センターフレーム54の上部に位置している。この構成によれば、装置奥行き方向(Y軸方向)においてセンターフレーム54の占有領域と取付部材48の占有領域が完全に重畳せず、装置奥行き方向(Y軸方向)寸法を抑制できる。
【0077】
取付部材48が、センターフレーム54に固定されている。
【0078】
カバー22は、本体部22aと、本体部22aとカバー22の回動中心である回動軸52とを接続するアーム部22cと、を備えている。取付部材48の上部には、カバー22とともに装置上面を構成する天面部材20が設けられている。アーム部22cは、カバー22の開閉に際し天面部材20の前端部20aを避ける形状を成す。
この構成によれば、本体部22aと天面部材20の前端部20aとを近づけることができる。その結果、カバー22を閉じた状態において本体部22aと天面部材20の前端部20aとの隙間62を小さくでき、隙間62から装置本体11の内部への塵埃等の進入を抑制できるとともに、プリンター10の美観も向上させることができる。
【0079】
プリンター10は、記録手段を構成する記録ヘッド36を備えるとともに装置幅方向(X軸方向)に往復動するキャリッジ42と、キャリッジ42の移動領域と給送ローラー26の配置領域との間に位置する、キャリッジ42の移動方向に延設されたセンターフレーム54とを備えている。アーム部22cの少なくとも一部が、センターフレーム54の上部に位置する。この構成によれば、装置奥行き方向(Y軸方向)でセンターフレーム54の占有領域とアーム部22cの占有領域とが完全に重畳せず、装置奥行き方向寸法を抑制できる。
【0080】
プリンター10は、装置奥行き方向(Y軸方向)においてセンターフレーム54に対し記録ヘッド36の側に、キャリッジ42を移動方向(X軸方向)にガイドするガイドフレーム60を備えている。ガイドフレーム60の上端部60aは、センターフレーム54の上端部54aより高い位置にあり、アーム部22cの少なくとも一部が、高さ方向(Z軸方向)においてガイドフレーム60の上端部60aとセンターフレーム54の上端部54aとで形成された段差内に位置する。この構成によれば、スペースの有効利用によって装置の大型化を抑制できる。
【0081】
給送手段は、媒体を給送する給送ローラー26を備えて成り、取付部材48の少なくとも一部が、給送ローラー26の上部に位置する。
【0082】
プリンター10は、取付部材48に取り付けられると共に、取付部材48に取り付けられた状態においてダンパー50を保持する保持部材70を備える。この構成によれば、取付部材48にダンパー50を取り付け、カバーアセンブリ72とした上でカバーアセンブリ72を装置本体11に組み付ける際に、ダンパー50の落下を防止でき、組立作業の作業性が向上する。
【0083】
また、本実施形態では本発明に係るカバー22、取付部材48及びダンパー50を記録装置の一例としてのインクジェットプリンターに適用したが、その他液体噴射装置一般に適用することも可能である。
ここで、液体噴射装置とは、インクジェット式記録ヘッドが用いられ、該記録ヘッドからインクを吐出して被記録媒体に記録を行うプリンター、複写機及びファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を前記インクジェット式記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから被記録媒体に相当する被噴射媒体に噴射して、前記液体を前記被噴射媒体に付着させる装置を含むものである。
【0084】
液体噴射ヘッドとして、前記記録ヘッドの他に、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等が挙げられる。
【0085】
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0086】
10…プリンター、11…装置本体、14…操作部、16…排出トレイ、18…媒体収容カセット、20…天面部材、20a、22e…前端部、20b…リブ、22…カバー、22a…本体部、22b…端部、22c…アーム部、22d…先端部、24…背面給送口カバー、25…給送口、26…給送ローラー、27…媒体支持部、28…媒体搬送路、30…ピックアップローラー、32…反転ローラー、34…搬送ローラー対、36…記録ヘッド、38…排出ローラー対、40…回動軸、42…キャリッジ、44…分離ローラー、46、72…カバーアセンブリ、48…取付部材、48a…基体部、48b…ダンパー取付部、48c…軸受部、48d…凹部、48e…取付部、50…ダンパー、50a…ダンパー本体、50b、70a…リブ、50c…ローター、52…回動軸、54…センターフレーム、54a、60a…上端部、56A、56B…サイドフレーム、58…締結部材、60…ガイドフレーム、62…隙間、64…板金部材、66、68…ケーブル、70…保持部材、70b…背面側端部、70c…上面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18