(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0033】
〔実施形態の開示〕
本明細書に開示される様々な実施形態は、心不全の急性重症度の早期警告信号として、下大静脈(IVC)の容積および/または圧力の変動を監視し、検出することを意図している。本明細書に記載の移植可能IVC監視器、マーカおよび関連するシステム、デバイスおよび方法により、患者および医師が積極的な措置を取ることができ、入院を必要とする急性代償不全を予防することができる。このようなデバイスおよび方法は、容積管理が慢性的な課題である血液透析患者の管理にも役立つ可能性がある。従って、本開示では、様々な形態の移植可能なデバイスを使用して、臨床的必要性に応じて多かれ少なかれ連続的にIVC容量および/または圧力を測定するための方法および装置を記載する。
【0034】
IVCの寸法または容積の変化を正確に測定するために、本発明のデバイスは、血管の自然な拡張および収縮に影響を与えることなく、あるいは、それが説明可能な程度に既知であり、または予測可能な方法で影響を与えることによって、血管内または血管上の所望の位置に固定されるように構成されなければならない。本明細書で開示される実施形態の多くにおいて、埋め込み可能な監視デバイスは、アンカー部材、および検知/マーカ素子を含む。アンカー部材は、デバイスを血管に固定し、長手方向および回転方向の両方でデバイスを固定する。検知/マーカ素子は、血管拡張および収縮に応答して、血管の寸法変化の監視を可能とする。このような実施形態では、アンカー素子は、検知/マーカ素子によって測定される血管の寸法を歪ませないことが重要である。好ましい実施形態では、検知/マーカ素子は、アンカー素子から隔離される。これにより、血管は、有意な制約なしに測定部位で自然に膨張および収縮することができる。いくつかの実施形態では、この隔離は、測定部位における血管運動に対するアンカーの影響を最小にするのに十分な距離だけ、アンカー部材から検知/マーカ素子を長手方向に分離することを含む。このような実施形態では、検知/マーカ素子は、細長い接続素子によってアンカー部材に結合されるであろう。細長い接続素子は、必要な分離を提供するのに十分な長さおよび可撓性を有する。また、細長い接続素子は、測定部位において検知/マーカ素子の位置を維持するのに十分な剛性を有する。また、多くの実施形態では、細長い接続素子は、血管が内方および外方に移動するときに、血管の壁に対して検知/マーカ素子を付勢するための適切な形状および弾性を有する。また、このような接続素子は、所定の長さを有し、IVCの所望の位置にアンカー部材を移植できるようする。好ましい実施形態では、検知/マーカ素子は、肝静脈よりもわずかに下側であってアンカー部材と右心房との間のIVC内に位置する。ある例示的な実施形態では、このような接続素子は、血管径の1から4倍の範囲内の長さ(例えば、1−8cm)を有し、より望ましくは血管径の1から3倍の長さ(例えば、2−6cm)を有し、好ましくは血管径の1から2倍の長さ(例えば、2−4cm)を有する。いくつかの実施形態では、アンカー素子とマーカ素子との間の長手方向の距離を、約3−5cmにするように分離することが望ましい。また、腎動脈より幾分下側にアンカー素子を配置することが望ましい。これにより、マーカ素子を腎静脈と肝静脈との間に入れることができる。1つの好ましい実施形態では、マーカ素子は、肝静脈の約2cm下から腎静脈に至るまでの範囲にある監視位置に配置される。他の実施形態では、アンカーと検知/マーカとの空間的分離の代わりに、またはそれに加えて、アンカー素子と検知/マーカ素子との間の機械的結合によって、分離が行われてもよい。ここで、機械的結合は、検知/マーカ素子のアンカーからの移動を機械的に分離する。機械的結合は、例えば、バネ、ヒンジ、可撓性リンク、または他のタイプの分離カップリングなどである。
【0035】
心不全患者は、IVCを介して挿入される監視および治療のためのカテーテルをしばしば受け入れる。そのため、本発明の好ましい実施形態では、位置ずれまたは機能の損傷の危険を冒すことなく、移植された監視デバイスの位置を過ぎて、カテーテルおよびその他のデバイスの配置が可能なように構成されるであろう。いくつかの実施形態では、本発明のデバイスは、血管内腔を拘束する(すなわち、横切って延在する)か、または実質的に血管内腔を閉塞することなく、血管壁に固定されるように構成される。
【0036】
本明細書に記載のある実施形態では、本発明の監視デバイスは、所定の方向または所定の軸に沿って血管の寸法を測定するように構成されている。このような実施形態は、そのような指向性測定を可能にする位置での血管内への移植を容易にするように構成される。例示的な実施形態では、本発明のデバイスは、前後方向のIVC直径を測定するように構成される。このような実施形態では、デバイスは、呼吸サイクルを通じてIVCの後壁および/または前壁に対して検知素子またはマーキング素子を優先的に配置および維持するように構成される。例示的な実施形態は、デバイスを血管内の所望の回転位置に優先的に配置するように展開する固定素子をさらに含んでもよい。例えば、このような固定素子は、IVCの楕円形断面形状の利点を享受し、それ自体が所望の回転方向に自然に着座する形状を有していてもよいし、そのような特徴を含んでいてもよい。
【0037】
例えば、
図1の実施形態によって示されるように、本明細書に開示される1つのタイプのデバイスは、IVCの壁に対して邪魔にならない可撓性のある電極などの可撓性マーカ素子を有することができる。このタイプのデバイスの様々な実施形態が、以下により詳細に説明される。IVCの形状/容積の変化に基づいてマーカ素子位置が互いに対して変化すると、その変化は、マーカ素子間で交換される信号またはフィードバックによって決定され得る。例えば、IVCの体積が減少するにつれて、丸い形状で完全に膨らまされてから、より平らな形状になる可能性がある。IVCの断面の周りに円周方向に展開された多数のマーカ素子を有する設計では、これは、IVCが崩壊するにつれて特定のマーカ素子が互いに接近し、いくつかのマーカ素子はさらに離れて移動する可能性があることを意味する。また、
図2A、2B、2C、および2Dは、この変化がどのように起こり得るかを模式的に示す。図示されているように、IVC崩壊を伴うマーカ素子の近接度の変動は、IVCの崩壊軸に対するデバイスの向きに依存する。
図2Aおよび
図2Bを参照すると、マーカ素子aおよびcは、IVCが崩壊するにつれてより近くになる一方、マーカ素子bおよびdは、より離れて移動することが分かる。
図2Cおよび2Dに示すように、マーカ素子a、b、c、およびdは、IVCが崩壊するにつれてより近くなる。あるいは、単一のマーカ素子に、反対側のIVC壁から反射され得る信号種を提供することができる。単一のマーカ素子が使用され、信号が反対側のIVC壁から反射された場合、同じ原理が適用される。このような例では、単一マーカ素子は、
図2Aおよび
図2Bに示されている位置aに配置されてもよく、このとき反射壁は通常位置aの真向かいの位置cにある。
【0038】
一般に、本明細書で開示される実施形態で使用されるマーカ素子は、能動マーカ素子または受動マーカ素子であり得る。能動マーカ素子の例には、超音波トランスデューサ、電極および誘導コイルが含まれる。受動マーカ素子は、一般に、エコー反射などの信号反射性を有する。信号反射は、体外からマーカ素子に向けられた超音波信号を反射し得る。マーカ素子が電極で構成される実施形態では、どの電極が前壁および後壁に最も直接的に配置されるかを決定し、これらの電極間のインピーダンスの変動を測定することが最も効果的であり得る。あるいは、システムは、各電極から他の各電極へのインピーダンスを測定し、インピーダンスの変化を用いて形状の変化を推定することができる。あるいは、対向するすべての電極対のインピーダンスを並列に組み合わせて、その単一の全体的なインピーダンス読み出しの変化を見ることも同様に効果的である。
【0039】
ある状況では、IVCまたは上大静脈(SVC)の長さに沿った縦方向(長手方向)インピーダンス、またはその両方を測定することが代替的に有効であり得る。IVCおよび/またはSVCが崩壊するにつれて、IVCおよびSVCの断面積が減少する。これは、その長さに沿ってインピーダンスの有意な変化につながる可能性がある。この代替案を採用する1つの例示的な実施形態を、
図35に示し、以下に詳しく説明する。
【0040】
移植可能な可撓性電極の使用によるIVCにわたるインピーダンスの単純な測定に加えて、移植可能なデバイスがIVCの形状の変化を測定することのできる他の多くの方法がある。このようなさらなる代替案は、デバイスの半径方向または円周方向の素子に取り付けられたひずみゲージまたは変位センサなどの素子、近接センサなどを含む。この点に関する1つの例示的な実施形態を、
図24に示し、以下に詳しく説明する。
【0041】
流体圧センサは、IVC状態の変化を測定するのに有用であり得る。あるいは、IVCを流れる流量は、ドップラー超音波センサまたは他のセンサを用いて測定することができる。IVCの容積および断面積が変化すると、IVCを流れる血流の速度は、反比例かつ比例して変化することがあるが、姿勢、運動レベルなどの変化によって血液量および流量も変化する。このアプローチでは、心拍数だけでなく、心拍出量も測定し、流量を標準化したり、患者が安静時に取り得る測定値を確認したりすることに役立ち得る。姿勢および動作を測定するために、慣性センサを含めることもできる。MEMS慣性センサが開発されている。このセンサは、小型で消費電力は非常に少ない。姿勢の変化および活動レベルを検出するために、脚のような身体または脈管系の他の場所に基準圧力センサまたは慣性センサを埋め込むことも有用であり得る。
【0042】
さらなる代替的な測定手段は、ソノマイクロメトリーを使用することである。これは、微小な音波信号を送信する小さな圧電結晶センサを含む。微小な音波信号は、次に他のセンサによって検出され、電気信号に変換される。これらの信号の送受信間の時間を分析することにより、結晶間の距離を正確に測定することができる。さらなる代替的な測定手段は、IVCに音波振動を伝達することであり、その信号の反射または共振を測定することによって、IVCの全体的な容積または寸法を決定することができる。
【0043】
これらの異なる方法の選択は、IVC容積および圧力の変化をどれが最も一貫して正確に測定するかを決定することに部分的に依存する。エネルギー消費を最小限に抑えることは、外部電源を使用してデバイスに電力を供給したり再充電したりしない限り、長年機能する移植可能なデバイスにとって不可欠な素子である。
【0044】
別の実施形態では、1つまたは複数のデバイスをIVCの外面に移植して、血管寸法の変化を検出することができる。例えば、2つの離間した電極を有する単一のデバイス、またはそれぞれが自身の電極を有する2つの別々のデバイスを、外部IVC壁に固定し、電極間のインピーダンスを測定するために使用することができる。あるいは、歪みゲージを有するデバイスを外壁に固定して、壁上の2点間の応力、歪み、または変位を測定することができる。別の実施形態では、応力センサまたは変位センサを組み込んだワイヤループまたはバンドをIVCの周囲に配置して、ループまたはバンドの大きさまたは張力の変化に基づいて、IVC円周の変化を検出することができる。このようなデバイスは、大口径の針または他の薄型の送達器具を用いて送達されるように小型化され得る。薄型の送達器具は、胸壁または腹壁の小さな穿刺部を通って配置され、IVC上の所望の位置に送達され得る。
【0045】
この監視は、データ強度とバッテリ寿命との間の所望のトレードオフに応じて、連続的にまたは断続的に実行されてもよい。患者が横たわっていて休息している夜間にのみ測定を行うのが最も効率的であるかもしれない。IVCの寸法を無作為に、または特定の時間間隔で間欠的に測定することが望ましい場合がある。これらの断続的な測定は、結果として、心臓サイクルおよび呼吸サイクルにおける無作為なポイントでのIVC膨張を数分、数時間または数日間にわたって測定することになるが、IVC変動の効果的な画像が明らかとなり得る。あるいは、デバイスは、1つまたは複数の心臓サイクルおよび/または呼吸サイクルの全体にわたる断続的な連続測定を行い、最大および最小のIVC体積の効果的な測定値を得ることができる。これらの体積の最小値と最大値との差は、重要な予後指標となる可能性がある。最小IVC体積と最大IVC体積との間にわずかな差異がある場合は、それが鬱血の指標となる可能性がある。
【0046】
図に示される例示的な実施形態は、より詳細に記載され、本開示の様々な構造および設計をさらに説明する。本明細書に含まれる教示に基づいて当業者には明らかであるように、種々開示された実施形態の異なる特徴は、説明の便宜上、図面に具体的に示されている実施形態以外の実施形態とともに用いられてもよい。可能な組み合わせの数が与えられると、特徴の各組み合わせを別々に示すために、簡潔な開示内では不可能であることは、当業者に理解される。非限定的な例として、
図5から
図21に示される異なるアンカー素子、並びに
図1、
図3−5、および
図22−30に示されるマーカ素子のそれぞれは、異なる組み合わせで、または本明細書の異なるインプラントと個別に使用することができる。
【0047】
図1に示すように、監視デバイス100は、いくつかの可撓性絶縁アーム103を有することができる。可撓性絶縁アーム103は、IVCの壁Wに対して受動的に配置される。マーカ素子106(以下では、マーカ素子、または電極、コイルまたは超音波素子などの特定のマーカ素子タイプと総称する)は、アーム103に取り付けられることができ、好ましくは、装置100の本体から離間して端部に配置される。例示的な一実施形態では、マーカ素子106はアーム103に搭載された電極106を含み、電極間のインピーダンスは、以下にさらに説明するように、適切な監視デバイスおよび手段によって監視されることができる。2つ、3つ、または4つの電極106が存在してもよく、または多数の電極が存在してもよい。2つを超えるアーム103が存在してもよい。アーム103が2つのみの場合、それらがIVCの前壁および後壁に配置されれば、最も効果的な測定値を生成することができる。電極106または他のマーカ素子は、特定の1つの断面においてIVCの周りに円周方向に配列されてもよい。または、2つ以上の特定の断面に電極があってもよい。または、IVCの長さにわたって配置されてもよい。インピーダンスは、すべての異なる電極間のマトリックスで測定してもよいし、あるいは、システムは、対向する壁の電極間のインピーダンスの測定に集中し、IVCの崩壊を最も効率的に測定してもよい。
【0048】
あるいは、電極間のインピーダンスを測定する代わりに、マーカ素子106は、誘導コイルを含むことができる。誘導コイルは、
図1のデバイス100のアーム103の端部に配置することができる。低電流を1つのコイルに供給することができ、他のコイルの誘導電流を測定してコイル間の距離を求めることができる。
【0049】
さらなる代替の実施形態は、デバイス100の対向するアーム103上にマーカ素子106として2つの超音波結晶を配置することを含む。1つの結晶からの超音波信号を対向する結晶によって検出することができ、IVCの直径は、2つの結晶間の移動時間を測定することによって求められる。あるいは、さらに以下で説明するように、超音波信号の発信器および受信器の両方として作用する水晶を用いて、単一の超音波水晶をデバイスの単一アーム上に配置することができる。その結果、血管の直径は、血管の対向する壁に対して信号を反射させ、水晶体から前後に移動する時間を測定することによって決定することができる。
【0050】
デバイス100は、
図1に示すように、IVC内に完全に配置することができる。この例示的な実施形態では、デバイス100は、アンカー素子109によって適所に保持される。アンカー素子109は、半径方向に拡張するステントを含む。ステントは、IVC壁Wに係合するフック112を有する。複数のアーム103は、IVCに沿って上方に延び、外側へ緩やかに付勢され、IVC壁Wに対して自身を保持する。アーム103の端部には、マーカ素子106があり、マーカ素子106は、上述したような電極であってもよい。デバイス100は、マーカ素子電極間のインピーダンスの変化を感知して、IVCの膨張または崩壊の程度を測定する。代替的にまたは追加的に、デバイス100は、より下位の位置でIVC壁Wに対してマーカ素子106の別のセットを保持して下側に延びるアーム103を含むこともできる。このアーム103は、IVCサイズの変動を決定するために使用されることができる。図示される半径方向に拡張するステントのようなアンカー素子109は、IVCの拡張または崩壊を妨げないように十分に穏やかにすることができる。この場合、マーカ素子106(ここでは電極として図示される)は、アンカー素子自体に直接取り付けられてもよい。本明細書に開示される種々の同様の実施形態は、電気絶縁材料中にデバイスの構造およびアームをカプセル化することが重要であり得る。これにより、インピーダンス測定によるIVC断面の測定を妨げないようにすることができる。
【0051】
さらに別の実施形態では、アンカー素子109(例えば、
図1または
図23に示されるステントなど)および/またはアーム103は、生体分解性の材料で作製されてもよい。このような材料は、経時的に軟化し、構造がIVCの自然な動きに及ぼし得る影響を最小化することができる。アーム103(またはアンカー素子109)の構造は、IVCの壁を積極的に治癒するように設計することもできる。これにより、経時的な移動または塞栓の危険性を最小限にすることができる。このような代替案では、例えば、ポリ−1−ラクチド(PLLA)のような生体分解性材料からアンカー素子またはアームを作製すること、および、織られたまたは編組したポリエステルスリーブまたはオープンセル発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)でデバイスの支柱(ストラット)を覆うことを組み合わせることもできる。ストラットが時間をかけて浸食されると、多少の炎症反応を刺激する。この炎症反応は、ファブリック(編み組体)が壁に癒着するように促す。これにより、PLLA構造がなくなるまでに、デバイスが壁に良好に癒着することができる。
【0052】
IVCは、
図1のカプセル118のような薄型電子制御ハウジングがIVC内を流れる血液を有意に塞ぐことなくデバイス100などの移植可能デバイス上に配置することができる程度に十分に大きい。このような電子カプセルは、IVCの壁に対して全体的に配置されるように構成され寸法決めされてもよい。これにより、IVCの中央チャネルが将来も他のカテーテルの導入のために開かれ、妨げられないように保つことができる。電子カプセル118は、電池または誘導コイルまたはその両方を有し、デバイスに電力を供給してもよい。これに代えて、またはそれに加えて、デバイスは、例えば、心臓の脈動から電力を生成する圧電発電機を含むことによって、局所環境源からエネルギーを収集するように設計されてもよい。さらに、電子カプセルは、マーカ素子への接続部と、患者体外の制御ユニット(図示せず)と情報通信する遠隔測定回路とを有するであろう。好ましくは、このデバイスは、検知データを外部の受信器およびコントローラに送信するための無線送信器を含む。デバイスは、連続的にまたはプログラムされた間隔で送信するように、または外部デバイスによる問い合わせ時にデータを送信するように構成されてもよい。また、履歴センサ測定値を記憶するためのメモリ回路と、様々なセンサ測定値をIVC膨張またはIVC崩壊の推定値に変換する計算回路とを有してもよい。これに加えて、またはこれに代えて、デバイスは、スマートフォンのような無線対応セルラーデバイスと通信するように構成することができる。スマートフォンは、携帯電話または無線ネットワークを介して遠隔のコンピュータにデータを送信するソフトウェアを含むことができる。このようにして、測定されたIVCパラメータを自動的に医療提供者に送信して、患者の状態を監視することができる。関連する制御およびネットワーキングの実施形態のさらなる詳細は、以下で説明される。
【0053】
図1に示すように、デバイス100は、IVC内の腎静脈よりも大きく上方に位置している。しかしながら、本明細書に開示される移植可能なデバイスは、腎静脈の一部または全部よりも下方に、または右心房または上大静脈(SVC))内にさえも配置されてもよい。あるいは、デバイスは、IVC内の1つの構成素子、SVC内の第2の構成素子、または他の場所のような、異なる位置に埋め込み可能な複数の構成素子を有することができる。
【0054】
別の実施形態では、デバイス300は、二次素子321を有していてもよい。二次素子321は、
図3に示すように、脈管系内の挿入点にかなり近い位置で、または(物理的アクセスまたはエネルギー伝達のために)より容易にアクセスされる別の位置で、デバイスの部分を展開する。この実施形態では、デバイス300は、(本明細書に開示された他の実施形態に関して説明したアンカー素子およびマーカ素子を含むように一般的に構成され得る)IVC検知ユニット323を含み、第2素子321は、検知ユニット323と、2つのユニットを接続して通信を提供するリード線329とから離れて位置している。例えば、遠隔測定用のアンテナ素子および/または誘導コイルは、鎖骨下静脈または頸静脈の二次ユニット321に配置されてもよい。これにより、外部電源および/または制御アンテナ332を、二次ユニット321内に含まれるアンテナまたは誘導コイルの近くに正確に配置することが、より容易になる。二次ユニット321は、例えば、本明細書に記載の自己拡張型ステントまたは他の管腔内アンカー素子を用いて適所に保持される。
【0055】
代替的に、本開示による移植可能なデバイスは、移植可能な電池および回路を有することができる。移植可能な電池および回路は、
図4に示すように、身体内であるが脈管系の外側に埋め込むことができる。デバイス400は、IVC検知ユニット423(本明細書で開示される他の実施形態に関して説明したように一般的に構成されてもよい)と、制御/電池ユニット426とを含む。制御/電池ユニット426は、リード線429によって検知ユニット423に接続され、それらの間の通信を提供する。デバイス400の配置と、鎖骨下ポケット内のペースメーカおよび除細動器の共通配置との間には類似点がある。しかしながら、これらの一般的なデバイスとは異なり、IVC検知ユニット423と制御/電池ユニット426の配置場所との間のリード線429は、心臓弁を横断する必要がなく、比較的安全で単純な接続を可能にする。代替的に、IVCセンサ423は、ペースメーカまたは除細動器に接続するように適合され得る。ペースメーカまたは除細動器は、例えば、
図45の実施形態に関連して以下に記載されるように、心臓の感知および刺激を提供する追加のリード線を含む。
【0056】
さらなる例示的な実施形態を
図5から
図10に示す。これらの図に示されるように、デバイス500は、3つの主要な構成素子またはアセンブリ、電子カプセル503、アンカー素子506、および電子カプセルとアンカー素子を接続するアンカー分離構造507を備える。電子カプセル503は、本明細書に記載されている他の場所の制御モジュール、電力モジュールおよび他の代替機能モジュールを収容するための密封ハウジング509を備え、自己封入型の密閉デバイスを提供する。また、カプセル503は、マーカ素子512を支持する。デバイス500の場合、マーカ素子512は、デバイスの下端に位置する単一の超音波マーカ素子である。そのようなマーカ素子は、1つ以上の超音波結晶を利用し、超音波パルスを発し、IVCの対向する壁からのそのパルスの反射を検出することによってIVC直径を測定してもよい。本明細書に記載の超音波受信器および/または他のマーカ素子タイプによる他の検出モードは、本開示の教示から逸脱することなく、当業者によって代替的に使用されてもよい。電子カプセル503は、IVC内に配置されたときに内腔の閉塞を最小限に抑えるために、一般的に可能な最小のプロファイルを備えている。
【0057】
電子カプセル503は、カプセルの上端のアンカー素子506に接続されている。この実施形態に示されているようなアンカー素子506は、略「8」字形または2重らせん形に構成された単一のアンカーワイヤ515を含む。あるいは、2つ以上のワイヤを用いて同じ構成を提供することができる。アンカーワイヤ515は、その下端部521および上端部524の両方で入れ子(伸縮)式展開部材518にピン留めされる。入れ子(伸縮)式展開部材518は、内側部材527を含む。内側部材527は、アンカー分離構造507および外側部材530を介して電子カプセル503に固定される。内側部材527と外側部材530との間の相対移動により、
図9に示す折りたたみ位置(崩壊位置)から、
図10に示す展開またはアンカー位置へアンカーワイヤ515が動く。
【0058】
アンカー素子506を展開して固定するために、種々の作動機構が利用され得る。1つの代替案では、アンカーワイヤ515は、展開された構成において休止状態を提供するように構成された形状記憶特性を有する弾力性を有する。この代替例では、デバイス500は、従来のガイドカテーテルまたは他の適切な鞘(シース)型送達デバイスを介してIVC内の所望の位置に送達されてもよい。以下に説明するように位置が確認されると、デバイス500は、放出時に自己展開するアンカー素子506を有する送達カテーテルまたはシースから放出される。
【0059】
別の代替的な展開機構では、例えば、ねじ込み接続、ばね解放、フックまたは他の公知の手段などの機械的解放機構を使用して、作動ワイヤ(図示せず)を展開部材518の上端部524に取り外し可能に接続する。作動ワイヤは、単一または二重ワイヤであってもよく、作動モードに応じて同軸または平行となってもよい。この代替案では、作動ワイヤの移動は、内部および外部展開部材527、530の相対移動をもたらし、上述したように、アンカーワイヤ515を折りたたまれた構成から拡張され展開された構成に展開する。アンカー素子の展開後、作動ワイヤは、その接続モードに従ってデバイス500から解放され、アンカー素子506を介してデバイスをIVCに固定したままにする。
【0060】
上述のように、本明細書に開示されている本実施形態および他の実施形態のさらなる特徴は、アンカー分離構造507によって提供されるアンカー素子に対するマーカ素子位置の間の間隔である。一般に、IVC壁に付与された係留力に起因して、測定位置またはその付近でIVCのサイズまたは形状に影響を及ぼさないように、アンカー素子はマーカ素子から十分に離れていることが好ましい。アンカー分離構造507は、所望の位置決めを保証する。この位置決めは、上述したIVC直径の約1から4倍であり得る。一般に、IVCは、前後方向に延びる楕円の短軸と、横方向に延びる長軸とを有する略楕円形の断面を有する。したがって、測定点またはその近傍におけるこの自然な楕円形の形状に及ぼすデバイスの影響を最小限に抑えることが望ましい。
【0061】
IVCの形状およびIVC形状に及ぼすアンカー素子の考えられる影響は、可能な一構成において、
図5から
図8に示されている。本明細書中に示されるように、IVCのより下方の部分、近接するマーカ素子512において、IVCは、
図7で最もよく示されるように、より自然な楕円形を呈する。しかし、アンカー素子506のアンカーワイヤ515の力を受ける上部では、IVCは、
図8で最もよく示されるように、より円形にされている。このように、アンカー素子はIVCの形状を潜在的に歪めるだけでなく、液体量の変化に反応しないようにIVCを補強することもできる。液体量は、心不全のリスクを示す可能性がある。アンカー分離構造は、IVC内に配置された検知デバイス内に関連し得るこのような問題を低減または排除する。
【0062】
図5から
図10に示されるタイプのアンカー構造を使用してマーカ素子512で正確な測定を達成するために、展開部材518からアンカー分離構造507を通って電子カプセル503に至るデバイス全体は、電子カプセル(およびマーカ素子)を一方の側でIVCの壁に対して保持するのに十分な剛性を備えていながら、患者の残りの寿命にわたってデバイス500との接触によるIVC壁の損傷または侵食を回避するのに十分な可撓性(および滑らかさ)を有するべきである。
【0063】
また、
図5から
図8に示されるように、デバイス500などのデバイスまたは本明細書に開示されている他のデバイスが、電子カプセル503、より具体的には能動マーカ素子(例えば、超音波マーカ素子512)とともに配置され、前壁までの距離を測定するためにIVCの後壁に対して取り付けられるのが最も好都合である。この配置は、楕円形のIVC形状の前後短軸に沿って測定し、後壁から、後壁の後ろに位置する骨構造を測定することにより、測定の精度および感度に利点をもたらし得る。骨構造は、アーチファクト、または、超音波測定が回避され得る他の干渉を引き起こす可能性がある。そのような位置決めは、呼吸サイクルにわたる直径の測定において最大の精度(例えば、直径の変動性の測定 対 静的な測定)を提供し得る。単一の超音波マーカ素子512がデバイス500に対して示されているが、2つ以上の超音波結晶を有する同様のデバイスをIVCの他の場所、例えば、IVCの中心に配置することができる。このデバイスは、前壁と後壁との距離を同時に測定する2つの結晶を有する。位置決めおよび測定のための特定の要件は、医療提供者によって決定される患者の解剖学的構造に基づいて臨床的に決定されてもよいし、移植されるデバイスは、本明細書に含まれる技術によって改変され、これらの特定の患者の要求に適合するようにしてもよい。
【0064】
一般に、本明細書で開示されるデバイスは、臨床評価に基づいてIVCの任意の適切な位置に配置され得る。一例では、超音波水晶などのデバイスのマーカ素子をデバイスの頭頂部に配置し、その後、腎静脈と肝静脈との間のIVC内に頭蓋端部を配置することができる。この場合、アンカー素子は、デバイスの反対側の尾側端部に配置され、これにより、腎静脈より下方のIVC内に配置され得る。また、デバイスをIVCの後壁に配置するとき、最も正確な測定のために、デバイスが後壁の中央に配置され、短軸を横切って少なくとも実質的に真っ直ぐに配向されることを保証することが望ましい。デバイスのIVCへの配置は、蛍光透視法で観察する従来のカテーテル法を用いて制御することができる。しかしながら、デバイス500のようなデバイスでは、マーカ素子512を使用して、電子カプセル503をわずかに回転させることによって配置を確認するのを補助し、これにより、超音波センサで反対側のIVC壁を効果的に走査して、楕円形のIVC断面形状に対する配置位置を検出するようにしてもよい。
【0065】
図5のさらなる実施形態では、かかり533のような追加のアンカー素子を電子カプセル503に設けることができる。しかし、
図5では、かかり533が図示されているが、これらは選択的な特徴部であることに留意すべきである。アンカー素子506の基本的な動作は上述した通りである。アンカー素子506が開くと、アンカー素子506は縮小し、電子カプセル503を引き戻そうとする。かかり533と展開部材518との間の連結により、アンカー素子506の展開中のこれらの2つの部分の相対的な動きを使用して、かかり533を電子カプセル503の背面から展開してもよい。アンカー素子506およびかかり533は、固定力および安全性を強化するために、IVC壁を互いに対向して係合させるように配置されてもよい。しかし、先に示したように、アンカーかかり533を用いずに、実質的に同じデバイスを選択的に提供することができる。アンカーかかり533は、アンカー素子506の折りたたみ可能/拡張可能な二重螺旋アンカーワイヤ515のみによって所定の位置に保持される。これらのアンカー構造、これに加えて、後述するさらなる選択的なアンカー構造は、IVCの後面に、最も好ましくは後IVC壁に対して少なくともマーカ素子を優先的に維持しながら、長手方向および回転方向の両方の動きに対して確実な固定を達成するように構成されている。説明されたアンカー素子は、デバイスの最適な配置を確実にするために、配置手順中に複数回展開して再配置することもできる。また、アンカーワイヤの形状または構成は、以下の追加の代替例によって例示されるように、異なるアンカー素子構造を使用してIVCの大きさおよび形状に適合させることができる。
【0066】
本明細書に例示されたアンカー素子は、
図11から
図21に全体的に示されるように、多種多様な代替形状をとることができる。そのような代替物は、上述の「二重螺旋」アンカーワイヤ設計の1つまたは複数の態様を利用してもよいし、利用しなくてもよい。
【0067】
代替的なアンカー素子1100が、
図11および
図12に示されている。アンカー素子1100は、展開部材1109に固定された2つの別個のワイヤループ1103および1106を含む。展開部材1109は、内側部材1112、並びに同軸入れ子部材1115および1118からなる。これらは、外側入れ子部材1121によって順番に覆われる。ワイヤループ1103は、内側部材1112に固定され、同軸入れ子部材1115に直接覆われる。第2ワイヤループ1106は、内側部材1112に固定されるか、あるいは、同軸入れ子部材の開口部を介してアクセスすることにより、または入れ子部材1118の内側に沿って延びるアタッチメントワイヤによって、内側部材1112に固定され、遠隔端部で内側部材1112に固定される。あるいは、第2のワイヤループ1106は、第2の同軸入れ子部材1118に直接固定されてもよい。折りたたみ構造では、各ワイヤループは、少なくとも部分的に入れ子部材の一つによって覆われる。アンカー素子を展開するために、入れ子部材は、ワイヤループによって生成された自己展開力、または前述のような外部手段による作動のいずれかによって引き戻される。
図12は、外側入れ子部材1121によって覆われたアンカーワイヤおよび同軸入れ子部材1115、1118を有する、完全に折りたたまれた状態のアンカー素子1100を示す。
図11および
図12は、さらなる代替の電子カプセル1124を示す。電子カプセル1124は、アンカー分離構造1127によってアンカー素子1100に結合される。
【0068】
図13は、IVC内に展開されたときに現れるアンカー素子1100および電子カプセル1124を示す。アンカーワイヤループ1103および1106は、開放されて、IVC壁に接触するように外方に延びるとともに、IVCの中央部分を遮ることなく、他の治療のためのアクセスを可能にし、血流の制限を最小にする。
【0069】
図14−16は、代替的なアンカー素子1400を示す。この実施形態では、アンカーワイヤ1405に一端が固定された網スリーブ1403が、内側部材1408上に展開される。内側部材1408には、アンカーワイヤ1405が固定される。再度、内側部材1408と網スリーブ1403との間の相対的な動きが、アンカーワイヤ1405の展開または崩壊を制御する。アンカー素子1400は、IVC壁に係合するアンカーワイヤ1405を用いてIVC内に展開された状態で
図16に示される。
【0070】
図17は、折りたたみ式、管状、ステント様の代替のアンカー素子1700を示す。アンカー素子1700は、編組ワイヤ、溶接ワイヤ、螺旋巻きワイヤ、またはレーザ切断チューブで形成することができ、好ましくは弾性自己拡張性金属またはポリマーである。電子カプセル1701は、アンカー素子の一端に取り付けられているように描かれている。生体適合性材料による溶接または低温接着1703を使用して、電子カプセルをアンカー素子に取り付けることができる。アンカー素子1700は、従来のステント配置と同様の方法でガイドカテーテルを通して展開することができる。有利なことに、このような管状アンカー素子は、血管内腔をそのままの状態に維持しながら、血管内に確実な固定を提供し、監視デバイスを中断することなくカテーテルおよび他のデバイスを導入することを可能にする。
【0071】
図18から
図21は、電子カプセル1801と結合された、さらなる代替のアンカー素子1800を示す。この実施形態では、実施形態にかかるアンカーワイヤループ1803および1806は、反対側の端部で内側部材1809および外側部材1812に固定される。このようにして、内側部材1809と外側部材1812との間の相対移動により、被覆シースなしでアンカーワイヤの展開が可能となる。アンカーワイヤは、内側部材と外側部材との間の対向する相対的な相対移動によって再び折りたたまれてもよい。また、
図20および
図21は、アンカー素子1800が、大きさの異なるIVC中でどのように展開され得るかを示している。この実施形態では、アンカーワイヤループ1803および1806は比較的長く、これにより、
図20および
図21の対比からわかるように、完全に拡張される前に複数回交差して、比較的小さいサイズのIVCを収容することができる。
【0072】
当業者には明らかであるように、上述したアンカー素子構造のそれぞれは、アンカー素子が完全に展開されている場合であっても、実質的に遮られていないIVCとの確実な固定に共通する特徴を含む。IVCの閉塞を最小限にするかまたは排除することにより、検知素子または検知位置から離れて位置するアンカー素子の配置とともに、本開示の実施形態は、静脈圧または容積が変更されたときにIVCが崩壊または拡張する自然な傾向に影響を及ぼすことなく、より長い期間にわたってIVC内に配置されたままであり得る。
【0073】
ほとんどの場合、上記の例示的なアンカー素子によって提供されるようなIVCを通る非閉塞的な経路を維持することが望ましいと予想されるが、場合によっては、本明細書に記載の監視デバイスを、例えば
図22の例に示すように、IVCフィルタと一体化させることが望ましい。IVCの拡張を監視することに加えて、デバイス2200は、脚部から塞栓形成する任意の凝結塊を捕捉し、IVCフィルタに関して独立のデバイスとして理解されるように、それらが肺に到達するのを防止する。デバイス2200は、バッテリを有する電子カプセル2203、センサ、メモリ、テレメトリなどへの接続部、アンカー部材2209を有するステント状アンカー素子2206、およびマーカ素子2215を支持する可撓性アーム2212を含む。この実施形態では、マーカ素子2215が電極として示されている。電極は、
図1の実施形態に関連して上述した電極と実質的に同じであってもよい。さらに、デバイス2200の上方にあるアーム2218は、IVCの内腔を横切って延び、脚部から塞栓形成する任意の凝血塊を保持するバスケットを形成するように交差する。
【0074】
図23および
図24は、デバイス2300および2400をそれぞれ示している。デバイス2300および2400は、IVCまたは上大静脈(SVC)、あるいはその両方の長さに沿った縦方向インピーダンスを測定するように構成される。デバイス2300は、アンカー2303を含む。アンカー2303は、IVCに係合し、電子カプセル2306を固定する。一方の電極2309は、電子カプセル2306に比較的接近して設けられる。絶縁直線ワイヤまたは絶縁螺旋ワイヤ2312は、IVC壁に寄りかかり、第2の電極2315につながる。第2の電極2315は、IVC、右心房、またはSVCよりも上方に位置する。インピーダンスを測定するためにこれら2つの電極の間に単純な直流電圧を印加するよりも、血液を介してより低いインピーダンスを示す特定の交流周波数を印加し、IVC壁を横断して他の組織を通るより高いインピーダンスを印加することがより効果的である。これにより、このようなデバイスはIVC容積の変動をさらに効果的に測定することができる。あるいは、デバイスは、長手方向および半径方向の両方のインピーダンスの変化と組み合わせて測定し、IVC体積の変化のさらに効果的な測定値を収集することができる。
【0075】
さらに、
図24はデバイス2400を示す。デバイス2400は、標準的なIVCフィルタと同様の形状を有する。IVCフィルタは、ストラット2403の曲げ変形を使用して、デバイスの中央本体2409上の圧力センサ2406に圧力を加える。ストラット2403は、本体2409から半径方向外側に延び、IVCの壁に係合して固定するように構成された遠位先端2412を有する。ストラット2403は、血管が収縮して膨張するときに壁とともに移動するように可撓性と弾力性を有し、これにより、ストラットによってセンサ2406に及ぼされる力を変化させる。電子カプセル2415は、センサ2406に電力、制御および通信を提供する本体2409内に収容される。
【0076】
図25は、IVCフィルタと同様に構成されたデバイス2500の別の実施形態を示す。しかしながら、この実施形態では、デバイス2500は、側方ストラット2503、および前後ストラット2506を備える。側方ストラット2503は、デバイスをIVC内に固定するようになっている。前後ストラット2506は、IVC内の前壁および後壁の移動に伴って屈曲するようになっている。したがって、前部および後部ストラット上のセンサまたは電極などのマーカ素子2509間の距離を測定することができる。他の実施形態と同様に、デバイス2500は、電子カプセル2512を含む。電子カプセル2512は、ストラットの構造的支持を提供し、前述の他の場所で必要な電力機能および制御機能を含む。
【0077】
図26は、デバイス2600がステント2603として構成されている、さらに別の実施形態を示す。ステント2603上のマーカ素子2606は、IVCの2つの異なる断面(外側−内側および前方−後方)に配置される。ステント2603は、弾性自己拡張構造を有する。この構造は、IVCとともに拡張および収縮する。ステント2603は、メッシュまたは織り構造、ジグザグまたは類洞(シヌソイド)形状を有する単純なワイヤ形態、またはチューブから切断された一連の閉鎖または開放セルであり得る。電力および制御は、前述したように、電子カプセル内の一体化された電力およびデータ伝送コンポーネント、または外部エネルギー送達手段を介して直接電力供給されるマーカ素子センサによって提供され、外部モジュールに直接情報を送信することができる。
【0078】
図27Aおよび
図27Bは、ステント構造2706によって適所に保持された2対のアーム2703をデバイス2700に備えた別の実施形態を示す。マーカ素子2709(例えば、前述の電極、超音波結晶または他のセンサなど)は、各アーム対の先端に位置する。これらは、患者内において各対の一方の側がIVCの前壁から、他方が後壁から延びるように配向されてもよい。
図27Bに示すようにIVCが崩壊すると、アームは一緒にはさむ傾向があり、マーカ素子2709を保持する頂点は互いに接近して動く。この位置変化が検出されてもよい。変形例として、ひずみゲージ型センサまたは他の角度検出を使用して、圧縮からの角度の変化のみを、または距離センサの変化と組み合わせて検出することができる。デバイス2700のような実施形態は、センサがIVC壁の実際の動きよりも大きい距離だけ互いに対して移動するように構成することができ、それによって前壁から後壁までの距離の変化を拡大する。
【0079】
本明細書に記載のデバイスの実施形態は、種々の場所からIVCに送達することができる。鎖骨下静脈または橈側皮静脈は、ペースメーカおよび除細動器のリード線を挿入する通常の経路であるため、これらのリード線を、ペースメーカ自体に取り付けることができる。ペースメーカは、鎖骨下静脈のすぐ下の鎖骨下ポケットに配置される。本明細書に開示される実施形態は、鎖骨下静脈、橈側皮静脈、頸静脈、または大腿静脈から同様に送達され得る。静脈循環への他のアクセスポイントを使用することもできる。
【0080】
本明細書に開示される特定の実施形態の1つの例示的な送達方法は、送達されるべきデバイスを、カテーテル内に圧縮させることである。なお、このときデバイスには、カバースリーブが被せられる。カテーテル内のガイドワイヤ内腔は、ガイドワイヤを蛍光透視法または超音波誘導下でIVC内に配置することが可能となり、その後、送達カテーテルは、そのガイドワイヤに沿って適切な位置に進められる。適切な位置が確認されると、カバースリーブが抜き取られ、デバイスがIVCの壁に対して自己拡張することが可能になる。適切な臨床適応の下で、開示されたデバイスは、蛍光透視法を必要とせずに、超音波画像誘導の下でベッドサイドで送達され得る。
【0081】
デバイスが電子リード線を有する場合、リード線は、ペースメーカリードを最適化するために使用されたすべての設計、材料、および技術を利用することができる。このリード線は、
図3に示すように、循環系内の第2の固定素子まで延在することができる。あるいは、
図4に示されているように、循環システムの外の移植可能な素子に延びてもよい。
【0082】
動力源として、本明細書に記載された実施形態は、誘導コイルを含むことができる。誘導コイルは、身体の外部からの動力源を使用してデバイス上のセンサに電力を供給する。外部電源デバイスには、センサへの安定した電力供給を維持するための小型バッテリまたはコンデンサ(キャパシタ)も含まれている。外部電源は、患者の首の周りのネックレスから垂下するペンダントの形態であってもよく、またはシャツポケットに入れられ、患者の胸部または腹部の周りに縛られ、患者のベルトにクリップされたモジュールであってもよく、移植されたデバイス近傍の他の位置に配置されてもよい。また、患者のベッドサイドまたはマットレスや枕の下に置くこともできるため、患者が寝ている間は毎晩、電力を供給したり、測定したり、データをダウンロードしたりすることができる。
【0083】
IVCの利用可能な断面積および現在の埋め込み型デバイス回路の低電力要件が与えられれば、長期のバッテリおよび回路を含む本明細書に記載されたデバイスの実施形態は、血流を乱すことなくIVCに安全に埋め込まれ得る。このようなデバイス用の送達カテーテルの直径は、大腿静脈を介して送達される場合、24〜30フレンチサイズ(8−10mm)と同じ大きさであり得る。楕円形埋め込みデバイス全体または構成素子は、特に、例えばデバイスがステント状本体または複数の金属アームを有する場合に、身体の外側でこのデータの伝送を強化するためのアンテナとして使用することもできる。
【0084】
さらに別の代替的な実施形態では、検出デバイスは、例えば
図28A−Cに示されるように、IVCの外側に埋め込まれてもよい。この実施形態では、デバイス2800は、IVCの外周に移植されるように構成され、これにより、電子カプセル2806から延びる2つの弾性アーム2803を含む。マーカ素子2809は、端部または弾性アーム2803に沿った他の場所に配置される。アーム2803は、例えば、内部にワイヤを有する、コーティングされた弾力のある可撓性材料または管状の絶縁体であってもよい。デバイス2800は、他の従来の腹腔鏡手術によって配置することができる。肝臓の直下および/または後部における腹部への適切な後側部アクセスにより、外科医がIVCに進むことができるはずである。このようにして、デバイス2800などの弾性ループ装置は、
図28Bに示すように、IVCの周りに巻き付けられることができる。
図28Cは、まっすぐにされたデバイス2800を含む送達デバイス2815の一実施形態を示す。送達デバイス2815は、IVCの周りのデバイス2800の送達および位置のための押し込み素子を備えたカテーテルまたはトロカールなどの管状部材を含み得る。
【0085】
さらに別の実施形態では、縫合糸、クリップ、接着剤、または他の機械的取り付け手段によって定位置に保持することによって、IVCの外壁の一方の側に、本明細書に記載の他の場所のマーカ素子を移植することができる。このような外部センサタイプの素子は、機械的、音波的、インピーダンス、または他の手段を介してIVC断面積を測定することができる。
外部起動によるマーカ素子の実施形態
【0086】
上述の実施形態は、電子機器を備えた埋め込み可能なシステムに焦点を当てている。この電子機器は、IVC寸法および他の生理学的に重要なデータを測定し、次いでその情報を患者の体外に位置する受信器に送信する。以下に説明される実施形態は、外部器具を使用してIVCを測定するための装置、システムおよび方法を含む。外部デバイスは、より複雑なインプラントまたは埋め込まれた能動的測定装置、および/または測定データの体外への送信を潜在的に必要とすることなく、埋め込み型マーカデバイスと通信してIVC寸法を測定する。このようなデバイス、システムおよび方法は、受動素子を含むことができる。受動素子は、IVC寸法を計算して、伝達するために外部機器と共に使用される。より具体的には、開示されたシステムは、1つ、2つまたはそれ以上のマーカを有することができる。マーカにより、身体の外側の機器が高度な訓練または人間の分析を必要とせずにIVC寸法を容易に測定することができる。このようなシステムは、携帯型で、比較的安価な機器を使用して測定を行うことができる。
【0087】
図29に示される、開示された一実施形態では、デバイス2900は、2つ以上の受動素子2903を含む。IVCに埋め込まれるように構成される。受動素子2903自体は、体外からそれらに向けられた信号を反射するように構成されている。このような受動素子リフレクタは、ニチノールなどの金属製であってもよいし、または他のエコー反射材料(または、使用される信号を反射する他の適切な生体適合性材料)から作製されてもよい。受動素子2903は、アンカー分離構造2906によって、本明細書ではステント様構造として例示されたアンカー構造2909に接続されている。ステント様構造は、ニチノールまたはIVC壁と係合するように付勢された他の弾性材料でできている。本明細書に記載の他のアンカー素子を代替的に使用することもできる。
【0088】
当業者であれば、
図29に示される技術は、本開示において提示される他の図のように、特定の寸法で表されていないことは十分に理解できるであろう。接続素子2906は、アンカリング構造がマーカの位置から上流または下流に離間した位置に配置されるように適切に伸長され得る。したがって、アンカリング構造はIVCの自然な幾何学的形状および動きに影響を与えない。IVCの幾何学的形状および動きは、前述した受動素子によって測定される。受動素子2903は、IVCの前壁および後壁に対して外側に穏やかに付勢されて、IVCとの接触を保持することができる。
【0089】
受動マーカ素子を使用する他の実施形態では、受動素子は、ステントなどのアンカー構造に直接取り付けられ、接続素子によってそこから分離されない。あるいは、マーカ素子は、IVC壁にステープル止め、ねじ止め、縫合、または他の方法で固定することができる。
図29に示すような受動素子は、溝、チャネル、穴、くぼみなどを含む有窓であって、それらの上にIVC壁組織の内殖を促進することができる。また、受動素子は、信号の反射を高める表面テクスチャまたはコーティングを有してもよい。例えば、表面は、それらの信号をより効果的に反射するために、壁が互いに直角または他の選択された角度である一連の溝またはくぼみを有することができる。代替的に、このような溝、チャネル、または他の特徴部は、各受動素子上に、ユニークなパターンで配置されてもよい。このようなパターンは、外部検出機器によって互いに明確に識別可能であり、互いからおよび周囲構造から区別可能にする。他の実施形態では、受動素子は、既知のサイズのものであってもよいが、直交方向(例えば、周方向に少なくとも1つ、および軸方向に1つ)のように、互いに異なる既知の角度で配向されている。このため、反射信号の長さおよび方向は、3次元で各受動素子の位置を決定することができる。
【0090】
本明細書に記載されたタイプの受動素子は、それらの移植から数ヶ月以内に、IVC壁内に完全に癒着されると予想される。後方受動素子は、前方受動素子よりも幾分大きくてもよいし、前方受動素子からオフセットしていてもよい。その結果、読み取り/検出機器が前方腹部に対してどこに保持されているかにかかわらず、後方受動素子は前方受動素子を遮蔽しない。
【0091】
上述したような受動素子と共に使用するための読み取り装置は、一般的な従来の超音波信号発生器および受信器を備えることができる。これらは、
図30および
図31に概略的に示すように、IVC内の装置を検出するために体外の前腹部または胸部に対して保持される。この例示的な実施形態では、超音波システム3000は、テーブルトップ制御コンソール3006およびディスプレイ3009に接続された手持ち式プローブ3003を含む。有利な点として、超音波システム3000はIVCを撮像する必要はない。但し、選択的には撮像してもよい。したがって、超音波プローブ3003は、パルスを断続的に送達し、同じ結晶によって反射エコーが検出されるまでの移動時間を測定する単結晶として提供することができる。超音波プローブ3003は、例えば
図31に示すように、本体壁BWを介して音波信号を送信する。受信器は、IVC内に埋め込まれたデバイス2900上の2つの受動素子2903からのその信号の反射を記録する。システム3000は、それらの相対距離、サイズ、形状、窓のパターン、エコー反射性コーティングまたは他の特徴の差異を含む様々な方法のいずれかで2つの受動素子を区別することができる。例えば、移動時間の計算によって、2つの受動素子の相対的な間隔を計算することができる。この距離を1秒間に多数回測定することにより、IVC寸法の変動の正確な評価を行うことができる。
【0092】
システム3000は、信号を送信した後の適切な時間内に受動素子から適切な数の信号を探すようにプログラムすることができる。これは、他の情報源または脊椎のような解剖学的構造からの不適切な信号反射を追跡するリスクを最小にする。使用時には、プローブ3003は、前腹部に対して保持され、すべての受動素子から効果的なエコーを受信するまで、穏やかに再指向される。この時点で、システム3000は、可聴信号を発するか、緑色の光を表示するか、または他の指示手段を使用して、器具が患者に適切に配置されていることを確認する。システム3000は、読取が行われている間、装置を適所に保持するために締めることのできる患者の体の周りのストラップを含んでもよい。また、患者は、読取が行われている間、それを手動で、あるいはテープ、接着剤、またはその他の手段を用いて適所に保持することができる。
【0093】
さらなる代替実施形態では、受動素子の代わりに、またはこれに付随して、より能動的な素子を、デバイス2900のような埋め込み型デバイスに含めることができる。このようなより能動的な素子は、圧電素子または他の結晶を含むことができる。これらは、到来する音波信号を吸収し、これらの信号を受信器に再送信する。このような実施形態は、外部から供給される磁気、電気、または超音波の電界によって動力を与えられる能動素子をさらに備えることができる。このような能動的な実施形態では、能動マーカ素子は、
図29の素子2903によって概略的に示されてもよい。能動マーカ素子は、その後、外部デバイスが位置をより正確に決定できるようにする信号を発することができる。さらなる例では、各能動マーカ素子は、誘導コイルまたは他の手段と、コンデンサまたは他の手段と、圧電結晶とを含む。誘導コイルまたは他の手段は、可変の外部電場または磁場からエネルギーを集める。コンデンサまたは他の手段は、そのエネルギーを蓄える。圧電結晶は、これらの素子を管理する適切な回路と共に、超音波信号を送信する。そのような外部電源式能動マーカ素子は、過度に複雑である必要はなく、十分に充電または励起されれば超音波信号を発信する。あるいは、外部システムは、トリガー信号を送信して、発信するタイミングを各マーカ素子に伝えたり、それらをすべて同時に発信させたりすることができる。
【0094】
能動超音波放射マーカ素子を使用する実施形態では、生成された信号を検出するために、体表面に1つ以上の外部超音波受信器を配列することができる。当業者には理解されるように、再び移動時間計算を使用して、身体内の能動マーカ素子の正確な位置を決定することができる。能動マーカ素子が同時に発信された場合、前腹壁上に位置する1つの超音波受信器は、IVCの前後方向の寸法を正確に測定するのに十分であり得る。それらが同時に発信しなければ、複数の受信器が必要になり得る。外部センサは、前方−後方測定の精度を最大にするように配列することができる。
図32は、身体の横断面および2つの外部センサ3203の一配列を示す。IVC内の移植された能動マーカ素子2903から患者の前腹部のセンサ3203Aまでの距離は、前後(A−P)IVC寸法が変化するにつれて直接的に変動する一方、移植された能動マーカ素子2903から患者の側部のセンサ3203Bまでの距離は、ほとんど変化しない。各能動マーカ素子からの超音波信号が、センサAまたはセンサBにそれぞれ達するのにかかる時間の差を分析することにより、IVCのA−P寸法を計算することができる。少なくとも2つのセンサ(例えば、IVCの前壁のものと、後壁のもの)が使用されている限り、それらの相対的な動きは非常に正確に測定され、例えば、呼吸中の腹壁の上下動などの他の動きは相殺される。また、素子2903は、
図28A−Cの実施形態に示されるように、IVCの外面に埋め込まれてもよいこと、またはセンサ3203の代わりにトランスデューサが使用される場合、受動素子であってもよいことに留意されたい。
【0095】
受動または能動マーカ素子から位置を決定する他の方法も使用され得る。例えば、一実施形態では、マーカ素子は、上述したデバイスの実施形態を使用してIVC壁に対して埋め込まれた1つ以上の小さな磁石を備えることができ、磁石の位置および動きを検出するために高感度磁力計を使用することができる。SQUID磁力計(超電導量子干渉素子)は、高温SQUIDを超伝導温度に誘導するのでさえも冷却装置を必要とする可能性があるが、移植された磁石の位置の変動を非常に敏感に測定するために使用することができる。他のタイプの磁力計を使用することもできる。
【0096】
さらなる代替実施形態は、超音波結晶を含むようなマーカ素子の移植を含むことができる。超音波結晶は、超音波画像上で非常に明るく現れる。超音波システム内の自動画像解析ソフトウェアは、マーカ素子位置を自動的に検出し、それらを記録することができる。このアプローチの一実施形態は、ニチノールアームを有するステントを移植することである。ニチノールアームは、自動化ソフトウェアを使用する超音波画像システムによって簡便に識別できる。
図29に示すものと同様の埋め込み型デバイスは、ステントと、2つ以上の金属アームとを含むことができる。ステントは、腎静脈の尾部に移植される。2つ以上の金属アームは、腎静脈の頭部に延びている。例えば、1つのアームをIVCの前壁に沿って配置し、他方のアームを後壁に沿って配置することができる。腎静脈頭方へのIVCの横断面超音波画像は、これらのアームを横切り、超音波画像に明瞭な印として現れる。画像解析ソフトウェアは、これらのマークを識別し、それらを追跡し、IVC寸法の変動を自動的に測定することができる。これらの測定を一貫させるために、患者または介護者は、特定の場所の患者の腹部に超音波画像トランスデューサを保持するように訓練することができる。皮膚の入れ墨または他のマーキングを使用して、測定を行う一貫した場所を特定することができる。一実施形態では、
図33に示すように、着用可能な検出システム3300は、超音波プローブ3303を含む。超音波プローブ3303は、ストラップ3306およびバックル3309を介して患者の所定位置に固定され得る。超音波プローブ3303はまた、身体接触タブ3315に取り付けられる窓3312、または他の表示部を含んでもよい。窓3312、または他の表示部は、身体の位置標識に配置されるか、位置標識に隣接して配置され、プローブ3303の適切な位置を保証する。超音波プローブ3303は、携帯電話のような外部デバイス3318と無線通信することができる。外部デバイス3318は、プローブを制御し、測定データを表示し、それを他のシステムまたは携帯電話に送信する。代替的に、超音波トランスデューサは、トランスデューサが、胸郭の底部からの距離のような様々な解剖学的ポイントから一定の距離で確実に配置されるような形状にすることができる。
【0097】
さらなる実施形態は、埋め込まれた素子がないIVC寸法を監視するシステムである。例えば、ポータブルな外部超音波システムは、プロセッサおよびソフトウェアを備えることができる。プロセッサおよびソフトウェアは、IVCを自動的に識別するために、合理的に一貫した腹部の超音波画像を分析する。このソフトウェアは、その後、その画像内のIVCの前壁および後壁を自動的に識別し、IVC寸法の経時変動を連続的または定期的に測定および記録する。そのような実施形態では、システムは、発信器および受信器を含む。発信器および受信器は、患者に固定することができる、または患者の皮膚上の1つ以上のマークされた位置に配置することができる。これにより、測定値が一貫した位置から取得される。好ましくは、このようなシステムは、軽量でコンパクトなハウジングに収容され、バッテリ駆動であり、患者が装着するのに十分小さく、または測定中に患者が容易に保持できることが好ましい。また、この実施形態では、
図33に示すようなシステム3300が用いられる。
【0098】
IVCの識別およびプローブの適切な位置決めを単純化するさらなる方法として、患者が最初にシステムを使用し始めたときに、患者の腹部の大部分の3次元超音波マップを超音波システムのメモリに格納することができる。その点から、その3次元体積内のプローブおよびその2次元スライスの最適な位置を定義することができる。そして、患者が次の測定で撮像されると、超音波システムは、画像を3次元マップと比較し、所望のスライスに対する画像の相対位置を決定する。そして、撮像者にその画像を表示し、プローブを頭側、尾側、内側、または側方に動かし、最適な位置に到達させる。
【0099】
上述のマーカ素子に基づく実施形態のすべてにおいて、そのようなシステムの外部構成素子は、好ましくは、IVC寸法を患者に報告し、その情報を患者の医者または患者の健康を監視する他の人々に無線で送信するように構成される。それらは身体の外部にあるので、サイズはそれほど重要ではなく、このような構成素子は、後により詳細に説明するように、Bluetooth(登録商標)、WiFi(登録商標)、携帯電話、または他の通信様式を通じて、医師または他の観察者と通信可能にさせる電池を有することがより重要である。あらゆる低侵襲性IVC監視システムの超音波受信/送信素子は、患者が継続的に装着するように構成することができ、または1日に1回またはそれ以上の時間にわたって使用することができる。すべての外部構成素子は、単一のハウジングに収容されてもよく、または2つ以上の別個のユニットに分割されてもよい。例えば、
図30に示すシステム3000では、超音波受信器/送信器プローブ3003は、無線で、またはケーブルで、コンソール3006に接続されてもよい。コンソール3006は、ユーザ制御機能を提供し、計算を実行し、情報を記憶し、表示し、無線ネットワークを介して携帯電話またはインターネットと通信するように適合される。コンソール3006は、CPU、メモリデバイス、および入力、通信および記憶のための他のコンポーネントを含むことができる。他のコンポーネントは、
図46に関連して以下でさらに詳細に説明される。このように、送信器/受信器プローブは、小型かつ軽量で着用可能であり(
図33参照)、一方、制御コンソールは、より大きなテーブルトップユニットとすることができる。
注入可能な他の受動マーカの実施形態
【0100】
上述した実施形態は、主として、能動マーカ素子に基づく実施形態と、より受動なマーカ素子とを含む。受動マーカ素子は、アンカー素子または他の同様の適切な手段の様々な実施形態によってIVC壁に固定され得る。さらなる代替実施形態では、以下に記載されるように、マーカ素子がIVC壁の中または内部に配置または注入される。いくつかの臨床状況では、IVCの内壁または外壁に固定されたマーカ素子の代わりに、そのような配置がより容易であるか、または好ましい。
【0101】
そのような注入可能なタイプの一実施形態では、
図34Aおよび
図34Bに示すように、比較的小さいガイドカテーテル3403をIVCに導入し、そのカテーテルを通して針またはブレード3406を導入することができる。超音波または透視による案内の下で、針3406は、IVCの適切な壁に向けられ、壁に挿入され得る。針/ブレード/カテーテル3406は、針またはブレードの貫通深さを制限するように、壁面と係合するようにその遠位先端から所定の距離だけ肩部または柄部を有してもよい。針またはブレード3406は、IVC壁内にポケットまたはフラップを形成するように構成され得る。IVC壁には、マーカ素子3412を含む生体適合性または吸収性物質3409が配置または注入され得る。システム3400は、マーカ素子3412をIVC壁の中央、例えば、IVCの内側層と外膜層の間、または内膜と内層の間などに送達するようにさらに構成されてもよい。システム3400はまた、マーカ素子3412をIVC壁の厚さを通して外部に送達する。これにより、例えば、
図34Bに示すように、マーカ素子3412をIVCの外面に付着させることができる。
【0102】
注入可能なマーカ素子は、可撓性ワイヤ、リボン、またはガイドワイヤセグメントであってもよい。これらは、例えば、カテーテルまたは針をIVC壁内またはIVC壁に対して容易に前進させることができる。そのようなマーカ素子は、送達ワイヤまたはカテーテルに取り付けられ、必要に応じて除去または再配置され得る。マーカ素子は、適切な位置決めが確認された後に、送達システムから取り外されるだけである。
図35に示されるシステム3500は、コイル状ワイヤマーカ素子3503を使用する。コイル状ワイヤマーカ素子3503は、送達カテーテル3506を用いて展開される。送達カテーテル3506は、マーカ素子が送達カテーテル3506の遠位端に到達するまで、2つの顎3509を用いてマーカ素子3503を保持し、その時点で顎が分離してマーカ素子を放出する。マーカ素子3503は、ネジ接続、インターロック機構、電解または他の可溶性接続、または当技術分野で公知の他の放出機構により放出されてもよい。
【0103】
このような注入可能なマーカ素子の実施形態で使用するためのガイドワイヤセグメントの実施形態の例が、
図36A−Eに示されている。このようなセグメントは、超音波または他の信号を反射するように最適化された表面組織を有し、プラチナ、チタン、金または他の材料のような金属性であってもよく、またはポリマーであってもよい。ポリマーの実施形態は、適切なエコー反射面および放射線不透過性マーキングを用いて成形することができる。代替的に、このようなガイドワイヤマーカ素子は、各端部がシールされ、空気またはエコー反射性流体で満たされた中空ワイヤの部分を含むことができる。ワイヤまたはリボンは、かかり、うろこ、または他の特徴部を含み、それがIVC壁からの裏抜けまたはIVC壁を完全に通って移動することを防止する。
図36Aは、簡単なガイドワイヤコイル3603を示す。
図36Bは、ポリマー3607で被覆されたガイドワイヤコイル3606を示し、永久的に空気を閉じ込めて高エコー反射マーカを生成する。
図36Cは、エコー反射率を高める表面テクスチャ3612を有するコイル状リボンマーカ素子3609の拡大図を示す。
図36Dは、密封された空気チューブとして形成されたマーカ素子3615を示す。
図36Eは、マーカ素子3618を示す。マーカ素子3618は、硬化の前に乳化されたシリコーンのようなキャストポリマーのチューブとして形成され、多くの小さなエコー反射性ガス泡3621を閉じ込める。ガス泡3621は、ポリマーの壁を介した経時的な吸収を最小化する特定のガスとすることができる。カテーテルを通って送達される管状またはコイル状のデバイスは、選択的に解放可能な保持機構を備えることができる。これにより、デバイスがカテーテルから解放される前に、最初の配置が確認され得る。このような機構の一例が、
図36Eに示されている。
図36Eは、一端にネジ式コネクタ3624を含み、送達カテーテル内のネジ式解放機構と協働するように構成されている。適切な位置決めが確認されたら、送達カテーテルをゆるめてポリマーチューブを所定の位置に永久的に残す。
【0104】
あるいは、注入可能なマーカ素子は、
図37A−Cに示すように、多数の小さなエコー反射ビーズまたは粒子を含むことができる。これは、IVCの壁またはIVCの外側に対する外膜周囲空間に注入することができる。このような注入可能なマーカ粒子は、シリコーンまたは他のポリマーのような永久または半永久的な材料の周囲の殻に包まれることを除いて、一時的な超音波画像のために一般的に使用される気泡に類似した気体の球体を含み得る。これらの気泡は、超音波信号用の球面反射器を形成する。あるいは、注入可能なマーカ粒子は、90度の角度を有するピラミッド状のくぼみを有する形状にすることができる。このくぼみは、帆船に使用されるレーダー反射器と同様に、信号を非常に効果的に反射する。注入可能なマーカ粒子は、チタンなどの金属であってもよく、またはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)のようなポリマーであってもよい。
【0105】
図37Aは、ランダムなギザギザのエコー反射形状を有する注入可能なマーカ粒子3703を示す。
図37Bは、中空の球形の注入可能な粒子3706を示す。
図37Cは、代替の注入可能なマーカ粒子3709を示す。マーカ粒子3709は、エコー反射性の窪み3712を有する鋳型形成されたまたは成形された構成を有する。このような注入可能なマーカ粒子は、数ミクロンから数百ミクロンの任意のサイズ、または送達カテーテルを通過する最大サイズであり得る。サイズは、特定の周波数の信号の反射を最大にするように特に選択されることがある。このような粒子を提供するために、ナノ粒子に基づく技術も使用され得る。
【0106】
送達中、上記の注入可能なマーカ粒子は、生理食塩水などの流体、またはポリエチレングリコール(PEG)の特定の製剤のようなゲルに懸濁させることができる。PEGは、血管閉鎖用の血管壁、例えばアクセスクロージャーからのMYNXtmデバイスに既に使用されている。それらの処方に応じて、PEGのような材料は、マーカ粒子を適所に永久的に残して、数週間または数ヶ月にわたって再吸収させることができる。あるいは、ポリマー液体として注入することができるが、その後適所で硬化する永久ポリマーを注入することができる。このポリマーは、その中に懸濁したマーカ粒子を有していてもよく、またはポリマー自体がマーカであってもよい。これに使用できる生体適合性ポリマーの一例は、ウレタンメタクリレートである。
図38は、IVCの壁Wに注入されたマーカ粒子3806と混合されたウレタンメタクリレートゲル3803の拡大図を示す。
【0107】
別の代替的な実施形態は、材料3906またはテクスチャを用いてマーカ粒子3903をIVCの内壁に固定または突き刺すことを含むことができる。材料3906またはテクスチャは、例えば、
図39Aおよび
図39Bに示すように、IVC壁へのマーカ素子の成長を促す。フィブリンは、生体適合性材料の一例であり、血管壁に接着し、所定の位置で内皮化することが知られている。他の生体適合性の生体吸収性接着剤も使用できる。マーカ粒子3903は、フィブリンパッチに混合され、IVC壁内またはIVC壁に所望されるように配置され得る。パッチが内皮化され、フィブリンが吸収された後、マーカ粒子は血管壁にとどまる。
図39Aは、血管壁に内皮化されるがパッチ3906自体はまだ再吸収されていないマーカ粒子3903を含むパッチ3906の断面図を示す。あるいは、マーカパッチは、
図39Bに示すように、マイクロニードルまたはマイクロフック3909の「ベルクロ(登録商標)様」組織を用いて設計することができる。この組織はIVC壁に埋め込まれ、適所に恒久的に留まることができる。
【0108】
IVC壁の内面に塗布されるように設計されたマーカ素子4003は、膨張可能なバルーン4006の外側にそれらを取り付けてIVC壁に送達される。そして、IVCにそのバルーンを導入し、
図40Aに示すように、バルーンを膨張させてIVC壁に対してマーカ素子が押し付けられる。マーカ素子4003は、結合されたマーカ素子および送達システムの全体の直径を最小限にするために、比較的長くて細いものであってもよい。IVC壁への付着または埋め込みのための本明細書に記載された様々なマーカ素子は、例えば、
図39Aまたは
図39Bに示すようなこの技術を用いて適用することができる。送達前または送達中に、マーカ素子4003がIVCの前壁および後壁と整列していることを確認することが重要であり、これは、例えば、放射線不透過性マーカおよび蛍光透視法を用いて行うことができる。送達バルーン4006は、送達中にマーカ素子4003を覆うための翼4009を有していてもよいが、バルーンが膨張したときにマーカ素子を露出させるために広げられたり、後退したりしてもよい。あるいは、導入中にバルーン上の所定の位置にそれらを保持するために、マーカ上にカバーシースを設けることができる。次いで、このカバーシースは、マーカを展開するためにバルーンの拡張の直前に引き出される。さらに別の実施形態では、
図40Bに示すようにツーバルーンカテーテル4012を使用することができ、空間4015を通る血液の流れを可能にして、送達プロセス中に血流が中断されないようにする。
【0109】
上述の実施形態で説明したような注入可能型マーカ素子を用いた検知および位置/測定検出は、様々な手段またはシステムによって達成することができる。例えば、注入可能なマーカ素子は、超音波エネルギーを反射するように設計されてもよい。超音波信号が画像化ではなく距離を測定するために使用されているので、信号は比較的低い電力で提供される。IVCは腹部の深部に位置し、人間の組織では高周波信号が急速に減衰するため、周波数はおよそ200KHz〜2MHZの範囲内の比較的低い周波数を使用することが好ましいであろうが、周波数は実際にはより高くなるか、またはより低くなる傾向にある。IVCの前後の寸法は、前方マーカ素子を反射するのに要する時間と比較して、信号が後方マーカ素子から反射してシステムモニタに戻るまでの追加時間を測定するだけで、簡単に測定することができる。人間の軟組織の音速は約1540m/秒であるので、平均的な人間の患者ではIVCのA−P寸法が約20mmである場合、後方反射は、前方反射後約26μ秒後にモニタに戻る。追加の各ミリメートル寸法は、差分に約1.3μ秒を加えるであろう。
【0110】
重要な測定値の1つは、その前後寸法のパーセンテージの変動であり得ることに留意すべきである。絶対的な寸法測定が正確でない場合であっても、パーセンテージの変化は依然として正確なはずである。例えば、モニタがマーカ素子の前方−後方配列の一側面に対して15度である場合、絶対A−P寸法の最大測定値は、〔1−コサイン15度(cos(15°))〕、すなわち3.4%だけ減少し得る。しかし、A−P寸法の最小測定値も同様に減少されるべきであり、そのため全体的なパーセンテージの変化は最小限に抑えられるはずである。同様に、例えば呼吸を伴う腹壁の動きは、2つの反射信号がシステムモニタに戻るのにかかる時間の差に影響を与えてはならない。
【0111】
このような単純な距離測定に必要とされる比較的低い電力が与えられると、監視デバイスを単純な設計とし、非常に低電力の信号であっても良好な信号を得ることができる。これにより、デバイスの安全性とバッテリ寿命の両方が最大となるはずである。しかし、より正確な距離測定が望まれる場合、外部の送信器/受信器は、2つのマーカ素子の相対距離の一貫した正確な測定値を提供するように構成することができる。1つ例示的な実施形態では、
図41に示すように、外部ハンドセット4103は、ハンドル4109上に一定距離離れて取り付けられた2つの発信器/受信器対4106を含む。各発信器/受信器対4106は、患者の皮膚と係合するように構成された接触パッド4712に取り付けられる。各発信器は、移植されたIVCマーカに向かって信号を送信する。IVCマーカは、受信器による受信のためにハンドセットの方へ信号を反射させる。このようにして、各IVCマーカまでの距離は、三角測量によって計算され、非常に正確な測定値を得ることができる。任意に、2つの発信器は干渉を除去するために異なる周波数の信号を送信することができる。
マルチセンサ監視システム
【0112】
上記の背景で言及された肺動脈(PA)圧力測定は、心不全監視へのアプローチとして有望であるが、IVC容量測定は、心不全のより正確で早期の徴候を提示すると考えられる。しかし、IVC容量測定とPA圧力モニタリングとの組み合わせは、疾患進行のより包括的な概念を提供し得る。
【0113】
したがって、本開示のシステムは、PA圧力監視を伴うIVC容積監視、および/または心不全に関連する症状を測定するための他のセンサの両方を含むことができる。複数のモニタ/センサは、有線接続または無線接続のいずれかによって互いに結合されて、それらの間のデータ伝送を可能にするか、または完全に独立して動作することができる。好ましい実施形態では、IVCモニタおよびPAモニタは両方とも、患者の体外の単一のデータ受信器と通信する。あるいは、モニタの1つは、他のモニタにデータを送信することができ、そこから外部の受信器に送信することができる。さらに、2つのモニタの一方に統合された電源は、他方のモニタに電力を供給することができ、または、別個に移植された電源を各モニタに接続することもできる。また、システムは、制御部/データ分析器を含むことができる。制御部/データ分析器は、各モニタから受信したデータを分析し、その結合されたデータを使用して患者の疾患の程度または変化を判定し、警報をオフにするか患者または医療関係者に通知を送信するか判定する。
【0114】
そのようなシステムの1つの例示的な実施形態は、
図42に示すシステム4200である。システム4200は、第1の送達カテーテル(図示せず)と、第2の送達カテーテル4206とを含み得る。第1の送達カテーテルは、IVC容積監視デバイス4203をIVCに移植する。第2の送達カテーテル4206は、圧力センサ4209を肺動脈に移植する。これらのカテーテルの各々は、大腿静脈または腸骨静脈のような末梢静脈に配置された単一の導入器4212を介して導入することができる。あるいは、システム4200は、IVCモニタ4203とPA圧力モニタ4209の両方を担持する単一の送達カテーテルを利用することができる。単一のカテーテル配置により、単一の介入で単一カテーテルから連続的に(先ずPAまたは先ずIVCのいずれかで)送達される移植の監視が可能となる。システム4200などのマルチセンサシステムに含まれ得る他のセンサは、呼吸数モニタ、心調律モニタ、動脈または静脈血圧モニタ、血液酸素飽和度センサ、または心拍出量モニタを含む心不全に関する追加のデータを提供する。
閉ループ治療システムの実施形態
【0115】
本開示は、これまで、心不全における急性代償不全の早期発症を検出するためのIVCの寸法、相対寸法、および寸法の変動を使用するための様々な実施形態、デバイスおよび方法を記載してきた。これらのデバイスおよび方法によって提供される情報により、患者、介護者および医師が疾患を診断または治療するための様々な措置が取られ得る。さらなる実施形態では、IVC監視システムを拡張して、いくつかの異なる治療介入システムの閉ループ制御を提供することができる。急性心不全代償不全の発症を感知し、回復可能な、または代償不全の発症を最小化または排除できる可能性のあるその後の医療介入をもたらすことによって、患者の重大な苦痛または潜在的な患者の死を回避することができ、ヘルスケアシステムにかかる費用および人的資源を大幅に削減するであろう。
【0116】
急性心不全代償不全で入院した患者に対して、静脈内(IV)利尿薬を使用して水分流出を増加させることが一般的な慣行である。心不全患者の多くは、経口利尿薬を服用しているが、心不全の状態が悪化するにつれて、利尿薬は経口で送達されると効果が少なくなる。静脈内または筋肉内の利尿剤送達は、これらの状況において依然としてより有効である。本明細書で企図されるセンサ/モニタからの出力は、例えば、入院患者の設定におけるIV利尿剤の投与量を制御するために、IVポンプと連結され得る。この例では、センサ/モニタは、所望のIVC状態を維持するのに必要なIV利尿薬の投与量を増減する外部モジュールと通信する。外部通信モジュールは、IVポンプと通信する別個のモジュールであってもよく、またはIVポンプに直接組み込まれてもよい。たとえ医師が薬剤の初期注入速度を手動で設定することを望んだとしても、ここでのフィードバックシステムは、IVC状態が適切なレベルに達すると、利尿剤の送達を中断する付加的な安全遮断として作用することができる。
【0117】
また、臨床的実施または開発においては、IVまたは皮下利尿薬を送達することができる着用可能または完全移植可能なポンプがある。今日まで、これらはオープンループシステムまたは非制御のシステムであった。例えば、Zatarain−Nicolasらは、経時的にフロセミド(一般的な利尿薬)を送達するための単純で受動的な一定流量エラストマー皮下ポンプを移植された一連の患者について報告した。本明細書で論じるセンサは、このタイプのポンプの弁付きのものと通信するように構成され、単純な閉ループシステムを作り、皮下利尿薬を送達することができる。
【0118】
あるいは、完全に埋め込み可能な詰め替え可能な薬物ポンプ、例えばMedtronic SynchroMedポンプが、現在、鎮痛薬を送達するために使用されている。完全に移植可能なポンプは、IVCセンサと通信し、IVまたは皮下利尿薬を送達するように構成することができる。一構成では、移植可能なポンプを脊椎縫合袋に埋め込み、IVCセンサを袋に隣接する鎖骨下静脈からIVCに導入することができる。リード線はシステムの2つの素子を接続することができるので、ポンプはIVCセンサからのデータを使用して薬物を注入するかどうか、および薬物をどれくらい投与するかを決定するのに役立つ。ポンプは、薬物を鎖骨下小袋、近くの筋肉組織に送達することができる。あるいは、ポンプは、薬物を血管系に直接送達することができる。薬物を血管系に直接送達する場合、ポンプから血管系への注入内腔は、IVCセンサからのリード線と一体であってもよく、またはそれと平行して導入されてもよい。注入内腔は、遠位先端に弁を用いて設計され、薬物送達を阻止し得る凝固または詰まりの発生を最小限にするようにしてもよい。
【0119】
心不全を治療するために一般的に使用される別の種類の薬物は、循環作動薬である。循環作動薬は、筋肉収縮力を変化させる。本明細書に記載された各実施形態では、利尿薬は、循環作動薬と置換可能であり、または循環作動薬と併用することができる。例えば、利尿薬および循環作動薬の両方を送達するように構成された二重チャンバ薬物ポンプは、本明細書に記載のセンサによって生成され、同センサから通信されるデータに作用するように構成することができる。
【0120】
身体に利尿剤を直接投与することに加えて、薬物ポンプおよび電気的神経調節システムは、腎臓神経の活動を直接調節することによって心不全の制御のために企図されている。腎神経はレニンアンジオテンシン系に直接影響を及ぼし、体液貯留または排泄を調節する。本明細書のIVCセンサは、薬物ポンプまたは神経修飾システムと通信し、腎神経の活性を上方制御または下方制御し、これにより、レニンアンジオテンシン系の作用を増減するように構成することができる。
【0121】
レニンアンジオテンシン系は、心不全の代償不全の他の局面にも調節効果を有することに留意すべきである。注目すべきことに、末梢血管系、特に血管緊張が心不全状態に関与している。本明細書に記載の閉ループシステムの調節効果はまた、レニンアンジオテンシン系のような血管緊張を制御する系に直接作用し得る。
【0122】
IVCセンサが、外部IVポンプと通信するように構成されてもよいことは上述した。同様に、センサデータを使用して、他の外部デバイスを制御して治療結果を達成することができる。例えば、前述の開ループIVCセンサシステムに記載された外部データ収集システムは、その外部システムの一部として、EpiPenと同様の自動薬物注入デバイスを含むように構成することができる。一実施形態では、IVCセンサからのデータが送信されている間に、外部データリーダを身体に接触させて保持することができる。介入が必要であることをデータが示している場合、1つまたは複数の自動注入システムを含む外部システムは、例えば皮下フロセミドを注入する収集データの結果として展開することができる。
【0123】
図43は、IVC監視デバイス(上述した受動または能動)および少なくとも1つの介入治療デバイスを含むことができる閉ループシステムの実施形態の概略図を示す。ここで、機器は互いに通信するように構成されている。IVCモニタおよび治療デバイスは、検知された生理学的データおよび必要な介入を複数の方法で調整するために必要に応じて通信することができる。以下にさらに説明するように、Bluetooth(登録商標)プロトコル、RF通信リンク、マイクロ波通信リンク、超音波通信などを含む一般に使用される通信プロトコルのいずれかを使用することができるが、これに限定されない。
【0124】
一実施形態では、
図44に示すように、IVCセンサの本体の近くに、またはその後方にIVCの壁を介して直接通信を行うことができる。IVCの壁を通るこの直接的な連通は、例えば、監視デバイス4409のアンカー素子4406の側壁から横方向に延びる機械グロメット4403の形態を取ることができる。グロメット4404は、IVC壁の貫通部を通過するように構成される。グロメットアタッチメントは、センサをIVCに固定するのを助け、治療デバイス4412に有線通信ポートを提供するという二重の目的を果たすことができる。グロメット4403は、IVC壁をその外縁周りで機械的におよび/または誘導される治癒反応を介して密閉するように構成されてもよい。また、グロメット4403は、その外端にフランジを含み、IVCの外面に対してシールしてもよい。あるいは、巾着縫合糸を使用して、リード線周りの血管壁をシールすることができる。さらなる代替案は、例えば
図28Bに示す実施形態のように、IVCセンサをIVCの外側に配置することである。治療デバイスが脈管系の外側にもある場合、経壁連結は不要である。監視デバイス4409は、アンカー分離構造4418を介してアンカー素子4406に接続されたマーカ素子4415を利用することに留意されたい。
【0125】
図45に示す実施形態によって例示される別の代替案では、有線通信は、リード線を介して行われる。リード線は、IVCセンサが治療デバイスに直接接続できるように、血管内に延びる。例えば、IVCモニタ4506からのリード線4503は、治療デバイス4512(例えば、両心室ペースメーカのようなペーシング装置)の専用ポート4509に直接接続することができる。IVCモニタ4506からの入力は、治療デバイスのアルゴリズムにプログラムすることができる。例えば、両心室ペースメーカの両室ペーシングアルゴリズムに入力をプログラムして、心臓のペーシングの協調を微調整することができる。両心室ペースメーカは、典型的には鎖骨下袋に配置される。鎖骨下袋は、鎖骨下静脈に導入され、心臓内に進入するペーシングリード線4515を有する。そのため、IVCモニタをデリバリーカテーテル上の鎖骨下静脈に導入し、上述した技術を用いてIVC内を進行させることができる。この実施例は、以下に記載される治療デバイスのいずれかの作用を調節するために組み込むことができる。
【0126】
デバイスにIVCセンサデータを供給することによって治療デバイスを直接操作して治療アルゴリズムを変更する代わりに、センサから延びる別個のリード線(またはセンサから発信される無線信号)を利用して治療デバイスの動作を変更してもよい。例えば、IVCセンサから延びるリード線は、センサ装置からの信号が治療デバイスの信号と相互作用して、センサからの信号が治療デバイスの動作を変更する位置に配置することができる。より具体的には、センサからのリード線をペーシング装置からのリード線に近接して配置することができ、これにより、センサからの信号でセンサリード線から信号が送信され、治療デバイスからの信号を妨害するか、増大させることができる。
【0127】
上述した作用の干渉モードの実施形態は、ペースメーカまたは両心室ペースメーカからのリード線と並行して、センサからのリード線を配置することを含んでもよい。これにより、センサからの信号は、ペースメーカからの信号を打ち消す、または逆にペースメーカからの信号を増大させ、送達された治療を改変または調節することができる。この実施例は、以下に記載される治療用デバイスのいずれかの作用を調節するために組み込むことができる。閉ループシステムへのセンサデータの統合は、心不全およびそれに関連する併存疾患の治療のために現在市販されているまたは開発中の多くの異なる治療デバイスおよび方法で達成され得る。
脊髄刺激による閉ループシステム
【0128】
体内の交感神経活動および副交感神経活動のバランスを調節することによって心不全を治療するために、脊髄刺激(SCS)が試験されている。これは、典型的には、埋め込み型パルス発生器(IPG)または神経刺激装置の外科的埋め込みを伴う。埋め込み型パルス発生器(IPG)または神経刺激装置は、一連の低エネルギーの電気インパルスを送達するために脊髄の近くに配置された電極を有する。IPGは、典型的には、脊柱の近くの腹部に移植される。
【0129】
これらの電気インパルスの送達、頻度または強度を調整して、患者の心不全状態の重症度に合致させることが適切であり得る。したがって、IVCモニタとSCSを閉ループシステムにリンクすることが適切な場合がある。IPGは腹部の後壁付近のIVCに非常に近いので、リード線を介してIPGに直接接続されたIVC内にセンサを外科的に埋め込むことが適切であり得る。あるいは、無線マーカをIVCに埋め込むことができ、IPGは、前述した外部監視デバイスと同様に、マーカの距離をワイヤレスで検知して患者の容積状態を決定することができる。
【0130】
次いで、医療提供者は、アルゴリズムに基づいてこの閉ループシステムをプログラムすることができる。アルゴリズムは、患者の状態が比較的健康である場合に、SCSインパルスを低下させるか完全にオフにし、患者の状態が悪化した場合にSCSインパルスの強度を増加させる。このシステムは、心拍数、呼吸数、身体活動などの追加の生理学的情報をその計算に組み込むこともできる。また、外部デバイスと無線で通信し、患者やシステムの状態を患者、医師、または他の介護者に伝達することもできる。
【0131】
この装置の1つの例示的な用途は、慢性心不全の患者の心不全状態を監視することである。それは、患者の体液過負荷傾向を非常に敏感に測定することができ、急性代償不全心不全の発症の前に良好に行うことができる。これにより、患者、医師、看護師、または他の介護者が水分の摂取量を調整し、利尿薬を増やしたり、患者の体液状態を低下させる他の措置を講じたりする時間が与えられる。外部モジュールには、警告が含まれていてもよい。警告は、体液過負荷の危険性が非常に高ければ、患者にベッドから出てより直立して寝るか、病院に直接行くかを知らせる。
【0132】
開示された装置の別の例示的な適用は、急性非代償性心不全のための入院のエピソードの間に患者を管理することである。たとえ患者が静脈内の利尿薬投与、水分摂取量の減少、および水分浄化(透析による体液量の減少)という処置を受けて数日間病院にいたとしても、患者が過剰な体液状態で病院を離れる可能性は非常に高い。これらの状況では、説明された実施形態は、利尿プロセスを滴定し、患者がいつ退院すべきかを評価するために有用に適用され得る。さらに、本開示の教示に基づいて、IVC拡張および変動性のこの新しいパラメータがより広範に研究されるので、心不全、透析、およびショック状態の患者の管理以外の多くの他の状態および状況にとって、それが重要な予後指標であることがわかる。
【0133】
当業者には明らかであるが、本明細書に記載の様々な実施形態に関連して述べたように、1つ以上の態様および実施形態は、本開示の技術にしたがってプログラムされた1つまたは複数の機械(例えば、電子医療情報またはドキュメントのユーザコンピューティングデバイスとして利用される1つまたは複数のコンピューティングデバイス、1つまたは複数のサーバデバイスなど)を用いて、慣習にしたがって実行されることができる。
【0134】
この装置は、データを記憶する電子回路を有することができる。そして、このデータは、遠隔測定システムを介して外部モニタと通信されることができる。次いで、この情報は、患者への提示のためにさらに処理され、リスクレベルまたは推奨薬物摂取レベル、または食事および活動の推奨を簡単に示すことができる。この情報は、患者の医師に転送されることもできる。これにより、医師は、患者の状態を監視し、患者と適切に連絡を取ることができる。
【0135】
この情報は、インターネットまたは他の手段を介して、デバイスを製造または販売する会社に転送されることもできる。したがって、会社は、アルゴリズムを最適化し続けることができる。アルゴリズムは、生データを使用して患者のリスクレベルを決定する。会社は、データを分析するための最新かつ最適化されたアルゴリズムを備えており、処理された情報を患者および患者の医師に送り返すこともできるため、外部モニタに対してすべての生データを会社へ転送させることが最も効果的である。また、会社は、特定の患者ごとにすべての履歴情報を保存するための最も安全なデータ記憶手段を備えることもできるので、特定の患者ごとにデータ分析アルゴリズムをさらに最適化することができる。
【0136】
本明細書で開示される実施形態は、IVC以外の他の身体素子の寸法を測定するためにも使用され得る。センーは心臓に配置することができ、例えば、カテーテル系送達を介してそれらを左心室に配置することができる。また、それらは、錐体外路を経由して心膜内の心臓の表面に置かれることもできる。これらのセンサは、心臓の活動を直接監視するために使用することができる。別の例として、膀胱の状態を監視するために、膀胱上または膀胱内にセンサを配置することができる。膀胱から排液するために自己カテーテル法を必要とする患者では、膀胱が満杯になったときの自動化された警告を発することが有用な場合がある。
【0137】
IVCに埋め込まれたマーカまたはセンサを有する上記の実施形態の全てについて、これらのマーカまたはセンサは、IVC壁を経時的に治癒することができる。したがって、マーカを適所に保持するステント、アンカー、または他の素子は永久的である必要はないかもしれない。そのため、ステントまたはアンカーを生体分解性にすることが望ましい場合があり、これにより、ある期間経過後にIVCにステントがもはや存在しないようにすることができる。アンカー素子の特定の持続時間は、材料の選択、処方、および処理によって、数週間から数年まで変化させることができる。これにより、異物を排除し、IVCをより柔軟にし、より自然に崩壊または拡張させることができる。他の生体吸収性血管素子は、ポリ−L−ラクチドのような材料から作られている。これらの材料はニチノールよりも弾力性が低いため、ステントの設計を変更する必要がある。例えば、ステントは、周方向素子で作製されることができる。周方向素子は、ラチェット(歯止め)を開放してIVCに圧力を加え、ステントを適所に保持する。この生体吸収性ステント用の送達カテーテルは、ステントをIVCに対して能動的に拡張するバルーンを含むことができる。
【0138】
これまで本開示に記載されている実施形態は、主にIVCの体積変化に焦点を当てている。患者が息を吸うと、胸部圧がわずかに低下し、IVCから右心房(RA)への血流が増加する。患者が息を吐くと、胸部圧がわずかに上昇し、右心房への血流が減少する。これにより、呼吸サイクルにわたるIVCの血液量の変動が起こる。この血液量の変動は、必然的にIVCとRAとの間の相対圧力のわずかな変動と相関する。IVC容量測定の代替または補助として、IVCと右心房との間の流体圧力の相対的変動の測定によって、血液量の有用な指標が提供される。単一のリード線に沿って配列された2つの圧力センサを有するインプラント(移植)は、大腿静脈、頸静脈または鎖骨下静脈から移植され、1つの圧力センサがRAに、もう1つの圧力センサがIVCに位置するように固定されることができる。IVCモニタ(無線で外部から電力が供給される、IVCまたはRA内に配備された電子回路によって電力が供給される、鎖骨下インプラントから電力が供給されるなど)に対して異なる構成を有する上述の実施形態は、代替的または追加的に、流体圧の相対変動のこのような測定を採用してもよい。
本開示の実施形態にかかるシステム、制御および通信ハードウェアおよびソフトウェアの態様
【0139】
適切なソフトウェアコーディングは、ソフトウェア分野の当業者には明らかであるように、本開示の教示に基づいて熟練したプログラマによって容易に作成することができる。ソフトウェアおよび/またはソフトウェアモジュールを使用する上述の態様および実装は、ソフトウェアおよび/またはソフトウェアモジュールの機械実行可能命令の実装を補助するための適切なハードウェアを含むこともできる。
【0140】
そのようなソフトウェアは、機械読取可能記憶媒体を使用するコンピュータプログラム製品であってもよい。機械読取可能記憶媒体は、機械(例えば、コンピューティングデバイス)による実行のための命令のシーケンスを記憶および/または符号化することができ、機械に対して本明細書に記載の方法論および/または実施形態のうちの任意の1つを実行させる任意の媒体とすることができる。機械読取可能記憶媒体の例としては、磁気ディスク、光ディスク(例えば、CD、CD−R、DVD、DVD−Rなど)、光磁気ディスク、リードオンリーメモリ「ROM」デバイス、ランダムアクセスメモリ「RAM」デバイス、磁気カード、光カード、ソリッドステートメモリデバイス、EPROM、EEPROM、およびそれらの任意の組み合わせなどが含まれるが、これに限定されない。本明細書で使用される機械読取可能記憶媒体には、単一の媒体だけでなく、例えば、コンパクトディスクの集合体またはコンピュータメモリと組み合わせた1つまたは複数のハードディスクドライブなどの物理的に別個の媒体の集合体なども含まれることが意図される。本明細書では、機械読取可能記憶媒体は、信号伝送の一時的な形態を含まない。
【0141】
また、そのようなソフトウェアは、搬送波などのデータキャリア上にデータ信号として搬送される情報(例えば、データ)を含むことができる。例えば、機械実行可能情報は、データキャリア内に具現化されたデータ搬送信号として含まれてもよく、その信号は、機械(例えば、コンピュータデバイス)および関連する任意の情報(例えば、データ構造およびデータ)を実行するための一連の指令またはその一部を符号化してもよい。関連する任意の情報は、本明細書に記載された方法論および/または実施形態のうちのいずれか1つを機械に実行させる。
【0142】
コンピュータデバイスの例には、電子書籍読取りデバイス、コンピュータワークステーション、端末コンピュータ、サーバコンピュータ、手持ち式デバイス(例えば、タブレットコンピュータ、スマートフォンなど)、ウエブアプリケーション、ネットワークルータ、ネットワークスイッチ、ネットワークブリッジ、その機械がとるべき動作を指定する一連の命令を実行することができる任意の機械、およびそれらの任意の組み合わせを含むことができるが、これに限定されない。一例では、コンピュータデバイスは、キオスクを含むことができ、かつ/あるいは、キオスクに含まれ得る。
【0143】
図46は、コンピュータシステム4600の例示的な形態におけるコンピュータデバイスの一実施形態を示す概略図である。その中では、例えば、制御システムなどの本開示の態様および/または方法のうちの任意の1つまたは複数を制御システムに実行させる指令のセットが実行され得る。制御システムは、1つまたは複数の構成素子によって具体化されてもよいし、このような構成素子で実装されてもよい。1つまたは複数の構成素子は、特に、IVCセンサおよび/またはモニタおよび/または本明細書で開示された関連する構成素子、
図1の電子カプセル118、
図5の電子カプセル503、
図11の電子カプセル1124、
図17の電子カプセル1701、
図18の電子カプセル1801、
図23の電子カプセル2306、
図25の電子カプセル2512、
図28A−Cの電子カプセル2806、
図30のコンソール3006および/または超音波受信器/送信器プローブ3003、
図33のウェアラブル検出システム3300および/または外部デバイス3318、
図41の外部ハンドセット4103、
図42のシステム4200、
図43および/または
図44のシステム1つまたは複数の構成素子、および/または
図45のIVCモニタ4506のうちの任意の1つまたは複数である。複数のコンピューティングデバイスを利用して、1つまたは複数のデバイスに本開示の態様および/または方法のうちの任意の1つまたは複数を実行させるための特別に構成された命令セットを実装することも可能である。コンピュータシステム4600は、バス4612を介して互いに通信するプロセッサ4604およびメモリ4608を含む。バス4612は、種々のバスアーキテクチャの何れかを用いた、メモリバス、メモリコントローラ、周辺バス、ローカルバス、およびそれらの任意の組み合わせなどの種々のタイプのバス構造を含むことができるが、これに限定されない。
【0144】
メモリ4608は、ランダムアクセスメモリ構成素子、読み出し専用構成素子、およびそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない様々な構成素子(例えば、機械読取可能媒体)を含むことができる。一例では、基本ルーチンを含む基本入出力システム4616(BIOS)をメモリ4608に格納することができる。基本ルーチンは、起動中など、コンピュータシステム4600内の素子間で情報を転送するのを補助する。また、メモリ4608は、本開示の態様および/または方法のうちの任意の1つまたは複数を具体化する指令(例えば、1つまたは複数の機械読取可能媒体に格納された命令)(例えば、ソフトウェア)4620を含んでもよい。別の例では、メモリ4608は、任意の数のプログラムモジュールをさらに含むことができる。プログラムモジュールは、オペレーティングシステム、1つまたは複数のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、プログラムデータ、およびそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0145】
また、コンピュータシステム4600は、記憶装置4624を含むことができる。記憶装置(例えば、記憶装置4624)の例には、ハードディスクドライブ、磁気ディスクドライブ、光学媒体を組み合わせた光ディスクドライブ、固体メモリ装置、およびそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。記憶装置4624は、適切なインターフェイス(図示せず)によってバス4612に接続することができる。インターフェイスの例には、SCSI、ATA(アドバンストテクノロジーアタッチメント)、シリアルATA、ユニバーサルシリアルバス(USB)、IEEE1394(FIREWIRE(登録商標))、およびそれらの任意の組合せが含まれるが、これらに限定されない。一例では、(例えば、外部ポートコネクタ(図示せず)を介して)記憶装置4624(またはその1つ以上の構成素子)をコンピュータシステム4600と取り外し可能にインターフェイスすることができる。特に、記憶装置4624および関連する機械読取可能媒体4628は、機械読取可能命令、データ構造、プログラムモジュール、および/またはコンピュータシステム4600のための他のデータの不揮発性および/または揮発性記憶装置を提供することができる。一例では、ソフトウェア4620は、機械読取可能媒体4628内に、完全にまたは部分的に存在することができる。別の例では、ソフトウェア4620は、プロセッサ4604内に完全にまたは部分的に存在することができる。
【0146】
また、コンピュータシステム4600は、入力装置4632を含んでいてもよい。一例では、コンピュータシステム4600のユーザは、入力装置4632を介してコンピュータシステム4600に指令および/または他の情報を入力することができる。入力装置4632の例には、英数字入力装置(例えば、キーボード)、ポインティングデバイス、ジョイスティック、ゲームパッド、オーディオ入力デバイス(例えば、マイクロフォン、音声応答システムなど)、カーソル制御デバイス(例えば、マウス)、タッチパッド、光学スキャナ、ビデオキャプチャデバイス(例えば、スチルカメラ、ビデオカメラ)、タッチスクリーン、およびそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。入力装置4632は、様々なインターフェース(図示せず)のいずれかを介してバス4612およびそれらの任意の組合せにインターフェイスすることができる。インターフェイスには、シリアルインターフェイス、パラレルインターフェイス、ゲームポート、USBインターフェイス、FIREWIRE(登録商標)インターフェイス、ダイレクトインターフェイスが含まれるが、これらに限定されるものではない。入力装置4632は、以下でさらに論じるように、表示装置(ディスプレイ)4636の一部またはディスプレイ4636とは別個のタッチスクリーンインターフェイスを含んでもよい。入力装置4632は、上述したようにグラフィカルインターフェイス内の1つ以上のグラフィック表現を選択するためのユーザ選択装置として利用することができる。
【0147】
ユーザは、記憶装置4624(例えば、リムーバブルディスクドライブ、フラッシュドライブなど)および/またはネットワークインターフェイスデバイス4640を介して、コンピュータシステム4600に指令および/または他の情報を入力することもできる。ネットワークインターフェイスデバイス4640などのネットワークインターフェイスデバイスは、コンピュータシステム4600を、ネットワーク4644、およびそれに接続された1つまたは複数の遠隔装置4648などの1つまたは複数のさまざまなネットワークに接続するために利用することができる。ネットワークインターフェイスデバイスの例には、ネットワークインターフェイスカード(例えば、モバイルネットワークインターフェイスカード、LANカード、モデム、およびそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。ネットワークの例には、広域ネットワーク(例えば、インターネット、企業ネットワーク)、ローカルエリアネットワーク(例えば、オフィス、建物、キャンパスまたは他の比較的小さい地理空間で接続されるネットワーク)、電話回線ネットワーク、電話/音声プロバイダと接続されたデータネットワーク(例えば、モバイル通信プロバイダデータおよび/または音声ネットワーク)、2つのコンピューティングデバイス間の直接接続、およびそれらの任意の組合せが含まれるが、これらに限定されない。ネットワーク4644などのネットワークは、有線および/または無線の通信モードを使用することができる。一般に、任意のネットワークトポロジを使用することができる。情報(例えば、データ、ソフトウェア4620など)は、ネットワークインターフェイスデバイス4640を介して、コンピュータシステム4600に、および/またはコンピュータシステム4600から通信される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のクラウドコンピュータサービス、「サービスとしてのソフトウェア」サービス、「サービスとしてのストレージ」サービス、および/または分散ネットワークまたはコンポーネントは、特に、データを受信、格納、および/または提供する、かつ/あるいは、本開示委の態様にしたがってソフトウェアを実行するために使用される。このことは、本開示全体を読んだ後に、当業者に理解されるであろう。
【0148】
コンピュータシステム4600は、表示可能な画像を表示装置4636などの表示装置に伝達するためのビデオ表示アダプタ4652をさらに含むことができる。表示装置の例には、液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管(CRT)、プラズマディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、およびそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。表示装置アダプタ4652および表示装置4636は、プロセッサ4604と組み合わせて利用されて、本開示の態様のグラフィック表示を提供することができる。表示装置に加えて、コンピュータシステム4600は、限定はしないが、オーディオスピーカ、プリンタ、およびそれらの任意の組み合わせを含む1つまたは複数の他の周辺出力装置を含むことができる。そのような周辺出力デバイスは、周辺インターフェイス4656を介してバス4612に接続されてもよい。周辺インターフェイスの例には、シリアルポート、USB接続、FIREWIRE(登録商標)接続、並列接続、およびそれらの任意の組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0149】
ここに開示されたデバイスの実施形態は、他の生理学的データを測定し、そのデータをその報告および分析に統合することもできる。それは異なるときに使用され、異なる状況に対処できる可能性がある。例えば、患者が立っている間は、患者が座っているとき、伏臥しているとき、または仰臥位にあるときと比較して、IVC直径およびその変化は大きく異なるであろう。したがって、IVCモニタを使用して患者の活動を追跡することもできる。また、心臓の電気的活動を監視し、記録し、伝達するために、電極をIVC素子自体および/またはデバイスに通じるリード線上に配置することができる。
【0150】
本明細書に開示される実施形態について説明された主要な内容は、心不全の管理であるが、それによって収集される実施形態および情報は、他の状態の管理にも使用され得る。例えば、透析を受けている患者の血液量を管理し、透析装置に直接フィードバックを提供して、送達または除去された総液体量を調節することもできる。これは同様に、IVポンプと通信し、ショック状態の急性発作を有する患者の再水和を管理するために使用されることができる。
【0151】
上述のように、腎神経が心不全に対して有する複数の間接的な影響のために、薬物ポンプまたは刺激装置に接続して腎神経を調節する実施形態も可能である。そのような実施形態のデバイスが心臓リズム状態も同様に監視しており、心房細動の症状を検出した場合、その状況の腎神経を同様に調節するようにプログラムされることもできる。求心性腎神経は全身交感神経緊張を増加させることが知られており、全身交感神経緊張の増加は心房細動のリスクを増加させるため、腎臓神経の一時的な脱神経により心房細動の発症が止められる可能性がある。
透析患者におけるIVC容量測定の利用
【0152】
腎臓が正常な容量恒常性を提供していないため、透析患者における容積管理は特に困難であり得る。透析患者は、典型的には、透析セッション間でその体液量を増加させる。腎臓は尿を作り出していないので、透析で他の老廃物を除去しつつ、透析中に余分な量を取り除く必要がある。しかし、過剰な水分の大部分は、細胞および間質量にあり、循環系にはない。他の液体が血液から取り除かれるときに、その容量分が循環系に再流入するには、通常1時間以上の時間がかかる。余分な容量を急速に除去するべきではない。これにより、過度の血液濃縮と潜在的に危険なほど低い血圧がもたらされるためである。過度の血液濃縮は、心筋の気絶および他の重大な危険を引き起こす可能性がある。さらに、透析プロセスを管理する医療従事者が、透析セッション中に患者の血液量を連続的に追跡することは困難であり、非実用的であり得る。したがって、過剰な水分は、通常、透析セッション中に非常にゆっくりと除去される。これにより、細胞内および細胞外の液体が脈管系に戻る速度が低下し、全透析期間の効率が低下する。透析中に循環血液量をリアルタイムで測定する効率的かつ効果的な方法が必要である。
【0153】
第2に、透析の全期間中に安全に可能な限りの容量を除去することが重要である。前述したように、透析セッション間で患者の体液量は増加する。これは、高血圧、肺液、線維症、および心不全を含む多くの潜在的な臨床上の問題を引き起こす。各透析セッションにおいて患者の系内の液体量を最低限にすると、次のセッションでそれらが戻るときまでに液体で過負荷にならない可能性が高くなる。しかしながら、患者の血液量が正常(正しい体液量を有する)であるか、または血液量が過多または過少であるかを決定することは、現在の技術では困難である。したがって、透析セッションの終わりに透析患者の最終血液量を測定する有効な方法も、必要性が高い。
【0154】
現在のところ、透析中の血液濃度は、フレゼニウス(Fresenius)のクリスリン(Critline)またはインテルメディックス(Intelmedics)のCVインサイトなどのデバイスを用いて測定されることが多い。これらのシステムは、患者のヘマトクリットおよび血液酸素化を測定して、患者から除去された体液量を計算する。透析終了時の正常な体液量の評価は、「生体インピーダンス測定」を用いて行うことができる。「生体インピーダンス測定」は、患者の細胞外液量と細胞内液量の指標を示す。これらの測定値は不完全であるが、現時点では最も有用である。
【0155】
IVCの超音波画像化を用いた透析患者の容積状態の測定が研究されている。これは、患者の容積状態の重要な生理学的見解を提供し、患者の体液量が本当に正常であるかどうかに直接関係する。しかし、これはユーザに依存し、技術に敏感で、困難である。また、単一点測定のみを提供し、連続的に容積状態を測定する方法としては実用的とは言い難い。
【0156】
これらのすべての理由で、本開示で具体化されるIVC容積測定システムは、透析患者の容積状態を管理する改善された方法を提供する。記載されたシステムは、連続的なモニタリングを提供し、患者が血液過多、血液過少、または正常血液量であるかどうかの真の測定値を与え、治療を誘導するために使用することができる。本明細書に記載されるIVCマーカは、IVC壁上またはIVC壁内に移植されると、透析セッションの前、最中または後に患者の体液量を監視することを可能にする。透析は通常、医療提供者の専門施設で実施されるため、熟練した専門家が正確を期すために測定値を取得することができる。さらに、患者が透析中に椅子またはベッドに固定されていない状態で、超音波プローブを患者の皮膚に取り付けることにより、透析セッション中にIVCマーカを連続的に監視することができる。閉ループの容積管理のために、IVC容積モニタを透析装置に直接接続することができる。例えば、適切な最小血液量は、医療提供者によって見積もられてもよい。例えば、呼吸サイクルにわたるIVC寸法の平均40%の変動として評価される。次いで、透析装置は、測定において血液量を減少させるが、比較的速いペースでその容量に達した後、透析セッションの残りにわたってその容量を維持するようにプログラムすることができる。このアプローチによって、患者から取り除かれた細胞内および細胞外の液体が最大となる一方、患者の心筋気絶、立ちくらみ、または他の血液量減少の危険性が抑えられる。結果として、透析セッションをわずかに短縮することが可能であり得る。透析の終わりに、IVCモニタは、処置を終了する前に患者が適切な血液量であることを再確認する。
【0157】
透析患者における容積管理のこの説明はすべて、CHF Solution Aquqdexなどのアクアフェレーシスシステムを使用して容積(水分)が除去される心不全患者か、あるいは積極的な利尿薬を使用する場合の心不全患者の管理に同様に適用される。可能な限り迅速に余分な容積を除去することが望ましいが、組織内の余剰容積が徐々に血流に戻り、これにより全体の血液容積があまりにも低くならず、また血液があまりにも濃縮されることもないような時間であれば許容される。
IVC以外の他の血管における容積状態の測定
【0158】
上述の様々な代替実施形態の説明は、一般に、IVCにおける容積測定の内容について行われる。しかしながら、これらの実施形態は、上大静脈(SVC)、右心房、または他の血管にも同様に適用され、同様の測定に使用されてもよい。呼吸サイクルにわたるIVC容積の変動は、超音波画像化を用いた研究において十分に実証されている。呼吸の軽度のバルサルバ効果は、胸骨圧のわずかな変動を引き起こす。この変動は、IVC(腹部内)から右心房(胸部内)への血液の流れを調節する。したがって、この変動はIVCにおいて他の血管よりも顕著であり得る。また、IVC変動は、右心房圧の変動に対してより敏感であり、三尖弁逆流を引き起こす著しい容積過負荷または右心室充満容積の減少を伴う患者においてはそれほど変化しない可能性がある。しかし、非常に敏感な測定システムは、血管の類似の変動を測定することがある。この変動は、マーカの配置および/または測定デバイスの配置のせいで、よりアクセスしやすい。中でも、鎖骨下静脈、頸静脈および大腿静脈は、容積および容積変化を測定できる可能性のある血管である。血管の容積および容積変化は、患者の血液量および/または心不全状態に関する同様の情報を提供することができる。しかしながら、本開示の教示は、それに限定されず、当業者により、本明細書に記載の高感度測定技術を使用して、身体の任意の静脈に適用されてもよい。以下では、上述した1つ以上の実施形態を、単独で、または複数に組み込むことができるさらなる特徴、考察および実施形態について説明する。例えば、上述のように、心臓および循環系をよりよく制御するために、心臓ペースメーカの動作を修正するためのセンサ/モニタ入力の使用が検討される。心不全、より具体的には心不全に関連する液体過負荷を治療する別の実施形態または方法は、レニン−アンジオテンシン系の化学的、神経的、ホルモン的または電気的操作、および腎臓が水を排出または保持する程度を通じて行われる。
【0159】
以上、例示的な実施形態を開示し、添付の図面に示した。当業者であれば、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に具体的に開示されたものに様々な変更、省略および追加がなされ得ることが理解されるであろう。