特許第6924716号(P6924716)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6924716
(24)【登録日】2021年8月4日
(45)【発行日】2021年8月25日
(54)【発明の名称】パワー半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20210812BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20210812BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20210812BHJP
【FI】
   H01L25/04 C
   H01L21/60 321E
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-50582(P2018-50582)
(22)【出願日】2018年3月19日
(65)【公開番号】特開2019-165051(P2019-165051A)
(43)【公開日】2019年9月26日
【審査請求日】2020年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】宮武 和典
(72)【発明者】
【氏名】細井 泰之
【審査官】 平林 雅行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−143282(JP,A)
【文献】 特開2018−006697(JP,A)
【文献】 特開2017−045905(JP,A)
【文献】 特開2015−119121(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/179638(WO,A1)
【文献】 国際公開第2017/221730(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/447−21/449
H01L 21/60−21/607
H01L 23/48
H01L 25/00−25/07
H01L 25/10−25/11
H01L 25/16−25/18
H02M 7/42−7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
前記回路基板に実装されたパワー半導体チップと、
前記回路基板に連結された樹脂ケースと、
前記樹脂ケースに保持され、一端が前記回路基板の導体パターンに接続された端子と、
前記樹脂ケース内に配置され、前記導体パターンと前記パワー半導体チップの上面に設けられた電極とを接続する中継部材と、を備え、
前記中継部材は、前記回路基板に対して間隔を隔てて略平行に延在する上方部と、当該上方部から下方に延設され下端が前記導体パターンに接続された第一脚部と、当該上方部から下方に延設され下端が前記電極に接続された第二脚部と、を有し、
前記樹脂ケースに、前記上方部の延在方向に沿って形成され前記上方部の少なくとも一部が挿入された溝部が形成されたパワー半導体モジュール。
【請求項2】
前記溝部は、上面開放で底面を有し、前記上方部の両側面に対向する両側面を有する請求項1に記載のパワー半導体モジュール。
【請求項3】
前記中継部材は、前記上方部の一端に前記第一脚部の上端が結合し、前記上方部の他端に前記第二脚部の上端が結合している請求項1又は請求項2に記載のパワー半導体モジュール。
【請求項4】
前記溝部は両方の終端が開放状に形成され、前記上方部の前記溝部の一方の終端から延出する部分に前記第一脚部の上端が結合し、前記上方部の前記溝部の他方の終端から延出する部分に前記第二脚部の上端が結合している請求項1から請求項3のうちいずれか一に記載のパワー半導体モジュール。
【請求項5】
前記第一脚部と前記第二脚部の間に配置される前記溝部の構成樹脂部材の長さに所定の遊び寸法を加えた長さが、前記第一脚部と前記第二脚部の間の距離とされている請求項4に記載のパワー半導体モジュール。
【請求項6】
前記第一脚部及び前記第二脚部のそれぞれは、前記溝部の底面に穿設された貫通孔に通されている請求項1から請求項3のうちいずれか一に記載のパワー半導体モジュール。
【請求項7】
前記第一脚部の下端の面積及び前記第二脚部の下端の面積の一方又は双方は、前記上方部の延在方向に直交する前記上方部の断面積に対して同等又は広い請求項1から請求項6のうちいずれか一に記載のパワー半導体モジュール。
【請求項8】
前記第一脚部の下端の面積及び前記第二脚部の下端の面積の一方又は双方は、前記上方部の延在方向に直交する前記上方部の断面積に対して狭い請求項1から請求項6のうちいずれか一に記載のパワー半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワー半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パワー半導体モジュールとして、例えば特許文献1等に記載されるようにパワー半導体チップの上面の電極と、端子とが、中継部材により接続されたものが知られている。
特許文献1に記載されたパワー半導体モジュールでは、カソード電極がサイリスタチップの上面に形成され、サイリスタチップの上面のうちのカソード電極が形成されていない部分に、ゲート電極が形成されている。更に、アノード電極がサイリスタチップの下面に形成されている。
また、特許文献1に記載されたパワー半導体モジュールでは、カソード電極に電気的に接続された第1端子(外部導出端子)と、アノード電極に電気的に接続された第2端子(外部導出端子)とが設けられている。これらの外部導出端子は、一部を絶縁樹脂ケースに埋入するようにして保持される。絶縁樹脂ケースは枠状に形成され、その下端開口にサイリスタチップが搭載された実装基板が固定されている。
更に、特許文献1に記載されたパワー半導体モジュールでは、ゲート電極に駆動信号を供給するためのゲート信号入力端子が板金材料によって形成されている。また、ゲート電極とゲート信号入力端子とを電気的に接続するためのゲート信号中継部材が設けられており、かかるゲート信号中継部材は、上下方向に延在した略柱状に形成されている。
ゲート信号中継部材の上面に、ゲート信号入力端子の先端側部分が配置され、ゲート信号中継部材が、ゲート電極と、ゲート信号入力端子とによって上下に挟まれた配置とされている。
そして、特許文献1に記載されたパワー半導体モジュールでは、ゲート電極と、ゲート信号中継部材の下側部分の下面とが、半田によって接合されている。更に、ゲート信号入力端子の先端側部分と、ゲート信号中継部材の上側部分の上端部とが、半田によって接合されている。
これにより、特許文献1に記載されたパワー半導体モジュールでは、ゲート信号入力端子及びゲート信号中継部材を介してゲート電極に供給されるゲート信号によって、サイリスタチップを介して第1端子と第2端子との間を流れる大電流を制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−143282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のパワー半導体モジュールにあっては、半田接合前のゲート信号中継部材は、チップ上面のゲート電極と、ゲート信号入力端子とによって上下に挟まれるだけなので保持は確実ではなく、ゲート信号中継部材が傾く、倒れる、水平方向にずれるなどの組立困難性を有している。
そのため、特許文献1に記載の発明にあっては、先に高融点半田のリフローによりゲート信号中継部材の下面と、チップ上面のゲート電極とを接続し、後に低融点半田のリフローによりゲート信号中継部材の上端と、ゲート信号入力端子とを接続するという、二回のリフロー工程が必要であったため、以下のような課題が生じていた。
まず、二回のリフロー工程によりゲート信号中継部材の上下端の接続を行うことは製造効率の観点から好ましくない。
また、ゲート信号中継部材の下端が先に固定されてしまうため、ゲート信号中継部材の上端と、ゲート信号入力端子との水平方向の位置ずれ許容範囲の一部が使われたり、同許容範囲を超えて固定されたりするおそれがある。
更に、ゲート信号中継部材が、チップ上面のゲート電極と、ゲート信号入力端子とによって上下に挟まれた配置とされているので、ゲート信号入力端子を先にケースに保持しようとすると、ゲート信号中継部材の長さと、チップ上面のゲート電極とゲート信号入力端子と間の間隔との許容度も比較的厳しく求められる。
【0005】
本発明は以上の従来の課題に鑑みて案出されたものであり、その目的は、パワー半導体チップの上面の電極と、ケースに保持された端子とが、中継部材により接続されたパワー半導体モジュールについて、製造効率、組立て精度、電気的接続の信頼性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のパワー半導体モジュールは、回路基板と、
前記回路基板に実装されたパワー半導体チップと、
前記回路基板に連結された樹脂ケースと、
前記樹脂ケースに保持され、一端が前記回路基板の導体パターンに接続された端子と、
前記樹脂ケース内に配置され、前記導体パターンと前記パワー半導体チップの上面に設けられた電極とを接続する中継部材と、を備え、
前記中継部材は、前記回路基板に対して間隔を隔てて略平行に延在する上方部と、当該上方部から下方に延設され下端が前記導体パターンに接続された第一脚部と、当該上方部から下方に延設され下端が前記電極に接続された第二脚部と、を有し、
前記樹脂ケースに、前記上方部の延在方向に沿って形成され前記上方部の少なくとも一部が挿入された溝部が形成されたパワー半導体モジュールである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のパワー半導体モジュールによれば、中継部材を樹脂ケースの溝部に保持して一回のリフローにより第一脚部の下端を回路基板(導体パターン)に、第二脚部の下端をパワー半導体チップ(上面電極)に接続することができる。したがって、組立て容易であり製造効率が向上するとともに組立て精度が向上する。一回のリフロー工程で中継部材の半田接合を完了することができるから、半田選択の自由度が高まるとともに、更に製造効率が向上し、溶融半田の表面張力によるセルフアライメントにより組立て精度、電気的接続の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るパワー半導体モジュールのゲート接続構造を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るパワー半導体モジュールの中継部材(ゲートアングル)とその支持構造を示す平面である。
図3】樹脂ケースと中継部材(ゲートアングル)の平面模式図であり、異なる4つの構造を示す。
図4】中継部材(ゲートアングル)の正面図であり、異なる4つの構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
【0010】
図1に本発明の一実施形態に係るパワー半導体モジュール1のゲート接続構造が示される。
パワー半導体モジュール1は、回路基板10と、樹脂ケース20と、ゲート信号入力端子3と、ゲート信号中継部材としてのゲートアングル2とを備える。
回路基板10は、金属製のベース板上に、導体パターンを有した絶縁基板を積層し、その導体パターンに下面をダイボンディングされたパワー半導体チップ11を備える。パワー半導体チップ11としてはサイリスタチップ11を例とする。サイリスタチップ11のアノード電極は、チップ下面に形成されていて絶縁基板上の導体パターンに接続し、カソード電極は、チップ上面に形成され、電極板30が接続されている。(電極板30からは、配線材によって並列ダイードのアノード電極等に配線接続される。)アノード−カソード間に大電流が流れるので、こられは比較的大面積で形成されている。これに対しゲート電極11Gは、サイリスタチップ11をスイッチングさせるゲート信号を入力する信号入力電極であり、比較的小面積で形成されている。本例では、ゲート電極11Gはチップ中央に小さく形成され、ゲート電極11Gの周囲にカソード電極が大きく形成され、電極板30に穿設された孔部30aによりゲート電極11Gが露出する。孔部30aの内側においてゲートアングル2の第二脚部2cの下端がゲート電極11Gと半田を介して接合される。
【0011】
樹脂ケース20は、上下端に開口した枠状に形成されるとともに、ゲート信号入力端子3その他の端子を埋入させて保持する。樹脂ケース20の下端開口に回路基板10が連結固定されている。回路基板10を下として上下方向軸をZ軸とし、Z軸に直交し互いに直交する2軸をXY軸として図中に示す。なお、上下方向は、構造を簡便に特定するためであって、本パワーモジュールの設置方向を決めるものではない。
ゲート信号入力端子3の樹脂ケース20内に配置される一端部3aが図示される。ゲート信号入力端子3の一端部3aは、回路基板10の導体パターン12に半田を介して接続されている。なお、ゲート信号入力端子3の他端部は樹脂ケース20外に配置され外部機器との接続部とされる。
【0012】
ゲートアングル2は、金属材料により構成された導体部材で、上方部2aと、第一脚部2bと、第二脚部2cとを有する門型に形成されている。
ゲートアングル2は、樹脂ケース20内に配置され、ゲート電極11Gと、導体パターン12とを接続している。したがって、ゲート電極11Gと、ゲート信号入力端子3とが、ゲートアングル2と導体パターン12とを介して電気的に接続された構成である。
上方部2aは、回路基板10に対して上方に間隔を隔てて略平行(図ではX方向)に延在する。
第一脚部2bは、上方部2aから下方に延設され下端が導体パターン12に半田を介して接続されている。第二脚部2cは、上方部2aから下方に延設され下端がゲート電極11Gに半田を介して接続されている。
樹脂ケース20には、内壁から内側にY方向に突出する梁部21が形成されており、梁部21には溝部21aが形成されている。溝部21aは、上方部2aの延在方向Xに沿って形成された溝である。そして、上方部2aの少なくとも一部が溝部21aに挿入されている。
【0013】
製造過程としては、ゲート電極11Gと、導体パターン12とに半田を塗布し、上方部2aを溝部21aに挿入することでゲートアングル2を溝部21aに保持させつつ、第一脚部2bの下端面が導体パターン12上の半田面に、第二脚部2cの下端面がゲート電極11G上の半田面に接するように配置する。この配置状態で、半田をリフローすることで、ゲートアングル2の両下端がゲート電極11Gと導体パターン12とに半田接合する。このとき、溶融半田の表面張力により、第二脚部2cの下端面がゲート電極11Gにセルフアライメントされる。
そのセルフアライメント時のゲートアングル2のY方向の挙動を許すために、ゲートアングル2の上方部2aは、溝部21aに遊嵌されている。すなわち、溝部21aの幅W1は、上方部2aの幅W2に所定の遊び寸法を加えた寸法である(図2参照)。
【0014】
溝部21aは、上面開放で底面を有し、上方部2aの両側面に対向する両側面を有する構造である。組立て時にゲートアングル2を上方から溝部21aに挿入するように配置する作業が容易であるとともに、ゲートアングル2を溝部21aから脱落しないように保持することが容易である。
溝部21aの上下方向位置と、第一脚部2b及び第二脚部2cの長さとの関係は、上方部2aが溝部21aに挿入された保持される一方で、第一脚部2bの下端及び第二脚部2c下端のいずれもが浮かない程度とされる。これにより確実にゲートアングル2の保持と、第一脚部2bの下端及び第二脚部2c下端の接触が得られる。
【0015】
ゲートアングル2は、上方部2aの一端に第一脚部2bの上端が結合し、上方部2aの他端に第二脚部2cの上端が結合しており、構造が簡素で棒材を曲げることで製造しやすい。
【0016】
溝部21aはX方向の両方の終端21b,21cが開放状に形成されている。すなわち、溝部21aはX方向に切り開かれた構造に形成されている。上方部2aの終端21bから延出する部分に第一脚部2bの上端が結合している。上方部2aの終端21cから延出する部分に第二脚部2cの上端が結合している。
上記セルフアライメント時のゲートアングル2のX方向の挙動を許すために、第一脚部2bと第二脚部2cの間に配置される溝部21aの構成樹脂部材の長さ(梁部21のX方向幅)に所定の遊び寸法を加えた長さが、第一脚部2bと第二脚部2cの間の距離とされている。
【0017】
以上の実施形態によれば、ゲートアングル2を樹脂ケース20の溝部21aに保持して一回のリフローにより第一脚部2bの下端を回路基板10の導体パターン12に、第二脚部2cの下端をパワー半導体チップ11のゲート電極11Gに接続することができる。
そのとき、ゲートアングル2は、上方部2aに第一脚部2bと第二脚部2cが一体であるからこれらの個々の位置決めは必要なく、ゲートアングル2が溝部21aに所定範囲に規制されて保持されるから、ゲートアングル2の位置決めが容易であり、ゲートアングル2の位置決めから半田リフローまでの間のゲートアングル2の転倒や許容できないずれ等が避けられる。
ゲートアングル2の配設は、以上の溝部21aにゲートアングル2を挿入して置くだけであるので、ゲートアングル2に対してX・Y・Zのいかなる方向にも保持力(外力)を負荷しないから、ゲートアングル2及びその接続相手に機械的ストレスをかけることなく半田接合することができ、ゲートアングル2及び半田接合部の応力も緩和され、長期使用における半田接合部の破壊が防止される。
したがって、組立て容易であり製造効率が向上するとともに組立て精度、電気的接続の信頼性が向上する。
一回のリフロー工程でゲートアングル2の半田接合を完了することができるから、鉛フリー半田を選択できるなど半田選択の自由度が高まるとともに、更に製造効率が向上し、溶融半田の表面張力によるセルフアライメントにより組立て精度、電気的接続の信頼性が向上する。
なお、ゲート信号入力端子3その他の配線材の半田接合も、ゲートアングル2の半田接合と同じ一回のリフロー工程で実施できる。
【0018】
(保持部の変形実施形態)
図1及び図2に示した形態にあっては、図3(a)にも示すように梁部21が片持ちであった。図3(b)に示すように溝部21aを形成する部分を両持ち梁31としてもよい。これによりゲートアングル2の支持が安定する。
また、図3(c)(d)に示すように、ゲートアングル2の第一脚部2b及び第二脚部2cのそれぞれが、溝部41aの底面に穿設された貫通孔41b、41cに通されている構造を実施することができる。すなわち、片持ち梁41又は両持ち梁51において、そのX方向幅を広くし、X方向について溝部41aをゲートアングル2より長く形成し、溝部41aの両端部底面に下方へ通ずる貫通孔41b、41cを形成する。貫通孔41bに第一脚部2bに挿入し、貫通孔41cに第二脚部2cを挿入してゲートアングル2を溝部41aに配置する。ゲートアングル2のXY方向の遊びは、第一脚部2b及び第二脚部2cのXY方向の寸法と配置に対する貫通孔41b、41cのXY方向の寸法と配置の設計により同様に実施することができる。なお、溝部41aの終端は閉塞されているので剛性が高まる。
【0019】
(ゲートアングルの変形実施形態)
図1及び図2に示した形態にあっては、図4(a)にも示すようにゲートアングル2の第一脚部2b及び第二脚部2cは直線状であった。図4(b)(c)(d)に示すようにゲートアングル2の第一脚部2b及び/又は第二脚部2cの下端部(2b1,2c1)をXY平面に沿うように曲げてもよい。
ゲートアングル2を断面一様の棒材を曲げて製作する場合に、以上のように第一脚部2b及び/又は第二脚部2cの下端部を曲げるか曲げないかによって、第一脚部2bの下端の面積及び第二脚部2cの下端の面積の一方又は双方が、上方部2aのYZ断面積に対して同等又は広い構成を選択的に実施することができる。第一脚部2bの下端の面積を広くすることで、導体パターン12との接続面積を広く確保することができる。第二脚部2cの下端の面積を広くすることで、ゲート電極11Gとの接続面積を広く確保することができる。
一方、第一脚部2bの下端の面積及び第二脚部2cの下端の面積の一方又は双方が、上方部2aのYZ断面積に対して狭い構成を実施してもよい。この構成では、半田接合部である第一脚部2b及び第二脚部2cの下端部に対してゲートアングル2の他の部分を太く形成することができ、電気抵抗を低減する等の効果が得られる。
【0020】
なお、本発明は上述の各実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施してよいことは勿論である。
例えば、上記実施形態では、パワー半導体チップをサイリスタチップとしたが、IGBT、MOSFETなどの他の種類の半導体デバイスに本発明を適用してもよい。
また、上記実施形態では、パワー半導体チップ上のゲート電極への接続に適用したが、他の電極への接続に本発明を適用してもよい。
また、上記実施形態では、中継部材を断面矩形状のものとしたが、断面円形など他の断面形状の中継部材を適用してもよい。
また、上記実施形態では、ゲート電極と、導体パターンに半田を塗布したが、中継部材の半田接続に必要な箇所に半田を配置できればよい。
【符号の説明】
【0021】
1 パワー半導体モジュール
2 ゲートアングル
2a 上方部
2b 第一脚部
2c 第二脚部
3 ゲート信号入力端子
10 回路基板
11 パワー半導体チップ(サイリスタチップ)
11G ゲート電極
12 導体パターン
20 樹脂ケース
21 梁部
21a 溝部
21b,21c終端
41a 溝部
41b 貫通孔
41c 貫通孔
図1
図2
図3
図4