【実施例】
【0028】
以上説明したグミキャンディにおいて、具体的な実施の例を以下に示す。ただし、本発明は、下記の実施例により限定及び制限されるものではない。
【0029】
<マルトースの有無によるグミキャンディの硬度比較(1)>
下表1に示される成分配合の実施例1と比較例1とを作製し、テクスチャーアナライザ(島津製作所社製)によって各試料の硬度を測定した。実施例1と比較例1との主な違いは、実施例1はマルトースを含むのに対し、比較例1はマルトースを含まない点である。なお、実施例1及び比較例1は、製造から2ケ月を経過した試料である。ただし、一般に水飴にもマルトースが含まれるところ、実施例1において添加されたマルトースは、水飴に含まれるマルトースとは別のマルトース粉末に由来する(以下、別途添加された粉末由来のマルトースを「マルトース(粉末由来)」と言う場合がある)。また、グミキャンディ1が、第1グミ部分10を含まず、第2グミ部分20によって構成される場合、グミキャンディ1の各成分の配合量(重量%)は、表1の左側の数値に対応する。
【0030】
【表1】
【0031】
実施例1及び比較例1に関する硬度測定結果を下表2に示す。ここで、各試料に関する硬度測定方法は、次の通りである。すなわち、試料を硬度計にセットした後、セットされた試料を圧縮して、その変位が5mmになったときの圧縮荷重(試験力:単位N)を測定する。得られた試験力が、各試料の硬度に対応する。なお、実際の硬度は、試験力を試料圧縮面(試験面)の表面積で割ることにより得られる。本実験において、実施例1及び比較例1に関する試験面の表面積は、共に同じとした。
【0032】
なお、実施例1に関して、同じ試料における製造後2ケ月の試験力、製造直後の試験力、これらの試験力の変化量を表2に示すと共に、比較例1に関して、同じ試料における製造後2ケ月の試験力、製造直後の試験力、これらの試験力の変化量を併せて表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
表2に示されるように、比較例1における製造後2ケ月の試験力と製造直後の試験力との差(変化量)は、実施例1におけるそれより大きく増加した。すなわち、比較例1は、実施例1より早いスピードで硬化した。換言すれば、実施例1において、比較例1に比べてグミキャンディの硬化が抑制された。
【0035】
前記実験結果より、実施例1の場合、長期間保存されても糖質の結晶化が抑制され、試料が硬化しにくい一方、比較例1の場合、糖質の結晶化が進み、試料の硬化が早まったことが示唆される。前記の通り、実施例1と比較例1との主な違いは、マルトース(粉末由来)を含むか否かである。前記実験結果を考慮すれば、糖質の結晶化抑制にマルトースが大きく寄与していることが推察される。
【0036】
<マルトースの有無によるグミキャンディの硬度比較(2)>
前述のように、実施例1に含まれる水飴にも、マルトースが含まれる(水飴を100重量部とする場合、マルトースは、そのうち54重量部含まれる)。続く実験において、糖質の結晶化抑制効果が、水飴に含まれるマルトースではなく、単独で添加されたマルトース(粉末由来)に起因することを確認した。
【0037】
より詳しくは、実施例1のマルトース(粉末由来)の重量分を、その重量分を含む水飴量に換算し、換算された量の水飴を加えた。この試料を比較例2とした(例えば、表1に示される実施例1の場合、第2グミ部分20の全重量を100gとした場合、5.0gのマルトース(粉末由来)が含まれている。このマルトース重量分を含む水飴量は、5.0g÷0.54=9.3gと換算される。換算された9.3gの水飴を加え、比較例2の全水飴量を23.1gとした(13.8g+9.3g)。一方、比較例2におけるマルトース(粉末由来)を0gとする)。比較例2において、その他の成分を更に加えることは、行われていない。
【0038】
実施例1(ただし、前述の実施例1に対応する試料に対し、成分及び配合量を同じくする別の試料)及び比較例2に関する硬度測定結果を下表3に示す。ここで、各試料に関する硬度測定方法は、前記と同様である。すなわち、表3に示される各数値は、実施例1に関する製造後2ケ月の試験力、製造直後の試験力、これらの試験力の変化量、並びに比較例2に関する製造後2ケ月の試験力、製造直後の試験力、これらの試験力の変化量に対応する。
【0039】
【表3】
【0040】
表3に示されるように、比較例2における製造後2ケ月の試験力と製造直後の試験力との差(変化量)は、実施例1におけるそれより増加した。前記実験結果によれば、グミキャンディ1の結晶化抑制効果は、単独で添加されるマルトース(粉末由来)に起因することが示唆された。
【0041】
<砂糖の含有量を変化させた場合の評価>
次に、実施例1(第2グミ部分20の全重量に対してグラニュー糖(砂糖)43重量%を含む)の他に、下表4に示す試料に関して、製造後2か月のグミキャンディ1における保形性、隣り合う他のグミキャンディとの引っ付き、結晶化度合い、及び食感を評価した。評価結果を表4に示す。なお、表4の実施例2から実施例8におけるグラニュー糖(砂糖)の含有量は、第2グミ部分20の全重量に対する重量%に対応する。ただし、グミキャンディ1が、第1グミ部分10を含まず、第2グミ部分20によって構成される場合、各実施例における下記グラニュー糖(砂糖)の含有量は、グミキャンディ1の全重量に対する重量%に対応する。各項目における評価基準は、下記の通りである。すなわち、問題ない場合「〇」、少し劣るが気にならない程度の場合「△」、著しく劣る場合「×」と評価される。
【0042】
【表4】
【0043】
表4に示されるように、グラニュー糖10重量%から50重量%の試料(実施例1から実施例6)において、「×」の評価が多くて1つであり、良好な試料であることが確認された。特に、グラニュー糖30重量%から43重量%の試料(実施例1から実施例5)において、「×」の評価が1つもなく、更に良好な試料であることが確認された。
【0044】
次に、実施例1から実施例6の各試料に関し、製造直後及び製造後2カ月の硬度測定を行った。結果を下表5に示す。各試料に関する硬度測定方法は、前記と同様である。
【0045】
【表5】
【0046】
表5に示されるように、実施例1から実施例6のいずれにおいても、製造後2か月と製造直後の硬度差が3N未満であった。特に、実施例2を除き、製造後2か月と製造直後の硬度差が2N以下であった。前述の比較例1及び2の場合、製造後2か月と製造直後の硬度差が3Nを超えていた。そのため、実施例1から実施例6のいずれに関しても、グミキャンディ1の結晶化が、長期間に渡り抑制されていることが示された。
【0047】
<マルトース(粉末由来)の含有量を変化させた場合の評価>
次に、実施例1(第2グミ部分20の全重量に対してマルトース5.0重量%を含む)の他に、下表6に示す試料に関して、製造後2か月のグミキャンディ1における保形性、隣り合う他のグミキャンディとの引っ付き、結晶化度合い、及び食感を評価した。評価結果を表6に示す。なお、表6の実施例9から実施例16におけるマルトース(粉末由来)の含有量は、第2グミ部分20の全重量に対する重量%に対応する。ただし、グミキャンディ1が、第1グミ部分10を含まず、第2グミ部分20によって構成される場合、各実施例における下記マルトース(粉末由来)の含有量は、グミキャンディ1の全重量に対する重量%に対応する。各項目における評価基準は、下記の通りである。すなわち、問題ない場合「〇」、少し劣るが気にならない程度の場合「△」、著しく劣る場合「×」と評価される。
【0048】
【表6】
【0049】
表6に示されるように、マルトース(粉末由来)1重量%から30重量%の試料(実施例1及び実施例9から実施例13)において、「×」の評価が多くて1つであり、良好な試料であることが確認された。特に、マルトース(粉末由来)5重量%から20重量%の試料において、「×」の評価が1つもなく、更に良好な試料であることが確認された。
【0050】
次に、実施例1及び実施例9から実施例13の各試料に関し、製造直後及び製造後2カ月の硬度測定を行った。結果を下表7に示す。各試料に関する硬度測定方法は、前記と同様である。
【0051】
【表7】
【0052】
表7に示されるように、実施例1及び実施例9から実施例13のいずれにおいても、製造後2か月と製造直後の硬度差が2N以下であった。前述の比較例1及び2の場合、製造後2か月と製造直後の硬度差が3Nを超えていた。そのため、実施例1及び実施例9から実施例13のいずれに関しても、グミキャンディ1の結晶化が、長期間に渡り抑制されていることが示された。
【0053】
<トレハロースの含有量を変化させた場合の評価>
次に、実施例1(第2グミ部分20の全重量に対してトレハロース9.1重量%を含む)の他に、下表8に示す試料に関して、製造後2か月のグミキャンディ1における保形性、隣り合う他のグミキャンディとの引っ付き、結晶化度合い、及び食感を評価した。評価結果を表8に示す。なお、表8の実施例17から実施例24におけるトレハロースの含有量は、第2グミ部分20の全重量に対する重量%に対応する。ただし、グミキャンディ1が、第1グミ部分10を含まず、第2グミ部分20によって構成される場合、各実施例におけるトレハロースの含有量は、グミキャンディ1の全重量に対する重量%に対応する。各項目における評価基準は、下記の通りである。すなわち、問題ない場合「〇」、少し劣るが気にならない程度の場合「△」、著しく劣る場合「×」と評価される。
【0054】
【表8】
【0055】
表8に示されるように、トレハロース3重量%から30重量%の試料(実施例1及び実施例17から実施例21)において、「×」の評価が多くて1つであり、良好な試料であることが確認された。特に、トレハロース9.1重量%から30重量%の試料において、「×」の評価が1つもなく、更に良好な試料であることが確認された。なお、実施例22の試料においても、「×」の評価が1つであるが、製造後1か月の時点で表面全体が結晶化した。
【0056】
次に、実施例1及び実施例17から実施例21の各試料に関し、製造直後及び製造後2カ月の硬度測定を行った。結果を下表9に示す。各試料に関する硬度測定方法は、前記と同様である。
【0057】
【表9】
【0058】
表9に示されるように、実施例1及び実施例17から実施例21のいずれにおいても、製造後2か月と製造直後の硬度差が2N以下であった。前述の比較例1及び2の場合、製造後2か月と製造直後の硬度差が3Nを超えていた。そのため、実施例1及び実施例17から実施例21のいずれに関しても、グミキャンディ1の結晶化が、長期間に渡り抑制されていることが示された。
【0059】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明した。ただし、前述の説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定する趣旨で記載されたものではない。本発明には、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るものを含み得る。また、本発明にはその等価物が含まれる。