(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態にかかる空気調和機1を説明する。
図1は、実施の形態にかかる空気調和機1の全体構成を説明する模式図である。
図2は、室外機20の室外熱交換器23、室外ファン22及びベース30の分解斜視図である。
図3は、ベース30を、
図2におけるA−A方向から見た斜視図である。
【0014】
[空気調和機]
空気調和機1は、室内機10と、室外機20とを有している。
【0015】
[室内機]
室内機10は、筐体11に、室内熱交換器12と室内ファン13とが収容されており、室内熱交換器12では、室内ファン13により送風された空気と、室内熱交換器12を通流する冷媒との間で熱交換が行われる。
以下の説明では、空気の通流方向における室内熱交換器12側を上流側、室内ファン13側を下流側と定義する。
【0016】
室内ファン13は、クロスフローファンであり、モータ13aにより回転駆動される。モータ13aは、室内制御回路14に接続されており、モータ13a(室内ファン13)の回転数や回転速度は、室内制御回路14により制御される。
【0017】
室内制御回路14は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、室内機10の制御プログラム(図示せず)などが記憶されたROM(ReadOnly Memory)、CPUによる一時的な作業領域となるRAM(Random Access Memory)などの記憶部、モータ13aを駆動する駆動部などを有している。
室内制御回路14では、CPU(図示せず)が記憶部に記憶された制御プログラム(図示せず)を読み込んで実行することで、室内機10の全体的な制御を行う。
【0018】
[室外機]
室外機20は、筐体21と、室外ファン22と、室外熱交換器23と、外気温度センサ24と、圧縮機25と、四方弁26と、膨張弁27と、熱交換器温度センサ28と、室外制御回路29とを有している。
【0019】
筐体21は、箱形状の基本形状をなしており、この筐体21内に、室外ファン22と、室外熱交換器23と、外気温度センサ24と、圧縮機25と、四方弁26と、膨張弁27と、熱交換器温度センサ28と、室外制御回路29とが収容されている。
【0020】
室外ファン22は、モータ22aにより回転軸回りに回転するようになっており、この室外ファン22の回転により、空気が室外熱交換器23側から室外ファン22側に通流するようになっている。
以下の説明では、空気の通流方向における室外熱交換器23側を上流側、室外ファン22側を下流側と定義する。
【0021】
室外熱交換器23は、配管50を介して室内機10側の室内熱交換器12に接続されている。室外熱交換器23内では、配管50が複数折り返して配置されており、この配管50を通流する冷媒(図示せず)と、室外熱交換器23を通流する空気との間で熱交換が行われる。
【0022】
室外熱交換器23と室内熱交換器12との間の配管50には、膨張弁27が設けられている。膨張弁27では、配管50を通流する冷媒(図示せず)が膨張して低圧低温になり、この低温低圧になった冷媒が、室外熱交換器23又は室内熱交換器12に供給される。
【0023】
室外熱交換器23の上流側には、外気温度センサ24が設けられている。外気温度センサ24は、サーミスタなどの公知の温度センサを用いることができる。この外気温度センサ24により、室外機20の周囲の外気温度T1が測定される。
【0024】
また、室外熱交換器23には、この室外熱交換器23自体の温度T2を測定する熱交換器温度センサ28が設けられている。熱交換器温度センサ28は、サーミスタなどの公知の温度センサを用いることができる。
【0025】
外気温度センサ24と熱交換器温度センサ28とは、それぞれ室外制御回路29に接続されており、外気温度センサ24で測定された外気温度T1と、熱交換器温度センサ28で測定された室外熱交換器23の温度T2の情報は、室外制御回路29に出力される。
【0026】
室外制御回路29は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、室外機20の制御プログラム(図示せず)などが記憶されたROM(ReadOnly Memory)、CPUによる一時的な作業領域となるRAM(Random Access Memory)などの記憶部、モータ22aを駆動する駆動部などを有している。
室外制御回路29では、CPU(図示せず)が記憶部に記憶された制御プログラム(図示せず)を読み込んで実行することで、室外機20の全体的な制御を行う。
【0027】
ここで、室内機10と室外機20との間には、配管51と52を介して圧縮機25が設けられている。この圧縮機25には、四方弁26が接続されている。
【0028】
暖房運転時には、室内熱交換器12を凝縮器として機能させ、室外熱交換器23を蒸発器として機能させるように四方弁26が制御される。
また、外気温度の低い条件では暖房運転継続時間が長くなるにつれて、室外熱交換器23が着霜し、熱交換性能が低下する。そこで、室外熱交換器23に付着した霜を融かすために、除霜運転が行われる。除霜運転時には、室外熱交換器23を凝縮器として機能させ、室内熱交換器12を蒸発器として機能させるように(つまり、冷房運転時と同様に)四方弁26が制御される。
【0029】
室外機20の底部には、ベース30が設けられている。ベース30は、筐体21の下側の開口を塞いており、室外ファン22、室外熱交換器23などの鉛直方向の下側を覆っている。このため、除霜運転時に室外熱交換器23や室外ファン22で溶けた着霜は、除霜水となってベース30に流れ落ちる。
【0030】
ベース30の底部には、楕円形状の排出孔31が設けられており、ベース30に流れ落ちた除霜水は、この排出孔31から排出される。
ベース30には、排出孔31を囲むようにヒータ32(
図2のハッチング参照)が設けられている。
【0031】
ヒータ32は、排出孔31を囲んで設けられており、このヒータ32の上側に室外熱交換器23が位置している。
【0032】
ベース30において、排出孔31近傍のヒータ32が設けられる領域(例えば、
図2の領域B)には、ヒータ32に沿って凸部(図示せず)又は凹部(図示せず)が設けられている。ヒータ32と直交する方向の凸部の幅は、ヒータ32の幅よりも小さくなっており、ヒータ32と直交する方向の凹部の溝幅もまた、ヒータ32の幅よりも小さくなっている。
【0033】
よって、ヒータ32をベース30に配設すると、排出孔31の近傍領域(例えば、
図2の領域B)におけるヒータ32とベース30との接触面積は、凸部又は凹部がある分、排出孔31の近傍領域以外の領域におけるヒータ32とベース30との接触面積よりも小さくなるように設定されている。
【0034】
これにより、ヒータ32は、排出孔31の近傍領域B以外の領域では、ベース30との接触面積が大きくなっているため、熱をベース30に確実に伝熱してベース30を十分加熱することができる。一方、ヒータ32は、排出孔31の近傍領域Bでは、ベース30との接触面積が小さいため、排出孔31の近傍は暖めつつ、ベース30への伝熱は抑えられて、ヒータ32の熱による排出孔31の近傍に設けられたベース温度センサ33の温度測定への影響を小さくすることができる。
【0035】
この排出孔31の近傍領域Bにおけるヒータ32とベース30との接触面積が、排出孔31の近傍領域B以外の領域におけるヒータ32とベース30との接触面積よりも小さくなるように設定されている構成は、本願発明の伝熱防止部に相当する。
【0036】
図3に示すように、排出孔31の鉛直方向の上側及びヒータ32との間には、ヒータガード34が設けられており、使用者の指などが排出孔31を介して室外機20内部へ入り難くしている。よって、使用者が、室外機20の外側から排出孔31に指などを入れて、ヒータ32や室外熱交換器23に触れることで、火傷や怪我をすることを防止することができる。
【0037】
図3に示すように、ベース30における排出孔31の近傍には、ベース30の温度T3を測定するベース温度センサ33が設けられている。
【0038】
ベース温度センサ33は、ベース30の温度T3を検出する検出部331と、検出した温度T3を室外制御回路29に伝送する信号線332とを有している。
【0039】
ベース30には、断面コ字状のセンサ固定部材35が溶接により固定されており、ベース温度センサ33は、先端側の検出部331を、排出孔31に向けた状態で、センサ固定部材35に挿通されてベース30に固定されている。
【0040】
この状態で、ベース温度センサ33は、センサ固定部材35に固定された板バネ36によりベース30に押圧されており、ベース温度センサ33をベース30に確実に接触させることで、ベース温度センサ33によるベース30の温度測定を精度よく行うことができる。
【0041】
なお、板バネ36は、弾性を有する部材であれば、板バネに限定されるものではなく、他の一例として、コイルばねやスポンジなどでもよい。
また、板バネ36は、センサ固定部材35に固定されている場合に限定されるものではなく、ベース30やその他の部材に固定されている構成でもよい。
【0042】
ベース温度センサ33の信号線332は、センサ固定部材35により、検出部331がベース30に固定された状態で、長手方向を排出孔31に向けて配設されている。つまり、信号線332は、排出孔31とベース温度センサ33の固定位置とを結ぶ線分K1に並行に配設されている。
【0043】
これにより、ベース30の表面に供給された除霜水(着霜が溶けた液体)は、信号線332に沿って排出孔31に誘導されて、排出孔31から効率よく排出される。
【0044】
また、
図2に示すように、信号線332は、室外ファンベース部材22bに沿わせて配線した後、室外制御回路29に接続されていてもよく、また、室外ファン22側と、機械室の空間20cを分離する仕切り板40にバンド類を介して中間部を固定して引きまわしてもよい。
【0045】
このようにすると、信号線332が、室外ファン22に接触して損傷することを防止でき、また、ヒータ32の熱により劣化することを防止できる。
【0046】
なお、前述した実施の形態では、センサ固定部材35をベース30に溶接して固定した場合を例示して説明したが、センサ固定部材35のベース30への固定構造はこれに限定されるものではない。
【0047】
例えば、ネジ37を用いてセンサ固定部材35Aをベース30Aに固定してもよい。
図4は、他の実施の形態にかかるベース30Aを、
図2におけるA−A方向から見た斜視図である。
【0048】
図4に示すように、ベース30Aでは、排出孔31の近傍に断面三角形状の固定部30aが、ベース30Aの底面からベース温度センサ33側に突出して設けられている。
この断面三角形状の固定部30aの一の面には、ネジ穴(図示せず)が設けられている。センサ固定部材35Aの一部を貫通したネジ37を、このネジ穴に螺合することで、センサ固定部材35Aをベース30Aに固定することができる。
【0049】
このようにすると、ベース温度センサ33の検出部331が寿命や破損などで交換が必要になった場合、ネジ37を外すことでセンサ固定部材35Aを簡単に外すことができ、検出部331(ベース温度センサ33)のメンテナンスを容易に行える。
【0050】
なお、ベース30Aにおける固定部30aの底面からの突出高さH1は、ネジ37の長さH2よりも高く設定されている(H1>H2)。これにより、センサ固定部材35Aをネジ37でベース30Aに固定した際、ネジ37の先端がベース30Aの底面から下側に突出しないようになっている。よって、ベース30Aの底面から突出したネジ37による怪我を防止できる。
【0051】
[空気調和機の動作]
次に空気調和機1の動作を説明する。
図5は、ヒータ32の通電制御のフローチャートである。
図6は、ヒータ32の通電制御の動作を説明する図である。
【0052】
空気調和機1の運転が開始されるとまず、ステップS101において、空気調和機1の制御部(図示せず)は、空気調和機1の運転モードが冷房運転か暖房運転かを判定する。制御部は、運転モードが暖房運転であると判定した場合(ステップS101:Yes)、ステップS102に進む。一方、制御部は、運転モードが暖房運転でない(例えば、冷房運転)と判定した場合(ステップS101:No)、ステップS106に進み、ヒータ32をOFFにする。空気調和機1が冷房運転である場合、室外熱交換器23などに着霜することはなく、ヒータ32を通電してベース30を加熱する必要がないからである。
【0053】
ステップS102において、空気調和機1の制御部(図示せず)は、圧縮機25が運転されているか否かを判定する。制御部は、圧縮機25が運転中であると判定した場合(ステップS102:Yes)、ステップS103に進む。一方、制御部は、圧縮機25が運転中でない(停止状態である)と判定した場合(ステップS102:No)、ステップS106に進み、ヒータ32をOFFにする。空気調和機1の圧縮機25が運転していない場合、室外熱交換器23などに着霜することはなく、ヒータ32を通電してベース30を加熱する必要がないからである。
【0054】
ステップS103において、空気調和機1の制御部(図示せず)は、外気温度センサ24で測定した外気温度T1が所定のヒータ通電開始温度Tp1未満であるか否かを判定する。制御部は、外気温度T1がヒータ通電開始温度Tp1未満であると判定した場合(ステップS103:Yes)、ステップS105に進んで、ヒータ32をONにする。一方、制御部は、外気温度T1が所定のヒータ通電開始温度Tp1以上であると判定した場合(ステップS103:No)、ステップS104に進む。
【0055】
ステップS104において、空気調和機1の制御部(図示せず)は、ベース温度センサ33で測定したベース30の表面の温度T3が、所定のヒータ通電開始温度Tp2未満であるか否かを判定する。制御部は、ベース30の表面の温度T3が、所定のヒータ通電開始温度Tp2未満であると判定した場合(ステップS104:Yes)、ステップS105に進んで、ヒータ32をONにする。一方、制御部は、ベース30の温度T3が所定のヒータ通電開始温度Tp2以上であると判定した場合(ステップS104:No)、ステップS106に進んでヒータ32をOFFにする。
【0056】
ステップS105で、ヒータ32をONにした後、又はステップS106でヒータ32をOFFにした後、ステップS101に戻る。
【0057】
なお、前述したヒータ通電開始温度Tp1と、ヒータ通電開始温度Tp2とは異なる温度に設定されていてもよく、同じ温度に設定されていてもよい。
【0058】
次に、
図6において、空気調和機1の動作を、暖房運転時、除霜運転時、運転停止時、初期化除霜運転時の場合に分けて説明する。
【0059】
[暖房運転時]
始めに、空気調和機1が暖房運転である場合の動作について説明する。
暖房運転時は、圧縮機25運転中、外気温度センサ24で測定した外気温度T1が、所定のヒータ通電開始温度Tp1よりも低い場合(T1<Tp1)、ヒータ32の通電を行う。
【0060】
また、外気温度T1が、上記ヒータ通電開始温度Tp1より高い場合でも(T1≧Tp1)、ベース温度センサ33により、ベース30表面の温度T3を測定し、ベース30の温度T3が、ヒータ通電開始温度Tp1とは別の温度に設定されるヒータ通電開始温度Tp2よりも低い場合(T3≦Tp2)、ヒータ32の通電を行う。これにより、外気温度T1とベース30の表面の温度T3の温度差が大きく、ベース30に残氷が有る場合、または除霜水が再凍結する可能性がある場合に有効に働き、ベース30内の凍結による排水不良を防止することができる。
【0061】
また、ヒータ32の加熱によりベース30の温度が高くなり、ベース温度センサ33で測定したベース30の表面の温度T3が、ヒータ通電解除温度Th1を超えた場合、ヒータ32の通電を解除する。この判定の際に、誤作動防止のためヒータ通電解除温度Th1を超える状態が、所定の通電判定時間Ts1の間継続して検出された場合にヒータ通電解除を確定させるようにしてもよい。
【0062】
[除霜運転時]
次に、空気調和機1が除霜運転である場合の動作について説明する。
空気調和機1において、除霜運転直前の暖房運転では前述の外気温度センサ24やベース温度センサ33で測定した温度T1、T3の値によりヒータ32の通電、非通電が異なる。
【0063】
空気調和機1が除霜運転に入ると、室外熱交換器23から流れ落ちた除霜水を、ベース30で再凍結させないためにヒータ32を通電状態にする。除霜運転が終わり、暖房運転に復帰しても、時間内に排水しきれなかった除霜水がベース30内に残っているので再凍結防止のため、所定の通電遅延時間Ts2の間、ヒータ32の通電を継続して行う。
【0064】
空気調和機1において、除霜運転中は室外ファン22が停止した状態になり、ヒータ32に連続して通電するため、ヒータ32の温度が暖房運転中に比較して上昇しやすくなる。よって、ヒータ32の温度の過上昇防止のためベース温度センサ33で測定したベース30の温度T3により判定して通電を解除する仕組みにしてもよいし、サーモスタット(図示せず)を設けて通電を制御してもよい。
また、ヒータ32の通電にかかる電力の節約のために上記仕様としてもよい。
【0065】
[暖房運転停止時]
次に、空気調和機1での暖房運転停止時の動作について説明する。
空気調和機1において暖房運転を停止すると、暖房運転中に室外熱交換器23によって冷却されたベース30に残氷が残っているため、ベース温度センサ33で測定したベース30の温度T3がヒータ通電解除温度Th1を超えた場合でも、所定の通電遅延時間Th3の間、ヒータ32の通電を継続して行う。
【0066】
また、ヒータ32の通電にかかる電力の節約のために、通電遅延時間Ts3内であってもベース温度センサ33で測定したベース30の温度T3が、所定のヒータ通電解除温度Th1を超えれば通電を解除する仕様としてもよい。前述したが、この判定の際に、誤作動防止のためヒータ通電解除温度Th1を超える状態が、所定の通電判定時間Ts4の間継続して検出された場合にヒータ32の通電解除を確定させるようにしてもよい。
【0067】
[初期化除霜運転時]
次に、空気調和機1での初期化除霜運転時の動作について説明する。
空気調和機1において、暖房運転を一定時間以上実施し、なおかつ除霜運転に入る前に運転停止した場合に、室外熱交換器23に付着した霜が残り、次回の暖房運転開始時の熱交換を妨げ暖房能力が不足することがある。このような事態を防止するため、暖房運転を所定の時間以上実施した場合、暖房運転停止後、自動的に除霜運転に移行し、霜を取り除いてから運転停止するようにしている。この一連の動作を以下では初期化除霜運転と言う。
【0068】
空気調和機1において、暖房運転が停止され、初期化除霜運転に移行すると、前述の通常の除霜運転同様、室外熱交換器23から流れ落ちた除霜水を、ベース30で再凍結させないためにヒータ32を通電状態にする。空気調和機1において、初期化除霜運転が終わり、圧縮機25が停止しても、時間内に排水しきれなかった除霜水がベース30内に残っているので再凍結防止のため、所定の通電遅延時間Ts5の間、ヒータ32の通電を継続して行う。
【0069】
空気調和機1において、初期化除霜運転中についても同様だが、ヒータ32の通電にかかる電力の節約のために、通電遅延時間Ts5内であってもベース温度センサ33で測定したベース30の温度T3が、所定のヒータ通電解除温度Tp1を超えれば通電を解除する仕様としてもよい。前述したが、この判定の際に、誤作動防止のためヒータ通電解除温度Tp1を超える状態が、所定の通電判定時間Ts6の間継続して検出された場合にヒータ32の通電解除を確定させるようにしてもよい。
【0070】
以上説明した通り、実施の形態では、
(1)室外機20と室内機10とを有する空気調和機1であって、室外機20は、冷媒と空気との間で熱交換を行う室外熱交換器23と、室外熱交換器23の鉛直方向の下側に設けられたベース30と、有し、ベース30は、当該ベース30の温度を測定するベース温度センサ33と、ベース温度センサの33測定結果(測定した温度T3)に基づいてベース30を加熱するヒータ32と、を有する構成とした。
【0071】
このように構成すると、空気調和機1では、ベース温度センサ33によりベース30表面の温度T3を測定し、暖房運転中にベース温度センサ33で測定した温度T3が、ヒータ32の通電開始温度Tp2より低くなる場合、ヒータ32に通電してベース30を加熱しておくことにより、除霜運転に移行後の除霜水再凍結を防止し、スムーズに除霜水を排出させることができるため、必要な暖房能力を確保することができる。
【0072】
また、空気調和機1では、暖房運転停止後、および暖房運転停止後の初期化除霜運転終了後にベース温度センサ33で測定した温度T3がヒータ32の通電開始温度Tp2より低くなる場合は設定された通電遅延時間Ts3内はヒータ32の通電を継続し、残氷、残除霜水の再凍結による排水不良を防止することができるため、暖房運転を再開する際に必要な暖房能力を確保することができ、従来よりも空気調和機1の快適性を高めることができる。
【0073】
(2)また、ベース30には、当該ベース30に供給された液体(除霜水)を排出する排出孔31が設けられており、ベース温度センサ33は、排出孔31の近傍に設けられた構成とした。
【0074】
このように構成すると、空気調和機1において、ベース温度センサ33によりベース30の排出孔31の周囲表面の温度T3を測定し、通電開始判定をさせることにより、除霜運転中の除霜水再凍結を防止し、スムーズに除霜水の排出をより効果的にさせることができるため、必要な暖房能力を確保することができる。
【0075】
また、空気調和機1において、暖房運転停止後、および運転停止後の初期化除霜運転終了後にベース30の排出孔31の周囲表面の温度T3を検知させることにより、残氷、残除霜水の再凍結による排水不良を防止し、除霜水の排出をより効果的にさせることができるため、暖房運転を再開する際に必要な暖房能力を確保することができる。
このようにベース温度センサ33に排出孔31の周囲表面の温度を測定させることにより、残氷や除霜水の再凍結を排出孔31の周辺に発生させないようにすることができる。従って、従来よりも空気調和機1の快適性を高めることができる。
【0076】
(3)また、ベース30において、ベース温度センサ33とヒータ32との間に、ヒータ32からベース温度センサ33への伝熱を防止する伝熱防止部(ベース30に設けられた凸部又は凹部)を有する構成とした。
【0077】
このように構成すると、伝熱防止部により、ヒータ32の熱により、ベース温度センサ33が暖められるのを防止する。よって、ベース温度センサ33により、ベース30の表面の温度T3の測定を、ヒータ32の影響を受けることなく正確に行うことができる。
【0078】
(4)また、ベース30において、ベース温度センサ33とヒータ32とは、排出孔31を挟んだ反対側に設けられている構成とした。
【0079】
このように構成すると、ベース温度センサ33により、ベース30の排出孔31を挟んでヒータ32の反対側の表面の温度T3を測定し、通電開始判定をさせることにより、除霜運転中の除霜水再凍結を防止し、スムーズに除霜水の排出をより効果的にさせることができるため、必要な暖房能力を確保することができる。
【0080】
また、空気調和機1において、暖房運転停止後、および運転停止後の初期化除霜運転終了後にベース30の排出孔31を挟んでヒータ32の反対側の表面の温度T3を測定させることにより、残氷、残除霜水の再凍結による排水不良を防止し、除霜水の排出をより効果的にさせることができるため、暖房運転を再開する際に必要な暖房能力を確保することができる。
このようにベース温度センサ33に排出孔31のヒータ32を挟んで反対側の表面の温度T3を検知させることにより、残氷や除霜水の再凍結を排出孔31の周辺に発生させないようにすることができる。従って、従来よりも空気調和機1の快適性を高めることができる。
【0081】
(5)また、排出孔31の近傍でのヒータ32とベース30との接触面積を、排出孔31の近傍以外でのヒータ32とベース30との接触面積よりも小さい構成とした。
【0082】
このように構成すると、ベース30の排出孔31の表面に設置されたベース温度センサ33で測定した温度T3にてヒータ32の通電判定を行う際に、ベース温度センサ33がヒータ32の熱影響により実際の排出孔31の表面の温度よりも高く測定されることでヒータ32の通電が解除されてしまうことを防止でき、より空調の快適性をさらに高めることができる。
【0083】
(6)また、ベース温度センサ33は、ベース30の表面の温度T3を検出する検出部331と、検出部331で検出された温度T3の情報を伝送する信号線332と、を有し、信号線332は、長手方向を排出孔31に向けた状態でベース30に設けられている構成とした。
【0084】
前述したように、ベース温度センサ33をベース30の表面に設置することによりベース温度センサ33自身が勾配の上流側からの除霜水の流れを阻害しないように取付姿勢、取付方法に注意が必要となることがある。
このように構成すると、ベース温度センサ33の先端が排出孔31に向けられている。よって、ベース温度センサ33の信号線332は、長手方向を排出孔31に向けて配設されているので、除霜水の流れに対して抵抗を最小限にすることができる。
【0085】
(7)また、ベース温度センサ33をベース30に固定するセンサ固定部材35と、ベース温度センサ33をベース30側に押圧する板バネ36(押圧部材)と、を有し、センサ固定部材35は、ベース30に溶接されていると共に、板バネ36は、ベース温度センサ33をベース30に押圧した状態で、少なくともセンサ固定部材35又はベース30の何れか一方に固定されている構成とした。
【0086】
このように構成すると、ベース温度センサ33の固定はベース30上に溶接などで固定されたセンサ固定部材35に挿入されて、ベース30の表面と反対側の隙間に板バネ36を挿入して固定することで、ヒータ32を適正に制御する手段を有しながら、固定のためにベース30裏側に突起を生じさせない構造とし、据付作業時などに手指を傷つけることがない構造とすることができる。
【0087】
(8)また、他の実施の形態で説明したように、ベース温度センサ33をベース30Aに固定するセンサ固定部材35Aと、センサ固定部材35Aをベース30Aに固定するネジ37と、を有し、ベース30Aには、ネジ37が螺合するネジ穴(図示せず)を有する固定部30aが、ベース30Aの底面から突出して設けられており、固定部30aのベース30Aの底面からの突出高さH1は、ネジ37の長さH2よりも高く(H1>H2)設定されている構成とした。
【0088】
このように構成すると、ベース温度センサ33の固定はセンサ固定部材35Aで押さえてネジ37でベース30に貫通させ、更にねじ締め周囲部を絞って固定部30a(凸形状)にし、ネジ37の先端をベース30裏側に突出させない構造とすることにより、ヒータ32を適正に制御する手段を有しながら、据付作業時などに手指を傷つけることがない構造とすることができる。
【0089】
(9)また、空気の通流方向における室外熱交換器23の下流側に設けられた室外ファン22と、室外ファン22を室外機10に固定する室外ファンベース部材22bと、ベース温度センサ33で測定したベース30の表面の温度T3に基づくヒータ32の加熱制御を行う室外制御回路29(制御部)と、さらに有し、ベース温度センサ33の信号線332は、室外ファンベース部材22bに沿って配線されて室外制御回路29に接続されている構成とした。
【0090】
このように構成すると、ベース温度センサ33の信号線332(配線)がヒータ32や室外ファン22に触れることなく引く回すことができ、ヒータ32の熱や、回転する室外ファン22に接触することで、信号線332が損傷することを防止することができる。
【0091】
(10)また、室外ファン22の少なくとも一部を囲んで設けられた仕切り板40を有し、ベース温度センサ33の信号線332は、仕切り板40に沿って配線されて室外制御回路29に接続されている構成とした。
【0092】
このように構成すると、ベース温度センサ33の信号線332(配線)がヒータ32や室外ファン22に触れることなく引く回すことができ、ヒータ32の熱や、回転する室外ファン22に接触することで、配線が損傷することを防止することができる。
【0093】
(11)室外機20と室内機10とを有する空気調和機1の制御方法であって、空気調和機1の運転モードが暖房運転(暖房モード)であるか否かを判定するステップS101の工程(モード判定工程)と、室外機20の圧縮機25が運転中か否かを判定するステップS102の工程(圧縮機運転確認工程)と、室外機20の外気温度T1が、ヒータ通電開始温度Tp1(第1閾値温度)以下か否かを判定するステップS103の工程(外気温度判定工程)と、室外機20のベース30の表面の温度T3が、ステップS103の工程とは異なるヒータ通電開始温度Tp2(第2閾値温度)以下か否かを判定するステップS104の工程(ベース温度判定工程)と、ベース30に設けられたヒータ32を加熱するステップS105の工程(ヒータ加熱工程)と、を有し、ステップS105の工程(ヒータ加熱工程)では、ステップS103の工程(外気温度判定工程)において、外気温度T1がヒータ通電開始温度Tp1以下であると判定された場合、またはステップS104の工程(ベース温度判定工程)において、ベース30の表面の温度T3がヒータ通電開始温度Tp2以下であると判定された場合、ベース30に設けられたヒータ32を加熱する構成とした。
【0094】
このように構成すると、、空気調和機1では、ベース温度センサ33によりベース30表面の温度T3を測定し、暖房運転中にベース温度センサ33で測定した温度T3が、ヒータ32の通電開始温度Tp2より低くなる場合、ヒータ32に通電してベース30を加熱しておくことにより、除霜運転に移行後の除霜水再凍結を防止し、スムーズに除霜水を排出させることができるため、必要な暖房能力を確保することができる。
【0095】
また、本発明は、前述した実施の形態の全ての構成を備えているものに限定されるものではなく、前述した実施の形態の構成の一部を、他の実施の形態の構成に置き換えてもよく、また、前述した実施の形態の構成を、他の実施の形態の構成に置き換えてもよい。
【0096】
また、前述した実施の形態の一部の構成について、他の実施の形態の構成に追加、削除、置換をしてもよい。
【0097】
また、上記した実施の形態の構成、機能、処理、手段は、それの一部又は全部を、例えば、集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよい。また、前述した構成、機能は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムの実行により実現できるものであってもよい。
このプログラム等の情報は、メモリなどの記憶装置に記憶しておくことができる。