(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
粉体塗装法は、例えばエポキシ系、ポリエステル系、アクリル系またはエポキシ−ポリエステル系の粉体塗料を粉体状態のまま、静電粉体塗装機を用いて基材表面に吹き付けて塗着し、その後、焼き付け工程によって塗着された粉体を一旦溶融させた後に固化させて基材表面に塗膜を形成する方法である。この粉体塗装法では、粉体塗料自体に溶剤を含まず、塗膜形成までの一連の工程でも、溶剤を使用しないで行うことができることから、特にVOC(揮発性有機化合物)排出規制に適合し、環境に優しい塗装法として広く使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、基材に塗膜を形成する際、基材が塗膜とは異なる材質、例えば基材が鋼板などの金属板、塗膜が合成樹脂粉体で形成した場合には、金属表面に対する塗膜の密着性が十分に得られない場合があるため、通常は、金属基材の表面と樹脂塗膜層との間に、両者との密着性を有する前処理層を形成するのが一般的である。
【0004】
従来の前処理層としては、例えばリン酸塩処理やクロメート処理によってそれぞれ形成されるリン酸塩被膜やクロメート被膜を使用するのが一般的である。しかしながら、かかる前処理層は、前処理水溶液が、いずれも環境に放出する量が規制されている有害物質を含有するものであって、大気や河川等へ排出するための廃液処理が必要になるなどの環境上の問題がある。
【0005】
このため、近年では、有害物質を含有しない前処理水溶液としてシランカップリング剤を含有する前処理水溶液が使用されるようになってきた。
【0006】
しかしながら、基材の表面に粉体塗料を吹き付ける方式で静電粉体塗装を施す方法は、基材が吊下げ治具に吊下げられた状態で水平に搬送されながら各工程を行なう必要があるため、粉体塗料を吹き付ける前に行なう前処理層を、シランカップリング剤を含有する前処理水溶液を基材の表面上に噴霧(シャワー)方式による塗布によって行なわなければならない。かかる場合、前処理水溶液が基材の下縁に滞留して基材の表面に形成される前処理層に比べて、基材の下縁に形成される前処理層が厚くなって不均一になり、前処理層の厚さ不均一に伴って、塗膜欠陥が生じやすくなるという問題がある。
【0007】
また、基材の下縁に前処理水溶液が滞留するのを防止するため、基材を吊下げ治具に傾斜させた状態で吊下げて、基材の下縁に流動して滞留した余分な前処理水溶液を、基材から下方に流れ落ちるように構成することは可能である。しかしながら、かかる構成にすると、基材を吊下げ治具に吊下げ又は吊下げ治具から取り外す際の作業性が悪いことに加えて、前処理水溶液の噴霧や粉体塗料の吹き付けの作業を行う際に、水平方向に対して基材の傾斜を考慮に入れた上で作業しなければならず、基材の表面全体に均一厚さの前処理層や塗膜層を形成することが難しくなるなどの問題がある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら以下で説明する。
【0017】
<粉体塗装物>
はじめに、本発明に従う粉体塗装物の製造方法で製造される粉体塗装物について説明する。
図1は、本発明の粉体塗装物の実施形態を模式的断面で示したものである。
図1に示す粉体塗装物1は、基材2と前処理層3と塗膜層4とにより主に構成されている。
【0018】
基材2は、粉体塗装が適用できる素材であればよく、特に限定はしないが、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼のような鉄合金材、アルミニウムまたはその合金材、亜鉛またはその合金材、銅またはその合金材、またはそれらの亜鉛めっき材やアルミニウムめっき材のような表面処理材などの各種金属材が挙げられる。また、基材2の形状もまた特に限定はしないが、例えば板材、角材、管材などが挙げられる。
【0019】
前処理層3は、基材2と塗膜層4との間に、密着性を高める等の目的で形成される中間層(化成処理層)である。また、前処理層3は、シランカップリング剤を含有する前処理水溶液により形成される。また、前処理層3を形成する前処理水溶液は、さらに有機スズ化合物を含有することが好ましい。
【0020】
<粉体塗装物の製造方法>
はじめに、本発明に従う粉体塗装物の製造方法の実施形態について
図2乃至
図4を参照しながら以下で説明する。
【0021】
図2(a)〜(f)は、本発明に従う代表的な粉体塗装物の製造方法の一連の工程を説明するためのフローチャートであって、各工程における基材(鋼板)の表面(積層)状態を説明するための模式的断面図を併せて示したものである。
図3は、複数枚の基材(
図3で3枚の基材)を下方に間隔をおいて吊下げ、この吊下げた状態で水平搬送させて一連の工程を連続的に行う方法を示したものである。
図4は、
図2(c)〜(f)に示す第1工程から第4工程までの各工程において基材の表面で生じる現象(反応状態)を説明するための図である。
本発明の粉体塗装物の製造方法は、以下に詳細に示す第1〜第4工程を少なくとも順に行なうことにより、上記の粉体塗装物1を製造することができる。
【0022】
[第1工程の前の処理]
まず、基材2(例えば鋼板)の表面に、スケールや錆などの酸化膜等の形成を抑制するために防錆油などを塗布して油膜5が存在する場合には、基材2の表面から油膜5を除去するため、第1工程の前に脱脂工程S1を行う(
図2(a))。脱脂する具体的な方法は、特に限定はしないが、例えば水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)とケイ酸ナトリウムを含有するアルカリ水溶液を用いたアルカリ脱脂や、電解脱脂などが挙げられる。
【0023】
次に、油や酸化膜等が存在しない状態で水洗工程S2を行い、基材2の清浄表面2a
1を、水膜6が存在する状態で第1工程S3を行う(
図2(b))。水洗工程S2としては、例えば水スプレー洗浄法や水中浸漬法などの常法を用いて行なうことができる。
【0024】
[第1工程(前処理工程)]
図3に示すように、本発明に従う粉体塗装物の製造方法では、複数枚の基材2(
図3で3枚の基材)を下方に間隔をおいて吊下げ、この吊下げた状態で水平搬送させて以下の第1工程S3〜第4工程S6(
図2(c)〜
図2(f))を連続的に行う。
【0025】
水膜6が存在する状態にて、基材2の少なくとも片面に、シランカップリング剤を含有する前処理水溶液を塗布することにより前処理液層7を形成する(第1工程S3(
図2(c)))。本発明では、基材2と塗膜層4との間に、後述する第4工程S6で前処理層3に変化する前処理液層7を形成する。
【0026】
前処理液層7は、
図3に示す泡噴射機10により、シランカップリング剤を含有する前処理水溶液に発泡性材料(例えば、界面活性剤)を混入した溶液の中に気体を送り、発泡させて常温で基材2の塗布面2a
2に塗布することにより形成される。なお、この前処理水溶液を塗布する工程の詳細については後述する。
【0027】
基材2の表面に水膜6を形成した状態で、前処理水溶液を発泡させて常温で塗布することにより、塗布された前処理水溶液が、基材2の表面に均一に塗り広がるとともに、均一厚さで形成された前処理液層7は、シランカップリング剤中のシラン化合物が、
図4に示すように基材2の表面上に存在する水で加水分解されてシラノールに変化し、生成したシラノールが基材表面の水酸基と水素結合した状態となる。
【0028】
[第2工程(水切り乾燥工程)]
第1工程S3の後、基材2を第1温度域で水切り乾燥することにより、第1工程S3において発泡させた泡のうち基材2の表面に残存する泡を破泡させるとともに、前処理液層7を前処理変性層8とする(第2工程S4(
図2(d)))。水切り乾燥する方法としては、例えば熱風発生機11により基材2の上方から下方(
図3の矢印A方向)に向けて熱風を吹き付けることにより行うことができる。
【0029】
基材2を第1温度域で水切り乾燥(加熱)することにより、前処理液層7中のシラノールが脱水縮合反応によってシロキサンに変化し、シロキサンが基材2の表面に共有結合され、最終的にはゲル化して基材2の表面において前処理変性層8に変化して強固に密着する。そして、前処理液層7から前処理変性層8になったときに、前処理変性層8中にシラノールはほとんど残存せずに全てシロキサンに変化する結果として、最終的に製造した粉体塗装物1の塗膜層4を、良好な表面外観で形成することを可能にする。なお、前処理液層7中にさらに有機スズ化合物を含有させた場合には、前処理液層7中に含有させた有機スズ化合物が脱水縮合反応を促進する触媒として作用することによって、シラノールからシロキサンへの変化を、迅速かつ確実に生じさせることができる。
【0030】
第1温度域は、前処理液層7中に存在する水(水分)を蒸発させるとともに、シラノールからシロキサンへの脱水縮合反応を生じさせる温度以上であればよい。第1温度域は、特に一連の工程を連続ラインで行なうなど、前処理液層7中の水分を短時間で蒸発させる必要がある場合には、例えば100℃以上であることが好ましく、より好適には120℃以上、さらに好適には130℃以上とする。
【0031】
[第3工程(塗装工程)]
第2工程S4の後、基材2の表面に形成した前処理変性層8上に、粉体塗料を塗着して塗料層9を形成する(第3工程S5(
図2(e)))。前処理変性層8上に粉体塗料を塗着することにより、前処理変性層8を構成するシロキサンの外側に配向した官能基に、粉体塗料が付着する。粉体塗料を塗布する具体的な方法は、
図3に示す静電粉体塗装機12による静電粉体塗装法(吹き付け塗装法)により行う。
【0032】
粉体塗料は、特に限定はしないが、例えば粒子径が5〜100μmであり、材質が、エポキシ系、ポリエステル系、アクリル系またはエポキシ−ポリエステル系である粉体塗料を用いることが好ましい。
【0033】
[第4工程(焼付け乾燥工程)]
第3工程S5の後、基材2を第1温度域よりも高温である第2温度域で焼付け乾燥することにより、前処理変性層8および塗料層9をそれぞれ前処理層3および塗膜層4とする(第4工程S6(
図1(f)))。基材2を焼付け乾燥することにより、塗料層9中の粉体(塗料)を一旦溶融させた後に固化させることで前処理変性層8中のシロキサンを塗料層9中に拡散混合させるとともに、塗料層9を焼付け乾燥することにより、前処理変性層8および塗料層9をそれぞれ前処理層3および塗膜層4に変化させて、基材2の表面に強固に固着される。
【0034】
第2温度域は、前記拡散混合を生じさせる観点から、150℃以上であることが好ましく、より好適には160℃以上、さらに好適には180℃以上とする。また、第2温度域の上限としては、色相異常発生防止の観点から、200℃以下とすることが好ましい。
【0035】
さらに、第4工程S6は、拡散混合と焼付け乾燥とを同時に行なう場合だけではなく、拡散混合を目的とする第1加熱を行った後に、焼付け乾燥を目的とするさらに高温で第2加熱を行う2段加熱方式を採用してもよい。この場合、第1加熱の温度は、150〜180℃の範囲、第2加熱の温度は、180〜210℃の範囲であることが好ましい。
【0036】
[第4工程後の処理]
第4工程S6の後に基材2を冷却することによって、粉体塗装物(製品)を得ることができる。
【0037】
<前処理水溶液塗工程>
次に、上述した第1工程S3における前処理水溶液を塗布する工程について
図5乃至9を参照しながら以下で詳細に説明する。
【0038】
図5は、
図2に示す第1工程を行う際の基材の吊下げ状態を示した概念図である。
図6(a)〜(e)は、前処理水溶液を塗布する工程において基材の下縁で前処理水溶液が滞留する状態を説明するための模式的断面図である。
図7は、基材の下縁で滞留した前処理水溶液が破泡する状態を説明するための模式的断面図である。
図8は、従来の前処理水溶液を塗布する工程において基材の下縁で前処理水溶液が滞留する状態を説明するための模式的断面図である。
図9は、
図2に示す第1工程を行う際の基材の吊下げ状態を変更した吊下げ状態を示した概念図である。
【0039】
従来の前処理水溶液を塗布する工程においては、基材2の塗布面2a
2に前処理水溶液を噴霧(シャワー)方式で塗布していたため、前処理水溶液が基材2の下縁2cに滞留し、
図8(a)に示すように、基材2の塗布面2a
2の前処理液層7の厚さT
aより下縁2cの前処理液層7の厚さT
bの方が厚くなる場合があった。このため、熱風HAを基材2に吹き付けて水切り乾燥することにより前処理液層7を前処理変性層8とすると、
図8(b)に示すように、基材2の表面2aの前処理変性層8の厚さTcよりも下縁2cの前処理変性層8の厚さT
dの方が厚くなり(T
c<T
d)、粉体塗料を塗着すると塗膜の厚さが基材2の塗布面2a
2よりも下縁2cの方が厚くなり不均一になる。
【0040】
また、基材2の下縁2cに前処理水溶液が滞留するのを防止するため、
図9に示すように、仮想水平面Lに対し、上縁2bが適当な角度θ(例えば、θ=5〜30°の範囲)だけ傾斜させて吊下げ治具Hに基材2を吊下げた状態にして前処理水溶液を塗布することにより、各基材2の下縁2cに付着した余分な前処理水溶液Cを基材2の下方へ流れ落ちるのを促進する構造にすることができる。しかしながら、基材2を傾斜させた吊下げ状態とすると、基材2を吊下げ治具Hに吊下げ又は降ろす作業、手直し塗装作業等の作業性が悪くなる。また、前処理水溶液Cの噴霧や粉体塗料の吹き付けの作業を行う際に、水平方向に対して基材2の傾斜を考慮に入れた上で作業しなければならず、基材2の表面全体に均一厚さの前処理液層7や塗膜層4を形成することが難しくなる。
【0041】
そこで、本発明者は、前処理水溶液の塗布方法を鋭意検討した結果、
図5に示すように、複数枚の基材2を、上縁2bが仮想水平面Lと平行になるような吊下げ状態において、前処理水溶液を発泡させて常温で塗布することにより、前処理水溶液により形成される前処理液層7の厚さが均一になり、その後の粉体塗料を用いて形成する塗膜層4の塗膜欠陥の発生が抑制され、その結果、製品歩留りが顕著に改善されることを見出した。
【0042】
より詳細には、吊下げ治具Hに吊下げられて水平に搬送される基材2の塗布面2a
2に前処理水溶液を発泡させて常温で塗布すると、基材2の表面に泡状の前処理液層7が形成される。前処理水溶液の泡は、緻密で基材2の表面に十分に塗布することができるように、泡の大きさは0.5mm以下の微細な泡であることが好ましい。
【0043】
上記発泡による泡は、時間の経過とともに破泡する泡と、破泡せずに基材2の塗布面2a
2に残存する泡とが存在する。
図6(a)及び
図6(b)に示すように破泡せずに基材2の表面に残存する泡状の前処理液層7は、重力Gにより基材2の下縁2cに滞留する。その後、熱風HAを吹き付けて水切り乾燥すると、温度上昇によって泡膜内の圧力が上昇し、泡膜内外での圧力差が大きくなり、
図6(c)に示すように泡膜が破泡し、
図6(d)に示すように前処理液層7が前処理変性層8となる。
図6(e)に示すように前処理液層7を前処理変性層8とすると、残存する泡が破泡して基材2の塗布面2a
2の前処理変性層8の厚さT
1と下縁2cの前処理変性層8の厚さT
2との厚さが略等しくなり(T
1=T
2)、粉体塗料を塗着すると塗膜の厚さが基材2の塗布面2a
2と下縁2cとで均一となる。なお、
図6(a)及び
図6(b)では、微細な泡を誇張して図示している。
【0044】
また、基材2の塗布面2a
2に前処理水溶液を発泡させて塗布すると、
図7(a)に示すように、基材2の下縁2cに滞留した前処理液層7に塵や埃等の余剰物Sが滞留する場合がある。しかしながら
図7(b)に示すように、前処理液層7の泡に含まれている余剰物Sは、重力Gにより前処理液層7の泡における下方へ流動して滞留し、
図7(c)に示すように、発泡による泡が破泡する際に飛散することも判明した。
【0045】
なお、シラノールは、温度が高くなるとゲル化しやすい性質を有しており、前処理液層7中に生成したシラノールがゲル化すると、前処理液層7の膜厚が不均一になり、基材2に対する塗膜層4の密着性が低下するなどの不具合があることから、本発明では、前処理水溶液の塗布温度を、常温(5〜35℃)とした。前処理水溶液は、シランカップリング剤を少なくとも含有していればよいが、前処理液層7を形成するための前処理水溶液中に有機スズ化合物を含有させないと、シラノールからシロキサンへの反応速度が遅く、前処理変性層8中に、一部のシラノールが残存し、このシラノールが残存すると、最終的に製造した粉体塗装物1の塗膜層4の表面外観を悪化させる傾向がある。このため、前処理水溶液に有機スズ化合物を含有させることが好ましい。
【0046】
シランカップリング剤は、その構造中に反応性官能基と、加水分解性基とを有し、水に溶解できる水溶性であることが好ましい。反応性官能基としては、例えばアミノ基やエポキシ基等が挙げられ、加水分解性基としては、例えばアルコキシ基等が挙げられる。
【0047】
シランカップリング剤の具体例としては、例えばビニルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメエキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−(ビニルベンジルアミン)−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができ、これらのシランカップリング剤は1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0048】
有機スズ化合物としては、例えばジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジマレート、オクチル酸スズなどが挙げられる。
【0049】
前処理液層7の膜厚は、塗布する前処理水溶液の温度や、シランカップリング剤の濃度などによって変化することから、これらの条件を調整することによって所望の膜厚に設定することができる。
【0050】
上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、特許請求の範囲において種々の変更を加えることができる。