(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0016】
1.第1実施形態
図1〜
図2に示す遮蔽装置としての横型ブラインドは、ヘッドボックス1から垂下される複数本のラダーコード2を介して遮蔽材としての多数段のスラット3が吊下支持され、同ラダーコード2の下端にボトムレール4が吊下支持されている。ラダーコード2は、一対の縦糸の間に複数の横糸を備える。各横糸には、スラット3が支持されている。
図5(b)に示すように、ラダーコード2の上端側にはループ部2aが設けられており、ループ部2aは、ヘッドボックス1内に配設されたサポート部材10又はサポート部材11によって回転可能に支持されたチルタードラム32に設けられたV状溝32aに掛装されている。V状溝32aは、チルタードラム32の外周面を周回するように、径方向外側に向かって幅が広がるように形成されている。ループ部2aとV状溝32aの内面32eの間の摩擦によって、チルタードラム32の回転に追従してループ部2aが変位することによってスラット3が回動するように構成されている。また、スラット3が全閉状態又は逆全閉状態(スラット3が全閉状態とは逆側を向いて略垂直になっている状態)になるまで回動された後は、チルタードラム32がラダーコード2に対して空回りするようになっている。なお、ラダーコード2は、特許請求の範囲の「スラット支持コード」に相当する。「スラット支持コード」は、スラット3を支持及び回動可能なものであればその構成は限定されず、例えば、互いに分離された2本の縦糸を備え、一方の縦糸がスラットの一方の縁に取着され、他方の縦糸がスラットの他方の縁に取着されるような構成であってもよい。
【0017】
ヘッドボックス1からは昇降コード5も垂下されており、昇降コード5の下端がボトムレール4に取着されている。ヘッドボックス1内に配設されたサポート部材11に回転可能に支持された巻取軸9に昇降コード5が巻取り及び巻戻しされることによってボトムレール4が昇降される。
【0018】
サポート部材10,11には、同一構成のチルターユニット19が支持されている。サポート部材10は、チルターユニット19のみを支持するように構成されている。一方、サポート部材11は、チルターユニット19及び巻取軸9を支持するように構成されている。チルターユニット19を支持する部位については、サポート部材10は、サポート部材11と実質的に同一構成である。以下、サポート部材11、巻取軸9、及びチルターユニット19について詳細に説明する。
【0019】
図3〜
図4に示すように、サポート部材11は、サポート部材本体11aと、アダプタプレート11bを備える。サポート部材本体11aは、巻取軸9を支持する巻取軸収容部11eと、チルターユニット19を支持するチルターユニット収容部11fを備える。アダプタプレート11bは、昇降コード5が挿通される昇降コード挿通部11cと、ラダーコード2が挿通されるラダーコード挿通部11dを備え、サポート部材本体11aのアダプタ装着部11gに装着される。
【0020】
図3〜
図4に示すように、巻取軸9は、巻取コーン9aと、カムユニット9bを備える。カムユニット9bは、特開2014−231696に開示されているように、ボトムレール4が自重下降中に障害物に衝突したり、ボトムレール4が下限位置に到達したりしたときに巻取コーン9aの回転を停止させる機能を有する。カムユニット9bは、操作コード7の操作に伴って回転する昇降軸8と一体回転するように構成されており、ボトムレール4を上昇させる際には、昇降軸8の回転に伴ってカムユニット9bと巻取コーン9aが一体回転する。一方、ボトムレール4を自重下降させる際には、ボトムレール4の下降に伴って昇降コード5に引張り力が加わり、この引張り力によって発生するトルクによって巻取コーン9aが回転するように構成されている。なお、昇降軸8には速度調整機22が設けられていて、ボトムレール4の自重下降時の昇降軸8の回転速度が過度に大きくならないように調整される。
【0021】
図5〜
図7に示すように、チルターユニット19は、チルタードラム32と、サポートキャップ33と、チルターギヤ34と、軸受プレート35を備える。上記の通り、チルタードラム32のV状溝32aには、ラダーコード2のループ部2aが掛装される。チルタードラム32は、昇降軸8の回転に伴って回転しない。一方、操作コード7の操作に伴って回転するチルト軸17がチルターギヤ34の挿通孔34cに係合されることによって、チルターギヤ34は、チルト軸17の回転に伴って回転するように構成されている。そして、チルタードラム32のギヤ部32cがチルターギヤ34のギヤ部34bに噛み合っているので、チルト軸17の回転に伴ってチルターギヤ34が回転することによってチルタードラム32が回転する。
【0022】
軸受プレート35には、係合凸部35bを有する一対のアーム35aと、チルターギヤ軸受部35cと、チルタードラム軸受部35dを備える。
図6(a)に示すように、ギヤ部32cとギヤ部34bを噛みあわせた状態で、チルターギヤ34の軸部34aをチルターギヤ軸受部35c内に挿入させ、且つチルタードラム32の軸部32bをチルタードラム軸受部35d内に挿入させる。この際、一対のアーム35aの間隔が広がるように一対のアーム35aが弾性変形しながら、係合凸部35bがチルタードラム32のギヤベース32dを乗り越えて、係合凸部35bがギヤベース32dに係合され、
図6(b)に示す状態になる。この状態では、チルタードラム32の軸方向移動は係合凸部35bによって阻止され、チルターギヤ34の軸方向移動はギヤベース32dによって阻止させるので、軸受プレート35と、チルタードラム32と、チルターギヤ34が一体化される。これらを一体化させる前又は後であって、サポートキャップ33を装着する前に、ラダーコード2のループ部2aをV状溝32aに掛装させる。
【0023】
サポートキャップ33は、先端に向かって幅が狭くなるV状突起33aと、係合溝33bを有する一対の側壁33dを備える。
図6(b)に示すように、軸受プレート35の上側から、軸受プレート35のベース板35eが係合溝33b内に入り込むようにサポートキャップ33を装着すると、V状突起33aがV状溝32a内に延びるように配設される。
【0024】
ところで、ボトムレール4が上限位置以外にある場合には、ラダーコード2にスラット3の重量が加わるためにラダーコード2とV状溝32aが摩擦係合してラダーコード2がチルタードラム32の回転に追従して移動するのに対し、ボトムレール4が上限位置にある場合は昇降コード5にスラット3の全重量が加わるためにラダーコード2にはスラット3の重量が加わらない。このような状態では、V状突起33aがない場合には、ラダーコード2のループ部2aがV状溝32aから浮き上がってしまい、スラット3が全閉状態になっていないにも関わらず、チルタードラム32がラダーコード2に対して空回りしてしまう場合がある。しかし、本実施形態では、V状突起33aがラダーコード2の浮き上がりを抑制する浮き上がり抑制部として機能するので、ラダーコード2にスラット3の重量が加わっていない場合でも、スラット3が全閉状態になっていない場合にチルタードラム32がラダーコード2に対して空回りすることが抑制される。本実施形態では、V状突起33aは、周方向に約104度の角度に渡って設けられている。V状突起33aが設けられる範囲の中心角α(
図7(b)に図示)は、30度以上が好ましく、60又は90度以上がより好ましい。中心角αの上限は、特に規定されないが、例えば、180度である。中心角αを大きくすることによってV状突起33aとV状溝32aの間の隙間Sを過度に狭くすることなく、チルタードラム32の回転にラダーコード2を追従させるのに十分な摩擦力を発生させることが可能になっている。なお、浮き上がり抑制部は、ラダーコード2のループ部2aがV状溝32aから浮き上がることを抑制できるものであればその構成は限定されず、例えば、
図8に示すように、V状溝32aの内面32eから突出する係止突起32fを設けて、V状溝32a内の、係止突起32fよりも下側の空間S1にラダーコード2のループ部2aを保持するようにしてもよい。この場合でも、サポートキャップ33にV状突起33aを設けた場合と同様の作用によって、ループ部2aの浮き上がりを抑制することができる。
【0025】
軸受プレート35にはベース板35eから前後方向の両側に突出する位置決め突起35fが設けられており、サポートキャップ33の側壁33dの下面33cが、位置決め突起35fの上面35gに当接することによってサポートキャップ33が軸受プレート35に対して上下方向に位置決めされる。
【0026】
以上の構成によって、チルタードラム32、サポートキャップ33、チルターギヤ34、及び軸受プレート35が一体化されたチルターユニット19が得られる。
【0027】
チルターユニット19は、
図4に示すように、巻取軸9をサポート部材本体11aに支持させた状態で、サポート部材本体11aの上方からサポート部材本体11aに取り付けることができる。このように、予めチルターユニット19の組み立てを行った後に、チルターユニット19をサポート部材11本体aに取り付けることができるので、組立性が優れている。
【0028】
ヘッドボックス1の略右端には操作部ユニット6が設けられている。
図9〜
図25に示すように、操作部ユニット6は、遊星ギヤ・操作プーリー部23と、チルト伝達部24と、伝達遅延ユニット25と、ブレーキ部26と、クラッチユニット27を備える。遊星ギヤ・操作プーリー部23は、操作プーリー23aと、遊星ギヤ23bを備える。操作プーリー23aには、操作コード7が掛装される。操作コード7は、コードゲート15を通じてヘッドボックス1の外に導き出されている。操作プーリー23aは、支軸23a1を備え、支軸23a1がケースキャップ23cによって回転可能に支持されている。操作コード7を操作して操作プーリー23aを回転させると、その回転が遊星ギヤ23bの入力軸23eに伝達される。遊星ギヤ23bでは、入力軸23eの回転が減速されて遊星キャリア23dに伝達される。遊星キャリア23dの回転が伝達遅延ユニット25の入力軸28に伝達される。
【0029】
チルト伝達部24は、ギヤプレート24aと、ギヤプレート24aに回転可能に支持される伝達ギヤ24b及びチルト軸ギヤ24cを備える。伝達ギヤ24bは、入力軸28と一体回転するように構成されている。伝達ギヤ24bは、伝達遅延ユニット25の入力側に設けられている。伝達ギヤ24bが入力軸28に対して軸方向に相対移動する場合は伝達ギヤ24bと入力軸28の間に摩耗が発生しやすいが、本実施形態では、伝達ギヤ24bが入力軸28に対して軸方向に相対移動しないので、相対移動に伴う摩耗の問題が生じない。チルト軸ギヤ24cは、伝達ギヤ24bと噛み合っており、伝達ギヤ24bの回転に伴って回転する。チルト軸ギヤ24cの回転は、チルト軸17を通じて、チルターユニット19のチルターギヤ34に伝達されてスラット3が回動される。
【0030】
図10〜
図15に示すように、伝達遅延ユニット25は、入力軸28と、第1及び第2ケース29,30によって回転可能に支持される一対の中間回転体31を備える。
【0031】
入力軸28は、入力側から順に、第1軸部28f、第2軸部28g、第3軸部28e、第4軸部28i、第5軸部28dを備える。第1軸部28fは、第2軸部28gよりも小径である。第2軸部28gは、第3軸部28eよりも小径である。第4軸部28iは、第3軸部28eよりも小径である。第5軸部28dは、第4軸部28iよりも小径である。第1軸部28fは、遊星ギヤ23bの入力軸23eに設けられた軸受部23e1で軸受される。第2軸部28gには係合溝28bが設けられている。係合溝28bは、周方向に等間隔に離間されて3つ設けられている。
図12(b)に示すように、遊星キャリア23dの回転中心には挿通孔23d1が設けられており、挿通孔23d1には径方向内側に突出する係合突起23d2が設けられている。係合突起23d2は、周方向に等間隔に離間されて3つ設けられており、各係合突起23d2が各係合溝28bに係合されることによって入力軸28と遊星キャリア23dが一体回転される。第3軸部28eには係合溝28cが設けられている。係合溝28cは、周方向に等間隔に離間されて3つ設けられている。
図12(a)に示すように、伝達ギヤ24bの回転中心には挿通孔24b1が設けられており、挿通孔24b1には径方向内側に突出する係合突起24b2が設けられている。係合突起24b2は、周方向に等間隔に離間されて3つ設けられており、各係合突起24b2が各係合溝28cに係合されることによって入力軸28と伝達ギヤ24bが一体回転される。第1ケース29には軸受部29gが設けられており、第3軸部28eが軸受部29gによって軸受される。第4軸部28iの外周面には、径方向に突出する2つの歯突起28aが180度ピッチで設けられている。第5軸部28dは
図13に示すように、第2ケース30の筒部30kから径方向内側に突出する係合突起30gの軸受面30hによって軸受される。
【0032】
第1及び第2ケース29,30は、伝達遅延ユニット25の出力軸として機能する。第1ケース29の基部29bには、軸受部29gと回動溝29aが設けられている。
図11(d)に示すように、回動溝29aの周方向の中央には回動溝29a内に向かって突出する係合突起29hが設けられている。また、基部29bの出力側の面には、基部29bから突出する一対の突出壁29e及び突出筒29cが設けられている。突出壁29eにはスナップ孔29fが設けられ、突出筒29cには挿通孔29dが設けられている。スナップ孔29fは、各突出壁29eに上下方向に離間されて2箇所に設けられている。
【0033】
第2ケース30の基部30bには回動溝30aが設けられている。基部30bの入力側の面には、基部30bから突出する一対の突出壁30d及び突出棒30cが設けられている。各突出壁30dの外側面にはスナップ突起30eが設けられている。スナップ突起30eは、上下方向に離間されて2箇所に設けられている。また、一対の突出壁30dの間には、基部30bから突出する支軸30fが設けられている。支軸30fは、上下方向に離間されて2箇所に設けられている。基部30bの出力側の面には、回動溝30aに隣接して突出片30iが設けられている。突出片30iは、各回動溝30aに、各回動溝30aに沿った方向に離間されて2箇所に設けられている。各突出片30iには、回動溝30aの方向に向かって突出する係合突起30jが設けられている。また、基部30bの出力側の面には、筒部30kが設けられており、筒部30kには、筒部30kから径方向内側に突出する係合突起30gが設けられている。係合突起30gは、周方向に等間隔に離間されて3つ設けられている。各係合突起30gの先端には軸受面30hが設けられている。上記の通り、入力軸28の第5軸部28dが軸受面30hによって軸受される。
【0034】
中間回転体31には、軸受部31dが設けられており、第2ケース30の支軸30fが軸受部31dによって軸受されることによって中間回転体31が第2ケース30によって回転可能に支持される。中間回転体31の外周面には、径方向に突出する3つの歯突起31aが45度ピッチで設けられている。
図15に示すように、歯突起28aと歯突起31aは互いに噛み合うように配置されており、入力軸28の回転に伴って歯突起28aが歯突起31aに当接して、中間回転体31が回転されるようになっている。また、中間回転体31は軸方向の前後両側に突出する規制突起31b,31cを備える。規制突起31b,31cが第1及び第2ケース29,30の回動溝29a,30a内に挿通されることによって、中間回転体31は、規制突起31b,31cが回動溝29a,30a内で回動可能な角度範囲(本実施形態では約140度)内において、第1及び第2ケース29,30に対して相対回転可能になっている。規制突起31bには係合溝31eが設けられている。規制突起31cには係合突起31fが設けられている。
【0035】
伝達遅延ユニット25は、軸受部31dに支軸30fを挿通し、入力軸28の第5軸部28dが軸受面30hによって軸受された状態で、第1軸部28f、第2軸部28g、第3軸部28eの順に軸受部29gに挿通させ、突出棒30cを挿通孔29dに挿通させ、スナップ突起30eをスナップ孔29fに係合させることによって組み立てることができる。
【0036】
ここで、
図15を用いて、伝達遅延ユニット25の動作を説明する。
まず、入力軸28を
図10(b)及び
図11(b)に示す矢印X方向(ボトムレール4を上昇させる方向)に回転させると、
図15(a)に示すように歯突起28aが矢印X方向に回動する。入力軸28が約半回転すると、
図15(b)に示すように、歯突起28aが歯突起31aに噛み合う。この状態で入力軸28を矢印X方向にさらに回転させると、
図15(c)〜(d)に示すように、入力軸28の回転に伴って中間回転体31が矢印Y方向に回転する。入力軸28が約60度回転して
図15(d)の状態になるまでに中間回転体31も約60度回転する。この際、規制突起31b,31cが回動溝29a,30a内で矢印Y方向に約60度回動する。規制突起31b,31cが回動溝29a,30a内で回動可能な間は、入力軸28の回転は、第1及び第2ケース29,30には伝達されず、入力軸28は、第1及び第2ケース29,30に対して相対回転する。
図15(d)の状態になると歯突起28a,31aの噛み合いが解除されるので、入力軸28の回転に伴う中間回転体31の回転は停止される。入力軸28をさらに約半回転させると、
図15(e)〜(f)に示すように歯突起28a,31aが再度噛み合って、入力軸28の回転に伴って中間回転体31が回転するようになる。そして、入力軸28及び中間回転体31がそれぞれ約60度回転した後に歯突起28a,31aの噛み合いが解除され、入力軸28の回転に伴う中間回転体31の回転は停止される。入力軸28をさらに約半回転させると、再度噛み合って、入力軸28の回転に伴って中間回転体31が回転するようになる。そして、入力軸28及び中間回転体31がそれぞれ約20度回転すると、規制突起31b,31cが回動溝29a,30aの端にまで到達し、
図15(g)に示す状態になる。このように、中間回転体31は、入力軸28の回転に伴って断続的に回転される。
【0037】
図15(g)に示す状態では、規制突起31b,31cは回動溝29a,30a内で回動不能であるので、入力軸28が回転されると、その回転が中間回転体31を介して第1及び第2ケース29,30に伝達され、第1及び第2ケース29,30が入力軸28と一体回転する。
【0038】
このように、第1及び第2ケース29,30は、入力軸28が矢印X方向に約1.5回転した後に、入力軸28の回転に伴って矢印X方向に回転し始める。なお、入力軸28が矢印Y方向に回転された場合には、
図15(g)の状態から規制突起31b,31cは回動溝29a,30a内を矢印X方向に移動し、入力軸28が矢印Y方向に約1.5回転すると、規制突起31b,31cが回動溝29a,30aの端に到達して、第1及び第2ケース29,30が入力軸28の回転に伴って矢印Y方向に回転し始める。
【0039】
なお、
図15(a)〜
図15(b)の状態では、規制突起31bの側面が係合突起30jによって係止されることによって中間回転体31の回動が緩く規制される。
図15(c)の状態では、係合突起30jが係合溝31eに係合されることによって中間回転体31の回動が緩く規制される。
図15(d)〜
図15(e)の状態では、係合突起31fが係合突起29hによって係止され且つ規制突起31bの側面が係合突起30jによって係止されることによって中間回転体31の回動が緩く規制される。
図15(f)の状態では、係合突起30jが係合溝31eに係合されることによって中間回転体31の回動が緩く規制される。
図15(g)の状態では、規制突起31bの側面が係合突起30jによって係止されることによって中間回転体31の回動が緩く規制される。このように、
図15(a)〜
図15(g)の各状態において、中間回転体31の回動が緩く規制されていて、入力軸28の非回転時に振動などによって中間回転体31が回動することが抑制される。このため、2つの中間回転体31の回転角度がずれることが抑制される。
【0040】
伝達遅延ユニット25は、
図14に示すように操作部ケース45内に収容される。基部29b,30bの外周面が操作部ケース45の軸受部45dによって軸受された状態で伝達遅延ユニット25が操作部ケース45内で回転される。軸受部45dは、周方向に等間隔に離間されて4箇所に設けられている。
【0041】
第1及び第2ケース29,30の回転は、ブレーキ部26の入力部26aに伝達される。
図13に示すように、入力部26aには係合突起26a1が設けられている。係合突起26a1は周方向に等間隔に離間されて3箇所に設けられている。各係合突起26a1は、隣接する2つの係合突起30gの間に係合されている。このような構成によって、ブレーキ部26の入力部26aが第1及び第2ケース29,30と一体回転する。
【0042】
ブレーキ部26は、第1及び第2ケース29,30側から入力部26aに伝達された回転は出力部26bの嵌合孔に嵌合された伝達軸26cを介してクラッチユニット27の入力軸41に伝達するが、
遮蔽材(スラット3及びボトムレール4)の自重によって発生するトルクによる入力軸41の回転を阻止するように構成されている。このため、ブレーキ部26を設けることによってボトムレール4の自重下降が防止される。クラッチユニット27と伝達遅延ユニット25の間にブレーキ部26を配置することによってボトムレール4の自重によって発生するトルクによって伝達遅延ユニット25の出力軸が回転されることを防ぐことができる。
【0043】
図16〜
図20に示すように、クラッチユニット27は、入力軸41と、カム軸42と、出力軸43を備える。カム軸42及び出力軸43は、操作部ケース45内に相対回転可能に収容されている。カム軸42は、入力軸41と一体回転するように構成されている。
【0044】
入力軸41の回転中心には、嵌合孔41aが設けられている。嵌合孔41a及び伝達軸26cは、断面非円形(四角形)であり、嵌合孔41aに伝達軸26cが挿入されることによって入力軸41が伝達軸26cと一体回転するように構成されている。入力軸41の外周面には径方向外側に突出する係合突起41bが設けられている。係合突起41bは、周方向に等間隔に離間されて3箇所に設けられている。
【0045】
カム軸42の回転中心には、嵌合孔42hが設けられている。嵌合孔42hには係合溝42iが設けられている。係合溝42iは周方向に等間隔に離間されて6箇所に設けられている。このうちの3つの係合溝42iに係合突起41bが係合されることによって、カム軸42が入力軸41と一体回転するように構成されている。また、カム軸42は、入力軸41の軸方向には移動可能になっている。
【0046】
入力軸41の出力側には軸受部41eが設けられている。カム軸42の出力側には軸受部42jが設けられている。出力軸43の入力側には、入力側から順に第1軸部43e及び第2軸部43dが設けられている。第1軸部43eは、第2軸部43dよりも小径である。第1軸部43e及び第2軸部43dがそれぞれ軸受部41e及び軸受部42jによって軸受される。
【0047】
カム軸42と出力軸43には断面波型の凹凸形状である係合部42k,43kが形成されている。カム軸42が
図18(b)に示すように出力軸43から離れた位置にあるときは係合部42k,43kが噛み合わず、カム軸42と出力軸43が非連結状態となって相対回転する。一方、カム軸42が
図18(a)に示すように出力軸43に近づいた位置にあるときは係合部42k,43kが噛み合ってカム軸42と出力軸43が連結状態となって一体回転する。従って、カム軸42と出力軸43によってクラッチ部が構成される。
【0048】
カム軸42の外周には、カム軸42の周方向に延びる断面略半円のガイド溝42gが設けられている。操作部ケース45に支持された別体パーツ46には、軸方向に延びる断面略半円のスライド溝46aが設けられており、ガイド溝42gとスライド溝46aの間にボール44が挟まれている。ボール44は、スライド溝46a内で軸方向に移動可能になっている。また、ボール44は、カム軸42の回転に伴ってガイド溝42gに沿ってカム軸42の周方向に相対移動する。なお、以下の説明では、便宜上、周方向の相対移動を単に「移動」と称する場合がある。
【0049】
図16に示すように、操作部ケース(ケース本体)45は、カム軸42と出力軸43が収容される円筒部45aと、円筒部45aから径方向に突出するように設けられたポケット部45bを備える。カム軸42のガイド溝42gと別体パーツ46のスライド溝46aの間にボール44を挟んだ状態で、出力軸43、カム軸42、ボール44及び別体パーツ46を円筒部45a及びポケット部45b内に収容させることによって、これらの部材を操作部ケース45内に配置することができる。また、別体パーツ46の係止突起46bがポケット部45bの端面45cに係合されることによって、別体パーツ46の軸方向移動が規制される。また、別の組立方法では、出力軸43を円筒部45a内に収容し、次に、別体パーツ46をポケット部45b内に配置し、且つスライド溝46a内にボール44を配置した状態で、カム軸42を円筒部45a内に収容することができる。
図17に示すように、カム軸42には、カム軸42の出力側からガイド溝42gまで延びる導入溝42aが設けられているので、カム軸42を円筒部45a内に挿入する際に、カム軸42を適宜回転させて、導入溝42aの位置をボール44の位置に一致させることによってボール44をガイド溝42g内に容易に導入することができる。なお、ここでは、出力軸43とボール44との干渉を避けるために、ボール44をスライド溝46a内に収容する前に、出力軸43を円筒部45a内に収容しているが、出力軸43の外径を小さくしたり、出力軸43にも導入溝を設けたりすることによって、出力軸43とボール44の干渉を避けることができる。この場合、ボール44をスライド溝46a内に収容した状態で、出力軸43を円筒部45a内に収容させることができる。
【0050】
図19〜
図20に示すように、ガイド溝42gは、列A〜列Cの溝で構成されており、スライド溝46a内でのボール44の可動範囲は、ガイド溝42gの2列分の幅になっている。ボール44の軸方向の可動範囲が制限された状態で、カム軸42の回転に伴ってボール44がガイド溝42gに沿って移動することによって、カム軸42の軸方向移動が実現される。従って、ガイド溝42gとスライド溝46aとボール44によってカム部が構成される。
【0051】
ここで、本実施形態の横型ブラインドの動作について説明する。
【0052】
説明の便宜上、初期状態として、ボトムレール4が下限位置にある状態を想定する。この状態では、伝達遅延ユニット25は
図15(g)に示す状態となっており、クラッチユニット27のボール44は、
図19(a)に示すように、ガイド溝42gの列A又は列Bに配置されている。この状態では、カム軸42と出力軸43は、
図18(a)に示すように連結状態になっているので、両者は一体回転する。
【0053】
操作コード7の上昇操作側を引き下げることによって操作プーリー23aをボトムレール4の上昇方向に回転させると、その回転が遊星ギヤ23bを介して伝達遅延ユニット25の入力軸28に伝達される。入力軸28がボトムレール4の上昇方向に回転されると、伝達ギヤ24bとこれに噛み合うチルト軸ギヤ24cが回転される。チルト軸ギヤ24cの回転は、チルト軸17を介してチルターギヤ34に伝達される。チルターギヤ34の回転は、チルタードラム32に伝達される。チルタードラム32の回転に伴って、チルタードラム32のV状溝32aに掛装されているラダーコード2が変位され、スラット3が逆全閉状態になるまでスラット3が回動される。スラット3が逆全閉状態になった後は、チルタードラム32は、ラダーコード2に対して空回りする。
【0054】
伝達遅延ユニット25の入力軸28の回転に伴って、
図15(g)の状態から規制突起31b,31cが回動溝29a,30a内を矢印X方向に移動し、入力軸28が矢印Y方向(ボトムレール4の上昇方向)に約1.5回転すると、規制突起31b,31cが回動溝29a,30aの端に到達して、第1及び第2ケース29,30が入力軸28の回転に伴って矢印Y方向に回転し始める。従って、入力軸28の回転は、1.5回転分遅延されて、第1及び第2ケース29,30に伝達される。
【0055】
第1及び第2ケース29,30の回転は、ブレーキ部26を介してクラッチユニット27の入力軸41に伝達される。この回転は、カム軸42にも伝達される。カム軸42がボトムレール4の上昇方向に回転されると、
図19(a)に示すように、ボール44は、ガイド溝42gの列Aと列Bの間を往復するルートに沿って移動する。具体的には、ボール44が列A内を移動中にカム突起a1に到達すると、カム突起a1によってボール44が列B方向に誘導される。ボール44が列B内を移動中にカム島a2に到達すると、カム島a2によってボール44が列A方向に誘導される。このように、カム突起a1とカム島a2によってボール44が列Aと列Bの間を往復するように誘導されて移動される。カム軸42の外周面には、カム突起a1及びカム島a2がそれぞれ周方向に等間隔に離間されて4箇所に設けられている。カム島a2は、カム突起a1及びカム島a2の間に列Bが構成されるように設けられる。ボール44がA列にある状態では、ボール44は、スライド溝46a内の右側に位置しており、ボール44がB列に移動すると、ボール44はスライド溝46a内の左側に移動する。従って、ボール44が列Aと列Bの間を往復するルートに沿って移動している間は、カム軸42は、軸方向に移動しない。
【0056】
この状態では、カム軸42と出力軸43が連結状態になっているので、カム軸42の回転が出力軸43、昇降軸8、及び巻取軸9の順で伝達される。従って、操作コード7の上昇操作側を引き下げることによってボトムレール4が上昇する。
【0057】
以上のように、本実施形態では、入力軸28の回転は、チルト軸17には即座に伝達されるが、昇降軸8には、伝達遅延ユニット25によって遅延された後に、伝達される。このため、スラット3の回動中に、ボトムレール4が上昇を開始することが抑制される。
【0058】
ボトムレール4が上限位置にまで上昇したところで、操作コード7から手を離すとボトムレール4の自重によって生じるトルクが、巻取軸9、昇降軸8、出力軸43、カム軸42、入力軸41の順で伝達されて、入力軸41が下降方向に回転しようとするが、その回転はブレーキ部26によって停止されるので、入力軸41は回転せず、カム軸42も回転しない。このとき、ボール44は、列A又はB内のどこかに配置されている。ここでは、
図19(b)に示す位置にボール44が配置された状態でカム軸42の回転が停止されていると想定して説明を進める。
【0059】
この状態から、操作コード7の下降操作側を引き下げて、操作プーリー23aをボトムレール4の下降方向に回転させると、その回転が入力軸28、伝達ギヤ24b、チルト軸ギヤ24c、チルト軸17、チルターギヤ34を介してチルタードラム32に伝達される。ボトムレール4が上限位置にある状態では全てのスラット3の重量が昇降コード5に加わるのでラダーコード2にはスラット3の重量が加わらない。このため、従来技術では、チルタードラム32内のラダーコード2のループ部2aが浮き上がってしまい、スラット3が全閉状態になっていないにも関わらず、チルタードラム32がラダーコード2に対して空回りしてしまって、スラット3が回動されない。このため、従来技術では、ボトムレール4が上限位置にある場合に、スラット3が全閉状態にならずにボトムレール4が自重下降されてしまう場合がある。一方、ボトムレール4が上限位置よりも低い位置にある場合には、スラット3が全閉状態になった状態でボトムレール4が自重下降される。ボトムレール4が上限位置にある場合にのみスラット3が開いた状態でボトムレール4が自重下降されてしまうことは使用感を悪化させるという点で問題である。本実施形態では、サポートキャップ33に設けたV状突起33aをV状溝32a内に延びるように配置することによって、ラダーコード2の浮き上がりを防止している。このため、本実施形態では、スラット3が全閉状態になっていない状態でのチルタードラム32の空回りが起こらず、操作プーリー23aをボトムレール4の下降方向に回転させると、スラット3が全閉状態になるまで回動される。一方、スラット3が全閉状態になった後は、チルタードラム32は、ラダーコード2に対して空回りする。
【0060】
伝達遅延ユニット25の入力軸28の回転に伴って、
図15(a)の状態から規制突起31b,31cが回動溝29a,30a内を矢印Y方向に移動し、入力軸28が矢印X方向(ボトムレール4の下降方向)に約1.5回転すると、規制突起31b,31cが回動溝29a,30aの端に到達して、第1及び第2ケース29,30が入力軸28の回転に伴って矢印X方向に回転し始める。従って、入力軸28の回転は、1.5回転分遅延されて、第1及び第2ケース29,30に伝達される。
【0061】
第1及び第2ケース29,30の回転は、ブレーキ部26を介してクラッチユニット27の入力軸41に伝達される。この回転は、カム軸42にも伝達される。カム軸42がボトムレール4の下降方向に回転されると、
図19(b)〜(c)に示すように、ボール44は、ガイド溝42gの列A→列B→列Cの順に移動する。具体的には、ボール44が列A内を移動中にカム突起a1に到達すると、カム突起a1によってボール44が列B方向に誘導される。ボール44が列B内を移動中にカム島a2に到達すると、カム島a2によってボール44が列C方向に誘導される。このように、カム突起a1とカム島a2によってボール44が列A→列B→列Cの順に誘導されて移動される。ボール44が列Bから列Cに移動する際に、ボール44に対しては左向きの力が加わり、カム軸42に対しては右向きの力が加わる。ボール44は、スライド溝46a内においてこれ以上左側に移動することができないので、ボール44が列Bから列Cに移動する際に、カム軸42が右方向(つまり、出力軸43からの分離方向)に移動する。これによって、カム軸42と出力軸43が非連結状態となり、昇降軸8が自由回転して、ボトムレール4が自重下降する。なお、
図19(b)に示すように、係合部42kの凸部の先端にはテーパー面42k1が設けられている。テーパー面42k1は、テーパー面42k1は、カム軸42に下降方向の回転が加わったときに、テーパー面42k1が、出力軸43の係合部43kの凸部と当接してカム軸42に出力軸43からの分離方向の力が加わるように設けられている。このようなテーパー面42k1が設けられることによって、カム軸42が出力軸43から分離されやすくなっている。
【0062】
本実施形態では、隣接する2つのカム突起a1の間の距離及び隣接する2つのカム島a2の間の距離が短いので、下降操作の開始時点でボール44が列A又は列B内のどの位置にあったとしても、下降操作を開始してからボトムレール4の自重降下が開始されるまでに空転角度が比較的小さくなっている。具体的には、本実施形態では、カム突起a1及びカム島a2がそれぞれ90度ピッチで設けられているので、空転角度が最大値が180度未満になっている。この空転角度の最大値は、カム突起a1及びカム島a2の数を増やす(つまり、5つ以上設ける)ことによってさらに小さくすることができる。
【0063】
以上のように、本実施形態では、入力軸28の回転は、チルト軸17には即座に伝達されるが、昇降軸8には、伝達遅延ユニット25によって遅延された後に、伝達される。このため、スラット3の回動中に、ボトムレール4が自重下降を開始することが抑制される。
【0064】
ボトムレール4の自重下降中又は自重下降完了後に、操作コード7の下降操作側をさらに引き下げて、カム軸42をボトムレール4の下降方向にさらに回転させると、
図20(a)に示すように、ボール44は、ガイド溝42gの列Bと列Cの間を往復するルートに沿って移動する。具体的には、ボール44が列C内を移動中にカム突起a3に到達すると、カム突起a3によってボール44が列B方向に誘導される。ボール44が列B内を移動中にカム島a2に到達すると、カム島a2によってボール44が列C方向に誘導される。このように、カム突起a3とカム島a2によってボール44が列Cと列Bの間を往復するように誘導されて移動される。カム軸42の外周面には、カム突起a3が周方向に等間隔に離間されて4箇所に設けられている。カム島a2は、カム突起a3とカム島a2の間に列Bが構成されるように設けられる。ボール44がB列にある状態では、ボール44は、スライド溝46a内の右側に位置しており、ボール44がC列に移動すると、ボール44はスライド溝46a内の左側に移動する。従って、ボール44が列Bと列Cの間を往復するルートに沿って移動している間は、カム軸42は、軸方向に移動しない。
【0065】
ボトムレール4の自重下降中又は自重下降完了後に、操作コード7の上昇操作側を引き下げて、操作プーリー23aをボトムレール4の上昇方向に回転させると、その回転が伝達遅延ユニット25によって遅延されてクラッチユニット27の入力軸41及びカム軸42に伝達される。カム軸42がボトムレール4の上昇方向に回転されると、
図20(b)〜(c)に示すように、ボール44は、ガイド溝42gの列C→列B→列Aの順に移動する。具体的には、ボール44が列C内を移動中にカム突起a3に到達すると、カム突起a3によってボール44が列B方向に誘導される。ボール44が列B内を移動中にカム島a2に到達すると、カム島a2によってボール44が列A方向に誘導される。このように、カム突起a3とカム島a2によってボール44が列C→列B→列Aの順に誘導されて移動される。ボール44が列Bから列Aに移動する際に、ボール44に対しては右向きの力が加わり、カム軸42に対しては左向きの力が加わる。ボール44は、スライド溝46a内においてこれ以上右側に移動することができないので、ボール44が列Bから列Aに移動する際に、カム軸42が左方向(つまり、出力軸43への連結方向)に移動する。これによって、カム軸42と出力軸43が連結状態となり、カム軸42の回転が昇降軸8に伝達されて、ボトムレール4が上昇する。
【0066】
本発明は、以下の態様でも実施可能である。
・上記実施形態では、ラダーコード2の浮き上がりを抑制する浮き上がり抑制部を設けたが、浮き上がり抑制部は必須ではない。
・上記実施形態では、V状溝32aを有するチルタードラム32を用いてスラット3をチルトさせたが、スラット3をチルトさせる機構は特に限定されず、例えば、特開2014−231696の
図2に開示されているようなチルトスプリングを用いた機構を用いてもよい。
・上記実施形態では、中間回転体31に加わる負荷を分散させるために2つの中間回転体31を用いて入力軸28の回転を第1及び第2ケース29,30に伝達しているが、中間回転体31の数は1つであっても3つ以上であってもよい。
・上記実施形態では、中間回転体31に加わる負荷を分散させるために、各中間回転体31の軸方向の両側に規制突起31b,31cを設けて、規制突起31b,31cを第1及び第2ケース29,30に係合させているが、規制突起は、各中間回転体31の軸方向の一方のみに設けてもよい。
・規制突起31b,31cが突出する方向は、特に限定されず、径方向に突出するように設けてもよい。
・歯突起28a,31aの数及びピッチ、及び規制突起31b,31cが回動溝29a,30a内で回動可能な角度範囲を適宜変更することにより、遅延量を調節可能である。遅延量は、360度以上が好ましく、400、450、又は500度以上がさらに好ましい。
・歯突起28a,31aの代わりに、入力軸28及び中間回転体31に互いに噛み合うギヤを設けてもよい。この場合、中間回転体31のギヤの歯数を入力軸28のギヤの歯数よりも多くすることによって、中間回転体31の回転速度を入力軸28よりも小さくすることができる。但し、この場合、中間回転体31の回転速度を上記実施形態と同程度に遅くさせるためには、中間回転体31のギヤの歯数を入力軸28のギヤの歯数の3倍にする必要があり、中間回転体31のギヤの直径も入力軸28のギヤの直径の3倍になってしまう。これに対して、上記実施形態では、中間回転体31の歯突起31aのピッチを、入力軸28の歯突起28aのピッチよりも小さくすることによって、中間回転体31を断続的に回転させて、その回転速度を小さくしているので、中間回転体31の直径を比較的小さくすることができる。なお、本願明細書において、中間回転体31の回転速度は、(入力軸28が1回転する毎の中間回転体31の回転角度)/(入力軸28が1回転するのにかかる時間)によって定義される。従って、中間回転体31が断続的に回転される場合は、中間回転体31が停止している間の時間も回転速度を算出する際の時間に含められる。
・伝達遅延ユニット25は、上記実施形態での用途以外の用途にも、回転の伝達の遅延が必要な任意の用途に利用可能である。
・上記実施形態では、クラッチユニット27は、2つの部材(カム軸42と出力軸43)が軸方向に相対移動してすることによって係合・非係合されることによって、連結・分離される形態としたが、クラッチユニットへの入力回転が所定回転角以内で入力軸が出力軸に対し連結・分離可能であれば、2つの部材が径方向に係合・非係合される形式でもよい。
【0067】
2.第2実施形態
図26を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、伝達遅延ユニット25の構成の違いが主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0068】
本実施形態では、伝達遅延ユニット25は、ケース54と、中間回転体55と、入力軸56を備える。ケース54が出力軸として機能する。中間回転体55は、ケース54に回転可能に支持される軸部55cと、環状部55dと、環状部55dの内周面に設けられた内周ギヤ部55aと、環状部55dから軸方向に突出するように設けられた規制突起55bを備える。軸部55cと環状部55dは、ベース部55eを介して連結されている。入力軸56は、ケース54に回転可能に支持される軸部56aと、内周ギヤ部55aに噛み合うように設けられたギヤ部56bを備える。規制突起55bは、ケース54に設けられた回動溝54a内に挿通される。このような構成によって、中間回転体55は、規制突起55bが回動溝54a内で回動可能な角度範囲(本実施形態では約270度)内において、ケース54に対して相対回転可能になっている。そして、内周ギヤ部55a/ギヤ部56bのギヤ比が3であるので、入力軸56の回転に伴ってギヤ部56bが1周する度に規制突起55bが120度回動し、ギヤ部56bが2回と少し回転すると規制突起55bが回動溝54aの端に到達する。規制突起55bが回動溝54a内を回動可能な間は、入力軸56はケース54に対して相対回転し、規制突起55bが回動溝54aの端に到達すると、入力軸56の回転が中間回転体55を介してケース54に伝達されて、入力軸56がケース54と一体回転する。このように、本実施形態においても、入力軸56の回転が遅延されて出力軸(ケース54)に伝達される。
【0069】
3.第3実施形態
図27〜
図30を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、伝達遅延ユニット25の構成の違いが主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0070】
本実施形態では、伝達遅延ユニット25は、ケース51と、中間回転体52と、入力軸53を備える。ケース51が出力軸として機能する。ケース51は、ベース部51cと、カバー部51aと、環状部51hと、係止部51dを備える。ベース部51cには、回動溝51fと挿通孔51gが設けられている。環状部51hの内周面には内周ギヤ部51eが設けられている。中間回転体52は、回動溝51fに回転可能に支持される軸部52aと、環状部52eと、環状部52eの内周面に設けられた内周ギヤ部52dと、環状部52eの外周面に設けられた外周ギヤ部52bと、環状部55dから径方向に突出するように設けられた規制突起52cを備える。軸部52aと環状部52eは、ベース部52fを介して連結されている。入力軸53は、挿通孔51gに挿通されて回転可能に支持される軸部53aと、内周ギヤ部52dに噛み合うように設けられたギヤ部53bを備える。
【0071】
各ギヤ部を通る断面をカバー部51a側から見た断面図を
図28〜
図30に示す。各断面図には本来は規制突起52cが現れないが、規制突起52cと係止部51dの位置関係を表すために、便宜上、各図に、規制突起52cを表示している。
【0072】
図28に示すように、入力軸53を反時計回りに回転させると、ギヤ部53bと内周ギヤ部52dの噛み合いによって中間回転体52も反時計回りに回転する。同時に、外周ギヤ部52bと内周ギヤ部51eの噛み合いによって中間回転体52の軸部52aが回動溝51fに沿って入力軸53の周りを時計回りに公転する。つまり、中間回転体52は、反時計回りに自転しながら時計回りに公転するように構成されている。
【0073】
入力軸53の回転に伴って、中間回転体52は、
図29(a)〜(d)及び
図30(a)〜(b)に示す軌跡を辿って、
図30(c)に示すように、規制突起52cが係止部51dで係止される位置にまで回動される。
【0074】
規制突起52cが係止部51dによって係止されていない間は、入力軸53はケース51に対して相対回転し、規制突起52cが係止部51dに到達すると、入力軸53の回転が中間回転体52を介してケース51に伝達されて、入力軸53がケース51と一体回転する。このように、本実施形態においても、入力軸53の回転が遅延されて出力軸(ケース51)に伝達される。
【0075】
図28の状態から
図30(c)になるまでの入力軸53の回転回数は、本実施形態では4.5回程度であるが、ギヤの歯数や規制突起52c又は係止部51dの形状や位置を変更することによって、この回転回数は適宜変更可能である。
【0076】
4.第4実施形態
本発明の第4実施形態では、
図31を用いて、伝達遅延ユニット25をロールスクリーンへの応用した例を示す。このロールスクリーンでは、駆動ギヤ61と伝達ギヤ62が噛み合っており、伝達ギヤ62と従動ギヤ63が噛み合っている。伝達ギヤ62及び従動ギヤ63は、それぞれ、支軸62a,63aを有し、支軸62a,63aがそれぞれ支持フレーム(不図示)に回転可能に支持されている。駆動ギヤ61は係合軸61aを有し、係合軸61aが操作プーリー23aに係合されている。このような構成によれば、操作プーリー23aの回転に伴って駆動ギヤ61,伝達ギヤ62,従動ギヤ63が回転する。駆動ギヤ61と巻取軸64の間には伝達遅延ユニット25が設けられている。このため、駆動ギヤ61の回転が遅延されて巻取軸64に伝達される。巻取軸64にはスクリーン64aの上端が取着されている。スクリーン64aの下端にはウェイトバー64bが取着されている。従動ギヤ63と巻取軸65の間には伝達遅延ユニットが設けられていないので、従動ギヤ63の回転は遅延されることなく巻取軸65に伝達される。巻取軸65にはスクリーン65aの上端が取着されている。スクリーン65aの下端にはウェイトバー65bが取着されている。
【0077】
操作プーリー23aに掛装された操作コード7を操作して操作プーリー23aをスクリーン64a,65aの巻取方向に回転させると、操作プーリー23aの回転が遅延されることなく巻取軸65に伝達される。一方、操作プーリー23aの回転は、伝達遅延ユニット25によって遅延されて巻取軸64に伝達される。このため、スクリーン64a,65aは、スクリーン65aがスクリーン64aよりも上側にずれた状態で巻取軸64,65に巻き取られる。
【0078】
スクリーン64a,65aの下端が所望の位置に到達するまでスクリーン64a,65aを巻きとった後に、操作コード7を操作して操作プーリー23aをスクリーン64a,65aの巻戻し方向に回転させると、操作プーリー23aの回転が遅延されることなく巻取軸65に伝達される。一方、操作プーリー23aの回転は、伝達遅延ユニット25によって遅延されて巻取軸64に伝達される。このため、回転の伝達が遅延されている間は、スクリーン65aのみが巻き戻されて、スクリーン64a,65aの上下方向のずれが小さくなる。このように、伝達遅延ユニット25を用いることによって、2枚のスクリーン64a,65aの上下方向の相対位置を変化させることができる。例えば、スクリーン64a,65aとして、
図31(c)に示すように、遮光部66と透光部67が交互に設けられているスクリーンを用いた場合、スクリーン64a,65aの上下方向の相対位置を変化させることによって、2枚のスクリーン64a,65aを透過する光の透過量を容易に変化させることができる。