特許第6925611号(P6925611)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ KT&Sパートナーズ合同会社の特許一覧

<>
  • 特許6925611-文献検索システム 図000002
  • 特許6925611-文献検索システム 図000003
  • 特許6925611-文献検索システム 図000004
  • 特許6925611-文献検索システム 図000005
  • 特許6925611-文献検索システム 図000006
  • 特許6925611-文献検索システム 図000007
  • 特許6925611-文献検索システム 図000008
  • 特許6925611-文献検索システム 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6925611
(24)【登録日】2021年8月6日
(45)【発行日】2021年8月25日
(54)【発明の名称】文献検索システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/332 20190101AFI20210812BHJP
【FI】
   G06F16/332
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-78145(P2017-78145)
(22)【出願日】2017年4月11日
(65)【公開番号】特開2018-180844(P2018-180844A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】518179335
【氏名又は名称】KT&Sパートナーズ合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】戸原 健太
【審査官】 後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−108867(JP,A)
【文献】 特開2011−192059(JP,A)
【文献】 特開2002−297636(JP,A)
【文献】 特開2003−108582(JP,A)
【文献】 特開2005−208737(JP,A)
【文献】 特開2008−052592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00−16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子化された少なくとも文字情報を含む特許文献を検索する文献検索システムであって、
少なくともアイテムと、前記アイテムの機能と、前記機能に基づく故障モードと、前記故障モードに対応する対策と、が文字情報で入力されたデータシートと、
前記データシートの前記文字情報を読み取る読み取り部と、
前記読み取り部で読み取った前記文字情報に基づいて、前記文献を検索可能な検索用文字列に変換する変換部と、
を有する文献検索システム。
【請求項2】
前記読み取り部で読み取った文字情報の類義語を検索する類義語検索部をさらに備え、
前記変換部は、前記読み取り部で読み取った前記文字情報と、前記類義語検索部によって検索された前記類義語と、に基づいて前記検索用文字列に変換する、請求項1に記載の文献検索システム。
【請求項3】
前記特許文献は、少なくとも課題と解決手段が記載されており、
前記変換部は、
前記対策を、前記解決手段に対応する前記検索用文字列に変換し、
前記故障モードを、前記課題に対応する前記検索用文字列に変換する、請求項1または2に記載の文献検索システム。
【請求項4】
前記検索用文字列は、前記特許文献の検索に用いる検索式である、請求項1から3のいずれか1項に記載の文献検索システム。


【請求項5】
前記検索用文字列で検索した結果に基づいて、リスク評価を行うリスク評価部をさらに備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の文献検索システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文献検索システム、特に、電子化された少なくとも文字情報を含む文献を検索する文献検索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザがクライアント端末にキーワードを入力することで文献を検索する文献検索システムが知られている(特許文献1参照)。特許文献1の技術では、ユーザが入力した文字情報(キーワード)に基づいて、特許情報の文献を検索する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−199987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の文献検索システムでは、入力する文字情報をユーザが適宜選択する必要がある。このため、ユーザが入力する文字情報如何によって、文献の検索結果にバラツキが生じる。また、適切な検索結果を得るまでに、文字情報の選択などの手間がかかる。
【0005】
本発明の課題は、適切な文献の検索を、文字入力の手間を省いて行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る文献検索システムは、電子化された少なくとも文字情報を含む文献を検索するシステムである。文献検索システムは、データシートと、読み取り部と、変換部と、を備える。データシートは、少なくともアイテムと、アイテムの機能と、機能に基づく故障モードと、故障モードに対応する対策と、が文字情報で入力されている。読み取り部は、データシートの文字情報を読み取る。変換部は、読み取り部で読み取った文字情報に基づいて、文献を検索可能な検索用文字列に変換する。
【0007】
この文献検索システムでは、データシートの文字情報に基づいて、読み取り部が自動的に文字情報を読み取る。読み取り部で読み取った文字情報に基づいて、変換部が検索用文字列に変換する。その結果、データシートに基づいて、文献を検索する検索用文字列を自動的に作成することができる。これにより、文献検索システムにおいて、適切な文献の検索を、文字入力の手間を省いて行えるようになる。
【0008】
文献検索システムは、読み取り部で読み取った文字情報の類義語を検索する類義語検索部をさらに備えてもよい。また、変換部は、読み取り部で読み取った文字情報と類義語検索部によって検索された類義語とに基づいて検索用文字列に変換してもよい。
【0009】
このような構成であれば、データシートに入力された文字情報と、それらの類義語が含まれる文献の検索を行うことができる。その結果、より高精度に文献を検索できる。
【0010】
文献は、少なくとも課題と解決手段を含むものであってもよい。変換部は、対策を解決手段に対応する検索用文字列に変換してもよい。変換部は、故障モードを課題に対応する検索用文字列に変換してもよい。
【0011】
このような構成であれば、データシートに入力された対策に対応して、検索用文字列を作成するため、データシートに入力された対策に関連する文字情報が記載された文献の検索を自動的に行うことが出来る。また、データシートに入力された故障モードに対応して、検索用文字列を作成するため、データシートに入力された故障モードに関連する文字情報が記載された文献の検索を自動的に行うことができる。
【0012】
検索用文字列は、文献の検索に用いる検索式であってもよい。このような構成であれば、検索式を用いて文献の検索を行うことができる。その結果、より複雑な検索を自動的に行うことができる。
【0013】
文献検索システムは、検索用文字列で検索した結果に基づいて、リスク評価を行うリスク評価部をさらに有してもよい。
【0014】
このような構成であれば、データシートに入力された対策に関連する文字情報から、リスクを評価できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、文字入力の手間を省き、適切な文献検索を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の文献検索システムの図。
図2】データシートの一例の図。
図3】データシート4の文字情報を整列させた図。
図4】文献検索結果の一覧を示した図。
図5】文献検索結果の一覧に判定を加えた図。
図6】データシート4にリスク欄を追加した図。
図7】本実施形態におけるフローチャート。
図8】他の実施形態におけるデータシート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1に示すように、文献検索システム2は、データシート4と、読み取り部6と、類義語検索部8と、変換部10と、リスク評価部12と、企業情報データベース14と、特許分類検索部16と、表示部18と、情報検索サーバインターフェース20と、インターネット回線インターフェース22と、を有する。
【0019】
文献検索システム2は、情報検索サーバSと、インターネット回線24を介して接続される。
【0020】
情報検索サーバSは、サーバ側インターネット回線インターフェース26と、情報検索部28を有する。
【0021】
文献検索システム2は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、文献検索システム2は、実際には電子計算機1のCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶された各部に対応するプログラムが動作することによって実現される。
【0022】
図2に示すように、データシート4は、例えば製品を開発する際のデザインレビューに用いる、FMEA(Failure Mode and Effect Analysis)用のフォーマットを使用したシートである。データシート4には、少なくともアイテムAと、アイテムAの機能F1と、機能に基づく故障モードF2と、故障の影響F3と、それらを数値化した影響度F3Aと、頻度F3Bと、検知難易度F3Cと、故障モードに対応する対策内容F4と、故障原因F5の欄が設けられる。データシート4の各欄には文字情報が、入力されている。データシート4は、市販の表計算ソフトや、ワードプロセッサーで作成されたデータである。文字情報は、文字からなる単語、句、文章を意味する。ここで、文字は、数値および記号を含む。
【0023】
図2に示すように、データシート4は、例えば、クランクシャフトの軸受に関するデザインレビューに用いられる。図2に示すように、アイテムAの欄には「クランクシャフトベアリング」という文字情報が入力されている。機能F1の欄には、「クランクシャフトを回転可能に保持」、「クランクシャフトから伝達される爆発荷重を受ける」、「クランクシャフトとクランクシャフトベアリングの間の潤滑」という文字情報が入力されている。故障モードF2には、「ベアリングのかじり」と、欄を分けて「ベアリングの腐食」という文字情報が入力されている。
【0024】
図1に示すように、読み取り部6は、テキストマイニングなどを実行するプログラムである。読み取り部6は、データシート4の各欄に入力されている文字情報を読み取る。読み取り部6は、データシート4の各欄の文字情報を読み取り、文字情報の中から、動詞、名詞、形容詞などのそれぞれの単語を抽出し、整列させる。
【0025】
類義語検索部8は、読み取り部6で抽出した単語の類義語を検索するプログラムである。
電子計算機1の記録媒体には、予め類義語のデータベースが記憶されている。類義語検索部8は、読み取り部6で抽出した単語に基づいて、類義語のデータベースから類義語を検索し、読み取り部6で読み取った文字情報とともに、整列させる。
【0026】
変換部10は、読み取り部6で読み取った文字情報と、類義語検索部8で検索した類義語を、情報検索サーバSで検索可能な検索用文字列に変換する。検索用文字列は、検索式であってもよい。図3に示すように、変換部10は、読み取り部6で読み取った文字情報と、類義語検索部8で検索された類義語を、アイテム群と、課題群Pと、課題群Qと、解決手段群に分けて整列させる。より具体的には、変換部10は、データシート4の対策内容F4の欄の文字情報を関連する文字情報として解決手段群に整列させる。変換部10は、対策内容F4の欄の文字情報の類義語についても、解決手段群に整列させる。変換部10は、各群に分けて整列させた文字情報に対し、例えばF41などの識別記号を付与する。変換部10は、例えばF41の類義語に対してF411などの識別記号を付与する。
【0027】
変換部10は、識別記号を基に検索用文字列(または検索式ともいう)を作成する。例えば、変換部10は、アイテム群A1「クランクシャフト」と、A2「ベアリング」に対しては、A1「クランクシャフト」とA2「ベアリング」の両方の文字情報が含まれる文献が検索可能となるように、検索用文字列または検索式を作成する。さらに、変換部10は、アイテム群A1「クランクシャフト」と、その類義語のA11「クランク機構」に対しては、A1「クランクシャフト」とA11「クランク機構」のいずれかの文字情報が含まれる文献が検索可能となるように、検索用文字列または検索式を作成する。また、変換部10は、例えば、アイテム群の文字情報が特許文献の発明の名称又は特許分類検索部16に記憶された特許分類に当てはまるように検索可能な検索用文字列または検索式を、作成する。同様に、変換部10は、課題群Pもしくは課題群Qの文字情報が特許文献の背景技術や、発明の解決する課題の欄に記載された特許文献を検索可能となるように、検索用文字列または検索式を作成する。変換部10は、解決手段群の文字情報が、特許文献の、発明の課題解決手段の欄に記載された特許文献を検索可能となるように、検索用文字列または検索式を作成する。変換部10は、検索用文字列または検索式を情報検索サーバインターフェース20へ送信する。情報検索サーバインターフェース20に入力された検索用文字列または検索式は、インターネット回線インターフェース22およびサーバ側インターネット回線インターフェース26を介して、情報検索サーバSに送られる。
【0028】
情報検索サーバSは、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、情報検索サーバSは、実際にはCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶された各部に対応するプログラムが動作することによって実現される。情報検索サーバSは、サーバ側インターネット回線インターフェース26を経由した検索用文字列または検索式を、情報検索部28に送る。
【0029】
情報検索部28は、検索用文字列または検索式の情報に基づいて、情報検索サーバSに記憶された電子化された少なくとも文字情報を含む文献もしくは、インターネット上の電子化された少なくとも文字情報を含む文献を検索する。本実施例形態では、情報検索部28は、特許文献を検索するプログラムである。情報検索部28は、検索用文字列または検索式から、情報検索サーバSに記憶された特許文献または、インターネット上の特許文献を検索した後、例えば図4に示すように、特許番号と出願日と出願人の一覧を作成する。情報検索部28は、特許番号と出願日と出願人の一覧を、サーバ側インターネット回線インターフェース26およびインターネット回線インターフェース22を介して文献検索システム2へ送信する。
【0030】
リスク評価部12は、情報検索サーバSにおいて検索された結果を基に、リスク評価を行うプログラムである。リスク評価部12は、情報検索サーバSにおいて検索された結果と、読み取り部6で読み取られた文字情報と、予めプログラムされた評価方法に基づいて、情報検索サーバSで検索された結果のリスクを評価する。
【0031】
企業情報データベース14は、企業の情報が記憶されたデータベースである。企業情報データベース14は、少なくとも、企業名と、企業の交渉力に関する情報と、特許保有件数に関する情報が記憶されている。
【0032】
特許分類検索部16は、読み取り部6で読み取ったアイテムAの欄の文字情報に基づいて、関連する特許分類を検索するプログラムである。特許分類検索部16は、CPCやIPCなどの特許分類と、それに対応するアイテムのデータが記憶されている。例えば、「IPC=F16C9/00:クランク軸受けまたは連接棒または類似のリンク」という情報が記憶されている。特許分類検索部16は、変換部10からの指示により、アイテムAの欄の文字情報と、アイテムAの欄の文字情報の類義語に基づいて、対応する特許分類を検索する。例えば、特許分類検索部16は、図3に示すアイテム群の「A1クランクシャフト A2ベアリング」という文字情報と、アイテム群類義語の「A11クランク機構、A21軸受け」という文字情報から、文字が一致または一部一致する16C9/00という対応する特許分類を検索する。特許分類検索部16は、対応する特許分類が見つかると、特許分類を変換部10へ送信する。
【0033】
表示部18は、リスク評価部12で評価した結果や、読み取り部6で読み取った文字情報を、電子計算機1に表示するプログラムである。表示部18は、例えば、図5が示すように、情報検索サーバSが検索した結果に対し、コメント欄と判定を加えて表示する。また、表示部18は、図6に示すように、データシート4に対しても、リスク欄を追加し、リスクの度合いを表示する。また、表示部18は、例えば、図3で示すように、読み取り部6で読み取った文字情報と、読み取り部6で読み取った文字情報の類義語を整列させて、表示する。
【0034】
次に図7のフローチャートを用いて、文献検索システム2の制御フローを説明する。
【0035】
文献検索システム2は、電子計算機1の画面に表示されたアイコンが、ユーザにより選択されたことにより、プログラムが開始される。また、本実施形態では、図2示す「クランクシャフトベアリング」に関するデータシート4が市販の表計算ソフトで作成されている場合について、説明する。また、データシート4は、電子計算機1に記憶されているものとする。
【0036】
ステップS1では、文献検索システム2は、読み取り部6を起動させて、データシート4の文字情報を読み取る。文献検索システム2は、読み取り部6が起動すると、電子計算機1に記憶されたデータシート4をユーザが選択できるように電子計算機1の表示部18を介して表示する。文献検索システム2は、ユーザがデータシート4を選択すると、読み取り部6により、データシート4の文字情報を読み取る。読み取り部6は、データシート4のアイテムAの欄と、機能F1の欄と、故障モードF2の欄と、故障の影響F3の欄と、対策内容F4の欄と、故障原因F5の欄の文字情報全てを読み取る。読み取り部6により、データシート4の文字情報の読み取りが完了すると、ステップS2へ処理を進める。
【0037】
ステップS2では、類義語検索部8は、ステップS1で読み取った文字情報に基づいて、電子計算機1に記憶された類義語のデータベースから、類義語を検索する。類義語のデータベースは、例えば「クランクシャフトベアリング」という文字情報に対しては、「クランク機構」や、「クランク軸受け」や、クランクシャフトの略語である「C/S」や、ベアリングの略語である「BRG」などが、「クランクシャフトベアリング」という文字情報と対応付けて記憶されている。類義語検索部8は、例えば、読み取り部6が「クランクシャフトベアリング」という文字情報を読み取ると、「クランクシャフトベアリング」の類義語を、電子計算機1に記憶された類義語のデータベースの中から検索する。類義語検索部8が、データシート4の文字情報の類義語をすべて検索し終わると、ステップS3へ処理を進める。
【0038】
ステップS3では、図3に示すように、変換部10が、読み取り部6で読み取った文字情報と、類義語検索部8で検索された類義語を、アイテム群と、課題群Pと、課題群Qと、解説手段群に分けて整列させる。変換部10は、データシート4のアイテムAの欄に記載された「クランクシャフトベアリング」という文字情報を、アイテム群として整列させる。また、「クランクシャフトベアリング」の類義語である、「クランク機構」、「C/S」という文字情報を、アイテム群類義語として、整列させる。変換部10は、整列された文字情報に対して、識別記号を付与する。すなわち、変換部10は、「クランクシャフト」という文字情報に対し、A1という識別記号を付与する。変換部10は、「ベアリング」という文字情報に対しては、A2という識別記号を付与する。また、変換部10は、アイテム群類義語に対しても同様に、「クランク機構」に対しA11、「C/S」に対してA12というような識別記号を付与する。ここで、識別記号は、1階層目を、アイテムAの場合は「A」、機能F1の場合「F1」というように、データシート4の各欄の名称に応じて設定される。また、2階層目の識別記号は、各欄のうち同一の欄にある文字情報に応じて設定される。本実施形態では、例えば、アイテムAの欄には「クランクシャフト」と「ベアリング」という2つの名詞が、文字情報として入力されている。変換部10は、これら名詞を二つに分けて「クランクシャフト」にA1という識別記号を付与し、「ベアリング」にA2という識別記号を付与する。また、3階層目の識別記号は、2階層目までの文字情報に対応した類義語として付与される。すなわち、「クランクシャフト」A1の類義語である「クランク機構」には、2階層目までを共通化してA11という識別記号を付与する。変換部10は、データシート4の機能F1と、故障モードF2の欄と、故障影響F3の欄と、対策内容F4の欄と、故障原因F5の欄の文字情報と類義語についても同様に、課題群P、課題群Q、解決手段群に整列させる。変換部10は、課題群P、課題群Q、解決手段群についてもアイテム群と同様に、識別記号を付与し、ステップS4へ処理を進める。
【0039】
ステップS4では、変換部10は、アイテム群と、課題群Pと、課題群Qと、解決手段群から、予め記憶されている検索用文字列または検索式の作成用のプログラムを用いて、検索用文字列または検索式を作成する。予め記憶されているプログラムでは、識別記号を基に検索用文字列または検索式を作成する。本実施形態では、例えばA1「クランクシャフト」とA2「ベアリング」については、アイテム群の中において、1階層目が「A」であり、共通する。しかし、2階層目の「1」と「2」で異なる。そこで、変換部10は、情報検索サーバSが「クランクシャフト」と「ベアリング」の両方が含まれる文献を検索できるように、検索用文字列または検索式を作成する。また、A1「クランクシャフト」とA11「クランク機構」は、Aというアイテム群において2階層目までが共通する。そのため、変換部10は、情報検索サーバSが、A1「クランクシャフト」とA11「クランク機構」のいずれかが含まれる文献を検索できるように検索用文字列または検索式を作成する。すなわち、予め記憶された検索用文字列または検索式を作成するプログラムは、識別記号のうち共通する部分と、共通する部分の階層によって、各文字情報の両方を含む文献を検索するか、またはいずれか一方の文字情報を含む文献を検索するかを決定している。本実施形態では、例えば、「クランクシャフト」A1と「クランク機構」A11では、アイテム群のうち、「A1」という2階層目までが共通し、3階層目が異なる。この場合、検索用文字列または検索式を作成するプログラムは、「A1」と「A11」については、いずれか一方の文字情報が含まれる文献が検索されるようにプログラミングされている。また、「クランクシャフト」A1と、「ベアリング」A2では、2階層目の識別記号が異なる。この場合、「A1」と「A2」については、両方の文字情報が含まれる文献が検索される検索用文字列または検索式を作成するようにプログラムされている。同様にして、課題群Pと、課題群Qと、解決手段群についても検索用文字列または検索式を作成する。
【0040】
次に、変換部10は、アイテム群と課題群Pと課題群Qと解決手段群の各群が、検索する文献情報のどの項目に対応するかを決定する。変換部10は、決定した項目に対応するように検索用文字列または検索式を作成する。すなわち、識別記号によって定められた検索条件が、検索対象となる文献のどの項目に対応するか関連付けた検索用文字列または検索式を作成する。本実施形態では、アイテム群の文字情報と類義語が特許文献の発明の名称に対応するように予めプログラムされている。この場合、変換部は、アイテム群の「クランクシャフト」または「クランクシャフト」の類義語と、「ベアリング」または「ベアリング」の類義語の、両方の文字が発明の名称に含まれる文献を検索するように、検索用文字列または検索式を作成する。同様に、変換部10は、課題群Pもしくは課題群Qの文字情報と類義語が特許文献の背景技術と、発明の解決する課題の欄に記載された特許文献に対応するようにプログラムされている。また、変換部10は、解決手段の文字情報と類義語が、特許文献の発明の課題解決手段の欄に記載された特許文献に対応するように予めプログラムされている。変換部10は、アイテム群と同様に課題群Pと、課題群Qと、解決手段群が、特許文献の各項目に対応するように検索用文字列および検索式を作成する。変換部10は、検索用文字列または検索式を情報検索サーバインターフェース20へ送信する。情報検索サーバインターフェース20に入力された検索文字列または検索式は、インターネット回線インターフェース22およびサーバ側インターネット回線インターフェース26を介して、情報検索サーバSに送り、ステップS5へ処理を進める。
【0041】
ステップS5では、変換部10により作成された検索用文字列または検索式を用いて、情報検索サーバSの情報検索部28が、文献の検索を行う。本実施形態では、ステップS4で作成した検索用文字列または検索式に対応した特許文献の検索が行われる。情報検索部28は、例えば図4に示すように、特許番号と出願日と出願人の一覧を作成する。情報検索部28は、特許番号と出願日と出願人の一覧を、サーバ側インターネット回線インターフェース26およびインターネット回線インターフェース22を介して文献検索システム2へ送信し、ステップS6へ処理を進める。
【0042】
ステップS6では、リスク評価部12が、情報検索サーバSが行った検索結果を受け取り、受け取りが完了するとステップS7へ処理を進める。
【0043】
ステップS7では、リスク評価部12が情報検索サーバSにおいて検索された結果を基に、リスク評価を行う。リスク評価部12は、情報検索サーバSにおいて検索された結果と、読み取り部6で読み取られた文字情報と、予めプログラムされた評価方法に基づいて、情報検索サーバSで検索された結果に対し、リスクを評価する。本実施形態では、リスク評価部12は、情報検索サーバSにおいて検索された結果(図4参照)に対し、各群の文字情報と特許文献に記載されている文字情報の一致度合を基に、リスクを評価する。例えば、解決手段群に整列された文字情報または類義語が、情報検索サーバSで検索された特許文献の解決手段の対応する項目(本実施形態では、発明の課題解決手段の欄)に、より多く記載されている文献ほど、リスクが高いと評価する。また、課題群Pと課題群Qに整列された文字情報または類義語が、情報検索サーバSで検索された特許文献の課題群Pまたは課題群Qの対応する項目(本実施形態では、背景技術、発明の解決する課題)に、より多く記載されている文献ほど、リスクが高いと評価する。さらに、リスク評価部12は、情報検索サーバSにおいて検索された結果の出願人の項目と、企業情報データベース14に記録された企業情報を対比させて、特許保有件数の多い企業ほどリスクが高いと評価する。また、リスク評価部12は、読み取り部6で読み取った影響度F3Aと、発生頻度F3Bと、検知難易度F3Cの数値を参照する。リスク評価部12は、影響度F3Aの数値が高いほど、リスクがより高いと判定する。リスク評価部12は、リスク評価を行ったのち、ステップS8へ処理を進める。
【0044】
ステップS8では、図5に示すように、表示部18が、情報検索サーバSにおいて検索された結果に対し、リスクの相対評価を行ったうえで、判定欄を作成し、表示する。図6に示すように、表示部18は、さらに、データシート4にリスク欄を作成し、対策内容F4に対応したリスクを、表示する。このとき、表示部18は、情報検索サーバSにおいて検索された結果に対し、最もリスクが高いと評価した判定を、図6に示すリスク欄に表示する。
【0045】
このように、本発明の文献検索システム2では、データシート4の文字情報に基づいて、読み取り部6が自動的に文字情報を読み取ることができる。また、読み取り部6で読み取った文字情報に基づいて、変換部10が自動的に検索用文字列を作成することができる。その結果、データシートに基づいて、自動的に文献を検索する検索用文字列を作成することができる。そのため、ユーザによる文字入力の手間が省くことができる。また、データシート4は、アイテムA、機能F1、故障モードF2、対策内容F4が文字情報として入力されている。そのため、デザインレビューなどに活用したデータシート4から自動的に文献を検索する検索用文字列を作成することができる。その結果、ユーザの手間が省けるだけでなく、例えば、デザインレビューなどの設計品質を確保するツールを用いて、ユーザが入力する文字を選択する作業に頼ることなく、適切な文献の検索ができる。そのため、例えば、特許調査等における文献の検索において、調査結果がバラツクことを抑制し、バラツキによる調査の漏れによる特許侵害リスクを軽減することがきできる。
【0046】
また、本発明の文献検索システム2では、類義語検索部8が、データシート4に入力された文字情報と、それらの類義語が含まれる文献の情報検索を行うことができる。その結果、より精度の高い文献の検索ができる。そのため、例えば、デザインレビューから特許調査を行う場合において、特許調査の漏れによる特許侵害リスクを軽減することができる。
【0047】
変換部10は、データシート4に入力された対策内容F4に対応して、検索用文字列を作成するため、データシートに入力された対策に関連する文字情報が記載された文献の検索を自動的に行うことが出来る。また、データシート4に入力された故障モードF2に対応して、検索用文字列を作成するため、データシート4に入力された故障モードF2に関連する文字情報が記載された文献の検索を自動的に行うことができる。その結果、例えば、デザインレビューなどのデータシート4に入力された故障モードF2とそれに対応する対策内容F4に関連する文字情報から、自動的に関連する文献を検索することができる。そのため、例えば、特許調査等における文献の検索において、データシート4に入力された故障モードF2と、対策内容F4に関連する特許文献の調査が自動的に行うことが出来る。
【0048】
さらに、文献検索システム2は、検索式を用いて文献の検索を行うことができる。その結果、より複雑な検索が、自動的に行うことができる。
【0049】
文献検索システム2では、リスク評価部12を用いて、データシート4に入力された対策内容F4に関連する文字情報から、リスクを評価できる。この結果、例えば、特許調査等における文献の検索において、データシート4に入力された対策内容F4に関連する特許文献の調査の漏れによる特許侵害リスクを評価することができる。リスク評価部12は、解決手段群に整列された文字情報または類義語が、情報検索サーバSで検索された特許文献の解決手段の対応する項目(本実施形態では、発明の課題解決手段の欄)に、より多く記載されている文献ほど、リスクが高いと評価する。すなわち、リスク評価部12は、データシート4の対策内容F4の文字情報と一致する文字が、特許文献の発明の課題解決手段により多く記載された文献を、リスクが高いと評価する。このような評価であれば、データシート4に記載された対策内容F4を用いた製品が、製造販売されることによって特許を侵害することを未然に防止することができる。
【0050】
また、リスク評価部12は、課題群Pと課題群Qに整列された文字情報または類義語が、情報検索サーバSで検索された特許文献の課題群Pまたは課題群Qの対応する項目(本実施形態では、背景技術、発明の解決する課題)に、より多く記載されている文献ほど、リスクが高いと評価する。すなわち、データシート4の故障モードF2の文字情報は、データシート4に入力されたアイテムAの不具合に関することである。その結果、特許文献の発明の解決する課題に記載された文字と、データシート4の故障モードF2に関連する文字情報がより多く一致する場合、その特許文献は、同様の不具合に関連する文献である確率が高い。そのため、データシート4のアイテムAの故障モードF2対する対策内容F4を用いた製品が、製造販売されることによって特許を侵害するリスクが高くなる。このような評価であれば、データシート4の文字情報を用いた製品が、特許権を侵害する可能性を判定することができる。そのため、データシート4の文字情報を用いた製品が、製造販売されることによって特許を侵害することを未然に防止することができる。
【0051】
さらに、リスク評価部12は、情報検索サーバSにおいて検索された結果の出願人の項目と、企業情報データベース14に記録された企業情報を対比させて、特許保有件数の多い企業ほどリスクが高いと評価する。すなわち、データシート4の文字情報がより多く一致する特許文献の出願人が、多数の特許出願を行っている場合は、データシート4のアイテムAや、故障モードF2や、対策内容F4に関連する特許権も多数保有している確率が高くなる。その結果、データシート4に記載された文字情報を用いた製品が、製造販売されることによって特許権を侵害する確率も高くなる。このような評価であれば、データシート4の文字情報を用いた製品が、特許権を侵害するリスクを判定することができる。そのため、データシート4の文字情報を用いた製品が、製造販売されることによって特許を侵害することを未然に防止することができる。
【0052】
また、リスク評価部12は、読み取り部6で読み取った影響度F3Aと、発生頻度F3Bと、検知難易度F3Cの数値を参照する。リスク評価部12は、影響度F3Aの数値が高いほど、リスクがより高いと判定する。すなわち、故障モードF2の影響度F3Aが高い数値の場合、故障モードF2に対する対策内容F4は、データシート4の文字情報を用いた製品にとって設計変更などが困難な、重要な要素である確率が高い。そのため、特許文献に記載された文字と、データシート4の文字情報がより多く一致する場合、データシート4の文字情報を用いた製品の品質を確保するうえで、他人の特許権が障害となるリスクが高くなる。リスク評価部12は、影響度F3Aの数値が高いほど、リスクがより高いと判定することで、デザインレビューなどの製品が製造、販売される前段階で、自動的にリスク評価し、データシート4の文字情報を用いた製品が、製造販売されることによって特許を侵害することを未然に防止することができる。
【0053】
<他の実施形態>
(a)上記実施形態では、データシート4は、文字情報が入力してあるものを例に挙げて説明したが、これに限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、データシート4は手書きの文字であり、読み取り部6は文字認識機能によって、手書きの文字を読み取っても良い。
【0054】
(b)上記実施形態では、アイテムAの文字情報と類義語をアイテム群に整列させ、機能F1と、故障モードF2の文字情報と類義語を課題群Pに整列させ、故障影響F3と故障原因F5を課題群Qに整列させ、対策内容F4を解決手段群に整列させたが、これに限定されるものではなく、アイテムAはアイテム欄に整列され、故障モードF2が課題群に整列され、対策内容F4が解決手段群に整列されればよい。その他の、故障影響F3や、故障原因F5や、機能F1は上記いずれかの群に整列されればよい。
【0055】
(c)上記実施形態では、特許番号と出願日と出願人の一覧を一例としてあげたが、特許番号と出願日と出願人と要約や、明細書に記載された内容を一覧に加えてもよい。
【0056】
(d)上記実施形態では、アイテムAの文字情報から、検索用文字列または検索式を作成したが、特許分類検索部16により検索された特許分類を用いてもよい。この場合、検索用文字列または検索式の中に、特許分類が用いられる。また、変換部10は、特許分類検索部16に記憶された特許分類に当てはまるように検索可能な検索用文字列または検索式を、作成する。
【0057】
(e)上記実施形態では、データシート4にFMEA用のフォーマットを用いて説明したが、これに限られるものではなく、例えば図8に示すようなフォーマットのデータシート104であってもよい。この場合、「部品」の欄はアイテムAに相当し、「変更に関わる心配内容」の欄は故障モードF2、「心配はどんな場合に生じるか」は故障原因F5に対応する。また、「お客様への影響」の欄は故障影響F3に対応する。「心配を取り除くためにどんな設計をしたか」の欄は、対策内容F4に対応する。
【符号の説明】
【0058】
2 :文献検索システム
4,104 :データシート
6 :読み取り部
8 :類義語検索部
10 :変換部
12 :リスク評価部
A :アイテム
F1 :機能
F2 :故障モード
F4 :対策内容
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8