特許第6925712号(P6925712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6925712
(24)【登録日】2021年8月6日
(45)【発行日】2021年8月25日
(54)【発明の名称】制御装置および制御システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/05 20060101AFI20210812BHJP
【FI】
   G05B19/05 D
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-84605(P2017-84605)
(22)【出願日】2017年4月21日
(65)【公開番号】特開2018-181258(P2018-181258A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】南晴 孝樹
【審査官】 影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−095604(JP,A)
【文献】 特開2001−236104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象機器を自動運転制御するための信号と所定の形式のデータとを変換する第1カードと、
前記制御対象機器を手動運転制御するための信号と所定の形式のデータとを変換する第2カードと、
前記第1カードとの間のデータの授受を制御し、かつ前記第2カードとの間のデータの授受を制御するデータ授受制御部と、
前記第1カードと前記データ授受制御部との間のデータの授受の異常の有無を監視し、かつ前記第2カードと前記データ授受制御部との間のデータの授受の異常の有無を監視する監視部と、
前記第1カードと前記データ授受制御部との間のデータの授受の異常を検出した場合の処理内容および前記第2カードと前記データ授受制御部との間のデータの授受の異常を検出した場合の処理内容を設定した処理設定テーブルと、
を含む入出力制御装置と、
を備え、
前記処理設定テーブルは、
前記自動運転制御の場合であって前記第1カードと前記データ授受制御部との間のデータの授受の異常を検出したときには、前記第2カードと前記データ授受制御部との間のデータの授受の異常の有無にかかわらず前記自動運転制御を停止しまたは継続する設定とされ、
前記手動運転制御の場合であって前記第2カードと前記データ授受制御部との間のデータの授受の異常を検出したときには、前記第1カードと前記データ授受制御部との間のデータの授受の異常の有無にかかわらず前記手動運転制御を停止しまたは継続する設定された制御装置。
【請求項2】
前記入出力制御装置に接続され、記憶部を含む伝送装置をさらに備え、
前記記憶部は、前記伝送装置に接続された通信ネットワークを含む伝送手段の他のノードに接続された第カードに関する情報のデータを格納し、
前記処理設定テーブルは、前記第カードに関する情報のデータに異常を表すデータを含む場合の処理内容を設定した請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
第1制御対象機器を自動運転制御するための信号と所定の形式のデータとを変換する第1カードと、
第1制御対象機器を手動運転制御するための信号と所定の形式のデータとを変換する第2カードと、
前記第1カードとの間のデータの授受を制御し、かつ前記第2カードとの間のデータの授受を制御する第1データ授受制御部と、
前記第1カードと前記第1データ授受制御部との間のデータの授受の異常の有無を監視し、かつ前記第2カードと前記第1データ授受制御部との間のデータの授受の異常の有無を監視する第1監視部と、
前記第1カードと前記第1データ授受制御部との間のデータの授受の異常を検出した場合の処理内容を設定し、かつ前記第2カードと前記第1データ授受制御部との間のデータの授受の異常を検出した場合の処理内容を設定した処理設定テーブルと、
を含む第1入出力制御装置と、
前記第1入出力制御装置に接続された第1伝送装置と、
を含む第1制御装置と、
第2制御対象機器を自動運転制御するための信号と所定の形式のデータとを変換する第3カードと、
第2制御対象機器を手動運転制御するための信号と所定の形式のデータとを変換する第4カードと、
前記第3カードとの間のデータの授受を制御し、かつ前記第4カードとの間のデータの授受を制御する第2データ授受制御部と、
前記第3カードと前記第2データ授受制御部との間のデータの授受の異常の有無を監視し、かつ前記第4カードと前記第2データ授受制御部との間のデータの授受の異常の有無を監視する第2監視部と、
を含む第2入出力制御装置と、
前記第2入出力制御装置に接続された第2伝送装置と、
を含む第2制御装置と、
を備え、
前記第1伝送装置は、伝送手段を介して前記第2伝送装置から伝送された、前記第3カードと前記第2データ授受制御部との間のデータの授受の異常の有無を格納し、かつ前記第4カードと前記第2データ授受制御部との間のデータの授受の異常の有無を格納する第1記憶部を含み、
前記第2伝送装置は、前記第3カードと前記第2データ授受制御部との間のデータの授受の異常の有無を格納し、前記第4カードと前記第2データ授受制御部との間にデータの授受の異常の有無を格納する第2記憶部を含み、
前記処理設定テーブルは、前記第3カードと前記第2データ授受制御部との間のデータの授受の異常を検出した場合の処理内容を設定し、かつ前記第4カードと前記第2データ授受制御部との間のデータの授受の異常を検出した場合の処理内容を設定し、
前記自動運転制御の場合であって前記第1カードと前記第1データ授受制御部との間のデータの授受の異常を検出したときには、前記第2カードと前記第1データ授受制御部との間のデータの授受の異常の有無にかかわらず前記自動運転制御を停止しまたは継続する設定とされ、
前記手動運転制御の場合であって前記第2カードと前記第1データ授受制御部との間のデータの授受の異常を検出したときには、前記第1カードと前記第1データ授受制御部との間のデータの授受の異常の有無にかかわらず前記手動運転制御を停止しまたは継続する設定とされ
前記自動運転制御の場合であって前記第3カードと前記第2データ授受制御部との間のデータの授受の異常を検出したときには、前記第4カードと前記第2データ授受制御部との間のデータの授受の異常の有無にかかわらず前記自動運転制御を停止しまたは継続する設定とされ、
前記手動運転制御の場合であって前記第4カードと前記第2データ授受制御部との間のデータの授受の異常を検出したときには、前記第3カードと前記第2データ授受制御部との間のデータの授受の異常の有無にかかわらず前記手動運転制御を停止しまたは継続する設定された制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、生産設備が自動運転制御中に検出された異常に対する措置を講じた制御装置および制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
産業分野において材料を塑性加工等する生産設備では、プログラマブルコントローラと称する制御装置により、各種アクチュエータを制御対象として、アプリケーションプログラムにより自動制御が行われている。
【0003】
生産設備が制御装置により自動制御の下で運転中、アプリケーションプログラムを実行してエラーが発生した場合や、外部との入出力処理にてエラーが発生した場合の制御装置の実行処理に関する技術が知られている(特許文献1等参照)。
【0004】
特許文献1には、以下のような技術が開示されている。すなわち、最優先でエラー処理プログラムを実行する手段、プログラム全体を停止する手段、エラーが発生するプログラムの実行を中止する手段や、外部入出力とのアクセスを禁止する手段、エラーの発生したアプリケーションプログラムの実行を禁止する縮退処理手段などである。
【0005】
しかしながら、このような技術においては、入出力処理にてエラーが検出された入出力カードによる自動運転への影響度はすべて一律の扱いであり、自動運転に不要な手動操作信号や緊急性の低い表示信号などの入出力処理時のエラーでもエラーダウンしてしまう。一方、制御装置によっては、入出力カード群単位でエラーが発生したときにエラー発報のみで制御続行、あるいは制御停止の選択設定を可能とする機能を有するものがあるが、自動または手動の運転状態を考慮した選択肢がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−33105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように従来、外部機器との入出力によるエラーが発生した場合、自動運転が続行可能な状態下でも自動運転を停止させており、半成品となる2次損失や生産中の材料位置により設備損傷を招く等の問題がある。
【0008】
本発明に係る実施形態は、制御対象機器との入出力に異常が発生した場合に、その異常による自動運転制御への影響に応じて、自動運転を継続させることが可能な制御装置および制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係る制御装置は、制御対象機器を自動運転制御するための信号と所定の形式のデータとを変換する第1カードと、前記制御対象機器を手動運転制御するための信号と所定の形式のデータとを変換する第2カードと、前記第1カードとの間のデータの授受を制御し、かつ前記第2カードとの間のデータの授受を制御するデータ授受制御部と、前記第1カードと前記データ授受制御部との間のデータの授受の異常の有無を監視する監視部と、前記第1カードと前記データ授受制御部との間のデータの授受の異常を検出した場合の処理内容および前記第2カードと前記データ授受制御部との間のデータの授受の異常を検出した場合の処理内容を設定した処理設定テーブルと、を含む入出力制御装置と、を備える。前記処理設定テーブルは、前記自動運転制御の場合であって前記第1カードと前記データ授受制御部との間のデータの授受の異常を検出したときには、前記第2カードと前記データ授受制御部との間のデータの授受の異常の有無にかかわらず前記自動運転制御を停止しまたは継続する設定とされ、前記手動運転制御の場合であって前記第2カードと前記データ授受制御部との間のデータの授受の異常を検出したときには、前記第1カードと前記データ授受制御部との間のデータの授受の異常の有無にかかわらず前記手動運転制御を停止しまたは継続する設定される。
【発明の効果】
【0010】
本実施形態では、第1カードとデータ授受制御部との間のデータの授受の異常の有無を監視する監視部を備えているので、データの異常を検出することができる。そして、データの授受の異常を検出した場合の処理内容を設定した処理設定テーブルを備えているので、その異常による自動運転制御への影響に応じて、自動運転を継続させること可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る制御装置を例示する模式的なブロック図である。
図2】実施形態の制御装置の一部を例示する模式図である。
図3】実施形態の制御装置の動作を説明するためのフローチャートの例である。
図4】第2の実施形態に係る制御装置を例示する模式的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、実施形態に係る制御装置を例示する模式的なブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の制御装置101は、入出力制御装置30と、入力カード41,42と、出力カード43,44と、を備える。また、制御装置101は、入出力制御装置30に接続された演算処理部20を備えており、演算処理部20は、アプリケーションプログラム10により動作する。アプリケーションプログラム10は、たとえば図示しない記憶装置に格納されており、演算処理部20によって適時展開され実行される。
【0014】
入出力制御装置30は、入力カード41,42および出力カード43,44と接続されている。入出力制御装置30は、入力カード41,42から送信されるデータを受信して、演算処理部20がアプリケーションプログラム10の制御の下、所定の処理を行う。入出力制御装置30は、演算処理部20によって処理され生成されたデータを、出力カード43,44に供給する。
【0015】
入力カード41,42および出力カード43,44は、この例では、図示しない制御対象機器nの制御に関する信号を入力し、出力する。この制御対象機器nは、入力カード41,42および出力カード43,44に入出力される信号にもとづいて、手動運転制御または自動運転制御される。
【0016】
入力カード41は、この例では、手動操作信号が入力される入力ポートを有する。手動操作信号は、たとえば押しボタンスイッチによって生成された起動信号等である。入力カード41は、手動操作信号を入力して手動操作データを生成して入出力制御装置30に送信する。
【0017】
入力カード42は、この例では、制御対象機器nから供給されるフィードバック信号を入力する入力ポートを有する。フィードバック信号は、たとえば制御対象機器nが特定の位置に到達した場合に生成される。入力カード42は、フィードバック信号を入力しフィードバックデータを生成して入出力制御装置30に送信する。フィードバック信号は、たとえば、制御対象機器nが所定の位置に到達したときに生成されるリミットスイッチの導通信号等である。
【0018】
出力カード43は、この例では、制御対象機器nに対する動作信号を供給する出力ポートを有する。動作信号は、たとえば制御対象機器nに入力された場合に、制御対象機器nを起動し、動作を開始させる。出力カード43は、入出力制御装置30から制御対象機器nに対する動作データを受信して、制御対象機器nに応じた動作信号に変換して出力する。
【0019】
出力カード44は、この例では、制御対象機器nの動作状況を表示するための動作状況表示信号を出力する出力ポートを有する。たとえば、動作状況表示信号は、制御対象機器nが動作信号を受信して動作している期間中、表示ランプ等を点灯させる。出力カード44は、入出力制御装置30から供給される表示データを入力して動作状況表示信号に変換して出力する。
【0020】
入力カード41,42および出力カード43,44は、好ましくは自己診断機能を有している。自己診断機能は、入力カード41,42および出力カード43,44に異常が生じた場合には、その旨のデータ(たとえばフラグ)を入出力制御装置30に送信する。また、後述するように、入出力制御装置30は、監視機能30bを有しており、監視機能30bによって、入力カード41,42および出力カード43,44の異常を検出して適切な処理を行う。
【0021】
入力カード41,42および出力カード43,44は、上述に限らず、1つの制御対象機器に対して、より多数の入力信号および出力信号を授受するようにすることもできる。あるいは、1つの制御対象機器に対して、1つの入力カードまたは1つの出力カードが対応する場合等もある。また、一例として、1つの制御対象機器nを制御する場合について説明をするが、制御装置101は、複数の制御対象機器をそれぞれ1つ以上のカードを用いて、制御することができるのはいうまでもない。
【0022】
入出力制御装置30は、データ授受制御部30aと、監視機能30bと、処理設定テーブル30cと、を含む。
【0023】
データ授受制御部30aは、アプリケーションプログラム10によって動作する演算処理部20の制御の下、入力カード41,42および出力カード43,44との間におけるデータの授受を制御する。
【0024】
監視機能30bは、データ授受制御部30aと入力カード41,42および出力カード43,44との間で入出力される各データに異常がないか監視する。たとえば、監視機能30bは、アプリケーションプログラム10によって、本来入力されあるいは出力されるべきデータが入力あるいは出力されない場合には、エラーを生成する。たとえば、監視機能30bは、定周期または不定周期で、データ授受制御部30aと入力カード41,42および出力カード43,44との間の接続診断を行い、異常を検出した場合には、エラーを生成する。たとえば、監視機能30bは、入力カード41,42および出力カード43,44の自己診断機能によって異常を検出した場合にも、エラーを生成する。
【0025】
監視機能30bは、エラーを生成した場合には、エラーを生じたカードのアドレスとともに演算処理部20に対してエラーを発報する。エラー発報およびカードのアドレスを受信した演算処理部20は、処理設定テーブル30cの設定にしたがって、処理を決定する。
【0026】
処理設定テーブル30cは、監視機能30bによってエラーが生成された場合の、入力カード41,42および出力カード43,44それぞれの処理が設定されている。
【0027】
図2に示すように、処理設定テーブル30cは、複数の設定欄を含む。設定欄は、制御対象機器設定欄31aと、エラー発生カード名設定欄31bと、手動運転制御処理設定欄31cと、自動運転制御処理設定欄31dと、を含む。
【0028】
制御対象機器設定欄31aには、制御装置101が制御の対象とする機器の名称が設定されている。この例のように、機器を表すコードであってもよい。
【0029】
エラー発生カード名設定欄31bには、各カードの名称が設定されている。カードを表すコードであってもよい。
【0030】
手動運転制御処理設定欄31cには、手動運転制御の場合に各カードにエラーを生じたときの処理が設定されている。この例では、入力カード41にエラーを生じた場合には、手動運転制御を停止させる。この欄は、未設定であってもよい。たとえば、出力カードy,y+1は、手動運転制御に用いられていないカードである場合には、手動運転制御の処理設定を定義しなくてもよい。
【0031】
自動運転制御処理設定欄31dには、各カードに自動運転制御の場合に各カードにエラーを生じたときの処理が設定されている。この例では、入力カード41にエラーを生じた場合には、自動運転を継続させる。たとえば、入力カード41が押しボタンスイッチによる起動信号の場合には、自動運転制御においては、この信号を用いることがない。そのため、たとえば入力カード41の自己診断機能によって、エラーを発報している場合であっても、自動運転制御が動作しているときには、エラーにかかわらず、制御装置101は動作を続ける。
【0032】
たとえば、入力カード42が制御対象機器nのフィードバック信号を処理する場合には、フィードバック信号のエラーは、自動運転制御においても不具合を生じ得るため、自動運転制御を停止する。
【0033】
各カードの名称には、各カードのアドレスが関連付けられている。つまり、各カードには、制御対象機器、手動運転制御処理設定および自動運転処理設定の各設定値が関連付けられている。したがって、監視機能30bがエラーを発報する場合に、制御装置101は、対象となるカードのアドレスを指定することによって、処理の停止か継続かを判定することができる。
【0034】
処理設定テーブル30cの各処理については、あらかじめ設定されている。一方、プラントの稼働実績等によって、テーブルの処理内容に変更すべき場合が生じることがある。本実施形態の制御装置101は、通信ネットワーク1を介して、コンピュータ端末に接続されている。処理設定テーブル30cの各処理の設定については、コンピュータ端末上で動作するメンテナンスツール2によって更新することができる。なお、メンテナンスツール2は、処理設定テーブル30cの設定のほか、他のプログラム等の編集や各種データを設定することができる。
【0035】
本実施形態の制御装置の動作について説明する。
図3は、本実施形態の制御装置の動作を説明するためのフローチャートの例である。
図3に示すように、ステップS1において、制御装置101は、制御のための処理が手動運転制御処理か、自動運転制御処理か、を選択する。手動運転制御処理または自動運転制御処理のいずれかの選択は、たとえばオペレータが操作パネル等を介して行う。あるいは、この選択は、アプリケーションプログラム10によって所望の条件を満たした場合等に実行される。
【0036】
ステップS1で手動運転制御処理が選択された場合には、プログラム処理はステップS2に遷移される。
【0037】
ステップS2において、演算処理部20は、アプリケーションプログラム10にしたがって、制御対象機器nの手動運転制御処理を実行する。図1において説明した例では、たとえば、入力カード41に手動操作信号が入力され、入力カード41は、手動操作信号にもとづいて手動操作データを生成し、入出力制御装置30に送信する。
【0038】
ステップS3において、監視機能30bは、入力カード41,42および出力カード43,44のいずれかとデータ授受制御部30aとの間のデータの授受にエラーの有無を監視する。エラーが検出された場合には、プログラム処理は次のステップS4に遷移される。エラーが検出されない場合には、プログラム処理は、最初のステップS1に遷移される。
【0039】
ステップS4において、監視機能30bは、エラー情報を発報する。エラー情報は、エラーを生じたカードのアドレスとエラーを表すデータとを含んでいる。このエラー情報は、演算処理部20に送信される。エラー情報を受信した演算処理部20は、処理設定テーブル30cにアクセスする。
【0040】
ステップS5において、演算処理部20は、エラーを生じたカードのアドレスに対応するカードの手動運転制御における設定値を読み出す。
【0041】
ステップS6において、演算処理部20は、処理設定テーブル30cの設定値を判定する。処理設定テーブル30cの設定値が“停止”の場合には、プログラム処理をステップS7に遷移させる。処理設定テーブル30cの設定値が“継続”の場合には、プログラム処理を最初のステップS1に遷移させる。
【0042】
ステップS7において、演算処理部20は、監視機能30bから発報されたエラー情報に沿って処理設定テーブル30cの設定内容を参照し、たとえば入力カード41でエラーが発生した場合には、制御対象機器nについての手動運転制御を無効として停止する。
【0043】
その後、最初のステップS1に戻ってプログラム処理を実行する。
【0044】
ステップS1で自動運転制御の処理であることを選択した場合には、ステップS8にプログラム処理を遷移させる。
【0045】
ステップS8において、演算処理部20は、アプリケーションプログラム10にしたがって、制御対象機器nの自動運転制御処理を実行する。
【0046】
ステップS9において、監視機能30bは、入力カード41,42および出力カード43,44のいずれかとデータ授受制御部30aとの間のデータの授受にエラーの有無を監視する。エラーが検出された場合には、処理は次のステップS10に遷移される。エラーが検出されない場合には、プログラム処理は、最初のステップS1に遷移される。
【0047】
ステップS10において、監視機能30bは、エラー情報を発報する。エラー情報は、エラーを生じたカードのアドレスとエラーを表すデータとを含んでいる。このエラー情報は、演算処理部20に送信される。エラー情報を受信した演算処理部20は、処理設定テーブル30cにアクセスする。
【0048】
ステップS11において、演算処理部20は、エラーを検出したカードのアドレスに対応するカードの自動運転制御における設定値を読み出す。
【0049】
ステップS12において、演算処理部20は、処理設定テーブル30cの設定値を判定する。処理設定テーブル30cの設定値が“停止”の場合には、プログラム処理をステップS13に遷移させる。処理設定テーブル30cの設定値が“継続”の場合には、プログラム処理を最初のステップS1に遷移させる。
【0050】
ステップS13において、演算処理部20は、監視機能30bから発報されたエラー情報に沿って処理設定テーブル30cを参照し、たとえば入力カード41でエラーが発生した場合には、制御対象機器nについての自動運転制御を継続させる。
【0051】
その後、最初のステップS1に戻ってプログラム処理を実行する。
【0052】
このようにして、本実施形態の制御装置101は、入出力のデータに異常があることを検出した場合には、処理設定テーブル30cに設定された情報によって処理の継続か停止かを選択することができる。なお、図3においてステップS5,S6の間およびステップS11,S12の間が近接しているのは、これらの動作が密接に連動していることを表している。
【0053】
本実施形態の制御装置101の効果について説明する。
本実施形態の制御装置101は、監視機能30bと処理設定テーブル30cとを含む入出力制御装置30を備えている。監視機能30bは、データ授受制御部30aと入力カード41,42および出力カード43,44との間のデータの授受に異常があるか否かを監視する。処理設定テーブル30cには、データの授受に異常があった場合の処理の内容がカードごとに設定されている。処理設定テーブル30cは、異常時の処理について、手動運転制御の場合と、自動運転制御の場合のいずれの場合についても設定されている。処理設定テーブル30cに、自動運転制御に直接関係のないカードの異常を検出した場合には、自動運転制御を継続するように設定することによって、自動運転制御を継続させることができる。
【0054】
したがって、制御対象機器との入出力において異常が発生した場合であっても、自動運転を続行可能とすることができ、自動運転制御を停止させることがないので、製造中の製品を半成品として2次損失としたり、生産中の材料位置により設備損傷を招いたりすること等が低減される。
【0055】
(第2の実施形態)
図4は、本実施形態に係る制御装置を例示する模式的なブロック図である。
図4には、本実施形態の制御装置201a,201bを備えた制御システム200が合わせて示されている。プラントにおいて、各種機器を制御して生産設備を動作させる場合には、制御対象となる機器が広い範囲に配置される場合も多い。そのような場合には、それぞれの機器の近傍にローカルの制御盤等に別に制御装置を設けて、ローカル制御盤を含めて本制御装置を含む主制御盤で設備全体を制御する必要がある。
【0056】
図4に示すように、制御システム200は、制御装置201a,201bを備える。制御装置201a,201bは、通信ネットワークを含む伝送手段211によって、互いに接続されている。伝送手段211は、有線通信によるものであってもよいし、無線通信によるものであってもよい。
【0057】
制御装置201aは、伝送装置50aをさらに備える点で、上述した他の実施系形態の制御装置101と相違する。また、制御装置201bは、伝送装置50bをさらに備える点で、他の実施形態の場合の制御装置101と相違し、入出力制御装置230を備える点でも相違する。制御装置201a,201bは、他の構成要素については制御装置101と同様であり、同一の構成要素については同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0058】
制御装置201aは、伝送装置50aをさらに備える。伝送装置50aは、記憶部51aを含む。伝送装置50aは、入出力制御装置30に接続されている。伝送装置50aは、後述するように、他の伝送装置50bを介して制御装置201bに接続されている。
【0059】
伝送装置50aは、入出力制御装置30を入出力するデータを、伝送手段211を介して、制御装置201bの伝送装置50bとの間で送受信することができる。
【0060】
伝送装置50aの記憶部51aは、制御装置201b側の入力カード411,422および出力カード433,444に関する情報を含むデータを格納することができる。たとえば、記憶部51aは、入力カード411,422および出力カード433,444のそれぞれのアドレスが登録され、各アドレスに関連付けられたデータを格納する。データの中には、入力カード411,422および出力カード433,444に関するエラー情報のデータが含まれる。
【0061】
制御装置201bは、伝送装置50bと、入出力制御装置230と、入力カード411,422と、出力カード433,444と、を含む。伝送装置50bは、上述の伝送装置50aに伝送手段211を介して接続されている。伝送装置50bには、入出力制御装置230を介して、入力カード411,422および出力カード433,444が接続されている。
【0062】
入力カード411,422および出力カード433,444は、この例では、制御対象機器nとは異なる制御対象機器mに対応する信号を入出力する。たとえば、入力カード411は、制御対象機器mの手動操作信号を入力する。入力カード422は、制御対象機器mのフィードバック信号を入力する。出力カード433は、制御対象機器mへの動作信号を出力する。出力カード444は、制御対象機器mの動作状況信号を出力する。
【0063】
入出力制御装置230は、データ授受制御部30aと、監視機能30bと、を含む。監視機能30bは、データ授受制御部30aと入力カード411,422および出力カード433,444との間のデータの授受の異常の有無を監視する。
【0064】
監視機能30bは、データ授受の異常であるエラーを検出した場合には、エラーを発生したカードのアドレスおよびエラーを生じた旨のデータを伝送装置50bに供給する。これらのデータは、伝送装置50bの記憶部51bに格納される。
【0065】
伝送装置50bの記憶部51bは、入力カード411,422および出力カード433,444に関する情報を含むデータを格納することができる。記憶部51bに格納されるデータは、伝送装置50aの記憶部51aに格納されるデータと同一である。記憶部51bに格納される各カードのエラー情報に関するデータは、記憶部51aとの間で共有される。
【0066】
本実施形態の制御システム200および制御装置201a,201bの動作について説明する。
本実施形態の制御システム200では、制御装置201aに伝送手段211を介して制御装置201bが接続されている。伝送装置50a,50bは、制御装置201a,201b同士の接続のために用いられる。
【0067】
制御装置201bは、入力カード411,422および出力カード433,444を有しており、制御装置201aから見た場合に、入力カード41,42および出力カード43,44と同様に、入力カード411,422および出力カード433,444を動作させるとともに、エラー検出を行う。
【0068】
記憶部51a,51bは、制御装置201bの入力カード411,422および出力カード433,444に関する情報を含むデータを共有して格納する。記憶部51a,51bには、入力カード411,422および出力カード433,444のアドレスと、入力カード411,422および出力カード433,444のエラー情報と、が関連付けて格納される。したがって、制御装置201aの入出力制御装置30は、入力カード41,42および出力カード43,44と同様に、入力カード411,422および出力カード433,444の状態を認識することができる。
【0069】
処理設定テーブル30cには、すべての入力カード41,42,411,422および出力カード43,44,433,444の処理に関する情報が設定されている。制御装置201aの演算処理部20は、エラーを検出したカードのアドレスを読み取って、処理設定テーブル30cの設定内容を参照して、手動あるいは自動の運転状態に応じた処理を実行する。
【0070】
より具体的には、たとえば手動操作信号が入力される入力カード411にエラーが生じた場合には、監視機能30bは、伝送装置50bの記憶部51bの入力カード411のアドレスにエラーを生じた旨のデータを格納する。
【0071】
伝送装置50bは、記憶部51bのデータを伝送装置50aに送信する。伝送装置50aでは、記憶部51aのデータを記憶部51bのデータで更新する。
【0072】
制御装置201aの監視機能30bは、入力カード411にエラーが検出されたことを認識し、エラー情報を発報する。
【0073】
演算処理部20は、監視機能30bによって読み出された処理設定テーブル30cの処理内容を実行する。
【0074】
このようにして、本実施形態の制御システム200では、伝送手段211を介して、遠隔の場所に設定された制御装置201bに設けられた各カードの状態を、制御装置201aに設けられた各カードの状態と同様に認識することができる。
【0075】
本実施形態の制御システム200および制御装置201a,201bの効果について説明する。
本実施形態の制御システム200および制御装置201a,201bでは、伝送装置50a,50bを備えている。そして、伝送手段211によって接続された伝送装置50a,50bがそれぞれ記憶部51a,51bを有しており、各カードの状態を各カードのアドレスに関連付けて格納している。そのため、制御装置201aは、制御装置201bが遠隔の場所に設けられた場合であっても、すべてのカードについてのデータの授受に関して異常を検出することができ、処理設定テーブル30cの設定にしたがって、適切な処理を選択することができる。
【0076】
上述では、1つの制御装置201aが他の1つの制御装置201bを伝送装置50a,50bによって接続して、動作させる場合について説明をした。1つの制御装置201aが遠隔(ローカル)の他の制御装置を動作させる場合には、複数の制御装置201bを接続して動作させることももちろんできる。このような場合においては、処理設定テーブル30cには、複数の制御装置201bに接続されているすべてカードのエラー時の処理が設定される。
【0077】
以上説明した実施形態によれば、制御対象機器との入出力に異常が発生した場合に、その異常ーによる自動運転制御への影響に応じて、自動運転を継続実行させることが可能な制御装置および制御システムを実現することができる。
【0078】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0079】
10 アプリケーションプログラム、20 演算処理部、30,230 入出力制御装置、30a データ授受制御部、30b 監視機能、30c 処理設定テーブル、41,42,411,422 入力カード、43,44,433,444 出力カード、101,201a,201b 制御装置、200 制御システム
図1
図2
図3
図4