(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置100の概略図である。具体的には、
図1(A)はディスプレイ装置100の正面図であり、
図1(B)はディスプレイ装置100の背面斜視図である。
図2はディスプレイ装置100の背面分解斜視図である。本書では、便宜上、ディスプレイ装置100の正面側を+Z側とし、背面側を−Z側とする。また、ディスプレイ装置100の正面を+Z側から見たときの上側、下側、右側、左側をそれぞれ+Y側、−Y側、+X側、−X側とする。
【0012】
ディスプレイ装置100は、例えば、液晶ディスプレイ装置である。プラズマディスプレイ装置、有機ELディスプレイ装置等の他のディスプレイ装置であってもよい。ディスプレイ装置100は、
図2に示すように、フロント枠体1、ディスプレイモジュール2、メイン基板3、可撓性配線部材4、リアカバー5、操作部材6等を含む。
【0013】
フロント枠体1は、ディスプレイモジュール2の前面側(+Z側)の周囲を取り囲むように配置される額縁形状の部材である。本実施形態では、フロント枠体1は、6つのネジS1を用いてリアカバー5に取り付けられる。
【0014】
ディスプレイモジュール2は、ディスプレイ装置の主要部を構成する部品である。本実施形態では、ディスプレイモジュール2は、ディスプレイパネル20、バックプレート21、ディスプレイ駆動回路22等を含む。ディスプレイモジュール2には、4つのネジS2を用いてリアカバー5が取り付けられる。
【0015】
ディスプレイパネル20は、ディスプレイモジュール2の前面(+Z側面)を構成する板状の部品である。本実施形態では、ディスプレイパネル20は液晶パネルである。ディスプレイパネル20の前にタッチパネルが取り付けられていてもよい。
【0016】
バックプレート21は、ディスプレイモジュール2の背面(−Z側面)を構成する板状の部品である。本実施形態では、バックプレート21はバックライトである。
【0017】
ディスプレイ駆動回路22は、ディスプレイパネル20に対して電気信号を供給する回路である。本実施形態では、ディスプレイ駆動回路22は、ディスプレイパネル20の左右両側(+X側及び−X側)の端部に取り付けられている。ディスプレイ駆動回路22の一部又は全部はディスプレイパネル20及びバックプレート21の少なくとも一方に統合されていてもよい。
【0018】
メイン基板3は、ディスプレイ駆動回路22に画像信号及び駆動電力を供給するディスプレイ駆動用基板である。本実施形態では、メイン基板3は、バックプレート21の背面側(−Z側)に配置されるプリント基板である。
【0019】
可撓性配線部材4は、ディスプレイモジュール2とメイン基板3とを接続する部材である。本実施形態では、可撓性配線部材4はフレキシブルケーブルであり、可撓性配線部材4L、4Rを含む。可撓性配線部材4Lは、ディスプレイパネル20の左側(+X側)の端部に取り付けられたディスプレイ駆動回路22Lとメイン基板3とを電気的に接続する。可撓性配線部材4Rは、ディスプレイパネル20の右側(−X側)の端部に取り付けられたディスプレイ駆動回路22Rとメイン基板3とを電気的に接続する。可撓性配線部材4は、メイン基板3とバックプレート21とを電気的に接続してもよい。
【0020】
リアカバー5は、可撓性配線部材4によって接続されたディスプレイモジュール2とメイン基板3を背面側から覆うように配置される部材である。本実施形態では、リアカバー5は、金属製であり、接地電極を構成する。
【0021】
操作部材6は、作業者が操作可能な部材である。本実施形態では、操作部材6は雄ネジ6Mであり、八角形の頭部の頂面に十字穴が形成されている。操作部となる頭部はリアカバー5の外部に露呈しており、作業者は、プラスドライバ等を用いて雄ネジ6Mを操作する。但し、雄ネジ6Mの頭部形状、及び、その頂面に形成される溝、穴等の形状は他の形状であってもよい。また、雄ネジ6Mの操作に用いる工具もその形状等に応じて変更される。
【0022】
また、操作部材6は、リアカバー5を貫通してメイン基板3と係合しメイン基板3をリアカバー5に引き付けて固定する。
図2の例では、雄ネジ6Mは、リアカバー5の貫通孔5Hを貫通して延び、メイン基板3に設けられた雌ネジ31Fとかみ合う。そして、リアカバー5の外側からプラスドライバ等によって順方向(例えば時計回り)に回転させられると、雄ネジ6Mは、メイン基板3をリアカバー5の内壁面(−Z側面)に引き付ける。雄ネジ6Mと雌ネジ31Fがかみ合う前の時点では、メイン基板3は、バックプレート21の背面側(−Z側)に仮置きされているのみであり、雄ネジ6Mの延在方向(−Z方向)に移動可能である。雄ネジ6Mは、メイン基板3がリアカバー5の内壁と接触するまでメイン基板3を引き付け、その後にメイン基板3をリアカバー5に締め付けて固定する。
【0023】
「仮置き」は、ディスプレイモジュール2の背面(XY平面)に沿ったメイン基板3の移動が制限された状態で、メイン基板3をディスプレイモジュール2の背面側に置くことを意味する。本実施形態では、メイン基板3は、X軸方向及びY軸方向の並進と3軸回りの回転が制限された状態で、ディスプレイモジュール2の背面側に仮置きされる。Z軸方向の並進は許容されている。すなわち、メイン基板3がリアカバー5に向かう方向以外の方向において、メイン基板3の移動が制限されている。但し、メイン基板3は、他の制限状態で仮置きされてもよい。例えば、X軸方向及びY軸方向の何れか一方の並進のみが制限された状態で仮置きされてもよい。仮置きを可能にする構成要素の詳細については後述する。
【0024】
次に、
図3を参照し、ディスプレイ装置100の組立方法について説明する。
図3は、ディスプレイ装置100の組立方法のフローチャートを示す。
【0025】
作業者は、最初に、ディスプレイモジュール2の背面にメイン基板3を仮置きする(工程ST1)。
【0026】
ここで、
図4及び
図5を参照し、工程ST1の仮置きについて説明する。
図4は、ディスプレイモジュール2に関する図である。具体的には、
図4(A)は背面斜視図であり、
図4(B)は−Y側から見た側面図である。
図4(C)は、−X側から見た仮置構造部21Aの側面図である。
図5は、ディスプレイモジュール2の背面に仮置きされたメイン基板3に関する図である。具体的には、
図5(A)は背面斜視図であり、
図5(B)は−Y側から見た側面図である。
図5(C)は−Z側から見たメイン基板3の平面図であり、
図5(D)は
図5(A)の領域R1を−Z側から見た拡大図である。
図5(A)、
図5(B)及び
図5(D)では、新たに取り付けられた部材であるメイン基板3が灰色表示されている。
【0027】
具体的には、
図4(B)に示すように、作業者は、ディスプレイモジュール2の前面側(+Z側)を下方に向けてディスプレイモジュール2を平坦な作業台の表面上に置く。
【0028】
その後、作業者は、メイン基板3の切り欠き35(
図5(C)参照。)を、ディスプレイモジュール2の仮置構造部21A(
図4(B)参照。)に合わせるようにしてディスプレイモジュール2の背面にメイン基板3を仮置きする。
【0029】
仮置構造部21Aは、バックプレート21の背面(−Z側面)から−Z方向に延びる部材である。本実施形態では、仮置構造部21Aは、X軸方向に間隔W1を空けて2つ形成されている。また、バックプレート21の背面の一部を折り曲げることで、バックプレート21と一体的に形成されている。
図4(C)に示すように、仮置構造部21Aは、Y軸方向の幅W2を有する中央ガイド部21ACと、その両側に配置された第1支持部21AL及び第2支持部21ARとを有する。中央ガイド部21ACは、第1支持部21AL及び第2支持部21ARよりも−Z方向に遠方に延びる。
【0030】
切り欠き35は、
図5(C)に示すように、メイン基板3の左右両側(+X側及び−X側)の端部に、X軸方向に間隔W3を空けて2つ形成されている。切り欠き35は、Y軸方向の幅W4を有する。間隔W3は仮置構造部21Aの間隔W1より小さく、幅W4は仮置構造部21Aの中央ガイド部21ACの幅W2より大きい。
【0031】
この構成により、ディスプレイモジュール2の背面にメイン基板3を仮置きすると、メイン基板3は、+Z側の面が第1支持部21AL及び第2支持部21ARと接触した状態で、仮置構造部21Aによって支持される。そして、
図5(D)に示すように、メイン基板3は、中央ガイド部21ACと接触することなく支持され得る。メイン基板3のこの状態を「位置決めされた状態」と称する。具体的には、右側(−X側)の切り欠き35があるところでは、メイン基板3の端部35Aと中央ガイド部21ACの+X側の端面との間に隙間G1が形成され得る。同様に、メイン基板3の端部35Bと中央ガイド部21ACの−Y側の端面との間に隙間G2が形成され、メイン基板3の端部35Cと中央ガイド部21ACの+Y側の端面との間に隙間G3が形成され得る。
【0032】
言い換えれば、
図5(D)に示す位置決めされた状態のメイン基板3は、隙間G1に相当する距離だけ−X方向に移動できるがそれ以上の移動は中央ガイド部21ACによって制限される。同様に、メイン基板3は、隙間G2に相当する距離だけ+Y方向に移動できるがそれ以上の移動は中央ガイド部21ACによって制限され、隙間G3に相当する距離だけ−Y方向に移動できるがそれ以上の移動は中央ガイド部21ACによって制限される。但し、
図5(D)に示す状態のメイン基板3は、−Z方向への移動については仮置構造部21Aによっては制限されない。
【0033】
また、2つの仮置構造部21Aと2つの切り欠き35の存在によってディスプレイモジュール2に対するメイン基板3の相対回転が制限される。この点に関し、本実施形態は、仮置構造部21Aと切り欠き35の組みあわせを2つ有するが、3つ以上の組みあわせを有しいてもよい。また、本実施形態では、メイン基板3の短手方向の中心線CL(
図5(C)参照。)に対して2つの切り欠き35の位置が線対称となるように構成されている。但し、2つの切り欠き35の位置は、中心線CLに対して非対称であってもよい。例えば、メイン基板3の長辺の1つと短辺の1つに切り欠き35が1つずつ形成されていてもよい。また、本実施形態では、切り欠き35は、メイン基板3の外縁に形成されているが、メイン基板3の内部に貫通孔として形成されていてもよい。また、仮置構造部21Aと切り欠き35の組みあわせの数は1つであってもよく、仮置構造部21Aと切り欠き35の組みあわせは省略されてもよい。
【0034】
図5(B)及び
図5(C)で示されているように、メイン基板3の−Z側の面には、インタフェース部30、ブラケット部31及びガイド部32が取り付けられている。ブラケット部31及びガイド部32は、典型的には金属製であり、一体的に形成されている。
【0035】
インタフェース部30は、外部機器との接続をもたらす部材である。本実施形態では、インタフェース部30は、リアカバー5がディスプレイモジュール2に取り付けられたときに、リアカバー5の貫通孔5T(
図2参照。)を貫通して−Z方向に延びるレセプタクルである。
【0036】
ブラケット部31は、操作部材6と協働する係合部の一例である。本実施形態では、ブラケット部31は、雄ネジ6Mを受け入れる雌ネジ31Fを備えた部材であり、メイン基板3の表面に平行な平板の中央に雌ネジ31Fを備える。
【0037】
ガイド部32は、雄ネジ6Mによってリアカバー5に引き付けられるメイン基板3をガイドする部材である。本実施形態では、ガイド部32は、リアカバー5の内壁に設けられた位置決め構造とかみ合うL字形状の部材である。位置決め構造の詳細については後述する。
【0038】
ディスプレイモジュール2の背面にメイン基板3を仮置きした後、作業者は、可撓性配線部材4でディスプレイ駆動回路22とメイン基板3とを接続する(
図3の工程ST2)。
【0039】
ここで、
図6を参照し、工程ST2の接続について説明する。
図6は、メイン基板3、可撓性配線部材4及びディスプレイ駆動回路22が取り付けられたディスプレイモジュール2の背面斜視図である。
図6では、新たに取り付けられた部材である可撓性配線部材4及びディスプレイ駆動回路22が灰色表示されている。
【0040】
具体的には、
図6に示すように、作業者は、ディスプレイモジュール2の背面にメイン基板3が仮置きされた状態で、ディスプレイ駆動回路22をディスプレイパネル20に取り付ける。ディスプレイ駆動回路22は、ディスプレイモジュール2の背面にメイン基板3が仮置きされる前にディスプレイパネル20に取り付けられていてもよい。
【0041】
そして、作業者は、ディスプレイ駆動回路22Rとメイン基板3とを可撓性配線部材4Rで接続し、ディスプレイ駆動回路22Lとメイン基板3とを可撓性配線部材4Lで接続する。典型的には、可撓性配線部材4をディスプレイ駆動回路22に接続した後で可撓性配線部材4をメイン基板3に接続する。但し、可撓性配線部材4をメイン基板3に接続した後で、可撓性配線部材4をディスプレイ駆動回路22に接続してもよい。この場合、可撓性配線部材4は、メイン基板3がディスプレイモジュール2の背面に仮置きされる前に、メイン基板3に接続されていてもよい。或いは、作業者は、ディスプレイ駆動回路22とメイン基板3とを可撓性配線部材4Rで接続した後でディスプレイ駆動回路22をディスプレイパネル20に取り付けてもよい。
【0042】
作業者が可撓性配線部材4をメイン基板3及びディスプレイ駆動回路22に接続する際、メイン基板3は、可撓性配線部材4を介した外力を受ける。一方、メイン基板3は、仮置構造部21Aによって、ディスプレイモジュール2の背面(XY平面)に沿った移動が制限されている。そのため、メイン基板3は、可撓性配線部材4を介して外力を受けたときも、ディスプレイモジュール2の背面(XY平面)に沿って並進或いは回転することはない。可撓性配線部材4を介した外力によってメイン基板3が−Z方向に持ち上げられた場合も同様である。仮置構造部21Aの中央ガイド部21ACがある程度の高さを有するためである。この場合、−Z方向に持ち上げられたメイン基板3は、可撓性配線部材4を介した外力が無くなった時点で元の仮置き位置に戻る。
【0043】
可撓性配線部材4でディスプレイ駆動回路22とメイン基板3とを接続した後、作業者は、ディスプレイモジュール2の背面側(−Z側)にリアカバー5を取り付ける(
図3の工程ST3)。
【0044】
ここで、
図7を参照し、工程ST3におけるリアカバー5の取り付けについて説明する。
図7は、ディスプレイモジュール2に取り付けられたリアカバー5の背面斜視図である。
図7では、新たに取り付けられた部材であるリアカバー5が灰色表示されている。
【0045】
具体的には、
図7に示すように、作業者は、メイン基板3から−Z方向に延びるインタフェース部30とリアカバー5の貫通孔5T(
図2参照。)とが一致するように、ディスプレイモジュール2の背面側にリアカバー5を取り付ける。この段階で、ネジS2(
図2参照。)を用いてリアカバー5がディスプレイモジュール2に取り付けられてもよい。また、フロント枠体1がネジS1(
図2参照。)を用いてリアカバー5に取り付けられてもよい。
【0046】
ディスプレイモジュール2の背面側(−Z側)にリアカバー5を取り付けた後、作業者は、操作部材6とメイン基板3とを係合させてメイン基板3をリアカバー5の内壁に引き付けて固定する(
図3の工程ST4)。
【0047】
ここで、
図8を参照し、工程ST4におけるリアカバー5に対するメイン基板3の固定について説明する。
図8は、メイン基板3をリアカバー5の内壁に引き付けて固定する雄ネジ6Mに関する図である。具体的には、
図8(A)は、ディスプレイモジュール2に取り付けられたリアカバー5の背面斜視図であり、リアカバー5の貫通孔5H(
図7参照。)に雄ネジ6Mが挿入された状態を示す。
図8(B)は、雄ネジ6Mがかみ合わされたメイン基板3を含むディスプレイモジュール2を−Y側から見た側面図である。
図8(C)及び
図8(D)は、
図5(C)の領域R2の拡大図に対応する。
図8(C)は雄ネジ6Mがかみ合わされる前の状態を示し、
図8(D)は雄ネジ6Mがかみ合わされた後の状態を示す。
図8(B)〜
図8(D)では、内部構造を分かり易くするために、リアカバー5の図示が省略されている。
図8(A)、
図8(B)及び
図8(D)では、新たに取り付けられた部材である雄ネジ6Mが灰色表示されている。
【0048】
具体的には、
図8(A)に示すように、作業者は、リアカバー5の貫通孔5H(
図7参照。)に雄ネジ6Mを挿入し、メイン基板3のブラケット部31に形成された雌ネジ31Fにかみ合わせる。メイン基板3は、ディスプレイモジュール2の上に仮置きされた状態にあり、
図5(D)に示すように仮置構造部21Aの中央ガイド部21ACとは非接触の状態にある。
【0049】
その後、作業者は、
図8(D)の矢印AR1で示されるように、雄ネジ6Mを時計回りに回転させる。その結果、−Z方向に移動可能な状態にあるメイン基板3は、ブラケット部31がリアカバー5の内壁に接触するまで、リアカバー5の内壁に向かって引き付けられる。ブラケット部31がリアカバー5の内壁に接触した後、作業者は、雄ネジ6Mを時計回りに更に回転させることで、リアカバー5の内壁に対してブラケット部31を締め付ける。その結果、作業者は、リアカバー5に対してメイン基板3を固定することができる。また、リアカバー5の内壁に対するブラケット部31の締め付けは、メイン基板3の確実な接地をもたらす。
【0050】
ここで、
図9を参照し、雄ネジ6Mを順方向(例えば時計回り)に回転させたときのメイン基板3の動きについて説明する。
図9は、雄ネジ6Mを時計回りに回転させたときのメイン基板3の動きを示す。具体的には、
図9(A1)〜
図9(A3)は、
図8(B)の領域R3の拡大図に対応し、リアカバー5が点線で示されている。
図9(B1)〜
図9(B3)は、
図8(B)の領域R4の拡大図に対応する。また、
図9(A1)及び
図9(B1)は雄ネジ6Mが雌ネジ31Fにかみ合わされる前の状態を示し、
図9(A2)及び
図9(B2)は雄ネジ6Mが雌ネジ31Fにかみ合わされた後で且つリアカバー5の内壁に対してブラケット部31が締め付けられる前の状態を示し、
図9(A3)及び
図9(B3)は、リアカバー5の内壁に対してブラケット部31が締め付けられた状態を示す。
【0051】
雄ネジ6Mが雌ネジ31Fにかみ合わされる前の状態では、
図9(A1)に示すように、メイン基板3の表面(−Z側面)とリアカバー5の内壁面(+Z側面)との間隔である内部空間高さが距離H1となっている。また、
図9(B1)に示すように、メイン基板3の裏面(+Z側面)が第1支持部21AL及び第2支持部21AR(
図9(B1)では不可視)によって接触支持されている。
【0052】
その後、雄ネジ6Mが時計回りに回転させられると、
図9(A2)に示すように、メイン基板3はリアカバー5に向かって引き寄せられ、内部空間高さは距離H2(<距離H1)まで低減される。また、
図9(B2)に示すように、メイン基板3の裏面(+Z側面)は、距離D1だけ、第1支持部21AL及び第2支持部21ARから浮き上がる。
【0053】
その後、雄ネジ6Mが時計回りに更に回転させられると、
図9(A3)に示すように、メイン基板3は、ブラケット部31を介してリアカバー5の内壁に締め付けられ、リアカバー5に固定される。内部空間高さは距離H3(<距離H2)まで更に低減される。また、
図9(B3)に示すように、メイン基板3の裏面(+Z側面)は、距離D2(>距離D1)だけ、第1支持部21AL及び第2支持部21ARから浮き上がった状態で維持される。また、この状態においても、メイン基板3の裏面(+Z側面)は、仮置構造部21Aの中央ガイド部21ACの高さより低い位置にある。そのため、仮置構造部21Aは、メイン基板3がリアカバー5の内壁に締め付けられるまで、X軸方向及びY軸方向におけるディスプレイモジュール2に関するメイン基板3の移動を制限できる。但し、メイン基板3の裏面(+Z側面)は、メイン基板3がリアカバー5の内壁に締め付けられたときに、中央ガイド部21ACの高さより高い位置にあってもよい。
【0054】
次に、
図10を参照し、リアカバー5の内壁に形成される位置決め構造部50について説明する。
図10は、位置決め構造部50に関する図である。具体的には、
図10(A)は、ディスプレイモジュール2とリアカバー5で囲まれた内部空間に配置されたメイン基板3を+Z側から見た斜視図である。
図10(A)では、位置決め構造部50が見えるように、メイン基板3を透明にしている。
図10(B)は、
図10(A)の領域R5の拡大図である。
図10(C)は、
図10(A)の領域R5を別の角度から見たときの拡大図である。
図10(B)及び
図10(C)では、明瞭化のため、インタフェース部30等の一部の部材の図示が省略されている。
【0055】
図10(B)及び
図10(C)に示すように、位置決め構造部50は、メイン基板3がリアカバー5に向かう方向以外の方向においてメイン基板3の移動を制限するように構成されており、雄ネジ6Mによってメイン基板3がリアカバー5の内壁に引き付けられるときに、メイン基板3の位置決めを行う。
図10(B)の矢印AR2、及び、
図10(C)の矢印AR3は、雄ネジ6Mによってリアカバー5の内壁に引き付けられるメイン基板3のガイド部32の移動方向を表す。
【0056】
本実施形態では、L字形状のガイド部32は、主に、X軸に沿って延びる第1ガイド部32Aと、Y軸に沿って延びる第2ガイド部32Bを含む。位置決め構造部50は、主に、第1構造部50A、第2構造部50B及び第3構造部50Cを含む。
【0057】
第1構造部50Aは、第1ガイド部32Aの−X方向への移動を制限するように配置されている。具体的には、メイン基板3が−X方向へ移動したときに、第1構造部50Aの+X側の端面と第1ガイド部32Aの−X側の端面とが接触するように配置されている。
【0058】
第2構造部50Bは、第1ガイド部32Aの−Y方向への移動を制限するように配置されている。具体的には、メイン基板3が−Y方向へ移動したときに、第2構造部50Bの+Y側の端面と第1ガイド部32Aの−Y側の端面とが接触するように配置されている。
【0059】
第3構造部50Cは、第2ガイド部32Bの+X方向への移動を制限するように配置されている。具体的には、メイン基板3が+X方向へ移動したときに、第3構造部50Cの−X側の端面と第2ガイド部32Bの+X側の端面とが接触するように配置されている。
【0060】
また、第3構造部50Cは、ブラケット部31の+Y方向への移動を制限するように配置されている。具体的には、メイン基板3が+Y方向へ移動したときに、第3構造部50Cの−Y側の端面とブラケット部31の+Y側の端面とが接触するように配置されている。
【0061】
また、第1構造部50A、第2構造部50B、第3構造部50Cは、+Z側の端部に傾斜面50AT、50BT、50CTを備える。ガイド部32と位置決め構造部50とが係合する場合に、多少の位置ズレが生じているときであっても、
図10(B)及び
図10(C)に示す位置(姿勢)にガイド部32を導くことができるようにするためである。
【0062】
この構成により、位置決め構造部50は、雄ネジ6Mの回転によってメイン基板3がリアカバー5の内壁に引き付けられ且つ締め付け固定される際に、リアカバー5に対し、メイン基板3を所望の姿勢で維持できる。
【0063】
また、この構成は、
図10(C)の矢印AR4で示される雄ネジ6Mの回転によってガイド部32が同じ方向に回転してしまうのを防止できる。ガイド部32の回転が位置決め構造部50とガイド部32との接触によって制限されるためである。
【0064】
本実施形態では、第1構造部50A及び第2構造部50Bは一体的に形成されているが、別々に形成されていてもよい。例えば、第2構造部50Bは、第1構造部50Aと第3構造部50Cとの中間に独立して配置されていてもよい。或いは、第1構造部50A及び第2構造部50Bの何れかが省略されてもよい。また、構造部の位置、形状、長さ、幅、本数等に制限はなく、必要に応じて適切に選択される。ガイド部32と位置決め構造部50の組み合わせは省略されてもよい。
【0065】
次に、
図11を参照し、本発明の別の実施形態に係るディスプレイ装置100Aについて説明する。
図11(A)〜
図11(G)は、ディスプレイ装置100Aに関する図であり、各種構成要素を横切る仮想XZ平面を+Y方向から見た断面図を示す。具体的には、
図11(A)〜
図11(G)の順番でディスプレイ装置100Aが組み立てられていく様子を示す。
図11(H)は、比較例を示す。
【0066】
最初に、
図11(A)に示すように、作業者は、ディスプレイモジュール2の前面側(+Z側)を下方に向けてディスプレイモジュール2を平坦な作業台の表面上に置く。本実施形態では、ディスプレイモジュール2は、ディスプレイパネル20及びバックプレート21を含む。ディスプレイ駆動回路はディスプレイパネル20に統合されている。また、2つの仮置構造部21Aのそれぞれは、円柱突起21ABと円錐台突起21ATの組み合わせで構成される。
【0067】
その後、
図11(B)に示すように、作業者は、メイン基板3の切り欠き35を、ディスプレイモジュール2の仮置構造部21Aに合わせるようにしてディスプレイモジュール2の背面にメイン基板3を仮置きする。本実施形態では、切り欠き35はメイン基板3を貫通する貫通孔として形成されている。また、雄ネジ6Mに対応する雌ネジ31Fは、ブラケット部等を介することなく、メイン基板3を貫通するようにメイン基板3の中央に形成されている。この場合、雌ネジ31F自体が係合部を構成する。メイン基板3は、円柱突起21ABによって接触支持され、円錐台突起21ATとは接触していない。
【0068】
その後、
図11(C)に示すように、作業者は、可撓性配線部材4でディスプレイ駆動回路とメイン基板3とを接続する。メイン基板3は、仮置構造部21Aによって現に位置する平面での並進及び回転が制限されている。そのため、可撓性配線部材4を介してメイン基板3を並進或いは回転させようとする力が加わった場合であっても、メイン基板3はその姿勢を維持できる。また、可撓性配線部材4を介してメイン基板3を−Z方向に浮き上がらせる力が加わった場合であっても、メイン基板3はその姿勢を維持できる。円錐台突起21ATの高さを超えて浮き上がらない限り、メイン基板3は、その力が消失したときに元の位置に戻るためである。
【0069】
その後、
図11(D)に示すように、作業者は、ディスプレイモジュール2の背面側(−Z側)にリアカバー5を取り付ける。リアカバー5の貫通孔5Hは、メイン基板3に形成された雌ネジ31Fと一致するように位置決めされている。
【0070】
その後、
図11(E)に示すように、作業者は、雄ネジ6Mをリアカバー5の貫通孔5Hに挿入し、雄ネジ6Mと雌ネジ31Fとをかみ合わせる。
【0071】
その後、
図11(F)に示すように、作業者は、プラスドライバ等で雄ネジ6Mを回転させ、メイン基板3をリアカバー5の内壁に向けて引き上げる。メイン基板3は、雄ネジ6Mの回転が進行するにつれてリアカバー5の内壁に近づく。
【0072】
その後、
図11(G)に示すように、作業者は、雄ネジ6Mを更に回転させ、メイン基板3をリアカバー5の内壁に接触させて締め付ける。この締め付けによってメイン基板3の確実な接地が実現される。また、この状態においても、メイン基板3の裏面(+Z側面)は、仮置構造部21Aの円錐台突起21ATの高さより低い位置にある。そのため、仮置構造部21Aは、メイン基板3がリアカバー5の内壁に締め付けられるまで、X軸方向及びY軸方向におけるディスプレイモジュール2に関するメイン基板3の移動を制限できる。但し、メイン基板3の裏面(+Z側面)は、メイン基板3がリアカバー5の内壁に締め付けられたときに、円錐台突起21ATの高さより高い位置にあってもよい。
【0073】
このように、ディスプレイ装置100、100Aは、メイン基板3がディスプレイモジュール2ではなくリアカバー5に固定されるようにする。そのため、メイン基板3がディスプレイモジュール2に不要な力を加えてしまうのを防止できる。
【0074】
例えば、
図11(H)の比較例に示すように、メイン基板3がディスプレイモジュール2Xに固定される場合、メイン基板3はディスプレイモジュール2Xに不要な力を加えてしまう場合がある。具体的には、
図11(H)のディスプレイモジュール2Xは、ディスプレイパネル20及びバックプレート21Xを有する。バックプレート21Xは、メイン基板3の2つの切り欠き35に対応する2つの弾性固定部材21AXを有する。メイン基板3は、2つの弾性固定部材21AXの間の外幅W5と2つの切り欠き35の間の外幅W6との差を利用してバックプレート21Xに固定される。この例では、外幅W5は外幅W6よりも僅かに大きくなるように構成されている。この構成により、メイン基板3は、バックプレート21Xに固定されたときに、
図11(H)の破線で示すように、ディスプレイパネル20及びバックプレート21Xを撓ませる傾向を有する。この傾向は、最悪公差時に最大となり、ディスプレイパネル20における輝度のばらつき、黒ムラの発生等を引き起こす。
【0075】
これに対し、ディスプレイ装置100、100Aでは、メイン基板3がリアカバー5に固定される。そのため、メイン基板3がディスプレイモジュール2に不要な力を加えることがない。その結果、ディスプレイパネル20に歪み、撓み等が発生するのを防止でき、ディスプレイパネル20における輝度のばらつき、黒ムラの発生等を防止できる。
【0076】
上述の通り、ディスプレイ装置100、100Aは、リアカバー5を貫通してメイン基板3と係合する操作部材6を有する。作業者は、ディスプレイモジュール2とリアカバー5との間にメイン基板3が配置された状態で、リアカバー5の背面側(−Z側)から操作部材6を操作する。そして、操作部材6は、メイン基板3がディスプレイモジュール2ではなくリアカバー5に固定されるようにする。メイン基板3は、ディスプレイモジュール2に対して非固定又は非接触の状態でリアカバー5に固定される。そのため、メイン基板3がディスプレイモジュール2に不要な力を加えることがない。この構成により、ディスプレイ装置100、100Aは、メイン基板3がディスプレイパネル20に与える力を更に低減させることができる。その結果、ディスプレイパネル20に歪み、撓み等が発生するのを防止でき、ディスプレイパネル20における輝度のばらつき、黒ムラの発生等を防止できる。
【0077】
また、ディスプレイ装置100、100Aは、望ましくは、ディスプレイモジュール2の背面に仮置構造部21Aを有する。仮置構造部21Aは、ディスプレイモジュール2に関するメイン基板3の移動を制限する。この構成により、ディスプレイ装置100、100Aは、例えば、ディスプレイ駆動回路22とメイン基板3とを可撓性配線部材4で接続する際にメイン基板3が動いてしまうのを防止できる。そのため、ディスプレイ装置100、100Aは、組立作業性を向上させることができる。メイン基板3が動いてしまうと、可撓性配線部材4によるディスプレイ駆動回路22とメイン基板3との接続作業が困難となり得るためである。また、可撓性配線部材4の長さも短くて済む。メイン基板3が動かず、ディスプレイ駆動回路22とメイン基板3との間の距離が変化しないためである。ディスプレイモジュール2の背面にメイン基板3を仮置きせずに、例えば、ディスプレイモジュール2から離れた位置にメイン基板3を置いた状態で接続作業を行うには、比較的長い可撓性配線部材4が必要となる。また、その長い可撓性配線部材4を内部空間に収容するには、その長い可撓性配線部材4が適切に折り畳まれる必要があり、且つ、比較的大きな収容スペースが必要となる。ディスプレイ装置100、100Aは、これらの必要性を排除できる。
【0078】
操作部材6は、望ましくは、リアカバー5を貫通して延びるインタフェース部30の延在方向と同じ方向に延びるように構成される。すなわち、操作部材6によるメイン基板3の移動方向がインタフェース部30の延在方向と同じになるように構成される。この構成により、リアカバー5の貫通孔5Tの大きさは最小限に抑えられる。操作部材6がメイン基板3をリアカバー5に引き付ける際に、インタフェース部30を貫通させるのに必要な貫通孔5Tの大きさが変化しないためである。但し、本発明はこの構成に限定されない。操作部材6によるメイン基板3の移動方向は、インタフェース部30の延在方向とは異なる方向であってもよい。例えば、操作部材6によるメイン基板3の移動方向は、メイン基板3の表面(−Z側面)から斜めに延びる方向であってもよく、メイン基板3の表面(−Z側面)に平行に延びる方向であってもよい。
【0079】
また、操作部材6は、望ましくは、メイン基板3に取り付けられたブラケット部31に形成された雌ネジ31F、又は、メイン基板3に形成された雌ネジ31Fとかみ合う雄ネジ6M(例えばボルト等の締結部材)である。この構成により、メイン基板3はリアカバー5に迅速且つ容易に締め付けられ且つ固定される。但し、本発明はこの構成に限定されない。例えば、操作部材6はナットであってもよい。この場合、メイン基板3には、リアカバー5の貫通孔5Hを貫通して延びる雄ネジが固定的に取り付けられる。また、操作部材6は、作業者がリアカバー5の外側で操作できる部材であれば、メイン基板3に形成され或いは取り付けられた係合部と協働して固定機構を実現可能な他の部材であってもよい。固定機構は、メイン基板3をリアカバー5に近づけて締め付ける機構であり、例えば、ネジ、カム、ギア、レバー、バネ、リンク機構等の種々の機械要素で構成される。
【0080】
また、ディスプレイ装置100、100Aは、望ましくは、リアカバー5の内壁面(+Z側面)に位置決め構造部50を有する。位置決め構造部50は、リアカバー5に関するメイン基板3の移動を制限する。例えば、位置決め構造部50は、操作部材6がメイン基板3をリアカバー5に引き付ける際に、XY平面に平行な面におけるメイン基板3の並進及び回転を制限する。この構成により、位置決め構造部50は、操作部材6がメイン基板3をリアカバー5に引き付ける際にメイン基板3の姿勢が変化してしまうのを防止できる。
【0081】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0082】
例えば、上述の実施形態では、メイン基板3は、1つの雄ネジ6Mによってリアカバー5に締め付けられ且つ固定される。但し、本発明はこの構成に限定されない。例えば、メイン基板3は、2つ以上の雄ネジ6Mによってリアカバー5に締め付けられ且つ固定されてもよい。