(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1バインダ樹脂の含量は、前記感光性樹脂組成物の総重量に対して、3ないし30重量%の範囲であることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、多様な変換を加えることができ、さまざまな実施例を有することができるが、特定の実施例を図面に例示し、詳細な説明によって詳細に説明する。本発明の効果、特徴、及びそれらを達成する方法は、図面と共に、詳細に説明する実施例を参照すれば、明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、多様な形態によって具現されるのである。
【0018】
本明細書において、「含む」または「有する」といった用語は、本明細書上に記載された特徴または構成要素が存在するということを意味するものであり、1以上の他の特徴または構成要素が付加される可能性をあらかじめ排除するものではない。
【0019】
本明細書において、「感光性樹脂組成物」は、低温硬化型感光性樹脂組成物を意味し、前記低温硬化型感光性樹脂組成物は、低温、例えば、100℃以下の温度で、完全に硬化が可能な感光性樹脂組成物を意味する。
【0020】
本明細書において、置換されたC
1−C
20アルキル基、置換されたC
2−C
20C
2−C
20アルケニル基、置換されたC
2−C
20アルキニル基、置換されたC
1−C
20アルコキシ基、置換されたC
3−C
10シクロアルキル基、置換されたC
1−C
10ヘテロシクロアルキル基、置換されたC
3−C
10シクロアルケニル基、置換されたC
1−C
10ヘテロシクロアルケニル基、置換されたC
6−C
30アリール基、置換されたC
6−C
30アリールオキシ基、置換されたC
6−C
30アリールチオ基、及び置換されたC
1−C
30ヘテロアリール基の置換基のうちから選択された少なくとも1つの置換基は、重水素、−F、−Cl、−Br、−I、ヒドロキシル基、シアノ基、エポキシ基、ニトロ基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、C
1−C
6アルキル基、C
2−C
6アルケニル基、C
2−C
6アルキニル基、C
1−C
6アルコキシ基及びC
6−C
2アリール基のうちから選択されてもよい。
【0021】
本明細書において、「
*」及び「
*’」は、隣接原子との結合サイトである。
【0022】
以下では、前記感光性樹脂組成物の各成分について、さらに具体的に説明する。
【0023】
第1バインダ樹脂
本発明の一具現例によれば、前記感光性樹脂組成物は、第1バインダ樹脂を含む。前記第1バインダ樹脂は、アルカリ可溶性バインダ樹脂である。前記感光性樹脂組成物は、向上した光硬化度及び熱硬化度を有するために、特定構造を有する第1バインダ樹脂を含んでもよい。
【0024】
前記「アルカリ可溶性」は、アルカリ水溶液に溶解されるということを意味する。
前記第1バインダ樹脂は、熱架橋型であり、エチレン系不飽和基を含んでおり、UV(ultraviolet;紫外線)に対して反応性を有することができる。
【0025】
前記第1バインダ樹脂は、下記化学式1で表示される:
【化1】
【0026】
前記化学式1で、
R
1ないしR
4、及びR
11ないしR
13は、互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC
1−C
20アルキル基、置換もしくは非置換のC
2−C
20アルケニル基、置換もしくは非置換のC
2−C
20アルキニル基、置換もしくは非置換のC
1−C
20アルコキシ基、置換もしくは非置換のC
3−C
10シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC
1−C
10ヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC
3−C
10シクロアルケニル基、置換もしくは非置換のC
1−C
10ヘテロシクロアルケニル基、置換もしくは非置換のC
6−C
30アリール基、置換もしくは非置換のC
6−C
30アリールオキシ基、置換もしくは非置換のC
6−C
30アリールチオ基、及び置換もしくは非置換のC
1−C
30ヘテロアリール基のうちから選択されてもよい。
【0027】
例えば、前記R
1ないしR
4、及びR
11ないしR
13は、互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC
1−C
20アルキル基でありうるが、それらに限定されるものではない。
【0028】
R
5ないしR
7は、互いに独立して、エチレン系不飽和基を含む基であり、前記エチレン系不飽和基を含む基は、フタレート基を含まない。
【0029】
前記エチレン系不飽和基を含む基のうち、エチレン系不飽和基は、アクリロイル基、アクリレート基、ビニル基、スチリル基、アリル基、またはそれらの任意の組み合わせでありうる。
【0030】
一具現例において、R
5ないしR
7は、互いに独立して、アクリレート基を含む基(原子団)でありうるが、それに限定されるものではない。
【0031】
例えば、R
5ないしR
7は、互いに独立して、
*−R
aOC(=O)CH=CH
2で表示される基であり、R
aは、置換もしくは非置換のC1−C20アルキレン基でありうる。
【0032】
前記の置換されたC
1−C
20アルキレン基のうち、少なくとも1つの置換基は、重水素、−F、−Cl、−Br、−I、ヒドロキシル基、シアノ基、エポキシ基、ニトロ基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、C
1−C
6アルキル基、C
2−C
6アルケニル基、C
2−C
6アルキニル基、C
1−C
6アルコキシ基及びC
6−C
20アリール基のうちから選択することができる。この一般式において、「
*」は、隣接原子との結合サイトである。
【0033】
前記エチレン系不飽和基を含む基は、フタレート基を含まないことにより、優れた経時安定性を有することができる。
【0034】
a1、及びa11ないしa13は、互いに独立して、1ないし5の整数のうちから選択されてもよく、a2は、0ないし5の整数のうちから選択されてもよく、b11ないしb13は、互いに独立して、0ないし3の整数のうちから選択されてもよい。
【0035】
前記a1は、前記化学式1における、
*−C(R
1)(R
2)−
*’の個数を示したものであり、a1が2以上である場合、2以上の
*−C(R
1)(R
2)−
*’は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0036】
前記a11ないし13は、互いに独立して、前記化学式1で、
*−CH
2−
*’の個数を示したものである。
【0037】
前記a2は、前記化学式1における、
*−C(R
3)(R
4)−
*’の個数を示したものであり、a2が2以上である場合、2以上の
*−C(R
3)(R
4)−
*’は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0038】
前記b11は、前記化学式1における、R
11の個数を示したものであり、b11が2以上である場合、2以上のR
11は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0039】
前記b12は、前記化学式1における、R
12の個数を示したものであり、b12が2以上である場合、2以上のR
12は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0040】
前記b13は、前記化学式1における、R
13の個数を示したものであり、b13が2以上である場合、2以上のR
13は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0041】
k1、k2、k3、m及びnは、当該反復単位のモル比である。
【0042】
k1とk2との和は、1ないし20の整数のうちから選択されてもよい。例えば、k1とk2との和は、1ないし10の整数のうちから選択されてもよい。
【0043】
k3は、1ないし10の整数のうちから選択されてもよい。例えば、k3は、1ないし5の整数のうちから選択されてもよい。
【0044】
m及びnは、互いに独立して、1ないし10の整数のうちから選択されてもよい。例えば、m及びnは、互いに独立して、1ないし5の整数のうちから選択されてもよい。
【0045】
前記m:nのモル比は、10:90ないし50:50でありうる。例えば、m:nのモル比は、20:80ないし40:60でありうる。
【0046】
前記m:nのモル比を満足する場合、前記第1バインダ樹脂を含む感光性樹脂組成物は、現像後、パターンの直進性の面において、有利な効果を示すことができる。
【0047】
一具現例において、前記第1バインダ樹脂は、下記化学式1Aで表示されてもよい:
【化1A】
【0048】
前記化学式1で表示される第1バインダ樹脂は、ビスフェノールエポキシ樹脂に、i)アルカリ溶解性のための無水フタル酸系化合物と、ii)光硬化度を高めるためのエチレン系不飽和基と、を部分的に導入して製造されうる。
【0049】
前記化学式1で表示される第1バインダ樹脂は、ビスフェノールエポキシ樹脂と、エチレン系不飽和基を含む基と、を含むことにより、低温での熱硬化が可能である。
【0050】
また、前記化学式1で表示される第1バインダ樹脂は、水酸基(−OH)を有する反復単位を含むことにより、接着力(例えば、コーティングされる基板との接着力)にすぐれるものでありうる。
【0051】
他の具現例において、前記化学式1で表示される第1バインダ樹脂は、ゲル濾過クロマトグラフィ(架橋ポリスチレンゲルカラム、THF溶媒、40℃)で測定されるとき、1,000g/molないし50,000g/molの重量平均分子量(ポリスチレン換算)を有することができる。例えば、前記第1バインダ樹脂は、1,000g/molないし25,000g/molの重量平均分子量を有することができる。他の例として、前記第1バインダ樹脂は、1,000g/molないし12,000g/molの重量平均分子量を有することができる。
【0052】
前記化学式1で表示される第1バインダ樹脂の重量平均分子量が前記範囲以内である場合、前記感光性樹脂組成物が、容易にフレキシブル基板上でパターン形成され、アルカリ現像液に対する優れた現像能を有することができる。
【0053】
具体的には、前記第1バインダ樹脂の重量平均分子量が1,000g/mol未満である場合、現像時、パターン剥離が発生しうるのであり、50,000g/molを超える場合、現像速度が遅く、残膜(充分に現像されずに残存する膜部分)が残ることとなりうるという問題点がある。
【0054】
一具現例において、前記化学式1で表示される第1バインダ樹脂の酸価は、50ないし120mgKOH/gの範囲、例えば、70ないし100mgKOH/gの範囲でもある。
【0055】
前記第1バインダ樹脂の酸価が前記範囲を満足する場合、パターン形成時、アルカリ現像液に対する現像能にすぐれ、残膜率低減と直進性とにすぐれ、剥離現象も発生しないという利点がある。
【0056】
前記第1バインダ樹脂の酸価が50mgKOH/g未満である場合、現像特性が低下して残膜が残り、酸価が120mgKOH/gを超過すれば、現像速度が過度に速く、パターンの直進性が落ちたり、剥離が発生したりするといった問題点がある。
【0057】
他の具現例において、前記第1バインダ樹脂の含量は、前記感光性樹脂組成物の総重量に対して、3ないし30重量%の範囲でありうる。
【0058】
例えば、前記第1バインダ樹脂の含量は、前記感光性樹脂組成物の総重量に対して、3ないし10重量%の範囲でありうる。
【0059】
前記第1バインダ樹脂の含量が前記範囲を満足する場合、前記感光性樹脂組成物から形成されたパターンは、優れた接着力を有し、直進性にすぐれ、微細回路基板形成に、容易に使用されうる。
【0060】
前記第1バインダ樹脂の含量が3重量%未満である場合、パターンの接着力が弱くなり、光硬化度が低下するといった問題がありうるのであり、含量が30重量%を超える場合、現像時間の増加によるパターンの直進性が低下するという問題点が発生しうる。
【0061】
第2バインダ樹脂
前記感光性樹脂組成物は、第2バインダ樹脂を含んでもよい。例えば、前記感光性樹脂組成物は、前記第1バインダ樹脂とともにに、この第2バインダ樹脂をさらに含んでもよい。
【0062】
前記感光性樹脂組成物は、優れた透明度、及び低温硬化性の向上のために、特定構造を有する第2バインダ樹脂をさらに含んでもよい。
【0063】
例えば、前記第2バインダ樹脂は、エポキシ樹脂を含んでもよい。
【0064】
他の例として、前記第2バインダ樹脂は、シロキサン含有エポキシ樹脂を含んでもよい。
【0065】
さらに他の例として、前記第2バインダ樹脂は、シロキサン含有エポキシ樹脂及びシロキサン非含有エポキシ樹脂の混合物でもある。
【0066】
前記第2バインダ樹脂は、熱による反応性を有する熱架橋型バインダ樹脂でありうる。
【0067】
例えば、前記第2バインダ樹脂は、下記化学式2で表示されてもよい:
【化2】
【0068】
前記化学式2において、
R
21ないしR
24は互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC
1−C
20アルキル基、置換もしくは非置換のC
2−C
20アルケニル基、置換もしくは非置換のC
2−C
20アルキニル基、及び置換もしくは非置換のC
1−C
20アルコキシ基のうちから選択され、
R
25及びR
26は、互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC
1−C
20アルキル基、置換もしくは非置換のC
2−C
20アルケニル基、置換もしくは非置換のC
2−C
20アルキニル基、置換もしくは非置換のC
1−C
20アルコキシ基、置換もしくは非置換のC
6−C
30アリール基、置換もしくは非置換のC
6−C
30アリールオキシ基、置換もしくは非置換のC
6−C
30アリールチオ基、及び置換もしくは非置換のC
1−C
30ヘテロアリール基のうちから選択され、
R
27は、水素、重水素、置換もしくは非置換のC
1−C
20アルキル基、置換もしくは非置換のC
2−C
20アルケニル基、置換もしくは非置換のC
2−C
20アルキニル基、置換もしくは非置換のC
1−C
20アルコキシ基、置換もしくは非置換のC
6−C
30アリール基、置換もしくは非置換のC
6−C
30アリールオキシ基、置換もしくは非置換のC
6−C
30アリールチオ基、置換もしくは非置換のC
1−C
30ヘテロアリール基、及び下記化学式3で表示される基のうちから選択されるというのであってもよい。
【0069】
前記化学式2において、b1及びb2は、互いに独立して、0ないし4の整数のうちから選択されてもよい。
【0070】
前記b1は、化学式2において、R
21の個数を示したものであり、b1が2以上である場合、2以上のR
21は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0071】
前記b2は、化学式2において、R
22の個数を示したものであり、b2が2以上である場合、2以上のR
22は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0072】
前記化学式2において、p及びqは、当該反復単位のモル比であり、pは、5ないし300の整数のうちから選択されてもよく、qは、0ないし20の整数のうちから選択されてもよい。
【0073】
例えば、p及びqは、当該反復単位のモル比であり、pは、5ないし300の整数のうちから選択されてもよく、qは、1ないし20の整数のうちから選択されてもよい。
【0074】
他の例として、前記化学式2で、pは、10ないし15の整数であり、qは、3ないし10の整数のうちから選択されてもよい。
【0075】
前記化学式2において、pが5未満であるならば、パターン積層時、他の層との反応が良好に行われ、pが300を超える場合、現像性が低下しうる。また、qが20を超えれば、パターン現像性が低下しうる。
【0076】
前記化学式2で、qは、シロキサン含有反復単位のモル比を示したものであり、qが1以上である場合、前記感光性樹脂組成物の硬化性を向上させることができる。
【0077】
前記化学式2において、R
27は、下記化学式3で表示される基でありうる:
【化3】
【0078】
前記化学式3において、
R
31及びR
32は、互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC
1−C
20アルキル基、置換もしくは非置換のC
2−C
20アルケニル基、置換もしくは非置換のC
2−C
20アルキニル基、及び置換もしくは非置換のC
1−C
20アルコキシ基のうちから選択され、
R
33、R
34及びR’は、互いに独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC
1−C
20アルキル基、置換もしくは非置換のC
2−C
20アルケニル基、置換もしくは非置換のC
2−C
20アルキニル基、置換もしくは非置換のC
1−C
20アルコキシ基、置換もしくは非置換のC
6−C
30アリール基、置換もしくは非置換のC
6−C
30アリールオキシ基、置換もしくは非置換のC
6−C
30アリールチオ基、及び置換もしくは非置換のC
1−C
30ヘテロアリール基のうちから選択されてもよい。
【0079】
前記化学式3で、c1及びc2は、互いに独立して、0ないし4の整数のうちから選択されてもよい。
【0080】
前記c1は、前記化学式3で、R
31の個数を示したものであり、c1が2以上である場合、2以上のR
31は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0081】
前記c2は、前記化学式3で、R
32の個数を示したものであり、c2が2以上である場合、2以上のR
32は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0082】
一具現例によれば、前記化学式3で、R’は、少なくとも1つのエポキシ基を有することができる。
【0083】
他の具現例によれば、前記化学式2において、
R
23ないしR
26は、互いに独立して、置換もしくは非置換のC
1−C
20アルキル基であり、
R
27は、前記化学式3で表示される基であり、
前記化学式3において、
R’は、エポキシ基で置換されたC
1−C
20アルキル基、またはエポキシ基で置換されたC
6−C
30アリール基であり、
pは、10ないし300の整数のうちから選択され、
qは、3ないし20の整数のうちから選択されるのでありうる。但し、それらに限定されるものではない。
【0084】
さらに他の具現例によれば、前記第2バインダ樹脂は、下記化学式2−1で表示されてもよい:
【化2-1】
【0085】
前記化学式2−1で、R
21ないしR
26、b1、b2、p、q、R
31ないしR
34、c1及びc2は、前記化学式2に関連して、本明細書中に先に記載されたところを参照するものとする。
【0086】
前記化学式2−1で、qは、1ないし20の整数のうちから選択されてもよい。
【0087】
前記化学式2−1で、R
25は、メチル基であり、R
26は、メトキシ基でありうる。
【0088】
前記化学式2−1で、R
23、R
24、R
33及びR
34は、互いに独立して、C
1−C
10アルキル基のうちから選択され、R
25は、メチル基であり、R
26は、メトキシ基であり、pは、10ないし15の整数のうちから選択され、qは、3ないし10の整数のうちから選択されてもよい。
【0089】
例えば、前記第2バインダ樹脂として、下記化学式2Aで表示されるシロキサン含有エポキシ樹脂、及び下記化学式2Bで表示されるシロキサン非含有エポキシ樹脂のうちから少なくとも一つが選択されうる:
【化2A】
【0091】
前記第2バインダ樹脂は、一般的なエポキシ樹脂をさらに含んでもよい。このようなエポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のうちから選択されてもよい。
【0092】
前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えば、商品名エピコート1001,1002,1003,1004,1007,1009,1010,828などの油化シェルエポキシ(株)の製品が商業的に入手可能である。前記ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、例えば、商品名エピコート807,834などの油化シェルエポキシ(株)の製品が商業的に入手可能である。前記フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、商品名エピコート152,154,157H65などの油化シェルエポキシ(株)の製品、並びに、商品名EPPN−201、EPPN−501N、EPPN−501H、EPPN−502N、EPPN−501HY、EOCN−1020などの日本化薬(株)の製品が、商業的に入手可能である。前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、商品名EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−140S、EOCN−1020、EOCN−1025、EOCN−1027などの日本化薬(株)の製品、並びに、商品名エピコート180S75などの油化シェルエポキシ(株)の製品が商業的に入手可能である。
【0093】
その他、使用可能なエポキシ樹脂としては、例えば、商品名NC−3000、NC−3000Hなどの日本化薬(株)の製品、商品名CY175、CY177、CY179などのBASF(株)製品、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0094】
前記第2バインダ樹脂の含量は、前記感光性樹脂組成物の総重量に対して、1ないし10重量%の範囲でありうる。
【0095】
前記第2バインダ樹脂の含量が前記範囲を満足する場合、アルカリ現像液に対する現像性が向上し、優れた低温硬化度によって、基板に対する接着力を向上させることができる。
【0096】
光架橋剤
前記感光性樹脂組成物は、光架橋剤を含んでもよい。
【0097】
前記光架橋剤は、エチレン系不飽和基を有する架橋性モノマー、及びウレタンモノマーのうちから選択された少なくとも1つのモノマーを含んでもよい。
【0098】
前記エチレン系不飽和基を有する架橋性モノマーは、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタエリトリトールジアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート誘導体、トリメチルプロパントリアクリレート、ジペンタエリトリトールポリアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、及びこれらにそれぞれ対応するメタクリレート化合物よりなる群から選択されてもよい。また、エチレン系不飽和基を有する架橋性モノマーは、二重結合がランダムに結合されたデンドリマーを含んでもよい。
【0099】
前記ウレタンモノマーは、ウレタン構造を有する一般的な架橋型モノマーを使用しうるが、その種類は、限定されるものではない。
【0100】
一具現例によれば、前記光架橋剤の含量は、前記感光性樹脂組成物の総重量に対して、3ないし15重量%範囲でありうる。
【0101】
例えば、前記光架橋剤の含量は、前記感光性樹脂組成物の総重量に対して、3ないし10重量%範囲でもある。
【0102】
前記光架橋剤の含量が前記範囲を満足する場合、優れた光硬化度、アルカリ現像液に対する現像性、及びパターン形成時の直進性を有する感光性樹脂組成物を提供することができる。
【0103】
前記光架橋剤の含量が3重量%未満である場合、硬化度が下がり、耐化学性が低下するような問題点があり、前記光架橋剤の含量が15重量%を超える場合、膜が硬くなることにより、接着力に劣るという問題点がある。
【0104】
他の具現例によれば、前記光架橋剤は、エチレン系不飽和基を有する架橋性モノマー、及び/またはウレタンモノマー(これらの少なくとも一方)を含むとともに、チオール系モノマーをさらに含んでもよい。
【0105】
前記光架橋剤が前記チオール系モノマーを含む場合、前記チオール系モノマーの含量は、前記感光性樹脂組成物の総重量に対して、0.01ないし1重量%の範囲でありうるが、これに限定されるものではない。
【0106】
前記チオール系モノマーとしては、三価以上のポリチオールが使用されうるのであり、例えば、トリス[2−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート(TEMPIC)及び[ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)]のうちから選択されてもよい。
【0107】
前記光架橋剤が前記チオール系モノマーをさらに含むことにより、架橋性能をさらに向上させることができる。また、前記チオール系モノマーは、低温で迅速に硬化し、強い接着力を付与し、溶剤に対する耐化学性を向上させることができる。
【0108】
一具現例において、前記感光性樹脂組成物は、前期の第1バインダ樹脂及び光架橋剤を含んでもよい。その場合、前記光架橋剤と前記第1バインダ樹脂との重量比は、1:0.6ないし1:2.5の範囲でありうる。
【0109】
例えば、前記光架橋剤と前記第1バインダ樹脂との重量比は、1:0.6ないし1:2.0の範囲でありうる。
【0110】
前記第1バインダ樹脂と前記光架橋剤との重量比が前記範囲を満足する場合、アルカリ現像液を利用した現像時、パターンと基板との接着力を向上させ、パターン積層時の変色を防止することができる。
【0111】
前記アルカリ可溶性バインダ樹脂の配合比率が0.6倍未満である場合、現像時にパターン剥離が発生しうるのであり、配合の比率が2.5倍を超えれば、架橋性が低下し、パターン積層時の変色を引き起こしうる。
【0112】
熱硬化剤
前記感光性樹脂組成物は、熱硬化剤を含んでもよい。前記熱硬化剤は常温で安定で、例えば、80℃ないし100℃の温度で作用するものでありうるが、その種類が限定されるものではない。
【0113】
前記熱硬化剤は、脂肪族アミン系化合物、脂環族(脂環式)アミン系化合物、芳香族アミン系化合物、カルボン酸系化合物、酸無水物系化合物、ポリフェノール系化合物及びイミダゾール系化合物のうちから選択された少なくとも一つを含んでもよい。
【0114】
熱硬化剤として商業的に入手可能な芳香族アミン系化合物は、例えば、イソホロンジアミン(BASF(株)、商品名:Baxxodur(登録商標) EC 201)や、「アミキュア」(商品名)PN−23,MY−24,PN−40J,PN−31,AH−300,MY−24(味の素ファインテクノ(株)のアミンアダクト系硬化剤、但し「AH−300」は複合系)でありうる。
【0115】
前記熱硬化剤の含量は、前記感光性樹脂組成物の総重量に対して、0.1ないし5重量%の範囲でありうるのであり、前記範囲を満足する場合、低温硬化度にすぐれ、保存安定性にすぐれるのでありうる。
【0116】
前記熱硬化剤の含量が0.1重量%未満である場合、熱硬化性が低下し、積層時の混色の問題点がありうるのであり、前記熱硬化剤の含量が5重量%を超える場合、経時安定性が低下するという問題点がありうる。
【0117】
光重合開始剤
前記感光性樹脂組成物は、光重合開始剤を含んでもよい。前記光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線などの波長によって、架橋性モノマーの重合を開始させる作用を行う。
【0118】
前記光重合開始剤は、オキシム系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾイン系化合物、アセトフェノン系化合物、キサントン系化合物及びイミダゾール系化合物のうちから選択された少なくとも一つを含んでもよいが、それらに限定されるものではない。
【0119】
前記光重合開始剤は、具体的には、BASF(株)製造のIRGACURE OXE−01,OXE−02(オキシムエステル系光重合剤)などのオキシム系化合物;2,4−ビストリクロロメチル−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2−p−メトキシスチリル−4,6−ビストリクロロメチル−s−トリアジン、2,4−卜リクロロメチル−6−トリアジン、2,4−卜リクロロメチル−4−メチルナフチル−6−トリアジンなどのトリアジン系化合物;ベンゾフェノン、p−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾイン系化合物;2,2−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジブトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルトリクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン系化合物;キサントン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソブチルチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンなどのキサントン系化合物;または2,2−ビス−2−クロロフェニル−4,5,4,5−テトラフェニル−2−1,2−ビスイミダゾール、2,2−ビス(2,4,6−トリシアノフェニル)−4,4,5,5−テトラフェニル−1,2−ビスイミダゾールなどのイミダゾール系化合物などを使用することができる。
【0120】
前記光重合開始剤の含量は、前記感光性樹脂組成物総重量に対して、0.3ないし5重量%、例えば、0.5ないし2重量%の範囲でありうる。
【0121】
前記光重合開始剤の含量が前記範囲を満足する場合、硬化性、保存安定性及びパターン直進性にすぐれ、パターン形成が容易な感光性樹脂組成物を提供することができる。
【0122】
前記光重合開始剤の含量が0.3重量%未満である場合、前記組成物の硬化度が低下し、パターン具現が困難になり、パターン直進性も劣るものになるという問題点があり得、前記光開始剤の含量が5重量%を超える場合、前記組成物へのパターン形成時、保存安定性及び解像度が低くなり、パターン以外の部分に残滓が発生するという問題点があるうる。
【0123】
顔料
前記感光性樹脂組成物は、顔料を含んでもよい。
【0124】
前記顔料は、本発明が属する技術分野での有機顔料または無機顔料をいずれも使用することができる。このような有機顔料の具体的な例としては、赤色顔料として、C.I.#177,#202,#209,#242,#254,#255;イエロー顔料として、C.I.#150,#138,#128;オレンジ顔料として、C.I.#43;緑色顔料としてC.I.#7,#36,#58;青色顔料として、C.I.#15,#15:3,#15:6;バイオレット顔料として、C.I.#23;ブラック顔料として、C.I.#1,#7;などがある。また、無機顔料としては、酸化チタン、チタンブラック、カーボンブラックなどを挙げることができる。これらの顔料は、色合わせ(color matching)を行うために、1種または2種以上を混合して使用することができる。
【0125】
前記顔料の含量は、感光性樹脂組成物の総重量に対して、3ないし15重量%で含んでもよい。
【0126】
このような前記顔料は、本発明による組成物に直接投入されるか、あるいは分散剤または溶媒などを含む顔料分散液の形態で投入されてもよい。
【0127】
ここで、前記顔料分散液に含まれる分散剤としては、非イオン性分散剤、アニオン性分散剤またはカチオン性分散剤が選択的に使用されうるのであり、具体的な例としては、ポリアルキレングリコール及びそのエステル;ポリオキシアルキレン;多価アルコールエステル・アルキレンオキシド付加物;アルコール・アルキレンオキシド付加物;アルキルアミンなどが、単独でまたは適切に組み合わせて使用されうる。そして、前記分散剤は、顔料100重量部に対して、1ないし5重量部で含まれてもよい。
【0128】
また、前記顔料分散液組成物に含まれる溶媒としては、エチレングリコールアセテート、エチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチルラクテート、ポリエチレングリコール(例えば分子量800以下のもの)、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルなどが使用されうる。ここで、前記溶媒の含量は、顔料または染料分散液の固形分含量が5ないし30重量%になるように調節された方が好ましい。
【0129】
一方、前記顔料の粒径は、分散安定性及びピクセル解像性などを考慮して決定され、具体的には、数平均粒径が30ないし200nmの範囲でありうる。
【0130】
このような前記顔料の含量は、感光性樹脂組成物の総重量に対して、3ないし15重量%の範囲でありうる。前記顔料の使用による色再現率、パターンの形状安定性、密着性、硬化特性などを考慮し、前記顔料の含量を適宜に増減することができる。
【0131】
溶媒
前記感光性樹脂組成物は、溶解性またはコーティング性のために溶媒を含んでもよい。
【0132】
前記溶媒は、例えば、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エトキシプロピオン酸エチル、ブチルアセト酸、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、3−メトキシプロピオン酸エチル、及び3−エトキシプロピオン酸メチルのうちから選択された少なくとも一つでありうる。
【0133】
他の例として、前記溶媒は、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エトキシプロピオン酸エチル及びブチルアセト酸のうちから選択された少なくとも一つでありうる。
【0134】
前記溶媒は、粘度、または組成物内の総固形分含量によって、その含量を適宜に増減することができ、本発明の感光性組成物に使用された固形分を除いた残りの残量に相当する量で含まれてもよい。
【0135】
染料及び添加剤
前記感光性樹脂組成物は、染料を含んでもよい。
【0136】
前記感光性樹脂組成物は、添加剤を含んでもよい。
【0137】
一具現例によれば、前記感光性樹脂組成物は、前記感光性樹脂組成物の総重量に対して、0.01ないし15重量%の染料、及び0.01ないし1重量%の添加剤のうち、少なくとも一方をさらに含んでもよい。
【0138】
本発明の感光性樹脂組成物は、前述の顔料以外に、染料をさらに含んでもよい。前記染料は、特定波長領域において、固有の分光特性を有するものであり、特定の色相を示す顔料との相乗作用によって、組成物によって形成された膜の透光度及び投光幅が調節されて色純度が向上するだけではなく、輝度及びコントラストなどが向上する。かような染料は、フッ素系化合物、アゾ系化合物、アントラキノン系化合物、インディゴ(Indigo)系化合物、キサンチン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、フタロシアン系化合物、イミン系化合物及びキノフタロン(Quinophthalone)系化合物のうち少なくとも一つが選択されてもよい。
【0139】
また、前記染料は、添加による分光特性上昇効果を発現させるために、前記感光性樹脂組成物の総重量に対して、0.01ないし15重量%含まれてもよく、一例として0.01ないし5重量%、他の例として0.1ないし3重量%を、含まれてもよい。
【0140】
前記染料は、本発明による組成物に、それ自体が直接投入されてもよく、分散剤または溶媒などを含む染料分散液の形態で投入されてもよい。
【0141】
前記染料分散液に含まれる分散剤としては、前記顔料分散液に含まれる分散剤についての上記の説明を参照するものとする。
【0142】
前記分散剤は、染料100重量部に対して、1ないし5重量部で含まれてもよい。
【0143】
また、前記染料分散液に含まれる溶媒としては、前記顔料分散液に含まれる溶媒ついての上記の説明を参照するものとする。
【0144】
前記溶媒の含量は、染料分散液の固形分含量が5ないし30重量%になるように調節されてもよい。
【0145】
一方、前記染料の粒径は、分散安定性及びピクセル解像性などを考慮して決定されうるのであり、具体的には、数平均粒径が30ないし200nmでありうる。
【0146】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、顔料との分散性の向上のための分散剤、またはコーティング性の向上のための添加剤を含んでもよく、例えば、ポリエステル系分散剤、ポリウレタン系分散剤、ポリアクリル系分散剤や、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤を含有することができる。
【0147】
他の具現例によれば、硬化効率及び硬化速度を向上させるために、添加剤として、熱潜在性硬化剤、光硬化性重合開始剤などの、一種の触媒等を使用することができ、具体的には、ジシアンジアミド、ジヒドリド、イミダゾール、ウレア、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、オクチル酸、白金・スズなどの金属化合物などを含んでもよい。
【0148】
前記添加剤は、感光性樹脂組成物全体の総重量に対して、0.01重量%ないし1重量%で使用することができ、さらに具体的には、0.1ないし1重量%で使用することができる。
【0149】
前述の前記感光性樹脂組成物の構成成分、または構成成分含量の任意の組み合わせが許容されうる。
【0150】
例えば、前記感光性樹脂組成物は、前記の第1バインダ樹脂、第2バインダ樹脂及び熱硬化剤を含んでもよい。
【0151】
他の例として、前記感光性樹脂組成物は、前記の第1バインダ樹脂、光架橋剤、熱硬化剤、光開始剤、顔料及び溶媒を含んでもよい。
【0152】
さらに他の例として、前記感光性樹脂組成物は、前記の第1バインダ樹脂、第2バインダ樹脂、光架橋剤、熱硬化剤、光開始剤、顔料及び溶媒を含んでもよい。
【0153】
一具現例によれば、前記感光性樹脂組成物は、第1バインダ樹脂、光架橋剤、熱硬化剤、光開始剤、顔料及び溶媒を含んでおり、前記感光性樹脂組成物100重量%を基準に、前記第1バインダ樹脂の含量は、3ないし30重量%の範囲であり得、前記光架橋剤の含量は、3ないし15重量%の範囲でありうる。
【0154】
他の具現例によれば、前記感光性樹脂組成物は、第1バインダ樹脂、第2バインダ樹脂、光架橋剤、熱硬化剤、光開始剤、顔料及び溶媒を含んでおり、前記感光性樹脂組成物100重量%を基準に、前記第1バインダ樹脂の含量は、3ないし30重量%の範囲であり得、前記第2バインダ樹脂の含量は、1ないし10重量%の範囲であり、前記光架橋剤の含量は、3ないし15重量%の範囲でありうる。
【0155】
例えば、感光性樹脂組成物100重量%を基準に、第1バインダ樹脂3ないし30重量%、光架橋剤3ないし15重量%、熱硬化剤0.1ないし5重量%、光開始剤0.3ないし5重量%、顔料3ないし15重量%、染料0.01ないし15重量%、添加剤0.01ないし1重量%、及び残部の溶媒を含んでもよい。
【0156】
さらに他の例として、感光性樹脂組成物100重量%を基準に、第1バインダ樹脂2ないし20重量%、第2バインダ樹脂1ないし10重量%、光架橋剤3ないし15重量%、熱硬化剤0.1ないし5重量%、光開始剤0.3ないし5重量%、顔料3ないし15重量%、染料0.01ないし15重量%、添加剤0.01ないし1重量%、及び残部の溶媒を含んでもよい。
【0157】
前記感光性樹脂組成物は、前述の成分の総重量が100重量%になるように、第1バインダ樹脂、第2バインダ樹脂、光架橋剤、熱硬化剤、光開始剤、顔料、染料、添加剤及び溶媒のうちから選択された任意の組み合わせを混合することによって製造されうる。また、前記感光性樹脂組成物は、その性能に影響を及ぼさない範囲内で、その他任意の成分を含んでもよい。所望しない反応や沈殿物が発生するといった特別な問題がない限り、任意の順序で前記成分を混合し、任意の2つの成分をあらかじめ混合した後、残りの成分を混合するか、あるいは前記成分を同時に混合することができる。
【0158】
感光性樹脂組成物を硬化させて製造された膜、及び該膜を含む有機発光表示装置
前述の感光性樹脂組成物を硬化させて膜を製造することができる。
【0159】
前記膜は、反射防止膜として作用するカラーフィルタの役割を行う。前記膜を有機発光表示装置に含めることにより、外光による反射防止及びOLED(有機EL)発光の効率を向上させることができる。
【0160】
前記膜は、本発明による前記感光性樹脂組成物を使用することを除き、当該技術分野における一般的な方法によって製造されうる。
【0161】
例えば、前記膜は、基板上に、前述の感光性樹脂組成物を、スピン塗布またはスリット塗布などの方法で、1ないし5μm厚に塗布し、そこに所定パターンが形成されるように光を照射した後、それを現像液で処理し、80℃ないし100℃の温度で、30秒ないし5分間のベーク工程を行い、必要なパターンを形成させる方法によって製造される。
【0162】
一具現例において、前記感光性樹脂組成物を低温で硬化させて膜を製造することが可能である。例えば、0℃ないし100℃の温度で硬化させることが可能である。他の例として、40℃ないし100℃の温度で硬化させることが可能である。さらに他の例として、70℃ないし100℃の温度で硬化させることが可能である。
【0163】
有機発光表示装置(OLED;有機EL)は、基板、第1電極、前記第1電極に対向する第2電極、前記第1電極と前記第2電極との間に介在された発光層を含む有機層、及び前記感光性樹脂組成物を硬化させて製造された膜を含んでもよい。
【0164】
本発明の実施形態の有機発光表示装置は、60%以上の高い透過度を示しうる。これは、前記感光性樹脂組成物を硬化させて製造された膜を用いた結果、この膜の代わりに偏光フィルムを使用した有機発光表示装置に比べ、スペクトル線の半値幅が細くなることにより、色再現率が高くなるからである。
【0165】
前記有機発光表示装置は、偏光フィルムをさらに含んでもよい。
【0166】
例えば、前記感光性樹脂組成物を硬化させて製造された膜は、単一膜だけではなく、二重膜及び三重膜を含む多重膜を含んでもよい。
【0167】
他の例として、前記有機発光表示装置は、前記感光性樹脂組成物を硬化させて製造された第1膜と、前記感光性樹脂組成物を硬化させて製造された第2膜との積層構造を含んでもよい。
【0168】
一具現例において、前記感光性樹脂組成物を硬化させて製造された膜は、前記発光層から放出される光の少なくとも1つの進行方向上に位置することができる。
【0169】
前記基板は、複数の副画素領域を具備し、前記感光性樹脂組成物を硬化させて製造された膜は、前記複数の副画素領域にそれぞれ対応する複数の反射防止領域を具備することができる。
【0170】
また、前記複数の反射防止領域間に遮光領域が形成されてもよい。
【0171】
他の具現例において、前記複数の反射防止領域は、第1色光の反射を防止する第1反射防止領域、第2色光の反射を防止する第2反射防止領域、及び第3色光の反射を防止する第3反射防止領域を含み、前記第1色光、前記第2色光及び前記第3色光は、互いに異なってもよい。
【0172】
例えば、前記第1色光は赤色光であり、前記第2色光は緑色光であり、前記第3色光は青色光というのでありうる。
【0173】
さらに他の具現例において、前記有機発光表示装置において、前記第1電極がアノードであり、前記第2電極がカソードであり、前記有機層は、前記第1電極と前記発光層との間に介在された正孔輸送領域、及び前記発光層と前記第2電極との間に介在された電子輸送領域をさらに含み、前記正孔輸送領域は、正孔注入層、正孔輸送層、発光補助層、電子阻止層、またはそれらの任意の組み合わせ(any combination thereof)を含み、前記電子輸送領域は、バッファ層、正孔阻止層、電子調節層、電子輸送層、電子注入層、またはそれらの任意の組み合わせを含むというものであってもよい。
【0174】
以下、本発明の理解の一助とするために、望ましい実施例を提示する。しかし、下記実施例は、本発明を例示するためのものであるに過ぎず、本発明は、それらだけに限定されるものではない。
【0175】
下記実施例において、別途の言及がない限り、百分率及び混合比は、重量を基準にしたものである。
【実施例】
【0176】
実施例1ないし8、比較例1及び2
下記表1の組成及び含量で各成分を混合し、感光性樹脂組成物を製造した。表1において含量は、別途の表示がされない限り重量%を示す。
【0177】
【表1】
【0178】
A−1:化学式1Aで表示される酸変性ビスフェノールエポキシアクリレート樹脂(酸価:固形分基準90(mgKOH/g)、重量平均分子量=15,000ダルトン)
【化1A】
【0179】
A−2:スチレン/メタクリル酸/ヒドロキシエチルメタクリル酸の共重合比が60/20/20であるアルカリ可溶性公重合体(重量平均分子量=30,000ダルトン)
【0180】
AE−1:下記化学式2Aで表示されるシロキサン含有エポキシ樹脂
【化2A】
【0181】
AE−2:下記化学式2Bで表示されるエポキシ樹脂
【化2B】
【0182】
B:ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート(商品名:日本化薬(株)、DPHA)
B−1:トリス[2−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート(商品名:SC有機化学(株)、TEMPIC)
C:イソホロンジアミン(商品名:BASF(株)、Baxxodur(R) EC201)
D:オキシム系開始剤(商品名:BASF(株)、OXE−01)
E−1:緑色顔料(商品名:特殊色料(株)、C.I.G58)
E−2:青色顔料(商品名:Iridos(株)(IRIDOS CO.LTD)、C.I.15:6)
E−3:赤色顔料(商品名:SKC Hass(株)、C.I.254)
F:バイオレット染料(商品名:京仁洋行(株)(Kyung-In Synthetic Corporation)、V221)
G:フッ素系添加剤(界面活性剤・表面改質剤;商品名:DIC(株)、「メガファック」F445)
H:プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート
【0183】
<評価例1(単一膜サンプルの評価)>
実施例1ないし8、比較例1及び2の感光性樹脂組成物を、それぞれガラス基板(10cmx10cm)に3μm厚にスピンコーティングし、90℃のホットプレートで2分間プリベーク(pre-bake)を行い、コーティング膜を得た。得られたコーティング膜上にフォトマスクを位置させ、超高圧水銀灯で、365nmを基準に、40mJ/cm
2の露光量で露光した後、KOH(水酸化カリウム)現像液(DCD−260CF、(株)Dongjin Semichem製)を、60秒間、スプレーノズルによりスプレーすることで現像した後、90℃で60分間ポストベーク(post-bake)を行い、10*10cmサイズの単一膜サンプル1ないし10を製作した。
【0184】
透過率測定
サンプル1ないし10に対して、分光光度計(製造社:大塚電子株式会社、モデル:MCPD−3000)を利用して透過率(%)を測定し、その結果を表2に示した。
【0185】
図1は、実施例1の感光性樹脂組成物についての分光特性を示したグラフである。
【0186】
前記実施例1,4,6の感光性樹脂組成物は、波長領域525ないし550nm近辺で、透過率(transmittance)がおよそ70%以上であるということを確認することができる。
【0187】
図2は、実施例2の感光性樹脂組成物についての分光特性を示したグラフである。
【0188】
前記実施例2,5,7,8の感光性樹脂組成物は、波長領域約450ないし475nmの近傍で、透過率が約65%以上であるということを確認することができる。
【0189】
図3は、実施例3の感光性樹脂組成物についての分光特性を示したグラフである。
【0190】
前記実施例3の感光性樹脂組成物は、波長領域約620nmの近傍で、透過率が約70%以上であるということを確認することができる。
【0191】
耐化学性測定
サンプル1ないし10を、それぞれプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液16mlに、常温で30分間浸漬した後、分光光度計(製造社:大塚電子株式会社、モデル:MCPD−3000)を利用して、サンプルの色差(ΔEab)を測定し、その結果を表2に示した。
【0192】
前記色差(ΔE*ab)は、浸漬前後の膜の色度(L*,a*,b*)を測定し、下記数式によって計算された値であり、数値が大きいほど色変化が大きいということを意味する。
【数1】
【0193】
反射率測定
サンプル1ないし10に対して、コニカミノルタ(KONICA MINOLTA)社の分光測色計CM−5を利用して、反射率を測定し、その結果を表2に示した。
【0194】
【表2】
【0195】
前記表2によれば、実施例1ないし8の感光性樹脂組成物から形成された膜であるサンプル1ないし8は、比較例1及び2の感光性樹脂組成物から形成された膜であるサンプル9及び10よりも優れた透過率及び耐化学性を有し、低い反射率を有するということを確認した。
【0196】
<評価例2(積層構造の膜サンプルの評価)>
評価例1と同一の方法を用いて、下記表3のとおりの2層構造の膜サンプル11ないし20を製作した。2層構造の膜サンプルにおいて、第1層であるサンプル1ないし10について、下記のような方法で色差を測定し、サンプル11ないし20について、下記のとおりの方法でパターンイメージを評価した。
【0197】
色差
分光光度計(製造社:大塚電子株式会社、モデル:MCPD−3000)を利用して、積層された各二層膜における第1層の膜の色差(ΔE*ab)を測定し、その結果を下記表3に示した。色差(ΔE*ab)は、積層前後の第1層の膜の色度(L*,a*,b*)を測定し、下記数式によって計算された値であり、数値が大きいほど色の変化が大きいというを意味する。
【数1】
【0198】
【表3】
【0199】
前記表3によれば、実施例1ないし8の感光性樹脂組成物から形成された膜であるサンプル1ないし8は、比較例1及び2の感光性樹脂組成物から形成された膜であるサンプル9及び10よりも、小さい色差を有するということが分かり、それは、耐化学性にすぐれているということを意味する。
【0200】
パターン直進性
サンプル11ないし20について、パターンイメージを観察し、その結果をそれぞれ
図4ないし
図13に示した。
【0201】
図4ないし
図13を参照すれば、サンプル11ないし18(
図4ないし
図11)は、サンプル19及び20(
図12及び
図13)に比べ、優れたパターン直進性を有することが分かる。
【0202】
前記パターン直進性は、各サンプルを積層させたときの低温硬化の程度を意味する。
【0203】
<評価例3(有機発光表示装置の製作及び評価)>
有機発光表示装置1の製作
金属性物質を含むアノード、発光物質を含む発光層を含む有機層、伝導性材料を含むカソード、及びサンプル1を順に積層し、有機発光表示装置1を製造した。
【0204】
有機発光表示装置2ないし10の製作
前記サンプル1の代わりに、下記表4のサンプルを使用したという点を除いては、有機発光表示装置1の製作方法と同一方法を使用して、有機発光表示装置2ないし10を製作した。
【0205】
反射率評価
有機発光素子1ないし10に対して、コニカミノルタ(KONICA MINOLTA)社の分光測色計CM−3700Aを利用して反射率を測定し、その結果を下記表4に示した。
【0206】
【表4】
【0207】
前記表4によれば、実施例1ないし8の感光性樹脂組成物から形成された膜を含む有機発光表示装置1ないし8は、比較例1及び2の感光性樹脂組成物から形成された膜を含む有機発光表示装置9及び10よりも、低い反射率を有するということを確認した。
【0208】
本発明について、前記実験例、実施例及び図面を参照して説明したが、それらは例示的なものに過ぎず、本発明に属する技術分野の当業者であるならば、それらから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるという点を理解するであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されるものである。