特許第6925853号(P6925853)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6925853新規なベンゾオキサジン樹脂組成物及びその硬化物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6925853
(24)【登録日】2021年8月6日
(45)【発行日】2021年8月25日
(54)【発明の名称】新規なベンゾオキサジン樹脂組成物及びその硬化物
(51)【国際特許分類】
   C08G 14/073 20060101AFI20210812BHJP
   C08L 61/34 20060101ALI20210812BHJP
【FI】
   C08G14/073
   C08L61/34
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-87138(P2017-87138)
(22)【出願日】2017年4月26日
(65)【公開番号】特開2018-184533(P2018-184533A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2020年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000243272
【氏名又は名称】本州化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100202430
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 千香子
(72)【発明者】
【氏名】芦田 一仁
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 利恵
【審査官】 藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−175684(JP,A)
【文献】 特開2018−016684(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/104295(WO,A3)
【文献】 特開平11−228786(JP,A)
【文献】 特開2017−020011(JP,A)
【文献】 特開2006−335671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 4/00−16/06、61/34
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で表されるベンゾオキサジン化合物を含有するベンゾオキサジン樹脂組成物を硬化させてなる硬化物(ただし、液晶配向膜及び、下記ベンゾオキサジン化合物(a)を含有する熱硬化性組成物を熱硬化して得られる熱硬化物を除く。)
【化1】

【化2】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なベンゾオキサジン樹脂組成物及びその硬化物に関する。詳しくは、ジフェニルエーテル基の両末端に、ベンゾオキサジン環を有するベンゾオキサジン化合物を含有する樹脂組成物及びその硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
ベンゾオキサジン化合物は、フェノール類、アミン類及びホルムアルデヒドを反応させることにより合成される化合物であり、加熱することにより揮発性の副生物を生ずることなく、ベンゾオキサジン環が開環重合して硬化する熱硬化性樹脂原料として知られている。
このようなベンゾオキサジン化合物は、絶縁基板用材料として利用可能な成形体(特許文献1)、液晶配向剤(特許文献2)、半導体封止用樹脂組成物(特許文献3、4)等の原料として利用されている。
従来公知のベンゾオキサジン化合物として、非特許文献1には、下記構造のベンゾオキサジン化合物(a)を硬化させた硬化物が記載されている。
【化1】

また、特許文献4には、下記構造のベンゾオキサジン化合物(b)を含む樹脂組成物から硬化物を得ることが記載されている。
【化2】
しかしながら、これら化合物、例えば、上記ベンゾオキサジン化合物(b)は、中央のメチレン基が酸化されやすく、また、上記ベンゾオキサジン化合物(a)、(b)を含む樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物はいずれも耐熱性が十分ではないなど、従来公知のベンゾオキサジン化合物を含む樹脂組成物を硬化させた硬化物は、耐熱性等の物性が未だ十分でなく、ベンゾオキサジン樹脂組成物のさらなる改善が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−002064号公報
【特許文献2】特開2009−175684号公報
【特許文献3】特開2015−025120号公報
【特許文献4】特開2011−231196号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Yanfang Liu et.al、J.Therm.Anal.Calorim.、第111巻、第1523〜1530頁(2013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、耐熱性等の性能が改良された、ベンゾオキサジン化合物を含有する樹脂組成物及びその硬化物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上述の課題解決のために鋭意検討した結果、ベンゾオキサジン化合物の化学構造を、ジフェニルエーテル基の3,4’−位にベンゾオキサジン環を有する構造とすることにより、耐熱性に優れた樹脂を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
本発明は以下の通りである。
1.一般式(I)で表されるベンゾオキサジン化合物を含有することを特徴とする、ベンゾオキサジン樹脂組成物。
【化3】
2.1.に記載の樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、ジフェニルエーテル基の3,4’−位にベンゾオキサジン環を有するベンゾオキサジン化合物を含有する新規なベンゾオキサジン樹脂組成物及びその硬化物が提供される。この新規なベンゾオキサジン樹脂組成物は熱硬化性を有し、これを硬化させた硬化物は、従来知られているベンゾオキサジン化合物を含有する樹脂組成物を硬化させた硬化物に比べて、特にガラス転移温度が高く、耐熱性に極めて優れている。従って各種基材に塗布可能なワニス、ワニスを含浸させたプリプレグ、プリント回路基板、電子部品の封止剤、電気・電子成型部品、自動車部品、積層材、塗料、レジストインク等の樹脂原料として好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の樹脂組成物が含有するベンゾオキサジン化合物は下記一般式(I)で表される。
【化4】
前記一般式(I)で表されるベンゾオキサジン化合物について、その化学構造を下記に例示する。
【化5】
【化6】
【化7】
【0010】
本発明の実施において使用される一般式(I)で表されるベンゾオキサジン化合物の製造方法については、その製造における出発原料、製造方法について特に制限はなく、例えば、特開2006−335671号公報に記載のように、溶媒の存在下に一級アミン化合物とフェノール化合物及びホルマリン類を撹拌混合し、加温下に脱水縮合反応させる等のベンゾオキサジン化合物を製造するための公知の方法を任意に採用することができる。中でも、ジアミノジフェニルエーテル化合物とフェノール化合物との混合溶液を、ホルムアルデヒドと脱水縮合反応させて環化し、ベンゾオキサジン化合物とする製造方法が好ましい。
【0011】
以下に、一般式(I)で表されるベンゾオキサジン化合物の製造方法について、反応式で例示する。
【化8】
【0012】
この製造方法に使用する原料化合物について説明すると、ジアミノジフェニルエーテル化合物は、詳しくは3,4’−ジアミノジフェニルエーテルである。また、フェノール化合物は、下記一般式(II)で表される化合物である。この一般式(II)で表されるフェノール化合物としては、フェノール、p−クレゾール、o−クレゾール、m−クレゾールを挙げることができる。
【化9】
さらに、ホルムアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド水溶液、1,3,5−トリオキサン、パラホルムアルデヒド等を挙げることができる。
ジアミノジフェニルエーテル化合物、フェノール化合物及びホルムアルデヒドの脱水縮合反応において、それぞれの添加モル比(ジアミノジフェニルエーテル化合物/フェノール化合物/ホルムアルデヒド)は、通常1.0/1.6/3.6〜1.0/4.0/4.4の範囲であり、好ましくは1.0/2.0/4.0〜1.0/2.5/4.2の範囲である。
【0013】
反応は通常、溶媒の存在下に行われる。溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に制限はないが、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、クロロホルム、ジクロロメタン、THF、ジオキサン等が好ましく挙げられる。これらの溶媒は単独又は組み合わせて用いることができる。また、溶媒の使用量は反応に支障なければ特に制限はないが、通常、ジアミノジフェニルエーテル化合物に対し3〜10重量倍の範囲、好ましくは4〜6重量倍の範囲で用いられる。
反応温度は通常、70〜120℃の範囲である。反応圧力は常圧条件下で行ってもよく、また、加圧下でも、或は減圧下で行ってもよい。
反応を促進するための触媒は特に必要はないが、必要に応じて、酸触媒または塩基触媒を使用することができる。この場合、使用できる酸触媒として、濃塩酸、塩酸ガス、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸およびそれらの混合物等が挙げられ、使用できる塩基触媒としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミンおよびそれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
別の態様として、反応中に生成した水を系外に除去する手順を含むことができる。反応溶液から生成した水を除去する手順は特に制限されず、生成した水を反応溶液中の溶媒系と共沸的に蒸留することにより行うことができる。生成した水は、例えばコックを備えた等圧滴下漏斗、ジムロート冷却器、ディーンスターク装置等の使用により反応系外に除去することができる。
このようにして得られた反応終了混合物は、反応終了後、公知の方法によりこの混合物から一般式(I)で表されるベンゾオキサジン化合物を得ることができる。例えば、反応後、反応混合物から残存原料や溶媒を留去することにより残液として目的物を得ることができる。また、残液を貧溶媒に添加して沈殿させたり、反応混合物に溶媒を添加して晶析し、ろ過することにより粉体若しくは粒状の目的物を得ることも考えられる。残存原料がフェノールの場合には、必要に応じて水と分離する溶媒を加え、アルカリ水溶液で洗浄することにより除去することができる。上記方法により、取り出されたベンゾオキサジン化合物は、例えば、溶媒や水での洗浄や再結晶等の通常の精製手段により、高純度品とすることができる。
【0014】
本発明の樹脂組成物は、上記の一般式(I)で表されるベンゾオキサジン化合物を必須成分として含有し、その他の高分子材料を含有してもよい。
本発明の樹脂組成物を構成する高分子材料としては、特に制限はないが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂それぞれの原料を含有することができる。このエポキシ樹脂としては、オルソクレゾール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセンジヒドリド型エポキシ樹脂、臭素化ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。このフェノール樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂、ビスフェノール樹脂等を、このビスマレイミド樹脂としては、下記構造を有するビスマレイミド樹脂の原料等が挙げられる。
【化10】
【0015】
本発明の樹脂組成物は、上記一般式(I)で表されるベンゾオキサジン化合物を、通常50重量%以上100重量%以下の範囲で、好ましくは80重量%以上100重量%以下の範囲で、より好ましくは90重量%以上100重量%以下の範囲で含有する。また、本発明の樹脂組成物を構成する高分子材料であるエポキシ樹脂の原料は0重量%以上50重量%以下の範囲で、フェノール樹脂の原料は0重量%以上50重量%以下の範囲で、ビスマレイミド樹脂の原料は0重量%以上20重量%以下の範囲で含有することができる。
本発明の樹脂組成物は、上記一般式(I)で表されるベンゾオキサジン化合物を、その他必要に応じて前記高分子材料に添加することによって得られるが、かかる添加方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。例えば、高分子材料の合成や重合中に添加する方法、高分子材料からなる樹脂を例えば溶融押出工程等において溶融した溶融樹脂に添加する方法、高分子材料からなる樹脂製品等に含浸する方法等を挙げることができる。
【0016】
続いて、本発明の硬化物について説明する。
本発明の硬化物は、上記一般式(I)で表されるベンゾオキサジン化合物を含有する樹脂組成物を硬化させて得ることができる。本発明の硬化物は、一般式(I)で表されるベンゾオキサジン化合物を1種のみ硬化させて得られる硬化物であってもよく、異なる2種以上の一般式(I)で表されるベンゾオキサジン化合物からなる混合物を硬化させて得られる硬化物であってもよい。さらに目的に応じて、上述のエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂それぞれの原料を使用して、本発明の硬化物を得ることもできる。
本発明の硬化物の製造方法としては、例えば、所定の温度まで加熱して硬化させる方法、加熱融解させて金型等に注ぎ金型を更に加熱して硬化成型させる方法、上記一般式(I)で表されるベンゾオキサジン化合物の溶融物を予め加熱された金型に注入して硬化させる方法等を挙げることができる。
本発明の樹脂組成物は、組成物中に残存溶媒を含んでいると硬化時に気泡が発生してしまうので、これを防ぐために前処理として真空脱気処理を行うことが好ましい。この真空脱気処理の温度は、本発明の樹脂組成物が溶融状態となる温度であれば特に制限されないが、硬化が進行せず、かつ、脱気がしやすいとの理由により140〜160℃の温度範囲が好適である。真空脱気処理の圧力は、特に制限はないが、低い(減圧度の高い)方がよく、空気中でも窒素置換雰囲気下中の何れで行ってもよい。この真空脱気処理は、気泡が目視で確認できなくなるまで行う。
【0017】
本発明の硬化物は、通常のベンゾオキサジンと同様の硬化条件にて、開環重合を行い硬化することができる。硬化温度は、通常140〜250℃の温度範囲であり、好ましくは160〜220℃の温度範囲であり、より好ましくは160〜200℃の温度範囲であるが、得られる硬化物の機械物性を良くするためには、特に180〜200℃の温度範囲とすることが好ましい。このような温度範囲において硬化を行う場合には、反応時間は2〜10時間程度であればよい。
本発明の樹脂組成物は、熱のみで硬化できるが、上記一般式(I)で表されるベンゾオキサジン化合物以外の成分やその含油量等によっては、硬化促進剤を用いた方が好ましい。使用できる硬化促進剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、トリス(2,4,6−ジメチルアミノメチル)フェノール等の第三級アミン類、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロジチオエート等のリン化合物、4級アンモニウム塩、有機金属塩類、及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、あるいは、併用してもよい。これら硬化促進剤の中では、第三級アミン類、イミダゾール類及びリン化合物を用いることが好ましい。
【実施例】
【0018】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
<合成例1>
化合物(1)の合成
フェノール176.3g、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル150.0g、トルエン750.0gを2リッター四つ口フラスコに仕込み、撹拌下に内温65℃で35%ホルマリン水溶液257.1gを35分かけて滴下した。滴下終了後、常圧下85℃で単蒸留を行い、水、トルエンを留出させ、留出したトルエンはフラスコ内に戻した。さらにフェノール35.3gを追加後、還流下86℃で2時間反応させた。
反応終了後、内温を室温まで下げ、反応混合液に10%水酸化ナトリウム水溶液300gを加えて20分撹拌し、水層を分離除去した。得られた油層にトルエン200gを追加後、3.75%水酸化ナトリウム水溶液800gを加えて20分撹拌して、静置し、水層を分離除去した。
次いで得られた油層に水300gを加えて撹拌し、水層を除去する洗浄操作を6回繰り返した。洗浄した油層を減圧下でトルエンを留去し、樹脂状の化合物(1)185.1gを得た。この化合物のGPC分析による純度は60.4%であった。また、H−NMR分析結果から目的化合物であることを確認した。
【化11】

H−NMR(400MHz)測定(溶媒:CDCl3):4.64(s,2H:a) , 4.66(s,2H:a’), 5.37(s,2H:b), 5.39(s,2H:b’), 6.53-6.55(ddd,1H:c), 6.81-7.35(m,15H:others).
【化12】


13C−NMR(400MHz)測定(溶媒:CDCl3):50.28(A),50.36(A’),79.21(B),80.14(B’),108.15(H),110.60(I),112.23(J),114.69(C),117.06(K),120.20(L),120.96(M),126.85(N),126.85(N),127,97(O),128.33(P),129.14(Q),130.20(R),149.90(D),151.27(E),154.38(F),159.06(G)
【0019】
<実施例1>
上記合成例1で合成した樹脂状の化合物(1)63.2gを200mlビーカーに仕込み、140℃に溶融し、真空脱気処理を行った。
真空脱気処理した化合物(1)をシリコン製の注型に流し込み、140℃で2時間、150℃で2時間、160℃で2時間、180℃で2時間、200℃で2時間加熱して硬化物を得た。
【0020】
<合成例2>
化合物(a)の合成
フェノール65.9g、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル70.0g、パラホルム44.7g、トルエン350gを1リッター四つ口フラスコに仕込み、還流下で26時間反応させた。反応終了液を室温まで冷却後、n−ヘプタン700.0gを仕込んだ2リッター四つ口フラスコに滴下し沈殿を生成させた。生じた沈殿をろ過、減圧乾燥することによって、化合物(a)の粉体127.7gを得た。この化合物のGPC分析による純度は59.5%であった。
【0021】
<比較例1>
上記合成例2で合成した化合物(a)63.0gを200mlビーカーに仕込み、140℃に溶融し、真空脱気処理を行った。真空脱気処理した化合物(a)をシリコン製の注型に流し込み、140℃で2時間、150℃で2時間、160℃で2時間、180℃で2時間、200℃で2時間加熱して硬化物を得た。
【0022】
<比較例2>
四国化成工業株式会社製の化合物(b)73gを200mlビーカーに仕込み、150℃で溶融させ、真空脱気処理を行った。真空脱気処理した化合物(b)をシリコン製の注型に流し込み、180℃で2時間、200℃で2時間加熱して硬化物を得た。
【0023】
<ガラス転移温度(tanδ値)>
実施例1、比較例1、2により得られた硬化物について、動的粘弾性測定によりガラス転移温度(tanδ値)を測定し、得られた測定結果を表1に示す。
動的粘弾性測定条件は以下のとおりである。
動的粘弾性測定装置:Rheogel−E4000FZ(UBM Co.,Ltd)
昇温速度 :2℃/min
周波数 :1Hz
測定モード :曲げ
【0024】
【表1】
【0025】
表1の結果より、本発明の硬化物は、従来公知のベンゾオキサジン樹脂組成物の硬化物より、高いガラス転移温度を有し、優れた耐熱性を有することが明らかとなった。
本発明のベンゾオキサジン樹脂組成物及びその硬化物が奏するこれらの効果は、本発明者が多くの実験を行い初めて確認した格別顕著な効果である。