【実施例1】
【0019】
図1(a)は、実施例1における弾性波デバイスの平面図、
図1(b)から
図1(d)は、それぞれ上部電極、圧電膜および下部電極を示す平面図である。
図2(a)は、実施例1に係る弾性波デバイスにおける
図1(a)のA−A断面図、
図2(b)は、
図2(a)の領域Aの拡大図である。圧電薄膜共振器11aおよび11bはそれぞれラダー型フィルタの直列共振器および並列共振器に相当する。
【0020】
図1(a)から
図2(a)に示すように、基板10上に、圧電薄膜共振器11aおよび11bが設けられている。圧電薄膜共振器11aおよび11bは、それぞれ基板10上に設けられた下部電極12aおよび12b、下部電極12aおよび12b上に設けられた圧電膜14aおよび14b、並びに圧電膜14aおよび14b上に設けられた上部電極16aおよび16bを有している。上部電極16aおよび16b上に保護膜24が設けられている。下部電極12b並びに上部電極16aおよび16b上に金属層26が設けられている。金属層26は、配線またはパッドとして機能する。基板10の上面と下部電極12aおよび12bとの間にはそれぞれ空隙30aおよび30bが設けられている。空隙30aおよび30bはドーム状である。
【0021】
圧電膜14aおよび14bの少なくとも一部を挟み下部電極12aおよび12bと上部電極16aおよび16bとが対向する領域がそれぞれ共振領域50aおよび50bである。共振領域50aおよび50bは、厚み縦振動モードの弾性波が共振する領域である。共振領域50aと50bとの間の中間領域52には圧電膜14aおよび14bが設けられていない。中間領域52における上部電極16aおよび16b下には空隙32が設けられている。共振領域50aおよび50bは、それぞれ平面視において空隙30aおよび30bに含まれる。
【0022】
図1(a)のように、圧電薄膜共振器11aおよび11bの共振領域50aおよび50bから上部電極16aおよび16bが引き出される領域がそれぞれ引き出し領域54aおよび54bである。圧電薄膜共振器11aおよび11bの共振領域50aおよび50bから下部電極12aおよび12bが引き出される領域がそれぞれ引き出し領域56aおよび56bである。中間領域52は、引き出し領域54aおよび54bに設けられている。
【0023】
図1(b)のように、上部電極16aと16bとは中間領域52において連続して設けられている。
図1(c)のように、圧電膜14aおよび14bはそれぞれ共振領域50aおよび50b以外には設けられていない。よって、圧電膜14aおよび14bの外周は共振領域50aおよび50bの外周と略一致する。
図1(d)のように、下部電極12aおよび12bは中間領域52には設けられていない。
【0024】
図2(b)に示すように、下部電極12bの端面は傾斜している。下部電極12aも同様である。上部電極16bは下層15aと上層15bとを含んでいる。下層15aと上層15bとの間には質量負荷膜20が設けられている。
【0025】
図3(a)および
図3(b)は、実施例に係る弾性波デバイスの共振領域の積層構造を示す断面図である。
図3(a)は、圧電薄膜共振器11aの共振領域50aの断面図、
図3(b)は、圧電薄膜共振器11bの共振領域50bの断面図である。
【0026】
図3(a)および
図3(b)に示すように、下部電極12aおよび12bは各々下層13aおよび上層13bを有している。上部電極16aおよび16bは各々下層15aおよび上層15bを有している。下層15aと上層15bとの間に周波数調整膜22aおよび22bが設けられている。並列共振器である圧電薄膜共振器11bでは下層15aと上層15bとの間に質量負荷膜20が設けられている。質量負荷膜20は、直列共振器と並列共振器との共振周波数を異ならせるための膜である。周波数調整膜22aは、複数の直列共振器内で面積を異ならせることで共振周波数を異ならせる膜である。周波数調整膜22bは、複数の並列共振器内で面積を異ならせることで共振周波数を異ならせるための膜である。
【0027】
圧電薄膜共振器11aおよび11bをそれぞれ直列共振器および並列共振器を例に説明したが、圧電薄膜共振器11aおよび11bはいずれも直列共振器でもよいし、いずれも並列共振器でもよい。圧電薄膜共振器11aおよび11bはラダー型フィルタ以外で用いられる圧電薄膜共振器でもよい。質量負荷膜20および周波数調整膜22aおよび22bの少なくとも1つは設けられていなくてもよい。金属層26が共振領域50aおよび50bの一部に設けられているが、金属層26は共振領域50aおよび50b内に設けられていなくてもよい。
【0028】
基板10は、例えばSi(シリコン)基板である。基板10としては、Si基板以外に、サファイア基板、スピネル基板、アルミナ基板、石英基板、ガラス基板、セラミック基板またはGaAs基板等を用いることができる。
【0029】
下部電極12aおよび12bにおける下層13aおよび上層13bは例えばそれぞれCr(クロム)膜およびRu(ルテニウム)膜である。上部電極16aおよび16bにおける下層15aおよび上層15bは例えばRu膜およびCr膜である。下部電極12a、12b、上部電極16aおよび16bとしては、RuおよびCr以外にもAl(アルミニウム)、Ti(チタン)、Cu(銅)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Pt(白金)、Rh(ロジウム)またはIr(イリジウム)等の単層膜またはこれらの積層膜を用いることができる。
【0030】
圧電膜14aおよび14bは、例えば(002)方向を主軸とする窒化アルミニウム(AlN)を主成分とする窒化アルミニウム膜である。圧電膜14は、窒化アルミニウム以外にも、ZnO(酸化亜鉛)、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、PbTiO
3(チタン酸鉛)等を用いることができる。また、例えば、圧電膜14は、窒化アルミニウムを主成分とし、共振特性の向上または圧電性の向上のため他の元素を含んでもよい。例えば、添加元素として、Sc(スカンジウム)、2族または12族の元素と4族の元素との2つの元素、または2族または12族と5族との2つの元素を用いることにより、圧電膜14の圧電性が向上する。このため、圧電薄膜共振器の実効的電気機械結合係数を向上できる。2族の元素は、例えばCa(カルシウム)、Mg(マグネシウム)、Sr(ストロンチウム)であり12族元素は例えばZn(亜鉛)である。4族の元素は、例えばTi、Zr(ジルコニウム)またはHf(ハフニウム)である。5族の元素は、例えばTa、Nb(ニオブ)またはV(バナジウム)である。さらに、圧電膜14は、窒化アルミニウムを主成分とし、B(ボロン)を含んでもよい。
【0031】
質量負荷膜20、周波数調整膜22aおよび22bは、例えばTi膜である。Ti膜以外に下部電極12a、12b、上部電極16aおよび16bで例示した金属膜または絶縁膜を用いることができる。保護膜24は、例えば酸化シリコン(SiO
2)膜である。保護膜24は、酸化シリコン膜以外にも窒化シリコン膜または窒化酸化シリコン膜等の絶縁膜を用いることができる。金属層26は、例えばTi膜およびAu膜である。金属層26は、低抵抗なCu膜、Al膜等を含んでもよい。
【0032】
2.0GHzの共振周波数を有する圧電薄膜共振器の場合、下部電極12aおよび12bの下層13aを膜厚が100nmのCr膜、上層13bを膜厚が200nmのRu膜とする。圧電膜14aおよび14bを膜厚が1260nmのAlN膜とする。上部電極16aおよび16bの下層15aを膜厚が230nmのRu膜、上層15bを膜厚が50nmのCr膜とする。質量負荷膜20を膜厚が40nmのTi膜とする。周波数調整膜22aおよび22bを膜厚が20nmのTi膜とする。保護膜24を膜厚が50nmの酸化シリコン膜とする。各層の膜厚は、所望の共振特性を得るため適宜設定することができる。
【0033】
[実施例1の製造方法]
図4(a)から
図6(c)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図である。
図4(a)に示すように、基板10上に、犠牲層38を例えばスパッタリング法、真空蒸着法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用い形成する。犠牲層38は厚膜部38aを有する。犠牲層38は、例えばMgO(酸化マグネシウム)膜である。犠牲層38は、ZnO膜、Ge膜または酸化シリコン膜でもよい。厚膜部38aの側面が傾斜していることで、後に圧電膜14を形成するときに、厚膜部38aの側面に圧電膜14を容易に成膜できる。
【0034】
図4(b)に示すように、犠牲層38を例えばフォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い所望の形状にパターニングする。これにより、犠牲層38は、厚膜部38aと薄膜部38bを有する。厚膜部38aは空隙32となる領域に設けられ、薄膜部38bは空隙30aおよび30bとなる領域に設けられる。厚膜部38aの膜厚は圧電膜14aおよび14bの膜厚以上である。薄膜部38bの膜厚は例えば10nmから100nmである。
【0035】
図4(c)に示すように、基板10上に犠牲層38を覆うように下部電極12を例えばスパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い形成する。
図4(d)に示すように、下部電極12を例えばフォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い所望の形状にパターニングする。厚膜部38a上の下部電極12を除去する。下部電極12は、リフトオフ法により形成してもよい。
【0036】
図5(a)に示すように、基板10上に下部電極12および厚膜部38aを覆うように圧電膜14を例えばスパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い形成する。
図5(b)に示すように、厚膜部38aの上面が露出するように圧電膜14を除去する。これにより、圧電膜14および厚膜部38aの上面が平坦化される。圧電膜14の除去には例えばエッチング法またはCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いる。
【0037】
図5(c)に示すように、圧電膜14および厚膜部38a上に下層15aおよび質量負荷膜20を例えばスパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い形成する。
【0038】
図6(a)に示すように、質量負荷膜20を例えばフォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い所望の形状にパターニングする。質量負荷膜20は、リフトオフ法により形成してもよい。図示していないが、質量負荷膜20および下層15a上に周波数調整膜22aおよび22bを形成してもよい。
【0039】
図6(b)に示すように、質量負荷膜20および下層15a上に上層15bを例えばスパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い形成する。上層15bおよび下層15aを例えばフォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い所望の形状にパターニングする。
【0040】
図6(c)に示すように、上部電極16をマスクに圧電膜14をエッチングする。上部電極16を覆うように保護膜24を例えばスパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法を用い形成する。保護膜24の一部を除去した後、下部電極12および上部電極16上に金属層26を真空蒸着法およびリフトオフ法を用い形成する。
【0041】
犠牲層38をエッチング液により除去する。下部電極12、圧電膜14および上部電極16の内部応力を圧縮応力としておくことで、下部電極12が基板10の反対側に基板10から離れるように膨れる。下部電極12と基板10との間にドーム状の膨らみを有する空隙30aおよび30bが形成される。以上により、
図2(a)に示した弾性波デバイスが作製される。
【0042】
[実施例1の効果]
比較例1と比較し実施例1の効果について説明する。
図7(a)および
図7(b)は、それぞれ比較例1および実施例1に係る弾性波デバイスの断面図である。
図7(a)に示すように、比較例1では中間領域52における基板10と上部電極16aおよび16bとの間に圧電膜14が設けられている。これにより、中間領域52に圧電膜14aおよび14bの端面は形成されない。その他の構造は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0043】
図7(a)および
図7(b)に示すように、共振領域50aおよび50bにおいて矢印60のように圧電膜14aおよび14b内を縦方向に厚み縦振動モードの弾性波が共振する。この弾性波が圧電薄膜共振器11aおよび11bの主モードである。共振領域50aおよび50bから横方向に横モード弾性波が伝搬する。下部電極12aおよび12bの引き出し領域では、共振領域50aおよび50bの端面と上部電極16aおよび16bの端面が略一致している。これにより、矢印62のように横モード弾性波は圧電膜14aおよび14bの端面で反射する。
【0044】
図7(a)のように、比較例1では中間領域52に圧電膜14aおよび14bの端面が形成されていないため、矢印64のように共振領域50aおよび50bから横モード弾性波が圧電膜14内に漏洩する。さらに矢印65のように圧電膜14から基板10に横モード弾性波が伝搬する。これにより、共振領域50aおよび50bから弾性波エネルギーが基板10に漏れるため、圧電薄膜共振器11aおよび11bの損失が劣化する(例えばQ値が低下する)。また、圧電膜14を介して共振領域50aと50bとの弾性波が干渉することで、圧電薄膜共振器11aおよび11bの特性が劣化する。
【0045】
図7(b)に示すように、実施例1では、中間領域52の圧電膜14が除去され空隙32となっている。このため、矢印66のように横モード弾性波は圧電膜14aおよび14bの端面で反射する。よって、共振領域50aおよび50bからの弾性波エネルギーの漏洩が抑制できるため、圧電薄膜共振器11aおよび11bの損失を向上できる(例えばQ値が向上する)。また、圧電膜14を介した共振領域50aと50bとの弾性波の干渉を抑制することで、圧電薄膜共振器11aおよび11bの特性の劣化を抑制できる。
【0046】
実施例1によれば、基板10上に、圧電薄膜共振器11a(第1圧電薄膜共振器)と圧電薄膜共振器11b(第2圧電薄膜共振器)が設けられている。圧電薄膜共振器11aは、下部電極12a(第1下部電極)、圧電膜14a(第1圧電膜)および上部電極16a(第1上部電極)を有する。圧電薄膜共振器11bは、下部電極12b(第2下部電極)、圧電膜14b(第2圧電膜)および上部電極16b(第2上部電極)を有する。
【0047】
共振領域50a(第1共振領域)と共振領域50b(第2共振領域)との間の中間領域52に、引き出し領域54a(第1引き出し領域)と引き出し領域54b(第2引き出し領域)とが位置する。さらに、中間領域52に圧電膜14aの端面および圧電膜14bの端面が位置する。これにより、
図7(b)のように、共振領域50aおよび50bからの弾性波の漏洩を抑制できる。よって、圧電薄膜共振器11aおよび11bの損失を抑制できる。さらに、圧電薄膜共振器11aと11bとの間の干渉を抑制でき、圧電薄膜共振器11aおよび11bの特性劣化を抑制できる。
【0048】
また、中間領域52において上部電極16aと16bは連続して設けられている場合、比較例1のように中間領域52の圧電膜14を除去されない。実施例1では、犠牲層38を用いることで、中間領域52に圧電膜14を設けず、圧電膜14aおよび14bの端面を形成することができる。
【0049】
さらに、中間領域52において、連続して設けられた上部電極16aおよび16b上に金属層26が設けられている。これにより、上部電極16aおよび16bを補強することができる。
【0050】
さらに、中間領域52において、圧電膜14aと14bとの間の基板10上に空隙32(すなわち中空)が設けられている。これにより、共振領域50aおよび50bからの弾性波の漏洩をより抑制することができる。
【0051】
[実施例1の変形例1]
図8(a)は、実施例1の変形例1に係る弾性波デバイスの断面図である。
図8(a)に示すように、中間領域52の基板10と上部電極16aおよび16bとの間に絶縁層33が設けられている。絶縁層33は、例えばポリイミド樹脂等の樹脂層または無機絶縁層である。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0052】
図8(b)は、実施例1の変形例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図である。
図8(b)に示すように、実施例1の
図4(a)および
図4(b)と同様に、基板10上に犠牲層38を形成する。厚膜部38aは形成しない。犠牲層38の間に絶縁層33を形成する。絶縁層33は例えば感光性樹脂を塗布または貼り付け、その後フォトリソグラフィ法を用い形成する。絶縁層33は、エッチング法等を用いパターニングしてもよい。その後、実施例1の
図4(c)から
図6(c)の工程を行うことにより
図8(a)の弾性波デバイスが作製できる。
【0053】
実施例1の変形例1によれば、中間領域52において、圧電膜14aと14bとの間の基板10上に絶縁層33が設けられている。これにより、上部電極16aおよび16bを補強することができる。圧電膜14aおよび14bの端面で弾性波を反射するように、絶縁層33の音響インピーダンスは圧電膜14aおよび14bより小さいことが好ましい。
【0054】
[実施例1の変形例2]
図9は、実施例1の変形例2に係る弾性波デバイスの断面図であり、圧電薄膜共振器11bの断面を示す図である。
図9に示すように、引き出し領域56bにおいて、圧電膜14bの端面40は上部電極16bの端面42より内側に位置している。引き出し領域54bにおいて、圧電膜14bの端面44は下部電極12bの端面46より内側に位置している。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0055】
実施例1の変形例2では、端面40および44が端面42および46よりそれぞれ内側に位置していることで、実施例1のように端面40および44が端面42および46と略一致している場合より、弾性波の漏洩をより抑制できる。なお、圧電薄膜共振器11aにおいても同様である。
【0056】
実施例1およびその変形例2のように、引き出し領域56a(第3引き出し領域)において、圧電膜14aの端面は平面視において上部電極16aの端面と略一致または上部電極16aの端面より内側に位置する。引き出し領域56bにおいて、圧電膜14bの端面は平面視において上部電極16bの端面と略一致または上部電極16bの端面より内側に位置する。これにより、引き出し領域56aおよび56b側の弾性波漏洩をより抑制できる。
【0057】
さらに、引き出し領域54aにおいて、圧電膜14aの端面は平面視において下部電極12aの端面と略一致または下部電極12aの端面より内側に位置する。引き出し領域54bにおいて、圧電膜14bの端面は平面視において下部電極12bの端面と略一致または下部電極12bの端面より内側に位置する。これにより、引き出し領域54aおよび54b側の弾性波漏洩をより抑制できる。
【0058】
端面40から46が傾斜している場合、端面40(または44)の最も内側の位置が端面42(または端面46)の最も外側の位置より内側であればよい。端面40(または端面44)の最も内側の位置が端面42(または端面46)の最も外側の位置と製造誤差程度に一致していればよい。
【0059】
[実施例1の変形例3]
図10は、実施例1の変形例3に係る弾性波デバイスの断面図である。
図10に示すように、圧電膜14aおよび14bは各々下部圧電膜14cと上部圧電膜14dを有している。下部圧電膜14cと上部圧電膜14dとの間に挿入膜28が挿入されている。挿入膜28aおよび28bは共振領域50aおよび50bの中央領域には設けられておらず、共振領域50aおよび50bの外周領域の少なくとも一部に設けられている。挿入膜28aおよび28bは例えば酸化シリコン膜である。
【0060】
挿入膜28aおよび28bを設けることで、横モード弾性波が共振領域50aおよび50bの外側に漏洩することをより抑制できる。弾性波の漏洩抑制のため、挿入膜28aおよび28bの音響インピーダンスは圧電膜14aおよび14bより小さいことが好ましい。圧電膜14aおよび14bが窒化アルミニウムを主成分とする場合、挿入膜28aおよび28bは、酸化シリコン膜以外に、Al膜、Au膜、Cu膜、Ti膜、Pt膜、Ta膜またはCr膜を用いることができる。挿入膜28aおよび28bは、下部電極12aおよび12bと圧電膜14aおよび14bとの間、または、圧電膜14aおよび14bと上部電極16aおよび16bとの間に設けられていてもよい。
【0061】
引き出し領域56aおよび56bにおいて、下部圧電膜14cの端面が上部圧電膜14dの端面より外側に位置している。これにより、横モード弾性波が共振領域50aおよび50bの外側に漏洩することをより抑制できる。