(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6925892
(24)【登録日】2021年8月6日
(45)【発行日】2021年8月25日
(54)【発明の名称】表示装置、及び、内装部材ユニット
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20210812BHJP
【FI】
B60R11/02 C
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-130631(P2017-130631)
(22)【出願日】2017年7月3日
(65)【公開番号】特開2019-14285(P2019-14285A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2020年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 英希
【審査官】
上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−008749(JP,A)
【文献】
特開2006−159931(JP,A)
【文献】
特開2015−102603(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0169135(US,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102009002328(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車室内側でかつ車両前後方向の前方側に当該車両前後方向と交差する車両幅方向に沿って延在して設けられる内装部材の前記車室内側の面に、前記車両前後方向に対して予め想定される目視位置と対向して設けられる投影面と、
前記内装部材上でかつ前記車両前後方向に対して前記目視位置と前記投影面との間の位置に設けられ前記投影面に向けて画像を表す投影光を投影するプロジェクタとを備え、
前記投影面は、前記車両前後方向及び前記車両幅方向と交差する車両高さ方向に沿って視た車両高さ方向視にて、前記目視位置とは反対側に凹部状に湾曲し前記投影光を前記目視位置側に集光する凹面形状に形成された凹面形状部を有し、
さらに、前記投影面は、前記目視位置と正面に対向する位置に平面形状に形成された平面形状部が設けられ、前記車両幅方向の端部に前記凹面形状部が設けられることを特徴とする、
表示装置。
【請求項2】
前記プロジェクタは、前記投影光を前記車両前後方向に沿って前記投影面とは反対側に向けて投影する本体部、及び、前記本体部から投影された前記投影光を前記投影面に向けて反射する反射部を含む、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
車両の車室内側でかつ車両前後方向の前方側に当該車両前後方向と交差する車両幅方向に沿って延在して設けられる内装部材と、
前記内装部材の前記車室内側の面に、前記車両前後方向に対して予め想定される目視位置と対向して設けられる投影面と、
前記内装部材上でかつ前記車両前後方向に対して前記目視位置と前記投影面との間の位置に設けられ前記投影面に向けて画像を表す投影光を投影するプロジェクタとを備え、
前記投影面は、前記車両前後方向及び前記車両幅方向と交差する車両高さ方向に沿って視た車両高さ方向視にて、前記目視位置とは反対側に凹部状に湾曲し前記投影光を前記目視位置側に集光する凹面形状に形成された凹面形状部を有し、
さらに、前記投影面は、前記目視位置と正面に対向する位置に平面形状に形成された平面形状部が設けられ、前記車両幅方向の端部に前記凹面形状部が設けられることを特徴とする、
内装部材ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、及び、内装部材ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に適用される従来の表示装置として、例えば、特許文献1には、自車両の周辺の画像を撮像し、車室内からの死角となる画像をプロジェクタから車室内に投影する車輌用表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−9654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載の車輌用表示装置は、例えば、車両の内装部材への画像投影の点で更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、車両の内装部材へ適正に画像を投影することができる表示装置、及び、内装部材ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る表示装置は、車両の車室内側でかつ車両前後方向の前方側に当該車両前後方向と交差する車両幅方向に沿って延在して設けられる内装部材の前記車室内側の面に、前記車両前後方向に対して予め想定される目視位置と対向して設けられる投影面と、前記内装部材上でかつ前記車両前後方向に対して前記目視位置と前記投影面との間の位置に設けられ前記投影面に向けて画像を表す投影光を投影するプロジェクタとを備え
、前記投影面は、前記車両前後方向及び前記車両幅方向と交差する車両高さ方向に沿って視た車両高さ方向視にて、前記目視位置とは反対側に凹部状に湾曲し前記投影光を前記目視位置側に集光する凹面形状に形成された凹面形状部を有し、さらに、前記投影面は、前記目視位置と正面に対向する位置に平面形状に形成された平面形状部が設けられ、前記車両幅方向の端部に前記凹面形状部が設けられることを特徴とする。
【0007】
また、上記表示装置では、前記プロジェクタは、前記投影光を前記車両前後方向に沿って前記投影面とは反対側に向けて投影する本体部、及び、前記本体部から投影された前記投影光を前記投影面に向けて反射する反射部を含むものとすることができる。
【0008】
また、上記表示装置では、前記投影面は、前記車両前後方向及び前記車両幅方向と交差する車両高さ方向に沿って視た車両高さ方向視にて、前記目視位置とは反対側に凹部状に湾曲し前記投影光を前記目視位置側に集光する凹面形状に形成された凹面形状部を有するものとすることができる。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る内装部材ユニットは、車両の車室内側でかつ車両前後方向の前方側に当該車両前後方向と交差する車両幅方向に沿って延在して設けられる内装部材と、前記内装部材の前記車室内側の面に、前記車両前後方向に対して予め想定される目視位置と対向して設けられる投影面と、前記内装部材上でかつ前記車両前後方向に対して前記目視位置と前記投影面との間の位置に設けられ前記投影面に向けて画像を表す投影光を投影するプロジェクタとを備え
、前記投影面は、前記車両前後方向及び前記車両幅方向と交差する車両高さ方向に沿って視た車両高さ方向視にて、前記目視位置とは反対側に凹部状に湾曲し前記投影光を前記目視位置側に集光する凹面形状に形成された凹面形状部を有し、さらに、前記投影面は、前記目視位置と正面に対向する位置に平面形状に形成された平面形状部が設けられ、前記車両幅方向の端部に前記凹面形状部が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る表示装置、及び、内装部材ユニットは、プロジェクタから車両の内装部材の車室内側の面に目視位置と対向して設けられた投影面に向けて画像を表す投影光が投影される。この場合、表示装置、及び、内装部材ユニットは、プロジェクタが内装部材上でかつ目視位置と投影面との間の位置に設けられる。この結果、表示装置、及び、内装部材ユニットは、車両の内装部材へ適正に画像を投影することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る表示装置、及び、インパネユニットの概略構成を表す模式的な断面斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る表示装置、及び、インパネユニットの概略構成を表す模式図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る表示装置、及び、インパネユニットの概略構成を表す模式図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る表示装置の投影面の凹面形状部について説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
[実施形態]
図1、
図2、
図3に示す本実施形態の表示装置1は、車両Vの内装部材ユニットとしてのインストルメントパネルユニット(以下、「インパネユニット」と略記する場合がある。)100に適用され、種々の画像を表示するものである。以下の説明では、表示装置1、インパネユニット100が適用される車両Vにおいて、「車両前後方向X」とは、典型的には、車両Vの全長方向に相当し、さらに言えば、車両Vの前後直進方向に沿った方向に相当する。「車両幅方向Y」とは、典型的には、車両Vの全幅方向に相当し、車両Vの車両左右方向に相当する。「車両高さ方向Z」とは、典型的には、車両Vの車高方向に相当する。第1方向である車両前後方向Xと第2方向である車両幅方向Yと第3方向である車両高さ方向Zとは、相互に直交し、車両Vが水平面に位置する状態で、車両前後方向X、車両幅方向Yが水平方向に沿い、車両高さ方向Zが鉛直方向に沿う。また、以下の説明では、車両前後方向Xにおいて、車両Vが前進する側を「前方」、車両Vが後進する側を「後方」という場合がある。車両幅方向Yにおいて、車両前後方向Xの前方に向かって左側を「左側」、車両前後方向Xの前方に向かって右側を「右側」という場合がある。車両高さ方向Zにおいて、鉛直方向上側を「上側」、鉛直方向下側を「下側」という場合がある。以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向を表すものとする。
【0014】
インパネユニット100は、インストルメントパネル(以下、「インパネ」と略記する場合がある。)101と、インパネ101に設けられた投影面2に種々の画像を投影し表示する表示装置1とを備え、インパネ101への適正な画像投影を実現した表示装置付きユニットである。インパネ101は、車両Vにおいて運転席等が設けられる車室内側INでかつ車両前後方向Xの前方側に当該車両前後方向Xと交差する車両幅方向Yに沿って延在して設けられる部材である。インパネ101は、車室内側INにおいて、いわゆるウインドシールド(いわゆるフロントガラス)WSの近傍に車両幅方向Yに沿って右側の端から左側の端まで延在する。インパネ101は、車室内側INの空間部に当該車室内側IN内に露出して設けられる内装部材であると共に、車両Vのボデーの車両前後方向Xの前方側の壁面との間に種々の部品を収容する収容空間部SPを区画する区画部材でもある。当該収容空間部SPに収容される部品としては、例えば、車室内側INの運転席と対向する位置に設けられ運転者が操作するステアリングST等をボデーに支持するリンフォース、中空状に形成され内部を空気が流通可能な空調ダクト、各種ワイヤハーネス、電子部品等の構造物が挙げられる。以下、
図1、
図2、
図3を参照して当該インパネユニット100に適用される表示装置1の構成について詳細に説明する。なお、
図1は、インパネ101の内部構造の図示を省略している。
【0015】
具体的には、表示装置1は、投影面2と、プロジェクタ3と、制御装置4とを備える。
【0016】
投影面2は、インパネ101の投影面設置面101aに設けられるスクリーンである。投影面設置面101aは、車両Vに設けられるインパネ101の車室内側INの面、さらに言えば、インパネ101における最も車室内側INの表面によって構成される。投影面設置面101aは、インパネ101における内装面を構成する。投影面2は、投影面設置面101aにおいてプロジェクタ3から画像を表す投影光が投影される領域であり、任意の位置に設定される。ここでは、投影面2は、インパネ101の車両幅方向Yの中央Cを基準として車両Vの運転席側とは反対側、言い換えれば、ステアリングSTが設けられる側とは反対側に設けられる。本実施形態の投影面2は、インパネ101の車両幅方向Yの左側に設けられる。さらに言えば、本実施形態の投影面2は、インパネ101において、予め想定される目視位置EPから目視可能な位置、典型的には、車両高さ方向Z(鉛直方向)上側で、かつ、車両前後方向Xに対して当該目視位置EPと対向する位置に設けられる。ここでは、投影面2は、投影面設置面101aにおいて、車両前後方向Xの後方側に位置する平面部101bの車両前後方向Xの前方側に位置する。平面部101bは、投影面設置面101aにおいて、車両前後方向Xの後方側に略水平面として形成されており、車両幅方向Yに沿って延在している。投影面2は、投影面設置面101aにおいて、当該平面部101bに対して車両高さ方向Zに沿って立設される。ここでは、投影面2は、当該平面部101bに対して略垂直に交わるように形成される。投影面2は、車両幅方向Yに沿って延在する横長の領域として形成される。ここで、目視位置EPは、典型的には、表示装置1、インパネユニット100が適用される車両Vにおけるいわゆるアイレンジ内に位置するものとして予め想定される。ここで、アイレンジとは、「自動車の運転者アイレンジ」であり、車両Vに応じて予め定まる運転者の視点が位置する領域に相当する。アイレンジは、典型的には、車両Vにおいて運転者の目の位置の分布を統計的に表したものであり、例えば、運転者が運転席に座った状態で所定割合(例えば、95%)の運転者の目の位置が含まれる領域に相当する。なおここでは、目視位置EPは、車両Vの運転者を基準として想定しているがこれに限らず車両Vの他の乗員を基準として想定してもよい。
【0017】
本実施形態の投影面2を含む投影面設置面101aは、典型的には、光を透過しない面として構成される。そして、投影面2は、投影面設置面101aにおいて、例えば、拡散型、あるいは、反射型のスクリーンを構成する。投影面2は、プロジェクタ3から画像を表す投影光が入射すると、その投影光を目視位置EPに向けて反射させ、運転者等に投影光が表す画像を視認させる。投影面2は、投影面設置面101aにおいてプロジェクタ3から投影される画像を表す投影光を良好に正反射させるため、例えば、微細加工等の表面加工、表面塗装、あるいは、樹脂シート等が施されている。また、投影面2は、例えば、いわゆるマイクロレンズアレイ等の光学系表面層が施されていてもよい。
【0018】
また、本実施形態の投影面2は、
図4にも示すように、凹面形状に形成された凹面形状部2aを有する。凹面形状部2aは、投影面2を車両高さ方向Zに沿って視た当該投影面2の車両高さ方向視(
図4参照)にて、目視位置EPとは反対側に凹部状に湾曲しプロジェクタ3からの投影光を目視位置EP側に集光する凹面形状に形成された部分である。凹面形状部2aは、投影面2において、車両前後方向Xに対して目視位置EPから相対的に離間した位置、ここでは、車両幅方向Yの左側の端部に設けられる。さらに、投影面2は、車両前後方向Xに対して目視位置EPに相対的に近接した領域、典型的には、車両前後方向Xに対して目視位置EPと正面に対向する位置の近傍の領域が平面形状部2bを構成する。平面形状部2bは、投影面2において、車両前後方向Xに沿って略平面形状に形成された部分である。凹面形状部2aの湾曲した凹面形状は、例えば、プロジェクタ3のミラー32aと目視位置EPと当該凹面形状部2aの位置との幾何学的な位置関係等に応じて、プロジェクタ3からの投影光を目視位置EP側に集光するように定められる。投影面2の凹面形状部2aは、典型的には、プロジェクタ3から投影され入射した投影光の各反射角が、当該投影光の反射光が目視位置EPに向かって集光される角度となるような曲面として湾曲した凹面形状に形成される。なお、投影面2は、さらに、車両幅方向Yに沿って視た車両幅方向視にて、目視位置EPとは反対側に凹部状に湾曲しプロジェクタ3からの投影光を目視位置EP側に集光する凹面形状が付された部分が設けられていてもよい。
【0019】
なおここでは、表示装置1は、フード部102が車両前後方向Xに沿って投影面2の車両高さ方向Zの上側まで張り出している。フード部102は、インパネ101の車両高さ方向Zの上側に設けられる庇部材である。フード部102は、インパネ101と並行して、車両幅方向Yに沿って右側の端から左側の端まで延在する。
【0020】
プロジェクタ3は、画像を投影するもの、より詳細には、投影面2に向けて画像を表す投影光を投影し当該投影面2に当該投影光による画像を映すものである。プロジェクタ3は、本体部31と、反射部32とを備える。プロジェクタ3は、本体部31、反射部32が筐体に収容され組み付けられることでユニット化されていてもよい。プロジェクタ3は、典型的には、投影面2が設けられる投影面設置面101aにできる限り近接させて配置し投影面2への至近投影を実現するべく、いわゆる短焦点プロジェクタが用いられることが好ましい。本実施形態のプロジェクタ3は、反射部32としてミラー32aを含んで構成される。そして、プロジェクタ3は、当該反射部32を構成するミラー32aによる1つの反射系、及び、本体部31を構成するプロジェクションレンズ等のレンズ系によって屈曲投影光学系を構成することで短焦点化を実現している。
【0021】
本体部31は、画像を表す投影光を出射するプロジェクタ本体であり、LED素子等の光源、投影する画像の原画像を形成するマイクロディスプレイ等の表示パネル、プロジェクションレンズ(投影レンズ、結像レンズ)等のレンズ系を含んで構成される。本実施形態の本体部31は、インパネ101上でかつ車両前後方向Xに対して目視位置EPと投影面2との間の位置に設けられる。ここでは、本体部31は、インパネ101の投影面設置面101aの平面部101b上に設けられる。本体部31は、投影光を出射する出射部31aが車両前後方向Xに沿って投影面2とは反対側、すなわち、後方側を向く位置関係でインパネ101の平面部101b上に固定される。本体部31は、例えば、ボルト等の締結部材や接着剤等を介して当該平面部101bに据え付けられる。本体部31は、車両前後方向Xに沿って投影面2とは反対側、すなわち、後方側に向けて画像を表す投影光を出射する。本体部31は、例えば、
図1、
図3に示すように、車両Vの車室内側INに設けられた意匠部材103の車両前後方向Xの前方側において、目視位置EPから当該意匠部材103の死角になる位置に設けられることが好ましい。
【0022】
反射部32は、本体部31から出射された画像を表す投影光を投影面2に向けて反射する反射系を構成するものであり、ここでは、上述したようにミラー32aを含んで構成される。ミラー32aは、本体部31の出射部31aから出射された画像を表す投影光を投影面2に向けて全反射する。本実施形態のミラー32aは、当該投影光が表す画像を拡大して反射する拡大ミラーであり、かつ、当該投影光が表す画像の歪みを補正して反射する自由曲面ミラーでもある。拡大ミラーとして機能するミラー32aは、凹面、又は、凸面のミラーとして形成される。拡大ミラーとして機能するミラー32aは、当該ミラー32aにて反射する前の投影光が表す画像と比較して当該ミラー32aにて反射した後の投影光が表す画像が相対的に大きくなるように当該画像を拡大して反射する。また、自由曲面ミラーとして機能するミラー32aは、球面、放物面と異なり、光軸に対して非対称な形状のミラーとして形成され、非球面ミラーとも呼ばれる。つまり、ミラー32aは、凹面、又は、凸面で、かつ、光軸に対して非対称な形状のミラーとして形成される。自由曲面ミラーとして機能するミラー32aは、投影面2の表面形状や投影面2に対する当該ミラー32aの幾何学的な位置関係に応じた形状に形成され、投影光を投影面2に向けて反射する際に、投影面2に映る投影光が表す画像が所望の形状となるように光学的に歪みを補正する。ここでは、ミラー32aは、例えば、
図1、
図3に示すように、車両前後方向Xに対して本体部31と意匠部材103との間に設けられる。ミラー32aは、例えば、意匠部材103の車両前後方向Xの前方側において、目視位置EPから当該意匠部材103の死角になる位置に設けられることが好ましい。ミラー32aは、例えば、ボルト等の締結部材や接着剤等を介してインパネ101に据え付けられる。
【0023】
制御装置4は、プロジェクタ3の各部を統括的に制御しプロジェクタ3による表示画像を制御するものである。制御装置4は、CPU、ROM、RAM及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路を含んで構成される。制御装置4は、インターフェースを介してプロジェクタ3と電気的に接続される。制御装置4は、上述したワイヤハーネス等を介してプロジェクタ3に接続されていてもよいし、プロジェクタ3の本体部31内に収容されプロジェクタ3と一体で構成されてもよい。また、制御装置4は、車両Vの全体を統括的に制御するECU(Electronic Control Unit)等と兼用されてもよいし、当該ECUとは別個に構成され、相互に検出信号や駆動信号、制御指令等の情報の授受を行う構成であってもよい。制御装置4は、ROM、RAM等に格納されている制御プログラムを実行することにより、プロジェクタ3に制御信号を出力し、当該プロジェクタ3の動作を制御し、当該プロジェクタ3が投影面2に映す画像を制御するための種々の処理を実行する。制御装置4は、例えば、車両Vの外部、すなわち、車室外側を撮像する撮像装置4Aと電気的に接続され、当該撮像装置4Aが撮像した画像に基づいてプロジェクタ3を制御し、車両Vの運転席側から視た助手席側、ここでは、車両幅方向Yの左側の死角情報を含む画像を投影面2に投影させる。また、制御装置4は、プロジェクタ3を制御し、死角情報の他、車両情報として、例えば、車両の速度、積算走行距離、冷却水温、走行用動力源の出力回転数、燃料残量、バッテリ蓄電量、各種の警告灯(ウォーニングランプ、いわゆるテルテール)、シフトポジションインジケータ、方向指示記号、ナビゲーション情報等を含む画像を投影面2に投影させてもよい。
【0024】
以上で説明した表示装置1、インパネユニット100は、プロジェクタ3から車両Vのインパネ101の車室内側INの面に目視位置EPと対向して設けられた投影面2に向けて画像を表す投影光が投影される。そして、表示装置1は、インパネ101上でかつ目視位置EPと投影面2との間の位置にプロジェクタ3が設けられる。この構成により、表示装置1は、プロジェクタ3から投影面2までの投影光の光路上に車両Vの乗員や荷物等の障害物体が介在し難い構成とすることができるので、当該投影光が投影面2に至る前に遮られ難い構成とすることができる。またこの構成により、表示装置1は、インパネ101の内側の空間部である収容空間部SP側に影響を与えることも抑制することができ、車両Vへの搭載性を向上することができる。さらに構成により、表示装置1は、車室内側IN内において、例えば、投影面2を極力ウインドシールドWSに近づけて設けることができるので、この点でも車両Vへの搭載性を向上することができる。また、表示装置1は、投影面2と、当該投影面2に画像を投影するプロジェクタ3との双方がインパネ101に設けられる。この構成により、表示装置1は、例えば、車両Vが振動しても投影面2とプロジェクタ3との双方がインパネ101と共に振動し、投影面2とプロジェクタ3との相対的な位置関係が変動し難い構成とすることができる。この構成により、表示装置1は、投影面2に投影された画像がぶれ難い構成とすることができる。この結果、表示装置1、インパネユニット100は、車両Vのインパネ101へ適正に画像を投影することができる。
【0025】
さらに、以上で説明した表示装置1、インパネユニット100は、プロジェクタ3が本体部31、及び、反射部32を含んで構成されるので、当該反射部32を介して光路を変更しながら画像を表す投影光を投影面2に向けて投影することができる。より詳細には、表示装置1は、本体部31から車両前後方向Xの後方側に出射された投影光をミラー32aで反射し車両前後方向Xの前方側の投影面2に投影することができる。この結果、表示装置1は、プロジェクタ3から投影面2までの投影光の光路を調整することができるので、本体部31から出射される投影光の光軸方向(出射方向)と投影面2との位置関係を任意に調整することができる。
【0026】
また、以上で説明した表示装置1、インパネユニット100は、反射部32が拡大ミラーとして機能するミラー32aを含んで構成される。この構成により、表示装置1、インパネユニット100は、本体部31から出射された投影光が表す画像を所望の大きさに拡大して投影面2に投影することができ、この点でも車両Vのインパネ101へ適正に画像を投影することができる。
【0027】
また、以上で説明した表示装置1、インパネユニット100は、反射部32が自由曲面ミラーとして機能するミラー32aを含んで構成される。この構成により、表示装置1、インパネユニット100は、本体部31から出射された投影光が表す画像の歪みを補正して投影面2に投影することができ、この点でも車両Vのインパネ101へ適正に画像を投影することができる。
【0028】
さらに、以上で説明した表示装置1、インパネユニット100は、投影面2が車両高さ方向視にて目視位置EPとは反対側に凹部状に湾曲し凹面形状に形成された凹面形状部2aを有するので、プロジェクタ3からの投影光を目視位置EP側に集光することができる。ここでは、表示装置1は、投影面2において、車両前後方向Xに対して目視位置EPから相対的に離間した位置に凹面形状部2aが設けられる一方、車両前後方向Xに対して目視位置EPに相対的に近接した位置に平面形状部2bが設けられる。この構成により、表示装置1は、例えば、インパネ101の投影面設置面101aにおいて、車両幅方向Yに対して目視位置EPから相対的に離間した位置にも適正に投影光を投影し投影面2とすることができる。この結果、表示装置1は、投影光による画像が投影される投影面2を相対的に広く確保することができる。またこの構成により、表示装置1は、投影面2全体において、目視位置EPからの視線と当該投影面2とがなす角度を略直角に近づけることができ、目視位置EPと投影面2の各部とが可能な限り正対する位置関係に近づけることができるので、目視位置EPから投影面2全体を視認し易くすることができる。またこの構成により、表示装置1は、投影面2全体において、投影光のうち目視位置EP側に反射する成分を相対的に増やすことができるので、目視位置EPから目視できる画像に輝度ムラが発生することを抑制することができる。
【0029】
なお、上述した本発明の実施形態に係る表示装置、及び、内装部材ユニットは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0030】
以上で説明したプロジェクタ3は、反射部32を備えるものとして説明したがこれに限らず、反射部32を備えず、本体部31から反射部材を介さずに直接投影面2に画像を投影するものでもよい。
【0031】
以上で説明した反射部32は、ミラー32aを含むものとして説明したがこれに限らず、例えば、ミラーが複数介在していてもよい。また、ミラー32aは、拡大ミラーであり、かつ、自由曲面ミラーであるものとして説明したがこれに限らない。例えば、プロジェクタ3は、本体部31から出射される投影光が表す画像自体を画像処理によって歪ませておくことで、投影面2に映る画像が所望の形状となるようにしてもよい。
【0032】
以上で説明した投影面2は、インパネ101の車両幅方向Yの中央Cを基準として車両Vの運転席側とは反対側に設けられるものとして説明したがこれに限らず、インパネ101の車室内側INの面に設けられるものであればよい。
【符号の説明】
【0033】
1 表示装置
2 投影面
2a 凹面形状部
3 プロジェクタ
31 本体部
32 反射部
100 インパネユニット、インストルメントパネルユニット(内装部材ユニット)
101 インパネ、インストルメントパネル(内装部材)
EP 目視位置
IN 車室内側
V 車両
X 車両前後方向
Y 車両幅方向
Z 車両高さ方向