(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
右旋円偏波又は左旋円偏波のいずれか一方の1波長に相当する長さから成る第1線状導体が一端から他端に渡って円形状に形成され前記一端と前記他端との間で電流が流れる外側導体と、
前記外側導体の内側に設けられ、前記右旋円偏波又は前記左旋円偏波のいずれか他方の1波長に基づく長さから成る、前記第1線状導体とは異なる第2線状導体の始点が前記一端又は前記他端のいずれか一方に接続され前記第2線状導体の終点が非接続状態で前記外側導体の内側に位置し前記始点と前記終点との間で曲がり形状に形成された曲部を有し前記外側導体とは逆向きに電流が流れるように設けられた内側導体と、
を備えることを特徴とするアンテナ。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るアンテナの構成例を示す正面図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係るアンテナのXPDを示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係るアンテナのVSWRを示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係るアンテナのインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態1に係るアンテナの軸比を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態1に係るアンテナの指向特性を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態1の変形例1に係るアンテナの構成例を示す正面図である。
【
図8】
図8は、実施形態1の変形例1に係るアンテナのXPDを示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態1の変形例1に係るアンテナのVSWRを示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態1の変形例1に係るアンテナのインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【
図11】
図11は、実施形態1の変形例1に係るアンテナの軸比を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態1の変形例1に係るアンテナの指向特性を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態1の変形例2に係るアンテナの構成例を示す正面図である。
【
図14】
図14は、実施形態1の変形例2に係るアンテナのXPDを示す図である。
【
図15】
図15は、実施形態1の変形例2に係るアンテナのVSWRを示す図である。
【
図16】
図16は、実施形態1の変形例2に係るアンテナのインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【
図17】
図17は、実施形態1の変形例2に係るアンテナの指向特性を示す図である。
【
図18】
図18は、実施形態1の変形例3に係るアンテナの構成例を示す正面図である。
【
図19】
図19は、実施形態1の変形例3に係るアンテナのXPDを示す図である。
【
図20】
図20は、実施形態1の変形例3に係るアンテナのVSWRを示す図である。
【
図21】
図21は、実施形態1の変形例3に係るアンテナのインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【
図22】
図22は、実施形態1の変形例3に係るアンテナの軸比を示す図である。
【
図23】
図23は、実施形態1の変形例3に係るアンテナの指向特性を示す図である。
【
図24】
図24は、実施形態1の変形例4に係るアンテナの構成例を示す正面図である。
【
図25】
図25は、実施形態1の変形例4に係るアンテナのXPDを示す図である。
【
図26】
図26は、実施形態1の変形例4に係るアンテナのVSWRを示す図である。
【
図27】
図27は、実施形態1の変形例4に係るアンテナのインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【
図28】
図28は、実施形態1の変形例4に係るアンテナの軸比を示す図である。
【
図29】
図29は、実施形態1の変形例4に係るアンテナの指向特性を示す図である。
【
図30】
図30は、実施形態2に係るアンテナの構成例を示す正面図である。
【
図31】
図31は、実施形態2に係るアンテナのXPDを示す図である。
【
図32】
図32は、実施形態2に係るアンテナのVSWRを示す図である。
【
図33】
図33は、実施形態2に係るアンテナのインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【
図34】
図34は、実施形態2に係るアンテナの軸比を示す図である。
【
図35】
図35は、実施形態2に係るアンテナの指向特性を示す図である。
【
図36】
図36は、実施形態2の変形例に係るアンテナの構成例を示す正面図である。
【
図37】
図37は、実施形態2の変形例に係るアンテナのXPDを示す図である。
【
図38】
図38は、実施形態2の変形例に係るアンテナのVSWRを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0014】
〔実施形態1〕
実施形態1に係るアンテナ1について説明する。アンテナ1は、例えば、GPS(Global Positioning System)の右旋円偏波を受信するアンテナである。ここで、GPSの右旋円偏波は、例えば、周波数が1.575GHzである。アンテナ1は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに銀ペースト等の導体が印刷されて形成されるが、これに限定されず、導電性インク、導体薄膜等により形成してもよい。アンテナ1は、例えば、車両に搭載され、当該車両のルーフ内部、フロントガラス、インストルメントパネル(樹脂部材)等の誘電体の設置面2に設けられる。以下、アンテナ1について詳細に説明する。
【0015】
アンテナ1は、
図1に示すように、外側導体10と、第1及び第2給電線21、22と、内側導体30とを備える。外側導体10は、例えば、GPSの右旋円偏波を受信するアンテナである。外側導体10は、設置面2に設けられ、一端としての第1給電点11と、他端としての第2給電点12と、本体部13とを有する。本実施形態1では、例えば、第1給電点11が負極であり、第2給電点12が正極である。本体部13は、第1線状導体が第1給電点11から第2給電点12に渡って円形状に形成された部分である。ここで、第1線状導体は、GPSの右旋円偏波の1波長に相当する長さから成る。本体部13は、第1給電点11と第2給電点12との間に隙間を有する。外側導体10は、本体部13の周方向に沿って第1給電点11と第2給電点12との間で電流が流れる。実施形態1では、外側導体10は、GPSの右旋円偏波を受信するので、設置面2を視て第1給電点11と第2給電点12との間で時計回りに電流が流れる。つまり、外側導体10は、右旋円偏波を受信時に、正極の第2給電点12から負極の第1給電点11に向けて電流が流れる。
【0016】
第1及び第2給電線21、22は、例えば、本体部13で受電した電流を流す導電線である。第1給電線21は、一端が外側導体10の第1給電点11に接続され、他端が図示しない受信回路に接続される。第2給電線22は、一端が外側導体10の第2給電点12に接続され、他端が受信回路に接続される。第1及び第2給電線21、22は、本体部13で受電した電流を受信回路に流す。
【0017】
内側導体30は、左旋円偏波の受信を抑制する部分である。内側導体30は、設置面2且つ外側導体10の内側に設けられ、曲部としての円形部31と、連結部32とを有する。円形部31及び連結部32は、第1線状導体とは異なる第2線状導体から形成される。ここで、第2線状導体は、例えば、GPSの左旋円偏波の1波長に基づく長さから成る。円形部31は、円形状に形成され、第2線状導体の始点31aが連結部32を介して負極の第1給電点11に接続され、第2線状導体の終点31bが非接続状態で外側導体10の内側に位置する。円形部31は、始点31aと終点31bとの間に隙間を有する。内側導体30は、外側導体10とは逆向きに電流が流れるように形成される。具体的には、内側導体30は、設置面2を視て外側導体10の周方向に沿って円形部31が反時計周りに始点31aから終点31bまで延在する。内側導体30は、円形部31の周方向に沿って始点31aから終点31bに向けて電流が流れる。つまり、内側導体30は、設置面2を視て、第1給電点11に接続された始点31aから非接続状態の終点31bに向けて反時計回りに電流が流れる。連結部32は、円形部31の始点31aと外側導体10の第1給電点11とを接続する部分である。連結部32は、外側導体10の径方向に沿って延在する。
【0018】
次に、実施形態1のアンテナ1のシミュレーション結果について説明する。実施形態1では、シミュレーションにおけるアンテナ1の構成として、厚さが0.25mmのPETフィルムの上に厚さが0.01mmの銀ペーストにより幅長が1mmのアンテナ1のパターンを印刷し、その上下を0.1mmの厚さのPETフィルムにより挟む構成とした。PETフィルムの誘電率は、「3」とした。内側導体30と外側導体10とを連結する連結部32の長さは、1mmとした。
図2は、内側導体30の半径Rを8mm〜11mmまで0.5mm程度の間隔で変化させた場合におけるアンテナ1の交差偏波識別度(XPD;Cross Polarization Discrimination)を示す図である。
図2は、縦軸がXPDの値を示し、横軸が周波数を示す。
図2に示すシミュレーション結果によれば、アンテナ1は、周波数が1.6GHzにおいて、内側導体30の半径Rが8mmの場合にXPDが最も大きくその値が25dB程度(図中P1)であり左旋円偏波の利得を抑制していることが分かる。
図3は、内側導体30の半径Rを8mm〜11mmまで0.5mm程度の間隔で変化させた場合におけるアンテナ1の電圧定在波比(VSWR;Voltage Standing Wave Ratio)を示す図である。
図3は、縦軸がVSWRの値を示し、横軸が周波数を示す。
図3に示すシミュレーション結果によれば、アンテナ1は、周波数が1.6GHzにおいて、内側導体30の半径Rが8mmの場合、その値が5.6程度(図中P2)であり電力効率が相対的によくないことが分かる。
図4は、内側導体30の半径Rが8mmの場合におけるインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
図4に示すシミュレーション結果によれば、周波数が1.6GHzにおいて、内側導体30の半径Rが8mmの場合、反射の大きさが0.69程度であり、位相が−58程度(図中P3)であり、反射が相対的に大きいことが分かる。
図5は、内側導体30の半径R8mmの場合における軸比(AR;Axial Ratio)を示す図である。
図5は、縦軸が軸比を示す値であり、横軸が周波数である。
図5に示すシミュレーション結果によれば、アンテナ1は、周波数が1.6GHzにおいて、内側導体30の半径Rが8mmの場合、軸比が1.1dB程度(図中P4)であり軸比が良好であることが分かる。
図6は、内側導体30の半径Rが8mmの場合における指向特性を示す図である。
図6に示すシミュレーション結果によれば、内側導体30の半径Rが8mmの場合、右旋円偏波と左旋円偏波とが対称になっており各円偏波の指向特性に対称性があることが分かる。この対称性により、アンテナ1は、裏返して設置することにより外側導体10が左旋円偏波を受信することができる。左旋円偏波を受信する場合、内側導体30は、設置面2を視て円形部31が時計周りに始点31aから終点31bまで延在する。
【0019】
以上のように、実施形態1に係るアンテナ1は、外側導体10と、内側導体30とを備える。外側導体10は、右旋円偏波の1波長に相当する長さから成る第1線状導体が第1給電点11から第2給電点12に渡って円形状に形成され、第1給電点11と第2給電点12との間で電流が流れる。内側導体30は、外側導体10の内側に設けられ、左旋円偏波の1波長に基づく長さから成る、第1線状導体とは異なる第2線状導体から形成される。そして、内側導体30は、第2線状導体の始点31aが第1給電点11に接続され、第2線状導体の終点31bが非接続状態で外側導体10の内側に位置する。そして、内側導体30は、始点31aと終点31bとの間で曲がり形状に形成された曲部としての円形部31を有し外側導体10とは逆向きに電流が流れるように設けられる。
【0020】
この構成により、アンテナ1は、右旋円偏波による電流が外側導体10に流れ、左旋円偏波による電流が内側導体30に流れる。この構成により、アンテナ1は、左旋円偏波による電流が外側導体10に流れることを抑制できる。この抑制により、アンテナ1は、右旋円偏波の利得を向上することができる。この結果、アンテナ1は、XPDを向上でき、右旋円偏波を良好に受信することができる。アンテナ1は、外側導体10が円形状であるので、右旋円偏波の真円度を表す軸比を良好な値とすることができる。アンテナ1は、例えば、第1及び第2線状導体を印刷することにより製造できるので、従来のようにアンテナ1を組み立てる場合と比較して製造工数を抑制でき、コストを抑制できる。そして、アンテナ1は、印刷により製造できるので、従来のようにアンテナ1を固定する部材(固定ステー)を不要とすることができ、部品点数を抑制できる。また、アンテナ1は、従来のパッチアンテナと比較して、厚みを薄く形成することができると共に可撓性を有することができ、設置場所に柔軟に対応することができる。例えば、アンテナ1は、車両のルーフ内部に設置することができる。
【0021】
また、上記アンテナ1において、外側導体10及び内側導体30は、設置面2に設けられ、内側導体30は、外側導体10が右旋円偏波を受信する場合、設置面2を視て反時計周りに始点31aから終点31bまで延在する。この構成により、アンテナ1は、左旋円偏波による電流が内側導体30に流れるので、左旋円偏波による電流が外側導体10に流れることを抑制できXPDを向上できる。
【0022】
また、上記アンテナ1において、内側導体30は、曲部として円形状に形成された円形部31を有する。この構成により、アンテナ1は、左旋円偏波による電流が内側導体30の円形部31に流れ、左旋円偏波による電流が外側導体10に流れることを抑制できXPDを向上できる。
【0023】
〔実施形態1の変形例1〕
次に、実施形態1の変形例1に係るアンテナ1Aについて説明する。なお、変形例1は、実施形態1と同等の構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。変形例1のアンテナ1Aは、内側導体30と外側導体10とを連結する連結部32Aの長さHを1mm〜10mmまで1mm間隔で変化させた点で実施形態1と異なる。アンテナ1Aは、実施形態1のアンテナ1よりも連結部32Aを径方向に沿って1mm〜10mmまで長くするにつれて、内側導体30がその分だけ外側導体10の中心に近づく位置に設けられる。なお、
図7には、連結部32Aの長さHを8mmにした場合におけるアンテナ1Aの構成を図示している。
図8は、連結部32Aの長さHを1mm〜10mmまで1mm間隔で変化させた場合におけるアンテナ1AのXPDを示す図である。
図8は、縦軸がXPDの値を示し、横軸が周波数を示す。
図8に示すシミュレーション結果によれば、アンテナ1Aは、周波数が1.6GHzにおいて、連結部32Aの長さHが1mmの場合にXPDが最も大きくその値が19dB程度(図中P5)であり左旋円偏波の利得を抑制していることが分かる。
図9は、連結部32Aの長さHを1mm〜10mmまで1mm間隔で変化させた場合におけるアンテナ1AのVSWRを示す図である。
図9は、縦軸がVSWRの値を示し、横軸が周波数を示す。
図9に示すシミュレーション結果によれば、アンテナ1Aは、周波数が1.6GHzにおいて、連結部32Aの長さHが1mmの場合、VSWRが4.5程度(図中P6)であり電力効率が相対的によくないことが分かる。また、アンテナ1Aは、周波数が1.6GHzにおいて、連結部32Aの長さHが8mmの場合、VSWRが2.0程度(図中P7)であり電力効率が相対的によく、XPDが11.5dB程度(図中P8)でありXPDが相対的によい結果であり、連結部32Aの長さHが8mmの場合にバランスがとれていることが分かる。
図10は、連結部32Aの長さHが8mmの場合におけるインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
図10に示すシミュレーション結果によれば、周波数が1.6GHzにおいて、連結部32Aの長さHが8mmの場合、反射の大きさが0.2程度であり、位相が−74程度(図中P9)であり、反射が実施形態1のアンテナ1よりも小さいことが分かる。
図11は、連結部32Aの長さHが8mmの場合における軸比を示す図である。
図11は、縦軸が軸比を示す値であり、横軸が周波数である。
図11に示すシミュレーション結果によれば、アンテナ1Aは、周波数が1.6GHzにおいて、連結部32Aの長さHが8mmの場合、軸比が1.8dB程度(図中P10)であり、軸比が実施形態1のアンテナ1よりもよくない結果であることが分かる。
図12は、連結部32Aの長さHが8mmの場合における指向特性を示す図である。
図12に示すシミュレーション結果によれば、連結部32Aの長さHが8mmの場合、右旋円偏波と左旋円偏波とが対称になっており各円偏波の指向特性に対称性があることが分かる。この対称性により、アンテナ1Aは、裏返して設置することにより外側導体10が左旋円偏波を受信することができる。左旋円偏波を受信する場合、内側導体30は、設置面2を視て円形部31が時計周りに始点31aから終点31bまで延在する。
【0024】
以上のように、実施形態1の変形例1に係るアンテナ1Aは、GPSの右旋円偏波の1波長に相当する長さから成る外側導体10と、GPSの左旋円偏波の1波長に基づく長さから成る円形部31及び連結部32Aを有する内側導体30とを備える。アンテナ1Aは、連結部32Aの長さHが8mmである。この構成により、アンテナ1Aは、VSWRを実施形態1のアンテナ1よりも小さくすることができ電力効率を実施形態1のアンテナ1よりも向上できる。また、アンテナ1Aは、XPDが実施形態1のアンテナ1よりも小さいが11.5dBを確保することができ、バランスのとれた性能を発揮することができる。また、アンテナ1Aは、指向特性における対称性によりアンテナ1Aを裏返して設置することで外部導体10が左旋円偏波を受信することができる。
【0025】
〔実施形態1の変形例2〕
次に、実施形態1の変形例2に係るアンテナ1Bについて説明する。なお、変形例2は、実施形態1及び変形例1と同等の構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。変形例2の内側導体30Bは、
図13に示すように、実施形態1の円形部31の代わりにC字状の円弧部31Bを有する点で実施形態1及び変形例1と異なる。円弧部31Bは、第2線状導体の始点31aが連結部32を介して負極の第1給電点11に接続され、第2線状導体の終点31bが非接続状態で外側導体10の内側に位置する。ここで、第2線状導体は、上述のように、例えば、GPSの左旋円偏波の1波長に基づく長さから成る。内側導体30Bは、外側導体10とは逆向きに電流が流れるように形成される。具体的には、内側導体30Bは、設置面2を視て外側導体10の周方向に沿って円弧部31Bが反時計周りに始点31aから終点31bまで延在する。内側導体30Bは、例えば、外側導体10の半径をrとした場合、円弧部31Bの半径が1/2rであり、円弧部31Bの円周が3/4πrである。内側導体30Bは、中心が第1給電点11から1/4rの距離に位置する。内側導体30Bは、円弧部31Bの周方向に沿って始点31aから終点31bに向けて電流が流れる。つまり、内側導体30Bは、設置面2を視て、第1給電点11に接続された始点31aから非接続状態の終点31bに向けて反時計回りに電流が流れる。連結部32は、円弧部31Bの始点31aと外側導体10の第1給電点11とを接続する部分である。連結部32は、外側導体10の径方向に沿って延在する。
【0026】
次に、実施形態1の変形例2のアンテナ1Bのシミュレーション結果について説明する。
図14は、アンテナ1BのXPDを示す図である。
図14は、縦軸がXPDの値を示し、横軸が周波数を示す。
図14に示すシミュレーション結果によれば、アンテナ1Bは、周波数が1.6GHzにおいて、XPDが12dB程度(図中P11)であり左旋円偏波の利得を抑制していることが分かる。
図15は、アンテナ1BのVSWRを示す図である。
図15は、縦軸がVSWRの値を示し、横軸が周波数を示す。
図15に示すシミュレーション結果によれば、アンテナ1Bは、周波数が1.6GHzにおいて、VSWRが2.0程度(図中P12)であり電力効率が相対的によいことが分かる。
図16は、インピーダンス特性を示すスミスチャートである。
図16に示すシミュレーション結果によれば、周波数が1.6GHzにおいて、反射の大きさが0.35程度で位相が−70程度(図中P13)であり、反射が相対的に小さいことが分かる。
図17は、指向特性を示す図である。
図17に示すシミュレーション結果によれば、右旋円偏波と左旋円偏波とが対称になっており各円偏波の指向特性に対称性があることが分かる。この対称性により、アンテナ1Bは、裏返して設置することにより外側導体10が左旋円偏波を受信することができる。左旋円偏波を受信する場合、内側導体30Bは、設置面2を視て円弧部31Bが時計周りに始点31aから終点31bまで延在する。
【0027】
以上のように、実施形態1の変形例2に係るアンテナ1Bは、GPSの右旋円偏波の1波長に相当する長さから成る外側導体10と、GPSの左旋円偏波の1波長に基づく長さから成る円弧部31B及び連結部32を有する内側導体30Bとを備える。この構成により、アンテナ1Bは、左旋円偏波の利得を抑制できると共に電力効率をよくすることができる。また、アンテナ1Bは、指向特性における対称性によりアンテナ1Bを裏返して設置することで外側導体10が左旋円偏波を受信することができる。
【0028】
〔実施形態1の変形例3〕
次に、実施形態1の変形例3に係るアンテナ1Cについて説明する。なお、変形例3は、実施形態1、変形例1、及び、変形例2と同等の構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。変形例3の内側導体30Cは、
図18に示すように、実施形態1の円形部31の代わりに矩形状の矩形部31Cを有する点で実施形態1等と異なる。矩形部31Cは、曲部の一例であり、例えば、正方形(菱形)の形状に形成される。矩形部31Cは、第2線状導体の始点31aが連結部32を介して負極の第1給電点11に接続され、第2線状導体の終点31bが非接続状態で外側導体10の内側に位置する。ここで、第2線状導体は、上述のように、例えば、GPSの左旋円偏波の1波長に基づく長さから成る。矩形部31Cは、始点31aと終点31bとの間に隙間を有する。内側導体30Cは、外側導体10とは逆向きに電流が流れるように形成される。具体的には、内側導体30Cは、設置面2を視て外側導体10の周方向に沿って矩形部31Cが反時計周りに始点31aから終点31bまで延在する。内側導体30Cは、矩形部31Cの周方向に沿って始点31aから終点31bに向けて電流が流れる。つまり、内側導体30Cは、設置面2を視て、第1給電点11に接続された始点31aから非接続状態の終点31bに向けて反時計回りに電流が流れる。連結部32は、矩形部31Cの始点31aと外側導体10の第1給電点11とを接続する部分である。連結部32は、外側導体10の径方向に沿って延在する。
【0029】
次に、実施形態1の変形例3のアンテナ1Cのシミュレーション結果について説明する。
図19は、アンテナ1CのXPDを示す図である。
図19は、縦軸がXPDの値を示し、横軸が周波数を示す。
図19に示すシミュレーション結果によれば、アンテナ1Cは、周波数が1.6GHzにおいて、XPDが16dB程度(図中P14)であり左旋円偏波の利得を抑制していることが分かる。
図20は、アンテナ1CのVSWRを示す図である。
図20は、縦軸がVSWRの値を示し、横軸が周波数を示す。
図20に示すシミュレーション結果によれば、アンテナ1Cは、周波数が1.6GHzにおいて、VSWRが2.6程度(図中P15)であり反射が相対的に小さいことが分かる。
図21は、インピーダンス特性を示すスミスチャートである。
図21に示すシミュレーション結果によれば、周波数が1.6GHzにおいて、反射の大きさが0.45程度であり、位相が−69程度(図中P16)であり、反射が相対的に小さいことが分かる。
図22は、軸比を示す図である。
図22は、縦軸が軸比を示す値であり、横軸が周波数である。
図22に示すシミュレーション結果によれば、アンテナ1Cは、周波数が1.6GHzにおいて、軸比が1.4dB程度(図中P17)であり軸比が相対的によいことが分かる。
図23は、指向特性を示す図である。
図23に示すシミュレーション結果によれば、右旋円偏波と左旋円偏波とが対称になっており各円偏波の指向特性に対称性があることが分かる。この対称性により、アンテナ1Cは、裏返して設置することにより外側導体10が左旋円偏波を受信することができる。左旋円偏波を受信する場合、内側導体30Cは、設置面2を視て矩形部31Cが時計周りに始点31aから終点31bまで延在する。
【0030】
以上のように、実施形態1の変形例3に係るアンテナ1Cは、GPSの右旋円偏波の1波長に相当する長さから成る外側導体10と、GPSの左旋円偏波の1波長に基づく長さから成る矩形部31C及び連結部32を有する内側導体30Cとを備える。この構成により、アンテナ1Cは、左旋円偏波の利得を抑制できると共に電力効率をよくすることができる。また、アンテナ1Cは、指向特性における対称性によりアンテナ1Cを裏返して設置することで外側導体10が左旋円偏波を受信することができる。
【0031】
〔実施形態1の変形例4〕
次に、実施形態1の変形例4に係るアンテナ1Dについて説明する。なお、変形例4は、実施形態1、変形例1、変形例2、及び、変形例3と同等の構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。変形例4の内側導体30Dは、
図24に示すように、実施形態1の円形部31の代わりにL字状のL字部31Dを有する点で実施形態1等と異なる。L字部31Dは、曲部の一例であり、第2線状導体の始点31aが連結部32を介して負極の第1給電点11に接続され、第2線状導体の終点31bが非接続状態で外側導体10の内側に位置する。ここで、第2線状導体は、上述のように、例えば、GPSの左旋円偏波の1波長に基づく長さから成る。内側導体30Dは、外側導体10とは逆向きに電流が流れるように形成される。具体的には、内側導体30Dは、設置面2を視てL字部31Dが反時計周りに始点31aから終点31bまで延在する。L字部31Dは、例えば、始点31aを有する第1辺が外側導体10の径方向に沿って外側導体10の略中心まで延在し、終点31bを有する第2辺が第1辺に対し略直角に延在する。そして、L字部31Dは、第1辺の長さと第2辺の長さとが同等に形成される。内側導体30Dは、L字部31Dの始点31aから終点31bに向けて電流が流れる。つまり、内側導体30Dは、設置面2を視て、第1給電点11に接続された始点31aから非接続状態の終点31bに向けて反時計回りに電流が流れる。連結部32は、L字部31Dの始点31aと外側導体10の第1給電点11とを接続する部分である。連結部32は、外側導体10の径方向に沿って延在する。連結部32は、第1辺の延在方向の始点31a側の端部ともいえる。
【0032】
次に、実施形態1の変形例4のアンテナ1Dのシミュレーション結果について説明する。
図25は、アンテナ1DのXPDを示す図である。
図25は、縦軸がXPDの値を示し、横軸が周波数を示す。
図25に示すシミュレーション結果によれば、アンテナ1Dは、周波数が1.6GHzにおいて、XPDが10dB程度(図中P18)であり左旋円偏波の利得を抑制していることが分かる。
図26は、アンテナ1DのVSWRを示す図である。
図26は、縦軸がVSWRの値を示し、横軸が周波数を示す。
図26に示すシミュレーション結果によれば、アンテナ1Dは、周波数が1.6GHzにおいて、VSWRが1.8程度(図中P19)であり反射が相対的に小さいことが分かる。
図27は、インピーダンス特性を示すスミスチャートである。
図27に示すシミュレーション結果によれば、周波数が1.6GHzにおいて、反射の大きさが0.29程度であり、位相が−54程度(図中P20)であり、反射が相対的に小さいことが分かる。
図28は、軸比を示す図である。
図28は、縦軸が軸比を示す値であり、横軸が周波数である。
図28に示すシミュレーション結果によれば、アンテナ1Dは、周波数が1.6GHzにおいて、軸比が1.9dB程度(図中P21)であり、軸比が実施形態1のアンテナ1よりもよくない結果であることが分かる。
図29は、指向特性を示す図である。
図29に示すシミュレーション結果によれば、右旋円偏波と左旋円偏波とが対称になっており各円偏波の指向特性に対称性があることが分かる。この対称性により、アンテナ1Dは、裏返して設置することにより外側導体10が左旋円偏波を受信することができる。左旋円偏波を受信する場合、内側導体30Dは、設置面2を視てL字部31Dが時計周りに始点31aから終点31bまで延在する。
【0033】
以上のように、実施形態1の変形例4に係るアンテナ1Dは、GPSの右旋円偏波の1波長に相当する長さから成る外側導体10と、GPSの左旋円偏波の1波長に基づく長さから成るL字部31D及び連結部32を有する内側導体30Dとを備える。この構成により、アンテナ1Dは、左旋円偏波の利得を抑制できると共に電力効率をよくすることができる。また、アンテナ1Dは、指向特性における対称性によりアンテナ1Dを裏返して設置することで外部導体10が左旋円偏波を受信することができる。
【0034】
〔実施形態2〕
次に、実施形態2に係るアンテナ1Eについて説明する。なお、実施形態2は、実施形態1、変形例1、変形例2、変形例3、及び、変形例4と同等の構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。実施形態2の内側導体30Eは、
図30に示すように、ETCの右旋円偏波を受信する点で実施形態1等と異なる。ETCの右旋円偏波は、例えば、周波数が5.8GHzである。実施形態2のアンテナ1Eは、実施形態1のアンテナ1と同等の形状に形成され、受信する電波の周波数がGPSよりも高いのでサイズが小さく形成される。実施形態2に係るアンテナ1Eは、外側導体10Eと、第1及び第2給電線21、22と、内側導体30Eとを備える。外側導体10Eは、ETCの右旋円偏波を受信するアンテナである。外側導体10Eは、設置面2に設けられ、本体部13Eと、一端としての第1給電点11と、他端としての第2給電点12とを有する。本実施形態2では、第1給電点11が負極であり、第2給電点12が正極である。本体部13Eは、第1線状導体が第1給電点11から第2給電点12に渡って円形状に形成された部分である。ここで、第1線状導体は、ETCの右旋円偏波の1波長に相当する長さから成る。本体部13Eは、第1給電点11と第2給電点12との間に隙間を有する。外側導体10Eは、本体部13Eの周方向に沿って第1給電点11と第2給電点12との間で電流が流れる。実施形態2では、外側導体10Eは、ETCの右旋円偏波を受信するので、設置面2を視て第1給電点11と第2給電点12との間で時計回りに電流が流れる。
【0035】
内側導体30Eは、左旋円偏波の受信を抑制する部分である。内側導体30Eは、設置面2且つ外側導体10Eの内側に設けられ、円形部31Eと、連結部32とを有する。円形部31E及び連結部32は、第2線状導体から形成される。ここで、第2線状導体は、例えば、ETCの左旋円偏波の1波長に基づく長さから成る。円形部31Eは、円形状に形成され、第2線状導体の始点31aが連結部32を介して負極の第1給電点11に接続され、第2線状導体の終点31bが非接続状態で外側導体10Eの内側に位置する。円形部31Eは、始点31aと終点31bとの間に隙間を有する。内側導体30Eは、外側導体10Eとは逆向きに電流が流れるように形成される。具体的には、内側導体30Eは、設置面2を視て外側導体10Eの周方向に沿って円形部31Eが反時計周りに始点31aから終点31bまで延在する。内側導体30Eは、円形部31Eの周方向に沿って始点31aから終点31bに向けて電流が流れる。つまり、内側導体30Eは、設置面2を視て、第1給電点11に接続された始点31aから非接続状態の終点31bに向けて反時計回りに電流が流れる。連結部32は、円形部31Eの始点31aと外側導体10Eの第1給電点11とを接続する部分である。連結部32は、外側導体10Eの径方向に沿って延在する。
【0036】
次に、実施形態2のアンテナ1Eのシミュレーション結果について説明する。
図31は、アンテナ1EのXPDを示す図である。
図31は、縦軸がXPDの値を示し、横軸が周波数を示す。
図31に示すシミュレーション結果によれば、アンテナ1Eは、周波数が5.8GHzにおいて、XPDが27dB程度(図中P22)であり、左旋円偏波の利得を抑制していることが分かる。
図32は、アンテナ1EのVSWRを示す図である。
図32は、縦軸がVSWRの値を示し、横軸が周波数を示す。
図32に示すシミュレーション結果によれば、アンテナ1Eは、周波数が5.8GHzにおいて、VSWRが1.6程度(図中P23)であり反射が相対的に小さいことが分かる。
図33は、インピーダンス特性を示すスミスチャートである。
図33に示すシミュレーション結果によれば、周波数が5.8GHzにおいて、反射の大きさが0.23程度であり、位相が−179程度(図中P24)であり、反射が相対的に小さいことが分かる。
図34は、軸比を示す図である。
図34は、縦軸が軸比を示す値であり、横軸が周波数である。
図34に示すシミュレーション結果によれば、アンテナ1Eは、周波数が5.8GHzにおいて、軸比が1.1dB程度(図中P25)であり軸比が相対的によいことが分かる。
図35は、指向特性を示す図である。
図35に示すシミュレーション結果によれば、右旋円偏波と左旋円偏波とが対称になっており各円偏波の指向特性に対称性があることが分かる。この対称性により、アンテナ1Eは、裏返して設置することにより外側導体10Eが左旋円偏波を受信することができる。左旋円偏波を受信する場合、内側導体30Eは、設置面2を視て円形部31Eが時計周りに始点31aから終点31bまで延在する。
【0037】
以上のように、実施形態2に係るアンテナ1Eは、ETCの右旋円偏波の1波長に相当する長さから成る外側導体10Eと、ETCの左旋円偏波の1波長に基づく長さから成る円形部31E及び連結部32を有する内側導体30Eとを備える。この構成により、アンテナ1Eは、左旋円偏波の利得を抑制できると共に電力効率をよくすることができる。また、アンテナ1Eは、指向特性における対称性によりアンテナ1Eを裏返して設置することで外部導体10が左旋円偏波を受信することができる。
【0038】
なお、実施形態1、実施形態1の変形例1〜4、及び、実施形態2において、始点31aが負極の第1給電点11に接続される例について説明したが、これに限定されない。実施形態2の変形例のアンテナ1Fに示すように、内側導体30Fの始点31aは、正極の第2給電点12に接続されてもよい(
図36参照)。この場合、アンテナ1Fは、右旋と左旋との利得特性が反転して左旋円偏波を受信する。
図37は、アンテナ1FのXPDを示す図である。
図37は、縦軸がXPDの値を示し、横軸が周波数を示す。
図37に示すシミュレーション結果によれば、アンテナ1Fは、周波数が5.8GHzにおいて、XPDが22dB程度(図中P26)であり、右旋円偏波の利得を抑制していることが分かる。
図38は、アンテナ1FのVSWRを示す図である。
図38は、縦軸がVSWRの値を示し、横軸が周波数を示す。
図38に示すシミュレーション結果によれば、アンテナ1Fは、周波数が5.8GHzにおいて、VSWRが1.6程度(図中P27)であり反射が相対的に小さいことが分かる。
【0039】
また、実施形態1、実施形態1の変形例1〜4、実施形態2、及び、実施形態2の変形例において、外側導体10、10E及び内側導体30、30B、30C、30D、30E、30Fの長さを変更することで、GPS信号、ETC信号を受信することが可能である。