特許第6925905号(P6925905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6925905
(24)【登録日】2021年8月6日
(45)【発行日】2021年8月25日
(54)【発明の名称】容器製造装置、及び、容器製造方法
(51)【国際特許分類】
   B31B 50/28 20170101AFI20210812BHJP
【FI】
   B31B50/28
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-151059(P2017-151059)
(22)【出願日】2017年8月3日
(65)【公開番号】特開2019-25879(P2019-25879A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100177149
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 浩義
(74)【代理人】
【識別番号】100134599
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 和之
(72)【発明者】
【氏名】田村 和久
(72)【発明者】
【氏名】宮原 竜治郎
(72)【発明者】
【氏名】石塚 耕一
【審査官】 新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04194440(US,A)
【文献】 実開平07−018836(JP,U)
【文献】 特開昭50−130016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 50/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の胴部の材料であるブランクの中央部をマンドレルに押し付けて固定するクランプ部材と、
前記マンドレルに向かって移動し、前記クランプ部材により固定された前記ブランクの前記中央部の両側に位置する2つの近傍部分を前記マンドレルに押し当てて当該マンドレルに沿わせる第1可動部材と、
前記マンドレルに向かって回転移動し、前記第1可動部材による押し当て後に前記ブランクの前記2つの近傍部分の側に位置する2つの外側部分を前記マンドレルに押し当てて当該マンドレルに沿わせる一対の第2可動部材と、
を備え
前記マンドレルは、上方に位置する2つの第1角部と下方に位置する2つの第2角部とを備える四角柱の形状を有し、
前記第1可動部材は、前記2つの第2角部を含む前記マンドレルの下方の形状に沿う形状を備え、下方から上方に直線移動し、前記ブランクの前記2つの近傍部分を、前記マンドレルにおける前記2つの第2角部を含む領域に押し当て、
前記一対の第2可動部材のうち一方は、前記マンドレルの下方に位置する回転軸を中心に回転し、前記2つの外側部分のうちの一方を、前記マンドレルにおける前記2つの第1角部のうちの一方を含む領域に押し当て、
前記一対の第2可動部材のうち他方は、前記回転軸を中心に回転し、前記2つの外側部分のうちの他方を、前記マンドレルにおける前記2つの第1角部のうちの他方を含む領域に押し当てる、
容器製造装置。
【請求項2】
前記第1可動部材は、前記2つの第2角部の一方の形状に沿った形状を備える第1押し当て部と、前記2つの第2角部の他方の形状に沿った形状を備える第2押し当て部と、を備える、
請求項1に記載の容器製造装置。
【請求項3】
上方に位置する2つの第1角部と下方に位置する2つの第2角部とを備える四角柱の形状のマンドレルに、胴部の材料であるブランクを巻き付けて胴部を備える容器を製造する容器製造方法であって、
記ブランクの中央部をマンドレルに押し付けて固定する第1ステップと、
前記第1ステップで固定された前記ブランクの前記中央部の両側の2つの近傍部分を、前記2つの第2角部を含む前記マンドレルの下方の形状に沿う形状を備える第1可動部材により前記マンドレルに押し当てて前記2つの第2角部に沿わせる第2ステップと、
前記第2ステップによる押し当て後に前記ブランクにおける前記2つの近傍部分の側に位置する2つの外側部分を、回転移動する一対の第2可動部材で前記マンドレルの前記2つの第1角部を含む領域に押し当てて当該マンドレルに沿わせる第3ステップと、
を有する容器製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙容器等の容器製造装置、及び、容器製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
容器の製造工程には、扇形のブランクをマンドレルに巻き付けて当該容器の胴部を形成する工程が含まれる場合がある。このような工程に使用される技術として、特許文献1には、回転移動する一対の可動部材(ウイング部材)により、ブランクをマンドレルに巻き付ける技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−251717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、一対の可動部材でブランクの略全部をマンドレルに巻き付けるため、可動部材が大きくなってしまう。可動部材が大きいと、大きな駆動力が必要となり、精密な動作制御を行うことが困難になりやすい等の不都合が生じる。
【0005】
本発明は、一対の可動部材の少なくとも一方が小さい容器製造装置、及び、容器製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本願の第1の観点に係る容器製造装置は、
容器(例えば、容器300)の胴部(例えば、胴部200)の材料であるブランク(例えば、ブランク100)の中央部をマンドレル(例えば、マンドレル10)に押し付けて固定するクランプ部材(例えば、ロアクランプ20)と、
前記マンドレルに向かって移動し、前記クランプ部材により固定された前記ブランクの前記中央部の両側に位置する2つの近傍部分を前記マンドレルに押し当てて当該マンドレルに沿わせる第1可動部材(例えば、サイドロアクランプ30)と、
前記マンドレルに向かって回転移動し、前記第1可動部材による押し当て後に前記ブランクの前記2つの近傍部分の側に位置する2つの外側部分を前記マンドレルに押し当てて当該マンドレルに沿わせる一対の第2可動部材(例えば、ウイング40の右回転部41及び左回転部42)と、
を備え
前記マンドレルは、上方に位置する2つの第1角部と下方に位置する2つの第2角部とを備える四角柱(例えば、角部R1〜R4を備える四角柱)の形状を有し、
前記第1可動部材は、前記2つの第2角部を含む前記マンドレルの下方の形状に沿う形状を備え、下方から上方に直線移動し、前記ブランクの前記2つの近傍部分を、前記マンドレルにおける前記2つの第2角部(例えば、角部R3及び角部R4)を含む領域(例えば、マンドレル10の外周面12aにおける、ロアクランプ20によりブランク100が押し付けられた中央部の両側の下面、及び、角部R3及びR4の各湾曲面からなる領域)に押し当て、
前記一対の第2可動部材のうち一方(例えば、右回転部41)は、前記マンドレルの下方に位置する回転軸を中心に回転し、前記2つの外側部分のうちの一方を、前記マンドレルにおける前記2つの第1角部(例えば、角部R2)のうちの一方を含む領域(例えば、マンドレル10の外周面12aにおける右側面と右側面から上面にかけての湾曲面(角部R2)からなる領域)に押し当て、
前記一対の第2可動部材のうち他方(例えば、左回転部42)は、前記回転軸を中心に回転し、前記2つの外側部分のうちの他方を、前記マンドレルにおける前記2つの第1角部のうちの他方(例えば、角部R1)を含む領域(例えば、突出部12の外周面12aにおける左側面と左側面から上面にかけての湾曲面(角部R1)からなる領域)に押し当てる。
【0007】
前記第1可動部材は、前記2つの第2角部の一方の形状に沿った形状を備える第1押し当て部と、前記2つの第2角部の他方の形状に沿った形状を備える第2押し当て部と、を備えてもよい。
【0009】
上記目的を達成するため、本願の第2の観点に係る容器製造方法は、
上方に位置する2つの第1角部と下方に位置する2つの第2角部とを備える四角柱の形状のマンドレルに、胴部の材料であるブランクを巻き付けて胴部(例えば、胴部200)を備える容器(例えば、容器300)を製造する容器製造方法であって、
記ブランク(例えば、ブランク100)の中央部をマンドレル(例えば、マンドレル10)に押し付けて固定する第1ステップ(例えば、ロアクランプ20による固定)と、
前記第1ステップで固定された前記ブランクの前記中央部の両側の2つの近傍部分を、前記2つの第2角部を含む前記マンドレルの下方の形状に沿う形状を備える第1可動部材(例えば、サイドロアクランプ30)により前記マンドレルに押し当てて前記2つの第2角部に沿わせる第2ステップと、
前記第2ステップによる押し当て後に前記ブランクにおける前記2つの近傍部分の側に位置する2つの外側部分を、回転移動する一対の第2可動部材(例えば、ウイング40の右回転部41及び左回転部42)で前記マンドレルの前記2つの第1角部を含む領域に押し当てて当該マンドレルに沿わせる第3ステップと、
を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一対の可動部材の少なくとも一方が小さい容器製造装置、及び、容器製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る容器製造装置の要部を示した分解斜視図。
図2】本発明の実施形態に係る容器製造装置の動作を説明するための図。
図3】本発明の実施形態に係る容器製造装置の動作を説明するための図であり、図2から続く動作を示す図。
図4】本発明の実施形態に係る容器製造装置の動作を説明するための図であり、図3から続く動作を示す図。
図5】本発明の実施形態に係る容器製造装置の動作を説明するための図であり、図4から続く動作を示す図。
図6】本発明の実施形態に係る容器製造装置の動作を説明するための図であり、図5から続く動作を示す図。
図7】(a)〜(c)は、容器の製造工程の一部を工程順に示した図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る容器製造装置、及び、容器製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
(容器製造装置1の構造)
図1は、本実施形態に係る容器製造装置1の要部を示した分解斜視図である。図1に示すように、容器製造装置1は、ブランク100(図7の胴部200の材料)が巻き付けられるマンドレル10と、ブランク100をマンドレル10に固定するロアクランプ20と、を有している。容器製造装置1は、さらに、ブランク100をマンドレル10に巻き付けるのに使用されるサイドロアクランプ30と、ブランク100をマンドレル10に巻き付けるのに使用される一対のウイング40と、ブランク100の継手を圧着するシームクランプ50と、を有している。
【0014】
図示は省略しているが、容器製造装置1は、複数のマンドレル10を備え、当該複数のマンドレル10は、上下方向(天地方向)に沿った回転軸を中心に回転するターレット(不図示)に取り付けられている。ターレットの回転にともなって、複数のマンドレル10は、水平方向に回転する。つまり、容器製造装置1は、所謂水平ターレットタイプである。従って、ロアクランプ20、サイドロアクランプ30、ウイング40等は、ターレットの回転の邪魔にならないよう、初期位置(下方位置)においてマンドレル10よりも下方に位置している。
【0015】
図1においては、ロアクランプ20及びサイドロアクランプ30の形状が理解できるように、マンドレル10をロアクランプ20等と間隔をあけて図示するとともに、シームクランプ50をマンドレル10と間隔をあけて図示している。また以下の説明において、マンドレル10が突出する方向を前方、その反対方向を後方とし、容器製造装置1を前方から見たときの上下左右方向をそのまま容器製造装置1の上下左右方向として説明する。また、ブランク100は、図1では台形に見えるが、扇形状(上辺及び下辺が湾曲している)に形成されている。
【0016】
マンドレル10は、四角形の平板からなるベース11と、ベース11から前方に突出した先細の四角柱状の突出部12(この突出部12のみをマンドレルと称する場合もある。)とを有している。突出部12は、R加工が施された角部R1〜R4を有している。つまり、4つの角部R1〜R4を構成する各面は、R加工により湾曲面となっている。このように「四角柱」は、角が曲面になっているものも含む(他の形状の名称も、角が曲面又は曲線になった形状を含む)。突出部12の形状が四角柱状であることにより、マンドレル10に巻き付けられたブランク100は当該マンドレル10に沿って四角筒状(断面の四角形の角は湾曲している)に成形される。なお、外周面12aには、マンドレル10の内側から外側へと貫いた複数の第1空気孔(不図示)が形成されている。先端面12bにも、マンドレル10の内側から外側へと貫いた複数の第2空気孔(不図示)が形成されている。
【0017】
ロアクランプ(Lower Clamp)20は、ブランク100をマンドレル10に固定するためのクランプ部材である。ロアクランプ20は、長手方向が前後方向に沿うように、サイドロアクランプ30の中央に形成された溝部30a内に配置されている。ロアクランプ20は、図示しない駆動手段(例えば、モータ及びボールネジ、空圧装置、又は、油圧装置)の駆動を受けて、上方位置と下方位置との間で直線的に上下動する。ロアクランプ20が上方に移動して上方位置に位置することにより、ロアクランプ20の上面(ゴム材により形成されている)が、ブランク100(ここでは、中央)を突出部12の下面に押し付ける。これにより、ブランク100が固定される。
【0018】
サイドロアクランプ(Side Lower Clamp)30は、マンドレル10に向かって移動することで、ロアクランプ20により固定されたブランク100をマンドレル10に押し当てるための第1可動部材である。サイドロアクランプ30は、溝部30aによってロアクランプ20を挟んで二股に分かれており、右側に配置された右押し当て部31と、左側に配置された左押し当て部32とを有している。右押し当て部31と、左押し当て部32とは、ロアクランプ20を挟んで、左右方向両側に位置している。右押し当て部31は、突出部12の外周面12aにおける下面と下面から右側面にかけての湾曲面(角部R4)とに沿った形状を有する押し当て面31aを有している。同様に、左押し当て部32は、突出部12の外周面12aにおける下面と下面から左側面にかけての湾曲面(角部R3)とに沿った形状を有する押し当て面32aを有している。前記の「沿った形状」は、例えば、一枚のブランク100を介して合致する形状である(以下同じ)。サイドロアクランプ30は、前後に1箇所ずつ配置された駆動手段33、34の駆動を受けて、上方位置と下方位置との間で直線的に上下動する。駆動手段33、34としては、例えば、空圧装置、油圧装置がある。駆動手段33、34は、モータ及びボールネジ等であってもよい。サイドロアクランプ30が上昇して上方位置に位置することにより、押し当て面31a及び押し当て面32aはブランク100を突出部12の外周面12aに押し当てる。これによって、ブランク100のうち、押し当てられた部分が、外周面12a(マンドレル10)に沿う。
【0019】
ウイング40は、マンドレル10に向かって移動することで、ブランク100をマンドレル10に巻き付けるための可動部材である。ウイング40は、右回転部41及び左回転部42(一対の第2可動部材)を有している。右回転部41及び左回転部42は、図示しない駆動手段の駆動を受けて回転軸Rを中心に回転する。前記駆動手段は、例えば、モータ、空圧装置又は油圧装置等の駆動源と、駆動源からの駆動力を伝達するリンク機構との組み合わせにより構成される。回転軸Rは、マンドレル10の下方に位置する。右回転部41は、突出部12の外周面12aにおける右側面と右側面から上面にかけての湾曲面(角部R2)とに沿った形状を有する押し当て面41aを有している。同様に、左回転部42は、突出部12の外周面12aにおける左側面と左側面から上面にかけての湾曲面(角部R1)とに沿った形状を有する押し当て面42aを有している。右回転部41は図1に示す状態から回転軸Rを中心に反時計回りに回転し、左回転部42は図1に示す状態から回転軸Rを中心に時計回りに回転することで、押し当て面41a及び押し当て面42aがブランク100を突出部12の外周面12aに押し当てて、巻き付ける。このようにして、ブランク100のうち、押し当てられた部分が、外周面12a(マンドレル10)に沿う。
【0020】
シームクランプ50は、四角柱状に形成されたゴム部材51を有しており、長手方向が前後方向に沿うように突出部12の上方に配置されている。シームクランプ50は、図示しない駆動手段(例えば、モータ及びボールネジ、空圧装置、又は、油圧装置)の駆動を受けて、上方位置と下方位置との間で上下動する。シームクランプ50が下方位置に位置すると、ゴム部材51の下面はマンドレル10に巻き付けられたブランク100の両端部をマンドレル10に押し付ける(圧着する)。
【0021】
(容器製造装置1の動作について)
次に、容器製造装置1の動作について説明する。図2図6は、本発明の実施形態に係る容器製造装置1の主要な動作を動作順に示した説明図である。
【0022】
図2は、容器製造装置1の初期状態を示す。ブランク100は、図示しない所定のステージ上に配置されているものとする。当該所定のステージは、ロアクランプ20、サイドロアクランプ30、及び、ウイング40の動作を阻害しないようにブランク100の一部を支持する。ブランク100は、表面にグラビア印刷等により模様等が形成され、裏面にポリエチレンフィルム層が形成された原料紙を略扇形に打ち抜いて得られたものである。従って、ブランク100の裏面100bは、ポリエチレンフィルム層により形成されている。ブランク100には、容器の胴部200(図7)となったときの継手部となる一辺に沿って、熱によりポリエチレンフィルムが溶融した溶融部100cが形成されている。ブランク100は、表面100aがロアクランプ20及びサイドロアクランプ30に接触し、裏面100bが外周面12aに接触する向きで載置される。
【0023】
マンドレル10の先端面12bには、第2空気孔からの吸気によって、詳細は後述する底部210(容器の底を構成する部分。図7等)が吸着されている。一方、ブランク100の前端部は、マンドレル10の前端よりも前に位置し、マンドレル10からはみ出ている。従って、これから説明するようにブランク100をマンドレル10に巻き付けたときには、底部210が筒状のブランク100(胴部200)内部に位置するようになる。
【0024】
図2に示す状態から、ロアクランプ20を上方位置まで上昇させる。これにより、図3に示すように、ブランク100は、ロアクランプ20のゴム製の上面により、その左右方向中央部分がマンドレル10の下面中央に押し付けられる。このときの押し付け部分は、ブランク100の左右方向中央部である。なお、ロアクランプ20は、図1に示すように、前後方向に長い。従って、前記押し付け部分も、前後方向に長い。そのため、ブランク100は、ロアクランプ20によって前後方向に十分な範囲で押さえつけられ、マンドレル10に対する移動や回転が抑制される。
【0025】
図3に示す状態から、サイドロアクランプ30を上昇させるとともに、ウイング40(右回転部41及び左回転部42)を回転させる。その結果、サイドロアクランプ30は、図4に示すように上方位置に位置し、サイドロアクランプ30の各押し当て面31a、32aはマンドレル10にブランク100の前記中央部の近傍部分を押し当てる。当該近傍部分は、ブランク100における、前記中央部の両側に位置する右側近傍部分と左側近傍部分との2つの部分(前記中央部を間に挟んだ2つの近傍部分)からなる。この押し当てでは、ブランク100の前記近傍部分が、マンドレル10の外周面12aにおける下面、及び、外周面12aにおける下面から左右両側面にかけての2つの湾曲面(角部R3及びR4)に押し当てられる。この押し当てにより、当該近傍部分が前記下面及び2つの湾曲面(角部R3及びR4を含むマンドレル10の下部)に沿う(巻き付けられるともいう)。一方、ブランク100のその他の部分はマンドレル10に巻き付けられていない、図4に示すように、ブランク100は逆ハの字状をなしている。なお、図4に示すウイング40は、回転中の状態にある。
【0026】
図4に示す状態から、ウイング40をさらに回転させる。ウイング40は、ブランク100を左右からマンドレル10に向けて押し始め、やがて、図5に示すようにマンドレル10にブランク100を押し当てる。そして、ウイング40の回転動作が停止される。このような一連の動作により、ブランク100における、前記近傍部分の両側に位置する2つの外側部分(前記近傍部分を間に挟んだ2つの外側部分)が、回転移動する押し当て面41a及び押し当て面42aそれぞれによって、外周面12aにおける左右両側面、及び、左右両側面から上面にかけての一対の各湾曲面に押し当てられる。この押し当てにより、ブランク100の前記2つの外側部分が、マンドレル10の前記左右両側面及び各湾曲面(角部R1及びR2を含むマンドレル10の上部)に沿うことになり巻き付けられる。ウイング40の回転動作は、左回転部42が右回転部41よりも早く当該部分に到達するように制御されている。これにより、図5に示すように、外周面12aにおける上面において、ブランク100の両端部を重ねることができる。なお、ブランク100の両端部は、外周面12aに押さえ付けられていない状態にある。
【0027】
図5に示す状態から、シームクランプ50を下方位置まで下降させる。そして、図6に示すように、ウイング40によって押さえつけられていないブランク100の両端部が、シームクランプ50のゴム部材51により押圧される。そして、ポリエチレンが溶融した溶融部100c(図5)が、ブランク100のもう一方の端部に押圧されて、ブランク100の両端部が圧着され、継手部が形成される。これにより、四角筒状の容器の胴部200(図7)が形成される。このようにして形成された胴部200と、マンドレル10の先端面12bに吸着されており、胴部200内部に位置する底部210と、により、容器300(図7)が形成される。
【0028】
(胴部200及び底部210から容器300が製造されるまでの工程)
図7の(a)〜(c)は、容器300の製造工程の一部を工程順に示した図である。図7においては、容器製造装置1の図示は省略している。また、図面の理解を容易にするために、図7(a)において、実際には胴部200内に配置されている底部210を、胴部200の外側に図示している。
【0029】
図7(a)に示すように、マンドレル10(図6)により成形された胴部200は、四角筒状をなしている。胴部200は一端(図1における前端)に向けて徐々に細くなっており、該一端側は製造される容器300の底側となる。また、底部210は、容器300の底を構成する底板211と、底板211の外縁から立ち上がった立ち上げ部212とを有している。なお、マンドレル10の先端面12bに吸着された底部210は、適宜のタイミングにおいて、前記第2空気孔からの空気により吹き飛ばされ、胴部200の内面に嵌まる。
【0030】
胴部200の底側の端部は、図示しない折曲装置により内部に向けて折り返されて、折り返し部201(図7(b))が形成される。このとき、胴部200の内面に嵌まっている底部210の立ち上げ部212は、折り返し部201により挟まれる。そして、図示しない枠体により、折り返し部201と立ち上げ部212とが圧着される。これにより、図7(b)のような容器300が完成する。底部210は、胴部200に固定されて容器300の底を構成する。容器300は、前記第1空気孔及び第2空気孔から吹き付けられた空気によりマンドレル10から取り外され、別工程に供給される。別工程では、容器300の中に所定の内容物(菓子等)を入れ、図7(c)に示すように、容器300の開口を直線状に閉じ、閉じ部301を形成する、なお、容器300の開口にカールを設け、容器300を底が四角形状(角は丸い)の紙コップとして形成してもよい。
【0031】
(効果について)
以上説明したように、本実施形態に係る容器製造装置1は、ブランク100をマンドレル10に押し当てることで当該マンドレル10に巻き付ける構成として、ウイング40(一対の第2可動部材である右回転部41及び左回転部42)の他にサイドロアクランプ30(第1可動部材)を有している。このため、サイドロアクランプ30を追加した分、右回転部41及び左回転部42が、サイドロアクランプ30を設けない場合に比べて小さい。また、ブランク100を、直線移動するサイドロアクランプ30でマンドレル10の下部に巻き付け、回転移動するウイング40でマンドレル10の上部に巻き付けることで、スムーズにブランク100を巻き付けることができる。
【0032】
また、可動部材を複数に分け、かつ、移動方向を複数としたことにより、ブランク100を巻き付ける箇所を細かく設計することができ、容器300をさらに複雑にした形状にも対応することが容易となる。また、各可動部材の寸法を小さくすることができ、他の装置(マンドレル10へのブランク100の巻き付け以外に使用される部材等も含む)と干渉するといった不具合を抑制することができる(容器製造装置1の設計の自由度が向上する)。
【0033】
また、マンドレル10の突出部12の下方に、ブランク100を固定するための前後方向に延びているロアクランプ20を設けている。これにより、ブランク100の前後方向における十分な範囲がロアクランプ20によって押さえつけられ、ブランク100のマンドレル10に対する移動や回転を抑制することができる。これにより、容器300の製造の際に、不良品の発生を抑制することができる。
【0034】
また、ロアクランプ20は、二股に分かれたサイドロアクランプ30の中央に、右押し当て部31と左押し当て部32とに挟まれる位置に設けられている。これにより、サイドロアクランプ30による押し当て時に、ブランク100の移動や回転を抑制しやすくすることができ、不良品の発生を抑制することができる。
【0035】
また、マンドレル10が上記のように四角形状の場合、従来のように一対の可動部材でブランク100の略全部をマンドレル10に巻き付けようとすると、一対の可動部材は回転により移動するため、当該可動部材がマンドレル10の角部に当たり、ブランク100をうまくマンドレル10に巻き付けることができないことが分かった。上記のように、ウイング40(一対の第2可動部材である右回転部41及び左回転部42)がマンドレル10の上方の角部R1及びR2にブランク100を巻き付け、サイドロアクランプ30がマンドレル10の下方の角部R3及びR4にブランク100を巻き付けることで、前記不都合が生じず、スムーズにブランク100をマンドレル10に巻き付けることができる。なお、前記不都合は、上方に角部が2つあるときに生じ、ウイング40(一対の第2可動部材である右回転部41及び左回転部42)がマンドレル10の上方の2つ角部にブランク100を押し当てることで解消できる。また、マンドレルの下方に少なくとも1つの角部があってもよく、この場合には、特に、ウイング40(一対の第2可動部材である右回転部41及び左回転部42)がマンドレル10の上方の2つ角部にブランク100を押し当て、サイドロアクランプ30がマンドレル10の下方の他の角部にブランク100を押し当てることで前記不都合を解消できる。
【0036】
サイドロアクランプ30、ウイング40により、ブランク100を中央(当該ブランク100をマンドレル10に固定している位置)から幅方向の両端部に向けて順次マンドレル10に巻き付けていくことで、ブランク100を撓み無くマンドレル10に巻き付けることができる。
【0037】
(他の形態について)
この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。以下に、変形例を例示する。なお、下記の変形例及び上記実施の形態のどの構成(部材等)も適宜省略できる。
【0038】
上記実施の形態では、マンドレルの突出部の形状を、四角柱状としたが、円柱状として、ブランクを円筒状に成形するようにしてもよい。マンドレルの突出部の形状は、三角柱以上の多角柱(四角柱、五角柱、六角柱等を含む)などとしてもよいし、断面が半円状の半円柱状等であってもよい。なお、各形状は、角部が曲面で構成されているものを含む。
【0039】
また、上記実施の形態では、マンドレル10にブランク100を押し当てる際、まずサイドロアクランプ30を押し当てた後にウイング40を押し当てて、ブランク100を徐々に成形するようにした。しかしながら、一回の押し当て範囲を更に狭め、より多くの押し当て部材を順番に押し当てることで、ブランク100を成形するようにしてもよい。押し当て部材の個数は特に限定されない。サイドロアクランプ30によりマンドレル10に押し当てられるブランク100の箇所は、ブランク100の中央部(ロアクランプ20によりマンドレル10に押し付けられる部分)の左右方向一方側の近傍部分のみであってもよい。つまり、右押し当て部31と、左押し当て部32とのいずれかを省略してもよい。この場合であっても、第2可動部材(右回転部41と左回転部42とのうちのいずれか)を小さくできる。
【0040】
また、サイドロアクランプ30を上方位置に移動させることで、ブランク100の固定と成形とが同時に行えるのであれば、ロアクランプ20は設けなくてもよい。
【0041】
ブランク100は、合成樹脂製等であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 容器製造装置
10 マンドレル
12 突出部
12a 外周面
20 ロアクランプ
30 サイドロアクランプ
31 右押し当て部
32 左押し当て部
40 ウイング
41 右回転部
42 左回転部
50 シームクランプ
100 ブランク
200 胴部
300 容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7