(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示されるように、一実施形態に係る電子機器1は、コントローラ10と、受信部11と、記憶部12と、出力部13と、ディスプレイ14とを備える。
【0010】
コントローラ10は、電子機器1の各構成部と接続され、各構成部から情報を取得したり、各構成部を制御したりしうる。コントローラ10は、1以上のプロセッサを含んでよい。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、及び特定の処理に特化した専用のプロセッサを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)を含んでよい。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイス(PLD:Programmable Logic Device)を含んでよい。PLDは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでよい。コントローラ10は、1つ又は複数のプロセッサが協働するSoC(System on a Chip)、及びSiP(System in a Package)のいずれかであってよい。
【0011】
受信部11は、所定の周波数帯の電波を受信する。所定の周波数帯は、FMラジオ等の放送に係る音声信号を変調した搬送波の周波数を含んでよい。FMラジオの放送に係る音声信号を変調した搬送波は、FMラジオの搬送波ともいう。FMラジオの搬送波は、各FMラジオ局に割り当てられた放送用周波数でありうる。FMラジオの搬送波を含む所定の周波数帯は、FMラジオの周波数帯ともいう。受信部11は、コントローラ10によって設定された周波数の電波を受信する。受信部11は、受信した電波を復調し、復調信号を生成する。受信している電波の周波数が搬送波の周波数と合う場合、受信した電波に基づく復調信号は、放送に係る音声信号と同一又は類似となりうる。受信している電波の周波数は、受信周波数ともいう。受信周波数が搬送波の周波数と合う場合は、受信周波数が搬送波の周波数と同一である場合、又は、受信周波数が搬送波の周波数の近傍である場合を含む。受信周波数が搬送波の周波数と合わない場合、受信した電波に基づく復調信号は、ノイズを多く含みうる。受信部11は、復調信号を出力部13に出力する。受信部11は、コントローラ10に含まれてよい。受信部11は、IC等の1つのチップに、コントローラ10とともに実装されてよい。受信部11は、コントローラ10が実装されるチップとは異なるチップに実装されてよい。
【0012】
受信部11は、電波の受信アンテナとして機能する信号ケーブル11aを備えてよい。信号ケーブル11aは、電子機器1に接続される電源ケーブルであってよいし、イヤホン又はヘッドホン等のケーブルであってよい。信号ケーブル11aは、電子機器1のUSBポートに接続されてよいし、イヤホンジャックに接続されてもよい。受信部11は、信号ケーブル11aを備える場合、信号ケーブル11aを備えない場合よりも、電波を受信しやすくなる。結果として、受信部11は、強い強度で電波を受信しうる。受信部11が受信する電波の強度は、電波の受信レベルともいう。つまり、信号ケーブル11aは、電波の受信レベルを高めうる。
【0013】
記憶部12は、各種情報、又は電子機器1の各構成部を動作させるためのプログラム等を格納してよい。記憶部12は、例えば半導体メモリ等で構成されてよい。記憶部12は、コントローラ10のワークメモリとして機能してよい。記憶部12は、コントローラ10に含まれてよい。
【0014】
出力部13は、受信部11から取得した復調信号に基づく音声を出力する。復調信号が放送に係る音声信号と同一又は類似である場合、ユーザは、出力部13から出力される音声によって放送を聴取しうる。復調信号がノイズを多く含む場合、ユーザは、出力部13から出力される音声を放送として認識しにくくなる。出力部13は、復調信号に基づく音声を出力するスピーカを備えてよい。出力部13は、イヤホンジャックを備えてよい。出力部13は、イヤホンジャックに接続されたイヤホン又はヘッドホン等の音声出力機器に復調信号を出力してよい。出力部13は、イヤホンジャックに音声出力機器が接続される場合、スピーカから音声を出力しないようにしてよい。出力部13は、イヤホンジャックに音声出力機器が接続される場合でも、スピーカから音声を出力してよい。出力部13は、操作部15からの入力に基づいて、イヤホンジャックに接続される音声出力機器から音声を出力するか、スピーカから音声を出力するか決定してよい。
【0015】
出力部13は、音声を出力する出力状態、及び、音声を出力しないミュート状態のいずれか一方の状態に遷移してよい。出力部13は、コントローラ10からの制御指示に基づいて、ミュート状態に遷移してよい。出力部13は、コントローラ10からの制御指示に基づいて、ミュート状態を解除し、出力状態に遷移してよい。
【0016】
ディスプレイ14は、コントローラ10から取得した情報に基づき、文字、画像、操作用オブジェクト、ポインタ等を表示する。ディスプレイ14は、コントローラ10が実行する電子機器1の各機能に関する画面を表示してよい。ディスプレイ14は、例えば液晶、有機EL(Electro-Luminescence)、無機EL又はLED(Light Emission Diode)等の表示デバイスを含んでよい。
【0017】
図2に示されるように、電子機器1は、操作部15と、通信部16と、位置情報取得部17との少なくとも1つをさらに備えてよい。
【0018】
操作部15は、物理キーを備えてよいし、タッチセンサ又は近接センサ等の入力デバイスを備えてよい。コントローラ10は、操作部15からの入力に基づいて、電子機器1を制御してよい。コントローラ10は、操作部15からの入力に基づいて、受信周波数を変更してよい。
【0019】
通信部16は、通信デバイスを備えてよい。通信デバイスは、例えば、セルラ通信又はLAN(Local Area Network)等の通信インタフェースであってよい。通信部16は、通信インタフェースによってネットワークに通信可能に接続され、ネットワークと通信してよい。通信部16は、ネットワークを介してサーバ装置等の外部装置に通信可能に接続されてよい。
【0020】
位置情報取得部17は、電子機器1の位置情報を取得しうる。つまり、位置情報取得部17は、自機の位置情報を取得しうる。位置情報取得部17は、GPS(Global Positioning System)又はGNSS(Global Navigation Satellite System)等に基づいて自機の位置情報を取得する位置センサを含んでよい。位置センサは、無線LAN等の電波強度に基づいて自機の位置情報を取得してよい。位置情報取得部17は、操作部15から入力されたデータに基づき、自機の位置情報を取得してよい。位置情報取得部17は、ユーザが入力した地域名、都道府県名、又は市区町村名等に基づき、自機の位置情報を取得してよい。地域名は、複数の都道府県又は市区町村にまたがる名称を含んでよい。地域名は、例えば関東地方又は京浜地域等の名称を含んでよい。
【0021】
図3に示されるように、一実施形態に係る電子機器1は、いわゆる折りたたみ式のフィーチャーフォンであってよい。折りたたみ式のフィーチャーフォンは、フリップ型又はクラムシェル型等とも称される。電子機器1は、上部筐体2と下部筐体3とが、ヒンジ部4によって回動可能に接続されてよい。上部筐体2は、ディスプレイ14を備えてよい。下部筐体3は、操作部15を備えてよい。操作部15は、テンキー等の物理キーの他、物理キーが設けられていない部位にタッチパッド151を備えてよい。コントローラ10は、例えば物理キーへの入力に基づいて、操作用のオブジェクトの選択操作を受け付けてよいし、タッチパッド151への入力に基づいて、ポインタ等の移動操作を受け付けてもよい。
【0022】
図4に示されるように、一実施形態に係る電子機器1は、いわゆるスマートフォンであってよい。電子機器1は、ディスプレイ14と操作部15とを備えてよい。操作部15は、タッチパネルであってよい。コントローラ10は、例えばディスプレイ14に表示された操作用のオブジェクトと、タッチパネルへのタッチ又はスライド等の入力に基づく操作入力を受け付けてよい。
【0023】
電子機器1は、
図3及び
図4に例示される態様に限られず、他の種々の態様の機器であってよい。
【0024】
受信部11は、FMラジオの搬送波を受信可能に構成されてよい。つまり、電子機器1は、FMラジオの受信機能を有してよい。以下、電子機器1は、FMラジオを受信するものとする。FMラジオの搬送波は、単に搬送波ともいう。FMラジオの受信機能は、搬送波を受信する機能と、受信した搬送波を放送に係る音声信号に復調する機能と、放送に係る音声信号を出力部13に出力する機能とを含んでよい。コントローラ10は、操作部15への入力に基づいて、FMラジオの受信機能を実行してよい。電子機器1が操作部15として物理キーを備える場合、コントローラ10は、物理キーの押下に基づいて、FMラジオの受信機能を実行してよい。電子機器1が操作部15としてタッチパネルを備える場合、コントローラ10は、タッチパネルへのタッチ又はスライド等に基づいて、FMラジオの受信機能を実行してよい。
【0025】
図5に示されるように、コントローラ10は、実行可能な機能のリストを表すメニュー画面をディスプレイ14に表示させてよい。ディスプレイ14は、第1表示領域141と第2表示領域142とを含んでよい。コントローラ10は、第1表示領域141に、電子機器1の状態等を表すピクトグラムを表示させてよい。ピクトグラムは、マナーモード等の動作モードを表すマーク、バッテリ残量を表すマーク、又は、セルラ通信若しくはLAN等の通信信号の受信レベルに基づく態様のマーク等を含んでよい。通信信号の受信レベルに基づく態様のマークは、縦棒の本数で通信信号の受信レベルを表してよい。縦棒の本数で通信信号の受信レベルを表す態様のマークは、アンテナピクトともいう。通信信号の受信レベルが高いほど、縦棒の本数が多くされてよい。コントローラ10は、第2表示領域142に、メニュー画面を表示させてよい。
【0026】
コントローラ10は、操作部15への入力に基づいて、メニュー画面に含まれる各機能を選択する反転カーソルを移動させ、反転カーソルで表される機能を実行してよい。コントローラ10は、ディスプレイ14に重畳して位置するタッチパネルへのタッチ等に基づいて、メニュー画面に含まれる各機能を選択して実行してよい。
【0027】
図6に示されるように、コントローラ10は、FMラジオの受信機能を実行した場合、第2表示領域142に、FMラジオの受信機能に係る画面を表示させてよい。FMラジオの受信機能に係る画面は、FM受信画面ともいう。FM受信画面は、例えば、受信周波数を数字又はバー等で表示してよい。FM受信画面は、受信周波数が放送局から送信される搬送波の周波数に対応する場合、その放送局の名称を表示してよい。
【0028】
コントローラ10は、受信部11で受信している電波の受信レベルをRSSI(Received Signal Strength Indicator)で表してよい。RSSIは、受信部11で受信している電波の強度に対応する数値である。電波の強度が大きいほど、RSSIの値が高いものとする。RSSIは、例えば0〜255の範囲とされてよいし、0〜100の範囲とされてよい。RSSIは、これらに限られず、任意の数値範囲とされてよい。コントローラ10は、受信部11で受信している電波の受信レベルをdBmで表してもよい。dBmは、電波の強度を電力で表す場合に用いられる単位である。dBmは、電力の基準値を1ミリワット(mW)として、基準値と電波の強度との関係をデシベル(dB)で表す値の単位として用いられる。受信部11で受信する電波の強度は、受信部11で受信する電力に対応しうる。
【0029】
受信部11で受信する電波は、搬送波だけでなくノイズも含みうる。搬送波の強度とノイズの強度との比は、C/N(Carrier to Noise ratio)比で表されうる。搬送波の復調で得られる放送に係る音声信号の強度とノイズの強度との比は、S/N(Signal to Noise)比で表されうる。電波の受信レベルは、搬送波の強度とノイズの強度とをあわせた電波の強度として算出されうる。
【0030】
電波の受信レベルは、受信周波数が搬送波の周波数と同一である場合、又は、受信周波数が搬送波の周波数の近傍の値である場合に高くなりうる。例えば、受信周波数と搬送波の周波数との差が所定値未満となる場合、その電波の受信レベルは高くなりうる。所定値は、電波を受信するアンテナのQ値に基づく値であってよい。電波の受信レベルは、高い強度を有するノイズの周波数と受信周波数とが近い場合にも高くなりうる。受信部11は、電子機器1の内部で発生するノイズを受信しうる。受信部11は、信号ケーブル11aを介して受信した電波と、電子機器1の内部で発生するノイズとを区別しにくいことがある。つまり、受信部11は、電子機器1の内部で発生するノイズが混入した電波を受信しうる。
【0031】
電子機器1の内部で発生するノイズは、例えば、電子機器1が有する基準発振器又はスイッチング電源からの逓倍波でありうる。基準発振器は、通信部16が無線で通信する場合に無線通信の搬送波の周波数の制御に用いられる基準周波数の逓倍波を発生しうる。スイッチング電源は、電子機器1の動作に必要とされる電圧を生成するために実行されるスイッチング動作の周波数の逓倍波を発生しうる。基準発振器又はスイッチング電源から発生する逓倍波の周波数は、数MHz〜十数MHzの自然数倍でありうる。これらの逓倍波の周波数は、例えばFMラジオの搬送波の周波数帯に含まれうる。
【0032】
受信部11が搬送波とノイズとを区別して受信することは難しいことがある。搬送波とノイズとが区別され難い場合、コントローラ10が電波のC/N比又はS/N比を取得することは難しい。例えば受信部11がコントローラ10等とともにプロセッサに実装される場合にも、コントローラ10が電波のC/N比又はS/N比を取得し難いことがある。電波のC/N比又はS/N比が取得されにくい場合、コントローラ10は、電波の受信レベルが搬送波の成分を多く含むのか、ノイズの成分を多く含むのかを判定し難い。結果として、コントローラ10は、受信レベルに基づいて搬送波を含む電波の周波数を検出する際に、ノイズを多く含む電波の周波数を誤って検出する可能性が高まる。
【0033】
コントローラ10は、FMラジオの周波数帯において高い強度を有するノイズの周波数を特定し、そのノイズの受信レベルを予め取得してよい。コントローラ10は、例えば、基準発振器又はスイッチング電源からの逓倍波に起因するノイズの周波数を特定し、そのノイズの受信レベルを予め取得しうる。コントローラ10は、受信した電波の受信レベルからノイズの受信レベルを差し引くことによって、FMラジオの搬送波の受信レベルに近い値を取得しうる。つまり、コントローラ10は、ノイズの周波数とノイズの受信レベルとの関係に基づいて、受信した電波の受信レベルを補正しうる。コントローラ10は、ノイズの周波数とノイズの受信レベルとの関係をオフセット値として記憶部12に格納し、オフセット値に基づいて電波の受信レベルを補正してよい。補正した受信レベルは、補正レベルともいう。例えば、コントローラ10は、受信した電波の受信レベルから記憶部12に格納されたノイズの受信レベルを減算して、減算後の値を補正レベルとして取得してよい。
【0034】
FM受信画面は、受信部11で受信している電波の受信レベルに基づく態様のマークを表示してよい。受信レベルに基づく態様のマークは、FMラジオピクト20ともいう。FMラジオピクト20は、例えば、縦線又は同心円弧等の線の本数を異ならせたマークであってよい。受信レベルが高いほど、FMラジオピクト20に含まれる線の本数が多く表されてよい。
図6に示されるディスプレイ14において、FMラジオピクト20は、最大3本の縦線で受信レベルを表すものとする。FMラジオピクト20は、2本以下の線で受信レベルを表してよいし、4本以上の線で受信レベルを表してもよい。FMラジオピクト20は、他の態様によって受信レベルを表してもよい。
【0035】
コントローラ10は、アンテナピクトを第1表示領域141に表示させる一方で、FMラジオピクト20を第2表示領域142に表示させてよい。アンテナピクトと、FMラジオピクト20とがディスプレイ14の異なる領域に表示されることによって、ユーザは、通信信号の受信レベルに関する表示と、電波の受信レベルに関する表示とを見分けやすくなる。
【0036】
コントローラ10は、RSSI又はdBm等で表される補正レベルと所定の閾値との比較結果に基づいて、表示するFMラジオピクト20の形態を変化させてよい。コントローラ10は、所定の閾値として、第1表示閾値、第2表示閾値及び第3表示閾値を用いてよい。第1表示閾値、第2表示閾値及び第3表示閾値は、受信した電波を復調して得られる復調信号のS/N比の目標値に基づいて設定されてよいし、補正レベルの最大値から最小値までの範囲を均等に分割する値に設定されてもよい。
【0037】
補正レベルが第1表示閾値未満である場合、コントローラ10は、FMラジオピクト20を表示しなくてよい。補正レベルが第1表示閾値以上且つ第2表示閾値未満である場合、コントローラ10は、FMラジオピクト20を1本の縦線で表示してよい。補正レベルが第2表示閾値以上且つ第3表示閾値未満である場合、コントローラ10は、FMラジオピクト20を2本の縦線で表示してよい。補正レベルが第3表示閾値以上である場合、コントローラ10は、FMラジオピクト20を3本の縦線で表示してよい。言い換えれば、補正レベルが高いほど、FMラジオピクト20の縦線の本数が多く表示されてよい。コントローラ10は、FMラジオピクト20を3本の縦線で表示している状態において、ユーザがFMラジオの放送に係る音声を聴取可能となるように、第3表示閾値を設定してよい。コントローラ10は、FMラジオピクト20を3本の縦線で表示している状態において、ユーザが聴取する音声にできるだけノイズが重畳しないように、第3表示閾値を設定してよい。
【0038】
図6に示されるFMラジオピクト20は、実線の矩形と破線の矩形とで表示される。実線の矩形の数は、補正レベルの高さを表すように表示される縦線の数に対応する。つまり、補正レベルが高いほど、実線の矩形の数が多く表示される。実線の矩形は、最大で3個表示されるものとする。破線の矩形は、実線の矩形とあわせて3個となるように表示されるものとする。つまり、2個の実線の矩形で補正レベルが表される場合、FMラジオピクト20は、2個の実線の矩形とあわせて1個の破線の矩形も表示するものとする。
図6に示されるFMラジオピクト20は、2個の実線の矩形と1個の破線の矩形とで表示される。この場合、補正レベルは、第2表示閾値以上且つ第3表示閾値未満であるといえる。
【0039】
FMラジオピクト20の態様は、
図6に示される態様に限られない。実線の矩形と破線の矩形とはそれぞれ、異なる色で塗りつぶされた矩形に置き換えられてよい。例えば、実線の矩形及び破線の矩形はそれぞれ、白色の矩形とグレーの矩形とに置き換えられてよい。
【0040】
補正レベルと所定の閾値との比較結果に基づいて表示されるFMラジオピクト20は、受信レベルと所定の閾値との比較結果に基づいて表示されるFMラジオピクト20よりも、搬送波の受信レベルをより正確に表しうる。仮に、FMラジオピクト20が電波の受信レベルと所定の閾値との比較結果に基づいて表示される場合、受信している電波がノイズを多く含む場合であっても、FMラジオピクト20は、実線の矩形を3個表示し、搬送波の受信レベルが高いことを表しうる。この場合、FMラジオピクト20の表示に反して、復調信号がほとんどノイズとなりうる。つまり、FMラジオピクト20が搬送波の受信レベルが高いことを表すにもかかわらず、ユーザがFMラジオ放送を聴取しにくい事態が起こりうる。このような事態は、ユーザにとっての利便性を損ないうる。FMラジオピクト20が補正レベルと所定の閾値との比較結果に基づいて表示されることによって、FMラジオピクト20の表示態様と、実際の搬送波の受信レベルとの間の乖離が小さくなりうる。結果として、電子機器1のユーザの利便性が向上されうる。
【0041】
受信部11は、信号ケーブル11aとしてイヤホンケーブル等が接続されていない場合、電波を受信しにくくなる。言い換えれば、信号ケーブル11aは、電波の受信レベルを高めうる。コントローラ10は、FMラジオの受信機能を実行する際に電子機器1に信号ケーブル11aが接続されていない場合、ディスプレイ14にFMラジオピクト20を表示させる前に、
図7に示されるような警告画面を表示させてよい。
図7に示される警告画面は、イヤホンの接続を促す内容を含むが、これに限られず、ヘッドホンの接続を促す内容を含んでよいし、電源ケーブルの接続を促す内容を含んでもよい。
図7に示される警告画面は、信号ケーブル11aが接続されないと電波を取得できない旨の表示でありうる。このようにすることで、ユーザに対する注意喚起が適切なタイミングでなされうる。信号ケーブル11aが接続されていない状態でFMラジオの受信機能を実行した場合に、FMラジオピクト20を搬送波の受信レベルが低いことを表す表示態様とすれば、電波を受信しにくい状況を把握しうる。しかしながら、
図7に示されるような警告画面を表示させることで、電波を受信しにくい状況の把握がより容易になる。結果として、電子機器1のユーザの利便性が向上されうる。
【0042】
コントローラ10は、電子機器1に電源ケーブル又はイヤホン若しくはヘッドホン等が接続された場合、FMラジオの受信機能を実行するためのメニュー画面をディスプレイ14に表示させてよい。コントローラ10は、電子機器1にイヤホン又はヘッドホンが接続されている場合、イヤホンピクト22を表示してもよい。イヤホンピクト22は、FMラジオの音声をイヤホン又はヘッドホンを通じて聴けることを表してよい。
【0043】
コントローラ10は、操作部15からの入力に基づいて、FMラジオの音声のボリュームを制御してよい。コントローラ10は、操作キーに十字キーが含まれる場合、十字キーのうち上下に対応するキーの押下に基づいて、ボリュームを大きくしたり小さくしたりしてよい。コントローラ10は、ディスプレイ14にボリューム調整のアイコンを表示し、タッチパネルへの入力に基づいて、ボリュームを大きくしたり小さくしたりしてよい。
【0044】
コントローラ10は、操作部15からの入力に基づいて、受信周波数を変更してよい。コントローラ10は、操作キーに十字キーが含まれる場合、十字キーのうち左右に対応するキーの押下に基づいて、周波数を高くしたり低くしたりしてよい。コントローラ10は、ディスプレイ14に周波数変更のアイコンを表示し、タッチパネルへの入力に基づいて、周波数を高くしたり低くしたりしてよい。コントローラ10は、予め登録された周波数を、操作部15を介してユーザに選択させ、受信周波数をユーザが選択した周波数に変更してよい。
【0045】
コントローラ10は、受信周波数をスキャンし、搬送波の周波数を自動で検出してよい。コントローラ10は、検出した周波数に対応する放送局を選局するともいえる。コントローラ10は、十字キーのうち左右に対応するキーの長押しに基づいて、受信周波数のスキャンを開始してよい。
【0046】
コントローラ10は、受信周波数をスキャンする間、各周波数における電波の受信レベルを取得する。コントローラ10は、電波の受信レベルを、オフセット値に基づいて補正してよい。コントローラ10は、補正レベルと所定の閾値との比較結果に基づいて、受信している電波が搬送波の成分を含むか判定してよい。コントローラ10は、補正レベルが所定の閾値以上である場合、その電波が搬送波の成分を含むものと判定し、受信周波数のスキャンを停止してよい。
【0047】
電波が搬送波の成分を含むかの判定に用いられる所定の閾値は、スキャン閾値ともいう。補正レベルとスキャン閾値との比較結果に基づく判定は、受信レベルとスキャン閾値との比較結果に基づく判定よりも、ノイズを多く含む周波数でのスキャンの停止が起こりにくくなる。結果として、電子機器1のユーザの利便性が向上しうる。スキャン閾値は、第1表示閾値と同じ値、又は、第1表示閾値より大きい値とされてよい。このようにすることで、FMラジオピクト20の縦線が少なくとも1本表示される周波数において、コントローラ10は、電波が搬送波の成分を含むと判定してスキャンを停止しうる。結果として、FMラジオピクト20の表示態様と実際の搬送波の受信レベルとの乖離が小さくされうる。
【0048】
受信部11が受信する電波が搬送波の成分をほとんど含まない場合、受信部11がその電波を復調して得られる復調信号は、ノイズを多く含みうる。この場合、コントローラ10は、出力部13に過大なノイズを出力させないように、出力部13をミュート状態に遷移させうる。コントローラ10は、補正レベルと所定の閾値との比較結果に基づいて、出力部13をミュート状態に遷移させてよい。コントローラ10は、補正レベルが所定の閾値未満である場合、受信している電波を復調して得られる復調信号がノイズを多く含むものと判定し、出力部13をミュート状態に遷移させてよい。
【0049】
出力部13をミュート状態に遷移させるかの判定に用いられる所定の閾値は、ミュート閾値ともいう。補正レベルと所定の閾値との比較結果に基づく判定は、受信レベルと所定の閾値との比較結果に基づく判定よりも、イヤホン又はスピーカ等からノイズが出力されにくくしうる。結果として、電子機器1のユーザの利便性が向上しうる。
【0050】
電子機器1の周囲の状況が変化した場合、電波の受信レベルが変化することがある。例えば電子機器1が移動する場合、電波の受信レベルが変化することがある。電子機器1が鉄筋建築等の電波が入りにくい建物内、又は、地下等に移動することによって、電波の受信レベルが低くなりうる。電子機器1が屋外又は高台等の電波を受信しやすい場所に移動することによって、電波の受信レベルが高くなりうる。例えば電子機器1の周囲に電波を遮蔽する物体が移動してきた場合、電波の受信レベルが低くなりうる。
【0051】
電波の受信レベルが変化した場合、コントローラ10は、変化した受信レベルを補正した補正レベルと所定の閾値との比較に基づく処理を実行してよい。変化した受信レベルを補正した補正レベルは、変化した補正レベルともいう。コントローラ10は、変化した補正レベルと表示閾値との比較に基づいて、FMラジオピクト20の形態を変化させてよい。コントローラ10は、変化した補正レベルとミュート閾値との比較に基づいて、出力部13をミュート状態に遷移させてよい。このようにすることで、電子機器1が状況の変化に応じて動作しうる。結果として、電子機器1のユーザの利便性が向上しうる。
【0052】
電子機器1のユーザは、受信するFMラジオを選局するために、受信周波数を変更しうる。コントローラ10は、操作部15からの入力に基づいて、受信周波数を変更してよい。受信周波数が変更された場合、電波の受信レベルが変化しうる。コントローラ10は、受信周波数を変更した場合、新たな受信周波数の電波の受信レベルを受信部11から取得してよい。コントローラ10は、新たな受信周波数の電波の受信レベルを補正した補正レベルと所定の閾値との比較に基づく処理を実行してよい。新たな受信周波数の電波の受信レベルを補正した補正レベルは、新たな補正レベルともいう。コントローラ10は、新たな補正レベルと表示閾値との比較に基づいて、FMラジオピクト20の形態を変化させてよい。このようにすることで、ユーザが周波数を選択しやすくなる。コントローラ10は、新たな補正レベルとミュート閾値との比較に基づいて、出力部13をミュート状態にさせてよい。このようにすることで、選択された周波数の電波が搬送波をほとんど含まない場合でも、過大なノイズが出力されにくくなる。結果として、電子機器1のユーザの利便性が向上しうる。
【0053】
搬送波の周波数は、各地域で異なりうる。各地域において、搬送波の周波数は決められている。搬送波の周波数と異なる周波数において、電波の受信レベルは所定値以下となりうる。つまり、各地域において、搬送波の受信レベルが所定値以下となる周波数が存在しうる。所定値は、例えば、電波を復調して得られる復調信号のS/N比が所定の目標値未満となるような受信レベルを表す閾値であってよい。搬送波の受信レベルが所定値以下となる周波数は、無信号周波数ともいう。コントローラ10は、位置情報取得部17から自機の位置情報を取得しうる。コントローラ10は、自機の位置情報に基づいて、無信号周波数を決定しうる。コントローラ10は、各地域における無信号周波数に関する情報を予め記憶部12に格納してよい。コントローラ10は、各地域における無信号周波数に関する情報と、自機の位置情報とに基づいて、無信号周波数を決定してよい。
【0054】
無信号周波数の電波の受信レベルは、搬送波よりもノイズを多く含みうる。コントローラ10は、無信号周波数の電波の受信レベルをその周波数におけるノイズの強度とみなしうる。コントローラ10は、ある周波数が無信号周波数である場合、その周波数の電波の受信レベルに基づいて、その周波数におけるオフセット値を決定してよい。このようにすることで、コントローラ10は、電波の受信レベルをより正確に補正しうる。
【0055】
コントローラ10は、受信部11で受信周波数をスキャンする際に、無信号周波数をスキップしてよい。このようにすることで、コントローラ10は、搬送波の周波数を速く検出しうるとともに、ノイズを含むものの搬送波をほとんど含まない周波数を誤って検出しにくくなる。
【0056】
コントローラ10は、受信した電波の受信レベルを補正することによって、搬送波の周波数を検出しやすくなる。この場合、コントローラ10は、受信した電波に対して、ノイズ除去等の処理をしてもよいし、しなくてもよい。つまり、コントローラ10は、受信した電波に対する変形又は演算等の処理を必要とせずに、搬送波の周波数を効率的に検出しうる。結果として、コントローラ10は、搬送波の周波数を速く検出しうるとともに、低い負荷で動作しうる。
【0057】
コントローラ10は、受信周波数をスキャンすることによって搬送波の周波数を自動で検出してよい。コントローラ10は、
図8に例示されるフローチャートの手順を実行してよい。
【0058】
コントローラ10は、受信周波数を初期値に設定する(ステップS1)。初期値は、受信部11で受信可能な最小の周波数であってよいし、受信周波数のスキャンを開始する直前における受信周波数と同一の周波数であってよい。初期値は、これらに限られず、他の周波数であってよい。
【0059】
コントローラ10は、出力部13をミュート状態に遷移させる(ステップS2)。このようにすることで、受信周波数のスキャンの間に、出力部13が過大なノイズを出力しにくくなる。
【0060】
コントローラ10は、設定した受信周波数の電波を受信し、その受信レベルを取得する(ステップS3)。
【0061】
コントローラ10は、オフセット値に基づいて受信レベルを補正し、補正レベルを算出する(ステップS4)。コントローラ10は、記憶部12に格納されたオフセット値に基づいて受信レベルを補正してよい。
【0062】
コントローラ10は、補正レベルが所定の閾値未満であるか判定する(ステップS5)。所定の閾値は、スキャン閾値であってよい。
【0063】
コントローラ10は、補正レベルが所定の閾値未満である場合(ステップS5:YES)、受信周波数を変更する(ステップS6)。コントローラ10は、受信周波数を、現在の値に所定値を加えた値としてよい。所定値は、搬送波の周波数の間隔であってよい。例えば、FMラジオの搬送波の周波数の間隔は、0.1MHzでありうる。コントローラ10は、ステップS6の手順の後、ステップS3の手順に戻る。ステップS3〜S6の手順を含む処理は、周波数スキャン処理ともいう。
【0064】
コントローラ10は、補正レベルが所定の閾値未満でない場合(ステップS5:NO)、周波数スキャン処理を停止する(ステップS7)。
【0065】
コントローラ10は、周波数スキャン処理を停止した時点の受信周波数を、この後に電波を受信する受信周波数として決定する(ステップS8)。コントローラ10は、FM受信画面に含まれる放送局の名称を、ステップS8で決定された受信周波数に対応する名称に変更してよい。
【0066】
コントローラ10は、出力部13のミュート状態を解除する(ステップS9)。コントローラ10は、補正レベルがミュート閾値以上であるか判定した結果に基づいて、出力部13のミュート状態を解除してよい。コントローラ10は、補正レベルがスキャン閾値以上である場合に、補正レベルがミュート閾値以上であると判定してよい。コントローラ10は、補正レベルとミュート閾値とを比較し、補正レベルがミュート閾値以上であるか判定してよい。コントローラ10は、補正レベルがミュート閾値以上であると判定した場合に、出力部13のミュート状態を解除してよい。コントローラ10は、出力部13のミュート状態を解除した場合、出力部13を出力状態に遷移させてよい。
【0067】
コントローラ10は、補正レベルに基づくFMラジオピクト20を表示する(ステップS10)。コントローラ10は、補正レベルと所定の閾値との比較に基づいて、FMラジオピクト20の表示の態様を変更してよい。所定の閾値は、第1表示閾値、第2表示閾値、及び第3表示閾値を含んでよい。コントローラ10は、ステップS9の後、
図8のフローチャートの手順を終了する。
【0068】
コントローラ10は、操作部15からの入力に基づいて、受信周波数を変更してよい。コントローラ10は、
図9に例示されるフローチャートの手順を実行してよい。
【0069】
コントローラ10は、ユーザの操作に基づいて、受信周波数を変更する(ステップS21)。
【0070】
コントローラ10は、ステップS22、S23及びS24の手順として、
図8のステップS2、S3及びS4それぞれと、同一又は類似の手順を実行する。
【0071】
コントローラ10は、補正レベルが所定の閾値未満であるか判定する(ステップS25)。所定の閾値は、スキャン閾値であってよい。
【0072】
コントローラ10は、補正レベルが所定の閾値未満である場合(ステップS25:YES)、ステップS21の手順に戻る。
【0073】
コントローラ10は、補正レベルが所定の閾値未満でない場合(ステップS25:NO)、現在の受信周波数を、電波を受信する周波数に決定する(ステップS26)。コントローラ10は、ステップS26の手順として、
図8のステップS8と同一又は類似の手順を実行する。コントローラ10は、ステップS27及びS28の手順として、
図8のステップS9及びS10それぞれと、同一又は類似の手順を実行する。コントローラ10は、ステップS28の後、
図9のフローチャートの手順を終了する。
【0074】
電子機器1は、携帯電話、又はスマートフォンなどの携帯機器であってよい。電子機器1は、これらに限られず、他の種々の機器であってよい。電子機器1は、ラジオ等の放送に係る搬送波の周波数に近い周波数のノイズを発生しうる機器であってよい。
【0075】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本開示に係る実施形態について装置を中心に説明してきたが、本開示に係る実施形態は装置の各構成部が実行するステップを含む方法としても実現し得るものである。本開示に係る実施形態は装置が備えるプロセッサにより実行される方法、プログラム、又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものである。本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0076】
本開示において「第1」及び「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」及び「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。例えば、第1表示領域は、第2表示領域と識別子である「第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」及び「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【0077】
記憶部12は、オフセット値として、例えば、FMラジオの搬送波として割り当てられうる周波数帯(例えば、47−108MHz)の内の各周波数と当該各周波数におけるノイズの受信レベルとの関係を記憶していてよい。この場合、多くの周波数において、対応する受信レベルはゼロとなりうる。また、ノイズの周波数が予め特定される場合、記憶部12は、特定される周波数と当該周波数におけるノイズの受信レベルとの関係だけをオフセット値として記憶していてもよい。この場合、コントローラ10は、
図8に例示される処理のステップS3において、設定した受信周波数の電波を受信するとき、設定した受信周波数が記憶部12にオフセット値として記憶された周波数に一致するか否かを判定してもよい。コントローラ10は、設定した受信周波数が記憶部12にオフセット値として記憶された周波数に一致すると判定した場合にのみ、受信した電波の受信レベルを、オフセット値によって補正するようにしてもよい。