(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1羽根車(5)及び前記第2羽根車(6)の回転により前記車両の外気(FE)及び車室内気(FR)が前記スクロールハウジング(17)内に吸入されるときに、前記分離筒(14)は、前記外気(FE)を前記分離筒(14)の外側を通じて前記第1空気流路(181)に案内し、前記車室内気(FR)を前記分離筒(14)の内側を通じて前記第2空気流路(191)に案内するようになっている、請求項3または4に記載の遠心送風機(1)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施の形態>
以下に添付図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0012】
図1及び
図2は、車両用の空調装置の空気取入部及び遠心送風機の構造を示す断面図である。また、
図3及び
図4は、それぞれ、第1スクロールおよび第2スクロールの構造を示す断面図である。
図5は、第1スクロールおよび第2スクロールを含むスクロールハウジングの斜視図である。
【0013】
本実施形態の遠心送風機1は、二層流式空調装置用の遠心送風機であり、車両用の空調装置に用いられる。
図1及び
図2に示すように、遠心送風機1は、モータ13と、モータ13を収容するモータ収容部130と、モータ13の回転軸線Ax方向に並ぶ第1羽根車5及び第2羽根車6と、第1羽根車5を収容する第1スクロール18と、第2羽根車6を収容する第2スクロール19と、を有する。第1羽根車5と第2羽根車6とモータ13とは、軸方向の一側から他側に(
図1に示す例では上側から下側に)この順で並んでいる。また、第1スクロール18と第2スクロール19とモータ収容部130とは、軸方向の一側から他側に(
図1に示す例では上側から下側に)この順で並んでいる。
【0014】
なお、本明細書において、説明の便宜上、回転軸線Axの方向を軸方向または上下方向と呼び、
図1及び
図2の上側及び下側をそれぞれ「軸方向の一側」あるいは「上側」及び「軸方向の他側」あるいは「下側」と呼ぶ。しかしながら、このことによって、空調装置が実際に車両に組み込まれた場合に回転軸線Axの方向が鉛直方向に一致するものと限定されるわけではない。また、本明細書においては、特別な注記が無い限り、回転軸線Ax上の任意の点を中心として回転軸線Axと直交する平面上に描かれた円の半径の方向を半径方向と呼び、当該円の円周方向を周方向または円周方向と呼ぶ。
【0015】
図3は、
図1に示す第1スクロール18を、III−III線の位置において遠心送風機1の回転軸線Axに直交する断面で切断した横断面図である。
図3に示すように、第1羽根車5は、その外周部分に、周方向に並んだ翼列50Aを形成する複数の翼50を有している。第1羽根車5は、モータ13により、軸方向に延びる回転軸線Ax周りに回転駆動され、翼列50Aの半径方向内側の空間の空気を、遠心方向に向けて吹き出す。第1羽根車5は、第1スクロール18の概ね円柱形の第1羽根車用内部空間に収容されている。
【0016】
図1、
図2及び
図3に示すように、第1スクロール18は、軸方向に開口する第1吸込口22Aと、周方向に開口する第1吐出口180とを有している。
図3に示すように、第1吐出口180は、第1スクロール18を軸方向から見た場合、第1スクロール18の外周面の概ね接線方向に延びている。
図1、
図2及び
図3に示すように、第1スクロール18の内周面18eと第1羽根車5の外周面5eとの間に、第1空気流路181が形成されている。
【0017】
図4は、
図1に示す第2スクロール19を、IV−IV線の位置において遠心送風機1の回転軸線Axに直交する断面で切断した横断面図である。
図4に示すように、第2羽根車6は、その外周部分に、周方向に並んだ翼列60Aを形成する複数の翼60を有している。第2羽根車6は、モータ13により回転軸線Ax周りに回転駆動され、翼列60Aの半径方向内側の空間の空気を、遠心方向に向けて吹き出す。第2羽根車6は、第1羽根車5と同軸に設けられている。第2羽根車6は、第2スクロール19の概ね円柱形の第2羽根車用内部空間に収容されている。
【0018】
図1、
図2及び
図4に示すように、第2スクロール19は、軸方向に開口する第2吸込口22Bと、周方向に開口する第2吐出口190とを有している。
図4に示すように、第2吐出口190は、第2スクロール19を軸方向から見た場合、第2スクロール19の外周面の概ね接線方向に延びている。
図1、
図2及び
図4に示すように、第2スクロール19の内周面19eと第2羽根車6の外周面6eとの間に、第2空気流路191が形成されている。
【0019】
図1及び
図2に示す例において、遠心送風機1は、片吸込型の遠心送風機である。より具体的には、第1スクロール18の第1吸込口22Aは、軸方向の一側(上側)に開口している。また、第2スクロール19の第2吸込口22Bも、軸方向の一側(上側)に開口している。そして、第1スクロール18の第1羽根車用内部空間と第2スクロール19の第2羽根車用内部空間とは、第2吸込口22Bを介して連通している。
【0020】
さらに、
図1及び
図2に示す例において、第1スクロール18と第2スクロール19とは、一体に成形されて、スクロールハウジング17を形成している。スクロールハウジング17は、軸方向の一側に開口する第1吸込口22Aと、周方向に開口する吐出口170と、を有している。スクロールハウジング17は、その内部空間を軸方向に、第1スクロール18と第2スクロール19とに分割する仕切壁20を有している。仕切壁20は、スクロールハウジング17の内周面17eから半径方向内側に向けて延びる部分を有しており、スクロールハウジング17の内部空間のうちのスクロールハウジング17の内周面17eと羽根車5,6の外周面5e,6eとの間の領域を、軸方向に(上下方向に)分割している。また、仕切壁20は、吐出口170の内部空間を軸方向に(上下方向に)分割する部分を有している。
【0021】
図1及び
図2に示す例において、第1羽根車5及び第2羽根車6は、一体に形成されている。また、羽根車5,6には、内側偏向部材9が一体に成形されている。内側偏向部材9は、コーン部と呼ばれることもある。この内側偏向部材9は、幾何学的な意味における回転体であり、第2羽根車6の下端7に接続された側周部10と、円板形の中央部11とを有している。中央部11において、モータ13の回転軸12が羽根車5,6に連結される。この例では、側周部10は、この側周部10の外周面の子午断面における輪郭線が、中央部11に近づくに従って急勾配となるように湾曲している。図示しない他の例では、側周部10は、この側周部10の外周面の子午断面における輪郭線が、中央部11から翼列60Aに向けて湾曲しない(断面が直線状である)場合もある。
【0022】
図1及び
図2に示すように、モータ13は、モータ13の回転軸12を回転駆動する駆動部を収容するモータハウジング133を有している。モータハウジング133は、概ね円筒状であり、その軸方向の一側(上側)の端部から回転軸12が延び出ている。モータ収容部130も、概ね円筒状である。モータ収容部130は、その内部にモータ13を収容するモータ用内部空間を有している。モータ用内部空間は、第2羽根車用内部空間に開放している。そして、モータ13の軸方向の一側(回転軸12の側)の端部は、モータ用内部空間から第2羽根車用内部空間に延び出ている。
【0023】
スクロールハウジング17内には、第1吸込口22Aを介して、分離筒14が挿入されている。
図1と
図2を比較対照することにより理解できるように、分離筒14の入口側端部(上部)24の断面は概ね矩形である。分離筒14の中央部15の断面は円形(又は、概ね円形)である。分離筒14の断面形状は、入口側端部24から中央部15に近づくに従って、矩形から円形(又は、概ね円形)に滑らかに推移する。分離筒14の出口側端部(下部)16は、下端に近づくに従って拡径するフレア形状を有しているとともに、下端は円形である。
【0024】
分離筒14は、第1吸込口22Aの半径方向内側及び第1羽根車5の翼列50Aの半径方向内側を通って、軸方向に延びている。分離筒14の入口側端部24は、スクロールハウジング17の外側(第1吸込口22Aよりも軸方向上側)に位置している。分離筒14の出口側端部16は、軸方向において仕切壁20と略同じ位置となるように設けられている。
【0025】
分離筒14の全体が樹脂射出成形により一体成形されていてもよい。これに代えて、分離筒14の入口側端部(上部)24と、分離筒14の中央部15及び出口側端部(下部)16を別々に成形した後に、両者を連結してもよい。
【0026】
分離筒14は、第1吸込口22Aを介してスクロールハウジング17内に吸入される空気の流れを、分離筒14の外側の第1通路14Aを通る第1空気流と、分離筒14の内側の第2通路14Bを通る第2空気流とに分割する。第1空気流は、第1スクロール18の第1吸込口22Aのうちの分離筒14の外周面141より外側のリング状領域を通って第1羽根車5の翼列50Aの半径方向内側に流入する。第2空気流は、分離筒14の上端から分離筒14の内側に入り、第2スクロール19の第2吸込口22Bを通って第2羽根車6の翼列60Aの半径方向内側に流入する。従って、第1スクロール18の第1吸込口22Aのうちの分離筒14の外周面141より外側のリング状領域がスクロールハウジング17の第1吸入口、分離筒14の入口側端部24がスクロールハウジング17の第2吸入口、と見なすこともできる。分離筒14の出口側端部16は、流入した第1空気流を半径方向外向きに転向して第1空気流路181に案内する。また、出口側端部16は、流入した第2空気流を半径方向外向きに転向して第2空気流路191に案内する。出口側端部16は内側偏向部材9に対向しており、出口側端部16と内側偏向部材9との間に、第2空気流の通路が形成される。
【0027】
次に、
図2を参照して、空調装置の空気取入部について説明する。空調装置の空気取入部は、ハウジング21を有している。このハウジング21は、スクロールハウジング17と区別するために、「空気取入ハウジング」と呼ぶこととする。スクロールハウジング17と空気取入ハウジング21とは、一体成形されていてもよいし、別々に作製された後にネジ止め、接着、嵌め込み等の手法により連結されてもよい。スクロールハウジング17及び空気取入ハウジング21は空調装置ケーシングの一部を成す。なお、好適な一実施形態においては、分離筒14は、スクロールハウジング17及び空気取入ハウジング21とは別体の部品であり、空気取入ハウジング21によって所定位置に支持される。
【0028】
空気取入ハウジング21は、第1開口25、第2開口26、第3開口27及び第4開口28を有している。第1開口25及び第3開口27を介して、空気取入ハウジング21の内部空間23に、車室内空間29(詳細は図示せず)から、車室内気(車室内空気)を導入することができる。つまり、第1開口25及び第3開口27は、空気取入ハウジング21内に車室内気を取り込むための第1及び第2の内気導入口である。また、第2開口26及び第4開口28を介して、空気取入ハウジング21の内部空間23に、車両に備えられた外気導入路の出口30(詳細は図示せず)から、外気(車両外部から取り入れた空気)を導入することができる。つまり、第2開口26及び第4開口28は、空気取入ハウジング21内に外気を取り込むための第1及び第2の外気導入口である。
【0029】
ドア31を回転軸31A周りに回転させることにより、第1開口25から空気取入ハウジング21内への空気(車室内気)の流入を許容または遮断することができる。ドア32を回転軸32A周りに回転させることにより、第2開口26から空気取入ハウジング21内への空気(外気)の流入を許容または遮断することができる。ドア33を回転軸33A周りに回転させて位置を切り替えることにより、第3開口27及び第4開口28のうちのいずれか一方を介して空気取入ハウジング21内へ空気(車室内気または外気)を流入させることができる。
【0030】
第1開口25及び/又は第2開口26から空気取入ハウジング21内に導入された空気のほぼ全てが第1通路14Aを通るように、かつ、第3開口27及び/又は第4開口28から空気取入ハウジング21に導入された空気のほぼ全てが第2通路14Bを通るように、空気取入ハウジング21及び分離筒14が形成されている。
【0031】
図2は、車両用空調装置が後述する内外気二層流モードで運転されている場合における、空気取入ハウジング21の各ドアの配置を示している。内外気二層流モードでは、空気取入ハウジング21の各ドア31,32,33の位置は、第1スクロール18及び第2スクロール19のうちの一方に車両の外気FEが吸入され、かつ他方に車室内気FRが吸入されるように決定されている。以下の説明では、
図2に示すように、内外気二層流モードが実行される場合、空気取入ハウジング21の各ドア31,32,33は、外気FEが第1スクロール18に吸入され、車室内気FRが第2スクロール19に吸入されるように配置される。すなわち、分離筒14は、外気FEを分離筒14の外側を通じて軸方向の一側(上側)に位置する第1空気流路181に案内し、車室内気FRを分離筒14の内側を通じて軸方向の他側(下側、モータ13の側)に位置する第2空気流路191に案内する。
【0032】
なお、車両用空調装置の運転モードとしては、内外気二層流モードの他に、後述する外気モード及び内気モードがある。外気モードでは、第1スクロール18及び第2スクロール19の両方に外気FEが吸入され、内気モードでは、第1スクロール18及び第2スクロール19の両方に車室内気FRが吸入される。
【0033】
第1開口25、第2開口26、第3開口27及び第4開口28が配置される領域と分離筒14の入口側端部24との間において、空気取入ハウジング21内には、空気中のダスト、パーティクル等の汚染物質を除去するためのフィルタ35が設けられている。フィルタ35は、好ましくは単一のフィルタエレメントからなる。
【0034】
ところで、モータ13により羽根車5,6を連続的に回転駆動すると、モータ13は発熱する。モータ13が発熱すると、内部の電線の温度が上昇して電気抵抗が大きくなり、モータ13の消費電力が増す。
【0035】
そこで、
図1乃至
図5に示す第1の実施の形態においては、羽根車5,6を回転駆動するモータ13を冷却するための工夫がなされている。
【0036】
とりわけ、第1の実施の形態においては、車両用空調装置が内外気二層流モードで運転されている場合に、スクロールハウジング17内を流れる空気FR,FEのうち、外気FEが、モータ13を冷却する冷却空気として利用される。具体的には、第1スクロール18及び第2スクロール19のうちの一方に外気FEが吸入され、かつ他方に車室内気FRが吸入される内外気二層流モードにおいて、外気FEが吸入されるスクロールを流れる空気を、モータ13を冷却する冷却空気として利用する。
【0037】
車両用空調装置の運転モードとして内外気二層流モードが選択されるとき、すなわちフロントガラスの曇りを防止しつつ暖房のための効率を向上させたいとき、外気FEは、通常、車室内気FRと比較して低温であるため、モータ13を効果的に冷却することができる。
【0038】
以下、図面を参照して、本実施の形態の遠心送風機1の構成について、更に詳細に説明する。なお、上述のように、以下の説明では、車両用空調装置が内外気二層流モードで運転されている場合、第1スクロール18には外気FEが吸入され、第2スクロール19には車室内気FRが吸入される。
【0039】
図1及び
図5に示すように、内外気二層流モードが実行される場合に外気FEが吸入される第1スクロール18には、モータ13を冷却する冷却空気を取り入れるための冷却空気取入口40が設けられている。図示の例では、冷却空気取入口40は、第1スクロール18の第1吐出口180における、第1スクロール18の舌部に対向した面に設けられている。また、モータ収容部130には、冷却空気取入口40を介して取り入れた冷却空気をモータ収容部130のモータ用内部空間に供給するための冷却空気供給口131が設けられている。冷却空気取入口40と冷却空気供給口131とは、スクロールハウジング17及びモータ収容部130の側面に形成された冷却空気案内通路41を介して連通している。これにより、冷却空気供給口131は、第1スクロール18からの冷却空気をモータ収容部130内に収容されたモータ13へ導くことができるようになっている。このように、外気FEがモータ収容部130内に取り込まれることにより、モータ13を効果的に冷却することができる。
【0040】
また、
図1及び
図2に示すように、モータ13のモータハウジング133には、通気孔134が設けられている。これにより、冷却空気供給口131を介してモータ収容部130内に供給された冷却空気を、モータハウジング133の内部に取り入れることができる。この結果、モータ13をより一層効果的に冷却することができる。
【0041】
とりわけ、図示の例においては、通気孔134は、モータハウジング133の軸方向の一側(上側)の端部に設けられた一側通気孔134aと、モータハウジング133の軸方向の他側(下側)の端部に設けられた他側通気孔134bと、を含む。これにより、冷却空気を、他側通気孔134bからモータハウジング133内に取り入れ、モータハウジング133内を通過させた後、一側通気孔134aから排出させることができる。この場合、モータ13の冷却に利用されて温まった冷却空気がモータハウジング133内に留まることが防止される。この結果、モータ13をより一層効果的に冷却することができる。
【0042】
なお、図示の例では、冷却空気が他側通気孔134bから取り入れられて一側通気孔134aから排出されるよう、冷却空気供給口131が、モータ収容部130の軸方向の他側(下側)の端部に設けられて、他側通気孔134bの近傍に冷却空気を供給するようになっている。冷却空気が一側通気孔134aから排出されることにより、モータ13の冷却に利用されて温まった冷却空気がモータ収容部130内に排出されて、モータ収容部130内に留まることが防止される。この結果、モータ13をより一層効果的に冷却することができる。
【0043】
また、図示の例のように、冷却空気がより確実に他側通気孔134bから取り入れられるようにするための工夫がなされていることが好ましい。すなわち、モータ収容部130の内部には、モータ収容部130の内周面とモータハウジング133の外周面との間の空間を軸方向に分割する分割壁135が設けられている。そして、他側通気孔134b及び冷却空気供給口131が、当該分割壁135の軸方向の他側(下側)に配置されている。これにより、冷却空気供給口131からの冷却空気は、分割壁135とモータ収容部130の底面との間の空間に供給されることになり、当該空間内に位置するモータハウジング133の他側通気孔134bから効率的に冷却空気を取り入れることができる。
【0044】
さらに、図示の例では、モータ13の冷却に利用されて温まった冷却空気をモータ13の周辺から除去して、モータ13の冷却を促進するための工夫がなされている。すなわち、第2羽根車6の各翼60には、当該翼60と内側偏向部材9との接続部から軸方向の他側に延び出る下翼200が設けられている。複数の翼60から延び出た複数の下翼200は、周方向翼列200Aを形成する。そして、第2羽根車6がモータ13により回転軸線Ax周りに回転駆動されると、複数の下翼200は、翼列200Aの半径方向内側の空気を遠心方向に向けて吹き出す。ここで、
図1及び
図2から理解されるように、モータ13の冷却に利用された冷却空気は、翼列200Aの半径方向内側の領域内に排出される。したがって、複数の下翼200が回転すると、当該冷却空気は当該領域から吹き出されて除去される。これにより、モータ13の冷却に利用されて温まった冷却空気がモータ13の周辺に留まることが防止される。
【0045】
次に、
図1〜
図5に示す車両用空調装置の動作について説明する。
【0046】
車両用空調装置の第1の動作モードでは、第2開口26及び第4開口28が開かれ、第1開口25及び第3開口27が閉じられる。この状態は図示されていない。この場合、第2開口26から導入された外気は、分離筒14の外側の第1通路14Aを通り、第1羽根車5の翼列50Aに流入する第1空気流を形成する。また、第4開口28から導入された外気は、分離筒14の内側の第2通路14Bを通り、第2羽根車6の翼列60Aに流入する第2空気流を形成する。第1の動作モードは、外気モードと呼ばれることもある。
【0047】
第2の動作モードでは、第2開口26及び第3開口27が開かれ、第1開口25及び第4開口28が閉じられる。この状態は
図1及び
図2に示されている。この場合、第2開口26から導入された外気FEは、分離筒14の外側の第1通路14Aを通り、第1羽根車5の翼列50Aに流入する第1空気流を形成する。また、第3開口27から導入された車室内気FRは、分離筒14の内側の第2通路14Bを通り、第2羽根車6の翼列60Aに流入する第2空気流を形成する。第2の動作モードは、内外気二層流モードと呼ばれることもある。
【0048】
第3の動作モードでは、第1開口25及び第3開口27が開かれ、第2開口26及び第4開口28が閉じられる。この状態は図示されていない。この場合、第1開口25から導入された車室内気は、分離筒14の外側の第1通路14Aを通り、第1羽根車5の翼列50Aに流入する第1空気流を形成する。また、第3開口27から導入された車室内気は、分離筒14の内側の第2通路14Bを通り、第2羽根車6の翼列60Aに流入する第2空気流を形成する。第3の動作モードは、内気モードと呼ばれることもある。
【0049】
内外気二層流モード(第2の動作モード)は、例えば、デフフットモードでの運転を行うときに用いられる。このときには、相対的に水分量の少ない調和空気が車室のデフロスト吹出口から車両のフロントウインドウ(図示せず)に向けて吹き出され、相対的に水分量の多い調和空気が車室のフット吹出口(図示せず)から乗員の足元に向けて吹き出される。
【0050】
内外気二層流モード(第2の動作モード)が実行されるとき、低温の外気FEがフット吹出口に供給される車室内気FRに混入すると、暖房のための効率の低下が懸念される。また、内外気二層流モードがデフフットモードで実行されるとき、相対的に水分量の多い車室内気FRがデフロスタ吹出口に供給される外気FEに混入すると、フロントウィンドウの曇りを防止する効果の低減が懸念される。従って、内外気二層流モードが実行されるときには、外気FEの全てが第1空気流路181に流入し、かつ、車室内気FRの全てが第2空気流路191に流入することが望ましい。
【0051】
なお、外気モード(第1の動作モード)及び内気モード(第3の動作モード)の実行時には、車室内気のみまたは外気のみが用いられるため、内外気二層流モードの実行時ほどには、車室内気と外気の混合回避に関する高い要求は無い。
【0052】
いずれの動作モードにおいても、第1羽根車5及び第2羽根車6がモータ13により回転駆動されると、羽根車5,6の周方向翼列50A,60Aの半径方向内側の空気が、遠心方向に向けて吹き出される。これにより、第1吸込口22Aを介してスクロールハウジング17内に空気が流入する。スクロールハウジング17内に流入する空気のうち、分離筒14の外側を流れる第1空気流は、分離筒14に案内されて、第1羽根車5の外周面5eと第1スクロール18の内周面18eとの間に形成された第1空気流路181に流入して、第1吐出口180へ流れる。また、スクロールハウジング17内に流入する空気のうち、分離筒14の内側を流れる第2空気流は、分離筒14に案内されて、第2羽根車6の外周面6eと第2スクロール19の内周面19eとの間に形成された第2空気流路191に流入して、第2吐出口190へ流れる。第1吐出口180に流入した第1空気流の一部は、モータ13を冷却するための冷却空気として、第1吐出口180に設けられた冷却空気取入口40から冷却空気案内通路41に流れ込み、冷却空気供給口131を介してモータ収容部130内に流入する。モータ収容部130内に流入した冷却空気は、モータハウジング133の他側通気孔134bを介してモータハウジング133内に流入し、モータハウジング133内を軸方向の一側に向かって流れて、一側通気孔134aから排出される。一側通気孔134aから排出された冷却空気は、第2羽根車6に設けられた下翼200によって、遠心方向に吹き出される。吹き出された冷却空気は、第2空気流路191に流入する。
【0053】
上述のように、図示の例では、内外気二層流モード(第2の動作モード)の実行時、第1空気流として、低湿度かつ低温の外気FEが第1空気流路181及び第1吐出口180に流入する。また、第2空気流として、高湿度で温かい車室内気FRが第2空気流路191及び第2吐出口190に流入する。そして、第1吐出口180に流入した外気FEの一部が、冷却空気として、モータ収容部130内に取り込まれ、モータ13を冷却した後、第2空気流路191内に流入する。したがって、外気FEの一部が、車室内気FRが流れる第2空気流路191に流入してフット吹出口に供給されることになる。このため、上述のように暖房のための効率の低下が懸念される。しかしながら、第2空気流路191に流入する冷却空気(外気FE)は、モータによって温められている。また、第2空気流路191に流入する冷却空気(外気FE)の量は、第2空気流路191を流れる車室内気FRの量に比べてごく僅かである。したがって、外気FEである冷却空気が第2空気流路191に流入してフット吹出口に供給されても、暖房のための効率が低下する虞は少ない。
【0054】
<第2の実施の形態>
次に、
図6及び
図7を参照して、第2の実施の形態における遠心送風機1Aについて説明する。
図6は、
図1に対応する図であって、車両用の空調装置の空気取入部及び遠心送風機の構造を示す断面図である。
図7は、
図5に対応する図であって、第1スクロールおよび第2スクロールを含むスクロールハウジングの斜視図である。
【0055】
図6及び
図7に示す遠心送風機1Aは、
図1に示す遠心送風機1と比較して、モータ13を冷却する冷却空気を取り入れる冷却空気取入口40Aが、第1スクロール18及び第2スクロール19のうちの一方に車両の外気FEが吸入され、かつ他方に車室内気FRが吸入されるときに、車室内気FRが吸入されるスクロールに設けられている点で異なっている。他の構成は、
図1に示す第1の実施の形態と略同一である。
図6及び
図7に示す第2の実施の形態において、
図1乃至
図5に示す第1の実施の形態と同一の部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0056】
なお、
図6及び
図7に示す例においても、車両用空調装置が内外気二層流モードで運転されている場合、第1スクロール18には外気FEが吸入され、第2スクロール19には車室内気FRが吸入される。
【0057】
図6及び
図7に示すように、冷却空気取入口40Aは、内外気二層流モードの実行時に車室内気FRが吸入される第2スクロール19に設けられている。より具体的には、冷却空気取入口40Aは、第2スクロール19の第2吐出口190における、第2スクロール19の舌部に対向した面に設けられている。冷却空気取入口40Aは、モータ収容部130に設けられた冷却空気供給口131と、冷却空気案内通路41を介して連通している。
【0058】
次に、
図6及び
図7に示す遠心送風機の動作について説明する。
【0059】
上述の3つの動作モードのいずれにおいても、第1羽根車5及び第2羽根車6がモータ13により回転駆動されると、羽根車5,6の周方向翼列50A,60Aの半径方向内側の空気が、遠心方向に向けて吹き出される。これにより、第1吸込口22Aを介してスクロールハウジング17内に空気が流入する。スクロールハウジング17内に流入する空気のうち、分離筒14の外側を流れる第1空気流は、分離筒14に案内されて、第1羽根車5の外周面5eと第1スクロール18の内周面18eとの間に形成された第1空気流路181に流入して、第1吐出口180へ流れる。また、スクロールハウジング17内に流入する空気のうち、分離筒14の内側を流れる第2空気流は、分離筒14に案内されて、第2羽根車6の外周面6eと第2スクロール19の内周面19eとの間に形成された第2空気流路191に流入して、第2吐出口190へ流れる。第2吐出口190に流入した第2空気流の一部は、モータ13を冷却するための冷却空気として、第2吐出口190に設けられた冷却空気取入口40Aから冷却空気案内通路41に流れ込み、冷却空気供給口131を介してモータ収容部130内に流入する。モータ収容部130内に流入した冷却空気は、モータハウジング133の他側通気孔134bを介してモータハウジング133内に流入し、モータハウジング133内を軸方向の一側に向かって流れて、一側通気孔134aから排出される。一側通気孔134aから排出された冷却空気は、下翼200によって、遠心方向に吹き出される。吹き出された冷却空気は、第2空気流路191に流入する。
【0060】
図示の例では、上述の3つの動作モードのうち2つの動作モード(内外気二層流モードおよび内気モード)の実行時に、比較的温かい車室内気FRが冷却空気として用いられることになる。しかし、通常、車室内気FRの温度は冷却すべきモータ13の温度と比較して十分に低いため、モータ13を効果的に冷却することが可能である。
【0061】
また、図示の例では、上述のように、内外気二層流モードにおいて、第1スクロール18及び第2スクロール19のうち、モータ13側に位置する第2スクロール19に車室内気FRが吸入される。したがって、図示の例では、モータ13を冷却する冷却空気を、モータ13側に位置するスクロール19から取り入れ、モータ13の冷却に利用された空気を、モータ13側に位置するスクロール19に排出することになる。したがって、図示の例では、外気と車室内気の混合回避の要求が高い内外気二層流モードにおいて、外気と車室内気の混合が生じない。
【0062】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。例えば、上述してきた第1の実施の形態において、内外気二層流モード(第2の動作モード)の実行時に、第1スクロール18及び第2スクロール19のうち、モータ13側に位置する第2スクロール19に車室内気FRが吸入され、第1スクロール18に外気FEが吸入される場合について説明してきたが、これに限られない。内外気二層流モードの実行時に、モータ13側に位置する第2スクロール19に外気FEが吸入され、第1スクロール18に車室内気FRが吸入されてもよい。
【0063】
この場合、内外気二層流モードの実行時には、第1開口25及び第4開口28が開かれ、第3開口27及び第2開口26が閉じられる。第1開口25から導入された車室内気FRは、分離筒14の外側の第1通路14Aを通り、第1羽根車5の翼列50Aに流入する第1空気流を形成する。また、第4開口28から導入された外気FEは、分離筒14の内側の第2通路14Bを通り、第2羽根車6の翼列60Aに流入する第2空気流を形成する。
【0064】
このような遠心送風機においては、外気FEを冷却空気として取り入れる冷却空気取入口40は、モータ13側に位置する第2スクロール19に設けられることとなる。そして、第2スクロール19から取り入れられた冷却空気は、モータ収容部130内を通って、第2スクロール19に再び流入する。この場合、低温の外気FEを冷却空気として用いることができる上、外気と車室内気の混合回避の要求が高い内外気二層流モードにおいて、外気と車室内気の混合が生じない。
【0065】
また、冷却空気取入口40、40Aと冷却空気供給口131とを連通する冷却空気案内通路41を、スクロールハウジング17及びモータ収容部130の側面に形成されたものとして説明したが、冷却空気案内通路41の一部を、中空のホースで代用する構成や、モータ13をスクロールハウジング17に固定するための円盤状の部材に設けて代用する構成としても構わない。