(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の電気配線ユニットは、端子金具同士を電線で繋ぐ構造が採られており、原価の高騰を抑えるならば、2本の電線に圧着させる端子金具が必要とされる。よって、この電気配線ユニットは、ユニット組立に際しての作業性と云う点に着目すると、その作業性を改善する余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、原価を低減しつつ優れた作業性が得られる電気配線ユニット、電気接続箱及びワイヤハーネスを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為、本発明に係る電気配線ユニットは、電子部品毎に用意した端子金具と、前記端子金具に対して前記端子金具毎に1つずつ電気的に接続する第1導体と、少なくとも2つの前記第1導体に対して電気的に接続する少なくとも1つの第2導体と、全ての前記第1導体を保持する絶縁性の保持部材と、を
備える。
【0007】
そして、この電気配線ユニットにおいて、前記第2導体は、接続対象となる前記第1導体毎に圧接溝としての間隔を空けて対向配置して、前記圧接溝に挿入された前記第1導体に圧接する1対の圧接片部と、それぞれの前記圧接片部を連結する連結部と、を
有し、前記保持部材は、開口から挿入された前記第1導体を収容及び保持する前記第1導体毎の収容室と、隙間を空けて対向配置され、前記隙間に押し込まれた前記第2導体を保持する1対の保持片と、を有し、前記1対の圧接片部は、前記隙間への前記第2導体の押し込みと共に前記圧接溝が前記収容室に収容されて、その収容室の前記第1導体を前記圧接溝に挿入させる位置に形成されることを特徴としている。
【0008】
ここで、前記第1導体は、導電性の芯線と、前記芯線を覆う絶縁性の被覆と、を有する電線であり、1対の前記圧接片部は、対向配置されたそれぞれの辺部に、前記圧接溝に挿入された前記第1導体の前記被覆を切り裂いて前記芯線に食い込ませる圧接刃を有することが望ましい。
【0009】
また、上記目的を達成する為、本発明に係る電気接続箱は、電子部品と、前記電子部品に対して電気的に接続する電気配線ユニットと、前記電子部品及び前記電気配線ユニットを収容する筐体と、を備え、前記電気配線ユニットは、前記電子部品毎に用意した端子金具と、前記端子金具に対して前記端子金具毎に1つずつ電気的に接続する第1導体と、少なくとも2つの前記第1導体に対して電気的に接続する少なくとも1つの第2導体と、全ての前記第1導体を保持する絶縁性の保持部材と、を
備え、前記第2導体は、接続対象となる前記第1導体毎に圧接溝としての間隔を空けて対向配置して、前記圧接溝に挿入された前記第1導体に圧接する1対の圧接片部と、それぞれの前記圧接片部を連結する連結部と、を有し、前記保持部材は、開口から挿入された前記第1導体を収容及び保持する前記第1導体毎の収容室と、隙間を空けて対向配置され、前記隙間に押し込まれた前記第2導体を保持する1対の保持片と、を有し、前記1対の圧接片部は、前記隙間への前記第2導体の押し込みと共に前記圧接溝が前記収容室に収容されて、その収容室の前記第1導体を前記圧接溝に挿入させる位置に形成されることを特徴としている。
【0010】
また、上記目的を達成する為、本発明に係るワイヤハーネスは、電子部品と、前記電子部品の第1電気接続部に対して電気的に接続する電気配線ユニットと、前記電子部品の第2電気接続部に対して電気的に接続する電線と、前記電子部品と前記電気配線ユニットと前記電線とを収容し且つ前記電線を外方に引き出す筐体と、を備え、前記電気配線ユニットは、前記電子部品毎に用意した端子金具と、前記端子金具に対して前記端子金具毎に1つずつ電気的に接続する第1導体と、少なくとも2つの前記第1導体に対して電気的に接続する少なくとも1つの第2導体と、全ての前記第1導体を保持する絶縁性の保持部材と、を
備え、前記第2導体は、接続対象となる前記第1導体毎に圧接溝としての間隔を空けて対向配置して、前記圧接溝に挿入された前記第1導体に圧接する1対の圧接片部と、それぞれの前記圧接片部を連結する連結部と、を有し、前記保持部材は、開口から挿入された前記第1導体を収容及び保持する前記第1導体毎の収容室と、隙間を空けて対向配置され、前記隙間に押し込まれた前記第2導体を保持する1対の保持片と、を有し、前記1対の圧接片部は、前記隙間への前記第2導体の押し込みと共に前記圧接溝が前記収容室に収容されて、その収容室の前記第1導体を前記圧接溝に挿入させる位置に形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電気配線ユニットは、端子金具と第1導体と第2導体と保持部材とを組み立てて一体化したものであり、例えば電気接続箱の筐体に収容するなどして、従来の板状のバスバと同様のものとして扱うことができる。そして、この電気配線ユニットは、接続対象となる電子部品の種類と数量と配置に応じて、端子金具と第1導体の組み合わせの種類と数量と配置を変えることができる。つまり、この電気配線ユニットは、端子金具等の予め設定されている既存部品の組み合わせを変えたり、その配置を変えたりするだけで、接続対象となる電子部品の種類等の変更に柔軟に対応することができる。よって、この電気配線ユニットは、接続対象となる電子部品の種類等に応じてその都度新たな部品を作る必要のある従来のバスバと比較して、原価の低減を図ることができる。
【0012】
更に、本発明に係る電気配線ユニットは、同電位での接続対象となる端子金具と第1導体の複数の組み合わせを第2導体で一纏めに繋ぐことができる。よって、この電気配線ユニットは、接続対象となる一対の端子金具毎に電線で繋ぐ従来の電気配線ユニットと比較して、ユニット組立に際しての作業性を向上させることができる。また、その従来の電気配線ユニットは、接続対象となる一対の端子金具毎に電線で繋いでから収容部材(サブケース)に収容する必要がある。これに対して、本発明に係る電気配線ユニットは、全ての第1導体を保持部材に収容及び保持させた後、それぞれの第1導体を第2導体で一纏めに繋ぐ。よって、この電気配線ユニットは、電気接続箱の組立に際しての作業性についても、従来の電気配線ユニットよりも優れたものとなっている。
【0013】
このように、本発明に係る電気配線ユニットは、原価を低減しつつも、優れた作業性で自らの組み立てや電気接続箱の組み立てを行うことが可能なものとなっている。更に、本発明に係る電気接続箱及びワイヤハーネスは、その電気配線ユニットを備えているので、この電気配線ユニットが奏する効果を同様に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る電気配線ユニット、電気接続箱及びワイヤハーネスの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
[実施形態]
本発明に係る電気配線ユニット、電気接続箱及びワイヤハーネスの実施形態の1つを
図1から
図8に基づいて説明する。
【0017】
図1から
図5の符号1は、本実施形態の電気配線ユニットを示す。また、
図1の符号JBと符号WHは、各々、その電気配線ユニット1を備えた本実施形態の電気接続箱と、この電気接続箱JBを備えた本実施形態のワイヤハーネスと、を示す。
【0018】
電気配線ユニット1とは、複数の部品で組み立てられた組立体であり、複数の電子部品EP(
図1及び
図6)を同電位で電気的に接続するために利用する。また、電気接続箱JBとは、筐体JBaに少なくとも1つの電気配線ユニット1と複数の電子部品EPとが収容されたものである(
図1)。よって、この電気接続箱JBは、電気配線ユニット1とは別の電気配線ユニットが筐体JBaに収容される場合もある。電気配線ユニット1は、その筐体JBaに周知のロック機構(図示略)等を介して保持される。ワイヤハーネスWHとは、その電気接続箱JBの電子部品EPに対して電気的に接続された電線(電力供給線や信号線等)Weを筐体JBaの内方から外方に引き出したものである(
図1)。電線Weは、筐体JBaの内方に収容され且つその内方で電子部品EPに接続され、その内方から外方に引き出される。尚、図中の筐体JBaは、フレームの外壁のみを示した概念図であり、このフレームの2つの開口を各々のカバーで塞いでいる。
【0019】
ここで、電子部品EPとは、例えば、リレー、ヒューズ等の回路保護部品、コネクタ、端子金具などのことを指している。本実施形態では、回路基板、電子制御ユニット(いわゆるECU)等の電子機器についても、筐体JBaに収容される電子部品EPの一形態として考える。この電子部品EPは、筐体JBaに直接的に収容され且つ保持されるものであってもよく、ブロック等の収容部材B(
図1、
図6及び
図7)を介して筐体JBaに間接的に収容され且つ保持されるものであってもよい。ここでは、収容部材Bに電子部品EPを収容及び保持し、この収容部材Bを介して筐体JBaに電子部品EPを収容及び保持している。
【0020】
この例示では、筐体JBaに収容される電子部品EPとして、4つの第1回路保護部品EP1と2つの第2回路保護部品EP2とが用意されている(
図1及び
図6)。また、この例示では、電線Weとして、第1回路保護部品EP1に対して電気的に接続される第1電線We1と、第2回路保護部品EP2に対して電気的に接続される第2電線We2と、が用意されている(
図1)。
【0021】
第1回路保護部品EP1は、電気配線ユニット1に対して電気的に接続される第1電気接続部EP1aと、第1電線We1に対して電気的に接続される第2電気接続部EP1bと、を有する(
図6)。その第1電気接続部EP1aと第2電気接続部EP1bは、矩形の平板状に形成されており、雄端子として機能する。第1電線We1の端部には、電気接続部が雌端子として形成された端子金具(図示略)が圧着等で物理的且つ電気的に接続されている。
【0022】
第2回路保護部品EP2は、図示しないが、電気配線ユニット1に対して電気的に接続される第1電気接続部と、第2電線We2に対して電気的に接続される第2電気接続部と、を有する。この第2回路保護部品EP2においては、第1電気接続部と第2電気接続部とが雌端子として形成されている。第2電線We2の端部には、電気接続部が雄端子として形成された端子金具(図示略)が圧着等で物理的且つ電気的に接続されている。
【0023】
この例示の収容部材Bには、第1回路保護部品EP1を収容及び保持する第1収容室B1が4つ並べて配置されている(
図6)。それぞれの第1収容室B1には、開口部B1aを介して第1回路保護部品EP1が1つずつ収容される。また、この例示の収容部材Bには、第2回路保護部品EP2を収容及び保持する第2収容室B2が2つ並べて配置されている(
図6)。それぞれの第2収容室B2には、開口部B2aを介して第2回路保護部品EP2が1つずつ収容される。ここでは、4つの第1収容室B1と2つの第2収容室B2とが1列に並べて配置され、かつ、それぞれの開口部B1a,B2aが各々同じ向きに口を開けている。
【0024】
この収容部材Bの内方では、第1回路保護部品EP1の第1電気接続部EP1aと電気配線ユニット1における後述する第1端子金具10Aの第1電気接続部11Aとが物理的且つ電気的に接続される。よって、この例示の収容部材Bには、第1収容室B1に連通し、かつ、第1電気接続部EP1a及び第1端子金具10Aを収容する第1端子収容室B3が形成されている(
図7)。第1端子収容室B3は、第1収容室B1毎に設けられている。この第1端子収容室B3には、開口部B3aを介して第1端子金具10Aが収容される。この第1端子収容室B3では、第1電気接続部EP1aと第1電気接続部11Aとが嵌合されている。第1端子金具10Aは、この第1端子収容室B3で保持される。
【0025】
更に、この収容部材Bの内方では、第1回路保護部品EP1の第2電気接続部EP1bに対して第1電線We1が電気的に接続される。よって、この例示の収容部材Bには、第1収容室B1に連通し、かつ、第2電気接続部EP1b及び第1電線We1の端部の端子金具を収容する第2端子収容室B4が形成されている(
図7)。第2端子収容室B4は、第1収容室B1毎に設けられている。この第2端子収容室B4には、開口部B4aを介して第1電線We1の端部の端子金具が収容される。この第2端子収容室B4では、その端子金具の電気接続部と第1回路保護部品EP1の第2電気接続部EP1bとが嵌合されている。第1電線We1の端部の端子金具は、この第2端子収容室B4で保持される。
【0026】
また更に、この収容部材Bの内方では、第2回路保護部品EP2の第1電気接続部と電気配線ユニット1における後述する第2端子金具10Bの第1電気接続部11Bとが物理的且つ電気的に接続される。よって、この例示の収容部材Bには、第2収容室B2に連通させた第3端子収容室B5が形成されている(
図7)。その第3端子収容室B5は、第2端子金具10Bを収容すると共に、第1電気接続部11Bを第2収容室B2に案内する。この第3端子収容室B5は、第2収容室B2毎に設けられている。この第3端子収容室B5には、開口部B5aを介して第2端子金具10Bが収容される。第2端子金具10Bは、この第3端子収容室B5で保持される。この第3端子収容室B5に収容された第2端子金具10Bは、第2収容室B2において、第1電気接続部11Bを第2回路保護部品EP2の第1電気接続部に嵌合させる。
【0027】
また更に、この収容部材Bの内方では、第2回路保護部品EP2の第2電気接続部に対して第2電線We2が電気的に接続される。よって、この例示の収容部材Bには、第2収容室B2に連通させた第4端子収容室B6が形成されている(
図7)。その第4端子収容室B6は、第2電線We2の端部の端子金具を収容すると共に、この端子金具の電気接続部を第2収容室B2に案内する。この第4端子収容室B6は、第2収容室B2毎に設けられている。この第4端子収容室B6には、開口部B6aを介して第2電線We2の端部の端子金具が収容される。第2電線We2の端部の端子金具は、この第4端子収容室B6で保持される。この第4端子収容室B6に収容された端子金具は、第2収容室B2において、電気接続部を第2回路保護部品EP2の第2電気接続部に嵌合させる。
【0028】
電気接続箱JBは、電線We(第1電線We1、第2電線We2)と共にワイヤハーネスWHとして、例えば、車両(図示略)のエンジンコンパートメント等に設置される。この電気接続箱JBにおいては、車両に搭載された接続対象物(図示略)が電子部品EPに対して電線Weを介して電気的に接続されている。接続対象物とは、二次電池などの電源、電気機器(アクチュエータ等)などの負荷、センサなどのことを指している。
【0029】
以下に、電気配線ユニット1について具体的に説明する。
【0030】
電気配線ユニット1は、電子部品EPの第1電気接続部(第1回路保護部品EP1の第1電気接続部EP1a、第2回路保護部品EP2の第1電気接続部)に対して電気的に接続する。この電気配線ユニット1は、接続対象となる複数の電子部品EPを同電位で電気的に接続する。この電気配線ユニット1は、接続対象となる電子部品EP毎に用意した端子金具10と、端子金具10に対して端子金具10毎に1つずつ電気的に接続する第1導体20と、少なくとも2つの第1導体20に対して電気的に接続する少なくとも1つの第2導体30と、を備える(
図2から
図5)。
【0031】
端子金具10は、金属等の導電性材料で成形する。この端子金具10は、電子部品EPに対して物理的且つ電気的に接続される第1電気接続部11と、第1導体20に対して物理的且つ電気的に接続される第2電気接続部12と、を有する(
図2から
図5)。この端子金具10は、筐体JBaに収容される電子部品EPに適応させたものを用いる。この端子金具10は、電子部品EPに適応させたものであれば、この電気配線ユニット1のために用意した専用部品であってもよく、この電気配線ユニット1以外の別の組立体(電気配線ユニットや電気接続箱等)などで共用可能な汎用部品であってもよい。
【0032】
この例示では、先に示したように、筐体JBaに収容される電子部品EPとして、4つの第1回路保護部品EP1と2つの第2回路保護部品EP2とを用意している。よって、この例示の端子金具10としては、第1回路保護部品EP1に対して物理的且つ電気的に接続される第1端子金具10Aと、第2回路保護部品EP2に対して物理的且つ電気的に接続される第2端子金具10Bと、が用意されている(
図2から
図5)。
【0033】
第1端子金具10Aは、第1回路保護部品EP1の第1電気接続部EP1aに対して物理的且つ電気的に接続される第1電気接続部11Aと、第1導体20に対して物理的且つ電気的に接続される第2電気接続部12Aと、を有する。この例示の第1電気接続部11Aは、雄端子として形成された第1電気接続部EP1aに対して挿抜自在に嵌合させるべく、雌端子形状に形成している。第2電気接続部12Aは、第1導体20の端部形状に合わせて形成し、この第1導体20の端部に固定する。第2電気接続部12Aと第1導体20との間の固定構造としては、例えば、加締め等の圧着固定、溶着、ろう付け等を適用することができる。この例示の固定構造については、後で詳述する。
【0034】
第2端子金具10Bは、第2回路保護部品EP2の第1電気接続部に対して物理的且つ電気的に接続される第1電気接続部11Bと、第1導体20に対して物理的且つ電気的に接続される第2電気接続部12Bと、を有する。この例示の第1電気接続部11Bは、雌端子として形成された第2回路保護部品EP2の第1電気接続部に対して挿抜自在に嵌合させるべく、雄端子形状に形成している。第2電気接続部12Bは、第1導体20の端部形状に合わせて形成し、この第1導体20の端部に固定する。第2電気接続部12Bと第1導体20との間の固定構造としては、先の第2電気接続部12Aと第1導体20との間の固定構造と同様のものを適用することができる。この例示の固定構造については、後で詳述する。
【0035】
第1導体20は、この電気配線ユニット1において、全てが同一のものであってもよく、複数の種類のものを用いてもよい。後者の場合には、例えば、電子部品EPの種類毎に第1導体20を用意してもよい。この例示では、第1回路保護部品EP1と第2回路保護部品EP2とで同一の第1導体20を用いている。第1導体20は、例えば、棒状に成形された棒状導体であってもよく、導電性の芯線と芯線を覆う絶縁性の被覆とを有する電線であってもよい。第1導体20として棒状導体を用いる場合、その棒状導体は、例えば、金属等の導電性材料で円柱の棒状又は平板の棒状に成形する。棒状導体は、直線状に成形されたものであってもよく、少なくとも1箇所で屈曲させたものであってもよい。また、第1導体20として電線を用いる場合、その電線の芯線は、導電性の線材からなる複数の素線が束ねられたものであってもよく、円柱の棒状導体であってもよい。電線は、直線状に配策して使用してもよく、少なくとも1箇所で屈曲させた状態で使用してもよい。
【0036】
この例示では、芯線21及び被覆22を有する電線を第1導体20として用いる(
図5)。ここでは、この第1導体20を直線状に配策する。この第1導体20は、一端の被覆22を剥ぎ取って芯線21を剥き出しにしている。第1端子金具10Aの第2電気接続部12Aは、その剥き出しの芯線21に2つのバレル片で圧着することによって、この芯線21に対して物理的且つ電気的に接続する。これと同様に、第2端子金具10Bの第2電気接続部12Bは、その剥き出しの芯線21に2つのバレル片で圧着することによって、この芯線21に対して物理的且つ電気的に接続する。
【0037】
第2導体30は、金属等の導電性材料で成形する。この第2導体30は、接続対象となる第1導体20毎に設けた1対の圧接片部31と、それぞれの圧接片部31を連結する連結部32と、を有する(
図5)。1対の圧接片部31は、接続対象となる第1導体20毎に、圧接溝33としての間隔を空けて対向配置する。その圧接溝33には、第1導体20が挿入される。第1導体20は、自らの軸線に対する交差方向に向けて、圧接溝33に挿入する。1対の圧接片部31は、圧接溝33に挿入された第1導体20を挟持するが如く、この第1導体20に圧接することによって、この第1導体20に対して物理的且つ電気的に接続する。この例示では、全ての圧接片部31を同一平面上で一列に並べて配置し、この全ての圧接片部31を連結部32で繋いでいる。ここでは、第2導体30を平板状に成形し、同一平面上に全ての圧接片部31と連結部32を配置している。この第2導体30においては、全ての圧接溝33における第1導体20の挿入口が同じ向きに口を開けている。
【0038】
具体的に、第1導体20が棒状導体の場合には、その棒状導体における圧接溝33への挿入箇所を少なくとも剥き出しにしておくことで、圧接溝33に挿入された際に、1対の圧接片部31で第1導体20を挟持させればよい。この例示の1対の圧接片部31は、対向配置されたそれぞれの辺部に圧接刃31aを有している。圧接溝33は、対向配置された圧接刃31aの間に設けられている。圧接刃31aとは、圧接溝33に挿入された第1導体20の被覆22を切り裂いて芯線21に食い込ませるための部位である。この圧接刃31aは、圧接溝33に第1導体20が挿入された際に、被覆22を切り裂きながら、芯線21に食い込んでいく。これにより、1対の圧接片部31は、第1導体20に対して物理的且つ電気的に接続させることができる。
【0039】
この例示の電気配線ユニット1においては、1つの第2導体30を全ての第1導体20に対して物理的且つ電気的に接続させる。よって、この例示の第2導体30は、少なくとも全ての第1導体20(換言するならば、接続対象となる全ての電子部品EP)の数量分だけ1対の圧接片部31が設けられている。
【0040】
この電気配線ユニット1は、全ての第1導体20を保持する絶縁性の保持部材40を備えている(
図1から
図5及び
図8)。その保持部材40は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形する。この例示の保持部材40は、第1導体20だけでなく、第2導体30も保持できるように成形している。一方、この保持部材40は、全ての端子金具10が外方に配置されるように成形している。
【0041】
この例示の保持部材40は、第1導体20が収容及び保持される収容室41を有する(
図2から
図5及び
図8)。その収容室41は、第1導体20毎に設ける。この収容室41は、少なくとも全ての第1導体20の数量分だけ設けている。収容室41は、第1導体20の軸線方向に沿って延在させている。この収容室41は、その延在方向に対する直交方向に開口を有しており、その開口を第1導体20の挿入のための挿入口41aとして利用する(
図2及び
図8)。つまり、この例示の第1導体20は、自らの軸線に対する交差方向に沿って、挿入口41aから収容室41に挿入される。この収容室41は、収容された第1導体20の端子金具10側を挿通させる挿通孔41bを有している(
図2から
図4及び
図8)。この例示では、第1導体20における端子金具10側とは逆側の端部が収容室41に収容されている。
【0042】
この保持部材40においては、第1導体20を保持するための第1保持部42が収容室41に形成されている(
図2、
図4、
図5及び
図8)。この例示の第1保持部42は、間隔を空けて対向配置された1対の保持片42aを有している。保持部材40においては、1対の保持片42aに第1導体20を挟持させることによって、収容室41に第1導体20を保持する。
【0043】
更に、この保持部材40には、第2導体30を保持するための第2保持部43が複数箇所に形成されている(
図2から
図5及び
図8)。この例示の第2保持部43は、間隔を空けて対向配置された1対の保持片43aを有している(
図2から
図4及び
図8)。保持部材40においては、全ての第2保持部43の1対の保持片43aで第2導体30を挟持することによって、この第2導体30を保持する。ここでは、収容室41を成す壁体41cに切欠きの如く隙間43bを形成し、この隙間43bを挟んで対向配置された1対の片状の部位を1対の保持片43aとして利用する(
図8)。
【0044】
ここで、第2導体30は、全ての第2保持部43で保持されている状態で、圧接溝33が収容室41に収容されるように成形する。これにより、この第2導体30は、全ての第2保持部43で保持されるよう隙間43bに押し込むことで、収容室41に収容されている第1導体20に対して1対の圧接片部31を圧接することができる。
【0045】
このように構成した電気配線ユニット1は、例えば、対になる端子金具10(第1端子金具10A、第2端子金具10B)と第1導体20とを全て接続し、それぞれの第1導体20を保持部材40の収容室41に収容及び保持させる。この電気配線ユニット1においては、その状態で第2導体30を保持部材40に取り付ける。その際、この電気配線ユニット1では、圧接溝33を収容室41の位置に合わせつつ、第2導体30を隙間43bに押し込んでいくことによって、その隙間43bに第2導体30が入り込みながら、この第2導体30の圧接溝33に第1導体20が挿入されていく。その第2導体30では、その隙間43bに入り込みながら、全ての圧接溝33において、一対の圧接刃31aが第1導体20の被覆22を切り裂いて、この一対の圧接刃31aが第1導体20の芯線21に食い込んでいく。電気配線ユニット1は、このようにして組み立てられる。
【0046】
この電気配線ユニット1は、筐体JBaに収容及び保持される。電気接続箱JBにおいては、電気配線ユニット1が収容されている筐体JBaに電子部品EP(第1回路保護部品EP1、第2回路保護部品EP2)が収容される。この電気接続箱JBにおいては、第1回路保護部品EP1の筐体JBaへの収容に伴って、第1端子金具10Aの第1電気接続部11Aと第1回路保護部品EP1の第1電気接続部EP1aとが物理的且つ電気的に接続される。また、この電気接続箱JBにおいては、第2回路保護部品EP2の筐体JBaへの収容に伴って、第2端子金具10Bの第1電気接続部11Bと第2回路保護部品EP2の第1電気接続部とが物理的且つ電気的に接続される。
【0047】
以上示したように、本実施形態の電気配線ユニット1は、端子金具10と第1導体20と第2導体30と保持部材40とを組み立てて一体化したものであり、例えば筐体JBaに収容するなどして、従来の板状のバスバと同様のものとして扱うことができる。そして、この電気配線ユニット1は、接続対象となる電子部品EPの種類と数量と配置に応じて、端子金具10と第1導体20の組み合わせの種類と数量と配置を変えることができる。つまり、この電気配線ユニット1は、端子金具10等の予め設定されている既存部品の組み合わせを変えたり、その配置を変えたりするだけで、接続対象となる電子部品EPの種類等の変更に柔軟に対応することができる。よって、この電気配線ユニット1は、接続対象となる電子部品EPの種類等に応じてその都度新たな部品を作る必要のある従来のバスバと比較して、原価の低減を図ることができる。特に、この電気配線ユニット1は、端子金具10や第1導体20に汎用部品を用いることで、更なる原価の低減を図ることができる。
【0048】
更に、本実施形態の電気配線ユニット1は、同電位での接続対象となる端子金具10と第1導体20の複数の組み合わせを第2導体30で一纏めに繋ぐことができる。よって、この電気配線ユニット1は、接続対象となる一対の端子金具毎に電線で繋ぐ従来の電気配線ユニットと比較して、ユニット組立に際しての作業性を向上させることができる。例えば、この例示の電気配線ユニット1では、1対の圧接片部31の間の圧接溝33に第1導体20を差し込んで圧接させるだけなので、ユニット組立に際しての作業性に優れたものとなっている。また、その従来の電気配線ユニットは、接続対象となる一対の端子金具毎に電線で繋いでから収容部材(サブケース)に収容する必要がある。これに対して、本実施形態の電気配線ユニット1は、全ての第1導体20を保持部材40に収容及び保持させた後、それぞれの第1導体20を第2導体30で一纏めに繋ぐ。よって、この電気配線ユニット1は、電気接続箱JBの組立に際しての作業性についても、従来の電気配線ユニットよりも優れたものとなっている。
【0049】
このように、本実施形態の電気配線ユニット1は、原価を低減しつつも、優れた作業性で自らの組み立てや電気接続箱JBの組み立てを行うことが可能なものとなっている。更に、本実施形態の電気接続箱JB及びワイヤハーネスWHは、その電気配線ユニット1を備えているので、この電気配線ユニット1が奏する効果を同様に得ることができる。