特許第6925941号(P6925941)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6925941
(24)【登録日】2021年8月6日
(45)【発行日】2021年8月25日
(54)【発明の名称】電気接続箱及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/14 20060101AFI20210812BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20210812BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20210812BHJP
【FI】
   H02G3/14
   H02G3/16
   H05K5/03 A
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-214612(P2017-214612)
(22)【出願日】2017年11月7日
(65)【公開番号】特開2019-88102(P2019-88102A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2020年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野田 健
(72)【発明者】
【氏名】山本 覚
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 悦朗
(72)【発明者】
【氏名】野垣 崇央
【審査官】 神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−182308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/14
H02G 3/16
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置した第1本体側外壁体及び第2本体側外壁体並びに前記第1本体側外壁体と前記第2本体側外壁体のそれぞれの一端側でこれらに直交状態で配置した第3本体側外壁体が少なくとも設けられた筒状の本体側外周壁を有し、前記本体側外周壁の内方の収容室に電子部品及び電線が収容される本体と、
対向配置した第1カバー側外壁体及び第2カバー側外壁体並びに前記第1カバー側外壁体と前記第2カバー側外壁体の一端側でこれらに直交状態で配置した第3カバー側外壁体が少なくとも設けられた筒状のカバー側外周壁を有し、前記本体側外周壁の開口側端部に前記カバー側外周壁の開口側端部を嵌め合わせて前記本体の開口を塞ぐカバー部材と、
前記本体と前記カバー部材とを嵌合させる際に前記本体と前記カバー部材とを相対回転させる回動支持構造と、
を備え、
前記回動支持構造は、前記本体側外周壁の前記第3本体側外壁体側の端部に設けた凹状の軸受部と、前記カバー側外周壁の前記第3カバー側外壁体側の端部に設け、前記相対回転に際して前記軸受部に回動自在に収容させる回動軸部と、前記回動軸部を前記軸受部まで案内可能なガイド機構と、を備え、
前記ガイド機構は、前記軸受部における前記回動軸部の回動時の摺動壁面を前記第3本体側外壁体の外壁面に連接させる連接壁面と、前記回動軸部を前記第1本体側外壁体及び前記第2本体側外壁体における前記本体の前記開口側のそれぞれの端面に沿って前記第3本体側外壁体の外壁面まで滑動させながら案内することが可能な第1ガイド部と、前記第1ガイド部で案内された前記回動軸部を前記第3本体側外壁体の外壁面に沿って前記連接壁面まで滑動させながら案内することが可能な第2ガイド部と、前記第2ガイド部で案内された前記回動軸部を前記連接壁面に沿って前記軸受部まで滑動させながら案内することが可能な第3ガイド部と、を備えることを特徴とした電気接続箱。
【請求項2】
前記本体側外周壁は、前記第3本体側外壁体に対向配置した第4本体側外壁体を有し、
前記カバー側外周壁は、前記第3カバー側外壁体に対向配置した第4カバー側外壁体を有し、
前記第4本体側外壁体に設けた本体側係合体及び前記第4カバー側外壁体に設けたカバー側係合体を備え、前記本体側係合体と前記カバー側係合体との係合完了位置で前記第4本体側外壁体と前記第4カバー側外壁体の嵌合状態を保持するロック機構を備えることを特徴とした請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記本体と前記カバー部材とを前記回動支持構造で相対回転させて少なくとも嵌合完了位置となるときに、前記嵌合完了位置における前記本体側外周壁と前記カバー側外周壁とで共通の筒軸方向に沿って前記本体側係合体と前記カバー側係合体とを係合完了位置まで相対移動させるように構成することを特徴とした請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記ロック機構は、前記回動軸部が前記第1ガイド部に乗り上げたままで前記本体側係合体と前記カバー側係合体とを係合させ始めた際に、前記本体側係合体と前記カバー側係合体とを係合完了位置まで相対移動させずに係止させる係止部を備えることを特徴とした請求項3に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記軸受部としては、前記第1本体側外壁体の外壁面における前記第3本体側外壁体側の端部に設けた第1軸受部と、前記第2本体側外壁体の外壁面における前記第3本体側外壁体側の端部に設けた第2軸受部と、を備え、
前記回動軸部としては、前記第1軸受部に回動自在に収容させる凸状の第1回動軸部と、前記第2軸受部に回動自在に収容させる凸状の第2回動軸部と、を備え、
前記連接壁面としては、前記第1軸受部における前記摺動壁面を前記第3本体側外壁体の外壁面に連接させる第1連接壁面と、前記第2軸受部における前記摺動壁面を前記第3本体側外壁体の外壁面に連接させる第2連接壁面と、を備え、
前記第1ガイド部は、前記第1回動軸部を滑動させながら案内することが可能な前記第1本体側外壁体の前記端面と、前記第2回動軸部を滑動させながら案内することが可能な前記第2本体側外壁体の前記端面と、に設け、
前記第2ガイド部は、前記第1回動軸部を前記第1連接壁面まで滑動させながら案内することが可能な前記第3本体側外壁体の外壁面における前記第1本体側外壁体側の端部と、前記第2回動軸部を前記第2連接壁面まで滑動させながら案内することが可能な前記第3本体側外壁体の外壁面における前記第2本体側外壁体側の端部と、に設け、
前記第3ガイド部は、前記第1回動軸部を前記第1連接壁面に沿って前記第1軸受部まで滑動させながら案内することが可能な凹状部として前記第1本体側外壁体の外壁面に設けると共に、前記第2回動軸部を前記第2連接壁面に沿って前記第2軸受部まで滑動させながら案内することが可能な凹状部として前記第2本体側外壁体の外壁面に設けることを特徴とした請求項1から4の内の何れか1つに記載の電気接続箱。
【請求項6】
電子部品と、
前記電子部品に一端側が電気的に接続される電線と、
前記電子部品及び前記電線の一端側を内部に収容すると共に前記電線の他端側を外部に引き出す筐体と、
を備え、
前記筐体は、
対向配置した第1本体側外壁体及び第2本体側外壁体並びに前記第1本体側外壁体と前記第2本体側外壁体のそれぞれの一端側でこれらに直交状態で配置した第3本体側外壁体が少なくとも設けられた筒状の本体側外周壁を有し、前記本体側外周壁の内方の収容室に前記電子部品及び前記電線が収容される本体と、
対向配置した第1カバー側外壁体及び第2カバー側外壁体並びに前記第1カバー側外壁体と前記第2カバー側外壁体の一端側でこれらに直交状態で配置した第3カバー側外壁体が少なくとも設けられた筒状のカバー側外周壁を有し、前記本体側外周壁の開口側端部に前記カバー側外周壁の開口側端部を嵌め合わせて前記本体の開口を塞ぐカバー部材と、
前記本体と前記カバー部材とを嵌合させる際に前記本体と前記カバー部材とを相対回転させる回動支持構造と、
を備え、
前記回動支持構造は、前記本体側外周壁の前記第3本体側外壁体側の端部に設けた凹状の軸受部と、前記カバー側外周壁の前記第3カバー側外壁体側の端部に設け、前記相対回転に際して前記軸受部に回動自在に収容させる回動軸部と、前記回動軸部を前記軸受部まで案内可能なガイド機構と、を備え、
前記ガイド機構は、前記軸受部における前記回動軸部の回動時の摺動壁面を前記第3本体側外壁体の外壁面に連接させる連接壁面と、前記回動軸部を前記第1本体側外壁体及び前記第2本体側外壁体における前記本体の前記開口側のそれぞれの端面に沿って前記第3本体側外壁体の外壁面まで滑動させながら案内することが可能な第1ガイド部と、前記第1ガイド部で案内された前記回動軸部を前記第3本体側外壁体の外壁面に沿って前記連接壁面まで滑動させながら案内することが可能な第2ガイド部と、前記第2ガイド部で案内された前記回動軸部を前記連接壁面に沿って前記軸受部まで滑動させながら案内することが可能な第3ガイド部と、を備えることを特徴としたワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱及びワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気接続箱は、電子部品が収容される本体と、この本体の開口を塞ぐカバー部材と、を筐体の構成部材として備えている。その本体とカバー部材は、互いの開口の周縁部同士(つまり、互いの外周壁の開口側の端部同士)を嵌め合わせることによって組み付けられ、その嵌合状態がロック機構によって保たれている。ロック機構は、本体の外周壁に設けた第1係合体と、カバー部材の外周壁に設けた第2係合体と、を備える。第1係合体と第2係合体は、その相互間の係合動作を本体とカバー部材の嵌合動作と同時進行で実施し、その嵌合動作の完了と共に係合動作が完了するように構成している。尚、電気接続箱においては、筐体の内方の収容室で電子部品が電線に対して電気的に接続される。その電線は、筐体の外方に引き出され、例えば、車両の電源や負荷等に対して電気的に接続される。電気接続箱は、その電子部品や電線と共に一体となってワイヤハーネスを成す。下記の特許文献1には、この種の電気接続箱について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−236847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の電気接続箱においては、嵌合状態の保持という目的を果たすべく、本体の外周壁における対向配置された2つの外壁体に第1係合体を各々配置し、かつ、カバー部材の外周壁における対向配置された2つの外壁体に第2係合体を各々配置する。つまり、従来の電気接続箱においては、複数のロック機構が少なくとも対向配置状態で設けられている。第1係合体と第2係合体は、その内の少なくとも一方が爪部を有しており、本体とカバー部材の嵌合動作と共に、その爪部を相手方に引っ掛けることによって、相互間の係合を完了させる。
【0005】
ここで、この電気接続箱においては、例えば車体等の周辺部品で作業者の作業位置よりも奥側の第1係合体が目視し難い場合、カバー部材を本体に組み付ける際に、例えば、その第1係合体にカバー部材の奥側の第2係合体を係合させた上で、手前側のロック機構を係合させる。しかしながら、この電気接続箱では、奥側の第2係合体が本体に奥側で乗り上げて、この第2係合体が奥側の第1係合体に係合していなくても、手前側のロック機構が係合されてしまう可能性がある。よって、この電気接続箱は、周辺部品との位置関係如何で、本体とカバー部材の嵌合が完了したものと作業者に誤認させてしまう虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、本体とカバー部材の誤組付けの発生を抑えることが可能な電気接続箱及びワイヤハーネスを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する為、本発明に係る電気接続箱は、対向配置した第1本体側外壁体及び第2本体側外壁体並びに前記第1本体側外壁体と前記第2本体側外壁体のそれぞれの一端側でこれらに直交状態で配置した第3本体側外壁体が少なくとも設けられた筒状の本体側外周壁を有し、前記本体側外周壁の内方の収容室に電子部品及び電線が収容される本体と、対向配置した第1カバー側外壁体及び第2カバー側外壁体並びに前記第1カバー側外壁体と前記第2カバー側外壁体の一端側でこれらに直交状態で配置した第3カバー側外壁体が少なくとも設けられた筒状のカバー側外周壁を有し、前記本体側外周壁の開口側端部に前記カバー側外周壁の開口側端部を嵌め合わせて前記本体の開口を塞ぐカバー部材と、前記本体と前記カバー部材とを嵌合させる際に前記本体と前記カバー部材とを相対回転させる回動支持構造と、を備え、前記回動支持構造は、前記本体側外周壁の前記第3本体側外壁体側の端部に設けた凹状の軸受部と、前記カバー側外周壁の前記第3カバー側外壁体側の端部に設け、前記相対回転に際して前記軸受部に回動自在に収容させる回動軸部と、前記回動軸部を前記軸受部まで案内可能なガイド機構と、を備え、前記ガイド機構は、前記軸受部における前記回動軸部の回動時の摺動壁面を前記第3本体側外壁体の外壁面に連接させる連接壁面と、前記回動軸部を前記第1本体側外壁体及び前記第2本体側外壁体における前記本体の前記開口側のそれぞれの端面に沿って前記第3本体側外壁体の外壁面まで滑動させながら案内することが可能な第1ガイド部と、前記第1ガイド部で案内された前記回動軸部を前記第3本体側外壁体の外壁面に沿って前記連接壁面まで滑動させながら案内することが可能な第2ガイド部と、前記第2ガイド部で案内された前記回動軸部を前記連接壁面に沿って前記軸受部まで滑動させながら案内することが可能な第3ガイド部と、を備えることを特徴としている。
【0008】
ここで、前記本体側外周壁は、前記第3本体側外壁体に対向配置した第4本体側外壁体を有し、前記カバー側外周壁は、前記第3カバー側外壁体に対向配置した第4カバー側外壁体を有し、前記第4本体側外壁体に設けた本体側係合体及び前記第4カバー側外壁体に設けたカバー側係合体を備え、前記本体側係合体と前記カバー側係合体との係合完了位置で前記第4本体側外壁体と前記第4カバー側外壁体の嵌合状態を保持するロック機構を備えることが望ましい。
【0009】
また、前記ロック機構は、前記本体と前記カバー部材とを前記回動支持構造で相対回転させて少なくとも嵌合完了位置となるときに、前記嵌合完了位置における前記本体側外周壁と前記カバー側外周壁とで共通の筒軸方向に沿って前記本体側係合体と前記カバー側係合体とを係合完了位置まで相対移動させるように構成することが望ましい。
【0010】
また、前記ロック機構は、前記回動軸部が前記第1ガイド部に乗り上げたままで前記本体側係合体と前記カバー側係合体とを係合させ始めた際に、前記本体側係合体と前記カバー側係合体とを係合完了位置まで相対移動させずに係止させる係止部を備えることが望ましい。
【0011】
また、前記軸受部としては、前記第1本体側外壁体の外壁面における前記第3本体側外壁体側の端部に設けた第1軸受部と、前記第2本体側外壁体の外壁面における前記第3本体側外壁体側の端部に設けた第2軸受部と、を備え、前記回動軸部としては、前記第1軸受部に回動自在に収容させる凸状の第1回動軸部と、前記第2軸受部に回動自在に収容させる凸状の第2回動軸部と、を備え、前記連接壁面としては、前記第1軸受部における前記摺動壁面を前記第3本体側外壁体の外壁面に連接させる第1連接壁面と、前記第2軸受部における前記摺動壁面を前記第3本体側外壁体の外壁面に連接させる第2連接壁面と、を備え、前記第1ガイド部は、前記第1回動軸部を滑動させながら案内することが可能な前記第1本体側外壁体の前記端面と、前記第2回動軸部を滑動させながら案内することが可能な前記第2本体側外壁体の前記端面と、に設け、前記第2ガイド部は、前記第1回動軸部を前記第1連接壁面まで滑動させながら案内することが可能な前記第3本体側外壁体の外壁面における前記第1本体側外壁体側の端部と、前記第2回動軸部を前記第2連接壁面まで滑動させながら案内することが可能な前記第3本体側外壁体の外壁面における前記第2本体側外壁体側の端部と、に設け、前記第3ガイド部は、前記第1回動軸部を前記第1連接壁面に沿って前記第1軸受部まで滑動させながら案内することが可能な凹状部として前記第1本体側外壁体の外壁面に設けると共に、前記第2回動軸部を前記第2連接壁面に沿って前記第2軸受部まで滑動させながら案内することが可能な凹状部として前記第2本体側外壁体の外壁面に設けることが望ましい。
【0012】
また、上記目的を達成する為、本発明に係るワイヤハーネスは、電子部品と、前記電子部品に一端側が電気的に接続される電線と、前記電子部品及び前記電線の一端側を内部に収容すると共に前記電線の他端側を外部に引き出す筐体と、を備え、前記筐体は、対向配置した第1本体側外壁体及び第2本体側外壁体並びに前記第1本体側外壁体と前記第2本体側外壁体のそれぞれの一端側でこれらに直交状態で配置した第3本体側外壁体が少なくとも設けられた筒状の本体側外周壁を有し、前記本体側外周壁の内方の収容室に前記電子部品及び前記電線が収容される本体と、対向配置した第1カバー側外壁体及び第2カバー側外壁体並びに前記第1カバー側外壁体と前記第2カバー側外壁体の一端側でこれらに直交状態で配置した第3カバー側外壁体が少なくとも設けられた筒状のカバー側外周壁を有し、前記本体側外周壁の開口側端部に前記カバー側外周壁の開口側端部を嵌め合わせて前記本体の開口を塞ぐカバー部材と、前記本体と前記カバー部材とを嵌合させる際に前記本体と前記カバー部材とを相対回転させる回動支持構造と、を備え、前記回動支持構造は、前記本体側外周壁の前記第3本体側外壁体側の端部に設けた凹状の軸受部と、前記カバー側外周壁の前記第3カバー側外壁体側の端部に設け、前記相対回転に際して前記軸受部に回動自在に収容させる回動軸部と、前記回動軸部を前記軸受部まで案内可能なガイド機構と、を備え、前記ガイド機構は、前記軸受部における前記回動軸部の回動時の摺動壁面を前記第3本体側外壁体の外壁面に連接させる連接壁面と、前記回動軸部を前記第1本体側外壁体及び前記第2本体側外壁体における前記本体の前記開口側のそれぞれの端面に沿って前記第3本体側外壁体の外壁面まで滑動させながら案内することが可能な第1ガイド部と、前記第1ガイド部で案内された前記回動軸部を前記第3本体側外壁体の外壁面に沿って前記連接壁面まで滑動させながら案内することが可能な第2ガイド部と、前記第2ガイド部で案内された前記回動軸部を前記連接壁面に沿って前記軸受部まで滑動させながら案内することが可能な第3ガイド部と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る電気接続箱においては、第3本体側外壁体側と第3カバー側外壁体側の回動支持構造を支点にして相対回転させながら、本体とカバー部材を嵌め合わせていく。この電気接続箱においては、その回動支持構造が作業位置よりも奥側で目視し難い位置に配置されていたとしても、カバー部材の回動軸部を本体のガイド機構に沿って、作業位置側(第4本体側外壁体側)から本体の軸受部まで案内していくことができる。よって、この電気接続箱は、回動支持構造が目視し難い位置に配置されていたとしても、この回動支持構造の回動軸部を軸受部に収容させることができ、回動支持構造を支点にして本体とカバー部材を相対回転させることができる。従って、本発明に係る電気接続箱は、回動支持構造が目視し難い位置に配置されていたとしても、本体とカバー部材を正規嵌合状態に嵌合させることができるので、本体とカバー部材の誤組付けの発生を抑えることができる。また、本発明に係るワイヤハーネスは、その電気接続箱を備えるものであるので、その電気接続箱の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、正規嵌合時の電気接続箱及びワイヤハーネスを示す斜視図である。
図2図2は、電気接続箱の分解斜視図である。
図3図3は、電気接続箱を別角度から見た分解斜視図である。
図4図4は、電気接続箱を更に別の角度から見た分解斜視図である。
図5図5は、正規嵌合時の電気接続箱を示す側面図である。
図6図6は、正規嵌合時の電気接続箱を示す正面図である。
図7図7は、図3のA部拡大図である。
図8図8は、第1ガイド部による第1回動軸部の案内動作を説明する断面図であり、案内中の状態を表している。
図9図9は、第1ガイド部による第2回動軸部の案内動作を説明する断面図であり、案内中の状態を表している。
図10図10は、第2ガイド部による第1回動軸部の案内動作を説明する断面図であり、案内中の状態を表している。
図11図11は、第2ガイド部による第2回動軸部の案内動作を説明する断面図であり、案内中の状態を表している。
図12図12は、第3ガイド部による第1回動軸部の案内動作を説明する断面図であり、案内動作の開始位置を表している。
図13図13は、第3ガイド部による第2回動軸部の案内動作を説明する断面図であり、案内動作の開始位置を表している。
図14図14は、第1回動軸部の第1軸受部への収容状態を表す断面図である。
図15図15は、第2回動軸部の第2軸受部への収容状態を表す断面図である。
図16図16は、第2ガイド部及び第3ガイド部による第1回動軸部の案内動作の変形形態を説明する断面図であり、第3ガイド部による案内動作の開始位置を表している。
図17図17は、図6のX1−X1線断面図である。
図18図18は、図6のX2−X2線断面図である。
図19図19は、誤組付け検知時の電気接続箱を示す断面図である。
図20図20は、図19のB部を拡大したロック機構の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る電気接続箱及びワイヤハーネスの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
[実施形態]
本発明に係る電気接続箱及びワイヤハーネスの実施形態の1つを図1から図20に基づいて説明する。
【0017】
図1から図6の符号1は、本実施形態の電気接続箱を示す。また、図1の符号WHは、その電気接続箱1を備えた本実施形態のワイヤハーネスを示す。尚、各図の電気接続箱1は、後述する本体20に2つのカバー部材が組み付けられるものであるが、後述する一方のカバー部材30のみを示している。
【0018】
本実施形態の電気接続箱1は、収容対象物AC(図2)が収容される筐体10を備える(図1から図6)。筐体10は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形する。この筐体10は、収容対象物ACが収容される収容室11を少なくとも1つ有する(図2)。この筐体10においては、収容対象物AC及び電線(電力供給線や信号線等)We(図1)の一端側が内部の収容室11に収容され、かつ、この電線Weの他端側が内部の収容室11から外部に引き出される。よって、この筐体10は、電線Weを内部から外部に引き出すための引出口(図示略)を少なくとも1つ有する。尚、図1では、複数本存在している電線Weの内の一部を図示している。また、図2では、複数収容される収容対象物ACの内の一部を図示している。
【0019】
ここで、収容対象物ACとしては、電線Weの一端側が電気的に接続される電子部品、又は、この電子部品を収容及び保持する電子部品保持体等が考えられる。本実施形態の電気接続箱1とは、電子部品と電子部品保持体の内の少なくとも一方が収容対象物ACとして筐体10に収容されるものである。この電気接続箱1は、その電子部品に対して電線Weを介して接続対象物(図示略)を電気的に接続させる。この電気接続箱1においては、筐体10の内部で電線Weが電子部品に対して電気的に接続されており、その筐体10の内部から外部に引き出された電線Weを介して電子部品が接続対象物に対して電気的に接続される。電気接続箱1は、その電線Weと共にワイヤハーネスWHを成す。
【0020】
電子部品とは、例えば、リレー、ヒューズ等の回路保護部品、コネクタ、端子金具などのことを指している。ここでは、回路基板、電子制御ユニット(所謂ECU)等の電子機器についても、電子部品の一形態として考える。また、接続対象物とは、二次電池などの電源、電気機器(アクチュエータ等)などの負荷、センサなどのことを指している。電気接続箱1においては、例えば、或る電線Weが電源に対して電気的に接続され、かつ、これとは別の電線Weが負荷に対して電気的に接続されており、その電源と負荷とを電子部品を介して電気的に繋いでいる。
【0021】
この例示の筐体10は、その構成部材として、本体20とカバー部材30とを備える(図1から図6)。本体20とカバー部材30は、互いに嵌め合わせることによって組み付けられる。
【0022】
本体20は、筐体10の主体部分を成すものであり、収容室11を有する(図2)。
【0023】
更に、この本体20は、収容対象物ACを挿入するための開口(以下、「本体側開口」という。)21を有する(図2)。本体側開口21は、収容対象物ACを収容室11に収容する際の挿入口であり、収容室11に連通させている。収容対象物ACは、本体側開口21から挿入して、収容室11に収容される。
【0024】
本体20は、側壁としての外周壁(以下、「本体側外周壁」という。)22を有しており、両端を開口させた筒状に成形されている(図2から図4)。本体側外周壁22は、対向配置した第1本体側外壁体22A及び第2本体側外壁体22Bと、第1本体側外壁体22Aと第2本体側外壁体22Bのそれぞれの一端側でこれらに直交状態で配置した第3本体側外壁体22Cと、が少なくとも設けられた筒状に形成する。この例示の本体側外周壁22は、更に、第3本体側外壁体22Cに対向配置した第4本体側外壁体22Dを有している。ここで示す本体側外周壁22は、第1本体側外壁体22Aと第2本体側外壁体22Bと第3本体側外壁体22Cと第4本体側外壁体22Dとによって、角筒状に形成されている。
【0025】
収容室11は、その本体側外周壁22で囲われた内部空間に形成する。従って、この本体20においては、本体側外周壁22の内方の収容室11に、収容対象物ACとしての電子部品並びに収容対象物ACとしての電子部品保持体に収容及び保持される電子部品と電線Weとが収容される。この本体20においては、その本体側外周壁22の成す2つの開口が各々本体側開口21(第1本体側開口21A、第2本体側開口21B)となる(図2から図4)。つまり、この例示の本体20は、対向配置された2つの本体側開口21(第1本体側開口21A、第2本体側開口21B)を両端に有する収容体であり、所謂フレームと称されることがある。この本体20においては、収容対象物ACとしての電子部品と収容対象物ACとしての電子部品保持体に収容及び保持される電子部品とが第1本体側開口21Aから挿入される。一方、収容対象物ACとしての電子部品保持体は、第2本体側開口21Bから挿入される。この本体20の内部では、電子部品と電線Weの一端側とが電気的に接続される。その電線Weは、第2本体側開口21Bを介して収容室11から引き出され、引出口に案内される。
【0026】
この本体20においては、第1本体側開口21Aにカバー部材30が組み付けられ、第2本体側開口21Bに別のカバー部材(図示略)が組み付けられる。
【0027】
カバー部材30は、第1本体側開口21A側から本体20に組み付けて、第1本体側開口21Aを塞ぐ。このカバー部材30は、自らの開口(以下、「カバー側開口」という。)31(図2から図4)の周縁部を本体20の第1本体側開口21Aの周縁部に嵌め合わせることによって、本体20に組み付ける。カバー側開口31の周縁部とは、後述するカバー側外周壁32のカバー側開口31側の端部(以下、「開口側端部」という。)32aに位置する部位のことである(図1から図6)。また、第1本体側開口21Aの周縁部とは、本体側外周壁22の第1本体側開口21A側の端部(以下、「開口側端部」という。)22aに位置する部位のことである(図2から図4)。
【0028】
カバー部材30は、側壁としての外周壁(以下、「カバー側外周壁」という。)32を有しており、そのカバー側外周壁32の一端を閉塞させ、かつ、カバー側外周壁32の他端を開口させている(図2から図4)。このカバー部材30においては、その開口がカバー側開口31となる。カバー側外周壁32は、対向配置した第1カバー側外壁体32A及び第2カバー側外壁体32Bと、第1カバー側外壁体32Aと第2カバー側外壁体32Bのそれぞれの一端側でこれらに直交状態で配置した第3カバー側外壁体32Cと、が少なくとも設けられた筒状に形成する。この例示のカバー側外周壁32は、更に、第3カバー側外壁体32Cに対向配置した第4カバー側外壁体32Dを有している。ここで示すカバー側外周壁32は、第1カバー側外壁体32Aと第2カバー側外壁体32Bと第3カバー側外壁体32Cと第4カバー側外壁体32Dとによって、角筒状に形成されている。
【0029】
このカバー部材30は、本体側外周壁22の開口側端部22aにカバー側外周壁32の開口側端部32aを嵌め合わせて、本体20の第1本体側開口21Aを塞ぐ。本体20とカバー部材30との間では、第1本体側外壁体22Aと第1カバー側外壁体32Aのそれぞれの開口側端部22a,32a同士が嵌合され、第2本体側外壁体22Bと第2カバー側外壁体32Bのそれぞれの開口側端部22a,32a同士が嵌合され、第3本体側外壁体22Cと第3カバー側外壁体32Cのそれぞれの開口側端部22a,32a同士が嵌合され、第4本体側外壁体22Dと第4カバー側外壁体32Dのそれぞれの開口側端部22a,32a同士が嵌合される。本体20とカバー部材30は、その嵌合状態での互いの位置が嵌合完了位置となる。本体20とカバー部材30との間では、この嵌合状態を正規嵌合状態という(図1図5及び図6)。この嵌合状態では、本体側外周壁22の筒軸方向とカバー側外周壁32の筒軸方向とが同じ向きになる。一方、本体20とカバー部材30との間では、その嵌合状態とは異なるそれぞれの開口側端部22a,32aの係合状態(例えば、それぞれの開口側端部22a,32aの一部分のみが嵌め合わされている状態等)を半嵌合状態という。
【0030】
この筐体10は、本体20とカバー部材30とを嵌合させる際に本体20とカバー部材30とを相対回転させる回動支持構造40を備える(図1から図6)。その回動支持構造40は、本体側外周壁22の第3本体側外壁体22C側の端部とカバー側外周壁32の第3カバー側外壁体32C側の端部とを回動支点にして、本体20とカバー部材30とを相対回転させる。
【0031】
この回動支持構造40は、本体側外周壁22の第3本体側外壁体22C側の端部に設けた凹状の軸受部41と、カバー側外周壁32の第3カバー側外壁体32C側の端部に設けた回動軸部42と、を備える(図2から図4)。その回動軸部42は、本体20とカバー部材30との間の相対回転に際して、軸受部41に回動自在に収容させる。
【0032】
具体的に、この例示の軸受部41としては、第1本体側外壁体22Aの外壁面における第3本体側外壁体22C側の端部に設けた第1軸受部41Aと、第2本体側外壁体22Bの外壁面における第3本体側外壁体22C側の端部に設けた第2軸受部41Bと、を備えている(図3及び図4)。第1軸受部41Aと第2軸受部41Bは、同心上に配置する。
【0033】
また、この例示の回動軸部42としては、第1軸受部41Aに回動自在に収容させる凸状の第1回動軸部42Aと、第2軸受部41Bに回動自在に収容させる凸状の第2回動軸部42Bと、を備えている(図3及び図4)。第1回動軸部42Aと第2回動軸部42Bは、同心上に配置する。
【0034】
第1軸受部41Aは、第1回動軸部42Aが回動する際の摺動壁面として、鈍角で連接された第1及び第2の摺動壁面41a,41b(図7及び図8)を有している。第1摺動壁面41aは、第1本体側外壁体22Aの第1本体側開口21A側の端面に対して、第4本体側外壁体22Dに向かうに連れて第2本体側開口21B側に傾斜させた状態で対向配置されている。第2摺動壁面41bは、第4本体側外壁体22Dに対向配置させている。ここでは、第2軸受部41Bについても、その第1軸受部41Aと同様の摺動壁面を有している。つまり、第2軸受部41Bは、第1軸受部41Aと同様に、第2回動軸部42Bが回動する際の摺動壁面として、鈍角で連接された第1及び第2の摺動壁面41a,41bを有している(図9)。
【0035】
第1回動軸部42Aと第2回動軸部42Bは、例えば、円柱状、円筒状又はC字断面の筒状に形成する。ここでは、C字断面の筒状に第1回動軸部42Aと第2回動軸部42Bとを形成している。
【0036】
ここで、この例示の回動支持構造40は、第1カバー側外壁体32Aと第2カバー側外壁体32Bとに、各々、カバー側開口31側の端部から本体20側を向くように突出させた板状の片部43を備えている(図3及び図4)。第1回動軸部42Aと第2回動軸部42Bは、そのそれぞれの片部43の内壁面から突出させている。
【0037】
更に、回動支持構造40は、回動軸部42を軸受部41まで案内可能なガイド機構50を備える(図2から図4)。そのガイド機構50には、本体20に対して、カバー部材30を第4本体側外壁体22D側から第3本体側外壁体22C側へと第1本体側開口21Aに沿って案内させた上で、このカバー部材30を嵌合可能な相対回転位置まで案内させる。
【0038】
このガイド機構50は、第1ガイド部51と第2ガイド部52と第3ガイド部53とを備える(図2から図4)。そして、このガイド機構50は、軸受部41における回動軸部42の回動時の摺動壁面を第3本体側外壁体22Cの外壁面に連接させる連接壁面54を備える(図3及び図4)。
【0039】
この例示の連接壁面54としては、第1軸受部41Aにおける摺動壁面を第3本体側外壁体22Cの外壁面に連接させる第1連接壁面54Aと、第2軸受部41Bにおける摺動壁面を第3本体側外壁体22Cの外壁面に連接させる第2連接壁面54Bと、を備えている(図3及び図4)。第1連接壁面54Aは、第1軸受部41Aの第1摺動壁面41aに連接させる(図7及び図8)。この例示の第1連接壁面54Aは、その第1摺動壁面41aと同一平面上で連接させている。但し、この第1連接壁面54Aは、第1回動軸部42Aの滑動が可能であるならば、その第1摺動壁面41aに対してなだらかな角度を持って連接させてもよい。これと同様に、第2連接壁面54Bは、第2軸受部41Bの第1摺動壁面41aに連接させる(図9)。この例示の第2連接壁面54Bは、その第1摺動壁面41aと同一平面上で連接させている。但し、この第2連接壁面54Bは、第2回動軸部42Bの滑動が可能であるならば、その第1摺動壁面41aに対してなだらかな角度を持って連接させてもよい。
【0040】
具体的に、このガイド機構50の第1ガイド部51は、回動軸部42を第1本体側外壁体22A及び第2本体側外壁体22Bにおける第1本体側開口21A側のそれぞれの端面に沿って第3本体側外壁体22Cの外壁面まで滑動させながら案内することが可能なものとして形成する(図2から図4)。ここでは、その第1本体側外壁体22Aの端面と第2本体側外壁体22Bの端面とを各々第1ガイド部51として利用する。つまり、この例示の第1ガイド部51は、第1回動軸部42Aを滑動させながら案内することが可能な第1本体側外壁体22Aの第1本体側開口21A側の端面と、第2回動軸部42Bを滑動させながら案内することが可能な第2本体側外壁体22Bの第1本体側開口21A側の端面と、に設けている。
【0041】
この第1ガイド部51は、第1回動軸部42Aと第2回動軸部42Bを第4本体側外壁体22D側から第3本体側外壁体22C側へと滑動させながら案内することによって、カバー部材30を本体20に対して第4本体側外壁体22D側から第3本体側外壁体22C側へと第1本体側開口21Aに沿って案内していくことができる(図8及び図9の矢印M1)。
【0042】
尚、第1ガイド部51は、第1回動軸部42Aと第2回動軸部42Bを第1本体側外壁体22Aの端面と第2本体側外壁体22Bの端面に摺動させるものである必要はない。例えば、カバー部材30は、第1回動軸部42Aと第2回動軸部42Bを第1本体側外壁体22Aの端面と第2本体側外壁体22Bの端面から浮かせた状態で、第1ガイド部51に沿って案内してもよい。
【0043】
また、このガイド機構50の第2ガイド部52は、第1ガイド部51で案内された回動軸部42を第3本体側外壁体22Cの外壁面に沿って連接壁面54まで滑動させながら案内することが可能なものとして形成する(図2から図4)。ここでは、その第3本体側外壁体22Cの外壁面を第2ガイド部52として利用する。つまり、この例示の第2ガイド部52は、第1回動軸部42Aを第1連接壁面54Aまで滑動させながら案内することが可能な第3本体側外壁体22Cの外壁面における第1本体側外壁体22A側の端部と、第2回動軸部42Bを第2連接壁面54Bまで滑動させながら案内することが可能な第3本体側外壁体22Cの外壁面における第2本体側外壁体22B側の端部と、に設けている。
【0044】
この第2ガイド部52は、第1回動軸部42Aと第2回動軸部42Bを第1本体側開口21A側から第2本体側開口21B側へと滑動させながら案内することによって、カバー部材30を本体20に対して第1本体側開口21A側から第2本体側開口21B側へと案内していくことができる(図10及び図11の矢印M2並びに図12及び図13)。図12及び図13は、この第2ガイド部52による第1回動軸部42A及び第2回動軸部42Bの案内完了後の状態であり、かつ、第3ガイド部53による第1回動軸部42A及び第2回動軸部42Bの案内動作の開始位置を表している。
【0045】
尚、第2ガイド部52は、第1回動軸部42Aと第2回動軸部42Bを第3本体側外壁体22Cの外壁面に摺動させるものである必要はない。例えば、カバー部材30は、第1回動軸部42Aと第2回動軸部42Bを第3本体側外壁体22Cの外壁面から浮かせた状態で、第2ガイド部52に沿って案内してもよい。
【0046】
また、このガイド機構50の第3ガイド部53は、第2ガイド部52で案内された回動軸部42を連接壁面54に沿って軸受部41まで滑動させながら案内することが可能なものとして形成する(図2から図4)。この例示の第3ガイド部53は、第1本体側外壁体22Aの外壁面と第2本体側外壁体22Bの外壁面とに設ける。例えば、一方の第3ガイド部53は、第1回動軸部42Aを第1連接壁面54Aに沿って第1軸受部41Aまで滑動させながら案内することが可能な凹状部として第1本体側外壁体22Aの外壁面に設けている。そして、他方の第3ガイド部53は、第2回動軸部42Bを第2連接壁面54Bに沿って第2軸受部41Bまで滑動させながら案内することが可能な凹状部として第2本体側外壁体22Bの外壁面に設けている。
【0047】
この第3ガイド部53は、第1回動軸部42Aと第2回動軸部42Bを各々第1連接壁面54Aと第2連接壁面54Bに沿って第1軸受部41Aと第2軸受部41Bまで滑動させながら案内することによって、カバー部材30を本体20に対して第3本体側外壁体22C側から第4本体側外壁体22D側へと案内していくことができる(図12及び図13の矢印M3並びに図14及び図15)。図14及び図15は、この第3ガイド部53による第1回動軸部42A及び第2回動軸部42Bの案内完了後の状態であり、かつ、第1回動軸部42A及び第2回動軸部42Bの第1軸受部41A及び第2軸受部41Bへの収容状態を表している。
【0048】
ここでは、カバー部材30が本体20に対して車両上方側に配置されている場合、カバー部材30は、第2ガイド部52で案内された際に、自重で第1回動軸部42Aと第2回動軸部42Bが第1連接壁面54Aと第2連接壁面54Bに接しない位置まで下がってしまう可能性がある(図16)。その際、第3ガイド部53には、第1回動軸部42Aと第2回動軸部42Bを各々第1連接壁面54Aと第2連接壁面54Bに沿って滑動させずに第1軸受部41Aと第2軸受部41Bまで案内させることによって、カバー部材30を本体20に対して第3本体側外壁体22C側から第4本体側外壁体22D側へと案内させる(図16の矢印M4及び図14)。そこで、この例示の第3ガイド部53は、第1軸受部41A及び第2軸受部41Bと共に、各々の凹み形状を第2本体側開口21B側の端部まで延在させている。尚、図16は、便宜上、第1回動軸部42A側の動きのみを示している。
【0049】
この筐体10においては、第1回動軸部42Aと第2回動軸部42Bとが第1軸受部41Aと第2軸受部41Bとに各々収容されている状態で、本体20とカバー部材30と相対回転させることによって(図14及び図15の矢印R)、正規嵌合状態になる(図17)。尚、図17は、便宜上、第1回動軸部42A側のみを示している。
【0050】
この筐体10は、その本体20とカバー部材30の嵌合状態(正規嵌合状態)を保持するために、ロック機構60を備えている(図1から図6及び図8から図20)。そのロック機構60は、第4本体側外壁体22Dと第4カバー側外壁体32Dとの間に設ける(図1図2図5図6及び図8から図20)。このロック機構60は、第4本体側外壁体22Dに設けた本体側係合体61と、第4カバー側外壁体32Dに設けたカバー側係合体62と、を備える。このロック機構60は、本体側係合体61とカバー側係合体62との係合完了位置で、第4本体側外壁体22Dと第4カバー側外壁体32Dの嵌合状態を保持するように構成する。
【0051】
ここで、本体20とカバー部材30においては、回動支持構造40を支点にして相対回転させながら、お互いを嵌合させつつ、ロック機構60の本体側係合体61とカバー側係合体62とを係合させていく。よって、本体側係合体61とカバー側係合体62は、筒軸方向に沿う相対移動が始まるまでの間、回動支持構造40を支点にした本体20とカバー部材30との間の相対回転に連動しながら相対移動している。従って、本体側係合体61とカバー側係合体62は、これらの相対移動を行いながらの係合動作が行えるように形成する。この例示のロック機構60は、本体20とカバー部材30とを回動支持構造40で相対回転させて少なくとも嵌合完了位置となるときに、その嵌合完了位置における本体側外周壁22とカバー側外周壁32とで共通の筒軸方向に沿って本体側係合体61とカバー側係合体62とを係合完了位置まで相対移動させるように構成している。
【0052】
例えば、本体側係合体61とカバー側係合体62の内の少なくとも一方は、嵌合完了位置における本体側外周壁22とカバー側外周壁32とで共通の筒軸方向に沿って延在させた延在部を有する。更に、この本体側係合体61とカバー側係合体62の内の少なくとも一方は、その延在部から筒軸方向に対する交差方向に突出させ、本体側係合体61とカバー側係合体62とが係合完了位置のときに筒軸方向で相手方に引っ掛けることによって、本体20とカバー部材30の嵌合状態を保持する係合部を有する。
【0053】
具体的に、本体側係合体61とカバー側係合体62の内の一方は、延在部62aと係合部62bとを有している(図2及び図18から図20)。延在部62aは、その内の他方に向け且つ嵌合完了位置における本体側外周壁22とカバー側外周壁32とで共通の筒軸方向に沿って延在させる。係合部62bは、その延在部62aから筒軸方向に対する交差方向に突出させた爪部として形成する。また、本体側係合体61とカバー側係合体62の内の他方は、筒軸方向が嵌合完了位置における本体側外周壁22とカバー側外周壁32とで共通の筒軸方向と同じ筒部61aと、係合部62bに筒軸方向で引っ掛ける係合部61bと、を有する(図18から図20)。この本体側係合体61とカバー側係合体62の内の他方は、その筒部61aの内方の空間であり、本体側係合体61とカバー側係合体62とが係合完了位置となるまで延在部62aが挿入されていく被挿入空間61cを有している(図2図6及び図18から図20)。係合部61bは、筒部61aの端部等を利用したものであってもよく、爪部として形成したものであってもよい。ここでは、本体側係合体61が筒部61aと係合部61bと被挿入空間61cとを有し、カバー側係合体62が延在部62aと係合部62bとを有している。
【0054】
この例示の延在部62aは、本体20側の端部を自由端とする片持ち状態で第4カバー側外壁体32Dに設けている。この延在部62aは、矩形の片体状に形成して、可撓性を持たせている。また、この例示の係合部62bは、延在部62aの本体20側の端部に設ける。この係合部62bは、延在部62aの本体20側の端部における一方の平面から爪状に突出させた爪部(第1爪部)として形成する。一方、この例示の係合部61bは、筒部61aにおける被挿入空間61cを成す内壁面に設ける。この係合部61bは、筒部61aの筒軸方向に対する交差方向に突出させ、本体側係合体61とカバー側係合体62とが係合完了位置のときに係合部(第1爪部)62bに引っ掛ける。この係合部61bは、筒部61aの内壁面から爪状に突出させた爪部(第2爪部)として形成する。
【0055】
ところで、このロック機構60は、回動軸部42が第1ガイド部51に乗り上げたままで本体側係合体61とカバー側係合体62とを係合させ始めた際に、本体側係合体61とカバー側係合体62とを係合完了位置まで相対移動させずに係止させる係止部65を備えている(図19及び図20)。
【0056】
その係止部65は、本体側係合体61に設けた第1係止部65aと、カバー側係合体62に設けた第2係止部65bと、で構成する。例えば、第1係止部65aは、筒部61aの内周面から突出させた片状の突出部として形成する。この第1係止部65aは、被挿入空間61cにおける所定の場所に設ける。その所定の場所とは、回動支持構造40を支点にした本体20とカバー部材30の正規の相対回転が行われた場合に、被挿入空間61cでのカバー側係合体62の係合完了位置までの相対移動を阻害しない場所のことである。そして、第2係止部65bは、回動軸部42が第1ガイド部51に乗り上げたままで本体側係合体61とカバー側係合体62とを係合させ始めた際に、第1係止部65aに当接して係止されるように形成する。この例示の第2係止部65bは、延在部62aを間に介在させるように第4カバー側外壁体32Dに2つ設けており、係合部62bが係合部61bを乗り越える前に第1係止部65aに当接させるよう係合部62bよりも本体側係合体61側に突出させている(図2から図4図19及び図20)。
【0057】
ここで、この筐体10は、そのロック機構60以外にも、本体20とカバー部材30の嵌合完了位置で本体側外周壁22の第3本体側外壁体22C側とカバー側外周壁32の第3カバー側外壁体32C側の嵌合状態を保持する保持機構を備えている。ここでは、その保持機構として、第1軸受部41A及び第2軸受部41Bの第1摺動壁面41aと第1回動軸部42A及び第2軸受部41Bとを利用する。つまり、本体20とカバー部材30の嵌合完了位置では、本体20とカバー部材30との間に離脱方向の力が作用した際に、第1軸受部41Aの第1摺動壁面41aで第1回動軸部42Aを係止し、第2軸受部41Bの第1摺動壁面41aで第2軸受部41Bを係止することができる。よって、この保持機構は、本体20とカバー部材30の嵌合完了位置において、本体側外周壁22の第3本体側外壁体22C側とカバー側外周壁32の第3カバー側外壁体32C側の嵌合状態を保持することができる。このように、筐体10は、この保持機構とロック機構60によって、本体20とカバー部材30を嵌合完了位置で保持することができる。
【0058】
ところで、もう一方の第2摺動壁面41bは、第3ガイド部53で案内された回動軸部42を軸受部41で止めるように係止する係止面として利用することができる。
【0059】
以上示したように、本実施形態の本体20とカバー部材30は、第3本体側外壁体22C側と第3カバー側外壁体32C側の回動支持構造40を支点にして相対回転させながら、互いを嵌め合わせていく。例えば、この電気接続箱1は、第1本体側開口21Aを車両上方に向け、かつ、第3本体側外壁体22C側よりも第4本体側外壁体22D側を作業者の作業位置に近づけて本体20が車体に取り付けられており、回動支持構造40が車体等の周辺部品に隠れて目視し難い位置に存在する場合がある。
【0060】
そのような場合でも、作業者は、目視しなくても、カバー部材30の回動軸部42を本体20のガイド機構50に沿って、作業位置側(第4本体側外壁体22D側)から本体20の軸受部41まで案内していくことができる。よって、本実施形態の電気接続箱1は、回動支持構造40が目視し難い位置に配置されていたとしても、この回動支持構造40の回動軸部42を軸受部41に収容させることができ、回動支持構造40を支点にして本体20とカバー部材30を相対回転させることができる。従って、この電気接続箱1は、回動支持構造40が目視し難い位置に配置されていたとしても、本体20とカバー部材30を正規嵌合状態に嵌合させることができる。
【0061】
更に、この電気接続箱1は、その本体20とカバー部材30の嵌合と共に、ロック機構60の係合を完了させることができる。ここで、この電気接続箱1は、ロック機構60が先に示した係止部65を備えている。よって、この電気接続箱1は、回動軸部42が第1ガイド部51に乗り上げたままで本体20とカバー部材30を相対回転させ、本体側係合体61とカバー側係合体62とを係合させ始めたとしても、ロック機構60の係合を完了させることができない。従って、作業者は、ロック機構60の係合が完了していないことを契機にして、カバー部材30が本体20に正しく組み付けられていないことを把握することができる。
【0062】
このように、本実施形態の電気接続箱1は、回動支持構造40が目視し難い位置に配置されていたとしても、本体20とカバー部材30を正規嵌合状態に嵌合させることができるので、本体20とカバー部材30の誤組付けの発生を抑えることができる。更に、本実施形態の電気接続箱1は、ロック機構60の係止部65によって、本体20とカバー部材30の誤組付けを作業者に検知させることができる。従って、本実施形態の電気接続箱1は、本体20に対するカバー部材30の組付け作業性を向上させることができる。また、本実施形態のワイヤハーネスWHは、その電気接続箱1を備えるものであるので、その電気接続箱1の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 電気接続箱
10 筐体
11 収容室
20 本体
21 本体側開口
21A 第1本体側開口
22 本体側外周壁
22A 第1本体側外壁体
22B 第2本体側外壁体
22C 第3本体側外壁体
22D 第4本体側外壁体
22a 開口側端部
30 カバー部材
31 カバー側開口
32 カバー側外周壁
32A 第1カバー側外壁体
32B 第2カバー側外壁体
32C 第3カバー側外壁体
32D 第4カバー側外壁体
32a 開口側端部
40 回動支持構造
41 軸受部
41A 第1軸受部
41B 第2軸受部
41a 第1摺動壁面
41b 第2摺動壁面
42 回動軸部
42A 第1回動軸部
42B 第2回動軸部
50 ガイド機構
51 第1ガイド部
52 第2ガイド部
53 第3ガイド部
54 連接壁面
54A 第1連接壁面
54B 第2連接壁面
60 ロック機構
61 本体側係合体
62 カバー側係合体
65 係止部
65a 第1係止部
65b 第2係止部
AC 収容対象物
We 電線
WH ワイヤハーネス
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