(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吹出流路(26)は、前記吹出口(17)から突出し、かつ前記吹出流路(26)における前記吹出口(17)よりも下流側における両側壁(26S)の左右方向の間の距離が前記吹出口(17)の左右方向の長さよりも小さくなるように形成されている
請求項1に記載の空気調和機の室内機。
前記吹出流路(26)を構成する前記側壁(26S)を含む構成要素(26S,26L、26U)が前記吹出口(17)から突出していない収納状態と、少なくとも前記側壁(26S)が前記吹出口(17)から突出した突出状態とに変更可能に構成された移動機構(29)を備え、
前記移動機構(29)は、空調運転中において前記突出状態とし、空調運転停止中において前記収納状態とする
請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気調和機の室内機。
前記移動機構(29)は、サージングが発生した場合に、前記吹出流路(26)における前記吹出口(17)から突出する部分の断面積を小さくするように前記構成要素(26S,26L、26U)を移動させる
請求項4に記載の空気調和機の室内機。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
図1〜
図4を参照して、第1実施形態の空気調和機の室内機1について説明する。
本実施形態の室内機1は、壁掛け式であって、その後部が室内の側壁WLに取り付けられる。この室内機1は、例えば室内空間の冷房を行う冷房運転及び室内空間の暖房を行う暖房運転を行うことができる。
【0020】
図1及び
図2に示すように、室内機1は、室内機本体10を備える。室内機本体10は、横方向(室内機1の左右方向)が長手方向となる箱形状に形成され、天面部11、前面部12、後面部13、両側面部14、及び底面部15によって囲まれた内部空間を有する。室内機1は、後面部13が側壁WLの取付板(図示略)にねじ等によって取り付けられることによって、側壁WLに設置される。室内機本体10の天面部11には吸込口16が設けられ、底面部15には吹出口17が設けられている。吸込口16及び吹出口17はそれぞれ、横方向(左右方向)が長手方向となるように設けられている。吸込口16は、天面部11に沿って形成されている。吹出口17は、底面部15に沿って形成されている。
【0021】
図2に示すように、室内機1は、エアフィルタ21、室内熱交換器22、クロスフローファン23、及びフラップ24を備える。エアフィルタ21、室内熱交換器22、及びクロスフローファン23は、室内機本体10内に収容されている。
【0022】
エアフィルタ21は、室内機本体10に着脱可能に取り付けられる。エアフィルタ21は、吸込口16から吸い込まれた室内空気中の塵埃を捕集する。エアフィルタ21は、室内機本体10に装着された状態において室内機本体10の天面部11と室内熱交換器22との間に位置する。これにより、エアフィルタ21は、室内熱交換器22の表面に室内空気中の塵埃が付着することを抑制する。
【0023】
室内熱交換器22は、複数のフィンと、複数のフィンを貫通する複数の伝熱管とを有する。室内熱交換器22は、室内機1の運転状態に応じて蒸発器又は凝縮器として機能し、伝熱管の中を流れる冷媒と室内熱交換器22を通過する空気との間で熱交換を行わせる。
【0024】
室内熱交換器22は、側面視において前後の両端が下方に向いて屈曲するように設けられている。室内熱交換器22は、クロスフローファン23を上方から取り囲むように配置されている。
【0025】
クロスフローファン23は、室内機本体10の内部の略中央に位置している。クロスフローファン23は、横方向(左右方向)が長手方向となる略円筒形状の羽根車25と、吹出口17と連通する吹出流路26を形成するファンケース27とを有する。吹出流路26は、断面積が末広がりに大きくなるように、下壁26L、左右の両側壁26S、及び上壁26Uにより構成されている。すなわち吹出流路26は、吹出口17に向かうにつれて断面積が大きくなる。このため、吹出流路26は、ディフューザの機能を有する。
【0026】
クロスフローファン23が回転駆動している場合、吸込口16から取り込まれた室内空気が室内熱交換器22を通過してクロスフローファン23に送られる。そしてクロスフローファン23に送られた室内空気は、吹出流路26を通って吹出口17から室内に吹出される。
【0027】
クロスフローファン23の羽根車25の外径を外径Dと規定し、室内機本体10の後面部13の縦方向(上下方向)の大きさを室内機本体10の高さHと規定する。この場合、外径Dは、126mm以上、150mm未満であることが好ましい。また外径Dは、135mm以上、150mm未満であることがさらに好ましい。室内機本体10の高さHは、295mm以下であることが好ましい。また室内機本体10の高さHは、250mm以上、295mm以下であることがさらに好ましい。外径Dに対する室内機本体10の高さHの比(H/D)は、2.2未満であることが好ましい。また外径Dに対する室内機本体10の高さHの比(H/D)は、1.6以上、2.2未満であることがさらに好ましい。
【0028】
フラップ24は、吹出口17の下縁において室内機本体10に対して回転可能に設けられている。フラップ24は、横方向(左右方向)が長手方向となる平板状に形成されている。フラップ24の長手方向の長さは、吹出口17の長手方向の長さと概ね等しい。フラップ24は、フラップ駆動用モータ28(
図3参照)によって回転軸C1まわりで回動することができるように構成されている。
【0029】
本実施形態の室内機1は、吹出流路26を構成する両側壁26Sを移動させる移動機構29を備える。より詳細には、両側壁26Sは、固定側壁26SF及び可動側壁26SMを備える。固定側壁26SF及び可動側壁26SMは、横方向(左右方向)において互いに重ね合わせられるように設けられている。可動側壁26SMは、固定側壁26SFに対してスライドして吹出口17から突出するように移動可能である。移動機構29は、可動側壁26SMを移動させる。移動機構29は、駆動源となる第1モータ(図示略)と、第1モータの回転を所定方向の直進運動に変換する回転直進変換機構(図示略)とを有する。移動機構29の一例は、送りねじ機構である。また移動機構29は、可動側壁26SMが吹出口17から突出した状態において、左右の可動側壁26SMの間の断面積を小さくするように可動側壁26SMを移動可能となるように構成されている。一例では、移動機構29は、可動側壁26SMを回転軸C2(
図2(b)参照)まわりで回動させる第2モータ(図示略)を有する。これにより、左右両側の可動側壁26SMの突出先端側の左右方向の間の距離を変更できる。このように、移動機構29は、左右の可動側壁26SMの間の断面積を小さくする制限状態と、左右の可動側壁26SMの間の断面積を小さくしない通常状態とを切替可能である。一例では、制限状態では、左右の可動側壁26SMの突出先端側の左右方向の間の距離が吹出口17の左右方向の長さよりも小さくなる。
【0030】
図3に示すように、空気調和機は、室外機2の圧縮機3、四路切換弁4、室外ファン5、及び膨張弁6のそれぞれを制御する室外制御部7を備える。一例では、室外制御部7は、圧縮機3の運転周波数(Hz)、室外ファン5のモータの回転数(rpm)、及び膨張弁6の開度をそれぞれ制御する。また室外制御部7は、空気調和機の冷媒回路(図示略)が冷房サイクルとなる四路切換弁4の第1状態と、暖房サイクルとなる四路切換弁4の第2状態とを切り替える。
【0031】
室内機1は、室内制御部30を備える。室内制御部30は、予め定められる制御プログラムを実行する演算処理装置と、各種の制御プログラム及び各種の制御処理に用いられる情報が記憶が記憶される記憶部とを含む。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。記憶部は、例えば不揮発性メモリ及び揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク、フラッシュメモリを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)を含む。室内制御部30は、1又は複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。なお、室外制御部7も同様に構成されてもよい。
【0032】
室内制御部30は、室外制御部7と有線又は無線によって通信可能に構成されている。また室内制御部30は、リモートコントローラ31と無線によって通信可能に構成されている。室内制御部30は、リモートコントローラ31の運転指示に基づいて、クロスフローファン23、フラップ駆動用モータ28、及び移動機構29をそれぞれ制御する。また室内制御部30は、リモートコントローラ31の運転指示の内容を室外制御部7に通信する。室外制御部7は、リモートコントローラ31の運転指示に基づいて、圧縮機3の運転周波数(Hz)、室外ファン5のモータの回転数(rpm)、膨張弁6の開度、並びに四路切換弁4の第1状態及び第2状態の切り替えをそれぞれ制御する。
【0033】
本実施形態の室内制御部30は、
図1(a)及び
図2(a)に示すように、可動側壁26SMが吹出口17から突出していない収納状態と、
図1(b)及び
図2(b)に示すように、可動側壁26SMが吹出口17から突出した突出状態とを切り替えるように移動機構29を制御する。一例では、室内制御部30は、空調運転中において突出状態となるように移動機構29を制御し、空調運転停止中において収納状態となるように移動機構29を制御する。一例では、
図1(b)及び
図2(b)に示すとおり、突出状態において、可動側壁26SMは、吹出口17の短手方向(上下方向)の全体を覆うように構成されている。
【0034】
また室内制御部30は、空調運転停止中において、
図1(a)及び
図2(a)に示すように、フラップ24が吹出口17を覆うようにフラップ駆動用モータ28を制御し、空調運転中において、
図1(b)及び
図2(b)に示すように、フラップ24が吹出口17を開口するようにフラップ駆動用モータ28を制御する。このように、
図1(a)及び
図2(a)に示す空調運転停止中の室内機1は、可動側壁26SM及びフラップ24が室内機本体10から突出していない状態となり、
図1(b)及び
図2(b)に示す空調運転中の室内機1は、可動側壁26SM及びフラップ24が室内機本体10から突出している状態となる。
【0035】
なお、空調運転中において、フラップ24の回転位置は、任意に変更可能である。一例では、リモートコントローラ31による指示に基づいて、フラップ24の回転位置が変更可能である。
【0036】
また室内制御部30は、サージングが発生した場合、可動側壁26SMを回転軸C2(
図2(b)参照)まわりで回動させる第2モータによって左右の可動側壁26SMの間の断面積が小さくなる制限状態に移動機構29を制御する。制御状態では、吹出流路26における吹出口17よりも下流側の断面積が小さくなることにより、吹出流路26における室内空気の風速が高くなるため、サージングを抑制できる。また室内制御部30は、サージングが抑制された場合、第2モータによって制限状態から通常状態に切り替えるように移動機構29を制御する。ここで、サージングとは、吹出口17から吹き出される室内空気の風量や圧力が不安定になり、吹出口17で逆流が生じることに起因して生じる騒音(例えば「バサバサ」という騒音)である。このサージングは、エアフィルタ21が塵埃によって目詰まりして通風抵抗が高くなった場合や室内熱交換器22に結露した場合に発生し易い。
【0037】
サージングの検出の一例は、クロスフローファン23のファンモータ(図示略)の回転数(rpm)に基づいて行われる。より詳細には、室内制御部30は、リモートコントローラ31の運転指示によってファンモータの回転数を設定する。このときに設定されたファンモータの回転数を設定回転数と規定する。室内制御部30は、ファンモータの回転数が設定回転数を中心とする所定幅の許容回転数範囲内か否かを判定する。室内制御部30は、ファンモータの回転数が許容回転数範囲内の場合、ファンモータの回転数が安定しているため、室内空気の風量や圧力が不安定になり難いので、サージングが発生していないと判定する。一方、室内制御部30は、モータの回転数が許容回転数範囲外の場合、ファンモータの回転数が不安定であり、室内空気の風量や圧力が不安定になり易いので、サージングが発生していると判定する。なお、上記サージングの検出において、所定幅は、ファンモータの回転数のばらつきに起因してサージングが発生すると判定するための幅であり、試験等によって予め設定されている。
【0038】
またサージングの検出は、クロスフローファン23のファンモータに供給される電流に基づいて行われてもよい。より詳細には、室内制御部30は、設定回転数に対応する電流値を中心とする所定幅の許容電流範囲内か否かを判定する。室内制御部30は、ファンモータに供給される電流が許容電流範囲内の場合、室内空気の風量や圧力が安定しており、ファンモータに供給されている電流が安定しているので、サージングが発生していないと判定する。一方、室内制御部30は、ファンモータに供給される電流が許容電流範囲外の場合、室内空気の風量や圧力が不安定であり、ファンモータに供給される電流が安定していないため、サージングが発生していると判定する。なお、所定幅は、ファンモータに供給される電流のばらつきに起因してサージングが発生すると判定するための幅であり、試験等によって予め設定されている。
【0039】
上記のような室内制御部30による移動機構29の移動制御の処理手順の一例について
図4を用いて説明する。この移動制御は、空調運転の開始から終了にわたる期間において実行される。
【0040】
室内制御部30は、ステップS11において空調運転を開始するか否かを判定する。一例では、室内制御部30は、リモートコントローラ31による運転開始指示を受信した場合、空調運転を開始すると判定し、運転開始指示を受信していない場合、空調運転を開始しないと判定する。
【0041】
室内制御部30は、空調運転を開始しない場合(ステップS11:NO)、処理を終了する。この場合、可動側壁26SMは収納状態が維持される。一方、室内制御部30は、空調運転を開始する場合(ステップS11:YES)、ステップS12において突出状態に設定する。これにより、可動側壁26SMが吹出口17から突出した状態になる。そして室内制御部30は、ステップS13においてサージングが発生しているか否かを判定する。
【0042】
室内制御部30は、サージングが発生している場合(ステップS13:YES)、ステップS14において左右の可動側壁26SMの間の断面積が小さくなる制限状態となるように移動機構29の第2モータを制御する。そして室内制御部30は、ステップS15において空調運転を終了するか否かを判定する。一例では、室内制御部30は、リモートコントローラ31による運転終了指示を受信した場合、空調運転を終了すると判定し、運転終了指示を受信していない場合、空調運転を終了しないと判定する。
【0043】
室内制御部30は、空調運転を終了しない場合(ステップS15:NO)、ステップS13に移行する。一方、室内制御部30は、空調運転を終了する場合(ステップS15:YES)、ステップS16において収納状態に設定する。これにより、可動側壁26SMが室内機本体10内に収納された状態になる。
【0044】
また室内制御部30は、サージングが発生していない場合(ステップS13:NO)、ステップS17において可動側壁26SMが制限状態か否かを判定する。室内制御部30は、可動側壁26SMが制限状態の場合(ステップS17:YES)、ステップS18において可動側壁26SMを通常状態に変更し、ステップS15に移行する。一方、室内制御部30は、可動側壁26SMが通常状態の場合(ステップS17:NO)、可動側壁26SMを通常状態に維持したまま、ステップS15に移行する。
【0045】
本実施形態の作用について説明する。
低電力及び低騒音のためにクロスフローファン23の羽根車25の外径Dを大きくする一方、室内機本体10の設置容易性の低下の抑制のために室内機本体10の高さHを大きくしない場合、室内機本体10においてクロスフローファン23の吹出流路26を形成する領域が小さくなり、吹出流路26が短くなる。吹出流路26が短くなると、吹出流路26において室内空気の動圧から静圧への変換が十分ではなく、クロスフローファン23の風量や圧力が低下してしまう。
【0046】
さらに、室内熱交換器22の結露やエアフィルタ21の目詰まりによって室内機本体10の内部の通風抵抗が高くなると、吹出流路26の室内空気の風速が低下し、吹出口17から逆流が生じ易くなる。その結果、吹出口17からの室内空気の逆流に起因してクロスフローファン23からの吹き出される室内空気の気流が不安定になるサージングが発生するおそれがある。特に、吹出口17の左右方向の両端部では、吹出口17の左右方向の中央部に比べ、室内空気の風速が遅いことが知られている。このため、吹出口17の左右方向の両端部では、吹出口17からの逆流がより生じ易くなっている。
【0047】
このような点に鑑みて、本実施形態では、空調運転中において、可動側壁26SMを吹出口17から突出させている。これにより、可動側壁26SMの長さ分、吹出流路26を延長することができる。さらに、可動側壁26SMが吹出口17の左右方向の両端部において吹出口17から突出するように延びるため、吹出口17の左右方向の両端部よりも外側から吹出口17に室内空気が逆流することが抑制される。その結果、サージングを抑制でき、クロスフローファン23の風量や圧力の変動を抑制できる。
【0048】
本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1−1)両側壁26Sの可動側壁26SMは、少なくとも空調運転中に吹出口17から突出するように設けられている。この構成によれば、吹出口17から吹出される室内空気が可動側壁26SMによって吹出口17の左右方向に流れることが規制されるため、吹出流路26を吹出口17から延長することができる。これにより、吹出流路26の静圧を上昇させることができるため、吹出流路26における風量を増加させることができる。また、例えば室内熱交換器22の結露やエアフィルタ21の目詰まり等によって室内機本体10内部の通風抵抗(機内圧損)が高くなる場合に、吹出口17の両端部からの室内空気の逆流を抑制できるため、サージングが発生し難くなる。
【0049】
(1−2)移動機構29は、サージングが発生した場合、可動側壁26SMの間の距離を吹出口17の左右方向の長さよりも小さくする。この構成によれば、吹出流路26における吹出口17よりも下流側の断面積が小さくなるため、吹出流路26における吹出口17よりも下流側の室内空気の風速を高くすることができる。したがって、吹出口17からの室内空気の逆流を抑制できるため、サージングを抑制できる。
【0050】
(1−3)室内機1は、空調運転中において可動側壁26SMを吹出口17から突出させた突出状態とし、空調運転停止中において可動側壁26SMを吹出口17から突出させない収納状態とする移動機構29を備える。この構成によれば、空調運転中において可動側壁26SMが室内機本体10から突出することにより、サージングが発生し難くなり、空調運転停止中に可動側壁26SMが室内機本体10に収納されることにより、室内機1の美観が向上する。
【0051】
(1−4)室内機1は、クロスフローファン23の羽根車25の外径Dに対する室内機本体10の高さHの比(H/D)が2.2未満となるように構成されている。この構成によれば、室内機本体10に対して羽根車25の外径Dの大きいクロスフローファン23を用いるため、室内機1の運転時の騒音の低減及び消費電力の低減を図ることができる。
【0052】
(1−5)室内機1は、クロスフローファン23の羽根車25の外径Dに対する室内機本体10の高さHの比(H/D)が1.6以上、2.2未満となるように構成されている。この構成によれば、上記(1−4)の効果に加え、室内機本体10の設定容易性の低下を抑制することができる。
【0053】
(1−6)室内機本体10の高さHは、295mm以下である。これにより、室内機本体10の設置容易性の低下を抑制できる。特に、室内機本体10の高さHは、250mm以上、295mm以下である。これにより、羽根車25の外径Dが大きいクロスフローファン23を用いることができ、低電力及び低騒音を実現できるとともに室内機本体10の設定容易性の低下を抑制することができる。
【0054】
(第2実施形態)
図5及び
図6を参照して、第2実施形態の空気調和機の室内機1について説明する。本実施形態の室内機1は、第1実施形態の室内機1と比較して、吹出流路26の両側壁26Sとともに下壁26Lを空調運転中において吹出口17から突出させる点が異なる。以下の説明において、第1実施形態の室内機1と共通の構成要素については同じ符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0055】
図5(b)及び
図6(b)に示すように、下壁26Lは、固定下壁26LF及び可動下壁26LMを含む。可動下壁26LMの先端部には、フラップ24が可動下壁26LMに対して回動可能に取り付けられている。固定下壁26LF及び可動下壁26LMは、縦方向(上下方向)において互いに重ね合わせられるように設けられている。可動下壁26LMは、固定下壁26LFに対してスライドして吹出口17から突出するように移動可能である。
【0056】
本実施形態の移動機構29は、可動側壁26SM及び可動下壁26LMをそれぞれ移動させるように構成されている。一例では、移動機構29は、可動側壁26SMを固定側壁26SFに対してスライドして移動させる機能と、可動下壁26LMを固定下壁26LFに対してスライドして移動させる機能とを有する。移動機構29は、第1モータと、第1モータの回転を可動側壁26SMの直進運動に変換する第1回転直進変換機構と、第1モータの回転を可動下壁26LMの直進運動に変換する第2回転直進変換機構とを備える。すなわち本実施形態の移動機構29は、1つの駆動源で可動側壁26SM及び可動下壁26LMをそれぞれ移動させる。
【0057】
本実施形態の室内制御部30(
図3参照)は、
図5(a)及び
図6(a)に示すように、可動側壁26SM及び可動下壁26LMがそれぞれ吹出口17から突出していない収納状態と、
図5(b)及び
図6(b)に示すように、可動側壁26SM及び可動下壁26LMがそれぞれ吹出口17から突出した突出状態とを切り替えるように移動機構29を制御する。一例では、室内制御部30は、空調運転中において突出状態となるように移動機構29を制御し、空調運転停止中において収納状態となるように移動機構29を制御する。
【0058】
可動側壁26SMは、突出状態において、可動下壁26LMの左右方向の端部上に位置する。可動側壁26SMは、可動側壁26SMと可動下壁26LMとの上下方向の間に隙間が形成されないように設けられる。また、可動側壁26SMは、上壁26Uと可動下壁26LMとの間において回転軸C2まわりで回動可能である。
【0059】
また、本実施形態のクロスフローファン23の羽根車25の外径D及び室内機本体10の高さHの関係は、第1実施形態のクロスフローファン23の羽根車25の外径D及び室内機本体10の高さHの関係と同じである。
【0060】
本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、以下の効果が得られる。
(2−1)両側壁26Sの可動側壁26SM及び下壁26Lの可動下壁26LMはそれぞれ、少なくとも空調運転中に吹出口17から突出するように設けられている。この構成によれば、吹出口17から吹き出される室内空気が可動側壁26SM及び可動下壁26LMによって吹出口17から左右方向及び下方に流れることが規制されるため、吹出流路26を吹出口17から延長することができる。これにより、両側壁26S及び下壁26Lが吹出口17から突出しない構成と比較して、ディフューザの機能を有する吹出流路26が長くなるため、吹出流路26の静圧をより上昇させることができ、吹出流路26における風量をより増加させることができる。また、室内機本体10の通風抵抗(機内圧損)が高くなる場合に、吹出口17の左右方向の両端部及び下方からの室内空気の逆流をそれぞれ抑制できるため、サージングがより発生し難くなる。
【0061】
(2−2)室内機1は、空調運転中において可動側壁26SM及び可動下壁26LMをそれぞれ吹出口17から突出させた突出状態とし、空調運転停止中において可動側壁26SM及び可動下壁26LMをそれぞれ吹出口17から突出させない収納状態とする移動機構29を備える。この構成によれば、空調運転中において可動側壁26SM及び可動下壁26LMがそれぞれ、室内機本体10から突出することにより、サージングが発生し難くなり、空調運転停止中に可動側壁26SM及び可動下壁26LMがそれぞれ、室内機本体10に収納されることにより、室内機1の美観が向上する。
【0062】
(第3実施形態)
図7及び
図8を参照して、第3実施形態の空気調和機の室内機1について説明する。本実施形態の室内機1は、第2実施形態の室内機1と比較して、吹出流路26の両側壁26S及び下壁26Lとともに上壁26Uを空調運転中において吹出口17から突出させる点が異なる。以下の説明において、第2実施形態の室内機1と共通の構成要素については同じ符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0063】
本実施形態の上壁26Uは、固定上壁26UF及び可動上壁26UMを含む。固定上壁26UF及び可動上壁26UMは、縦方向(上下方向)において互いに重ね合わせられるように設けられている。可動上壁26UMは、固定上壁26UFに対してスライドして吹出口17から突出するように移動可能である。
【0064】
移動機構29は、可動側壁26SM、可動下壁26LM、及び可動上壁26UMをそれぞれ移動させるように構成されている。一例では、移動機構29は、可動側壁26SMを固定側壁26SFに対してスライドして移動させる機能と、可動下壁26LMを固定下壁26LFに対してスライドして移動させる機能と、可動上壁26UMを固定上壁26UFに対してスライドして移動させる機能とを有する。移動機構29は、第1モータと、第1モータの回転を可動側壁26SMの直進運動に変換する第1回転直進変換機構と、第1モータの回転を可動下壁26LMの直進運動に変換する第2回転直進変換機構と、第1モータの回転を可動上壁26UMの直進運動に変換する第3回転直進変換機構とを備える。すなわち本実施形態の移動機構29は、1つの駆動源で可動側壁26SM、可動下壁26LM、及び可動上壁26UMをそれぞれ移動させる。
【0065】
本実施形態の室内制御部30(
図3参照)は、
図7(a)及び
図8(a)に示すように、可動側壁26SM、可動下壁26LM、及び可動上壁26UMがそれぞれ吹出口17から突出していない収納状態と、
図7(b)及び
図8(b)に示すように、可動側壁26SM、可動下壁26LM、及び可動上壁26UMがそれぞれ吹出口17から突出した突出状態とを切り替えるように移動機構29を制御する。一例では、室内制御部30は、空調運転中において突出状態となるように移動機構29を制御し、空調運転停止中において収納状態となるように移動機構29を制御する。
【0066】
本実施形態では、
図7(b)及び
図8(b)に示すとおり、突出状態において、可動側壁26SMは、可動下壁26LM及び可動上壁26UMの縦方向(上下方向)の全体を覆うように構成されている。具体的には、可動側壁26SMは、突出状態において、可動下壁26LM及び可動上壁26UMの左右方向の端部において可動下壁26LMと可動上壁26UMとの上下方向の間に位置する。可動側壁26SMは、可動側壁26SMと可動下壁26LMとの上下方向の間に隙間が形成されないように設けられる。また、可動側壁26SMは、可動上壁26UMと可動下壁26LMとの間において回転軸C2まわりで回動可能である。
【0067】
また、本実施形態のクロスフローファン23の羽根車25の外径D及び室内機本体10の高さHの関係は、第1実施形態のクロスフローファン23の羽根車25の外径D及び室内機本体10の高さHの関係と同じである。
【0068】
本実施形態によれば、第1及び第2実施形態の効果に加え、以下の効果が得られる。
(3−1)両側壁26Sの可動側壁26SM、下壁26Lの可動下壁26LM、及び上壁26Uの可動上壁26UMはそれぞれ、少なくとも空調運転中に吹出口17から突出するように設けられている。この構成によれば、左右方向及び上下方向を壁部で囲まれた吹出流路26を吹出口17から延長することができる。これにより、両側壁26S、下壁26L、及び上壁26Uが吹出口17から突出しない構成と比較して、ディフューザの機能を有する吹出流路26が長くなるため、吹出流路26の静圧をより上昇させることができ、吹出流路26における風量をより増加させることができる。また室内機本体10の通風抵抗(機内圧損)が高くなる場合に、吹出口17の左右方向の両端部、上端部、及び下端部から室内空気が逆流することをそれぞれ抑制できるため、サージングがより発生し難くなる。
【0069】
(3−2)室内機1は、空調運転中において可動側壁26SM、可動下壁26LM、及び可動上壁26UMをそれぞれ吹出口17から突出させた突出状態とし、空調運転停止中において可動側壁26SM、可動下壁26LM、及び可動上壁26UMをそれぞれ吹出口17から突出させない収納状態とする移動機構29を備える。この構成によれば、空調運転中において可動側壁26SM、可動下壁26LM、及び可動上壁26UMがそれぞれ、室内機本体10から突出することにより、サージングが発生し難くなる。また、空調運転停止中に可動側壁26SM、可動下壁26LM、及び可動上壁26UMがそれぞれ、室内機本体10に収納されることにより、室内機1の美観が向上する。
【0070】
(第4実施形態)
図9を参照して、第4実施形態の空気調和機の室内機1について説明する。本実施形態の室内機1は、第1実施形態の室内機1と比較して、クロスフローファン23の構成が異なる。以下の説明において、第1実施形態の室内機1と共通の構成要素については同じ符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0071】
図9(a)(b)に示すように、室内機1は、クロスフローファン23の構成として、フラップ24を回転軸C1まわりに回動可能に支持する支持部32を有する。支持部32は、吹出口17付近における室内機本体10の下端部に取り付けられている。すなわち支持部32は、室内機本体10の下端部を構成していると言える。支持部32において吹出口17側の部分は、吹出流路26の一部を構成している。
【0072】
図9(b)に示すように、上壁26Uにおける舌部26Aに内接する接線VLが支持部32の流路形成面32Xと直交する場合の交点Aと、室内機本体10の下端を構成する点Bとの間の距離を距離Lと規定し、クロスフローファン23の羽根車25の外径を外径Dと規定する。本実施形態では、外径Dに対する距離Lの比(L/D)を0.05未満としている。ここで、点Bは、吹出流路26の下壁26Lのうちの最も下流側の部分である。また、本実施形態では、
図9(b)に示すとおり、点Bは、支持部32の流路形成面32Xのうちの最下点となる。
【0073】
本実施形態では、両側壁26Sから可動側壁26SMを省略している。また本実施形態では、移動機構29は、フラップ駆動用モータ28(
図3参照)を含む。移動機構29は、吹出流路26を構成するフラップ24が吹出口17を覆う収納状態と、フラップ24が吹出口17から突出した突出状態とに変更可能に構成されている。移動機構29は、第1実施形態と同様に、空調運転中において突出状態とし、空調運転停止中において収納状態とする。すなわちフラップ24は、
図9(a)の破線により示すように、空調運転停止中において、吹出口17を覆うように支持部32に対して回動する。一方、フラップ24は、
図9(a)の実線により示すように、空調運転中において、吹出口17を開口するように支持部32に対して回動する。突出状態のフラップ24は、上壁26Uにおける流路形成面26Xと対向する。
【0074】
本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(4−1)吹出流路26の下壁を構成するフラップ24が、少なくとも空調運転中において吹出口17から突出するように構成されている。またクロスフローファン23の羽根車25の外径Dに対する、クロスフローファン23の舌部26Aに内接する接線VLから室内機本体10の下端に至る距離Lの比(L/D)が0.05未満である。この構成によれば、室内機本体10の設置容易性の低下を抑制するとともに、クロスフローファン23の羽根車25の外径Dを大きくすることによって低電力及び低騒音を実現できる。そしてフラップ24が吹出口17から突出することにより、吹出流路26のディフューザの長さを確保できる。このため、ディフューザの機能の低下を抑制できる。したがって、室内機1の性能の低下を抑制できる。
【0075】
(4−2)室内機1は、空調運転中においてフラップ24を吹出口17から突出させた突出状態とし、空調運転停止中においてフラップ24を吹出口17から突出させない収納状態とする移動機構29を備える。この構成によれば、空調運転中においてフラップ24が室内機本体10から突出することにより、サージングが発生し難くなる。また、空調運転停止中にフラップ24が室内機本体10に収納されることにより、室内機1の美観が向上する。
【0076】
(変形例)
上記各実施形態に関する説明は、本開示に従う空気調和機の室内機が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う空気調和機の室内機は、例えば以下に示される上記各実施形態の変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、上記各実施形態の形態と共通する部分については、上記各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0077】
・上記第1〜第3実施形態において、吹出流路26を構成する両側壁26S、下壁26L、及び上壁26Uの少なくとも一つが可動壁及び固定壁を有する構成であればよい。より詳細には、室内機1は、次の(A1)〜(A4)のいずれかの構成を有してもよい。
(A1)室内機1は、吹出流路26を構成する両側壁26Sが可動側壁26SMを有し、上壁26Uが可動上壁26UMを有し、下壁26Lが可動下壁26LMを有していない構成を有する。この構成によれば、可動側壁26SM及び可動上壁26UMが吹出口17よりも突出することにより、吹出口17から吹き出される室内空気が可動側壁26SM及び可動上壁26UMによって吹出口17から左右方向及び上方に流れることが規制されるため、吹出流路26を吹出口17から延長することができる。これにより、両側壁26S及び上壁26Uが吹出口17から突出しない構成と比較して、ディフューザの機能を有する吹出流路26が長くなるため、吹出流路26の静圧をより上昇させることができ、吹出流路26における風量をより増加させることができる。また室内機本体10の通風抵抗(機内圧損)が高くなる場合に、吹出口17の左右方向の両端部及び上方からの空気の逆流をそれぞれ抑制できるため、サージングがより発生し難くなる。
(A2)室内機1は、吹出流路26を構成する下壁26Lが可動下壁26LMを有し、上壁26Uが可動上壁26UMを有し、両側壁26Sが可動側壁26SMを有していない構成を有する。この構成によれば、可動下壁26LMが吹出口17よりも突出することにより、吹出口17から吹き出される室内空気が可動下壁26LMによって吹出口17から下方に流れることが規制されるため、吹出流路26を吹出口17から延長することができる。これにより、下壁26Lが吹出口17から突出しない構成と比較して、ディフューザの機能を有する吹出流路26が長くなるため、吹出流路26の静圧をより上昇させることができ、吹出流路26における風量をより増加させることができる。また室内機本体10の通風抵抗(機内圧損)が高くなる場合に、吹出口17の下方からの空気の逆流を抑制できるため、サージングがより発生し難くなる。
(A3)室内機1は、吹出流路26を構成する下壁26Lが可動下壁26LMを有し、両側壁26Sが可動側壁26SMを有しておらず、上壁26Uが可動上壁26UMを有していない構成を有する。この構成によれば、可動下壁26LMが吹出口17よりも突出することにより、吹出口17から吹き出される室内空気が可動下壁26LMによって吹出口17から下方に流れることが規制されるため、吹出流路26を吹出口17から延長することができる。これにより、下壁26Lが吹出口17から突出しない構成と比較して、ディフューザの機能を有する吹出流路26が長くなるため、吹出流路26の静圧をより上昇させることができ、吹出流路26における風量をより増加させることができる。また室内機本体10の通風抵抗(機内圧損)が高くなる場合に、吹出口17の下方からの空気の逆流を抑制できるため、サージングがより発生し難くなる。
(A4)室内機1は、吹出流路26を構成する上壁26Uが可動上壁26UMを有し、両側壁26Sが可動側壁26SMを有しておらず、下壁26Lが可動下壁26LMを有していない構成を有する。この構成によれば、可動上壁26UMが吹出口17よりも突出することにより、吹出口17から吹き出される室内空気が可動上壁26UMによって吹出口17から上方に流れることが規制されるため、吹出流路26を吹出口17から延長することができる。これにより、上壁26Uが吹出口17から突出しない構成と比較して、ディフューザの機能を有する吹出流路26が長くなるため、吹出流路26の静圧をより上昇させることができ、吹出流路26における風量をより増加させることができる。また室内機本体10の通風抵抗(機内圧損)が高くなる場合に、吹出口17の上方からの空気の逆流を抑制できるため、サージングがより発生し難くなる。
【0078】
・上記第1〜第3実施形態において、両側壁26Sは、次の(B1)〜(B3)の構成のように変更してもよい。
(B1)
図10(a)(b)に示すように、両側壁26Sは、回転軸C3を中心に扇状に広がる形状を有する可動側壁26SMを有する。移動機構29は、可動側壁26SMを回転軸C3まわりに回転させる駆動用モータを有する。駆動用モータの出力軸は、可動側壁26SMに直接的に接続されてもよいし、減速機を介して可動側壁26SMに接続されてもよい。移動機構29は、
図10(a)に示す収納状態と、
図10(b)に示す突出状態とを切り替えるように可動側壁26SMを移動させる。
図10(a)に示すように、収納状態では、可動側壁26SMは、室内機本体10内に収納された状態、すなわち吹出口17から突出していない状態である。
図10(b)に示すように、突出状態では、可動側壁26SMは、室内機本体10から突出した状態、すなわち吹出口17から突出した状態である。
図10(a)(b)の可動側壁26SMは、横方向(左右方向)においてフラップ24の端面と隣り合うように設けられている。ここで、可動側壁26SMとフラップ24の左右方向の端面との間に隙間が形成されていないことが好ましい。
(B2)
図11(a)(b)に示すように、両側壁26Sは、回転軸C4まわりに回転する可動側壁26SMを有する。移動機構29は、可動側壁26SMを回転軸C4まわりに回転させる駆動用モータを有する。駆動用モータの出力軸は、可動側壁26SMに直接的に接続されてもよいし、減速機を介して可動側壁26SMに接続されてもよい。移動機構29は、
図11(a)に示す収納状態と、
図11(b)に示す突出状態とを切り替えるように可動側壁26SMを移動させる。
図11(a)に示すように、収納状態では、可動側壁26SMは、吹出口17の横方向(左右方向)の端部を覆う状態、すなわち吹出口17から突出していない状態である。収納状態では、フラップ駆動用モータ28(
図3参照)によってフラップ24が吹出口17を覆うように移動している。収納状態では、可動側壁26SMは、フラップ24の横方向(左右方向)の端部を覆うように回転する。
図11(b)に示すように、突出状態では、室内機本体10から突出した状態、すなわち吹出口17から突出した状態である。一例では、収納状態から突出状態に変更する場合、可動側壁26SMが回転してフラップ24よりも横方向(左右方向)の外側に移動した後にフラップ24が吹出口17から突出するように回転する。
(B3)
図12(a)(b)に示すように、両側壁26Sは、伸縮自在の可動側壁26SMを有する。この可動側壁26SMは、蛇腹構造により構成されている。移動機構29は、駆動源となるモータと、モータの回転をモータの回転を可動側壁26SMの伸縮方向の直進運動に変換する回転直進変換機構とを有する。移動機構29は、
図12(a)に示す収納状態と、
図12(b)に示す突出状態とを切り替えるように可動側壁26SMを移動させる。
図12(a)に示すように、収納状態では、可動側壁26SMは、収縮することによって室内機本体10に収納された状態、すなわち吹出口17から突出していない状態である。
図12(b)に示すように、突出状態では、伸長することによって室内機本体10から突出した状態、すなわち吹出口17から突出した状態である。
図10(a)(b)の可動側壁26SMは、横方向(左右方向)においてフラップ24と隣り合うように設けられている。ここで、可動側壁26SMとフラップ24の左右方向の端面との間に隙間が形成されていないことが好ましい。
【0079】
・上記第1〜第3実施形態において、可動側壁26SMは、回転軸C2まわりで回転しない構成であってもよい。この場合、可動側壁26SMは、吹出流路26の下流側に向かうにつれて両可動側壁26SMの左右方向の間の距離が小さくなるように構成されてもよい。
【0080】
・上記第2及び第3実施形態において、下壁26Lの可動下壁26LMは、
図13(a)(b)に示すように、室内機本体10の下端部となる固定下壁26LFの先端部に対して回転軸C5まわりに回転可能に設けられてもよい。フラップ24は、可動下壁26LMの先端部に対して回転可能に設けられている。
図13(a)に示すように、移動機構29は、空調運転停止中において、収納状態として可動下壁26LMを吹出口17を覆うように回動させる。この場合、吹出口17は、可動下壁26LM及びフラップ24によって覆われる。
図13(b)に示すように、移動機構29は、空調運転中において、突出状態として可動下壁26LMを吹出口17から突出するように回動させる。この場合、吹出口17は、可動下壁26LM及びフラップ24によって覆われない。フラップ24は、突出状態において、フラップ駆動用モータ28(
図3参照)によって可動下壁26LMに対する回転位置を任意に変更することができる。
【0081】
・上記第3実施形態において、上壁26Uの可動上壁26UMは、
図14(a)(b)に示すように、固定上壁26UFの先端部に対して回転軸C6まわりに回転可能に設けられてもよい。
図14(a)に示すように、移動機構29は、空調運転停止中において、収納状態として可動上壁26UMを吹出口17を覆うように回動させる。空調運転停止中では、フラップ駆動用モータ28(
図3参照)によってフラップ24も吹出口17を覆う。このように、可動上壁26UM及びフラップ24によって吹出口17を全体的に覆う。
図14(b)に示すように、移動機構29は、空調運転中において、突出状態として可動上壁26UMを吹出口17から突出するように回動させる。この場合、吹出口17は、可動上壁26UM及びフラップ24によって覆われない。
【0082】
・上記第2実施形態において、移動機構29は、可動側壁26SMを移動させる第1移動機構と、可動下壁26LMを移動させる第2移動機構とを有してもよい。第1移動機構及び第2移動機構はそれぞれ、モータと、モータの回転を直進運動に変換する回転直進変換機構とを有する。これにより、可動側壁26SM及び可動下壁26LMを個別に制御することができる。
【0083】
・上記第2及び第3実施形態において、移動機構29は、サージングが発生した場合にフラップ24を回転させることにより、吹出流路26における吹出口17よりも下流側の断面積を小さくしてもよい。
【0084】
・上記第3実施形態において、移動機構29は、可動側壁26SMを移動させる第1移動機構と、可動下壁26LMを移動させる第2移動機構と、可動上壁26UMを移動させる第3移動機構とを有してもよい。第1〜第3移動機構はそれぞれ、モータと、モータの回転を直進運動に変換する回転直進変換機構とを有する。これにより、可動側壁26SM、可動下壁26LM、及び可動上壁26UMを個別に制御することができる。
【0085】
・上記第3実施形態において、移動機構29は、可動側壁26SM及び可動下壁26LMを移動させる第1移動機構と、可動上壁26UMを移動させる第2移動機構とを有してもよい。第1移動機構及び第2移動機構はそれぞれ、モータと、モータの回転を直進運動に変換する回転直進変換機構とを有する。これにより、可動側壁26SM及び可動下壁26LMと、可動上壁26UMとを個別に制御することができる。
【0086】
・上記第3実施形態において、移動機構29は、可動側壁26SMを移動させる第1移動機構と、可動下壁26LM及び可動上壁26UMを移動させる第2移動機構とを有してもよい。第1移動機構及び第2移動機構はそれぞれ、モータと、モータの回転を直進運動に変換する回転直進変換機構とを有する。これにより、可動側壁26SMと、可動下壁26LM及び可動上壁26UMとを個別に制御することができる。
【0087】
・上記第3実施形態において、移動機構29は、可動側壁26SM及び可動上壁26UMを移動させる第1移動機構と、可動下壁26LMを移動させる第2移動機構とを有してもよい。第1移動機構及び第2移動機構はそれぞれ、モータと、モータの回転を直進運動に変換する回転直進変換機構とを有する。これにより、可動側壁26SM及び可動上壁26UMと、可動下壁26LMとを個別に制御することができる。
【0088】
・上記第3実施形態において、吹出流路26は、吹出口17から突出し、かつ吹出流路26における吹出口17よりも下流側の断面積が吹出口17の断面積よりも小さくなるように形成されてもよい。一例では、吹出流路26を構成する構成要素である可動側壁26SM、可動下壁26LM、及び可動上壁26UMによって囲まれた断面積が、吹出口17の断面積よりも小さくなるように、可動側壁26SM、可動下壁26LM、及び可動上壁26UMの少なくとも1つを移動機構29によって移動させる。これにより、吹出流路26の下流側における風速を高くすることができる。したがって、吹出口17からの室内空気の逆流を抑制できるため、サージングがより発生し難くなる。
【0089】
・上記第4実施形態において、室内機1は、次の(C1)〜(C4)のように変更してもよい。
(C1)室内機1は、可動側壁26SMと、可動側壁26SMを移動させる移動機構29とをさらに備える。一例では、可動側壁26SM及び移動機構29は、第1実施形態の可動側壁26SM及び移動機構29と同じ構成である。この構成によれば、可動側壁26SMが吹出口17よりも突出することにより、吹出口17から吹き出される室内空気が可動側壁26SM及び可動上壁26UMによって吹出口17から左右方向に流れることが規制されるため、吹出流路26を吹出口17から延長することができる。これにより、両側壁26S及び上壁26Uが吹出口17から突出しない構成と比較して、吹出流路26が長くなるため、吹出流路26の静圧をより上昇させることができ、吹出流路26における風量をより増加させることができる。また室内機本体10の通風抵抗(機内圧損)が高くなる場合に、吹出口17の左右方向の両端部からの空気の逆流を抑制できるため、サージングがより発生し難くなる。
(C2)室内機1は、可動下壁26LMと、可動下壁26LMを移動させる移動機構29とをさらに備える。一例では、可動下壁26LM及び移動機構29は、第2実施形態の可動下壁26LM及び移動機構29と同じ構成である。この場合、フラップ24は、可動下壁26LMの先端部に回転可能に設けられる。この構成によれば、可動下壁26LMが吹出口17よりも突出することにより、吹出口17から吹き出される室内空気が可動下壁26LMによって吹出口17から下方に流れることが規制されるため、吹出流路26を吹出口17から延長することができる。これにより、下壁26Lが吹出口17から突出しない構成と比較して、ディフューザの機能を有する吹出流路26が長くなるため、吹出流路26の静圧をより上昇させることができ、吹出流路26における風量をより増加させることができる。また室内機本体10の通風抵抗(機内圧損)が高くなる場合に、吹出口17の下方からの空気の逆流を抑制できるため、サージングがより発生し難くなる。
(C3)室内機1は、可動上壁26UMと、可動上壁26UMを移動させる移動機構29とをさらに備える。一例では、可動上壁26UM及び移動機構29は、第3実施形態の可動上壁26UM及び移動機構29と同じ構成である。この構成によれば、可動上壁26UMが吹出口17よりも突出することにより、吹出口17から吹き出される室内空気が可動上壁26UMによって吹出口17から上方に流れることが規制されるため、吹出流路26を吹出口17から延長することができる。これにより、上壁26Uが吹出口17から突出しない構成と比較して、ディフューザの機能を有する吹出流路26が長くなるため、吹出流路26の静圧をより上昇させることができ、吹出流路26における風量をより増加させることができる。また室内機本体10の通風抵抗(機内圧損)が高くなる場合に、吹出口17の上方からの空気の逆流を抑制できるため、サージングがより発生し難くなる。
(C4)室内機1は、可動側壁26SM、可動下壁26LM、及び可動上壁26UMの少なくとも1つと、可動側壁26SM、可動下壁26LM、及び可動上壁26UMの少なくとも1つを移動させる移動機構29とをさらに備える。この構成によれば、上記(C1)〜(C3)の少なくとも1つの効果が得られる。
【0090】
・上記第1〜第4実施形態において、移動機構29を省略してもよい。この場合、吹出流路26を構成する構成要素は、常に突出状態である。すなわち、両側壁26S、上壁26U、及び下壁26Lの少なくとも1つは、吹出口17から突出するように設けられる。一例では、
図15に示す室内機1では、吹出流路26を構成する構成要素である両側壁26S、上壁26U、及び下壁26Lが吹出口17から突出するように設けられている。この場合、例えば、吹出流路26における吹出口17よりも下流側における両側壁26Sの左右方向の間の距離が吹出口17の左右方向の長さよりも小さくなる突出部26Pが、両側壁26Sにおける吹出口17よりも下流側の部分に設けられてもよい。一例では、
図15に示すとおり、突出部26Pは、上壁26Uから下壁26Lに向けて両側壁26Sの左右方向の間の距離(突出部26Pの左右方向の間の距離)が小さくなる略三角錐に形成されている。また、左右方向において突出部26P同士が対向する面26PAは、吹出流路26の下流側に向かうにつれて突出部26Pの左右方向の間の距離が小さくなるように形成されている。なお、突出部26Pの形状は、吹出流路26における吹出口17よりも下流側における両側壁26Sの左右方向の間の距離が吹出口17の左右方向の長さよりも小さくなるように形成されていれば、任意に変更可能である。
【0091】
・上記第1〜第3実施形態において、両側壁26Sが吹出口17から突出するように延長された吹出流路26の下流側における両側壁26Sの左右方向の間の距離が、吹出流路26の吹出口17側(上流側)における両側壁26Sの左右方向の間の距離よりも常に小さくなるように設けられてもよい。これにより、吹出流路26の下流側における風速を高くすることができる。したがって、吹出口17からの室内空気の逆流を抑制できるため、サージングがより発生し難くなる。
【0092】
以上、本開示の空気調和機の室内機の各実施形態及び各変形例を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細な多様な変更が可能なことが理解されるであろう。