特許第6926104号(P6926104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ライカ マイクロシステムズ シーエムエス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特許6926104光の強度変動を交流電圧測定信号に変換する光/電圧変換器回路
<>
  • 特許6926104-光の強度変動を交流電圧測定信号に変換する光/電圧変換器回路 図000002
  • 特許6926104-光の強度変動を交流電圧測定信号に変換する光/電圧変換器回路 図000003
  • 特許6926104-光の強度変動を交流電圧測定信号に変換する光/電圧変換器回路 図000004
  • 特許6926104-光の強度変動を交流電圧測定信号に変換する光/電圧変換器回路 図000005
  • 特許6926104-光の強度変動を交流電圧測定信号に変換する光/電圧変換器回路 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6926104
(24)【登録日】2021年8月6日
(45)【発行日】2021年8月25日
(54)【発明の名称】光の強度変動を交流電圧測定信号に変換する光/電圧変換器回路
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/44 20060101AFI20210812BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20210812BHJP
【FI】
   G01J1/44 F
   G02B21/06
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-545920(P2018-545920)
(86)(22)【出願日】2017年3月1日
(65)【公表番号】特表2019-513979(P2019-513979A)
(43)【公表日】2019年5月30日
(86)【国際出願番号】EP2017054750
(87)【国際公開番号】WO2017149004
(87)【国際公開日】20170908
【審査請求日】2020年2月28日
(31)【優先権主張番号】92983
(32)【優先日】2016年3月2日
(33)【優先権主張国】LU
(73)【特許権者】
【識別番号】511079735
【氏名又は名称】ライカ マイクロシステムズ シーエムエス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Leica Microsystems CMS GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴィシュヌ ヴァルダン クリシュナマチャリ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ムラヴェク
(72)【発明者】
【氏名】ベアント ヴィヅゴフスキ
【審査官】 小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−502787(JP,A)
【文献】 特開2003−229629(JP,A)
【文献】 特開平05−300042(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/100745(WO,A1)
【文献】 米国特許第05389778(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0265133(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01164800(EP,A2)
【文献】 米国特許第05448161(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0028593(US,A1)
【文献】 米国特許第06225635(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0294120(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0202129(US,A1)
【文献】 Christian W. Freudiger, et. al.,Label-Free Biomedical Imaging with High Sensitivity by Stimulated Raman Scattering Microscopy,SCIENCE,米国,SCIENCE,2008年12月19日,Vol.322,pages 1857-1861
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00 − G01J 1/60
G01J 11/00
G02B 19/00 − G02B 21/00
G02B 21/06 − G02B 21/36
H01L 31/00 − H01L 31/02
H01L 31/0232
H01L 31/0248
H01L 31/0264
H01L 31/08
H01L 31/10
H01L 31/107 − H01L 31/108
H01L 31/111
H01L 31/18
H01L 51/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光(L)の強度変動を交流電圧測定信号に変換する光/電圧変換器回路(100)であって、前記光/電圧変換器回路(100)は、
前記光(L)を検出するフォトダイオード(D)と、
一次巻線(T1)および二次巻線(T2)を有する変圧器(T)と、
を備え、
前記変圧器(T)の前記一次巻線(T1)は、前記フォトダイオード(D)のカソードに直列に接続されており、前記交流電圧測定信号は、前記二次巻線(T2)に印加され、
前記光/電圧変換器回路(100)は、直流電流阻止型でかつ交流電流導通型の電気的回路網(N1)を備えており、
前記電気的回路網(N1)は、前記変圧器(T)の前記一次巻線(T1)と前記フォトダイオード(D)とからなる直列回路に並列に接続されている、
光/電圧変換器回路(100)。
【請求項2】
前記光/電圧変換器回路(100)は、第2の電気的回路網(N2)を備え、前記第2の電気的回路網(N2)は、前記変圧器(T)の前記二次巻線(T2)と導電的に接続されている、
請求項1記載の光/電圧変換器回路(100)。
【請求項3】
前記光/電圧変換器回路(100)は、電圧源(U)を備え、前記電圧源(U)は、前記変圧器(T)の前記一次巻線(T1)と前記フォトダイオード(D)とからなる前記直列回路に並列に接続されている、
請求項1または2記載の光/電圧変換器回路(100)。
【請求項4】
前記フォトダイオード(D)の一方の電極は、電気的にアース電位に置かれる、
請求項1から3までのいずれか1項記載の光/電圧変換器回路(100)。
【請求項5】
前記フォトダイオード(D)の電気的にアース電位に置かれる前記電極は、金属体(110)に接続されている、
請求項4記載の光/電圧変換器回路(100)。
【請求項6】
前記金属体の質量は、前記フォトダイオード(D)の質量の少なくとも10倍である、
請求項5記載の光/電圧変換器回路(100)。
【請求項7】
前記金属体(110)は、プレートまたはブロックとして形成され、かつ/または、前記金属体(110)は、完全にもしくは部分的に、銅および/またはアルミニウムおよび/または鉄から形成されている、
請求項5または6記載の光/電圧変換器回路(100)。
【請求項8】
前記フォトダイオード(D)は、前記金属体(110)の凹部内に配置されている、
請求項5から7までのいずれか1項記載の光/電圧変換器回路(100)。
【請求項9】
前記光/電圧変換器回路(100)は、前記交流電圧測定信号を出力する測定電圧出力側(S)を備え、前記測定電圧出力側(S)は、前記変圧器(T)の前記二次巻線(T2)に並列に接続されている、
請求項1から8までのいずれか1項記載の光/電圧変換器回路(100)。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載の光/電圧変換器回路(100)を備えた顕微鏡(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光の強度変動を交流電圧測定信号に変換する光/電圧変換器回路ならびにそのような光/電圧変換器回路を備えた顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡分野では、試料を照明する、1つ以上のレーザー源を使用する分光検査法が広く普及している。ここでは測定の種類に応じて、非常に異なる要求が測定技術に課せられる。
【0003】
例えば、SRS顕微鏡(SRSとはstimulated Raman scatteringの略であり、これについては例えばFreudigerらによる文献「Label-Free Biomedical Imaging with High Sensitivity by Stimulated Raman Scattering Microscopy, Science 2008」を参照されたい)では、波長の異なる2つのレーザービームが使用される。これらの2つのレーザービームは、検査すべき試料上に誘導され、そこにおいて散乱する。2つのレーザービームのうちの1つの振幅変調(例えば、偏光変調、波長変調も含む)のもとでは、有用信号として僅かな強度変動が散乱光(コヒーレントなレーザー類似ビーム)の中に生じるが、しかしながらこれは顕著な直流成分に載っている。このような直流成分を含む強度変動(交流成分)の検出は困難を来す。
【0004】
一方では、直流成分と交流成分との比は、10exp6までになり得る。他方では、光の直流成分は1Wのオーダーである可能性があり、このことは検出素子(通常はフォトダイオード)内へのおびただしいエネルギー入射につながる。入射した光出力による加熱の他に、直流成分は、ダイオード(これは通常、阻止方向にバイアス電圧を有している)内で電流通流も引き起こし、このことも同様に顕著な加熱に寄与する。これは特に、動作点のシフトや固有ノイズの増加によって測定に悪影響を及ぼす。
【0005】
測定は、通常、スキャン方式で実施され、すなわち、点状に試料の上を走査して行われる。これは、通常、ライン毎に行われ、ここではインターレースの間、レーザーがスイッチオフされるが、このことは、再スイッチオン時の付加的エラー信号につながる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、光の強度変動を検出する光/電圧変換器回路、ならびに独立請求項の特徴部分を有するそのような光/電圧変換器回路を備えた顕微鏡、例えばSRS顕微鏡が提案される。好ましい構成は、従属請求項ならびに以下の説明の対象である。
【0007】
本発明の一態様は、検出素子としてのフォトダイオードを有する、光の強度変動を交流電圧測定信号に変換する光/電圧変換器回路に関しており、ここでは、検出された光強度の交流成分が、一次巻線および二次巻線を有する変圧器を用いて直流成分から分離される。この目的のために、フォトダイオードの光束は、一次巻線を通って導かれ、それによって、交流成分は二次巻線内で交流電圧を誘導し、この交流電圧が測定信号として検出され得る。変圧器の一次巻線とフォトダイオードとからなる直列回路に並列に、直流電流阻止型でかつ交流電流導通型の電気的回路網が接続されており、これは交流電圧用のフォトダイオードの電流回路を閉成し、それによって、接続されたさらなるコンポーネント、特にフォトダイオード用の電圧源における信号損失を防止する。この回路網はその上さらに、検出されるべき光束の周波数領域が変圧器内で最大限の誘導を引き起こすように、電圧源のインピーダンスを整合化することができる。この回路網はまた、検出すべき信号に関するフィルタリング機能を達成するために周波数選択的に設計されてもよい。
【0008】
本発明によれば、有用信号は直流成分から非常に良好に分離され、さらなる評価のために、例えば前処理、増幅などが施される。そのため、直流成分を含む強度変動は、特に良好にかつ正確に測定することができる。その上さらに、光/電圧変換器回路は、複雑ではない構成部品を有する簡単な構造と、それに伴う堅牢性および高い信頼性とによって優れている。変圧器により、無電位測定信号が提供され、このことはさらなる処理を非常にフレキシブルにさせる。スイッチオンの際の、例えばインターレースの際のエラー信号成分も同様に低減もしくは完全に回避される。
【0009】
二次巻線内で誘導された信号の前処理は、第2の電気的回路網が変圧器の二次巻線と導電的に接続されている場合に可能である。この前処理は、フィルタリングおよび/または増幅を含み得る。第2の電気的回路網は、特に、電圧測定装置の残りの光/電圧変換器回路へのインピーダンス整合化のためにも用いることができ、そのため特に大きな測定信号が得られる。
【0010】
特に、二次巻線内では電流が誘導される。この電流を電圧として測定可能にするために、当該電流は、電流−電圧変換器を用いて電圧に変換することができる。そのような変換器の最も簡単な形状はインピーダンスである。好ましい構成では、第2の電気的回路網の入力インピーダンスは、電流−電圧変換のために使用される。第2の電気的回路網の出力側には、例えば、電圧増幅器を使用することができる。
【0011】
交流電圧測定信号の特に簡単な測定は、電圧測定装置が変圧器の二次巻線に並列に接続されている場合に可能である。
【0012】
好ましくは、電圧源は、変圧器の一次巻線とフォトダイオードとからなる直列回路に並列に接続されている。それにより、特に、フォトダイオードは、阻止方向に動作させることができ、このことは、検出可能な光束の帯域幅を広める。
【0013】
好ましくは、フォトダイオードの一方の電極は、電気的にアース電位に置かれる。このことは、特に、この目的のために固体の十分な電気的接続部(例えば導体路など)が使用される場合には、アース接続を介して同時に熱放出も行うことができるという利点を提供する。例えば、この電極は、(特に固体の)金属体と物理的に接続することもでき、この金属体は、特別に複雑な絶縁を必要とすることなく、特に同時にヒートシンクとしても、および電界のシールドのためにも用いることができる。この金属体が高い導電性を有する場合、特に良好なシールド効果が達成される。特に良好な冷却効果は、金属体の静止質量がフォトダイオードの質量の少なくとも10倍、20倍、50倍または100倍である場合に達成される。
【0014】
好ましくは、金属体は、フォトダイオードが配置されている凹部を有する。それにより、特に良好な冷却効果およびシールド効果を得ることができる。ただしこのフォトダイオードは、凹部なしで金属体に取り付けることも可能である。このことは製造を容易にさせる。
【0015】
フォトダイオードの金属体への取り付けは、例えばろう接によって達成することができる。このことは、実地において何度も試された、同時に電気的コンタクト形成を伴う取り付け方法である。
【0016】
金属体は、例えば、プレートまたはブロックとして形成されてもよい。
【0017】
金属体は、例えば、完全にもしくは部分的に銅および/またはアルミニウムおよび/または鉄から形成されてもよい。この金属体は腐食防止のために、例えば錫めっき、亜鉛めっきまたはニッケルめっきされてもよい。
【0018】
本発明のさらなる利点および構成は、明細書および添付の図面から明らかになる。
【0019】
上述した特徴および以下でさらに説明すべき特徴は、本発明の枠内から逸脱することなく、それぞれ明示された組み合わせにおいてだけでなく、他の組み合わせにおいても、あるいは単独においても、使用可能であることを理解されたい。
【0020】
本発明は、実施例に基づいて図面に概略的に示されており、以下ではこれらの図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】SRS顕微鏡として構成された本発明による顕微鏡の好ましい実施形態
図2】本発明による光/電圧変換器回路の好ましい実施形態の概略的回路図
図3】フォトダイオード用の付加的な金属体を有する図2による回路図
図4a】本発明による光/電圧変換器回路のフォトダイオードをアースに接続するための第1の好ましい手段
図4b】本発明による光/電圧変換器回路のフォトダイオードをアースに接続するための第2の好ましい手段
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1には、本発明による顕微鏡の好ましい実施形態が概略的に示され、全体として符号1が付されている。この顕微鏡は、SRS顕微鏡の原理に基づいており、ここでは試料10が、異なる波長λ(レーザー2)およびλ(レーザー3)の2つのレーザー2,3を用いて点状に照射される。この目的のために、レーザー3(ストークスレーザー)から放射された波長λのいわゆるストークスビームは、当該ストークスビームの強度を高周波領域(典型的にはMHz)に変調するための振幅変調器6(代替的に波長変調または偏光変調する装置)を通過し、レーザー2(ポンプレーザー)から放射された波長λのいわゆるポンプビームとダイクロイックミラー7を介して一体化される。次いで、これらのビームは顕微鏡対物レンズ8を通過し、そこから当該ビームは、試料10の同じ試料領域に集束される。結果として生じた(場合によってはそれらの強度がSRS効果に基づいて変化したポンプビームとストークスビームとからなる)散乱した光ビーム4は、まず、当該光ビーム4のストークス成分をブロックするフィルタ9を通過し、次いで、本発明による光/電圧変換器回路100の好ましい実施形態を有する検出器によって検出される。計算ユニット5は、顕微鏡1のコンポーネントを制御し、ならびに好ましくは、光/電圧変換器回路100から供給された交流電圧測定信号を受信して処理するのに用いられる。
【0023】
ストークスビームの変調は、散乱したポンプビームの強度変動につながる。結果的に生じた光ビーム4では、フィルタ9の後で、光ビームの強度に関連して高い直流成分が生じ、これは小さな交互成分に重畳している。
【0024】
測定は、通常、スキャン方式で実施され、すなわち、試料上を点状に走査して行われる。これは、通常、ライン毎に行われ、ここではインターレースの間、レーザーをスイッチオフすることができる。
【0025】
図2には、本発明による光/電圧変換器回路100の好ましい実施形態が概略的に回路図で示されている。この光/電圧変換器回路100は、図1に基づいて説明した光ビーム4(これは図2中矢印Lで示されている)における強度変動を、交流電圧測定信号に変換するのに用いられる。
【0026】
光/電圧変換器回路100は、フォトダイオードDを有しており、このフォトダイオードDは、変圧器Tの一次巻線T1に直列に接続されている。直流電流阻止型でかつ交流電流導通型の電気的回路網N1が、変圧器Tの一次巻線T1とフォトダイオードDとからなる直列回路に並列に接続されている。さらに電圧源Uが、変圧器Tの一次巻線T1とフォトダイオードDとからなる直列回路に並列に接続されている。
【0027】
電圧源Uを用いることにより、フォトダイオードDは、阻止方向に動作させることができ、それによって、フォトダイオードDからは、特に広い帯域幅の光束が生成可能である。
【0028】
直流電流阻止型でかつ交流電流導通型の電気的回路網N1は、一方では、フォトダイオードDと変圧器Tの一次巻線T1とを通る交流電流回路の閉成に用いられ、そのため改ざんもしくは障害につながりかねない関心のある交流成分が電圧源Uを介して流される必要はない。さらに、この回路網N1は、閉成された交流電流回路のインピーダンスを、次のように整合化することができる。すなわち、交流成分が、変圧器Tにおいて最大限の誘導を引き起こすように整合化することができる。このインピーダンスの量は、ここでは交流成分の周波数に対して最小にされる。
【0029】
回路網N1は、最も簡単なケースでは、単一のコンデンサからなり得る。付加的に、この回路網は、関心のある交流成分の周波数のもとで共振回路のインピーダンスを低減するさらなるL,R,C素子(インダクタンス、抵抗、キャパシタンス)を有することができる。
【0030】
変圧器Tでは、一次巻線T1から電流の交流成分が二次巻線T2に誘導され、それによって二次側では、直流成分から分離された交流成分のみが、交流電圧測定信号として出力側Sに印加される。この出力側Sには、特に電圧測定装置、例えば図1からの計算ユニット5のADC変換器が接続可能である。
【0031】
交流電圧測定信号の前処理のために、第2の電気的回路網N2が設けられており、この第2の電気的回路網N2は、例えば交流電圧測定信号のフィルタリングおよび/または増幅に用いられる。さらに、ここでは、接続された電圧測定装置への光/電圧変換器回路のインピーダンス整合化を行うことができる。
【0032】
第2の電気的回路網N2は、R,L,C素子の直列および/または並列回路を含むことができる。RF技術におけるインピーダンス整合化のための回路(「整合化構造」)は、例えば、L,TおよびPi整合化構造のように公知である。これらのインピーダンス整合化のための回路のうち、1つ以上は、当該回路網N2において、所望の結果を得るために、相前後して直列に接続されてもよい。
【0033】
図3には、図2の光/電圧変換器回路100が改めて示されており、この場合フォトダイオードDの電極(ここではアノード)は、電気的アースにも、固体の金属体110にも接続されている。この金属体110は、例えば、特に腐食防止の理由から、かつ/またはフォトダイオードの簡単なろう接のために錫めっきされ得る銅板であってもよい。この銅板110は、光の照射によって引き起こされた入射熱の放熱のためのヒートシンクとして用いられ、ならびに、電気的障害もしくは電磁的障害に対するシールドとして用いられる。この金属体は、例えばフォトダイオードが配置された矩形形状または円筒形状の凹部を有していてもよい。
【0034】
アノードが電気的アースに接続され、場合によっては金属体110にも接続されている、上述したフォトダイオードDの相互接続は、図4bにおいて、再度概略的に示されており、これに対して、フォトダイオードDのカソードが電気的アースに接続され、場合によっては金属体110にも接続されている代替的な好ましい実施形態は、図4aに概略的に示されている。このケース(4a)では、変圧器Tの一次巻線は、フォトダイオードDのアノードと負の給電電圧との間に存在する。
【0035】
最後に、前述のように論じられた実施例は、特許請求される教示の説明のためだけに用いられるものであるが、これらの教示を当該実施例に限定するものではないことにひときわ留意すべきである。特に、上述した実施例は可能な限り相互に組み合わせることができるものであろう。
図1
図2
図3
図4a
図4b