特許第6926411号(P6926411)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジェイテクトの特許一覧

<>
  • 特許6926411-断続装置及び差動装置 図000002
  • 特許6926411-断続装置及び差動装置 図000003
  • 特許6926411-断続装置及び差動装置 図000004
  • 特許6926411-断続装置及び差動装置 図000005
  • 特許6926411-断続装置及び差動装置 図000006
  • 特許6926411-断続装置及び差動装置 図000007
  • 特許6926411-断続装置及び差動装置 図000008
  • 特許6926411-断続装置及び差動装置 図000009
  • 特許6926411-断続装置及び差動装置 図000010
  • 特許6926411-断続装置及び差動装置 図000011
  • 特許6926411-断続装置及び差動装置 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6926411
(24)【登録日】2021年8月10日
(45)【発行日】2021年8月25日
(54)【発明の名称】断続装置及び差動装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 27/118 20060101AFI20210812BHJP
   F16H 48/24 20060101ALI20210812BHJP
   F16H 48/34 20120101ALI20210812BHJP
【FI】
   F16D27/118
   F16H48/24
   F16H48/34
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-153786(P2016-153786)
(22)【出願日】2016年8月4日
(65)【公開番号】特開2018-21620(P2018-21620A)
(43)【公開日】2018年2月8日
【審査請求日】2019年7月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】吉坂 正
(72)【発明者】
【氏名】金 鶴
(72)【発明者】
【氏名】神谷 康憲
【審査官】 西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−099460(JP,A)
【文献】 特開2014−111956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 27/00−27/24
F16H 48/24
F16H 48/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の回転軸線を中心として相対回転可能に配置された第1の回転部材と第2の回転部材との連結を断続する断続装置であって、
前記第1の回転部材との相対回転が規制されると共に、前記第2の回転部材に噛み合う噛み合い歯を有し、前記噛み合い歯が前記第2の回転部材に噛み合う連結位置と前記噛み合い歯が前記第2の回転部材に噛み合わない非連結位置との間を軸方向に移動可能な断続部材と、
前記断続部材を軸方向に移動させるアクチュエータとを備え、
前記アクチュエータは、通電により磁束を発生させるコイルを有する円環状の電磁石と、前記磁束の磁路の一部を構成するヨークと、前記ヨークと共に前記磁束の磁路を構成して前記断続部材と共に軸方向に移動する軟磁性体からなるプランジャと、前記プランジャを支持する非磁性体からなる支持部材と、前記第1の回転部材又は前記第2の回転部材を回転可能に支持する回転部材支持体に対して前記ヨーク及び前記プランジャを回り止めする回り止め部材とを有し、
前記電磁石は、前記ヨークに対して回り止めされており、
前記支持部材は、前記第1の回転部材及び前記第2の回転部材のうち前記回転部材支持体に支持された回転部材に対する径方向の位置が決められており、
前記プランジャは、前記電磁石と隙間を介して径方向に対向して前記ヨークとの間に前記電磁石を挟む円筒部を有し、
前記支持部材は、前記隙間が維持されるように前記プランジャを前記電磁石に対して軸方向移動可能に径方向支持する、
断続装置。
【請求項2】
前記電磁石は、前記コイルを囲う樹脂部材を有し、
前記プランジャは、前記円筒部が前記樹脂部材に対向して支持されている、
請求項1に記載の断続装置。
【請求項3】
前記プランジャは、前記円筒部の内周面が前記樹脂部材の外周面に対向している、
請求項2に記載の断続装置。
【請求項4】
前記プランジャは、前記円筒部の外周面が前記樹脂部材の内周面に対向している、
請求項2に記載の断続装置。
【請求項5】
前記支持部材は、前記プランジャと前記断続部材との間に介在し、前記プランジャと共に軸方向に移動して前記断続部材を押圧する、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の断続装置。
【請求項6】
共通の回転軸線を中心として相対回転可能に配置された第1及び第2の回転部材と、
前記第1の回転部材との相対回転が規制されると共に、前記第2の回転部材に噛み合う噛み合い歯を有し、前記噛み合い歯が前記第2の回転部材に噛み合う連結位置と前記噛み合い歯が前記第2の回転部材に噛み合わない非連結位置との間を軸方向に移動可能な断続部材と、
前記断続部材を軸方向に移動させるアクチュエータと、
入力される駆動力を一対の出力部材から差動を許容して出力する差動機構とを備えた差動装置であって、
前記アクチュエータは、通電により磁束を発生させるコイルを有する円環状の電磁石と、前記磁束の磁路の一部を構成するヨークと、前記ヨークと共に前記磁束の磁路を構成して前記断続部材と共に軸方向に移動する軟磁性体からなるプランジャと、前記プランジャを支持する非磁性体からなる支持部材と、前記第1の回転部材又は前記第2の回転部材を回転可能に支持する回転部材支持体に対して前記ヨーク及び前記プランジャを回り止めする回り止め部材とを有し、
前記電磁石は、前記ヨークに対して回り止めされており、
前記支持部材は、前記第1の回転部材及び前記第2の回転部材のうち前記回転部材支持体に支持された回転部材に対する径方向の位置が決められており、
前記プランジャは、前記電磁石と隙間を介して径方向に対向する円筒部を有し、
前記支持部材は、前記隙間が維持されるように前記プランジャを前記電磁石に対して軸方向移動可能に径方向支持する、
差動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断続装置及び差動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の左右の車輪に差動を許容して駆動力を配分するディファレンシャル装置には、相対回転可能な回転部材間の差動を制限する噛み合いクラッチを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のディファレンシャル装置は、デフケースと、デフケースに固定されたピニオンシャフトに軸支された一対のピニオンギヤと、一対のピニオンギヤにギヤ軸を直交させて噛合する一対のサイドギヤと、デフケースに形成された孔部に回転方向に係合して軸方向移動可能に配置された断続部材と、断続部材を軸方向に移動させるアクチュエータとを有している。
【0004】
断続部材は、一対のサイドギヤのうち一方のサイドギヤに噛み合う噛み合い歯を有し、デフケースと共に回転する。アクチュエータは、電磁石と、電磁石の磁力によって軸方向に移動する可動部材とを有している。電磁石は、電磁コイルと、電磁コイルを囲むように配置されたコアとによって構成されている。可動部材は、軟磁性材料からなるプランジャと、電磁石の磁束がデフケースへ漏れることを防止する非磁性材料からなるリングとによって構成されている。可動部材は電磁石の内側に配置され、電磁石と断続部材とは、軸方向に並んで配置されている。
【0005】
電磁石に通電されると、プランジャが断続部材側に移動し、リングが断続部材に固定されたプレートを介して断続部材を押圧する。断続部材は、この押圧力を受けて軸方向に移動し、一方のサイドギヤに噛み合う。これにより、デフケースと一方のサイドギヤとの相対回転が規制され、これに伴って一対のサイドギヤ間の差動回転も規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−84930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のディファレンシャル装置は、その図1において符号79で示されるコアの断面形状が電磁コイルを囲むように形成された略四角形状であり、電磁コイルの内周面の一部に対向する部分が不連続に形成されている。プランジャは、この不連続部分に軸方向の端部が対向して配置され、電磁コイルへの通電により発生する磁束の一部を構成する。
【0008】
このような形状のコアは、単一の部材で形成することが困難であるので、例えば特許文献1の図1に示されているように、電磁コイルの軸方向の一方の側面及び内周面の一部を覆う部材と、電磁コイルの軸方向の他方の側面を覆う部材と、電磁コイルの外周面を覆う部材との3つの部材を溶接等により結合して構成する必要がある。このため、コアの構造及び製造工程が複雑となり、製造コストの上昇を招来してしまう。
【0009】
そこで、本発明は、軸方向に移動する断続部材の噛み合いによって回転部材間の連結を断続することが可能で、電磁石への通電によって発生する磁束の磁路を構成する部材を簡素に構成することができ、もって製造コストを抑制することが可能な断続装置及び差動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の目的を達成するため、共通の回転軸線を中心として相対回転可能に配置された第1の回転部材と第2の回転部材との連結を断続する断続装置であって、前記第1の回転部材との相対回転が規制されると共に、前記第2の回転部材に噛み合う噛み合い歯を有し、前記噛み合い歯が前記第2の回転部材に噛み合う連結位置と前記噛み合い歯が前記第2の回転部材に噛み合わない非連結位置との間を軸方向に移動可能な断続部材と、前記断続部材を軸方向に移動させるアクチュエータとを備え、前記アクチュエータは、通電により磁束を発生させるコイルを有する円環状の電磁石と、前記磁束の磁路の一部を構成するヨークと、前記ヨークと共に前記磁束の磁路を構成して前記断続部材と共に軸方向に移動する軟磁性体からなるプランジャと、前記プランジャを支持する非磁性体からなる支持部材と、前記第1の回転部材又は前記第2の回転部材を回転可能に支持する回転部材支持体に対して前記ヨーク及び前記プランジャを回り止めする回り止め部材とを有し、前記電磁石は、前記ヨークに対して回り止めされており、前記支持部材は、前記第1の回転部材及び前記第2の回転部材のうち前記回転部材支持体に支持された回転部材に対する径方向の位置が決められており、前記プランジャは、前記電磁石と隙間を介して径方向に対向して前記ヨークとの間に前記電磁石を挟む円筒部を有し、前記支持部材は、前記隙間が維持されるように前記プランジャを前記電磁石に対して軸方向移動可能に径方向支持する、断続装置を提供する。
【0011】
また、本発明は、上記の目的を達成するため、共通の回転軸線を中心として相対回転可能に配置された第1及び第2の回転部材と、前記第1の回転部材との相対回転が規制されると共に、前記第2の回転部材に噛み合う噛み合い歯を有し、前記噛み合い歯が前記第2の回転部材に噛み合う連結位置と前記噛み合い歯が前記第2の回転部材に噛み合わない非連結位置との間を軸方向に移動可能な断続部材と、前記断続部材を軸方向に移動させるアクチュエータと、入力される駆動力を一対の出力部材から差動を許容して出力する差動機構とを備えた差動装置であって、前記アクチュエータは、通電により磁束を発生させるコイルを有する円環状の電磁石と、前記磁束の磁路の一部を構成するヨークと、前記ヨークと共に前記磁束の磁路を構成して前記断続部材と共に軸方向に移動する軟磁性体からなるプランジャと、前記プランジャを支持する非磁性体からなる支持部材と、前記第1の回転部材又は前記第2の回転部材を回転可能に支持する回転部材支持体に対して前記ヨーク及び前記プランジャを回り止めする回り止め部材とを有し、前記電磁石は、前記ヨークに対して回り止めされており、前記支持部材は、前記第1の回転部材及び前記第2の回転部材のうち前記回転部材支持体に支持された回転部材に対する径方向の位置が決められており、前記プランジャは、前記電磁石と隙間を介して径方向に対向する円筒部を有し、前記支持部材は、前記隙間が維持されるように前記プランジャを前記電磁石に対して軸方向移動可能に径方向支持する、差動装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、軸方向に移動する断続部材の噛み合いによって回転部材間の駆動力伝達を断続することが可能な断続装置及び差動装置において、電磁石への通電によって発生する磁束の磁路を構成する部材を簡素に構成することができ、製造コストを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る差動装置の構成例を示す断面図である。
図2図1の部分拡大図であり、(a)はアクチュエータの非作動状態を示し、(b)はアクチュエータの作動状態を示す。
図3】差動装置の分解斜視図である。
図4】デフケースの第1ケース部材の内側の面を軸方向に見た平面図である。
図5】デフケースの第2ケース部材を示す斜視図である。
図6】本発明の第2の実施の形態に係る差動装置の構成例を示す断面図である。
図7図6の部分拡大図であり、(a)はアクチュエータの非作動状態を示し、(b)はアクチュエータの作動状態を示す。
図8】第2の実施の形態に係る差動装置の分解斜視図である。
図9】第2の実施の形態に係る差動装置のデフケース及びその内部の構造を示す分解斜視図である。
図10】(a)及び(b)は、第2の実施の形態に係る差動装置の断続部材を示す斜視図である。
図11】第3の実施の形態に係る差動装置の一部を拡大して示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
本発明の実施の形態について、図1乃至図5を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲はこの具体的態様に限定されるものではない。
【0015】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る差動装置の構成例を示す断面図である。図2図1の部分拡大図であり、(a)はアクチュエータの非作動状態を示し、(b)はアクチュエータの作動状態を示す。図3は、差動装置の分解斜視図である。図4は、デフケースの第1ケース部材の内側の面を軸方向に見た平面図である。図5は、デフケースの第2ケース部材を示す斜視図である。
【0016】
この差動装置1は、車両のエンジン等の駆動源の駆動力を一対の出力軸に差動を許容して配分するために用いられる。より具体的には、本実施の形態に係る差動装置1は、駆動源の駆動力が常に伝達される左右一対の主駆動輪(例えば前輪)と、駆動源の駆動力が走行状態に応じて伝達される左右一対の補助駆動輪(例えば後輪)とを備えた四輪駆動車に搭載され、補助駆動輪の左右の車輪に駆動力を配分するディファレンシャル装置として用いられる。主駆動輪のみに駆動力が伝達される場合、車両が四輪駆動状態となり、主駆動輪及び補助駆動輪に駆動力が伝達される場合、車両が二輪駆動状態となる。差動装置1は、四輪駆動状態において、入力された駆動力を補助駆動輪側の左右のドライブシャフトに配分する。
【0017】
差動装置1は、車体に固定されたデフキャリヤ9に一対の軸受91,92を介して回転可能に支持されたデフケース2と、デフケース2に収容された差動機構3と、デフケース2と差動機構3のピニオンシャフト30との間で駆動力を断続可能に伝達する断続部材4と、断続部材4を軸方向に移動させるアクチュエータ5と、断続部材4をアクチュエータ5側に付勢する付勢部材としてのウェーブワッシャ71とを備えている。このうち、断続部材4及びアクチュエータ5は、第1の回転部材としてのピニオンシャフト30と第2の回転部材としてのデフケース2との間の駆動力伝達を断続する断続装置10を構成する。
【0018】
差動機構3は、断続部材4を介してデフケース2から駆動力が伝達されるピニオンシャフト30と、デフケース2の回転軸線O周りに回転可能に支持された複数(4つ)のピニオンギヤ31と、一対の出力部材としての一対のサイドギヤ32とを有している。ピニオンシャフト30は、アクチュエータ5の非作動時において、デフケース2に対して共通の回転軸線Oを中心として相対回転可能である。差動機構3は、ピニオンシャフト30に伝達される駆動力を一対のサイドギヤ32から差動を許容して出力する。以下の説明において、軸方向とは、回転軸線Oに平行な方向をいう。
【0019】
本実施の形態では、差動機構3が一対のピニオンシャフト30を有し、4つのピニオンギヤ31のうち2つのピニオンギヤ31が一方のピニオンシャフト30に軸支され、他の2つのピニオンギヤ31が他方のピニオンシャフト30に軸支されている。ピニオンギヤ31及びサイドギヤ32は傘歯車からなり、ギヤ軸を直交させて互いに噛み合っている。一対のサイドギヤ32には、左右のドライブシャフトがそれぞれ相対回転不能に連結される。なお、ピニオンギヤ31及びサイドギヤ32には複数のギヤ歯が形成されているが、図3では、これらのギヤ歯の図示を省略している。
【0020】
それぞれのピニオンシャフト30は、図3に示すように、断続部材4に係合する一対の被係合部301と、ピニオンギヤ31に挿通される一対のピニオンギヤ支持部302と、一対のピニオンギヤ支持部302を連結する連結部303とを一体に有し、全体として軸状に形成されている。一対の被係合部301は、ピニオンシャフト30の両端部に設けられ、連結部303はピニオンシャフト30の軸方向の中央部に設けられている。一対のピニオンギヤ支持部302は、一対の被係合部301のそれぞれと連結部303との間に設けられ、ピニオンギヤ31を軸支する。
【0021】
一対のピニオンシャフト30は、その軸方向の中央部において互いに噛み合わされている。具体的には、一方のピニオンシャフト30における一対のピニオンギヤ支持部302の間に形成された凹部300に他方のピニオンシャフト30の連結部303が嵌合し、かつ他方のピニオンシャフト30における一対のピニオンギヤ支持部302の間に形成された凹部300に一方のピニオンシャフト30の連結部303が嵌合している。一対のピニオンシャフト30は、デフケース2の回転軸線Oに沿って見た場合に、互いに直交している。
【0022】
断続部材4は、その中心軸線がデフケース2の回転軸線Oと一致する円筒状であり、鋼材を鍛造して形成されている。また、断続部材4は、差動機構3の一対のピニオンシャフト30に対し、デフケース2の回転軸線Oに沿う中心軸方向に相対移動可能で、かつ相対回転が規制されている。
【0023】
断続部材4は、中心軸方向の一端部に設けられた複数の噛み合い歯411を有する第1噛み合い部41、第1噛み合い部41の内方に突出して設けられた環状の内鍔部42、及びピニオンシャフト30が周方向に係合する係合部430が形成された円筒部43を一体に有している。第1噛み合い部41は、デフケース2に設けられた第2噛み合い部223(後述)と周方向に噛み合う。内鍔部42は、その軸方向端面がウェーブワッシャ71に当接して、ウェーブワッシャ71の付勢力を受ける。係合部430は、円筒部43の内外周面間を貫通し、断続部材4の中心軸方向に延びる溝として形成されている。
【0024】
係合部430には、ピニオンシャフト30の両端部に設けられた被係合部301が係合する。ピニオンシャフト30の被係合部301が断続部材4の係合部430に係合することにより、断続部材4は、ピニオンシャフト30に対して回転軸線Oに沿う中心軸方向に相対移動可能かつ相対回転不能である。複数のピニオンギヤ31は、デフケース2の回転軸線O周りに断続部材4と共に回転(公転)可能である。本実施の形態では、一対のピニオンシャフト30のそれぞれの両端部に設けられた被係合部301が断続部材4に係合するため、円筒部43には4つの係合部430が形成されている。
【0025】
複数のピニオンギヤ31の背面31aと断続部材4の円筒部43の内周面43aとの間には、ワッシャ33が配置されている。ワッシャ33は、ピニオンギヤ31の背面31aに対向する内面33aが部分球面状であり、断続部材4の円筒部43の内周面43aに対向する外面33bが平面状である。ピニオンギヤ31がピニオンシャフト30を中心として回転(自転)すると、ピニオンギヤ31の背面31aがワッシャ33の内面33aを摺動する。また、断続部材4がピニオンシャフト30に対して中心軸方向に移動すると、断続部材4の円筒部43の内周面43aがワッシャ33の外面33bを摺動する。円筒部43の内周面43aは、ワッシャ33の外面33bを摺動する部分が平面状に形成されている。
【0026】
アクチュエータ5は、通電により磁束を発生させるコイル511、及びコイル511を覆う樹脂部材512を有する環状の電磁石51と、電磁石51を保持するヨーク52と、断続部材4と共に軸方向に移動するプランジャ53と、デフキャリヤ9に対するヨーク52の軸方向移動及び相対回転を規制する回り止め部材54と、断続部材4とプランジャ53との間に介在して配置され、プランジャ53を支持すると共にプランジャ53の移動力を断続部材4に伝達する支持部材55とを有している。
【0027】
電磁石51、ヨーク52、プランジャ53、回り止め部材54は、デフケース2の外側に配置されている。電磁石51は、回転軸線Oに沿う断面の形状が矩形状であり、コイル511は樹脂部材512を介してヨーク52に保持されている。電磁石51は、例えばエナメル線を巻き回してなるコイル511を樹脂部材512によってモールドして形成されている。
【0028】
プランジャ53は、コイル511への通電により発生する磁力によって、デフケース2の第2噛み合い部223に第1噛み合い部41が噛み合う方向に断続部材4を移動させる。断続部材4は、支持部材55を介して伝達されるアクチュエータ5の移動力によって、第1噛み合い部41が第2噛み合い部223に噛み合わされる。
【0029】
電磁石51のコイル511には、樹脂部材512に設けられたボス部512aから導出された電線513を介して図略の制御装置から励磁電流が供給される。アクチュエータ5は、コイル511に励磁電流が供給されることにより作動する。ヨーク52は、低炭素鋼等の軟磁性金属からなる断面L字状の環状部材である。ヨーク52は、電磁石51の樹脂部材512の内周面を内側から覆う円筒部521と、円筒部521の軸方向の一端部から径方向に延在して樹脂部材512の一方の軸方向端面を覆う円環板状の壁部522とを一体に有している。円筒部521は、回転軸線Oを中心軸とする円筒状であり、デフケース2と樹脂部材512との間に配置されている。壁部522は、円筒部521の一端部から外方に延出されている。
【0030】
ヨーク52の円筒部521の内径は、この円筒部521の内周面に対向する部分のデフケース2の外径よりも僅かに大きく形成されている。これにより、デフケース2は、ヨーク52に対して回転自在である。壁部522の外径は、支持部材55の円環部551(後述)の内径よりも小さく形成されている。
【0031】
ヨーク52の円筒部521における壁部522とは反対側の端部には、回り止め部材54が固定されている。回り止め部材54は、例えばオーステナイト系ステンレス等の非磁性体からなり、ヨーク52の円筒部521の外周に配置される環状部541と、周方向の2箇所において環状部541から軸方向に突出する一対の突起部542と、環状部541の内側に設けられた一対の係合突起540とを一体に有している。回り止め部材54は、係合突起540がヨーク52の円筒部521に形成された係合凹部520に係合して、ヨーク52に対する回転が規制されている。図3では、ヨーク52の円筒部521に形成された2つの係合凹部520のうち一方の係合凹部520を図示している。
【0032】
また、回り止め部材54は、円環状のストッパリング50によってヨーク52の円筒部521から抜け止めされている。具体的には、回り止め部材54の環状部541がストッパリング50と電磁石51との間に軸方向に挟まれている。これにより、電磁石51が軸方向に位置決めされている。ストッパリング50は、例えば溶接によってヨーク52の円筒部521の外周面に固定されている。
【0033】
回り止め部材54は、一対の突起部542がデフキャリヤ9に形成された凹部90に嵌合してヨーク52を回り止めしている。また、一対の突起部542は、プランジャ53に形成された軸方向の挿通孔532aを挿通することで、ヨーク52及びデフキャリヤ9に対してプランジャ53を回り止めしている。それぞれの突起部542は、プランジャ53の挿通孔532aに挿通された平板状の板部542aと、挿通孔532aよりもデフキャリヤ9の凹部90側に配置されてヨーク52に対するプランジャ53の軸方向移動を規制する係止突起542bとを有している。本実施の形態では、係止突起542bが、板部542aの一部を切り起こすことにより形成されている。
【0034】
プランジャ53は、低炭素鋼等の軟磁性体からなる断面L字状の環状部材である。プランジャ53は、円筒状の円筒部531と、円筒部531の軸方向の一端部から内方に突出して形成された側板部532と、円筒部531の軸方向の他端部から外方に突出して形成されたフランジ部533とを一体に有している。プランジャ53の円筒部531は、電磁石51の外周側に配置され、ヨーク52の円筒部521との間に電磁石51を径方向に挟んでいる。プランジャ53の円筒部531の内径は、電磁石51の外径(樹脂部材512の外径)よりも大きく、円筒部531の内周面は、電磁石51の外周面(樹脂部材512の外周面)と隙間を介して対向している。
【0035】
プランジャ53の側板部532は、ヨーク52の壁部522との間に電磁石51を軸方向に挟んでいる。プランジャ53の側板部532には、回り止め部材54の一対の突起部542をそれぞれ挿通させる2つの挿通孔532a、電磁石51のボス部512aが貫通する貫通孔532b、及び潤滑油を流動させる複数(図2に示す例では10個)の油孔532cが形成されている。プランジャ53は、ヨーク52と共に電磁石51への通電により発生する磁束の磁路を構成する。また、電磁石51は、ボス部512aが貫通孔532bを貫通することにより、ヨーク52に対して回り止めされている。
【0036】
支持部材55は、プランジャ53のフランジ部533に軸方向に当接する円環部551と、円環部551から軸方向に延設された複数の突軸552と、プランジャ53のフランジ部533の外周側を覆う円筒部553とを有している。本実施の形態では、支持部材55に4つの突軸552が設けられている。支持部材55は、非磁性体からなり、例えばオーステナイト系ステンレスからなる鋼板をプレス加工して形成されている。突軸552の先端部(円環部551側の基端部とは反対側の端部)は、内径側に屈曲されている。
【0037】
また、突軸552の先端部と断続部材4の円筒部43との間には、断面L字状のワッシャ72が配置されている。ワッシャ72は、円筒状の筒部721と、筒部721の軸方向一端部から内方に延在する円盤部722とを有し、筒部721が断続部材4の円筒部43に外嵌されている。突軸552の先端部は、ワッシャ72の円盤部722に当接する。
【0038】
デフケース2は、円盤状の第1ケース部材21と、有底円筒状の第2ケース部材22とを有している。第1ケース部材21は、第2ケース部材22の開口を閉塞している。差動機構3における一対のサイドギヤ32と第1ケース部材21及び第2ケース部材22との間には、それぞれ環板状のワッシャ34が配置されている。デフケース2の内部には、差動機構3を潤滑する潤滑油(デフオイル)が導入される。
【0039】
第2ケース部材22は、図5に示すように、差動機構3及び断続部材4を内側に収容する円筒部221と、円筒部221の軸方向一端部から内方に延在する底部222と、断続部材4の第1噛み合い部41に噛み合う第2噛み合い部223と、円筒部221の軸方向他端部から外方に延在するフランジ部224とを一体に有している。円筒部221には、潤滑油を流動させる複数の油孔221aが形成されている。底部222には、一対のサイドギヤ32のうち一方のサイドギヤ32に相対回転不能に連結されるドライブシャフトが挿入されるシャフト挿入孔222a、及びウェーブワッシャ71を収容する環状溝222bが形成されている。
【0040】
第2噛み合い部223は、周方向に沿って等間隔に設けられた複数の噛み合い歯223aからなり、第2ケース部材22の底部222側に設けられている。本実施の形態では、複数の噛み合い歯223aが、底部222の内面から軸方向に突出して形成されている。ウェーブワッシャ71は、断続部材4を第2ケース部材22の底部222から離間させる方向に付勢している。
【0041】
第1ケース部材21は、第2ケース部材22の底部222と軸方向に対向する円盤部211と、第2ケース部材22側のフランジ部224に突き当てられるフランジ部212とを一体に有している。第1ケース部材21のフランジ部212と第2ケース部材22のフランジ部224とは、複数のねじ20によって結合されている。円盤部211には、一対のサイドギヤ32のうち他方のサイドギヤ32に相対回転不能に連結されるドライブシャフトが挿入されるシャフト挿入孔211aが形成されている。また、円盤部211には、第2ケース部材22の底部222との対向面とは反対側の外面から軸方向に窪んで形成された環状溝211b、及び環状溝211bと連通して円盤部211を軸方向に貫通する複数の貫通孔211cが形成されている。
【0042】
第1ケース部材21の環状溝211bには、電磁石51、ヨーク52、及び支持部材55のそれぞれの一部が収容されている。支持部材55は、円環部551及び円筒部553が環状溝211b内に配置され、複数の突軸552が第1ケース部材21の複数の貫通孔211cにそれぞれ挿通されている。支持部材55は、円筒部553の外周面が第1ケース部材21の環状溝211bの外径側の内面211dに接触して、第1ケース部材21に対する径方向の位置が決められている。支持部材55の円筒部553の外径は、環状溝211bの内面211dの直径よりも僅かに小さく形成されている。支持部材55の突軸552と貫通孔211cの内面211eとの間には、所定の隙間が形成されている。
【0043】
デフケース2には、第1及び第2ケース部材21,22のフランジ部212,224に固定される環状のリングギヤ23(図1参照)から駆動力が入力される。リングギヤ23は、第2ケース部材21の円筒部221におけるフランジ部224側の外周に固定されている。本実施の形態では、第1ケース部材21のフランジ部212に形成された複数のボルト挿通孔212a、及び第2ケース部材22のフランジ部224に形成された複数のボルト挿通孔224aにそれぞれ挿通された複数の締結ボルト24によって、リングギヤ23がデフケース2と一体に回転するように固定されている。締結ボルト24は、頭部241が第1ケース部材21のフランジ部212に当接し、雄ねじが形成された軸部242がボルト挿通孔212a,224aを挿通してリングギヤ23のねじ孔23aに螺合する。
【0044】
支持部材55の円環部551は、プランジャ53のフランジ部533に当接し、プランジャ53から軸方向の移動力を受ける。電磁石51のコイル511に通電されると、図2(b)に破線で示す磁路Mに磁束が発生してプランジャ53が支持部材55を介して断続部材4を押圧し、断続部材4を軸方向に移動させる。
【0045】
支持部材55は、プランジャ53の円筒部531と電磁石51との間の径方向の隙間が維持されるように、プランジャ53を電磁石51に対して軸方向移動可能に径方向支持している。より具体的には、プランジャ53のフランジ部533が支持部材55の円筒部553に囲まれることにより、プランジャ53が支持部材55により径方向支持されている。また、支持部材55は、デフケース2の回転時において、円環部551がプランジャ53のフランジ部533を摺動して相対回転しながらプランジャ53と共に軸方向移動可能である。プランジャ53は、支持部材55と共に軸方向移動することにより、電磁石51に対して軸方向移動可能である。
【0046】
(差動装置1の動作)
差動装置1は、アクチュエータ5の作動及び非作動によって、第1噛み合い部41と第2噛み合い部223とが周方向に噛み合って断続部材4とデフケース2とが相対回転不能に連結される連結状態と、断続部材4とデフケース2とが相対回転可能な非連結状態とが切り替わる。
【0047】
電磁石51のコイル511に励磁電流が供給されないアクチュエータ5の非作動時には、ウェーブワッシャ71の復元力によって断続部材4が第1ケース部材21の円盤部211側に移動して、第1噛み合い部41と第2噛み合い部223との噛み合いが解除される。このアクチュエータ5の非作動時には、デフケース2と断続部材4が相対回転可能であるので、デフケース2から差動機構3のピニオンシャフト30への駆動力の伝達が遮断される。これにより、リングギヤ23からデフケース2に入力された駆動力がドライブシャフトに伝達されず、車両が二輪駆動状態となる。
【0048】
一方、電磁石51のコイル511に励磁電流が供給されると、図2(b)に破線で示す磁路Mに磁束が発生する。そして、電磁石51の磁力によって、プランジャ53が軸方向に移動する。これにより、断続部材4が第2ケース部材22の底部222側に押圧され、第1噛み合い部41と第2噛み合い部223とが噛み合わされる。このように、断続部材4は、噛み合い歯411がデフケース2の第2噛み合い部223に噛み合う連結位置と、噛み合い歯411がデフケース2の第2噛み合い部223に噛み合わない非連結位置との間を軸方向に移動可能である。
【0049】
第1噛み合い部41と第2噛み合い部223とが噛み合うと、リングギヤ23からデフケース2の第2ケース部材22に入力された駆動力が、断続部材4、差動機構3の一対のピニオンシャフト30、4つのピニオンギヤ31、及び一対のサイドギヤ32を介してドライブシャフトに伝達され、車両が四輪駆動状態となる。
【0050】
(第1の実施の形態の作用及び効果)
以上説明した第1の実施の形態によれば、電磁石51が共に断面L字状のヨーク52及びプランジャ53により囲われ、これらヨーク52及びプランジャ53により磁束の磁路Mが構成されるので、磁路Mを構成する部材を簡素に構成することができ、製造コストを抑制することが可能となる。また、このような構成を採用する場合、プランジャ53の円筒部531が電磁石51の樹脂部材512と他の部材を介することなく直接向かい合うので、プランジャ53の軸方向移動によって円筒部531が樹脂部材512の表面を摺動すると、樹脂部材512が摩耗してしまう。この摩耗は、樹脂部材512が膨張する高温時に顕著になる。しかし、本実施の形態では、支持部材55がプランジャ53の円筒部531と電磁石51との間の径方向の隙間が維持されるようにプランジャ53を支持するので、樹脂部材512の摩耗が抑制される。
【0051】
また、本実施の形態によれば、プランジャ53と断続部材4との間に非磁性の支持部材55が介在するので、プランジャ53に導入された磁束が断続部材4側に漏れることを抑制することができる。
【0052】
[第2の実施の形態]
次に、図6乃至図10を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0053】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る差動装置1Aの構成例を示す断面図である。図7(a)及び(b)は、差動装置1Aの一部を拡大して示す断面図である。図8は、差動装置1Aの分解斜視図である。図9は、差動装置1Aのデフケース2A及びその内部の構造を示す分解斜視図である。図10(a)及び(b)は、差動装置1Aの断続部材4Aを示す斜視図である。
【0054】
差動装置1Aは、デフキャリヤ9Aに一対の軸受93,94を介して回転可能に支持されたデフケース2Aと、デフケース2Aに収容された差動機構3Aと、デフケース2Aと差動機構3Aの第1サイドギヤ37との間の駆動力伝達を断続することが可能な断続部材4Aと、断続部材4Aを移動させるアクチュエータ5Aと、断続部材4Aをアクチュエータ5A側に付勢する付勢部材としてのウェーブワッシャ73と、アクチュエータ5Aの動作状態を示す電気信号を出力するポジションセンサ100とを備えている。このうち、断続部材4A及びアクチュエータ5Aは、第1の回転部材としてのデフケース2Aと第2の回転部材としての差動機構3Aの第1サイドギヤ37との連結を断続する断続装置10Aを構成する。
【0055】
差動機構3Aは、第1ピニオンギヤ35及び第2ピニオンギヤ36を互いに噛み合せてなる複数(本実施の形態では5組)のピニオンギヤ組3Bと、一対の出力部材としての第1サイドギヤ37及び第2サイドギヤ38とを有している。デフケース2Aと第1及び第2サイドギヤ37,38とは、アクチュエータ5Aの非作動時において、デフケース2Aに対して共通の回転軸線Oを中心として相対回転可能である。差動機構3Aは、デフケース2Aから入力される駆動力を第1及び第2サイドギヤ37,38から差動を許容して出力する。
【0056】
第1サイドギヤ37及び第2サイドギヤ38は筒状であり、第1サイドギヤ37の内周面には左右のドライブシャフトのうち一方のドライブシャフトが相対回転不能に連結されるスプライン嵌合部370が形成され、第2サイドギヤ38の内周面には他方のドライブシャフトが相対回転不能に連結されるスプライン嵌合部380が形成されている。
【0057】
デフケース2Aには、各ピニオンギヤ組3Bの第1ピニオンギヤ35及び第2ピニオンギヤ36を回転可能に保持する複数の保持孔200が形成されている。第1ピニオンギヤ35及び第2ピニオンギヤ36は、回転軸線Oを中心として公転すると共に、それぞれの中心軸を回転軸として保持孔200内で自転可能である。
【0058】
第1サイドギヤ37及び第2サイドギヤ38は、共通の外径を有し、外周面には複数の斜歯からなる歯車部371,381がそれぞれ形成されている。また、第1サイドギヤ37には、図6に示すように、歯車部371よりも外周側に突出して設けられた環状壁部372に、断続部材4Aの噛み合い部45(後述)に噛み合う複数の噛み合い歯373が形成されている。第1サイドギヤ37と第2サイドギヤ38との間には、センタワッシャ390が配置されている。また、第1サイドギヤ37の側方には第1サイドワッシャ391が配置され、第2サイドギヤ38の側方には第2サイドワッシャ392が配置されている。
【0059】
第1ピニオンギヤ35は、長歯車部351と、短歯車部352と、長歯車部351と短歯車部352とを軸方向に連結する連結部353とを一体に有している。同様に、第2ピニオンギヤ36は、長歯車部361と、短歯車部362と、長歯車部361と短歯車部362とを軸方向に連結する連結部363とを一体に有している。
【0060】
第1ピニオンギヤ35は、長歯車部351が第1サイドギヤ37の歯車部371及び第2ピニオンギヤ36の短歯車部362と噛み合い、短歯車部352が第2ピニオンギヤ36の長歯車部361と噛み合っている。第2ピニオンギヤ36は、長歯車部361が第2サイドギヤ38の歯車部381及び第1ピニオンギヤ35の短歯車部352と噛み合い、短歯車部362が第1ピニオンギヤ35の長歯車部351と噛み合っている。なお、図9では、これら各歯車部の斜歯の図示を省略している。
【0061】
第1サイドギヤ37及び第2サイドギヤ38が同じ速度で回転する場合、第1ピニオンギヤ35及び第2ピニオンギヤ36は、保持孔200内で自転することなくデフケース2Aと共に公転する。また、例えば車両の旋回時等において第1サイドギヤ37及び第2サイドギヤ38の回転速度が異なると、第1ピニオンギヤ35及び第2ピニオンギヤ36が保持孔200内で自転しながら公転する。これにより、デフケース2Aに入力された駆動力が第1サイドギヤ37及び第2サイドギヤ38に差動を許容して配分される。
【0062】
断続部材4Aは、デフケース2Aと第1サイドギヤ37とを相対回転不能に連結する連結位置、及びデフケース2Aと第1サイドギヤ37との相対回転を許容する非連結位置との間を軸方向に移動可能である。図7(a)では断続部材4Aが非連結位置にある状態を示し、図7(b)では断続部材4Aが連結位置にある状態を示している。
【0063】
断続部材4Aが連結位置にあるとき、デフケース2Aと第1サイドギヤ37との差動が規制されることにより、第1ピニオンギヤ35及び第2ピニオンギヤ36が自転不能となり、デフケース2Aと第2サイドギヤ38との差動も規制される。断続部材4Aは、第1サイドギヤ37との間に配置されたウェーブワッシャ73によって、非連結位置に向かって付勢されている。
【0064】
アクチュエータ5Aは、コイル511を樹脂部材512で覆ってなる環状の電磁石51と、電磁石51を保持するヨーク56と、断続部材4Aと共に軸方向に移動するプランジャ57と、デフキャリヤ9Aに対するヨーク56の軸方向移動及び相対回転を規制する回り止め部材58と、プランジャ57を支持すると共にプランジャ57の移動力を断続部材4Aに伝達する支持部材59とを有している。
【0065】
プランジャ57は、コイル511への通電により発生する磁力によって、第1サイドギヤ37の噛み合い歯373に噛み合い部45が噛み合う方向に断続部材4Aを移動させる。断続部材4Aは、支持部材59を介して伝達されるアクチュエータ5Aの移動力によって、噛み合い部45が噛み合い歯373に噛み合わされる。
【0066】
ヨーク56は、低炭素鋼等の軟磁性金属からなる断面L字状の環状部材である。ヨーク56は、電磁石51の樹脂部材512の内周面を内側から覆う円筒部561と、円筒部561の軸方向の一端部から外方に突出して樹脂部材512の一方の軸方向端面の一部を覆う円環板状の壁部562とを一体に有している。ヨーク56の円筒部561の内径は、この円筒部521の内周面に対向する部分のデフケース2Aの外径よりも僅かに大きく形成されている。
【0067】
ヨーク56の円筒部561における壁部562とは反対側の端部には、回り止め部材58が固定されている。回り止め部材58は、ヨーク56の円筒部561の外周に配置される環状部581と、周方向の2箇所において環状部581から軸方向に突出する一対の突起部582と、突起部582の先端部から鋭角に折り返された折り返し部583とを一体に有している。環状部581は、例えば溶接によってヨーク56の円筒部561の外周面に固定されている。
【0068】
ヨーク56の円筒部561の内周面には、圧入ピン81によってデフケース2Aに固定された非磁性体からなる複数(本実施の形態では3つ)のプレート82が嵌合する環状凹部560が形成されている。ヨーク56は、環状凹部560にプレート82が嵌合することで、デフケース2Aに対する軸方向移動が規制されている。環状凹部560の軸方向幅は、デフケース2Aが回転する際にヨーク56との間で回転抵抗が発生しないように、プレート82の厚みよりも大きく形成されている。
【0069】
回り止め部材58は、一対の突起部582がデフキャリヤ9Aに設けられた係止部901に係止されて回り止めされている。デフキャリヤ9Aには、一対の突起部582をそれぞれ係止する2つの係止部901が設けられ、図6ではこのうち一方の係止部901を図示している。プランジャ57は、折り返し部583によって回り止め部材58から抜け止めされると共に、突起部582によってデフキャリヤ9Aに対して回り止めされている。
【0070】
プランジャ57は、低炭素鋼等の軟磁性金属からなる断面L字状の環状部材である。プランジャ57は、電磁石51の外周に配置される円筒部571と、電磁石51と軸方向に対向する側板部572とを一体に有している。円筒部571は、電磁石51を外周側から覆う円筒状である。側板部572は、円筒部571の軸方向の一端部から内方に突出している。円筒部571の内径は、電磁石51の外径(樹脂部材512の外径)よりも大きく、円筒部571の内周面は、電磁石51の外周面(樹脂部材512の外周面)と隙間を介して対向している。
【0071】
側板部572には、回り止め部材58の一対の突起部582をそれぞれ挿通させる2つの挿通孔572a、電磁石51のボス部552aが貫通する貫通孔572b、及び潤滑油を流動させる複数(図8に示す例では10個)の油孔572cが形成されている。側板部572には、支持部材59の一端部が当接する。
【0072】
支持部材59は、例えばオーステナイト系ステンレス等の非磁性金属からなり、プランジャ57の側板部572の内側に配置されるリング状の円環部591と、円環部591の外周側に設けられ、プランジャ57の側板部572の内径側の端部に軸方向に当接する当接部592と、円環部591から軸方向に延びる3つの突軸593と、突軸593の先端部から内方に突出して断続部材4Aに固定される固定部594とを一体に有している。支持部材59は、当接部592がプランジャ57の側板部572と摺動してデフケース2Aと共に回転する。固定部594には、断続部材4Aとの固定のための圧入ピン83を挿通させる挿通孔590が形成されている。
【0073】
デフケース2Aは、複数のねじ20によって互いに固定された第1ケース部材25及び第2ケース部材26を有している。第1ケース部材25は、軸受93によってデフキャリヤ9Aに回転可能に支持され、第2ケース部材26は、軸受94によってデフキャリヤ9Aに回転可能に支持されている。
【0074】
第1ケース部材25は、複数のピニオンギヤ組3Bを回転可能に保持する円筒状の円筒部251と、円筒部251の一端部から内方に延在する底部252と、第2ケース部材26に突き当てられるフランジ部253とを一体に有している。円筒部251と底部252との間の角部には、電磁石51及びヨーク56が配置される環状凹部250が形成されている。第1サイドギヤ37及び第2サイドギヤ38は、円筒部251の内側に配置されている。
【0075】
第1ケース部材25の底部252には、支持部材59の突軸593及び固定部594が挿入される複数の挿通孔252aが形成されている。挿通孔252aは、底部252を軸方向に貫通している。また、挿通孔252aには、断続部材4Aの突部46(後述)が挿入される。断続部材4Aは、突部46が挿通孔252aに挿入されることで、デフケース2Aとの相対回転が規制される。本実施の形態では、3つの挿通孔252aが、底部252の周方向に沿って等間隔に形成されている。
【0076】
電磁石51に励磁電流が供給されると、図7(b)に示す磁路Mに磁束が発生し、プランジャ57が軸方向に移動する。このプランジャ57の軸方向移動により、断続部材4Aが支持部材59を介して押圧され、非連結位置から連結位置に移動する。
【0077】
断続部材4Aは、図10に示すように、一方の軸方向端面44aに複数(3つ)の椀状凹部440が形成された円環板状の円板部44と、第1サイドギヤ37と軸方向に対向する円板部44の他方の軸方向端面44bに形成された噛み合い部45と、円板部44の一方の軸方向端面44aから軸方向に突出して形成された台形柱状の突部46とを一体に有している。
【0078】
円板部44の一方の軸方向端面44aは、第1ケース部材25の底部252と軸方向に対向する。突部46は、第1ケース部材25の底部252に形成された挿通孔252aに一部が挿入されている。断続部材4Aは、突部46が第1ケース部材25の挿通孔252aに挿入されることにより、デフケース2Aに対して軸方向に移動可能かつ相対回転不能である。挿通孔252aは、周方向の幅が断続部材4Aの突部46の周方向の幅よりも広く、デフケース2Aと断続部材4Aとは、挿通孔252aの周方向幅と突部46の周方向幅との差に応じた所定の角度範囲で相対回転可能である。
【0079】
断続部材4Aの噛み合い部45には、軸方向に突出する複数の噛み合い歯451が形成されている。複数の噛み合い歯451は、円板部44の他方の軸方向端面44bの外周側の一部に形成され、噛み合い部45よりも内側の軸方向端面44bは、ウェーブワッシャ73が当接して非連結位置への付勢力を受ける平坦な受け面として形成されている。
【0080】
断続部材4Aは、支持部材59を介してプランジャ57に押圧されて連結位置に移動することで、噛み合い部45の複数の噛み合い歯451が第1サイドギヤ37の複数の噛み合い歯373に噛み合う。つまり、断続部材4Aと第1サイドギヤ37とは、断続部材4Aが第1サイドギヤ37側に移動したとき、複数の噛み合い歯451,373同士の噛み合いによって相対回転不能に連結される。一方、断続部材4Aがウェーブワッシャ73の付勢力によって非連結位置に移動すると、噛み合い歯451,373同士が噛み合わなくなり、断続部材4Aと第1サイドギヤ37とが相対回転可能となる。
【0081】
突部46の先端面には、支持部材59との固定のための圧入ピン83が圧入される圧入孔460が形成されている。断続部材4Aは、支持部材59の固定部594に形成された挿通孔590を挿通した圧入ピン83が圧入孔460に圧入されることで、支持部材59と一体に軸方向移動するように固定される。なお、圧入ピン83に替えて、支持部材59の固定部594と断続部材4Aの突部46とをボルトによって締結してもよい。
【0082】
椀状凹部440は、周方向の中央部において軸方向の深さが最も深く、周方向の端部に向うにつれて徐々に軸方向の深さが浅くなる。この椀状凹部440の内面440aは、第1ケース部材25との相対回転によって軸方向のカム推力を発生させるカム面として形成されている。図6に示すように、第1ケース部材25の底部252には、軸方向に窪んで形成された3つの凹部252b(図6では、このうち1つの凹部252bを図示している)が形成され、これらの凹部252bのそれぞれに配置された球体84が椀状凹部440の内面440aに当接する。凹部252bの直径は球体84の球径と略等しく、球体84は凹部252b内で転動不能である。
【0083】
断続部材4Aには、デフケース2Aと断続部材4Aとの相対回転が可能な所定の角度範囲よりも大きい角度範囲に亘って、椀状凹部440の内面440aが形成されている。そして、断続部材4Aがデフケース2Aに対して回転すると、球体84が椀状凹部440の内面440aに当接することにより、断続部材4Aを第1サイドギヤ37の環状壁部372側に押圧するカム推力が発生する。これにより、断続部材4Aの噛み合い部45と第1サイドギヤ37の噛み合い歯373との噛み合いが確実になされる。
【0084】
支持部材59は、突軸593が第1ケース部材25の挿通孔252aよりも軸方向外側(軸受93側)における底部252の外周面252cに当接することで、第1ケース部材25に対する径方向の位置が決められている。支持部材59がプランジャ57と共に軸方向に移動するとき、突軸593は底部252の外周面252cを摺動する。支持部材59の当接部592は、円環部591よりも第1ケース部材25の挿通孔252a側に位置し、円環部591と当接部592との間には段差面591aが形成されている。段差面591aは、円環部591の外周面に相当する。
【0085】
支持部材59は、プランジャ57の円筒部571と電磁石51との間の径方向の隙間が維持されるように、プランジャ57を電磁石51に対して軸方向移動可能に径方向支持している。より具体的には、プランジャ57の側板部572の内周面572dが支持部材59の段差面591aに当接することにより、プランジャ57が支持部材59により径方向支持されている。また、支持部材59は、デフケース2Aの回転時において、段差面591aが側板部572の内周面572dを摺動して相対回転しながらプランジャ57と共に軸方向移動可能である。
【0086】
(差動装置1Aの動作)
差動装置1Aは、アクチュエータ5Aの作動及び非作動によって、デフケース2Aと第1サイドギヤ37とが断続部材4Aによって相対回転不能に連結される連結状態と、デフケース2Aと第1サイドギヤ37とが相対回転可能な非連結状態とが切り替わる。
【0087】
電磁石51のコイル511に励磁電流が供給されないアクチュエータ5Aの非作動時には、ウェーブワッシャ73の復元力によって断続部材4Aが第1サイドギヤ37の環状壁部372から離間して、噛み合い部45と噛み合い歯373との噛み合いが解除される。このアクチュエータ5Aの非作動時には、デフケース2Aから第1ピニオンギヤ35及び第2ピニオンギヤ36に入力された駆動力が第1及び第2サイドギヤ37,38から差動を許容して出力される。
【0088】
一方、電磁石51のコイル511に励磁電流が供給されると、図7(b)に破線で示す磁路Mに磁束が発生する。そして、電磁石51の磁力によって、プランジャ57が軸方向に移動する。これにより、断続部材4Aが第2ケース部材22の底部222側に押圧され、断続部材4Aの噛み合い部45が第1サイドギヤ37の噛み合い歯373に噛み合う。このように、断続部材4Aは、噛み合い歯451が第1サイドギヤ37の噛み合い歯373に噛み合う連結位置と、噛み合い歯451が第1サイドギヤ37の噛み合い歯373に噛み合わない非連結位置との間を軸方向に移動可能である。
【0089】
噛み合い歯451が第1サイドギヤ37の噛み合い歯373に噛み合うと、差動装置1Aが、第1サイドギヤ37と第2サイドギヤ38との差動回転が規制されたデフロック状態となる。
【0090】
以上説明した第2の実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0091】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。第1及び第2の実施の形態では、プランジャ53,57の円筒部531,571の内周面が電磁石51の樹脂部材512の外周面に対向して配置された場合について説明したが、本実施の形態では、プランジャ62の円筒部621が電磁石51の樹脂部材512の内周面に対向して配置されている。
【0092】
図11は、第3の実施の形態に係る差動装置1Bの一部を拡大して示す部分断面図である。図11において、第2の実施の形態と共通する構成要素については同一の符号を付して重複した説明を省略する。この差動装置1Bは、図11に示す部分以外は第2の実施の形態と同様に構成されている。
【0093】
差動装置1Bは、断続部材4Aを軸方向に移動させるアクチュエータ6を有している。アクチュエータ6は、電磁石51と、電磁石51を保持するヨーク61と、断続部材4Aと共に軸方向に移動するプランジャ62と、プランジャ62を支持すると共にプランジャ62の移動力を断続部材4Aに伝達する支持部材63と、ヨーク61に対する電磁石51の軸方向移動を規制すると共にヨーク61を回り止めする回り止め部材64とを有している。回り止め部材64は、第2の実施の形態に係る回り止め部材58と同様に、ヨーク61に固定される環状部641と、プランジャ62を軸方向に貫通して環状部641から軸方向に突出する図略の突起部とを有している。
【0094】
ヨーク61及びプランジャ62は、共に低炭素鋼等の軟磁性金属からなる断面L字状の環状部材である。ヨーク61は、電磁石51の樹脂部材512の外周面を外側から覆う円筒部611と、円筒部611の軸方向の一端部から内方に突出して樹脂部材512の一方の軸方向端面の一部を覆う円環板状の壁部612とを一体に有している。ヨーク61の円筒部611は、第1のケース部材25に設けられた円筒状の外套部254の内側に相対回転可能に配置されている。第1のケース部材25に対するヨーク61の軸方向移動は、円筒部611の外周面に設けられた環状溝611aに、外套部254の軸方向端面254aにピン86によって固定されたプレート85が係合することで規制されている。
【0095】
プランジャ62は、電磁石51の内周に配置される円筒部621と、電磁石51と軸方向に対向する側板部622とを一体に有している。円筒部621は、電磁石51を内周側から覆う円筒状であり、その内周面に径方向に窪む環状溝621aが形成されている。側板部622は、円筒部621の軸方向の一端部から外方に突出している。円筒部621の外径は、電磁石51の内径(樹脂部材512の内径)よりも小さく、円筒部621の外周面は、電磁石51の外周面(樹脂部材512の内周面)と隙間を介して対向している。
【0096】
支持部材63は、例えばオーステナイト系ステンレス等の非磁性金属からなり、プランジャ62の内側に配置される円環部631と、円環部631の内径側の端部から軸方向に延びる複数の突軸632と、突軸632の先端部から外方に突出して断続部材4Aに固定される固定部633とを一体に有している。固定部633には、断続部材4Aとの固定のための圧入ピン83を挿通させる挿通孔630が形成されている。支持部材63は、突軸632が第1ケース部材25の外周面252cに当接することで、第1ケース部材25に対する径方向の位置が決められている。
【0097】
支持部材63は、円環部631の外径側の端部がプランジャ62の環状溝621aに係合することでプランジャ62との軸方向の相対移動が規制され、プランジャ62と共に軸方向に移動する。また、支持部材63は、円環部631の外径側の端部がプランジャ62の環状溝621aに係合することで、第1ケース部材25及びヨーク61に対するプランジャ62の径方向移動を規制しており、これによりプランジャ62の円筒部621と電磁石51との隙間が維持される。つまり、支持部材63は、プランジャ62の円筒部621と電磁石51との隙間が維持されるように、プランジャ62を電磁石51に対して軸方向移動可能に支持し、径方向移動を規制している。
【0098】
以上説明した第3の実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0099】
(付記)
以上、本発明を上記第1乃至第3の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0100】
1,1A,1B…差動装置
10,10A…断続装置
2…デフケース(第2の回転部材)
2A…デフケース(第1の回転部材)
3,3A…差動機構
30…ピニオンシャフト(第1の回転部材)
37…第1サイドギヤ(第2の回転部材)
38…第2サイドギヤ(出力部材)
4,4A…断続部材
411,451…噛み合い歯
5,5A,6…アクチュエータ
51…電磁石
512…樹脂部材
52,56…ヨーク
53,57,62…プランジャ
531,571,621…円筒部
55,59,63…支持部材
M…磁路
O…回転軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11