(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
積層体が貼りあわされてなるスパウト付パウチであって、前記積層体のパウチ最内層がパウチ内部側の面に微細構造が形成されてヒートシール性を有するポリエチレンテレフタレートフィルムからなるシーラント層であり、前記シーラント層に隣接して、厚みが30μm以上50μm以下の範囲である未延伸ポリオレフィンフィルムの熱可塑性樹脂層を有し、前記シーラント層にポリエステル樹脂製のスパウトが熱溶着されていることを特徴とするスパウト付パウチ。
【背景技術】
【0002】
食品や非食品などの液体内容物に使用されるスパウト付パウチは、ジュースやスポーツ飲料をその代表格として、広く用いられており、プラスチックフィルムを基材としてその内面に熱可塑性樹脂によるシーラント層が設けられた積層材料からなる。スパウト付パウチはそのほか乳飲料、スープ等の液体食品、ゼリー、餡、味噌などの半固体食品、液体洗剤、シャンプー、医療用薬液などにも広く用いられている。
【0003】
これらのスパウト付パウチは、基材とシーラント層からなる構成のほか、基材とシーラント層の間にアルミニウム箔や金属蒸着フィルム、金属酸化物蒸着フィルムを用いてガスバリア層としたり、あるいは、無機化合物蒸着フィルムなどのガスバリア性のある層を設けたものなどもある。
【0004】
パウチ内側になる層にはシーラント層を設けてあり、シーラント層によってパウチの表側、裏側をなすフィルムを貼り合わせてパウチとすることができ、また内容物充填後に容器を密封することが可能である。一般にシーラント層にはポリオレフィン系樹脂が用いられる。
【0005】
そしてスパウト付パウチには、パウチの天部、肩部、胴部などのいずれかに内容物の取り出し口となるポリエチレン樹脂からなるスパウトが熱接着によって取り付けられている。
【0006】
また、パウチの底部にいわゆる底テープを挿入して底面が形成できるようにして自立性を持たせたもの、厚み方向にマチを持たせたいわゆるガセット袋の構造としたものなど、用途に応じて様々な形状としたものがある。
【0007】
一方、シーラント層としてのポリエチレン樹脂は使いやすい半面、内容物の香味成分を吸着することもあり、風味が変化するといった問題が指摘されてきた。あるいは、ポリエチレン樹脂特有の臭いが内容物に移行するといった問題も指摘されている。
【0008】
そのためたとえば下記特許文献には、電磁波を2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に短パルス照射し、表面を改質することによりヒートシール性を付与する方法が開示されており、シーラント層にポリオレフィン系樹脂に替えてポリエチレンテレフタレート樹脂を用いることが可能性として示されているが、このような高出力の装置はエネルギー効率が低く、安全性の点でも問題があり、コスト面でも課題があるために実用化には至っていない。
【0009】
またスパウトはポリエチレン樹脂の成型品であるために、ポリエチレンテレフタレートフィルムへのヒートシールによる装着が困難であった。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下本発明を実施するための形態について、図を参照しながら詳細に説明を加える。但し、本発明はこれらの例にのみ限定されるものではない。
【0022】
図1は本発明に係るスパウト付パウチの一実施形態を説明するための、側面模式図である。ここに示した例は、底テープを挟みこんだスタンディングパウチと呼ばれる形のスパウト付パウチである。スパウト付パウチ(101)は天部(3)、胴部(2)、底部(4)からなり、天部(3)にスパウト(1)を有している。スパウト(1)はキャップ(5)で封をすることができる。スパウト(1)はスパウト付パウチ(101)に充填、密閉された後、内容物を注ぎ出すために用いられる。
【0023】
本発明のスパウト付パウチの形状は
図1に示したものに限られるものでなく、例えば
天部、底部、胴部の左右の側部をシールした四方パウチ、積層体を折り返し、折り返し部以外の三方をヒートシールした三方パウチ、厚み方向にマチを持たせたガセットパウチなどでも良い。またスパウトを取付ける位置は、
図2にそれぞれの外観を示すようにパウチの肩部に斜めに取付けた
図2(a)のようなものや、胴部の積層体面上に取付けた
図2(b)のようなものであっても良い。
【0024】
図3は本発明に係るスパウト付パウチを構成する積層体の一実施形態を説明するための部分断面模式図である。積層体(102)は、プラスチックフィルムを基材とする基材層(6)を有し、パウチ最内層側にポリエチレンテレフタレートフィルムからなるシーラント層(7)を有する。シーラント層(7)に隣接してポリオレフィンフィルムからなる熱可塑性樹脂層(8)が設けてあり、最外層には印刷層(14)を設けてある。ここに示した例では、基材層(6)は接着層(13)を介してガスバリア層(9)と貼りあわせてあり、ガスバリア層(9)はプラスチックフィルム層(10)と無機化合物層(11)とから構成される。
【0025】
以下、本発明によるスパウト付パウチを構成する要素について、より詳細な説明を加える。
【0026】
(シーラント層)
シーラント層(7)として従来一般的であったポリオレフィン系樹脂に替えてポリエチレンテレフタレートフィルムをシーラントとして用いることにより、ポリオレフィン系樹脂特有の臭気の内容物への移行および内容物の成分のシーラントによる吸着が少なくすることができるため、内容物の香味成分のシーラント層(7)による吸着などの影響を少なくすることができる。
【0027】
またポリエチレンテレフタレートフィルムには、フィルム強度が大きいことや加工工程での伸縮が小さいなどの点で、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムをより好ましく用いることができる。2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みとしては6μm〜50μmのものが使用可能であり、12μm〜25μmとするとさらに好適である。2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムには、金属や無機化合物等が蒸着されていても良い。その場合は蒸着されていない面がパウチの内部側になるように積層する。
【0028】
ヒートシール性の発現のための微細構造の形成は短パルスの電磁波ではなく、連続照射タイプのレーザー光を用いてヒートシール性を発現させる部分に描画、照射して行なうこ
とができる。レーザー光はエネルギーが効率的にポリエチレンテレフタレートフィルムに吸収されやすい赤外線波長を有する、たとえば炭酸ガスレーザーを用いることができる。これによってエネルギー効率が高く、かつ安全性の高いシーラント層(7)を実現することができる。
【0029】
また赤外線波長を有するレーザー光であればレーザー発振器は特定の形式のものに限定するものではない。レーザー光が照射された部分にはポリエチレンテレフタレートフィルムの変質によってヒートシール性が発現する。
【0030】
レーザー光が照射されたポリエチレンテレフタレートフィルムは、レーザー光のエネルギーによって一時的に融解することによって変質する。レーザー光を照射した領域には照射の軌跡に応じて、平坦さが失われ、凹部または凸部を有する微細構造が形成される。微細構造として例えば、複数の連続した線状の凸条が所定の間隔で平行に形成される。微細構造はレーザー光の出力や照射スポット内のエネルギー密度、走査軌跡の形状、走査速度等に応じて多様な形態をとり得る。
【0031】
このように、レーザー光が照射された部分には、変質によってヒートシール性が発現する。変質の内容として、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムの分子の配向性の少なくとも部分的な低下または消失が考えられる。また、これ以外の要因が関係している可能性も考えられる。そしてパウチを形成するため積層体を熱溶着する部分及びスパウトを熱溶着する部分にレーザー光を照射することによりヒートシール性の付与が完了する。
【0032】
図1の例でレーザー照射を行う部分を説明すると、天部(3)、胴部(2)の両側部、底部(4)それぞれの周縁部の網掛けをした部分である。スパウト(1)を熱溶着する部分は
図1の例では天部の周縁部に含まれている。
図2(a)のように肩部にスパウト(20)を設ける場合も同様に肩部の周縁部のヒートシール部分(22)にスパウト(20)が熱溶着される。
図2(b)のように、胴部(2)の積層体面上にスパウト(21)を取り付ける場合は、その周辺にリング形状にレーザー照射し、スパウト(21)を熱溶着するためのヒートシール部分(23)を設けることができる。
【0033】
レーザー光の照射は、連続線や断続線、あるいは点状のパターンを描画する形で照射することができる。あるいは面状の照射を行なうこともできる。このような形状はレーザー光のスポット径、スポット形状などを適宜設定して形成することができる。
【0034】
(熱可塑性樹脂層)
シーラント層(7)に隣接して未延伸ポリオレフィンフィルムからなる熱可塑性樹脂層(8)を設ける。熱可塑性樹脂層(8)に用いる樹脂には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)や、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)のほか、ポリプロピレン樹脂を好ましく使用することができる。厚さは20μm以上で有用な効果が得られるが、30μm〜50μmの範囲がより好ましい。
【0035】
図4は、本発明のスパウト付パウチのスパウトと積層体を熱溶着する部分の一部の断面を模式的に示した図である。なお図面の簡略化のため、積層体はシーラント層と熱可塑性樹脂層のみ示してある。スパウト(1)はその端部(16)の形状から、シーラント層(7)と溶着する際に
図4(a)に示すように隙間(17)が生じやすい。しかしシーラント層に隣接してポリオレフィンフィルムからなる熱可塑性樹脂層(8)を配することにより、
図4(a)の矢印に示すように熱圧が加えられると熱可塑性樹脂層(8)の流動性が高まり、端部(16)の形状に追随して隙間(16)を埋め、
図4(b)に示すように隙間のない熱溶着が可能となる。
【0036】
(基材層)
積層体には別に基材層(6)を積層することができる。基材層(6)としては、適度な強度や柔軟性、耐久性を有しているプラスチックフィルムであれば特に限定をするものではないが、一般に2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、2軸延伸ナイロンフィルム、延伸ポリオレフィンフィルムなどが用いられる。厚みは5μm〜25μmが好ましく、10μm〜20μmだとさらに好ましい。またこれらのフィルムに紙を積層し接着したものでも良い。
【0037】
(ガスバリア層)
内容物の保存性を向上させることを目的として、積層体中に着色フィルムなど紫外線を遮蔽する不透明層を設けることができる。あるいは、積層体中にガスバリア層(9)を設けることができる。
【0038】
ガスバリア層(9)には、アルミニウム箔などの金属箔、あるいはプラスチックフィルムに金属、無機化合物の蒸着層を設けてガスバリア層(9)として用いることができる。無機化合物には、たとえばSiOやAlOなどの無機化合物がある。ガスバリア層(9)は接着剤を用いて、たとえばドライラミネーション法を用いて積層することもでき、あるいは押出機を用いて熱可塑性樹脂を押し出して積層することもできる。またプラスチックフィルムにアンカーコート層を設けた後、蒸着層、コーティングによる無機化合物層を順次設けることができる。
【0039】
ガスバリア層(9)に用いるプラスチックフィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリプロピレンなどのフィルムを用いることができる。特に2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが、蒸着加工時や貼り合わせ加工時に伸縮が少ないので好ましく用いられる。厚さは6〜25μmのものが好ましく用いられる。
【0040】
ガスバリア層(9)のアンカーコート層には、例えばウレタンアクリレートを用いることができる。アンカーコート層の形成には、樹脂を溶媒に溶解した塗料をグラビアコーティングなど印刷手法によりコーティングするほか、一般に知られているコーティング方法を用いて塗膜を形成することができる。
【0041】
コーティングによる無機化合物層を形成する方法としては、水溶性高分子と、(a)一種以上のアルコキシドまたはその加水分解物、または両者、あるいは(b)塩化錫、の少なくともいずれかひとつを含む水溶液あるいは水/アルコール混合水溶液を主剤とするコーティング剤をフィルム上に塗布し、加熱乾燥してコーティング法による無機化合物層を形成することができる。このときコーティング剤にはシランモノマーを添加しておくことによってアンカーコート層との密着の向上を図ることができる。
【0042】
無機化合物層はプラスチックフィルム上に真空蒸着法による蒸着層のみでもガスバリア性を有するが、コーティング法による無機化合物層を、真空蒸着法による無機化合物層である蒸着層に重ねて形成し、ガスバリア層(9)とすることができる。
【0043】
これら2層の複合により、真空蒸着法による無機化合物層とコーティング法による無機化合物層との界面に両層の反応層を生じるか、或いはコーティング法による無機化合物層が真空蒸着法による無機化合物層に生じるピンホール、クラック、粒界などの欠陥あるいは微細孔を充填、補強することで、緻密構造が形成されるため、高いガスバリア性、耐湿性、耐水性を実現するとともに、変形に耐えられる可撓性を有するため、包装材料としての適性も具備することができる。
【0044】
また無機化合物層としてSiOを用いる場合には、金属箔をガスバリア層として用いる
場合と異なり、異物検査機としての金属探知機などの使用も可能である。これらは、スパウト付パウチの用途、要求品質によって適宜選択し、使い分けをすればよい。
【0045】
ガスバリア層(9)は、積層体(102)において基材層(6)側がプラスチックフィルム(10)であっても、無機化合物層(11)であってもかまわない。
【0046】
(接着層)
図3中に示した接着層(13)は、ガスバリアフィルムを積層体中に含める場合に、基材層(6)とガスバリア層(9)を接着させるための接着層である。たとえばポリオレフィン系樹脂を用いてサンドイッチラミネーションで積層してもよい。この場合には厚みは10μmから60μmの範囲が通常用いられる。10μm未満では十分な接着強度が得られない。
【0047】
具体的には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのエチレン系樹脂やポリプロピレン、あるいは、エチレン・アクリル酸共重合体やエチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)などのエチレン・α,β不飽和カルボン酸共重合体、エチレン・アクリル酸メチルやエチレン・アクリル酸エチルやエチレン・メタクリル酸メチルやエチレン・メタクリル酸エチルなどのエチレン・α,β不飽和カルボン酸共重合体のエステル化物、カルボン酸部位をナトリウムイオン、あるいは、亜鉛イオンで架橋した、エチレン・α,β不飽和カルボン酸共重合体のイオン架橋物、エチレン・無水マレイン酸グラフト共重合体やエチレン・アクリル酸エチル・無水マレイン酸のような三元共重合体に代表される酸無水物変性ポリオレフィン、エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体などのエポキシ化合物変性ポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体から選ばれる樹脂の単体、あるいは、これらから選ばれる2種以上の混合物などにより設けられる。
【0048】
接着強度を高めるために、基材層(6)やガスバリア層(9)の接着面に、コロナ処理、オゾン処理、アンカーコートなどの易接着処理を行うことができる。
【0049】
(印刷層)
基材層(6)の外側の面に印刷層(14)を設けることができる。印刷は内容物に関する情報のほかロゴマークなどを表示し、また内容物に関してのイメージや用途例、バーコードなどを文字や画像で表示することができる。
【0050】
印刷方法については限定するものではないが、たとえばグラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法等の方法を用いることができる。
【0051】
印刷用インキについても限定をするものではなく、印刷方法との適合性や被印刷体との密着性、あるいは内容物が食品である場合などの安全性などに配慮して適宜選択することができる。また基材層(6)の表面にはコロナ処理などの易接着処理を行って、印刷層(14)との接着性を高めることが好ましい。印刷層(14)上には耐摩耗性向上の為にオーバーコート層を設けても良い。
【0052】
(層構成)
なお本発明を構成する積層体は
図3に示す実施形態に限定されるものでないことは言うまでもない。それ以外にも例えば、
ガスバリア層付ポリエチレンテレフタレートフィルム(基材/ガスバリア層)/ナイロンフィルム/未延伸ポリエチレンフィルム(熱可塑性樹脂層)/2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(シーラント層)、
また、
ポリエチレンテレフタレートフィルム(基材)/アルミ箔(ガスバリア層)/未延伸ポリエチレンフィルム(熱可塑性樹脂層)/2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(シーラント層)、
また、
ポリエチレンテレフタレートフィルム(基材)/アルミ箔(ガスバリア層)/ナイロンフィルム/未延伸ポリエチレンフィルム(熱可塑性樹脂層)/2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(シーラント層)
など、要求仕様に合わせ適宜選択することができる。
【0053】
(スパウト)
図5は本発明に係るスパウト付パウチのスパウト部を説明するための、部分断面模式図である。スパウト(1)は、プラスチック成型品であり、ポリエステル樹脂からなる。容器最内層側で、積層体のシーラント層(7)とヒートシールにより熱溶着され、開口部(15)は容器外側に露出して装着される。スパウト(1)のシーラント層(7)への熱溶着は、ヒートシールのほか超音波溶着、インパルスシールなどによっても行うことができる。
【0054】
スパウトの材料のポリエステル樹脂はポリエチレンテレフタレート単体からなる樹脂のほか、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールなどを重合した変性ポリエチレンテレフタレート樹脂も好適に用いることができる。
【0055】
なおスパウト(1)は、螺子式や嵌合式のキャップ(5)を組み合わせて開閉することができる。キャップ(5)はポリエステル樹脂のほか、ポリエチレン樹脂やアルミなどで作成することができる。またキャップ(5)にパッキン(50)として発泡ポリエチレンフィルム(51)と2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(52)を積層したものを、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが内容物に接する側になるように装着すると内容物の封止性と低吸着性の向上に好適である。
【実施例】
【0056】
<実施例1>
パウチの天部中央にスパウトを設けたスパウト付パウチを以下のように試作した。
・パウチの層構成(パウチの外層側→内層側の順)
SiO蒸着ポリエチエンテレフタレートフィルム(厚み12μm)/
ナイロンフィルム(厚み15μm)/
低密度ポリエチレンフィルム(厚み30μm)/
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み12μm)
の4層とし、ドライラミネーションにより貼り合わせた。
・スパウト
PET−G樹脂(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂)を用い射出成型により作成。
・キャップ
アルミニウム製。
パッキンは発泡ポリエチレンに2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムをラミネートして作成。
・形状
四方パウチ形状とした。
【0057】
<実施例2>
・パウチの層構成(パウチの外層側→内層側の順)
SiO蒸着ポリエチエンテレフタレートフィルム(厚み12μm)/
アルミ箔(厚み9μm)/
低密度ポリエチレンフィルム(厚み50μm)/
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み12μm)
・上記以外は実施例1と同様としてパウチを作成した。
【0058】
<比較例1>
・パウチの層構成(パウチの外層側→内層側の順)
SiO蒸着ポリエチエンテレフタレートフィルム(厚み12μm)/
ナイロンフィルム(厚み15μm)/
低密度ポリエチレンフィルム(厚み80μm)
の3層とし、ドライラミネーションにより貼り合わせた。
・スパウト及びキャップ
低密度ポリエチレン樹脂を用い射出成型により作成。
・上記以外は実施例1と同様としてパウチを作成した。
【0059】
<比較例2>
・スパウトを低密度ポリエチレン樹脂の射出成型で作成した以外は、実施例1と同様としてパウチを試作した。
【0060】
<比較例3>
・パウチの層構成(パウチの外層側→内層側の順)
SiO蒸着ポリエチエンテレフタレートフィルム(厚み12μm)/
アルミ箔(厚み9μm)/
ナイロンフィルム(厚み15μm)/
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み12μm)
の3層構成とした。
・上記以外は実施例1と同様としてパウチを作成した。
【0061】
以上のように作成したパウチの各サンプルに芋焼酎を充填し、以下の評価を行った。
・ 静圧試験
パウチに100Kg重の圧力をかけ1分間保持し、液漏れの有無を確認した。
・ 香り成分吸着評価
30°Cで3ヶ月保存後、内容物成分に含まれる脂肪酸エステル量について、ガスクロマトグラフ質量分析計にて計測した。評価試験前の値を100として、評価試験後の値との比較から評価した。
【0062】
結果を表1にまとめる。
【0063】
【表1】
【0064】
表1に示すように本発明によれば、最内層を低密度ポリエチレンフィルムとした比較例1に対して脂肪酸エステルの残存量が多い、すなわち内容物の香味成分の吸着が少なく、最内層に隣接して未延伸ポリオレフィンフィルムを配したことでスパウトの溶着部などで隙間なく熱溶着ができ内容物の漏れるおそれのないスパウト付パウチを得ることができることが確認できた。一方、比較例1では内容物の密封はできたが香り成分の吸着が見られ、比較例2ではスパウトの熱溶着ができずに内容物の密封ができず、比較例3ではスパウトの熱溶着が完全にはできず、内容物の漏れが生じた。