特許第6926462号(P6926462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6926462
(24)【登録日】2021年8月10日
(45)【発行日】2021年8月25日
(54)【発明の名称】スパウトパウチセット
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/36 20060101AFI20210812BHJP
   B65D 30/24 20060101ALI20210812BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20210812BHJP
   B65D 75/58 20060101ALI20210812BHJP
【FI】
   B65D33/36
   B65D30/24 U
   B65D83/00 G
   B65D75/58
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-243512(P2016-243512)
(22)【出願日】2016年12月15日
(65)【公開番号】特開2018-95300(P2018-95300A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】仲野 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】矢島 俊輔
【審査官】 竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−084755(JP,U)
【文献】 特開2004−123193(JP,A)
【文献】 特開平07−041017(JP,A)
【文献】 特開2008−062970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/00−33/38
B65D 75/58
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1シートおよび第2シートと、内容物を収容できる収容空間が前記第1シートと前記第2シートとの間に形成されるように前記第1シートおよび前記第2シートを接合するシール部とを含むパウチと、
前記内容物が流入する入口を含み、前記入口が前記収容空間に開口するように前記シール部により保持されるスパウトと、
前記第1シートおよび前記第2シートにおける前記スパウトの入口の周囲の部分である周囲部が圧縮された場合に、前記周囲部内に形成される第1空間から前記第1空間よりも前記スパウトの入口から離れた第2空間への前記内容物の流れを妨げることができるように前記第1シートと前記第2シートとを接合する抵抗部と、
前記第1シートの前記周囲部および前記第2シートの前記周囲部が接近するように前記パウチを圧縮可能なアタッチメントと、を含み、
前記アタッチメントは、前記パウチを挟み込むことが可能な第1アームおよび第2アームを含み、
前記第1アームおよび前記第2アームは、前記抵抗部を含む領域を挟み込む
スパウトパウチセット。
【請求項2】
前記シール部は前記スパウトを保持する保持部を含む第1シール部、および、前記収容空間に対して前記第1シール部とは反対側に設けられる第2シール部を含み、
前記抵抗部は前記第1シール部と前記第2シール部との間において前記第1シール部寄りに設けられる
請求項1に記載のスパウトパウチセット。
【請求項3】
前記抵抗部は前記保持部と前記第2シール部との間に設けられ、
前記第1空間は前記保持部と前記抵抗部との間の領域を含む
請求項2に記載のスパウトパウチセット。
【請求項4】
前記パウチは前記第2空間から前記第1空間に前記内容物が移動できるように前記抵抗部と前記第1シール部との間に設けられる通路をさらに含み、
前記通路の幅は前記抵抗部の幅よりも広い
請求項2または3に記載のスパウトパウチセット。
【請求項5】
前記アタッチメントは前記第1アームと前記第2アームとを繋げる連結部をさらに含む
請求項1〜4のいずれか一項に記載のスパウトパウチセット。
【請求項6】
前記第1アームおよび前記第2アームは前記連結部と繋がる部分以外において隙間を隔てて対向する
請求項に記載のスパウトパウチセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスパウトパウチを含むスパウトパウチセットに関する。
【背景技術】
【0002】
スパウトパウチは内容物を収容可能なパウチ、および、パウチ内の内容物を吐出するスパウトを含む。ユーザーはパウチ内の内容物を利用する場合、スパウトから内容物が吐出されるようにパウチの一部を手で圧縮する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−48143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスパウトパウチによれば、必要な量の内容物をスパウトパウチから吐出させるためにユーザーがパウチを圧縮する動作を複数回実施した場合に、その動作の1回あたりにスパウトパウチから吐出される内容物の量がばらつきやすい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)対向する第1シートおよび第2シートと、内容物を収容できる収容空間が前記第1シートと前記第2シートとの間に形成されるように前記第1シートおよび前記第2シートを接合するシール部とを含むパウチと、前記内容物が流入する入口を含み、前記入口が前記収容空間に開口するように前記シール部により保持されるスパウトと、前記第1シートおよび前記第2シートにおける前記スパウトの入口の周囲の部分である周囲部が圧縮された場合に、前記周囲部内に形成される第1空間から前記第1空間よりも前記スパウトの入口から離れた第2空間への前記内容物の流れを妨げることができるように前記第1シートと前記第2シートとを接合する抵抗部と、前記第1シートの前記周囲部および前記第2シートの前記周囲部が接近するように前記パウチを圧縮可能なアタッチメントとを含むスパウトパウチセット。
周囲部がアタッチメントにより圧縮された場合に第1空間に滞留している内容物を様々な方向に流そうとする力が働く。上記スパウトパウチは抵抗部を含むため、第1空間から第2空間に流れようとする内容物の流れの少なくとも一部が抵抗部により妨げられ、第1空間の内容物がスパウトの入口に流入しやすくなる。このため、パウチを圧縮する動作の1回あたりにスパウトパウチから吐出される内容物の量がばらつきにくい。
【0006】
(2)前記シール部は前記スパウトを保持する保持部を含む第1シール部、および、前記収容空間に対して前記第1シール部とは反対側に設けられる第2シール部を含み、前記抵抗部は前記第1シール部と前記第2シール部との間において前記第1シール部寄りに設けられる(1)に記載のスパウトパウチセット。
このため、パウチが圧縮された場合に第1空間から第2空間に流れようとする内容物の流れが速やかに妨げられ、スパウトから内容物が速やかに吐出される。
【0007】
(3)前記抵抗部は前記保持部と前記第2シール部との間に設けられ、前記第1空間は前記保持部と前記抵抗部との間の領域を含む(2)に記載のスパウトパウチセット。
このため、周囲部がアタッチメントにより圧縮された場合に第1空間において保持部の近くに滞留している内容物が第2シール部側に流れることが抵抗部により妨げられ、第1空間の内容物がスパウトの入口に一層流入しやすくなる。
【0008】
(4)前記パウチは前記第2空間から前記第1空間に前記内容物が移動できるように前記抵抗部と前記第1シール部との間に設けられる通路をさらに含み、前記通路の幅は前記抵抗部の幅よりも広い(2)または(3)に記載のスパウトパウチセット。
このため、スパウトが第2シール部よりも下方に位置するようにスパウトパウチの姿勢が保持された場合に第2空間から第1空間に内容物が流れやすく、第1空間が内容物により満たされた状態が速やかに形成される。
【0009】
(5)前記アタッチメントは前記パウチを挟み込むことが可能な第1アームおよび第2アームを含む(1)〜(4)のいずれか一項に記載のスパウトパウチセット。
このため、ユーザーは第1アームおよび第2アームを一方の手で握るだけで、アタッチメントによりパウチのうちの周囲部を含む部分をおおよそ均一に圧縮できる。
【0010】
(6)前記アタッチメントは前記第1アームと前記第2アームとを繋げる連結部をさらに含む(5)に記載のスパウトパウチセット。
このため、アタッチメントを保管しやすい。
【0011】
(7)前記第1アームおよび前記第2アームは前記連結部と繋がる部分以外において隙間を隔てて対向する(6)に記載のスパウトパウチセット。
このため、各アームが握られた場合に各アームのおおよそ全体が互いに接近し、パウチのうちの周囲部を含む部分がより均一に圧縮される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に関するスパウトパウチセットによれば、スパウトパウチから吐出される内容物の量がばらつきにくい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態のスパウトパウチセットの正面図。
図2図1のアタッチメントの斜視図。
図3】ユーザーがアタッチメントを掴んだ状態を示す正面図。
図4】内容物の流れの一例を示す正面図。
図5図1のD5−D5線に沿う断面図。
図6】パウチがアタッチメントにより圧縮された状態を示す断面図。
図7】第1試験に関する比較例の試験条件および試験結果を示す表。
図8】第1試験に関する実施例の試験条件および試験結果を示す表。
図9】第2試験に関する実施例の試験条件および試験結果を示す表。
図10】第3試験に関する実施例の試験条件および試験結果を示す表。
図11】第4試験に関する実施例の試験条件および試験結果を示す表。
図12】第5試験に関する実施例の試験条件および試験結果を示す表。
図13】第6試験に関する実施例の試験条件および試験結果を示す表。
図14】変形例Aのスパウトパウチセットの一部の正面図。
図15】変形例Bのスパウトパウチセットの一部の正面図。
図16】変形例Cのアタッチメントの斜視図。
図17】変形例Dのアタッチメントの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態)
図1に示されるように、スパウトパウチセット1はスパウトパウチ10およびアタッチメント100を含む。スパウトパウチ10は内容物Cの収容、および、収容した内容物Cの吐出が可能な容器である。内容物Cの一例は流動性を有する物体である。これに該当する物体の例は液体およびゾルである。液体の一例は洗浄液および調味料である。洗浄液の一例はシャンプー、リンス、ボディソープ、および、ハンドソープである。調味料の一例は醤油、みりん、および、調理酒である。ゾルの一例は牛乳である。図1に例示される内容物Cはシャンプーである。
【0015】
スパウトパウチ10はパウチ20、スパウト70、および、キャップ80を含む。パウチ20は内容物Cの品質を保ちながら長期間保存できるように構成された袋である。パウチ20は種々の形状を取り得る。パウチ20が取り得る形状の例は、平袋タイプ、スタンディングタイプ、ガゼットタイプ、および、ピラータイプである。図1に例示されるパウチ20の形状は平袋タイプである。以下では、パウチ20の正面視におけるパウチ20の左右方向を幅方向と称し、幅方向と直交する方向を高さ方向と称する。
【0016】
パウチ20は第1シート21、第2シート22、および、シール部40を含む。図1等ではシール部40にドットを記入している。各シート21、22の構成は任意に選択できる。第1例では、各シート21、22を含む1枚のシートが折り曲げられることにより、互いに対向する各シート21、22が構成される。第2例では、各シート21、22は個別に形成された2枚のシートである。各シート21、22の層構造は任意に選択できる。一例では、各シート21、22は最外層、中間層、および、最内層を含む。各シート21、22の製造方法の一例はドライラミネートである。最外層と中間層との間、および、中間層と最内層との間のそれぞれに形成される接着剤の層により各層が接合されている。
【0017】
最外層は主に光沢、印刷適正、および、耐レトルト性に優れる。最外層を構成する材料の一例はポリエチレンテレフタレートである。中間層は主に耐レトルト性、防湿性、および、ガス遮断性に優れる。中間層を構成する材料の一例はナイロンである。最内層は耐レトルト性、ヒートシール性、および、耐衝撃性に優れる。最内層を構成する材料の一例は直鎖状低密度ポリエチレンである。
【0018】
シール部40は、内容物Cを収容する収容空間30が第1シート21と第2シート22との間に形成されるように、互いに対向する各シート21、22を接合している。一例では、シール部40は第1シート21の最内層の外周部と第2シート22の最内層の外周部とを接合している。シール部40を形成する方法の一例はヒートシールである。正面視におけるパウチ20の外郭形状は任意に選択できる。図示される例では、パウチ20の外郭形状は長方形である。各シート21、22はそれぞれシール部40とシール部40に囲まれた部分(以下「内方部23」という)とに区分できる。収容空間30は第1シート21の内方部23と第2シート22の内方部23との間に形成される。
【0019】
シール部40は第1シール部41、第2シール部42、第3シール部43、および、第4シール部44を含む。第1シール部41および第2シール部42はパウチ20の高さ方向において内方部23に対して互いに反対側に設けられている。第1シール部41はスパウト70を保持する保持部41Rを含む。第3シール部43および第4シール部44はパウチ20の幅方向において内方部23に対して互いに反対側に設けられている。第3シール部43は第1シール部41の第1端部41Aと第2シール部42の第1端部42Aとを繋げている。第4シール部44は第1シール部41の第2端部41Bと第2シール部42の第2端部42Bとを繋げている。
【0020】
第1シール部41における内方部23側の縁である内縁40A、第2シール部42における内方部23側の縁である内縁40B、第3シール部43における内方部23側の縁である内縁40C、および第4シール部44における内方部23側の縁である内縁40Dは、内方部23の外郭を規定している。第1シール部41における内縁40Aとは反対側の縁である外縁40E、第2シール部42における内縁40Bとは反対側の縁である外縁40F、第3シール部43における内縁40Cとは反対側の縁である外縁40G、および、第4シール部44における内縁40Dとは反対側の縁である外縁40Hは、パウチ20の外郭を規定している。
【0021】
各シール部41〜44の幅は任意に選択できる。各シール部41〜44の幅は、各シール部41〜44の内縁40A〜40Dおよび外縁40E〜44Hに直交する線分における内縁40A〜40Dと外縁40E〜40Hとの間の長さである。各シール部41〜44の幅が一定でない場合、例えば内縁40A〜40Dと外縁40E〜40Hとの間の長さのうちの最大の長さが各シール部41〜44の幅を代表する。
【0022】
パウチ20の幅は、第3シール部43の外縁40Gおよび第4シール部44の外縁40Hに直交する線分における外縁40Gと外縁40Hとの間の距離である。パウチ20の幅が一定でない場合、例えば外縁40Gと外縁40Hとの間の長さのうちの最大の長さがパウチ20の幅を代表する。パウチ20の高さは、第1シール部41の外縁40Eおよび第2シール部42の外縁40Fに直交する線分における外縁40Eと外縁40Fとの間の距離である。パウチ20の高さが一定でない場合、例えば外縁40Eと外縁40Fとの間の長さのうちの最大の長さがパウチ20の高さを代表する。
【0023】
スパウト70はパウチ20の収容空間30に収容されている内容物Cをパウチ20の外部に吐出できるようにシール部40により保持されている。パウチ20に対するスパウト70の位置は任意に選択できる。第1例では、スパウト70はパウチ20の幅方向において第3シール部43寄りに設けられる。第2例では、スパウト70はパウチ20の幅方向において第4シール部44寄りに設けられる。第3例では、スパウト70はパウチ20の幅方向の中心に設けられる。図1では第1例を示している。
【0024】
スパウト70は胴部71、入口72、出口73、および、逆止弁74を含む。胴部71は、第1シール部41において第1シート21と第2シート22との間に挿入され、胴部71の外周と各シート21、22との間から内容物Cが漏れないように各シート21、22と接合されている。入口72は収容空間30に開口するように胴部71の一方の端部に設けられている。出口73はパウチ20の外部に開口するように胴部71の他方の端部に設けられている。逆止弁74は胴部71内に設けられている。逆止弁74はスパウト70の出口73からパウチ20内に空気が流れることを抑制し、入口72から胴部71内に流入した内容物Cの圧力の上昇にともない開弁するように構成されている。スパウト70に逆止弁74が設けられているため、パウチ20にエアバックが発生しにくい。
【0025】
キャップ80はスパウト70に着脱可能である。キャップ80とスパウト70とを着脱可能に結合する構造の一例は、キャップ80に設けられる雌ねじ、および、スパウト70に設けられる雄ねじである。キャップ80がスパウト70に取り付けられている場合、スパウト70は内容物Cを吐出できない。キャップ80がスパウト70から取り外されている場合、スパウト70は内容物Cを吐出できる。
【0026】
パウチ20内に収容されている内容物Cの量(以下では「内容量」という)は、パウチ20に予め充填される内容物Cの内容量(以下では「初期内容量」という)を基準として例えば3段階のレベルに区分される。一例では、内容量は重量および体積の一方により規定される。第1レベルは初期内容量の100%以下かつ66%超の範囲である。第2レベルは初期内容量の66%以下かつ33%超の範囲である。第3レベルは初期容量の33%以下かつ0%超の範囲である。
【0027】
ユーザーは内容物Cを使用するためにスパウトパウチ10から内容物Cを吐出させる場合、キャップ80をスパウト70から取り外し、パウチ20の一部を片手または両手で圧縮する。内容物Cが洗浄液である場合、ユーザーは片手でパウチ20を圧縮することが多い。内容物Cをスパウトパウチ10から吐出させるためにパウチ20を圧縮する動作(以下「圧縮動作」という)が実施された場合、パウチ20内に収容されている内容物Cは収容空間30からスパウト70の入口72に流入し、逆止弁74を通過し、出口73からパウチ20の外部に吐出される。1回の圧縮動作あたりにパウチ20から吐出される内容物Cの量(以下「単位吐出量」という)は、圧縮動作毎にばらつきにくいことが好ましい。さらに単位吐出量は内容物Cに応じた目標値と実質的に一致すること、または、目標値との差が小さいことが好ましい。内容物Cがシャンプーである場合、単位吐出量の目標値は例えば3gである。
【0028】
パウチ20を手で直接的に圧縮する圧縮動作が実施された場合、パウチ20を圧縮する部位およびパウチ20を圧縮する強さが圧縮動作毎にばらつき、単位吐出量が圧縮動作毎にばらつくおそれがある。圧縮動作毎の単位吐出量のばらつきを抑えるためには、各シート21、22の内方部23におけるスパウト70の入口72周囲の部分(以下では「周囲部24」という)内の内容物Cがスパウト70に流れるようにパウチ20を圧縮することが好ましい。このような圧縮動作を正確に実施しようとした場合、ユーザーは両手でパウチ20を圧縮する必要がある。パウチ20の利便性の点から、ユーザーが片手でパウチ20を圧縮した場合でも圧縮動作毎の単位吐出量のばらつきが小さいことが好ましい。スパウトパウチセット1はこれを実現するために定量吐出手段を備える。
【0029】
図1に示されるように、パウチ20は定量吐出手段を構成する抵抗部50をさらに含む。抵抗部50は、各シート21、22の内方部23のうちの少なくとも周囲部24が圧縮された場合に、周囲部24内に形成される第1空間31から第1空間31よりもスパウト70の入口72から離れた第2空間32への内容物Cの流れを妨げることができるように第1シート21と第2シート22とが接合された部分である。第1空間31および第2空間32はそれぞれ収容空間30の一部である。
【0030】
一例では、抵抗部50はシール部40と同様に各シート21、22をヒートシールすることにより形成されたシール部である。抵抗部50は第1シール部41と第2シール部42との間において第1シール部41寄りに設けられている。抵抗部50は第1シール部41と平行するようにパウチ20の幅方向に延びている。抵抗部50は保持部41Rと第2シール部42との間に設けられた部分を含む。抵抗部50は第1端部51および第2端部52を含む。第1端部51は抵抗部50の長手方向の一方の端部であり、第3シール部43と繋がる。第2端部52は抵抗部50の長手方向の他方の端部であり、第4シール部44から離れた位置に設けられている。
抵抗部50の第1縁50A、第2縁50B、および、第3縁50Cは抵抗部50の外郭を規定している。第1縁50Aは第1シール部41側の縁である。第2縁50Bは第2シール部42側の縁である。第3縁50Cは第1縁50Aと第2縁50Bとを繋げる縁である。以下では、第1縁50Aと第3縁50Cとにより構成される抵抗部50の角を第1角50Dと称し、第2縁50Bと第3縁50Cとにより構成される抵抗部50の角を第2角50Eと称する。
【0031】
パウチ20の幅方向における抵抗部50の長さ(以下「抵抗部長さLR」という)は任意に選択可能である。抵抗部長さLRは抵抗部50の第1端部51と第2端部52との間の長さである。第1例では、抵抗部長さLRは第3シール部43の内縁40Cと第4シール部44の内縁40Dとの間の長さ(以下「内縁間隔」という)の半分以下である。第2例では、抵抗部長さLRは内縁間隔の半分よりも長い。抵抗部50の幅は任意に選択可能である。抵抗部50の幅は抵抗部50の第1縁50Aおよび第2縁50Bと直交する線分における第1縁50Aと第2縁50Bとの間の長さである。第1例では、抵抗部50の幅は抵抗部50の長手方向の全体にわたり一定である。第2例では、抵抗部50は互いに幅が異なる複数の部分を含む。図1に示される例では、抵抗部50の幅は抵抗部50の長手方向の全体にわたりシール部40の幅と実質的に等しい。
【0032】
第1空間31は抵抗部50の第1縁50A、第1境界線L1、第1シール部41の内縁40Aの第1部分40A1、および、第3シール部43の内縁40Cの第1部分40C1により囲まれた空間である。第1境界線L1は抵抗部50の第3縁50C上を通過する直線における第1角50Dと第1シール部41の内縁40Aとの間の部分である。内縁40Aの第1部分40A1は、内縁40Aのうちの第1境界線L1と内縁40Aとの交点よりも第3シール部43側の部分である。内縁40Cの第1部分40C1は、内縁40Cのうちの第1縁50Aとの交点よりも第1シール部41側の部分である。好ましい例では、第1空間31の容積は、1回あたりの圧縮動作における吐出量が単位吐出量の目標値に対して一定の誤差範囲に含まれるように設定される。ここでの圧縮動作としては、周囲部24がアタッチメント100によりおおよそ均一に圧縮された場合を想定している。第1空間31の容積は少なくとも単位吐出量の目標値よりも多い量の内容物Cを収容できる大きさである。なお、第1空間31に滞留する内容物Cの量はスパウトパウチ10の配置状態の影響を受ける。ここでは、スパウト70が第2シール部42よりも下方に位置する姿勢(以下「保管時姿勢」)でスパウトパウチ10が保管され、保管時姿勢が保たれた時間が一定時間以上である場合に第1空間31に滞留している内容物Cの量を想定している。一定時間は、スパウトパウチ10の姿勢が保管時姿勢以外の姿勢から保管時姿勢に変更され、それにともない重力により内容物Cが流動し、その内容物Cの流動が実質的に終了するまでに要する時間である。
【0033】
第2空間32は収容空間30のうちの第1空間31以外の部分である。第2空間32は第3空間33、第4空間34、および、第5空間35に区分できる。内容量が初期内容量であり、保管時姿勢が保たれた時間が一定時間以上である場合、図1に示されるように第2空間32における第2シール部42側の部分に内容物Cが滞留していない空間が形成される。
【0034】
第3空間33は第1境界線L1、第2境界線L2、第4シール部44の内縁40Dの第1部分40D1、および、第1シール部41の内縁40Aの第2部分40A2に囲まれた部分である。内縁40Aの第2部分40A2は内縁40Aのうちの第1境界線L1との交点よりも第4シール部44側の部分である。第2境界線L2は抵抗部50の第1縁50A上を通過する直線における第1角50Dと第4シール部44の内縁40Dとの間の部分である。内縁40Dの第1部分40D1は内縁40Dのうちの第2境界線L2との交点よりも第1シール部41側の部分である。
【0035】
第4空間34は、第2境界線L2、抵抗部50の第3縁50C、第3境界線L3、および、第4シール部44の内縁40Dの第2部分40D2に囲まれた部分である。第3境界線L3は抵抗部50の第2縁50B上を通過する直線のうちの第2角50Eと第4シール部44の内縁40Dとの間の部分である。内縁40Dの第2部分40D2は内縁40Dのうちの第2境界線L2との交点と第3境界線L3との交点との間の部分である。
【0036】
第5空間35は、抵抗部50の第2縁50B、第3境界線L3、第4シール部44の内縁40Dの第3部分40D3、第2シール部42の内縁40B、および、第3シール部43の内縁40Cの第2部分40C2に囲まれた部分である。内縁40Cの第2部分40C2は内縁40Cのうちの抵抗部50の第2縁50Bとの交点よりも第2シール部42側の部分である。内縁40Dの第3部分40D3は内縁40Dのうちの第2境界線L2との交点よりも第2シール部42側の部分である。
【0037】
パウチ20は連通部60をさらに含む。連通部60は第1連通部61および第2連通部62を含む。第1連通部61は第2空間32の一部である第3空間33から第1空間31に内容物Cが移動できるように抵抗部50の第2端部52と第1シール部41との間に形成されている。第1連通部61は第1境界線L1上に形成される通路61Aを含む。通路61Aの幅はスパウトパウチ10の姿勢が保管時姿勢以外の姿勢から保管時姿勢に変更された場合、第3空間33から第1空間31に速やかに内容物Cが流れるように設定されることが好ましい。通路61Aの幅はパウチ20の高さ方向における第1角50Dと第1シール部41の内縁40Aとの距離である。一例では、通路61Aの幅は抵抗部50の幅よりも広い。
【0038】
第2連通部62は第2空間32の一部である第5空間35から第4空間34を通過して第3空間33に内容物Cが移動できるように抵抗部50の第2端部52と第4シール部44との間に形成されている。第2連通部62は第3境界線L3上に形成される通路62Aを含む。通路62Aの幅はスパウトパウチ10の姿勢が保管時姿勢以外の姿勢から保管時姿勢に変更された場合、第5空間35から第4空間34を介して第3空間33に速やかに内容物Cが流れるように設定されることが好ましい。通路62Aの幅はパウチ20の幅方向における第2角50Eと第4シール部44の内縁40Dとの距離である。一例では、通路62Aの幅は抵抗部50の幅よりも広い。
【0039】
図2は単独の状態におけるアタッチメント100の斜視図である。アタッチメント100は定量吐出手段を構成する。アタッチメント100は片手で操作できるように構成されている。アタッチメント100を構成する材料は、例えば、アタッチメント100の軽量化の点から決められることが好ましい。アタッチメント100は主に片手で操作されるため、操作性を向上する点から、アタッチメント100が軽量であることが好ましい。アタッチメント100を構成する材料の一例は透明または半透明の樹脂材料である。樹脂材料の一例はポリプロピレンである。
【0040】
アタッチメント100は第1アーム110、第2アーム120、および、連結部130を含む。第1アーム110と第2アーム120とは隙間101を介して対向する。隙間101の大きさである第1アーム110の内面111と第2アーム120の内面121との距離Lは、パウチ20を挟み込むことができる大きさに設定される。各アーム110、120は、少なくとも各シート21、22の周囲部24(図1参照)の全体を圧縮できる大きさを有する平板である。一例では、各アーム110、120は各シート21、22の第1対象部25の全体を圧縮できる大きさを有する。第1対象部25は各シート21、22の内方部23のうちの第3境界線L3と第1シール部41の内縁40Aとの間の部分である。図示される例では、各アーム110、120は第1対象部25に加え、第2境界線L2よりも第2シール部42側の一部(以下「第2対象部26」)も圧縮可能な大きさを有する。
【0041】
スパウトパウチ10とアタッチメント100との接合関係は任意に選択できる。第1例では、アタッチメント100がスパウトパウチ10から離れないように、アタッチメント100がスパウトパウチ10に接合される。例えば、第1アーム110の内面111がパウチ20の第1シート21と接合され、第2アーム120の内面121がパウチ20の第2シート22と接合される。アタッチメント100とスパウトパウチ10とを接合する手段は例えば接着剤である。第2例では、アタッチメント100がスパウトパウチ10と接合されず、内容物Cの使用時にアタッチメント100の隙間101にスパウトパウチ10が挿入される。
【0042】
アタッチメント100がスパウトパウチ10を挟んだ状態(以下「セット状態」という)に関する好ましい例では、各アーム110、120の縁102が第1シール部41の内縁40Aに沿って内縁40A近傍に位置し、連結部130の内面131が第4シール部44の外縁40Hに沿って外縁40H近傍に位置する。縁102は各アーム110、120における長手方向に沿う縁の一方である。内縁40A近傍は縁102が内縁40Aに対してわずかに内方部23側にずれた位置、および、縁102が実質的に内縁40Aと重なる位置を含む。外縁40H近傍は、内面131が外縁40Hとの間に微小な隙間を形成する位置、および、内面131が外縁40Hと実質的に接触する位置を含む。好ましいセット状態では、各アーム110、120の内面111、121がそれぞれ第1対象部25および第2対象部26の全体と対向する。
【0043】
図5図1のD5−D5線に沿う断面図である。第1対象部25および第2対象部26内に形成される収容空間30に適度な量の内容物Cが滞留している場合、内容物Cが各シート21、22を押し広げようとする力が各アーム110、120に作用し、パウチ20が各アーム110、120により適度に圧縮された状態が形成される。このため、第1アーム110の内面111の広い範囲が第1シート21と接触し、第2アーム120の内面121の広い範囲が第2シート22と接触する。
【0044】
スパウトパウチセット1は例えば次のように使用される。スパウトパウチ10の保管状態の一例では、保持部材(図示略)によりスパウトパウチ10が保管時姿勢に保たれる。保持部材の第1例はスパウトパウチ10の姿勢を保持できるスタンドである。この場合、スパウト70が第2シール部42よりも下方に位置するようにスパウトパウチ10がスタンドに配置される。保持部材の第2例はスパウトパウチ10を吊り下げることができるクリップまたはフックである。この場合、スパウト70が第2シール部42よりも下方に位置するようにスパウトパウチ10が壁面等に設けられたクリップまたはフックに吊り下げられる。スパウト70が下方に位置するため、パウチ20内の内容物Cが重力により収容空間30内における第1シール部41側に移動し、収容空間30内において相対的に第2シール部42側よりも第1シール部41側に内容物Cが多く溜まる。なお、保持部材としてフックが用いられる場合、フックを引っ掛けることが可能な引掛部(図示略)がスパウトパウチ10に設けられる。引掛部の一例は内容物Cが漏れないようにパウチ20に形成される穴または切り欠きである。
【0045】
スパウトパウチセット1の使用方法は、スパウトパウチセット1の接合関係、および、保持部材の種類に応じて異なる。一例では、接合関係および保持部材の種類の組み合わせは次の4つを取り得る。第1例は、スパウトパウチ10とアタッチメント100とが接合され、保持部材がスタンドの場合である。第2例は、スパウトパウチ10とアタッチメント100とが接合されず、保持部材がスタンドの場合である。第3例は、スパウトパウチ10とアタッチメント100とが接合され、保持部材がフックの場合である。第4例は、スパウトパウチ10とアタッチメント100とが接合されず、保持部材がフックの場合である。
【0046】
第1例に関するスパウトパウチセット1の使用方法について説明する。ユーザーはスパウト70が下方に位置する状態を保ちながらスパウトパウチ10をスタンド(図示略)から持ち上げ、図3に示されるように、アタッチメント100を一方の手で握る。典型的な使用例では、アタッチメント100の第1アーム110の外面112に一方の手の親指が接触し、第2アーム120の外面122に一方の手の残りの指が接触する。ユーザーは次にアタッチメント100の第1アーム110と第2アーム120とが接近するようにアタッチメント100に力を加える。これにより、図6に示されるように各アーム110、120がパウチ20を圧縮しながら接近する。ユーザーは各対象部25、26内の収容空間30が実質的になくなるまでアタッチメント100を握ることができる。各対象部25、26内の収容空間30は、第1空間31、第3空間33、第4空間34、および、第5空間35の一部を含む。
【0047】
図4は各対象部25、26内の収容空間30が実質的になくなるまでパウチ20が圧縮された状態を示す。パウチ20がアタッチメント100により圧縮されることにともない、各対象部25、26内の収容空間30の内容物Cには内容物Cを様々な方向に流そうとする力が働く。第1空間31の内容物Cの一部は第1空間31から第5空間35に流れようとする。ただし、第1空間31と第5空間35との間に抵抗部50が設けられているため、内容物Cの流れが妨げられる。これにより、第1空間31の内容物Cは相対的に抵抗が小さいスパウト70の入口72に流入しやすい。第3空間33の内容物Cの多くは第4空間34側に流れる。第4空間34および第5空間35の内容物Cの多くは第2シール部42側に流れる。
【0048】
標準的な大きさの手を有するユーザーがアタッチメント100を握った場合、図3に示されるように親指が第1アーム110のうちの第3空間33における第1連通部61の通路61A近傍と重なる部分に位置する。このため、ユーザーが各アーム110、120によりパウチ20を圧縮した場合に第1空間31の内容物Cを第3空間33側から第1シール部41側に押す力が強く働き、第1空間31の内容物Cが第3空間33側に流れにくい。このため、第1空間31の内容物Cの多くがスパウト70の入口72に流入する。
【0049】
好ましいセット状態が形成されるようにスパウトパウチ10とアタッチメント100とが接合されている場合、ユーザーは常に好ましいセット状態においてパウチ20を圧縮できる。アタッチメント100がスパウトパウチ10に接合されていない場合でも、アタッチメント100の縁102および内面131とスパウトパウチ10との位置関係等を利用して、ユーザーは好ましいセット状態を容易に形成できる。このため、ユーザーは圧縮動作毎にスパウトパウチ10の同じ位置をアタッチメント100により圧縮できる。また、ユーザーは各アーム110、120が相対的に接近できなくなるまでアタッチメント100を握ることにより圧縮動作毎におけるパウチ20の圧縮量をおおよそ一定に保つことができる。このようにスパウトパウチセット1によれば、圧縮動作毎にパウチ20の圧縮される部位およびパウチ20の圧縮量にばらつきが生じにくい。このため、第1空間31の内容物Cには圧縮動作毎におおよそ同じような力が働き、その力による内容物Cの流れが上記のとおり抵抗部50によりコントロールされるため、スパウト70の入口72に流入する内容物Cの量が圧縮動作毎にばらつきにくい。このため、圧縮動作毎の単位吐出量のばらつきが小さくなる。なお、セット状態が好ましいセット状態と一致しない場合でも、スパウトパウチ10に対するアタッチメント100の位置が好ましいセット状態における位置から著しくずれていなければ、圧縮動作毎の単位吐出量のばらつきが低減される。
【0050】
第2例に関するスパウトパウチセット1の使用方法について説明する。ユーザーはスパウト70が下方に位置する状態を保ちながらスパウトパウチ10をスタンドから持ち上げ、アタッチメント100をスパウトパウチ10にセットし、アタッチメント100を一方の手で握る。その後は第1例と同様の手順で内容物Cが吐出される。
【0051】
第3例に関するスパウトパウチセット1の使用方法について説明する。この場合の使用方法は例えば次の第1使用方法および第2使用方法を含む。第1使用方法では、ユーザーはスパウト70が下方に位置する状態を保ちながらスパウトパウチ10をフック(図示略)から取り外し、アタッチメント100を一方の手で握る。その後は第1例と同様の手順で内容物Cが吐出される。第2使用方法では、ユーザーはスパウトパウチ10がフックに吊り下げられた状態においてアタッチメント100を一方の手で握る。その後は第1例と同様の手順で内容物Cが吐出される。
【0052】
第4例に関するスパウトパウチセット1の使用方法について説明する。この場合の使用方法は例えば次の第1使用方法および第2使用方法を含む。第1使用方法では、ユーザーはスパウト70が下方に位置する状態を保ちながらスパウトパウチ10をフック(図示略)から取り外し、アタッチメント100をスパウトパウチ10にセットし、アタッチメント100を一方の手で握る。その後は第1例と同様の手順で内容物Cが吐出される。第2使用方法では、ユーザーはスパウトパウチ10がフックに吊り下げられた状態においてスパウトパウチ10にセットし、アタッチメント100を一方の手で握る。その後は第1例と同様の手順で内容物Cが吐出される。
【0053】
(実施例)
本願発明者はスパウトパウチ10の単位吐出量のばらつきを確認する第1試験〜第4試験を実施した。第1試験では、実施例の試料の単位吐出量および比較例の試料の単位吐出量をそれぞれ測定した。第2試験〜第4試験では、実施例の試料に関する諸元を変更して単位吐出量を測定した。各試験の内容物Cはシャンプーである。各試験の内容物Cの目標値は3gである。各試験ではスパウトパウチ10から吐出された内容物Cの重量をはかりにより測定した。以下の説明では、説明の便宜上、比較例の試料における実施例の試料と共通する部分について同一の符号を付している。
【0054】
第1試験の詳細について説明する。図7は第1試験に関する比較例の試験条件および試験結果である。図8は第1試験に関する実施例の試験条件および試験結果である。実施例の試料は実施形態に関するスパウトパウチセット1である。比較例の試料は実施例のスパウトパウチ10とは異なる構成を備えるスパウトパウチ10であり、アタッチメント100を含まない。比較例のスパウトパウチ10は抵抗部50を含まない点において実施例のスパウトパウチ10と相違し、その他の点において実施例のスパウトパウチ10と同じ構成を備える。実施例および比較例のスパウトパウチ10に関する諸元は次のとおりである。各シート21、22の最外層を構成する材料はポリエチレンテレフタレートである。最外層の厚さは12μmである。各シート21、22の中間層を構成する材料はナイロンである。中間層の厚さは15μmである。各シート21、22の最内層を構成する材料は直鎖状低密度ポリエチレンである。最内層の厚さは60μmである。パウチ20の幅は140mmである。パウチ20の高さは220mmである。抵抗部長さLRは50mmである。シール部40の幅は10mmである。
【0055】
第1試験では4人の被験者が実施例の試料および比較例の試料のそれぞれを用いて複数回の圧縮動作を実施し、それぞれの圧縮動作における単位吐出量を測定した。実施例の試料ではアタッチメント100を用いて圧縮動作が実施された。比較例の試料ではアタッチメント100を用いることなく手で直接的に圧縮動作が実施された。実施例の試料を用いた試行回数および比較例の試料を用いた試行回数はそれぞれ9回である。
【0056】
図7および図8の最大単位吐出量は9回の試行における最大の単位吐出量である。最小単位吐出量は9回の試行における最小の単位吐出量である。平均単位吐出量は9回の試行における単位吐出量の平均値である。図7および図8に示されるとおり、実施例の試料を用いた場合は比較例の試料を用いた場合よりも単位吐出量のばらつきが小さく、単位吐出量の平均値が目標値に近い。
【0057】
第2試験ではパウチ20の幅が単位吐出量に及ぼす影響を確認するため、パウチ20の幅が異なる実施例1〜4の試料を用いて単位吐出量を測定した。図9に示されるように、実施例1〜4の試料のいずれを用いた場合でも単位吐出量に関して好ましい結果が得られた。また、比較例の試料を用いた場合よりも単位吐出量のばらつきが小さく、単位吐出量の平均値が目標値に近いことが確認された。パウチ20の幅が110mm以上の場合、スパウトパウチ10の製造時にパウチ20に内容物Cを充填する工程において、内容物Cの充填性がより高くなる。これは、第2連通部62の通路62Aの幅が広く、第2シール部42側から充填された内容物Cが第1シール部41側に流れやすいことが関係していると考えられる。パウチ20の幅が180mm以下の場合、標準的な大きさの手を有するユーザーがパウチ20をより持ち運び易いことが確認された。
【0058】
第3試験ではパウチ20の容積が同一である場合にパウチ20の幅および高さの関係が単位吐出量に及ぼす影響を確認するため、パウチ20の容積が同一であり、パウチ20の幅および高さが異なる実施例1、5の試料を用いて単位吐出量を測定した。図10に示されるように、実施例1、5の試料のいずれを用いた場合でも単位吐出量に関して好ましい結果が得られた。また、比較例の試料を用いた場合よりも単位吐出量のばらつきが小さく、単位吐出量の平均値が目標値に近いことが確認された。パウチ20の幅が170mm以下の場合、標準的な大きさの手を有するユーザーがパウチ20をより持ち運び易いことが確認された。
【0059】
第4試験ではパウチ20の高さが単位吐出量に及ぼす影響を確認するため、パウチ20の高さが異なる実施例6〜8の試料を用いて単位吐出量を測定した。図11に示されるように、実施例1〜4の試料のいずれを用いた場合でも単位吐出量に関して好ましい結果が得られた。また、比較例の試料を用いた場合よりも単位吐出量のばらつきが小さく、単位吐出量の平均値が目標値に近いことが確認された。パウチ20の高さが280mm以下である場合、標準的な大きさの手を有するユーザーがパウチ20をより持ち運び易いことが確認された。
【0060】
第5試験では抵抗部長さLRが単位吐出量に及ぼす影響を確認するため、パウチ20の幅および高さが同一であり、抵抗部長さLRが異なる実施例9〜11の試料を用いて単位吐出量を測定した。図12に示されるように、実施例9〜11の試料のいずれを用いた場合でも単位吐出量に関して好ましい結果が得られた。また、比較例の試料を用いた場合よりも単位吐出量のばらつきが小さく、単位吐出量の平均値が目標値に近いことが確認された。
【0061】
第6試験では実施例9〜11のパウチ20よりも大型のパウチ20において抵抗部長さLRが単位吐出量に及ぼす影響を確認するため、パウチ20の幅および高さが同一であり、抵抗部長さLRが異なる実施例12〜14の試料を用いて単位吐出量を測定した。図13に示されるように、実施例12〜14の試料のいずれを用いた場合でも単位吐出量に関して好ましい結果が得られた。また、比較例の試料を用いた場合よりも単位吐出量のばらつきが小さく、単位吐出量の平均値が目標値に近いことが確認された。抵抗部長さLRが140mm未満である場合、スパウトパウチ10の姿勢が保管時姿勢以外の姿勢から保管時姿勢に変更された後に第5空間35から第3空間33に速やかに内容物Cが流れることが確認された。これは、第2連通部62の通路62Aの幅が広く、第5空間35の内容物Cが第4空間34を通過しやすいことが関係していると考えられる。
【0062】
(変形例)
上記実施形態に関する説明は本発明に関するスパウトパウチセットが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関するスパウトパウチセットは例えば以下に示される上記実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0063】
・抵抗部50の構成は任意に変更可能である。第1例では、図14の変形例Aに示されるように、パウチ20は抵抗部50に代えて抵抗部50Pを含む。抵抗部50Pは不連続に形成された複数の抵抗部50P1を含む。パウチ20の幅方向において隣り合う抵抗部50P1の間に隙間50P2が形成される。アタッチメント100により圧縮動作が実施された場合、第1空間31の内容物Cの一部が隙間50P2を通過して第5空間35に流れる。ただし、隙間50P2を通過する内容物Cに大きな抵抗が与えられるため、隙間50P2を通過して第1空間31から第5空間35に流れる内容物Cの量が少なくなる。このため、第1空間31の内容物Cの多くがスパウト70の入口72に流入する。
【0064】
第2例では、図15の変形例Bに示されるように、パウチ20は抵抗部50に代えて抵抗部50Qを含む。抵抗部50Qは第3シール部43と平行するようにパウチ20の高さ方向に延びる。抵抗部50Qは第3シール部43と第4シール部44との間において第3シール部43寄りに設けられる。抵抗部50Qは第1端部50Q1および第2端部50Q2を含む。第1端部50Q1はパウチ20の高さ方向における抵抗部50Qの一方の端部であり、第1シール部41と繋がる。第2端部50Q2はパウチ20の高さ方向における抵抗部50Qの他方の端部であり、第2シール部42(図1参照)から離れた位置に設けられる。スパウトパウチ10が変形例Bの抵抗部50Qを含む場合でも、実施形態に例示されたスパウトパウチセット1の使用方法と同様の使用方法により内容物Cをスパウトパウチ10から吐出させることができる。抵抗部50Qの構成が実施形態の抵抗部50の構成と異なるため、アタッチメント100によりパウチ20が圧縮された場合の内容物Cの流れは実施形態に例示された内容とは一致しないが、スパウト70の入口72から離れる方向に移動しようとする内容物Cの一部の流れが抵抗部50Qにより妨げられるため、スパウト70の入口72に内容物Cが流入しやすい。スパウトパウチセット1がアタッチメント100を含むことにより、圧縮動作毎にパウチ20の圧縮される部位およびパウチ20の圧縮量にばらつきが生じにくい点は実施形態と同様であるため、スパウトパウチ10が変形例Bの抵抗部50Qを含む場合も圧縮動作毎の単位吐出量のばらつきが小さくなる。このスパウトパウチ10を含むスパウトパウチセット1に関する好ましい一例では、各アーム110、120の長手方向がパウチ20の高さ方向に沿うセット状態を形成できるようにアタッチメント100の各部分の寸法が設定される。この場合の好ましいセット状態の一例では、アタッチメント100の連結部130の内面131(図2参照)が第2シール部42の外縁40F(図1参照)近傍に位置し、各アーム110、120の一方の縁103が第3シール部43の内縁40Cまたは外縁40G近傍に位置し、各アーム110、120の先端部が第1シール部41の内縁40A近傍に位置する。各アーム110、120は少なくともパウチ20の周囲部240の全体をおおよそ均一に圧縮できるように構成される。周囲部240は第1シール部41の内縁40Aの第1部分40A1、抵抗部50Qの第1縁50Q3、第4境界線L4、および、第3シール部43の内縁40Cに囲まれた部分である。第4境界線L4は抵抗部50Qの第2縁50Q4上を通過する直線における第1角50Q5と第3シール部43の内縁40Cとの間の部分である。
【0065】
・アタッチメント100の構成は任意に変更可能である。アタッチメント100は圧縮動作毎の単位吐出量のばらつきが生じにくい構成を備えることが好ましい。第1例では、図16の変形例Cに示されるように、アタッチメント100は第1アーム110の先端部と第2アーム120の先端部とを繋げる第2連結部140をさらに含む。第2例では、図17の変形例Dに示されるように、アタッチメント100は連結部130に代えて結合部160を含む。各アーム110、120は分離している。結合部160は第1結合部161および第2結合部162を含む。一例では、各結合部161、162は、互いに結合された場合に各アーム110、120が相対的に接近するように各アーム110、120を回転させることができるように構成される。第1結合部161は第1アーム110の端部110Aに設けられる軸受である。第2結合部162は第2アーム120の端部120Aに設けられる軸である。第3例では、アタッチメント100は連結部130を含まない。各アーム110、120は分離している。各アーム110、120は好ましいセット状態が形成されるように各シート21、22と接着剤等により予め接合される。
【符号の説明】
【0066】
1 :スパウトパウチセット
10 :スパウトパウチ
20 :パウチ
21 :第1シート
22 :第2シート
24 :周囲部
30 :収容空間
31 :第1空間
32 :第2空間
40 :シール部
41 :第1シール部
41R:保持部
42 :第2シール部
50 :抵抗部(実施形態)
50P:抵抗部(変形例A)
50Q:抵抗部(変形例B)
61A:通路
70 :スパウト
72 :入口
100:アタッチメント
110:第1アーム
120:第2アーム
130:連結部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17