(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第一実施形態]
以下、本発明に係る第一実施形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明の光学モジュールを備えた電子機器の一例として、プリンター1(インクジェットプリンター)について、以下説明する。
【0018】
[プリンターの概略構成]
図1は、本実施形態のプリンター1の外観の構成例を示す斜視図である。
図2は、本実施形態のプリンター1の概略構成を示すブロック図である。
図3は、本実施形態のプリンター1の要部の構成を模式的に示す図である。
図1に示すように、プリンター1は、本発明の電子機器に相当し、ユニット筐体10と、供給ユニット11と、搬送ユニット12と、キャリッジ13と、キャリッジ移動ユニット14と、本発明の制御部に相当する制御ユニット15(
図2参照)と、メンテナンスユニット20と、を備えている。また、キャリッジ13には、
図3に示すように、印刷部16と、測色部17と、インクミスト等の異物から測色部17を保護するためのシャッター機構19と、が設けられている。
【0019】
このように構成されたプリンター1は、例えばパーソナルコンピューター等の外部機器30から入力された印刷データに基づいて、各ユニット11,12,14及びキャリッジ13を制御し、メディアM上に画像を印刷する。この画像として、例えば、濃度むらを補正するための補正用パターンを用いることができる。プリンター1は、測色部17によって補正用パターンを撮像し、当該補正用パターンの測色結果に基づいて色ずれの補正等の各種補正処理を行う。
以下、プリンター1の各構成について具体的に説明する。
【0020】
ユニット筐体10は、各ユニット11,12,14,15,20及びキャリッジ13が設けられる。このユニット筐体10は、+Z側に位置し、搬送ユニット12やメンテナンスユニット20等が配置される底面部101と、底面部101から−Z方向に立ち上る第一側面部102、第二側面部103、背面部104と、を備える。第一側面部102は−X側に位置し、第二側面部103は+X側に位置し、背面部104はX方向に沿って、第一側面部102と第二側面部103との間に位置する。
ここで、第一側面部102は、後述するシャッター機構19の第一端部194が当接する面であり、第二側面部103は、シャッター機構19の第二端部195が当接する面である。なお、図示を省略するが、プリンター1は、ユニット筐体10の少なくとも一部を覆う外装筐体を備える。
【0021】
供給ユニット11は、測定対象となるメディアM(本実施形態では、紙面を例示)を、画像形成位置に供給するユニットである。この供給ユニット11は、例えばメディアMが巻装されたロール体111(
図1参照)、ロール駆動モーター(図示略)、及びロール駆動輪列(図示略)等を備える。そして、制御ユニット15からの指令に基づいて、ロール駆動モーターが回転駆動され、ロール駆動モーターの回転力がロール駆動輪列を介してロール体111に伝達される。これにより、ロール体111が回転し、ロール体111に巻装された紙面がY方向(副走査方向)における下流側(+Y方向)に供給される。
なお、本実施形態では、ロール体111に巻装された紙面を供給する例を示すがこれに限定されない。例えば、トレイ等に積載された紙面等のメディアMをローラー等によって例えば1枚ずつ供給する等、如何なる供給方法によってメディアMが供給されてもよい。
【0022】
搬送ユニット12は、供給ユニット11から供給されたメディアMを、Y方向に沿って搬送する。この搬送ユニット12は、搬送ローラー121と、搬送ローラー121とメディアMを挟んで配置され、搬送ローラー121に従動する従動ローラー(図示略)と、プラテン122と、を含んで構成されている。
搬送ローラー121は、図示略の搬送モーターからの駆動力が伝達され、制御ユニット15の制御により搬送モーターが駆動されると、その回転力により回転駆動されて、従動ローラーとの間にメディアMを挟み込んだ状態でY方向に沿って搬送する。また、搬送ローラー121のY方向の下流側(+Y側)には、キャリッジ13に対向するプラテン122が設けられている。
【0023】
キャリッジ13は、メディアMに対してインクを吐出して画像を印刷する印刷部16と、メディアM上の画像の色を測定する測色部17、シャッター機構19と、を搭載する筐体である。なお、測色部17は、本発明の測定装置に相当し、測色部17及びシャッター機構19により本発明の光学モジュール100(
図3参照)が構成される。
このキャリッジ13は、キャリッジ移動ユニット14によって、主走査方向(X方向)に沿って移動される。なお、キャリッジ13、印刷部16、測色部17、及びシャッター機構19の詳細な構成については後述する。
以降の説明にあたり、主走査方向(X方向)における、−X側をHome側と称し、+X側をFull側と称す場合がある。ここで、Homeとは、印刷処理を実施しない待機状態に、キャリッジ13が退避される位置である。また、Fullは、Homeとは反対側である。
【0024】
キャリッジ移動ユニット14は、制御ユニット15からの指令に基づいて、キャリッジ13をX方向に沿って往復移動させる。
このキャリッジ移動ユニット14は、例えば、
図1に示すように、キャリッジガイド軸141と、キャリッジモーター142と、タイミングベルト143と、を含んで構成されている。
キャリッジガイド軸141は、X方向に沿って配置され、両端部がプリンター1の例えば筐体に固定されている。キャリッジモーター142は、タイミングベルト143を駆動させる。タイミングベルト143は、キャリッジガイド軸141と略平行に支持され、キャリッジ13の一部が固定されている。そして、制御ユニット15の指令に基づいてキャリッジモーター142が駆動されると、タイミングベルト143が正逆走行され、タイミングベルト143に固定されたキャリッジ13がキャリッジガイド軸141にガイドされて往復移動する。
【0025】
メンテナンスユニット20は、印刷部16が備える後述するノズルユニット161(
図3参照)のメンテナンスを行う際に用いられる。このメンテナンスユニット20は、
図1及び
図3に示すように、プリンター1のHome位置に設けられている。プリンター1は、メンテナンス時に、キャリッジ13をHome位置まで移動させた後、ノズルユニット161が備えるノズルからインクを吸引する、キャップや吸引ポンプ等(図示略)を備えている。
【0026】
制御ユニット15は、
図2に示すように、I/F151と、ユニット制御回路152と、メモリー153と、CPU(Central Processing Unit)154と、を含んで構成され
ている。
I/F151は、外部機器30から入力される印刷データをCPU154に入力する。
ユニット制御回路152は、供給ユニット11、搬送ユニット12、キャリッジ移動ユニット14、メンテナンスユニット20、印刷部16、及び測色部17をそれぞれ制御する制御回路を備えており、CPU154からの指令信号に基づいて、各ユニットの動作を制御する。なお、各ユニットの制御回路が、制御ユニット15とは別体に設けられ、制御ユニット15に接続されていてもよい。
【0027】
メモリー153は、プリンター1の動作を制御する各種プログラムや各種データを記憶している。各種データとしては、例えば、印刷データとして含まれる色データに対する各インクの吐出量を記憶した印刷プロファイルデータ等が挙げられる。また、後述する光源179の各波長に対する発光特性や、分光デバイス173Aの分光特性等が記憶されていてもよい。
【0028】
CPU154は、メモリー153に記憶された各種プログラムを読み出し実行することで、供給ユニット11、搬送ユニット12、及びキャリッジ移動ユニット14の駆動制御、印刷部16の印刷制御、測色部17の測定制御、並びに、測色部17の測定結果に基づく補正処理(例えば濃度むらの補正処理や、色ずれの補正処理)等を実施する。CPU154の具体的な機能については後述する。
【0029】
[キャリッジの構成]
次に、キャリッジ13及び、当該キャリッジ13に設けられる印刷部16、測色部17、及びシャッター機構19の構成について説明する。
図3に示すように、キャリッジ13は、印刷部16と、測色部17と、シャッター機構19と、を搭載する筐体であり、キャリッジ移動ユニット14によって主走査方向(X方向)に沿って移動可能に構成される。これらのうち印刷部16、及び測色部17は、フレキシブル回路130(
図1参照)によって制御ユニット15に接続され、制御ユニット15から制御信号に基づいて駆動される。
また、後に詳述するが、シャッター機構19が備えるシャッター192は、X方向に沿ったキャリッジ13の移動に応じて、測色部17の窓部176A(
図4参照)を閉塞する状態と、窓部176Aを開放する状態(測色部17への光の入射が可能となる状態)と、を変更可能に構成されている。
【0030】
[印刷部の構成]
印刷部16は、制御ユニット15からの指令信号に基づいて、メディアMと対向する部分に、インクを個別にメディアM上に吐出して、メディアM上に画像を形成する印刷処理(メディアMに対する画像形成処理)を行う。
この印刷部16は、
図3に示すように、複数色のインクに対応したノズルユニット161と、各ノズルユニット161にインクを供給するインクカートリッジ(図示略)と、インクカートリッジからノズルユニット161にインクを供給する供給管(図示略)と、を含み構成される。
ノズルユニット161は、メディアMに吐出する色毎(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ、グレー、ライトグレー、マットブラック、フォトブラック等)に対応してそれぞれ設けられている。これらノズルユニット161は、インク滴を吐出するノズル(図示略)が設けられている。これらのノズルには、例えばピエゾ素子が配置されており、ピエゾ素子を駆動させることで、インクタンクから供給されたインク滴が+Z側に吐出されてメディアMに着弾し、ドットが形成される。
【0031】
[測色部の構成]
図4は、測色部17の概略構成を示す断面図である。なお、
図4では、窓部176Aが開放された状態(シャッター192が窓部176Aから離れた位置(開放位置)に移動した状態)での測色部17の構成を示している。
測色部17は、
図4に示すように、基台171と、基台171に固定された基板保持部172と、基板保持部172に保持される分光デバイス保持基板173及び受光素子保持基板174と、カバー部175と、を備えている。
【0032】
基台171は、メディアMの測定位置にて反射された光が通過する測定光導入部176と、光源179が配置される光源配置部177とを備える。
測定光導入部176は、例えばZ方向に沿った貫通孔であり、+Z側端部に、窓部176Aが配置されている。また、測定光導入部176の−Z側には、例えばアパーチャー178Aや入射レンズ178B等の入射光学系を保持する光学保持部178が固定されている。窓部176A、アパーチャー178A、入射レンズ178Bの光軸は、後述する分光デバイス173Aや、受光素子174Aの光軸と一致し、本発明の測定光軸Lを構成する。なお、分光デバイス173A及び受光素子174Aは、本発明の測定部に相当する。
【0033】
光源配置部177は、例えば、中心軸が+Z側に向かうに従って、測定光軸Lに近接する筒状孔部177Aを有する。この筒状孔部177Aの−Z側には、光源179が配置されている。光源179としては、例えばLEDを例示でき、LEDが設けられたLED基板を筒状孔部177Aの−Z側端部に例えばねじ止め等により固定することで、基台171に対してLED(光源179)が固定される。なお、光源179を保持する基板(LED基板等)は、後述するコネクター175Bに接続されている。
また、筒状孔部177Aの+Z側端部は、光源179の光が出射される照明窓177Bとなる。シャッター192が開放位置に位置する場合、
図4に示すように、照明窓177Bも開放され、プラテン122上に載置されたメディアMに対向する。この状態で光源179が発光されると、光源179の光が、メディアMと、測定光軸Lとの交点を中心とした所定範囲の測定位置Pに照射される。なお、本実施形態では、測色規格(JIS Z 8722)により規定された光学的幾何条件における(45°x:0°)の方式に従って分光測定を実施する。すなわち、本実施形態では、光源179からの照明光を測定位置Pに対して45°±2°の入射角で入射され、測定対象にて0°±10°で法線方向に反射された光が測定光軸Lに沿って受光素子174Aに入射する。
【0034】
また、基台171のメディアM(プラテン122)に対向する基台底面171Aのうち、少なくともシャッター192が窓部176Aを閉塞する閉塞位置に移動した際に、シャッター192と対向する部分には、表面に複数の凹凸が形成された乱反射部171B(
図7参照)が形成されている。
この乱反射部171Bは、例えば基台底面171Aをエッチング処理や、ブラスト処理等により所定寸法掘り下げて複数の凹部を形成する(粗面を形成する)ことで形成される。
また、少なくとも基台171のうち乱反射部171Bが設けられる部分は、例えば白色等の各波長に対する反射率が高い色(例えば各波長に対する反射率が99%以上となる白色)を有することが好ましく、例えば、基台171自体を当該色の素材により構成してもよく、基台171に白色塗料を塗布してもよい。
【0035】
基板保持部172は、基台171に対して、例えばねじ止め等によって固定されている。この基板保持部172には、分光デバイス保持基板173及び受光素子保持基板174が固定される。
分光デバイス保持基板173は、分光デバイス173Aが保持された基板であり、分光デバイス173Aの光軸(測定光軸L)上に貫通孔を有する。分光デバイス保持基板173は、光学保持部178の−Z側の位置で、かつ、分光デバイス173Aの光軸が測定光軸Lと一致する位置で、基板保持部172に固定される。なお、分光デバイス173Aは、入射光から特定の波長の光と透過させる光学装置であり、例えば、エタロン素子や、液晶チューナブルフィルター(LCTF)や、音響光学可変波長フィルター(AOTF)等を例示できる。なお、分光デバイス保持基板173には、分光デバイス173Aを制御する各種回路が設けられ、当該回路はコネクター175Bに接続されている。
【0036】
受光素子保持基板174は、受光素子174Aが保持された基板である。受光素子保持基板174は、分光デバイス保持基板173の−Z側の位置で、かつ、受光素子174Aの光軸が測定光軸Lと一致する位置で、基板保持部172に固定される。また、受光素子保持基板174は、受光素子174Aを制御する各種回路を備え、当該回路はコネクター175Bに接続されている。
【0037】
カバー部175は、
図4に示すように、例えば、基台171の外周縁に固定され、基台171とともに、基板保持部172、分光デバイス保持基板173、受光素子保持基板174、及び光学保持部178を収納する閉空間(暗空間)を形成する。
また、カバー部175の一部には、開口175Aが設けられ、当該開口175Aには、コネクター175Bが設けられている。このコネクター175Bは、制御ユニット15と電気的に接続されており、光源179や、分光デバイス保持基板173、受光素子保持基板174に、制御ユニット15からの制御信号を伝達する。
【0038】
[シャッター機構の構成]
図5及び
図6は、シャッター機構19を備えたキャリッジの概略構成を示す断面図である。
図5は、シャッター192が、窓部176Aを開放する開放位置に位置する際の断面図であり、
図6は、シャッター192が、窓部176Aを閉塞するする閉塞位置に位置する際の断面図である。
本実施形態で示すシャッター機構19は、キャリッジ13、シャッター192を有するシャッター保持部191、及びユニット筐体10により構成されている。
具体的には、キャリッジ13の底部131には、
図5及び
図6に示すように、Z方向において測色部17(窓部176A)と重なる位置に、メディアMからの反射光を測色部17へ入射させる開口部132が形成されている。また、キャリッジ13の±X側の側面133には、シャッター保持部191が挿通される挿通孔134が形成されている。この挿通孔134の+Z側の面は、XY平面に平行な平坦面であり、キャリッジ13の底部131における上面131A(−Z側の面)と面一となる。
さらに、±X側の挿通孔134の少なくともいずれか一方(本実施形態では+X側の挿通孔134)には、シャッター保持部191を位置決めするための位置決め機構135が配置されている。位置決め機構135としては、例えば、挿通孔134内又はシャッター保持部191のいずれか一方に設けられる係止突起と、他方に設けられて係止突起を係合する係合穴とを備える構成等が例示できる。
【0039】
シャッター保持部191は、
図5及び
図6に示すように、例えばX方向に長手の平板形状に形成されている。このシャッター保持部191の一部にはシャッター192が設けられており、当該シャッター192の+X側で距離mだけ離れた位置に、光通過部193が設けられている。
シャッター192は、窓部176Aを閉塞する部分である。シャッター192の具体的な構成は後述する。
また、光通過部193は、測定位置Pからの反射光を測色部17に通過させる部分である。光通過部193としては、例えば、シャッター保持部191をZ方向に貫通する貫通孔により構成されてもよく、当該貫通孔にガラス板等の透光性の光学部材が嵌合されていてもよい。
【0040】
そして、シャッター保持部191は、下面(+Z側の面)がキャリッジ13の底部131の上面131Aに摺動可能に載置されるとともに、両端部が挿通孔134に挿通されており、キャリッジ13をX方向に貫通して配置されている。
すなわち、シャッター保持部191の−X側端部(第一端部194)は、キャリッジ13の−X側の挿通孔134を介して−X側に突出し、シャッター192の+X側端部(第二端部195)は、キャリッジ13の+X側の挿通孔134を介して+X側に突出する。そして、これらの第一端部194及び第二端部195はフランジ形状に形成されており、これにより、シャッター保持部191のキャリッジ13からの抜け落ちが抑制される。
【0041】
このような構成のシャッター機構19では、キャリッジ13の移動によって、窓部176Aがシャッター192により開閉される。具体的には、キャリッジ13が+X側の端部(FULL位置)に移動されると、第二端部195がユニット筐体10の第二側面部103に当接され、
図5に示すように、キャリッジ13に対してシャッター保持部191が−X側に所定の距離mだけ移動する(開放位置)。これにより、光通過部193が、窓部176Aに対向し、測色部17に測定位置Pからの反射光が入射可能となる。
一方、キャリッジ13が−X側の端部(HOME位置)に移動されると、第一端部194がユニット筐体10の第一側面部102に当接され、
図6に示すように、キャリッジ13に対してシャッター保持部191が+X側に所定の距離mだけ移動する(閉塞位置)。これにより、窓部176Aにシャッター192が対向し、シャッター192により閉塞される。
【0042】
次に、本実施形態のシャッター192の具体的な構成について説明する。
図7は、シャッター192が閉塞位置に移動された際の光学モジュール100のシャッター192近傍の概略構成を示す断面図である。
シャッター192は、
図7に示すように、基台171に対向するシャッター面192Aと、シャッター面192Aの外周縁から−Z側に立ち上がる枠部192Bとを備える。
【0043】
シャッター面192Aは、プラテン122(メディアM)と略平行なXY平面に略平行な平面である。シャッター面192Aの位置としては、シャッター保持部191の上面(測色部17に対向する面)と面一であってもよく、シャッター保持部191の上面と異なる面であってもよい。
また、シャッター面192Aは、シャッター192が閉塞位置に位置する際に、基台171の窓部176A及び照明窓177Bに対向して位置する。
このシャッター面192Aには、測色処理における基準値を測定するための白色基準板192Cが設けられている。本実施形態では、シャッター面192Aの全面に対して白色基準板192Cが設けられている。また、白色基準板192Cのうち、測定光軸Lと交点を中心とした所定範囲であり、窓部176Aに対向する領域が、測色部17により測定される基準測定位置Qとなる。
【0044】
枠部192Bは、シャッター面192Aの外周縁に亘って設けられている。ここで、シャッター192が閉塞位置に位置する際に、枠部192Bによって囲われる領域内に窓部176A及び照明窓177Bが位置する。
また、枠部192Bの−Z側の端面は、基台171に接している。よって、シャッター面192Aは、枠部192Bの突出寸法分だけ、基台171から離れた位置に窓部176Aを閉塞する。
上述したように、基台171には、複数の凹凸を有する乱反射部171Bが設けられているが、当該乱反射部171Bの凸部先端が、基台171の基台底面171Aと同一面となる。よって、シャッター192の移動時における、乱反射部171Bの凸部への枠部192Bの干渉が抑制される。
このような構成では、インクミスト等の異物のシャッター192の内部(シャッター面192Aと、枠部192Bと、基台171とに囲われる空間)への侵入が抑制されている。また、シャッター192の内部が暗空間となることで、外光の影響を抑制した測定を実施できる。例えば暗電圧の測定等を精度良く行うことができる。
なお、本実施形態では、枠部192Bが基台171に当接する構成を示すが、枠部192Bと基台171との間に所定寸法の隙間を設けてもよい。当該隙間としては、インクミスト等の異物の平均径寸法以下の寸法とすることで、異物の侵入が抑制可能となる。
【0045】
[閉塞位置での白色基準板への導光]
白色基準板192Cを用いて基準値を測定する場合、測定位置Pを測定する際の測定環境と、白色基準板192Cを測定する際の測定環境を略同じとすることが好ましい。
すなわち、
図4に示すようにシャッター192が開放位置に位置し、測定位置Pに対する測定を実施する場合、光源179からの光は、光源179の光軸を中心として照明窓177Bから拡散して出射され、出射光のうち、光軸に沿った一部の光が測定位置Pに到達する。したがって、白色基準板192Cの測定においても、測定位置Pの測定時に測定位置Pに照射される光の光量と同じ光量を白色基準板192Cの基準測定位置Qに照射することが好ましい。
しかしながら、シャッター192のシャッター面192Aに白色基準板192Cを配置する構成では、白色基準板192Cが測定位置Pよりも測色部17側に位置することになる。よって、単に、窓部176Aを閉塞するシャッター192に白色基準板192Cを設ける構成では、白色基準板192Cに到達する照明光の光量が少なく、白色基準板192Cの測定精度が低下する。
【0046】
これに対して、本実施形態では、基台171の基台底面171Aに設けられた乱反射部171Bが、本発明における導光手段を構成し、基準測定位置Qに照射される光の光量を増大させる。
具体的には、
図7に示すように、基台171の基台底面171Aには、シャッター192が閉塞位置に位置する際に、シャッター面192Aに対向する面に乱反射部171Bが設けられている。本実施形態では、閉塞位置において、シャッター面192Aは、照明窓177Bの外側(窓部176Aとは反対側)の領域までを覆う。したがって、乱反射部171Bは、窓部176Aと照明窓177Bとの間の基台底面171Aだけではなく、照明窓177Bの窓部176Aとは反対側の基台底面171Aにも設けられる。
なお、乱反射部171Bは、測定光軸Lを中心とした基準測定位置Qに対向する領域以外に設けられていればよく、例えば、乱反射部171Bが、光源配置部177の筒状孔部177Aのうち、シャッター面192Aに対向する位置にも設けられる構成としてもよい。
【0047】
照明窓177Bから出射されて拡散された光(照明光)は、一部が白色基準板192Cの窓部176Aに対向する位置(基準測定位置Q)に照射され、残りが基準測定位置Q以外に照射される。ここで、本実施形態では、照明窓177Bから基準測定位置Qに直接照射される光の光量は少ない。しかしながら、白色基準板192Cは、各波長に対する光の反射率が例えば99%を超える反射特性を有する。したがって、白色基準板192Cの基準測定位置Q以外の部分に照射された光は、当該白色基準板192Cにより反射され、基台171側に向かう。この反射光のうち、基台171の乱反射部171Bに到達した光は、当該乱反射部171Bにより乱反射され、様々な方向に光が拡散される。以上のような白色基準板192Cでの正反射と乱反射部171Bでの乱反射とが繰り返されることで、基台171と白色基準板192C(シャッター面192A)との間で光の光量が均一化され、その結果、白色基準板192Cの基準測定位置Qに均一化された光が照射される。
この場合、例えば、導光手段である乱反射部171Bが設けられていない場合に比べて、基準測定位置Qに到達する照明光の光量が増大する。これにより、測色部17において、精度良く白色基準板192Cの測定を行うことができる。
【0048】
[CPUの機能構成]
図8は、CPU154の機能構成を示したブロック図である。
CPU154は、メモリー153に記憶された各種プログラムを読み出し実行することで、
図8に示すように、走査制御手段154A、印刷制御手段154B、測定制御手段154C、及び補正手段154Dとして機能する。
【0049】
走査制御手段154Aは、供給ユニット11、搬送ユニット12、及びキャリッジ移動ユニット14を駆動させる旨の指令信号をユニット制御回路152に出力する。これにより、ユニット制御回路152は、供給ユニット11のロール駆動モーターを駆動させて、メディアMを搬送ユニット12に供給させる。また、ユニット制御回路152は、搬送ユニット12の搬送モーターを駆動させて、メディアMの所定領域をプラテン122のキャリッジ13に対向する位置まで、Y方向に沿って搬送させる。また、ユニット制御回路152は、キャリッジ移動ユニット14のキャリッジモーター142を駆動させて、キャリッジ13をX方向に沿って移動させる。
【0050】
また、走査制御手段154Aは、シャッター192の位置を変更する際に、キャリッジ移動ユニット14を駆動させる旨の指令信号をユニット制御回路152に出力する。これにより、ユニット制御回路152は、シャッター192を閉塞位置に移動させる場合、キャリッジ13をHomeに移動させ、開放位置に移動させる場合、キャリッジ13をFullに移動させる。
【0051】
印刷制御手段154Bは、印刷制御部に相当し、例えば外部機器30から入力された印刷データに基づいて、供給ユニット11、搬送ユニット12、キャリッジ移動ユニット14、及び印刷部16を駆動制御する旨の印刷指令信号をユニット制御回路152に出力する。ユニット制御回路152は、印刷部16に印刷制御信号を出力し、ノズルに設けられたピエゾ素子を駆動させてメディアMに対してインクを吐出させる。
【0052】
測定制御手段154Cは、測色部17を駆動する旨の測定指令信号を、ユニット制御回路152に出力し、測色部17に測定処理を実施させて、測定位置Pに対する各波長の反射率を取得する。
また、測定制御手段154Cは、白色基準板192Cの測定結果を基準値とし、メディアMに対する測定結果から、メディアMの各波長の光に対する反射率を測定する。
具体的には、測定制御手段154Cは、シャッター192が閉塞位置に移動され、光源179が点灯されている際の測色部17からの測定結果(各波長の光に対する受光量の測定結果)を基準値Wとして、測色部17から取得する。
また、測定制御手段154Cは、シャッター192が閉塞位置に移動され、光源179が消灯されている際の測色部17からの測定結果を暗電圧値Dとして、測色部17から取得する。
さらに、測定制御手段154Cは、シャッター192が閉塞位置に移動され、光源179が消灯されている際の測色部17からの測定結果を、メディアMの実測値Sとして取得する。
この後、測定制御手段154Cは、実測値S、基準値W、及び暗電圧値Dを用いて、メディアMの測定位置Pにおける各波長の反射率xを、例えばx=(S−D)/Wにより算出する。
【0053】
補正手段154Dは、測色部17により得られた各波長に対する反射率に基づいて、各種補正処理を実施する。補正処理としては、例えば、濃度むらや色ずれの補正等が挙げられる。
【0054】
[プリンターの動作]
次に、本実施形態のプリンター1の動作の一例として、色ずれの補正処理について、図面に基づいて説明する。
図9は、プリンター1における補正処理の一例を示すフローチャートである。
本実施形態のプリンター1による補正処理は色ずれ、例えば、電源投入時や、補正処理の実行指示を受けた場合に実施される。プリンター1は、メディアMに対する測定処理等の本測定実施時には、シャッター192を開放位置に移動させ、それ以外の場合、例えば待機時や白色基準板192Cの測定時、画像の印刷処理時等には、シャッター192を閉塞位置に移動させる。
【0055】
図9に示す補正処理では、まず、走査制御手段154Aは、キャリッジ13をHOMEに移動させ、シャッター192を閉塞位置に移動させる(ステップS1)。
この後、印刷制御手段154Bは、色ずれ補正用のパターン画像をメディアMに印刷する(ステップS2)。なお、色ずれ補正用のパターン画像は、例えば、互いに色が異なる複数のカラーパッチがX方向及びY方向に沿って配置されたカラーチャート等を例示できる。
この際、シャッター192が閉塞位置に位置するため、印刷時におけるインクミスト等の異物の測色部17内への侵入が抑制される。
【0056】
次に、測定制御手段154Cは、測色部17の光源179を消灯させたまま、受光素子174Aの出力(つまり暗電圧)を検出して暗電圧値を測定する(ステップS3)。
この際、受光素子174Aからの出力値が、所定値を超える場合、シャッター192によって窓部176Aが閉塞されていない可能性がある。したがって、所定値以上の出力値を検出した場合、走査制御手段154Aは、キャリッジ13をHome位置に移動させ、シャッター192を閉塞位置に移動させてもよい。これにより、キャリッジ13の移動時にシャッター192が閉塞位置から移動していた場合でも、当該シャッター192の移動を検出することができ、シャッター192を閉塞位置へ移動させることができる。
【0057】
次に、測定制御手段154Cは、測色部17を駆動させて白色基準板192Cの分光測定を行う(ステップS4)。つまり、測定制御手段154Cは、光源179を点灯させて白色基準板192Cを照明し、当該白色基準板192Cからの反射光について複数の測定波長について基準値を取得する。
この際、光源179を点灯させると、導光手段である乱反射部171Bにより照明光が拡散され、白色基準板192Cの基準測定位置Qに照射される光の光量が増大する。
【0058】
なお、光源179への出力電圧(光源電圧)を適宜調整してもよい。
例えば、シャッター192を開放位置に移動させた際に、測定位置Pに配置された白色基準板192Cを測定した第1の基準値を予め測定する。また、シャッター192を閉塞位置に移動させた際の白色基準板192Cの第2の基準値を、光源179に対する光源電圧を変化させながら取得する。そして、第1の基準値と第2の基準値との差分が、所定の許容値以下となる光源電圧を取得し、白色基準板192Cを測定する際の光源179への光源電圧としてメモリー153に記憶しておく。当該光源電圧の設定は、例えば工場等においてプリンター1の製造時に予め実施されてもよく、ユーザーにより任意のタイミングで実施されてもよい。
【0059】
この後、走査制御手段154Aは、キャリッジ13をFullに移動させ、シャッター192を開放位置に移動させる(ステップS5)。
そして、測定制御手段154Cは、測色部17を駆動させてパターン画像(各カラーパッチ)に対する分光測定処理を行い、実測値を取得する(ステップS6)。
ステップS6の分光測定処理が終了したら、走査制御手段154Aは、キャリッジ13をHome位置に移動させ、シャッター192を閉塞位置に移動させる(ステップS7)。
【0060】
次に、測定制御手段154Cは、得られた基準値、暗電圧値、及び実測値に基づいて、各カラーパッチに対する測色結果(各波長に対する反射率データ)を算出する(ステップS8)。
そして、補正手段154Dは、ステップS8により得られた測色結果に基づいて、色ずれの補正処理を行う(ステップS9)。例えば、補正手段154Dは、各カラーパッチに対する測色結果と、各カラーパッチの各波長に対する反射率基準値との差分値を算出する。そして、当該差分値が所定の閾値を超えている場合に、当該差分値に応じた補正値を算出して、メモリー153に記憶されている印刷プロファイルデータを更新する。
【0061】
[第一実施形態の作用効果]
本実施形態のプリンター1は、X方向に移動可能なキャリッジ13に搭載される測色部17と、測色部17の基台171に設けられる窓部176Aを閉塞可能なシャッター192を備えたシャッター機構19とを備える。このシャッター192は、基台171に対向するシャッター面192Aに白色基準板192Cが設けられており、当該白色基準板192Cは、シャッター192が閉塞位置に移動した際に、測定位置Pよりも測色部17側に配置される。そして、本実施形態では、基台171のシャッター面192Aに対向して乱反射部171Bが設けられており、この乱反射部171Bによって、光源179からの光を乱反射させることで、白色基準板192Cの基準測定位置Qに光源179の光を導く。
【0062】
このような構成では、シャッター192によって、窓部176Aが閉塞されることで、窓部176Aから測色部17の内部への異物の侵入を抑制できる。よって、インクミスト等が測色部17の各部材に付着することによる、測色部17の劣化を抑制でき、測色部17の測定精度の低下を抑制できる。また、シャッター192に白色基準板192Cが設けられているので、例えばプラテン122等に別途白色基準板192Cを設ける必要がない。さらに、白色基準板192Cがシャッター192のシャッター面192Aに設けられるので、白色基準板192Cへの異物の付着をも抑制できる。
そして、本実施形態では、白色基準板192Cが測定位置Pよりも測色部17側に位置するが、導光手段である乱反射部171Bにより、光源179からの光が乱反射されて、白色基準板192Cの基準測定位置Qに照射される。このため、基準測定位置Qに照射される光の光量が増大し、白色基準板192Cに対して精度の高い測定を実施することができ、高精度な基準値を得ることができる。
したがって、測定制御手段154Cは、高精度な基準値に基づいて、メディアMに対する反射率を精度良く算出することができる。
【0063】
本実施形態では、基台171の基台底面171Aのうち、シャッター192が閉塞位置に移動した際にシャッター192に対向する位置に乱反射部171Bが設けられている。このため、光源179からの光を、白色基準板192Cと、乱反射部171Bとの間で複数回乱反射させることができ、基準測定位置Qに到達させる光の光量を増大させることができる。
また、照明光がシャッター192と基台171との間で乱反射を繰り返すことで、基準測定位置Qに到達させる光の光量が均一化される。よって、例えば、受光素子174Aが複数の画素を有し、測色部17により分光画像を取得する場合等において、照明ムラの発生を抑制でき、適正な基準値を測定することができる。
【0064】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態について説明する。
上記第一実施形態では、本発明の導光手段として、基台171に設けられた乱反射部171Bを例示したが、第二実施形態では、導光手段を構成する部材が、上記第一実施形態と相違する。
【0065】
図10は、第二実施形態において、シャッター192が閉塞位置に移動された際の光学モジュール100Aのシャッター192近傍の概略構成を示す断面図である。なお、以降の説明にあたり、既に説明した構成については同符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
第二実施形態では、
図10に示すように、基台171の基台底面171Aには、乱反射部171Bが設けられていない。
【0066】
また、第二実施形態では、シャッター192は、シャッター面192A(白色基準板192C)と枠部192Bとに囲われるスペース内において、本発明の透光部材である透光板196が設けられている。
図10に示すように、透光板196は、基台171の窓部176A及び照明窓177Bを覆って設けられている。すなわち、基台171の窓部176Aを中心とし、照明窓177Bの外側(窓部176Aとは反対側)の所定領域の範囲までを覆う。
この透光板196は、測色部17に対向する第一面196Aと、第一面196Aとは反対側の面であって、シャッター面192A(白色基準板192C)に対向する第二面196Bとを備える。そして、この透光板196には、第一面196Aにおいて、測定光軸Lから見た平面視で基準測定位置Qと重なる位置以外の領域に乱反射部196Cが設けられている。当該乱反射部196Cは、本発明の導光手段を構成する。
また、透光板196の第二面196Bは、白色基準板192Cに密着されている。これにより、透光板196と白色基準板192Cとの間の隙間により干渉縞が生じる不都合が抑制される。
【0067】
このような光学モジュール100Aでは、光源179から出射された光は、照明窓177Bから透光板196に入射される。透光板196の照明窓177Bに対向する第一面196Aには、乱反射部196Cが設けられているので、光源179からの光は、照明窓177Bから透光板196に入射する際に、乱反射部196Cで散乱され、透光板196内に散乱する。透光板196に入射された光は、第一実施形態と同様、白色基準板192Cにて反射され、第一面196Aに設けられた乱反射部196Cによって乱反射されることで、さらに透光板196内で拡散される。以上のような乱反射が繰り返されることで、透光板196内において、光源179からの光が均一化されて、白色基準板192Cの基準測定位置Qに到達する。
よって、第一実施形態と同様、本実施形態においても、基準測定位置Qに照射される光の光量が増大し、白色基準板192Cに対して精度の高い測定を実施することができ、高精度な基準値を得ることができる。
【0068】
また、透光板196が照明窓177Bを覆って設けられている。
透光板196が照明窓177Bの一部のみを覆っている場合、透光板196により覆われていない部分から出射された光が、透光板196外に逃げ、基準測定位置Qに照射される光の光量が減少する。これに対して、本実施形態では、照明窓177Bから出射された光のうち、透光板196に入射されない光が減少し、基準測定位置Qに照射される光の光量を増大させることができる。
【0069】
さらに、透光板196の第一面196Aにおいて、照明窓177Bに対向する位置にも乱反射部196Cが設けられている。これにより、白色基準板192Cにて反射された光が、照明窓177Bに対向する乱反射部196Cにおいても光が乱反射され、照明窓177Bから筒状孔部177A内に抜ける光の光量を減少できる。
【0070】
[第三実施形態]
上記第一実施形態及び第二実施形態では、本発明の導光手段として、光源179からの光を乱反射させることで、白色基準板192Cの基準測定位置Qに導く例を示した。これに対して、第三実施形態では、導光手段が、光源179からの光を基準測定位置Qに向かって屈折させる点で上記実施形態と相違する。
【0071】
図11は、第三実施形態において、シャッター192が閉塞位置に移動された際の光学モジュール100Bのシャッター192近傍の概略構成を示す断面図である。
第三実施形態の光学モジュール100Bでは、シャッター192は、シャッター面192Aと白色基準板192Cと枠部192Bとに囲われるスペース内において、プリズム197が設けられている。
なお、本実施形態では、プリズム197により、光源179からの光を基準測定位置Qに向かって屈折させるため、白色基準板192Cにおいて反射させる必要がない。よって、本実施形態では、
図11に示すように、白色基準板192Cは、シャッター面192Aのうち基準測定位置Qに対応する位置(窓部176Aに対向する位置)に設けられている。なお、白色基準板192Cとしては、第一実施形態や第二実施形態と同様に、シャッター面192Aの全体に亘って設けられていてもよい。
【0072】
プリズム197は、各照明窓177Bに対してそれぞれ設けられ、それぞれ、照明窓177Bを覆って配置されている。また、基準測定位置Q上(窓部176Aに対向する位置)には、プリズム197は設けられていない。すなわち、プリズム197は、照明窓177Bに対向して照明窓177Bを覆う第一面197Aと、白色基準板192Cの基準測定位置Qから窓部176Aの間の測定光軸Lに沿った空間に面する第三面197Bとを備える。
【0073】
図12は、プリズム197内での光源179から出射された光の光路を示す概略図である。
これらのプリズム197は、
図12に示すように、屈折率が異なる複数の光学層197Dにより構成されている。このため、
図12に示すように、隣り合う光学層197Dの界面において屈折率の比に応じた角度で光が屈折する。
これにより、
図11に示すように、照明窓177Bに対向する第一面197Aに入射された光源179からの光は、プリズム197内で進行方向が変更され、第三面197Bから基準測定位置Qに向かって、例えば測色規格(JIS Z 8722)に応じた角度(45°)で出射される。
なお、
図12に示すプリズム197は、光源179からの光を基準測定位置Qに導くための一例であり、これに限定されるものではなく、より多くの光学層197Dにより屈折方向が制御されていてもよい。また、第三面197Bがシャッター面192Aに対して垂直となる例を示すが、例えばシャッター面192Aに対して傾斜していてもよい。
【0074】
本実施形態の光学モジュール100Bでは、プリズム197によって光源179から出射された光が屈折されて、基準測定位置Qに導かれる。したがって、上記第一実施形態や第二実施形態と同様に、基準測定位置Qに照射される光の光量が増大することで、白色基準板192Cの測色精度を向上させることができる。
また、基準測定位置Qに対して、所望の角度(例えば測色規格に応じた角度)で光を照射することができ、測色部17により測定位置Pの測定を実施する場合と、同じ測定条件で基準測定位置Qの測定を実施することができる。
【0075】
[変形例]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
[変形例1]
例えば、第一実施形態において、基台171の基台底面171Aのうちシャッター面192Aに対向する位置に乱反射部171Bを設ける例を示したが、これに限定されず、例えば、シャッター192側にも導光手段である乱反射部を設けてもよい。
この場合、例えば、第三実施形態と同様に、白色基準板192Cを窓部176Aに対向する領域のみに設け、シャッター面192Aに乱反射部を形成する。或いは、白色基準板192Cの基準測定位置Q以外の領域に乱反射部を形成してもよい。
【0076】
[変形例2]
また、第二実施形態において、透光板196の第一面196Aのみに乱反射部196Cを設ける構成を例示したが、これに限定されない。
図13は、変形例2に係る光学モジュール100Cにおいて、シャッター192が閉塞位置に移動された際のシャッター192近傍の概略構成を示す断面図である。
この光学モジュール100Cでは、第二実施形態と同様に、透光板198が設けられている。
なお、
図13に示す光学モジュール100Cでは、透光板198及び白色基準板192Cにより、窓部176Aを閉塞するシャッターが構成されている。このようなシャッターは、例えばシャッター保持部191に貫通孔を形成し、当該貫通孔に白色基準板192Cが固定された透光板198を固定(例えば嵌合)することで構成することができる。
また、
図13に示す光学モジュール100Cでは、白色基準板192Cは、第三実施形態と同様、窓部176Aに対向する位置のみに設けられ、透光板198が密着固定されている。
そして、この透光板198は、基台171に対向する第一面198Aと、第一面198Aとは反対側の第二面198Bとの双方において、測定光軸Lから見た平面視で基準測定位置Qと重なる位置以外の領域に、乱反射部198C,198Dが設けられている。
また、透光板198の、第一面198A及び第二面198Bに交差する側面198Eにも乱反射部を設ける構成などとしてもよい。
このような構成の光学モジュール100Cでは、透光板198の第一面198A側の乱反射部198Cと、第二面198B側の乱反射部198Dとの間で、光源179から入射された光が乱反射される。これにより、第二実施形態と同様に、透光板198内で光が均一化されて、基準測定位置Qに照射される光の光量が増大する。
【0077】
[変形例3]
第二実施形態において、透光板196がシャッター面192A上に保持される構成を例示し、第三実施形態において、プリズム197がシャッター面192A上に保持される構成を例示したが、これに限定されない。
例えば、上述した変形例2に示すように、シャッター保持部191のシャッター192の位置に対して、貫通孔を形成し、当該貫通孔に対して、透光板196や、プリズム197を固定する構成などとしてもよい。この場合でも、
図13に示すように、白色基準板192Cや、透光板196又はプリズム197が窓部176Aを閉塞することで、インクミスト等の異物が測色部17の内部に侵入する不都合等を抑制できる。
【0078】
[変形例4]
上記各実施形態において、本発明の導光手段が乱反射部171B,196C,198C,198Dや、プリズム197により構成される例を示したが、これに限定されない。例えば、入射光を正反射させる反射ミラー等を用いて光源179の光を基準測定位置Qに導いてもよく、さらに、これらの乱反射部やプリズム、反射ミラー等を組み合わせることで、光源179の光を基準測定位置Qに導いてもよい。
【0079】
[変形例5]
上記各実施形態において、基準物として、白色基準板192Cを例示したが、これに限定されない。例えば、基準物として、シャッター面192Aに塗布された白色塗料等であってもよく、ブロック状の白色基準物が設けられていてもよい。また、基準物の色においても白色に限定されるものではなく、測定を実施する際の基準が設定できればよく、例えば、各波長に対する反射率が既知のものであれば、如何なる色であってもよい。この場合、既知の反射率と測色部17等の測定装置により測定される測定値とによって、例えば光源の各波長に対する光量等を算出することができる。
【0080】
[変形例6]
第二実施形態において、透光板196が照明窓177Bを覆う構成を例示したが、これに限定されない。例えば、照明窓177Bの一部が透光板196に覆われていない構成としてもよい。この場合、例えば、透光板196を用いて基準測定位置Qに光を照射した際に、照射光の光量が大きすぎる場合において、光源179からの光の一部を透光板196に入らないように逃がすことができる。
【0081】
[変形例7]
第三実施形態において、プリズム197の第一面197Aが照明窓177Bを覆う構成を例示したが、例えば、第一面197Aが照明窓177Bの開口面(基台底面171A)に対して傾斜していてもよい。この場合でも、プリズム197を構成する各光学層197Dの各界面の傾斜角が適正に設定されていれば、基準測定位置Qに対して光を所望の角度から照射させることができる。
【0082】
[変形例8]
第一実施形態において、シャッター保持部191の移動によりシャッター192がキャリッジ13に対してX方向に移動可能となる構成を例示したが、これに限定されない。例えば、シャッター192がZ方向に平行な回転軸を中心に回転可能に設けられ、回転軸を中心に回転させることで、閉塞位置と開放位置とに移動可能な構成としてもよい。
また、キャリッジ13を移動させて、第一端部194や第二端部195をユニット筐体10に当接させることで、シャッター192を移動させたが、例えばモーター等の駆動源をキャリッジ13に搭載し、当該駆動源からの駆動力によってシャッター192を移動させてもよい。
【0083】
[変形例9]
第一実施形態において、測定部として、分光デバイス173A及び受光素子174Aを備えた測色部17を例示したが、これに限定されない。測定部としては、例えばRGBフィルターと、複数の画素を有する撮像素子とを備える撮像部であってもよい。
また、複数の測定装置を備える構成などとしてもよく、例えば、測色部17と、上記のような撮像素子を備えた撮像部とをキャリッジ13に設ける構成としてもよい。この場合、各測定装置(測色部17及び撮像部)のそれぞれに対応して上記各実施形態で説明したシャッター192を設けることが好ましい。
【0084】
[変形例10]
第一実施形態において、プリンターとして、インクを吐出して画像形成する印刷部16を備える、所謂、インクジェットプリンターを例示したが、これに限定されず、画像形成材料をメディアMに転写して画像形成する印刷部を備えるプリンターに、上記各実施形態の構成を適用することができる。このようなプリンターとしては、例えば、画像形成材料としてのインクリボンを加熱溶融させてメディアMに転写する、所謂、熱転写プリンターや、トナーを用いて潜像画像を現像し、現像された画像をメディアMに転写する、所謂、電子写真プリンターが挙げられる。このように、インクジェット方式以外の他の方式のプリンターに、上記各実施形態の構成を適用した場合でも、飛散した画像形成材料による光学装置の汚れや劣化を好適に抑制することができる。
【0085】
また、電子機器としてプリンター1を例示したが、これに限定されない。例えば、印刷部16を備えず、メディアMの測定のみを実施する測定装置であってもよい。また、例えば工場等において製造された印刷物の品質検査を行う品質検査装置に、本発明の光学モジュールを組み込んでもよく、その他、如何なる電子機器に本発明の光学モジュールを組み込んでもよい。
【0086】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等に適宜変更できる。