特許第6927002号(P6927002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6927002
(24)【登録日】2021年8月10日
(45)【発行日】2021年8月25日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 15/00 20060101AFI20210812BHJP
   B60C 15/04 20060101ALI20210812BHJP
【FI】
   B60C15/00 K
   B60C15/04 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-234528(P2017-234528)
(22)【出願日】2017年12月6日
(65)【公開番号】特開2019-99057(P2019-99057A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】梶田 久貴
【審査官】 松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】 特開平6−312605(JP,A)
【文献】 特開昭59−124415(JP,A)
【文献】 特開平2−147404(JP,A)
【文献】 特開2009−262865(JP,A)
【文献】 特開2017−193194(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0099361(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 15/00−15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビードコアが埋設された一対のビード部を有する空気入りタイヤであって、
前記一対のビード部は、それぞれ、前記ビードコアのタイヤ軸方向外側で正規リムと接する外側面を有し、
前記外側面間の幅を前記正規リムのリム幅とした非リム組み状態のタイヤ子午線断面において、
前記一対のビード部の少なくとも一方は、前記ビードコアのタイヤ半径方向の内端とビードトウとの間のタイヤ半径方向の距離Hが、前記ビードコアのタイヤ軸方向の最大幅Yの0.5倍よりも大かつ2.5倍よりも小である、
空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記ビードコアのタイヤ軸方向の幅は、前記ビードコアの前記内端からタイヤ半径方向外側に向かって大きくなる、請求項1記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記距離Hは、前記最大幅Yの0.8倍よりも大かつ2.0倍よりも小である、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記ビードコアのタイヤ軸方向の内端と前記ビードトウとの間のタイヤ軸方向の距離Xは、前記最大幅Yの0.3倍よりも大かつ2.0倍よりも小である、請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記ビードコアと前記外側面との間のタイヤ軸方向の最小長さは、前記最大幅Yの10%〜25%である、請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビードコアを具えた空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気入りタイヤにおいて、例えば、旋回走行時に作用する大きな横力によって、ビード部がタイヤ軸方向へリムずれを起こして、操縦安定性能が悪化する。このようなリムずれを抑制するため、例えば、リムへの締め付け力を増加させることで、リムとビード部との密着性を高めることが考えられる。
【0003】
しかしながら、このような空気入りタイヤは、そのビード部をリムに嵌め合わせしづらく、リムへの嵌合性が悪化しやすいという問題があった。なお、下記特許文献1には、リムへの嵌合性を高める技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4926314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような実情に鑑みなされたもので、リムへの嵌合性及び操縦安定性能をバランス良く向上し得る空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ビードコアが埋設された一対のビード部を有する空気入りタイヤであって、前記一対のビード部は、それぞれ、前記ビードコアのタイヤ軸方向外側で正規リムと接する外側面を有し、前記外側面間の幅を前記正規リムのリム幅とした非リム組み状態のタイヤ子午線断面において、前記一対のビード部の少なくとも一方は、前記ビードコアのタイヤ半径方向の内端とビードトウとの間のタイヤ半径方向の距離Hが、前記ビードコアのタイヤ軸方向の最大幅Yの0.5倍よりも大かつ2.5倍よりも小である。
【0008】
本発明に係る空気入りタイヤは、前記ビードコアのタイヤ軸方向の幅が、前記ビードコアの前記内端からタイヤ半径方向外側に向かって大きくなるのが望ましい。
【0009】
本発明に係る空気入りタイヤは、前記距離Hが、前記最大幅Yの0.8倍よりも大かつ2.0倍よりも小であるのが望ましい。
【0010】
本発明に係る空気入りタイヤは、前記ビードコアのタイヤ軸方向の内端と前記ビードトウとの間のタイヤ軸方向の距離Xが、前記最大幅Yの0.3倍よりも大かつ2.0倍よりも小であるのが望ましい。
【0011】
本発明に係る空気入りタイヤは、前記ビードコアと前記外側面との間のタイヤ軸方向の最小長さが、前記最大幅Yの10%〜25%であるのが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の空気入りタイヤは、ビードコアのタイヤ半径方向の内端とビードトウとの間のタイヤ半径方向の距離Hが、前記ビードコアのタイヤ軸方向の最大幅Yの0.5倍よりも大かつ2.5倍よりも小で規定されている。これにより、ビードコアのタイヤ半径方向内側に好ましいゴムボリュームが与えられるので、このゴムが十分に変形することができる。このため、リムに嵌め合わせし易くなり、リムへの嵌合性が高められる。また、このようなタイヤは、旋回走行時、リムずれが生じ易くなるいずれかのビード部側では、タイヤ子午線断面において、ビードコアを中心にリムのベース部側からフランジ部側へ回転するトルクが生じ、前記ゴムがリムのフランジ部側に押し付けられる力が作用する。このため、前記ゴムとリムとの密着性が高められるので、操縦安定性能が向上する。
【0013】
従って、本発明の空気入りタイヤは、リムへの嵌合性及び操縦安定性能がバランス良く向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の非リム組み状態の空気入りタイヤの一実施形態を示す断面図である。
図2図1のビード部の拡大図である。
図3】本発明の他の実施形態のビード部の断面図である。
図4】(a)は、ケーブルビードの面内剛性の測定方法の説明図、(b)は、面外剛性の測定方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本発明の一実施形態を示す空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある)1の非リム組み状態のタイヤ回転軸(図示省略)を含むタイヤ子午線断面図である。本実施形態では、好ましいタイヤ1として、自動二輪車用タイヤが示される。なお、本発明のタイヤ1は、自動二輪車用タイヤに限定されるものではない。
【0016】
本実施形態のタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、カーカス6のタイヤ半径方向外側に配されるベルト層7とを具える。
【0017】
カーカス6は、少なくとも1枚、本実施形態では、1枚のカーカスプライ6Aで形成されている。カーカスプライ6Aは、一対のビードコア5、5間をトロイド状に跨る本体部6aと、この本体部6aの両側に連なりかつビードコア5の回りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返された一対の折返し部6b、6bとを含んでいる。本体部6aと折返し部6bとの間には、ビード部4の剛性を高めるためのビードエーペックスゴム8が設けられている。
【0018】
ベルト層7は、トレッド部2の内方に埋設され、両側のトレッド端Te近傍までのびている。ベルト層7は、本実施形態では、タイヤ半径方向の内外に配された2枚のベルトプライ7A、7Bで構成されている。
【0019】
前記「非リム組み状態」とは、本明細書では、ビードコア5のタイヤ軸方向の外側で正規リム(以下、単に「リム」という場合がある。)Rと接するビード部4の外側面4a、4a間のタイヤ軸方向の距離を、リムRのリム幅Waと一致するようにビード部4を保持した状態をいう。以下、特に言及されない場合、タイヤ1の各部の寸法等はこの非リム組み状態で測定された値である。
【0020】
「正規リム」Rとは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば"Design Rim" 、或いはETRTOであれば"Measuring Rim"である。
【0021】
ビード部4は、本実施形態では、外側面4aと、外側面4aに連なりかつリムRのベース部Raと接するビード底面4bとを含んでいる。本実施形態の外側面4aは、ビードベースライン(図示省略)よりもタイヤ半径方向外側に位置しかつタイヤ半径方向にのびるリムRのフランジ部Rbと接する。
【0022】
本実施形態のビード底面4bは、ビード部4のタイヤ半径方向の最内端かつタイヤ軸方向の最内端であるビードトウ13を含み、ビードトウ13からタイヤ軸方向外側に向かってタイヤ半径方向外側へ傾斜している。ビード底面4bは、本実施形態では、タイヤ半径方向外側へ滑らかな凸の円弧状で形成されている。ビード底面4bは、例えば、ビードトウ13からタイヤ軸方向外側ヘ向かって曲率半径が小さくなる複数の円弧状で形成されている。なおビード底面4bは、このような態様に限定されるものではない。
【0023】
図2は、図1のビード部4の拡大図である。図2に示されるように、一対のビード部4の少なくとも一方は、ビードコア5のタイヤ半径方向の内端5aとビードトウ13との間のタイヤ半径方向の距離Hが、ビードコア5のタイヤ軸方向の最大幅Yの0.5倍よりも大かつ2.5倍よりも小である。これにより、ビードコア5のタイヤ半径方向内側に好ましいゴムボリュームが与えられるので、このゴムが十分に変形することができる。このため、リムRに嵌め合わせし易くなり、リムへの嵌合性が高められる。また、このようなタイヤ1は、旋回走行時、リムずれが生じ易くなるビード部4側では、タイヤ子午線断面において、ビードコア5を中心にリムRのベース部Ra側からフランジ部Rb側へ回転するトルクが作用する。これにより、前記ゴムがリムRのフランジ部Rb側に押し付けられるため、前記ゴムとリムRとの密着性が高められるので、操縦安定性能が向上する。
【0024】
距離Hは、最大幅Yの0.5倍以下の場合、ビードコア5のタイヤ半径方向内側のゴムのボリュームが小さくなり、ゴムの変形が小さくなり、リムへの嵌合性が悪化する。距離Hは、最大幅Yの2.5倍以上の場合、前記ゴムのボリュームが過度に大きくなり、フランジ部Rb側への締付け力が小さくなるので、操縦安定性能が悪化する。
【0025】
本実施形態では、両側のビード部4において、距離Hが最大幅Yの0.5倍よりも大かつ2.5倍よりも小に規定されている。
【0026】
上述の作用を効果的に発揮させるために、距離Hは、最大幅Yの0.8倍よりも大かつ2.0倍よりも小であるのが望ましい。距離Hは、最大幅Yの1.0〜1.7倍であるのが、さらに、望ましい。
【0027】
ビード部4は、ビードコア5のタイヤ軸方向の内端5iとビードトウ13との間のタイヤ軸方向の距離Xが、最大幅Yの0.3倍よりも大かつ2.0倍よりも小であるのが望ましい。距離Xが最大幅Yの0.3倍以下の場合、ビードコア5のタイヤ軸方向内側のゴムボリュームが小さくなり、前記ゴムとベース部Raとの間の摩擦力が小さくなる。このため、旋回走行時、リムずれが生じ易くなるビード部4側では、前記トルクによってリムずれが生じるおそれがある。距離Xが最大幅Yの2.0倍以上の場合、ビードコア5のタイヤ軸方向内側のゴムのボリュームが過度に大きくなり、リムRへの嵌め合わせ時、リムRと前記タイヤ軸方向内側のゴムによる摩擦力が大きくなり、嵌め合わせづらくなる。リムへの嵌合性と操縦安定性能とをバランス良く向上させるために、距離Xは、最大幅Yの0.8〜1.5倍であるのが、一層、望ましい。
【0028】
ビード部4は、ビードコア5と外側面4aとの間のタイヤ軸方向の最小長さZは、最大幅Yの10%〜25%であるのが望ましい。最小長さZが最大幅Yの10%未満の場合、ビードコア5のタイヤ軸方向外側のゴムのボリュームが小さくなる。このため、例えば、旋回走行時、ビードコア5によるタイヤ軸方向外側への荷重を前記ゴムで吸収できず、カーカス6のカーカスコード(図示省略)が損傷して操縦安定性能が悪化するおそれがある。最小長さZが最大幅Yの25%を超える場合、前記タイヤ軸方向外側のゴムのボリュームが過度に大きくなり、リムRへの嵌め合わせ時、リムRと前記タイヤ軸方向外側のゴムによる摩擦力が大きくなり、嵌め合わせづらくなる。
【0029】
特に限定されるものではないが、最大幅Yは、4〜10mmが望ましく、4.5〜7.5mmがさらに望ましい。
【0030】
ビードコア5は、そのタイヤ軸方向の幅wが、ビードコア5のタイヤ半径方向の内端5aからタイヤ半径方向外側に向かって大きくなる。これにより、ビードコア5のタイヤ半径方向内側のゴムのボリュームが大きく維持されるので、リムへの嵌合性が向上する。
【0031】
ビードコア5は、タイヤ子午線断面図において、本実施形態では、多角形状に形成されている。本実施形態のビードコア5は、タイヤ軸方向の幅wタイヤ半径方向外側へ向かって大きくなる台形状部分5Aと、台形状部分5Aのタイヤ半径方向外側に配される矩形状部分5Bとを含む六角形状で形成されている。
【0032】
図3は、他の実施形態のビード部4Aの断面図である。図3に示されるように、この実施形態のビードコア5は、例えば、断面円形状で形成されている。ビードコア5は、本実施形態では、ケーブルビード10で形成されている。ケーブルビード10は、本実施形態では、環状のコア11aの周囲に、1層以上のシース線11bを螺旋状に巻き付けて形成されている。コア11aは、例えば、強度を有する鉄等の金属材や、ナイロン、ポリビニールアルコール、ポリエチレンテレフタレートなど引張弾性率が10GPa 以下の低モジュラスの合成樹脂材からなるのが望ましい。シース線11bは、例えば、JIS G3502に規定されるピアノ線材、及びJIS G3506に規定する硬鋼線材等の硬質のスチール線からなるのが望ましい。ビードコア5は、例えば、有機繊維コード(図示省略)を用いた布材を有するラッピングシート12により被覆されている。
【0033】
ビードコア5(ケーブルビード10)と同一平面方向(タイヤ半径方向)における面内剛性Si、ビードコア5(ケーブルビード10)の同一平面方向に直交する方向(タイヤ軸方向)における面外剛性Soとする。この面内剛性Siと面外剛性Soとは、下記式(1)を満足するのが望ましい。
0.30≦So/Si≦0.70…(1)
これにより、ビード部4を好ましい剛性とできるので、操縦安定性能とリムへの嵌合性とがバランス良く向上する。
【0034】
なお、面内剛性Si及び面外剛性Soの測定は、インストロン社製の電気機械式万能試験機を用いて行われる。面内剛性Siは、図4(a)に示されるように、ケーブルビード10のA点を固定し、A点の対称の位置にあるB点を、ケーブルビード10の径方向外側に引っ張り、その時の力F1(mN)を変位(mm)で除して算出した。また、面外剛性Soは、図4(b)に示されるように、ケーブルビード10を一対の支持体14で支持し、この一対の支持体14の中央部に力F2を加え、その時の力(mN)を変位(mm)で除して算出した。
【0035】
図2に示されるように、ビード部4は、本実施形態では、ビードコア5のタイヤ軸方向内側に、インナーライナ15と、タイガム層16と、チェーファゴム17とを含んでいる。
【0036】
本実施形態のインナーライナ15は、タイヤ1の内腔面1aを形成し、一対のビード部4,4間を連続してトロイド状にのびている。インナーライナ15は、空気非透過性を有しており、例えば、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体を含むエラストマー組成物からなるのが望ましい。
【0037】
本実施形態のタイガム層16は、インナーライナ15とカーカス6の本体部6aとの間に配されている。タイガム層16は、本実施形態では、ビードコア5のタイヤ半径方向の内端5aよりタイヤ半径方向内側からビードエーペックスゴム8のタイヤ半径方向の外端8aよりもタイヤ半径方向外側までのびている。
【0038】
タイガム層16は、本実施形態では、インナーライナ15よりも優れた粘着性を有し、インナーライナ15とカーカス6との剥離を効果的に抑制し得る。
【0039】
チェーファゴム17は、本実施形態では、内腔面1a、外側面4a及びビード底面4bを形成し、ビードコア5を囲うように略U字状に形成されている。チェーファゴム17は、ビード部4とリムRとのリムずれを防止し得る。
【0040】
インナーライナ15、タイガム層16及びチェーファゴム17は、そのゴム硬度が、45〜75度が望ましく、さらに50〜70度が望ましい。本明細書において、「ゴム硬度」は、JIS-K6253に準拠し、23℃の環境下におけるデュロメータータイプAによる硬さである。
【0041】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例】
【0042】
図1の基本構造をなすサイズ180/55ZR17の自動二輪車用空気入りタイヤが、表1の仕様に基づき試作され、操縦安定性能及びリムへの嵌合性がテストされた。テスト方法は、以下の通りである。
表のゴム硬度は、インナーライナ、タイガム及びチェーファゴムのゴム硬度である。
【0043】
<操縦安定性能>
各テストタイヤが、下記の条件で、排気量1300ccの自動二輪車の後輪に装着された。なお、前輪には、市販タイヤが装着されている。そして、テストライダーが、テスト車両をドライアスファルト路面で旋回走行させ、このときのハンドル応答性、剛性感、及び、グリップ力等に関する走行特性がテストライダーの官能により評価された。結果は、比較例1を100とする評点で表された。数値は、大きいほど良好であり、比較例1の結果と比較して5ポイント以上の差で効果有りと判断される。
リム:17M/CxMT5.50
内圧:290kPa
旋回半径:400m
旋回時の速度:220km/h
【0044】
<リムへの嵌合性>
各テストタイヤを上記リムにリム組みする際、空気を徐々に注入して、ビード部がリムのハンプを乗り越えるときの圧力(嵌合圧)が計測された。結果は、各実施例及び各比較例の圧力を比較例1の圧力で除して100を掛けた値である指数で表された。数値は、小さい方が良好であり、比較例1の結果と比較して5ポイント以上の差で効果有りと判断される。
テストの結果が表1に示される。
【0045】
【表1】
【0046】
表1から明らかなように、実施例の空気入りタイヤは、比較例に比べて操縦安定性能と、リムへの嵌合性とが有意にバランス良く向上していることが確認できた。
【符号の説明】
【0047】
1 空気入りタイヤ
4 ビード部
4a 外側面
5 ビードコア
5a 内端
13 ビードトウ
H 距離
R 正規リム
Y 最大幅
図1
図2
図3
図4