特許第6927031号(P6927031)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6927031外付けユニット、オイルコントロールバルブユニット及び自動二輪車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6927031
(24)【登録日】2021年8月10日
(45)【発行日】2021年8月25日
(54)【発明の名称】外付けユニット、オイルコントロールバルブユニット及び自動二輪車
(51)【国際特許分類】
   B62J 31/00 20060101AFI20210812BHJP
   F01L 1/356 20060101ALI20210812BHJP
【FI】
   B62J31/00 Z
   F01L1/356 E
   F01L1/356 Z
【請求項の数】4
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-254493(P2017-254493)
(22)【出願日】2017年12月28日
(65)【公開番号】特開2019-119309(P2019-119309A)
(43)【公開日】2019年7月22日
【審査請求日】2020年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】尾関 久志
【審査官】 伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−081307(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0261652(US,A1)
【文献】 特開2003−013720(JP,A)
【文献】 特開2008−255801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 31/00
F01L 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体作動装置に向かう流体通路が形成された装置本体に設置され、前記流体作動装置に作動流体を供給する外付けユニットであって、
前記装置本体に対する合わせ面には、
前記装置本体の流体通路に作動流体を供給する供給通路が開口されると共に、前記供給通路の開口に沿って溝部が形成され
前記流体作動装置が可変バルブタイミング装置、前記装置本体はエンジンであり、前記外付けユニットが前記可変バルブタイミング装置に作動流体としてオイルを供給して油圧を制御するオイルコントロールバルブユニットであり、
前記可変バルブタイミング装置のバルブタイミングを制御するコントロールバルブを備え、
前記エンジンに対する合わせ面には、前記供給通路として前記コントロールバルブにオイルを供給する上流側の供給通路と、前記コントロールバルブから前記エンジンの流体通路にオイルを導く下流側の供給通路とが開口されると共に、前記下流側の供給通路の開口に沿って前記溝部が形成され、
前記溝部が前記上流側の供給通路に連通することを特徴とするオイルコントロールバルブユニット。
【請求項2】
前記エンジンにはオイルポンプからオイルが送られるメインギャラリが形成されており、
前記メインギャラリから延びる外部配管が接続され、当該外部配管を通じて前記メインギャラリからオイルが供給されることを特徴とする請求項に記載のオイルコントロールバルブユニット。
【請求項3】
前記上流側の供給通路の入口で前記エンジンに対する合わせ面が窪んで形成され、前記溝部が前記上流側の供給通路の窪みに連通することを特徴とする請求項に記載のオイルコントロールバルブユニット。
【請求項4】
請求項から請求項のいずれかに記載のオイルコントロールバルブユニットを備えたことを特徴とする自動二輪車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体作動装置の作動を制御する外付けユニット、オイルコントロールバルブユニット及び自動二輪車に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高出力、低燃費、低排気ガスを目的として、エンジンの運転状態に応じて吸気バルブ及び排気バルブのバルブタイミングを制御する可変バルブタイミング装置を搭載したエンジンが増加している。この種のエンジンにおいて、エンジンの外面に設置したオイルコントロールバルブユニットで、可変バルブタイミング装置に対する油圧を制御するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。可変バルブタイミング装置にはオイルコントロールバルブユニットからオイルが供給され、クランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相が変化してバルブタイミングが調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5345448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したオイルコントロールバルブユニットに限らず、流体作動装置の作動を制御する外付けユニットの設置箇所では、ユニット内の供給通路から作動流体が漏れ出さないように合わせ面にシール部材が装着されている。しかしながら、シール部材は装着場所に制約があり、流体通路が密集した箇所等にシール部材を設けようとすると、シール部材の形状、配置、組み付けが複雑になるという問題があった。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、シンプルな構造で設置位置のシール性を向上させることができる外付けユニット、オイルコントロールバルブユニット及び自動二輪車を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の外付けユニットは、流体作動装置に向かう流体通路が形成された装置本体に設置され、前記流体作動装置に作動流体を供給する外付けユニットであって、前記装置本体に対する合わせ面には、前記装置本体の流体通路に作動流体を供給する供給通路が開口されると共に、前記供給通路の開口に沿って溝部が形成され、前記流体作動装置が可変バルブタイミング装置、前記装置本体はエンジンであり、前記外付けユニットが前記可変バルブタイミング装置に作動流体としてオイルを供給して油圧を制御するオイルコントロールバルブユニットであり、前記可変バルブタイミング装置のバルブタイミングを制御するコントロールバルブを備え、前記エンジンに対する合わせ面には、前記供給通路として前記コントロールバルブにオイルを供給する上流側の供給通路と、前記コントロールバルブから前記エンジンの流体通路にオイルを導く下流側の供給通路とが開口されると共に、前記下流側の供給通路の開口に沿って前記溝部が形成され、前記溝部が前記上流側の供給通路に連通することを特徴とする
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様の外付けユニットによれば、装置本体と外付けユニットの合わせ面で供給通路から作動流体が周辺に染み出しても、供給通路の外側の溝部によって作動流体が捕集される。作動流体の流出が抑えられることで、作動流体の圧力が十分な強さに維持されて流体作動装置の応答性能が悪化することがない。また、合わせ面に溝部を設けるというシンプルな構造でシール性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態の自動二輪車の左側面図である。
図2】本実施の形態のエンジン周辺の斜視図である。
図3】本実施の形態の自動二輪車の前半部分の右側面図である。
図4】本実施の形態のエンジン周辺の背面図である。
図5】本実施の形態のコントロールバルブの模式図である。
図6】本実施の形態のバルブハウジングの斜視図である。
図7】本実施の形態のバルブハウジングの下面図である。
図8】本実施の形態のシリンダの側面図である。
図9図8の破断線A−A及びB−Bに沿う断面図である。
図10図8の破断線C−C及びD−Dに沿う断面図である。
図11】本実施の形態のオイルコントロールバルブの変形例の断面図である。
図12】本実施の形態の可変バルブタイミングシステムの模式図である。
図13】本実施の形態の車体フレームの組み付け動作の一例を示す図である。
図14】本実施の形態の車体フレームの組み付け動作の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。ここでは、本実施の形態のオイルコントロールバルブユニットの設置構造をスポーツタイプの自動二輪車に適用した例について説明するが、適用対象はこれに限定されることなく、適宜変更が可能である。例えば、オイルコントロールバルブユニットを、他のタイプの自動二輪車に適用してもよい。図1は、本実施の形態の自動二輪車の左側面図である。以下の図では、車体前方を矢印FR、車体後方を矢印RE、車体左側をL、車体右側をRでそれぞれ示す。
【0010】
図1に示すように、自動二輪車1は、アルミ鋳造で形成されるツインスパー型の車体フレーム10にエンジン41や電装系等の各種部品を搭載して構成されている。車体フレーム10のメインフレーム12は、ヘッドパイプ11から左右に分岐して後方に向かって延びている。左右一対のメインフレーム12はエンジン41の後方に回り込むように湾曲し、メインフレーム12の後方部(ボディフレーム15)でエンジン41の後方側が支持されている。車体フレーム10のダウンフレーム13(図2参照)は、ヘッドパイプ11から左右に分岐して下方に延びており、左右一対のダウンフレーム13の下部でエンジン41の前方側が支持されている。
【0011】
メインフレーム12の前側部分の一部はタンクレール14になっており、タンクレール14上に燃料タンク21が設置されている。メインフレーム12の後側部分はボディフレーム15になっており、ボディフレーム15の上下方向の略中間位置にスイングアーム18を揺動可能に支持するスイングアームピボット17が形成されている。ボディフレーム15の上部には、後方に向かって延びるシートレール(不図示)及びバックステー16が設けられている。シートレール上には、燃料タンク21に連接されるライダーシート23及びピリオンシート24が設けられている。
【0012】
車体フレーム10には、車体外装として各種カバーが装着されている。例えば、車体前半部はフロントカウル26に覆われており、車体側面はサイドカウル27に覆われている。また、シートレールはリヤカウル28に覆われており、エンジン41の前下方はアンダーカウル29に覆われている。ヘッドパイプ11には、ステアリングシャフト(不図示)を介して左右一対のフロントフォーク32が操舵可能に支持されている。フロントフォーク32には、前輪緩衝用のフロントサスペンションが内装されている。フロントフォーク32の下部には前輪33が回転可能に支持され、前輪33の上方はフロントフェンダ34によって覆われている。
【0013】
スイングアーム18は、スイングアームピボット17から後方に向かって延びている。スイングアーム18とボディフレーム15の間には、後輪緩衝用のリヤサスペンション36が設けられている。リヤサスペンション36は、一端がボディフレーム15の上端側に支持され、他端がサスペンションリンク37を介してスイングアーム18に連結されている。スイングアーム18の後端には後輪38が回転可能に支持されている。エンジン41及び後輪38は減速機構を介して連結されており、減速機構を介してエンジン41からの動力が後輪38に伝達される。後輪38の上方は、リヤカウル28の後部に設けられるリヤフェンダ39によって覆われている。
【0014】
エンジン41は、例えば、並列4気筒エンジンのクランクシャフト(不図示)等が収容されるエンジンケース42上にシリンダ43(図2参照)を取り付けて構成されている。エンジン41が車体フレーム10に支持されることで、車体全体の剛性が確保されている。エンジン41には、インテークパイプ(不図示)を通じて空気が取り込まれ、燃料噴射装置にて空気と燃料とが混合されて燃焼室に供給される。燃焼後の排気ガスは、エンジン41の右側面において後方に延出されたエキゾーストパイプ(不図示)を経てマフラ44から排出される。
【0015】
このように構成されたエンジン41には、運転状態に応じて吸気バルブ及び排気バルブの駆動タイミングを制御する可変バルブタイミングシステムが採用されている。エンジン41の外面にはオイルコントロールバルブユニット61(図2参照)が設置されており、オイルコントロールバルブユニット61によって可変バルブタイミングシステムに対する油圧が制御されている。可変バルブタイミングシステムにはタイミングチェーン56(図12参照)を介してクランクシャフトからの動力が伝達され、オイルコントロールバルブユニット61に制御された駆動タイミングで吸気バルブ及び排気バルブが動かされる。
【0016】
ところで、エンジン41内にはオイル通路が張り巡らされており、タイミングチェーン56を潤滑するために専用のオイル通路を形成するために、エンジン41の流路構造を更に複雑化しなければならない。エンジン41の流路構造を複雑化する代わりに、エンジン41内にチェーンジェットを設置することも考えられるが、部品点数が増加してコストが増加する。そこで、本実施の形態では、オイルコントロールバルブユニット61のドレン通路から排出されるオイルをタイミングチェーン56の潤滑に利用してエンジン41の構造を簡略化している。
【0017】
また、オイルコントロールバルブユニット61はエンジン41に対してネジ等で外付けされるが、ネジの締付で生じた歪や設置面の加工精度等によってオイルコントロールバルブユニット61とエンジン41の当たりにバラツキが生じている。このため、オイルコントロールバルブユニット61とエンジン41の合わせ面からオイルが染み出して油圧が低下するおそれがある。そこで、本実施の形態では、オイルコントロールバルブユニット61とエンジン41の合わせ面でオイル通路の外側に溝部を形成して、オイル通路から漏れ出したオイルを捕集している。
【0018】
以下、図2から図5を参照して、本実施の形態のオイルコントロールバルブユニットの設置構造について説明する。図2は、本実施の形態のエンジン周辺の斜視図である。図3は、本実施の形態の自動二輪車の前半部分の右側面図である。図4は、本実施の形態のエンジン周辺の背面図である。図5は、本実施の形態のコントロールバルブの模式図である。なお、図2から図5では、説明の便宜上、車体外装としての各種カバーを省略して記載している。
【0019】
図2及び図3に示すように、車体フレーム10にエンジン41が支持されており、エンジン41の前方にはラジエータ47が設置されている。エンジン41は、上記したようにエンジンケース42上にシリンダ43が設けられている。シリンダ43の上方でヘッドパイプ11から後方に左右一対のメインフレーム12が延びており、シリンダ43の前方でヘッドパイプ11から下方に左右一対のダウンフレーム13が延びている。車体フレーム10の前側部分でメインフレーム12とダウンフレーム13に二股に分かれることで、シリンダ43の側方(右側方)にオイルコントロールバルブユニット61の設置スペース49が確保されている。
【0020】
この場合、ダウンフレーム13がエンジン41の前側を支持している。より詳細には、ダウンフレーム13はシリンダ43の前側を支持しており、ダウンフレーム13の幅はエンジン41に対する支持位置19からヘッドパイプ11に向かうにしたがって前後に広がる略三角形状に形成されている。エンジン41の上部のシリンダ43をダウンフレーム13で支持することで、エンジン41の下部をダウンフレーム13で支持する構造とは異なり、ダウンフレーム13の幅の前後方向への広がりを抑えて、シリンダ43の側方にオイルコントロールバルブユニット61の設置スペース49が確保されている。
【0021】
エンジン41の側方で、メインフレーム12とダウンフレーム13で挟まれた設置スペース49にオイルコントロールバルブユニット61が設置されることで、ダウンフレーム13によってラジエータ47とオイルコントロールバルブユニット61の間が遮られている。これにより、ラジエータ47からの熱が車体フレーム10の一部のダウンフレーム13で遮熱されて、オイルコントロールバルブユニット61の温度上昇による作動特性の悪化が抑えられる。さらに、メインフレーム12とダウンフレーム13でオイルコントロールバルブユニット61が挟まれることで、車体前方の飛び石等からオイルコントロールバルブユニット61が保護される。
【0022】
オイルコントロールバルブユニット61の前方がダウンフレーム13で遮られるため、ラジエータ47からの熱の影響を抑えられるが、オイルコントロールバルブユニット61に走行風が当たり難くなる。このため、シリンダ43の前後一対のINカム軸心O1、EXカム軸心O2のうち、ダウンフレーム13がEXカム軸心O2の前側を通り、メインフレーム12がINカム軸心O1の後側を通るようにして、オイルコントロールバルブユニット61の設置スペース49を広くしている。設置スペース49を広く取ることで、設置スペース49に熱気が籠り難くなって雰囲気温度が低下されている。
【0023】
さらに、エンジンケース42内には変速機が収容されており、エンジンケース42には変速機を側方から覆うように変速機カバー45が設けられている。変速機カバー45は側方に膨出しており、オイルコントロールバルブユニット61が変速機カバー45の上方に設置されている。オイルコントロールバルブユニット61が変速機カバー45、メインフレーム12、ダウンフレーム13で囲まれており、変速機カバー45、メインフレーム12、ダウンフレーム13で囲まれた空間が設置スペース49として有効活用される。これにより、ダウンフレーム13によって車体前方の飛び石からオイルコントロールバルブユニット61が保護されるだけでなく、変速機カバー45によって車体下方の飛び石からオイルコントロールバルブユニット61が保護される。
【0024】
変速機カバー45の上部は前方に向かってオイルコントロールバルブユニット61との間隔を広げるように形成されている。変速機カバー45の上部は前方に向かって斜め下方に傾斜しており、変速機カバー45の上部とオイルコントロールバルブユニット61の上下間隔が大きくなっている。変速機カバー45とオイルコントロールバルブユニット61が離間することで、オイルコントロールバルブユニット61の設置スペース49を広く取ることができ、設置スペース49に熱気が籠り難くなって雰囲気温度が低下されている。このように、メインフレーム12、ダウンフレーム13、変速機カバー45によってエンジン41の側面に十分な広さの設置スペース49が確保されている。
【0025】
左右一対のメインフレーム12はヘッドパイプ11から斜め後方に向かって延びており、オイルコントロールバルブユニット61の設置スペース49の後方でメインフレーム12の対向間隔が狭くなっている(特に図4参照)。さらに、オイルコントロールバルブユニット61が変速機カバー45の上方に設置されている。これにより、オイルコントロールバルブユニット61の後方でメインフレーム12及び変速機カバー45によって空気の流れが阻害されることがない。後方視でオイルコントロールバルブユニット61が露出されることで、走行時に設置スペース49から熱気が後方に流されてオイルコントロールバルブユニット61が効果的に冷却される。
【0026】
また、ラジエータ47から後方に向かってラジエータホース48が延びており、エンジン41の側面でオイルコントロールバルブユニット61がラジエータホース48の上方に設置されている。ラジエータホース48によってラジエータ47からエンジン41に冷却水が送られ、ラジエータホース48内の冷却水によってオイルコントロールバルブユニット61が冷却される。ラジエータホース48がオイルコントロールバルブユニット61の直下を横切るため、ラジエータホース48によって車体下方の飛び石からオイルコントロールバルブユニット61が保護される。ラジエータホース48がゴム等で形成されているため、ラジエータホース48自体が飛び石で破損し難くなっている。
【0027】
図2及び図4に示すように、オイルコントロールバルブユニット61がメインフレーム12と上面視で重なり、ダウンフレーム13、変速機カバー45と前後方向視で重なっている。オイルコントロールバルブユニット61が上面視でメインフレーム12に重なることで、メインフレーム12が雨除けになって雨水によるオイルコントロールバルブユニット61の破損が防止される。オイルコントロールバルブユニット61がダウンフレーム13、変速機カバー45と前後方向視で重なることで、車体前方及び車体下方の飛び石からオイルコントロールバルブユニット61が保護され、さらにダウンフレーム13によってラジエータ47の熱に対する遮熱効果が高められている。
【0028】
オイルコントロールバルブユニット61は、変速機カバー45、メインフレーム12、ダウンフレーム13の全てに対して前後方向視で内側に設置されている。変速機カバー45、メインフレーム12、ダウンフレーム13によって車体転倒時の衝撃やその他の外部の衝撃からオイルコントロールバルブユニット61が保護される。また、前後方向視で車体フレーム10内にオイルコントロールバルブユニット61が収まることで、車体全体の車幅寸法の増加が抑えられている。なお、前後方向視で内側とは、変速機カバー45、メインフレーム12、ダウンフレーム13の最外面よりも内側であればよい。
【0029】
図2及び図3に戻り、エンジン41内にはオイルポンプ52(図12参照)からオイルが送られるメインギャラリ53が形成されており、メインギャラリ53とオイルコントロールバルブユニット61が1本の外部配管81で接続されている。これにより、外部配管81を通じて油圧が高いメインギャラリ53からオイルコントロールバルブユニット61にダイレクトにオイルが供給される。メインギャラリ53からエンジン41内のオイル通路を通らずに、オイルコントロールバルブユニット61にオイルが供給されることで、圧力損失を抑えてオイルコントロールバルブユニット61に油圧の高いオイルを供給することができる。
【0030】
外部配管81は、変速機カバー45の下側のメインギャラリ53から前方に延出して、変速機カバー45を下側から回り込んだ後に上方に延びている。そして、外部配管81は、ラジエータホース48の前後方向視で内側を通り、オイルコントロールバルブユニット61とダウンフレーム13の間を通ってオイルコントロールバルブユニット61に接続されている。この場合、オイルコントロールバルブユニット61はEXカム軸心O2よりも後側に設置され、オイルコントロールバルブユニット61とダウンフレーム13の間に外部配管81の設置ルートが確保されている。この設置ルートによって車体全体の車幅寸法の増加が抑えられ、外部配管81を短くして配管内での圧力損失が抑えられる。
【0031】
外部配管81が前後方向視でラジエータホース48の内側を通り、前後方向視で車体フレーム10の内側を通ることで、ラジエータホース48及び車体フレーム10によって車体転倒時の衝撃やその他の外部の衝撃から外部配管81が保護される。外部配管81の一部がダウンフレーム13に前後方向視で重なり、ラジエータホース48に下面視で重なっているため、ダウンフレーム13及びラジエータホース48によって車体前方及び車体下方の飛び石から外部配管81が保護される。このように、外部配管81もオイルコントロールバルブユニット61と同様に、衝撃や飛び石から十分に保護されている。
【0032】
オイルコントロールバルブユニット61には、吸気側のバルブタイミングを制御する吸気用コントロールバルブ62と排気側のバルブタイミングを制御する排気用コントロールバルブ63が設けられている。オイルコントロールバルブユニット61には外部配管81が接続されており、この外部配管81の接続部分を挟んで吸気用コントロールバルブ62と排気用コントロールバルブ63が横向き姿勢で上下方向に離間している。吸気用コントロールバルブ62と排気用コントロールバルブ63が離間しているため、吸気用コントロールバルブ62と排気用コントロールバルブ63の間に熱気が籠り難くなっている。
【0033】
また、吸気用コントロールバルブ62及び排気用コントロールバルブ63が上下に並ぶため、車体本体の車幅寸法の増加が抑えられている。さらに、吸気用コントロールバルブ62と排気用コントロールバルブ63が横向き姿勢で縦並びであるため、両方のコントロールバルブ62、63が走行時の空気の流れによって均一に冷却される。すなわち、吸気用コントロールバルブ62と排気用コントロールバルブ63が縦向き姿勢で横並びにされる構成のように、前側のコントロールバルブだけが空気の流れで冷却されて、後側のコントロールバルブが冷却され難くなることがない。
【0034】
図5Aに示すように、吸気用コントロールバルブ62及び排気用コントロールバルブ63は、円筒状に形成されたソレノイドバルブであり、ソレノイド65が収容されたソレノイド側とバルブスプール66が収容されたバルブスプール側とで長手方向で分かれている。ソレノイド65は、いわゆる円筒状の導線コイルであり、通電によって磁場を発生させることで、ソレノイド65の内側の鉄芯70に連結したバルブスプール66を進退させている。バルブスプール66の進退によって吸気用コントロールバルブ62及び排気用コントロールバルブ63内で油路が切り換えられている。
【0035】
このような吸気用コントロールバルブ62及び排気用コントロールバルブ63は、ソレノイド65の通電によって発熱し易く、ソレノイド65の温度上昇によって作動特定が悪化する。そこで、本実施の形態では、吸気用コントロールバルブ62及び排気用コントロールバルブ63のソレノイド65側が後方に向けられている。ソレノイド65がラジエータ47から離されるため、ソレノイド65の発熱が抑えられて、ソレノイド65の温度上昇による作動特性の悪化が抑えられている。また、吸気用コントロールバルブ62及び排気用コントロールバルブ63のソレノイド65の軸心が水平又は後ろ斜め上方に向けられることが好ましい。
【0036】
例えば、図5Bの比較例に示すように、吸気用コントロールバルブ62及び排気用コントロールバルブ63のソレノイド65の軸心が後斜め下方に向けられていると、バルブスプール66側で発生したコンタミC等の異物がオイルによってソレノイド65側に運ばれる。このため、ソレノイド65側にコンタミC等の異物が溜まるおそれがある。このため、図5Aに示す本実施の形態では、ソレノイド65の軸心が水平又は後ろ斜め上方(図では水平)に向けられているため、バルブスプール66側で発生したコンタミC等の異物がソレノイド65側に入り込んで破損させることがない。
【0037】
続いて、図6から図10を参照して、オイルコントロールバルブユニットについて詳細に説明する。図6は、本実施の形態のバルブハウジングの斜視図である。図7は、本実施の形態のバルブハウジングの下面図である。図8は、本実施の形態のシリンダの側面図である。図9は、図8の破断線A−A及びB−Bに沿う断面図である。図10は、図8の破断線C−C及びD−Dに沿う断面図である。なお、図7では説明の便宜上、ソレノイド側を二点鎖線で示している。
【0038】
図6Aに示すように、オイルコントロールバルブユニット61のバルブハウジング64は、複数のオイル通路を環状に並べたハウジング本体67の上部に、バルブスプール(不図示)が差し込まれる一対の支持ケース68を設けて構成されている。バルブハウジング64は、シリンダ43(図8参照)の外壁に差し込まれて使用されるものであり、ハウジング本体67の外面にはシリンダ43の外壁との隙間を封止するOリング69が装着されている。このOリング69を境にして、ハウジング本体67側がシリンダ43の内部に収容され、一対の支持ケース68側がシリンダ43から外部に突出される。
【0039】
一対の支持ケース68は、縦向き姿勢のハウジング本体67の上部で、ハウジング本体67の中央開口71を挟んで対向する箇所に横向き姿勢で設けられている。中央開口71を囲む4カ所で支持ケース68とハウジング本体67がリブ72で補強されており、リブ72の内側には支持ケース68内とハウジング本体67内を接続するオイルポートが形成されている。リブ72は筒状の各支持ケース68の両端近傍からハウジング本体67の上部を連ねており、リブ72は上方から下方に向うに従って側方への突出量が大きくなるように傾斜している。一対の支持ケース68の間には、円環状継手として外部配管81の先端に設けられたバンジョー継手82の設置スペースになっており、ハウジング本体67の開口端にはバンジョー継手82が置かれる環状の座面74が形成されている。
【0040】
また、バルブハウジング64の4カ所のリブ72の外面にはバンジョー継手82を座面74までガイドするガイド面75が形成されている。各ガイド面75はハウジング本体67の中央開口71を挟んで対向しており、中央開口71を挟んで向かい合うガイド面75の対向間隔が上方から下方に向かって狭くなるように傾斜している。各ガイド面75に沿ってバンジョー継手82を滑らすことで、バンジョー継手82の取付穴83がバルブハウジング64の中央開口71に一致するようにガイドされる。なお、詳細は後述するが、バンジョー継手82及びバルブハウジング64はエンジン41に対して側方からボルト78(図8参照)で取り付けられ、外部配管81とバルブハウジング64のオイルポートがバンジョー継手82を介して連通される。
【0041】
図6B及び図7に示すように、ハウジング本体67には、中央開口71を囲むように複数のオイルポート(オイルチャネル)が形成されている。各オイルポートは、吸気側及び排気側の入力ポート76a、76b、進角ポート76c、76d、遅角ポート76e、76f、ドレンポート76g、76hであり、一対の支持ケース68に支持された吸気用コントロールバルブ62及び排気用コントロールバルブ63に接続されている。そして、吸気用コントロールバルブ62及び排気用コントロールバルブ63の駆動によって各ポート76a−76hの連通状態が切換えられることで、可変バルブタイミング装置91(図12参照)の進角室S1又は遅角室S2にオイルが供給される。
【0042】
より詳細には、ハウジング本体67の中央開口71から入力ポート76a、76bにオイルが入り込み、入力ポート76a、76bのフィルタ77a、77bで濾過されたオイルが吸気用コントロールバルブ62及び排気用コントロールバルブ63に供給される。コントロールバルブ62、63が切り換わることで、入力ポート76a、76bが進角ポート76c、76d及び遅角ポート76e、76fのいずれか一方に連通され、ドレンポート76g、76hが進角ポート76c、76d及び遅角ポート76e、76fのいずれか他方に連通される。これにより、可変バルブタイミング装置91(図12参照)の進角室S1又は遅角室S2のいずれか一方にオイルが供給され、いずれか他方からオイルが排出される。
【0043】
このように、入力ポート76a、76bはコントロールバルブ62、63にオイルを供給する上流側の供給通路になっている。進角ポート76c、76d及び遅角ポート76e、76fはコントロールバルブ62、63からエンジン41のオイル通路を介して可変バルブタイミング装置91にオイルを導く下流側の供給通路になっている。ドレンポート76g、76hは、余剰のオイルを排出するドレン通路になっている。詳細は後述するが、ドレンポート76g、76hは可変バルブタイミング装置91(図12参照)への動力伝達用のタイミングチェーン56にオイルを供給する専用の供給通路になっている。
【0044】
ハウジング本体67の下面73は、エンジン41の壁面に対する合わせ面になっており、この合わせ面に進角ポート76c、76d及び遅角ポート76e、76fが開口されている。また、ハウジング本体67の下面73には、進角ポート76c、76d及び遅角ポート76e、76fに沿って円弧状に溝部80が形成されている。このため、エンジン41に対するハウジング本体67の当たりが不均一で、ハウジング本体67とエンジン41の合わせ面で進角ポート76c、76d及び遅角ポート76e、76fからオイルが周囲に染み出しても、溝部80によってオイルが捕集されて外部に漏れ出すことがない。
【0045】
また、ハウジング本体67の下面73は入力ポート76a、76bの入口で窪んでおり、この窪みに進角ポート76c、76d及び遅角ポート76e、76fに沿った溝部80が連通されている。溝部80で捕集されたオイルは、溝部80に沿って入力ポート76a、76bの窪みまでスムーズに戻される。上記したように、オイルコントロールバルブユニット61には、外部配管81を通じてメインギャラリ53(図2参照)から油圧が高いオイルがダイレクトに供給される。進角ポート76c、76d及び遅角ポート76e、76fからはオイルが染み出し易くなるが、溝部80によって入力ポート76a、76bにオイルが戻されるため、オイル漏れが抑えられて可変バルブタイミング装置91の応答性能が悪化することがない。
【0046】
ドレンポート76g、76hは、ハウジング本体67の下面73から外れた位置に開口されている。ドレンポート76g、76hのうち一方のドレンポート76hの出口には閉塞栓85が装着されており、閉塞栓85によって隣り合ったドレンポート76g、76h間でオイルが行き来することが防止されている。ドレンポート76hはハウジング本体67内で分岐しており、分岐路の出口88がハウジング本体67の側面に開口している。ドレンポート76hの本来の出口を閉塞栓85で閉塞することで、オイルの排出経路が分岐路の出口88に向かうように変更されている。
【0047】
さらに、ハウジング本体67の下面73には位置決めピン86が突設されており、位置決めピン86がエンジン41の位置決め孔(不図示)に差し込まれることでオイルコントロールバルブユニット61が位置決め状態で取り付けられる。オイルコントロールバルブユニット61が位置決めされた状態では、ドレンポート76hの分岐路の出口88がタイミングチェーン56の内周面に向けられる(図10B参照)。この場合、ドレンポート76hの分岐路の出口88の下方にタイミングチェーン56の内周面が位置し、分岐路の出口88から落下したオイルでタイミングチェーン56が潤滑される。
【0048】
図8から図10に示すように、オイルコントロールバルブユニット61は、シリンダ43に対して側方からボルト78でネジ止めされている。この場合、シリンダ43の側壁が円形に開口されており、この開口部分にバルブハウジング64のハウジング本体67が差し込まれる。バルブハウジング64がシリンダ43内の内壁57に突き当たると、ハウジング本体67の中央開口71が内壁57に形成されたネジ穴(不図示)に位置合わせされる。そして、バンジョー継手82とバルブハウジング64がボルト78で共締めされることで、外部配管81とオイルコントロールバルブユニット61がシリンダ43に取り付けられる。
【0049】
このとき、バンジョー継手82の取付穴83はボルト78の軸部分79よりも大径に形成されており(図9B参照)、バンジョー継手82の取付穴83とボルト78の軸部分79の隙間でオイル通路が形成されている。さらに、バルブハウジング64の中央開口71はボルト78の軸部分79よりも大径に形成されており、バルブハウジング64の中央開口71とボルト78の軸部分79の隙間でオイル通路が形成されている。これらボルト78の軸部分79の周囲に形成されたオイル通路を通じて、外部配管81から吸気用コントロールバルブ62及び排気用コントロールバルブ63に向かってオイルが供給される。
【0050】
バンジョー継手82の取付穴83とボルト78の軸部分79の隙間、バルブハウジング64の中央開口71とボルト78の軸部分79の隙間を利用して、吸気用コントロールバルブ62及び排気用コントロールバルブ63にオイルが分配される。吸気用コントロールバルブ62及び排気用コントロールバルブ63のオイル通路は、進角ポート76c、76dや遅角ポート76e、76fを通じてシリンダ43内のオイル通路に接続されている(図9B図10A参照)。シリンダ43内のオイル通路は、吸気側及び排気側の可変バルブタイミング装置91(図12参照)の油圧室に接続されている。
【0051】
このように、オイルコントロールバルブユニット61をシリンダ43に取り付けるという簡易な構成で、外部配管81から吸気側の可変バルブタイミング装置91及び排気側の可変バルブタイミング装置91に至るオイル通路が形成される。このとき、オイルコントロールバルブユニット61がシリンダ43内で、前後一対のカムシャフト55に動力を伝達するタイミングチェーン56(図12参照)の内側を通るようにして設置されている。タイミングチェーン56の内側に部材を設置することは組み付け性の観点からは好ましくないが、オイルコントロールバルブユニット61を着脱可能にしたことで、タイミングチェーン56の組み付け時にオイルコントロールバルブユニット61が障害になることがない。
【0052】
より詳細には、自動二輪車1(図1参照)等ではチェーンカバーがシリンダ43に一体化されている。シリンダ43からチェーンカバーだけを外すことができないため、タイミングチェーン56の内側に部材を設置すると、タイミングチェーン56をエンジン41に組み付ける際の障害になる。このため、本実施の形態では、オイルコントロールバルブユニット61を着脱可能にして、エンジン41にタイミングチェーン56を組み付けた後に、タイミングチェーン56の内側にオイルコントロールバルブユニット61のバルブハウジング64(ハウジング本体67)を差し込んでいる。これにより、タイミングチェーン56の組み付けの干渉になることがなく、タイミングチェーン56の内側のデッドスペースが有効利用される。
【0053】
オイルコントロールバルブユニット61のバルブハウジング64をタイミングチェーン56の内側に通すようにしたことで、オイルコントロールバルブユニット61を可変バルブタイミング装置91に近づけて設置することができる。よって、メインギャラリ53(図12参照)からオイルコントロールバルブユニット61までの外部配管81が長くなり、オイルコントロールバルブユニット61から可変バルブタイミング装置91までのエンジン41の内部流路が短くなる。これにより、オイルコントロールバルブユニット61には外部配管81で高い油圧でオイルが送り込まれ、エンジン41の内部流路でオイルの圧力損失が最小限に抑えられて、可変バルブタイミング装置91に高い油圧をかけることが可能になっている。
【0054】
図9Aに示すように、このオイルコントロールバルブユニット61では、バンジョー継手82にオイルが供給されると、バルブハウジング64の中央開口71とボルト78の軸部分79(図9B参照)の隙間にオイルが入り込む。中央開口71内のオイルはシリンダ43の内壁57に当たって折り返され、フィルタ77a、77bを通過して吸気側及び排気側の入力ポート76a、76bに分かれて流入される。入力ポート76a、76b内のオイルは吸気用コントロールバルブ62及び排気用コントロールバルブ63に入力され、コントロールバルブ62、63の駆動によってオイルの送り先が切り換えられている。
【0055】
図9B及び図10Aに示すように、コントロールバルブ62、63が進角側に駆動されると、入力ポート76a、76bが進角ポート76c、76dに連通される。これにより、進角ポート76c、76dからシリンダ43内のオイル通路90a、90bにオイルが流入し、可変バルブタイミング装置91の進角室にオイルが供給される。一方で、ドレンポート76g、76h(図10B参照)が遅角ポート76e、76fに連通され、可変バルブタイミング装置91の遅角室からオイルが排出される。可変バルブタイミング装置91の進角室の油圧が遅角室の油圧よりも高まってバルブタイミングが進角側に制御される。
【0056】
このとき、バルブハウジング64とシリンダ43の内壁57の当たり具合にバラツキがあると、進角ポート76c、76dからバルブハウジング64と内壁57の界面にオイルが染み出す場合がある。このような場合であっても、進角ポート76c、76dに沿って溝部80が形成されているため、バルブハウジング64から漏れ出す前に溝部80によってオイルが捕集される。溝部80は入力ポート76a、76b(図9A参照)の窪み84a、84bに連なっており、溝部80で捕集されたオイルが入力ポート76a、76bにスムーズに戻される。油圧が高い進角ポート76c、76dであっても、簡易な構成で高いシール性を維持することができる。
【0057】
図10A及び図9Bに示すように、コントロールバルブ62、63が遅角側に駆動されると、入力ポート76a、76bが遅角ポート76e、76fに連通される。これにより、遅角ポート76e、76fからシリンダ43内のオイル通路90c、90dにオイルが流入し、可変バルブタイミング装置91の遅角室にオイルが供給される。一方で、ドレンポート76g、76h(図10B参照)が進角ポート76c、76dに連通され、可変バルブタイミング装置91の進角室からオイルが排出される。可変バルブタイミング装置91の遅角室の油圧が進角室の油圧よりも高まってバルブタイミングが遅角側に制御される。
【0058】
この場合も、遅角ポート76e、76fからバルブハウジング64と内壁57の界面にオイルが染み出す場合があるが、遅角ポート76e、76fに沿って形成された溝部80によってオイルが捕集される。溝部80は入力ポート76a、76b(図9A参照)の窪み84a、84bに連なるため、溝部80で捕集されたオイルが入力ポート76a、76bにスムーズに戻される。油圧が高い遅角ポート76e、76fであっても、簡易な構成で高いシール性を維持することができる。このように、バルブハウジング64からのオイル漏れが抑えられてオイルが十分な圧力に維持されるため、可変バルブタイミング装置91の応答性能が悪化することがない。
【0059】
図10Bに示すように、オイルコントロールバルブユニット61はタイミングチェーン56の内側でシリンダ43に部分的に差し込まれ、ドレンポート76gが上側でドレンポート76hが下側となる向きで設置されている。ドレンポート76gは吸気用コントロールバルブ62からシリンダ43の内壁57に向かって斜め下方に直線的に延在し、ドレンポート76hは排気用コントロールバルブ63からシリンダ43の内壁57に向かって斜め上方に直線的に延在している。このため、バルブハウジング64には、ドレンポート76g、76hの出口が上下に並んで開口している。
【0060】
下側のドレンポート76hの出口には閉塞栓85が装着されて、上側のドレンポート76gから下側のドレンポート76hへのオイルの流入が防止されている。下側のドレンポート76hは出口手前で下方に分岐しており、斜め下方に延びる分岐路87が形成されている。ドレンポート76hの分岐路87の出口88は、チェーン室内でタイミングチェーン56の内周面に向かって開口している。上記したように、コントロールバルブ62、63が進角側又は遅角側に駆動することで、進角ポート76c、76d(進角室)又は遅角ポート76e、76f(遅角室)がドレンポート76g、76hに連通される。
【0061】
ドレンポート76gにオイルが流入すると、ドレンポート76gの出口からオイルが排出されてエンジン41の各部に供給される。排気用コントロールバルブ63からドレンポート76hにオイルが流入すると、ドレンポート76hの分岐路87の出口88からオイルが排出されて、矢印に示すようにタイミングチェーン56の内周面に向けて落下する。タイミングチェーン56の内周面にオイルが供給されることで、タイミングチェーン56とスプロケット93(図12参照)の噛合い箇所が適度に潤滑されてタイミングチェーン56とスプロケット93の耐久性が向上される。
【0062】
この場合、分岐路87の出口88からタイミングチェーン56に落下するオイルの供給経路上には部材が介在しないことが好ましい。分岐路87の出口からタイミングチェーン56の内周面にダイレクトにオイルが供給されることで、タイミングチェーン56に対するオイルの供給量を十分に確保することができる。このように、オイルコントロールバルブユニット61のドレンポート76hから排出されたオイルを利用するというシンプルな構造で、シリンダ43内に専用のオイル通路やチェーンジェット等を設けることなく、タイミングチェーン56を良好に潤滑することができる。
【0063】
なお、図11Aに示すように、オイルコントロールバルブユニット61はドレンポート76hから閉塞栓85が取り外されていてもよい。この場合、上側のドレンポート76gから下側のドレンポート76hにオイルが入り込んでも、ドレンポート76hの分岐路87にオイルを誘導して排出することができる。仮に、下側のドレンポート76hの出口からコンタミを含んだオイルが入り込んでも、排気用コントロールバルブ63の手前の分岐路87でオイルが排出される。よって、コントロールバルブ63にコンタミが到達することがなく、コントロールバルブ63の動作安定性が保障される。
【0064】
また、図11Bに示すように、オイルコントロールバルブユニット61はドレンポート76hを分岐させる代わりに、バルブハウジング64のドレンポート76g、76hの出口側にアタッチメント96が装着されていてもよい。アタッチメント96には、ドレンポート76g、76hに連なるオイル通路97a、97bが形成されている。アタッチメント96のオイル通路97a、97bの出口(不図示)はタイミングチェーン56の内周面に向けて開口されており、オイル通路97a、97bの出口からタイミングチェーン56の内周面にオイルが供給される。
【0065】
図8から図10に戻り、オイルコントロールバルブユニット61がシリンダ43に設置されると、バンジョー継手82がバルブハウジング64よりも前後方向視で内側に位置付けられる。バンジョー継手82がバルブハウジング64よりも前後方向視で外側に突出しないため、バンジョー継手82による車幅寸法の増加が抑えられている。さらに、バンジョー継手82が変速機カバー45、メインフレーム12、ダウンフレーム13の全てに対して前後方向視で内側に設置されている(図4参照)。変速機カバー45、メインフレーム12、ダウンフレーム13によって車体転倒時の衝撃やその他の外部の衝撃からバンジョー継手82が保護される。
【0066】
さらに、バルブハウジング64がシリンダ43の内壁57に突き当てられることで、シリンダ43の側面から吸気用コントロールバルブ62及び排気用コントロールバルブ63が離間される。すなわち、オイルコントロールバルブユニット61のソレノイド65がエンジン41の側面から車幅方向に離間している。このため、オイルコントロールバルブユニット61のソレノイド65がシリンダ43の側面に接することがなく、シリンダ43の熱によるソレノイド65の温度上昇が抑えられる。よって、オイルコントロールバルブユニット61の作動特性の悪化が効果的に抑えられる。
【0067】
次に、図12を参照して、可変バルブタイミングシステムについて簡単に説明する。図12は、本実施の形態の可変バルブタイミングシステムの模式図である。なお、吸気側及び排気側の可変バルブタイミングシステムを説明するが、吸気側又は排気側にだけ可変バルブタイミングシステムが設けられていてもよい。また、図12では説明の便宜上、タイミングチェーンを二点鎖線で示している。
【0068】
図12に示すように、可変バルブタイミングシステムは、不図示のクランクシャフトに対するカムシャフト55の回転位相を変化させてバルブタイミングを可変するものであり、油圧式の可変バルブタイミング装置91を有している。カムシャフト55には、クランクシャフトからの動力が不図示のタイミングチェーン56によって可変バルブタイミング装置91を介して伝達される。可変バルブタイミング装置91は、カムシャフト55の一端部に設けられており、内部に供給されたオイルを介してカムシャフト55に動力を伝達するように構成されている。
【0069】
可変バルブタイミング装置91のケース92は、タイミングチェーン56が掛け渡されたスプロケット93に固定されており、スプロケット93と一体に回転する。スプロケット93は、ケース92と共にカムシャフト55の一端部に回転可能に支持されている。また、カムシャフト55の一端部には、ベーン94付きのロータ95が固定されており、ロータ95はケース92の内側に相対回転可能に収容されている。ケース92の内側には複数の油圧室が形成されており、各油圧室にロータ95の各ベーン94が収容されている。各油圧室は、それぞれベーン94によって進角室S1と遅角室S2に仕切られている。
【0070】
進角室S1及び遅角室S2は、カムシャフト及びカムハウジングに形成されたオイル通路に連通されている。油圧によって進角室S1の容積が拡大すると、ケース92に対してロータ95が相対的に進角側に回転される。これにより、ロータ95に固定されたカムシャフト55が回転して、バルブタイミングが進角側に変化する。一方、油圧によって遅角室S2の容積が拡大すると、ケース92に対してロータ95が相対的に遅角側に回転される。これにより、ロータ95に固定されたカムシャフト55が回転して、バルブタイミングが遅角側に変化する。
【0071】
可変バルブタイミング装置91は、オイルコントロールバルブユニット61からの油圧によって作動される。オイルポンプ52によってオイルパン51内からフィルタ等を介してメインギャラリ53にオイルが汲み上げられて、外部配管81を通じてオイルコントロールバルブユニット61の吸気用コントロールバルブ62及び排気用コントロールバルブ63にオイルが供給される。そして、吸気用コントロールバルブ62及び排気用コントロールバルブ63の進角ポート、遅角ポート、入力ポート、排気ポートのポート間の連通状態を切り換えることで、可変バルブタイミングが進角側又は遅角側に切り替えられる。
【0072】
このとき、オイルポンプ52でオイルパン51からメインギャラリ53にオイルが汲み上げられて、メインギャラリ53から外部配管81を通じて高い油圧のオイルがオイルコントロールバルブユニット61に供給される。外部配管81がエンジン外部を通るため、エンジン内部のオイル通路のように他の油圧回路に接続されることがなく、外部配管81内でのオイルの圧力損失が抑えられている。エンジン外部を通る外部配管81によって、可変バルブタイミング装置91の近くまで高い油圧でオイルが送り出されて、オイルコントロールバルブユニット61からエンジン内部にオイルが供給される。
【0073】
オイルコントロールバルブユニット61が可変バルブタイミング装置91の近くに設置されているため、エンジン内部のオイル通路が短くなってオイル通路でのオイルの圧力損失が低減されている。よって、吸気用コントロールバルブ62及び排気用コントロールバルブ63から吸気側及び排気側の可変バルブタイミング装置91に高い油圧でオイルが供給され、可変バルブタイミング装置91の応答速度が高められている。また、タイミングチェーン56の内側のデッドスペースをオイルコントロールバルブユニット61のオイル通路に有効利用することができ、エンジン内部のオイル通路が複雑になることがない。
【0074】
次に、図13及び図14を参照して、車体フレームの組み付け動作について説明する。図13は、本実施の形態の車体フレームの組み付け動作の一例を示す図である。図14は、本実施の形態の車体フレームの組み付け動作の他の一例を示す図である。
【0075】
図13に示すように、オイルコントロールバルブユニット61の設置スペース49は、車体フレーム10の組み付け時の移動軌跡上に存在している。エンジン41の側面から変速機カバー45が膨出しており、車体フレーム10の後側部分ではボディフレーム15(メインフレーム後方部)が変速機カバー45の膨出部の一部を後方から囲む(後方に回り込む)ように形成されている。また、車体フレーム10の前側部分ではメインフレーム12とダウンフレーム13に二股に分岐しており、メインフレーム12とダウンフレーム13に挟まれるようにオイルコントロールバルブユニット61の設置スペース49が確保されている。
【0076】
この場合、メインフレーム12が変速機カバー45の膨出部に干渉しないように、矢印に示す斜め方向からエンジン41に車体フレーム10が組み付けられる。しかしながら、車体フレーム10の組み付け時には、2点鎖線に示すダウンフレーム13の移動軌跡上にオイルコントロールバルブユニット61の設置スペース49が存在するため、オイルコントロールバルブユニット61に車体フレーム10が干渉する。このため、本実施の形態では、車体フレーム10を避けたエンジン41の外面にオイルコントロールバルブユニット61を着脱可能に設置している。変速機カバー45に対するメインフレーム12の干渉を抑えつつ、エンジン41に車体フレーム10が組み付けられた後に、オイルコントロールバルブユニット61をシリンダ43の側方から設置することができる。
【0077】
これにより、車体フレーム10とオイルコントロールバルブユニット61の干渉を抑えられ、オイルコントロールバルブユニット61の設置自由度が確保されている。なお、本実施の形態では、エンジン41に車体フレーム10を組み付けた後に、シリンダ43の側面にオイルコントロールバルブユニット61を設置する構成にしたが、この構成に限定されない。車体フレーム10の移動軌跡を避けるようにオイルコントロールバルブユニット61の設置スペース49が存在する場合には、シリンダ43の側面にオイルコントロールバルブユニット61が設置された状態で車体フレーム10が組み付けられてもよい。
【0078】
例えば、図14に示すように、車体前後方向において変速機カバー45の下側でボディフレーム15の最前部15aとダウンフレーム13の最後部13aの間に、オイルコントロールバルブユニット61と変速機カバー45の膨出部を配置するようにする。エンジン41の上方から車体フレーム10が鉛直方向下向きに組み付けられると、ボディフレーム15の最前部15a及びダウンフレーム13の最後部13aによって移動軌跡L1、L2が描かれる。移動軌跡L1、L2がオイルコントロールバルブユニット61や変速機カバー45から外れるため、オイルコントロールバルブユニット61をシリンダ43の側面に設置した状態で車体フレーム10をエンジン41に組み付けることが可能になっている。
【0079】
以上のように、本実施の形態によれば、エンジン41とオイルコントロールバルブユニット61の合わせ面で進角ポート76c、76d、遅角ポート76e、76fからオイルが周辺に染み出しても、ポート76c−76fの外側の溝部80によってオイルが捕集される。オイルの流出が抑えられることで、オイルの圧力が十分な強さに維持されて可変バルブタイミング装置91の応答性能が悪化することがない。また、合わせ面に溝部80を設けるというシンプルな構造でシール性を向上させることができる。
【0080】
なお、本実施の形態において、エンジンとして並列4気筒エンジンを例示したが、この構成に限定されない。エンジンの構成は特に限定されるものではなく、例えば、単気筒エンジン、並列2気筒エンジン、V型エンジン、水平対向式エンジン、直列2気筒エンジンでもよい。
【0081】
また、本実施の形態において、車体フレームとしてツインスパーフレームを例示したが、この構成に限定されない。車体フレームは、エンジンにオイルコントロールバルブユニットの設置スペースを確保できる形状であればよく、例えば、クレードルフレームで構成されてもよい。
【0082】
また、本実施の形態において、オイルコントロールバルブユニットがエンジンの右側方に設置される構成にしたが、エンジンの左側方に設置されてもよい。
【0083】
また、本実施の形態において、シリンダの側方にオイルコントロールバルブユニットが設置される構成にしたが、この構成に限定されない。オイルコントロールバルブユニットはエンジンの側方に設置されればよく、例えば、エンジンケースの側方に設置されてもよい。
【0084】
また、本実施の形態において、オイルコントロールバルブユニットとしてソレノイドバルブを例示したが、この構成に限定されない。オイルコントロールバルブユニットはエンジンの可変バルブタイミング装置に対する油圧を制御可能な構成であればよく、特にバルブの種類は限定されない。
【0085】
また、本実施の形態において、オイルコントロールバルブユニットが吸気用コントロールバルブと排気用コントロールバルブを有する構成にしたが、この構成に限定されない。オイルコントロールバルブユニットは、吸気用コントロールバルブ及び排気用コントロールバルブのいずれかを有していればよい。
【0086】
また、本実施の形態において、吸気用コントロールバルブと排気用コントロールバルブが横向き姿勢で上下に離間する構成にしたが、この構成に限定されない。吸気用コントロールバルブと排気用コントロールバルブが横向き姿勢で上下に離間することが好ましいが、吸気用コントロールバルブと排気用コントロールバルブの姿勢や設置箇所は限定されない。
【0087】
また、本実施の形態において、オイルコントロールバルブユニットとメインギャラリが1本の外部配管で接続される構成にしたが、この構成に限定されない。オイルコントロールバルブユニットとメインギャラリが複数の外部配管で接続されてもよい。例えば、吸気用コントロールバルブと排気用コントロールバルブに対して個々に外部配管が接続されてもよい。
【0088】
また、本実施の形態において、外部配管の設置ルートは特に限定されない。外部配管はオイルコントロールバルブユニットとメインギャラリを接続する構成であればよい。
【0089】
また、本実施の形態において、バルブハウジングの形状は特に限定されるものではない。外部配管のオイルを可変バルブタイミング装置に供給可能な形状であればよい。
【0090】
また、本実施の形態において、バルブハウジングと円環状継手としてのバンジョー継手がボルトでシリンダに共締めされる構成にしたが、バルブハウジング及びバンジョー継手の取付方法は特に限定されない。
【0091】
また、本実施の形態において、外部配管の先端にバンジョー継手を介してバルブハウジングに接続される構成にしたが、この構成に限定されない。例えば、バルブハウジングに対して外部配管を差し込むことで、バルブハウジングに外部配管が接続されてもよい。
【0092】
また、本実施の形態において、メインギャラリから延びる外部配管でオイルコントロールバルブユニットにオイルが供給される構成にしたが、この構成に限定されない。オイルコントロールバルブにはエンジン内のオイル通路からオイルが供給されてもよい。
【0093】
また、本実施の形態において、排気側のドレンポートを分岐させて、分岐路の出口をタイミングチェーンに向けて開口する構成にしたが、この構成に限定されない。吸気側及び排気側のドレンポートを上下入れ換えて、吸気側のドレンポートを分岐させて、分岐路の出口をタイミングチェーンに向けて開口してもよい。
【0094】
また、本実施の形態において、ドレンポートを分岐させる構成にしたが、この構成に限定されない。ドレンポートの出口がタイミングチェーンに向けられていれば、ドレンポートを分岐させる必要はない。
【0095】
また、本実施の形態において、ドレンポートの出口がタイミングチェーンの内周面に向けられる構成にしたが、この構成に限定されない。ドレンポートの出口がタイミングチェーンに向けられていればよく、例えば、ドレンポートの出口がタイミングチェーンの外周面に向けられていてもよい。
【0096】
また、本実施の形態において、バルブハウジングの位置決めピンによってドレンポートの出口がタイミングチェーンに向けられる構成にしたが、この構成に限定されない。ドレンポートの出口がタイミングチェーンに向けることができれば、バルブハウジングに位置決めピンを設けなくてもよい。
【0097】
また、本実施の形態において、溝部が進角ポート及び遅角ポートに沿った円弧状に形成される構成にしたが、この構成に限定されない。例えば、溝部は進角ポートや遅角ポートを完全に囲む環状に形成されていてもよい。すなわち、溝部は供給通路の少なくとも一部に沿って形成されていればよい。
【0098】
また、本実施の形態において、進角ポート及び遅角ポートの外側の溝部が入力ポートに連通する構成にしたが、この構成に限定されない。溝部は入力ポートに連通していなくてもよい。すなわち、溝部は下流側の供給通路から染み出したオイルを捕集できればよく、上流側の供給通路にオイルを戻さなくてもよい。
【0099】
また、本実施の形態において、流体作動装置として可変バルブタイミング装置、装置本体としてエンジン、外付けユニットとしてオイルコントロールバルブを例示したが、この構成に限定されない。流体作動装置は作動流体で動作するものであればよく、装置本体は流体作動装置に向かう流体通路が形成されたものであればよく、外付けユニットは流体作動装置に作動流体を供給する構成であればよい。
【0100】
また、本実施の形態において、作動流体としてオイルを例示したが、この構成に限定されない。作動流体は流体作動装置を作動させる流体であれば特に限定されない。
【0101】
また、本発明の各実施の形態を説明したが、本発明の他の実施の形態として、上記実施の形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0102】
また、本発明の実施の形態は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【0103】
また、本実施の形態では、本発明を自動二輪車に適用した構成について説明したが、この構成に限定されない。オイルコントロールバルブユニットが設置される他の乗り物、例えば、自動四輪車、バギータイプの自動三輪車の他に、水上バイク、芝刈り機、船外機等の特機に適宜適用することも可能である。
【0104】
下記に、本発明の実施形態における特徴点を整理する。
上記実施形態に記載の外付けユニットは、流体作動装置に向かう流体通路が形成された装置本体に設置され、流体作動装置に作動流体を供給する外付けユニットであって、装置本体に対する合わせ面には、装置本体の流体通路に作動流体を供給する供給通路が開口されると共に、供給通路の開口に沿って溝部が形成されている。この構成によれば、装置本体と外付けユニットの合わせ面で供給通路から作動流体が周辺に染み出しても、供給通路の外側の溝部によって作動流体が捕集される。作動流体の流出が抑えられることで、作動流体の圧力が十分な強さに維持されて流体作動装置の応答性能が悪化することがない。また、合わせ面に溝部を設けるというシンプルな構造でシール性を向上させることができる。
【0105】
上記実施形態に記載のオイルコントロールバルブユニットは、流体作動装置が可変バルブタイミング装置、装置本体はエンジンであり、請求項1に記載の外付けユニットが可変バルブタイミング装置に作動流体としてオイルを供給して油圧を制御するオイルコントロールバルブユニットである。この構成によれば、エンジンとオイルコントロールバルブユニットの合わせ面で供給通路からオイルが染み出しても、供給通路の外側の溝部によってオイルが捕集される。オイルの流出が抑えられることで、油圧が十分な強さに維持されて流体作動装置の応答性能が悪化することがない。また、合わせ面に溝部を設けるというシンプルな構造でシール性を向上させることができる。
【0106】
上記実施形態に記載のオイルコントロールバルブユニットは、エンジンにはオイルポンプからオイルが送られるメインギャラリが形成されており、メインギャラリから延びる外部配管が接続され、当該外部配管を通じてメインギャラリからオイルが供給される。この構成によれば、メインギャラリにはオイルポンプから油圧の高いオイルが送られ、メインギャラリから外部配管を通じてオイルコントロールバルブにダイレクトにオイルが供給される。オイルコントロールバルブの供給通路の油圧が高くなって供給通路からオイルが染み出し易くなるが、溝部によってオイルが捕集されてオイルコントロールバルブからのオイル漏れが抑えられる。よって、可変バルブタイミング装置の応答性能を向上させることができる。
【0107】
上記実施形態に記載のオイルコントロールバルブユニットは、可変バルブタイミング装置のバルブタイミングを制御するコントロールバルブを備え、エンジンに対する合わせ面には、供給通路としてコントロールバルブにオイルを供給する上流側の供給通路と、コントロールバルブからエンジンの流体通路にオイルを導く下流側の供給通路とが開口されると共に、下流側の供給通路の開口に沿って溝部が形成され、溝部が上流側の供給通路に連通する。この構成によれば、上流側の供給通路からコントロールバルブにオイルが供給されて、コントロールバルブから下流の供給通路を通じてエンジン内の流体通路にオイルが導かれる。このとき、エンジンとオイルコントロールバルブユニットの合わせ面で下流側の供給通路からオイルが染み出しても、溝部を通じて上流側の供給通路にオイルが戻されるため、オイルコントロールバルブからのオイル漏れを抑えることができる。
【0108】
上記実施形態に記載のオイルコントロールバルブユニットは、上流側の供給通路の入口でエンジンに対する合わせ面が窪んで形成され、溝部が上流側の供給通路の窪みに連通する。この構成によれば、エンジンとオイルコントロールバルブユニットの合わせ面で下流側の供給通路からオイルが染み出しても、溝部を通じて上流側の供給通路に窪みにスムーズにオイルを戻すことができる。
【0109】
上記実施形態に記載の自動二輪車は、上記のオイルコントロールバルブユニットを備えている。この構成によれば、オイルコントロールバルブとエンジンケースの合わせ面でオイル漏れを抑えることで、自動二輪車の可変バルブタイミング装置の応答性能を高くすることができる。
【符号の説明】
【0110】
1 :自動二輪車
41 :エンジン
43 :シリンダ
52 :オイルポンプ
53 :メインギャラリ
56 :タイミングチェーン
61 :オイルコントロールバルブユニット
62 :吸気用コントロールバルブ
63 :排気用コントロールバルブ
64 :バルブハウジング
76a、76b:入力ポート(上流側の供給通路)
76c、76d:進角ポート(下流側の供給通路)
76e、76f:遅角ポート(下流側の供給通路)
76g、76h:ドレンポート
80 :溝部
81 :外部配管
84a、84b:窪み
91 :可変バルブタイミング装置
図1
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